JPH1144495A

JPH1144495A - 蓄熱装置

Info

Publication number: JPH1144495A
Application number: JP9212595A
Authority: JP
Inventors: Nobuyuki Shishido; 信之宍戸; Noboru To; 昇陶
Original assignee: Mitsubishi Chemical Engineering Corp
Current assignee: Mitsubishi Chemical Engineering Corp
Priority date: 1997-07-23
Filing date: 1997-07-23
Publication date: 1999-02-16

Abstract

(57)【要約】【課題】潜熱型の蓄熱材を利用した蓄熱装置であっ
て、装置構成が一層シンプルであり且つ蓄熱材の体積変
化に対応し得る構造の蓄熱装置を提供する。【解決手段】本発明の蓄熱装置は、加熱源（２）が内
装された容器（１）と、当該容器に充填された蓄熱材
（４）とから成り、蓄熱材（４）が糖アルコールを主成
分とする蓄熱材であり、容器（１）の内容積に対して１
００％充填され、そして、容器（１）の側壁が、上下に
伸縮可能な蛇腹構造を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱装置に関する
ものであり、詳しくは、糖アルコールを主成分とする潜
熱型の蓄熱材を利用した蓄熱装置であって、装置構成が
一層シンプルであり且つ蓄熱材の体積変化に対応し得る
構造の蓄熱装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】特表昭６３−５００９４６号、特開平５
−３２９６３号公報には、糖アルコール系の蓄熱材に関
する技術が開示されている。これらの公報に記載された
エリスリトール、マンニトール、ガラクチトール等は、
融解潜熱が大きく且つ熱安定性に優れ、また、毒性がな
く且つ難燃性であり、しかも、金属材料に対する腐食性
もないため、無機水和塩類、有機酸塩水和物などに替る
潜熱型の蓄熱材として注目されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、糖アルコー
ルを主成分とする蓄熱材は、固体と液体の相変化による
体積変化が大きいため、斯かる蓄熱材を利用したヒータ
ーや電気ストーブ等の実際的な蓄熱装置においては、蓄
熱材の体積変化による内部圧力の変動に対応した構造が
要求される。

【０００４】上記の蓄熱装置においては、一般的に、蓄
熱材が収容される貯槽または容器を耐圧構造に構成し、
かつ、その一部に空間部を設けることにより、内部圧力
の変動に対応する方式も考えられるが、斯かる構造の蓄
熱装置は、堅固な容器構造の他、空間部の初期圧力調整
も必要である。また、蓄熱材の酸化を防止するために貯
槽内の空間部に対する不活性ガスの充填も勘案しなけれ
ばならない。従って、上記の蓄熱材を利用した蓄熱装置
においては、蓄熱材の物性を十分に考慮し且つ一層簡単
な装置構成が求められる。

【０００５】本発明の目的は、糖アルコールを主成分と
する潜熱型の蓄熱材を利用した蓄熱装置であって、装置
構成が一層シンプルであり且つ蓄熱材の体積変化に対応
し得る構造の蓄熱装置を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の蓄熱装置は、加熱源が内装された容器と、
当該容器に充填された蓄熱材とから成る蓄熱装置であっ
て、蓄熱材が、糖アルコールを主成分とする蓄熱材であ
り、かつ、容器の内容積に対して１００％充填され、そ
して、容器の側壁が、上下に伸縮可能な蛇腹構造を備え
ていることを特徴としている。

【０００７】上記の蓄熱装置において、蓄熱材が容器の
内容積に対して１００％充填された構造は、蓄熱材の外
気との接触がなく、蓄熱材の酸化を防止できる。また、
伸縮可能な蛇腹構造は、加熱による蓄熱材の液化に伴う
体積膨張に追従して伸長し、冷却による蓄熱材の固化に
伴う体積減少に追従して収縮する。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明に係る蓄熱装置の実施形態
を図面に基づいて説明する。図１は、蓄熱装置の一実施
形態を示す縦断面図である。図２は、蓄熱装置の他の実
施形態を示す縦断面図である。図１には、本発明の蓄熱
装置の基本的な構成が示されており、図１に示す蓄熱装
置は、加熱源（２）が内装された容器（又は貯槽）
（１）と、当該容器に充填された蓄熱材（４）とから主
として構成され、蓄熱材（４）として、糖アルコールを
主成分とする蓄熱材が使用される。

【０００９】容器（１）としては、通常、耐久性および
耐衝撃性を考慮し、ステンレス等の金属製の容器が使用
されるが、比較的小型に構成する場合は、必要な剛性を
有する限り合成樹脂製の容器を使用することも出来る。
容器（１）は、水平断面が円形または楕円形の筒状体に
形成される。容器（１）の内容積は、用途に応じて適宜
に設定でき、例えば、１０〜５００リットル程度とされ
る。

【００１０】加熱源（２）としては、パイプ型などの電
熱器を使用するのが簡便であり、例えば、容器（１）の
上記の内容積に対し、０．５〜２０ｋｗ程度の電熱器が
使用される。斯かる電熱器の容量は、蓄熱材（４）の収
容量と加熱時間によって適宜に設定される。図示しない
が、上記の電熱器は、沸点よりも低い所定温度に蓄熱材
（４）を加熱するため、蓄熱材（４）の温度を検出し、
当該電熱器に電気を継電・遮断するための温度センサー
を含む温調回路に接続される。

【００１１】蓄熱材（４）としては、エリスリトール、
マンニトール、ガラクチトール等を主成分とする糖アル
コールが使用される。これらの糖アルコールは、十分な
蓄熱機能を発揮し得る限り、単独で使用しても或いは組
合せて使用してもよい。上記の糖アルコールの中、エリ
スリトールは、融点が１２０℃と他の糖アルコールより
も低く、かつ、融解潜熱が８３ｃａｌ／ｇと比較的大き
いため、特に好適な蓄熱材である。

【００１２】上記の糖アルコールには、融点や融解潜熱
を調整するため、適宜の副成分が添加されていてもよ
い。副成分としては、他の糖アルコール、その他の糖
類、例えば、ソルビトール、ラクトース、果性化糖、マ
ンノース、グルコース、ラクチトール、ペンタエルスリ
トール等が挙げられる。

【００１３】本発明の蓄熱装置においては、収容した蓄
熱材（４）の酸化を防止するため、蓄熱材（４）は、容
器（１）の内容積に対して１００％充填される必要があ
る。しかも、例えば、上記エリスリトールの場合は、１
ｇ当たり、２０℃の固体で０．６８７ｃｍ³、１３０℃
の液体で０．７８１ｃｍ³の体積を占める。従って、本
発明の蓄熱装置においては、蓄熱材（４）の相変化に伴
う体積変化に追従するため、容器（１）の側壁は、上下
に伸縮可能な蛇腹構造を備えている。

【００１４】具体的には、上記の蛇腹構造は、伸縮方向
に沿った断面（縦断面）が波板状に形成され且つ水平断
面が円形または楕円形に形成された蛇腹材（７）によっ
て構成される。蛇腹材（７）は、肉厚が０．５〜１．０
ｍｍ程度のステンレス薄板により大径部間（又は小径部
間）のピッチが８〜２０ｍｍ程度に作製された大型の所
謂ベロー管である。

【００１５】なお、蛇腹材（７）は、容器（１）に液状
の蓄熱材（４）を空隙なく充填した際、蓄熱材（４）の
固化に伴う体積減少に応じた十分な収縮代を有している
状態に取り付けられる。また、通常、容器（１）には、
最初に蓄熱材（４）を充填するための充填管（１２，１
５）、および、容器（１）の内圧を常用圧力に保持する
ための安全弁（１６）が付設される。

【００１６】本発明の蓄熱装置は、例えば、室内に直接
配置する間接加熱型の電気ストーブ或いは温風ヒーター
の熱源として使用される。そして、本発明の蓄熱装置に
おいては、当初、夜間電力などの低コストの電力によっ
て蓄熱し、蓄えた熱を昼間などの必要時に放熱する。そ
して、使用時に放出した熱量を適宜に微量補給すること
により、経済的に稼働させることが出来る。

【００１７】本発明の蓄熱装置において、蓄熱材（４）
が容器（１）の内容積に対して１００％充填された構造
は、蓄熱材（４）の外気との接触がなく、蓄熱材（４）
の酸化を有効に防止できる。また、蓄熱操作する場合、
加熱源（２）は、これに通電されて発熱することにより
蓄熱材（４）を加熱して溶融させる。その際、伸縮可能
な蛇腹構造、すなわち、蛇腹材（７）は、加熱による蓄
熱材（４）の液化に伴う体積膨張に追従して伸長する。
一方、蓄熱材（４）が冷却した場合、蛇腹材（７）は、
蓄熱材（４）の固化に伴う体積減少に追従して収縮す
る。従って、容器（１）の内部圧力が殆ど一定に保持さ
れ、安全に稼働させることが出来る。

【００１８】次に、本発明の他の態様を説明する。本発
明に係る蓄熱装置の他の態様は、図２に示す様に、加熱
源（２）が容器（１）内の下部に配置されており、熱交
換媒体の流路（３）が加熱源（２）に対して上方に配置
されている点が図１の蓄熱装置と主に異なる。すなわ
ち、図２に示す蓄熱装置は、蓄熱材（４）に蓄えられた
熱を熱交換媒体によって取り出す様になされている。

【００１９】通常、熱交換媒体としては水や空気が使用
される。熱交換媒体の流路（３）は、十分な伝熱量を確
保するため、銅合金製のいわゆる蛇管（螺旋管）によっ
て構成される。容器（１）の上記の条件において、流路
（３）に使用される蛇管の管の寸法は、外径が１０〜３
２ｍｍ程度、肉厚が０．８〜１．０ｍｍ程度、長さが１
０００〜１００００ｍｍ程度の範囲で設定される。

【００２０】ところで、例えば、上記エリスリトールの
場合、その比重は、２０℃の固体で１．４３５ｇ／ｃｍ
³、１３０℃の液体で１．２８０ｇ／ｃｍ³であり、加熱
生成された液体は、直ちに容器（１）の上部に移動し、
また、冷却生成された固体は、直ちに容器（１）の下部
に沈降する。そして、エリスリトールの熱伝導率は、２
０℃の固体で０．６３ｋｃａｌ／ｍ・ｈｒ・℃、１３０
℃の液体で０．２８ｋｃａｌ／ｍ・ｈｒ・℃である。

【００２１】そこで、本発明の蓄熱装置においては、効
率的な蓄熱と熱交換を行うため、加熱源（２）は、容器
（１）内の下部に配置され、熱交換媒体の流路（３）
は、加熱源（２）に対して上方に配置される。加熱源
（２）は、蓄熱材（４）全体を効率的に加熱するため、
容器（１）の内壁に接触しない範囲で出来る限り底部近
傍に配置されるのがよい。そして、熱交換媒体の流路
（３）は、蓄熱材（４）に常時埋没する範囲で出来る限
り上方に配置されるのがよい。斯かる構造により、本発
明の蓄熱装置では、蓄熱時の負荷が少なく且つ蓄えた熱
を効率的に取り出すことが出来る。

【００２２】また、図２に示す蓄熱装置は、蓄えた熱を
直接放出しない構造であり、通常は容器（１）の外周に
断熱材（１１）が付設される。なお、加熱源は、高温の
排気ガスを循環させる管路などによって構成されていて
もよい。そして、熱交換媒体の流路（３）においては、
通常、下端側を熱交換媒体の入口（３１）、上端側を熱
交換媒体の出口（３２）とされ、熱を必要とする暖房機
などの機器に接続される。その他の構成は、図１に示す
装置と同様である。

【００２３】図２に示す本発明の蓄熱装置においても、
上述の装置と同様に、夜間電力などの低コストの電力や
余剰電力を使用して蓄熱し、蓄えた熱を昼間などの必要
時に暖房機などに供給する。図２に示す蓄熱装置におい
ても、上記と同様に、蓄熱材（４）の外気との接触がな
く、蓄熱材（４）の酸化を有効に防止できる。また、伸
縮可能な蛇腹構造は、加熱による蓄熱材（４）の液化に
伴う体積膨張に追従して伸長し、冷却による蓄熱材
（４）の固化に伴う体積減少に追従して収縮するため、
容器（１）の内部圧力が殆ど一定に保持される。

【００２４】更に、図２に示す装置において、蓄熱する
場合、容器（１）内の下部に配置された加熱源（２）
は、固体の蓄熱材（４）を加熱し、溶融した比重の小さ
い液体を上方に移動させ、また、加熱源（２）は、溶融
に伴う固体と液体の入れ替わりに伴い、熱伝導率の大き
な固体と接触するため、蓄熱材（４）の全体に対して効
率的に熱を伝達できる。

【００２５】そして、熱を取り出す場合、熱交換媒体の
流路（３）に例えば常温の水を所定流速で通水すると、
加熱源（２）に対して上方に配置された流路（３）は、
上部に貯留された一層高温の液体の蓄熱材（４）に接触
し、効率的に熱交換して流路（３）内の水を昇温する。
すなわち、本発明の蓄熱装置においては、加熱源（２）
と熱交換媒体の流路（３）が蓄熱材（４）の性質に応じ
て特定の配置になされているため、一層効率的な蓄熱機
能と熱交換機能を発揮させ得る。

【００２６】因に、蓄熱材（４）がエルスリトールの場
合、約１３０℃まで昇温された１０ｋｇのエルスリトー
ルは、潜熱および顕熱を合せると約９００ｋｃａｌの熱
量を保有する。従って、容器（１）にエルスリトールを
９．８ｋｇ収容して１３０℃まで昇温し、１０ｍｍ（外
径）×５８００ｍｍ（長さ）の銅合金製の蛇管を流路
（３）として使用し且つ２０℃の水を１．８リットル／
分で流した場合、９５℃の水を約１０．６ｋｇ得ること
が出来る。

【００２７】

【発明の効果】以上説明した様に、本発明の蓄熱装置に
よれば、装置構成が一層シンプルであり且つ糖アルコー
ルを主成分とする蓄熱材の体積変化に対応でき、容器の
内部圧力を殆ど一定に保持し得るため、安全に稼働させ
ることが出来る。また、加熱源と熱交換媒体の流路が特
定の配置になされた本発明の蓄熱装置によれば、一層効
率的な蓄熱機能と熱交換機能が発揮される。

【図面の簡単な説明】

【図１】蓄熱装置の一実施形態を示す縦断面図

【図２】蓄熱装置の他の実施形態を示す縦断面図

【符号の説明】

１：容器２：加熱源３：熱交換媒体の流路（蛇管）４：蓄熱材７：蛇腹

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】加熱源が内装された容器と、当該容器に
充填された蓄熱材とから成る蓄熱装置であって、蓄熱材
が、糖アルコールを主成分とする蓄熱材であり、かつ、
容器の内容積に対して１００％充填され、そして、容器
の側壁が、上下に伸縮可能な蛇腹構造を備えていること
を特徴とする蓄熱装置。
【請求項２】加熱源は貯槽内の下部に配置され、熱交
換媒体の流路が前記加熱源に対して上方に配置されてい
る請求項１に記載の蓄熱装置。