JP2011074441A - 製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 脱燐スラグや転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグのリサイクルにあたり、該製鋼スラグから燐及び鉄を安価且つ容易に回収する方法を提供する。
【解決手段】 本発明による製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグを、塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.7以上2.1以下になるように調製する調製工程と、塩基度を調製した製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を溶融状態の燐含有溶融鉄として製鋼スラグから還元する還元工程と、還元処理後の製鋼スラグ及び燐含有溶融鉄を放冷して還元処理後の製鋼スラグを粉化させる冷却工程と、を有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶銑の予備脱燐処理によって生成される脱燐スラグなどの燐を含有する製鋼スラグから、該製鋼スラグに含有される鉄及び燐を回収する方法に関する。
鉄鉱石の成分に起因して、高炉で溶製される溶銑(「高炉溶銑」と呼ぶ)には燐(P)が含有される。燐は鋼材にとって有害成分であるので、従来から、鉄鋼製品の材料特性向上のために、製鋼過程において脱燐処理が行われている。この脱燐処理では、一般的に、溶銑中或いは溶鋼中の燐は、酸素ガスや酸化鉄によって酸化され、その後、酸化された燐がCaOを主成分とするスラグ中へと固定されることによって除去されている。溶鋼中の燐を酸素ガスによって酸化する際には鉄も酸化され、酸化鉄を添加しない場合であっても、スラグ中には鉄も酸化鉄の形態で含有される。脱燐処理や転炉での溶銑の脱炭精錬などで発生する、燐を含有する製鋼スラグ(「燐含有製鋼スラグ」と呼ぶ)は、従来、土木用材料などとして鉄鋼製造過程の系外に排出されており、燐含有製鋼スラグ中の燐及び鉄は回収されることはなかった。
近年、環境対策及び省資源の観点から、製鋼スラグのリサイクル使用を含めて、製鋼スラグの発生量を削減することが実施されている。例えば、予備脱燐処理された溶銑を用いた転炉脱炭精錬で発生したスラグ(転炉脱炭精錬において発生するスラグを「転炉スラグ」という)は、酸化鉄含有量及びCaO含有量が高い上に燐含有量が少ないことから、鉄源及び造滓剤用のCaO源として、焼結過程を経て高炉にリサイクルされることが行われている。
予備脱燐処理が施された溶銑(「脱燐溶銑」ともいう)、特に鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理された脱燐溶銑を用いた転炉脱炭精錬で発生する転炉スラグは、燐をほとんど含有せず、高炉ヘリサイクルすることによる溶銑中燐濃度の増加は危惧する必要はない。しかしながら、予備脱燐処理時に発生するスラグや、予備脱燐処理されていない溶銑(「通常溶銑」ともいう)或いは予備脱燐処理されていても燐濃度が鉄鋼製品の燐濃度レベルまで低下していない脱燐溶銑を用いた転炉脱炭精錬で発生する転炉スラグのように、燐を含有するスラグを高炉ヘリサイクルした場合には、酸化物として高炉にリサイクルされた燐が、高炉内で還元されて溶銑の燐含有量を増加させ、その結果、溶銑からの脱燐の負荷が増加するという悪循環に陥る。そこで、燐を含有する製鋼スラグのリサイクルについては、燐のピックアップを防止するべく、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、クロム鉱石の溶融還元製錬工程と、該溶融還元製錬によって溶製された含クロム溶銑の転炉脱炭精錬工程との組み合せによってステンレス溶鋼を溶製する際に、前記含クロム溶銑の脱燐処理により発生した脱燐スラグに炭材を加えて加熱し、脱燐スラグに気化脱燐処理を施し、気化脱燐処理後の脱燐スラグを前記溶融還元製錬工程にリサイクルする技術が開示されている。
また、特許文献2には、溶融状態の高炉スラグと、溶融状態の転炉スラグとを混合し、この混合スラグ中に、炭素、珪素、マグネシウムの1種以上を添加すると同時に、酸素ガスを吹き込んで、混合スラグ中の燐酸化物を還元して燐蒸気とし、且つ、混合スラグ中の硫黄(S)をSO2とし、これらを揮発させて燐及び硫黄の少ないスラグとなし、このスラグを高炉または転炉にリサイクルする技術が開示されている。
更に、特許文献3には、アルカリ金属炭酸塩を主成分とする造滓剤を用いた、溶銑または溶鋼の脱燐処理で生成する脱燐スラグを、水及び炭酸ガスで処理してアルカリ金属リン酸塩を含む抽出液を得て、該抽出液にカルシウム化合物を添加して、燐を燐酸カルシウムとして析出させて分離回収する技術が開示されている。
特開2004−143492号公報 特開昭55−97408号公報 特開昭56−22613号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、脱燐スラグは、燐が気化脱燐により除去されてリサイクル可能となるが、気化脱燐した燐は回収されておらず、燐資源の確保という観点からは効果的なリサイクル方法とはいえない。
特許文献2では、燐含有スラグである転炉スラグに、転炉スラグとほぼ同量の高炉スラグを混合させているが、近年、高炉スラグは、単なる産業副産物ではなく、CO2削減などの観点から利用価値の高い土木・建築資材として位置づけられており、このような高炉スラグを転炉スラグの希釈用として使用することは経済的に不利である。
また、特許文献3は湿式処理であり、湿式処理の場合、処理に必要な薬品が高価であるのみならず、大掛かりな処理設備が必要であり、設備費及び運転費ともに高価となる。
このような事情に鑑み、本発明者らは、脱燐スラグや転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグのリサイクルにあたり、該製鋼スラグから燐及び鉄を安価に回収するとともに、回収した燐及び鉄をそれぞれ資源として有効活用することのできる、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収について研究を進めてきた。そして、特願2008−331686として、「製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグを、還元剤を用いて還元処理し、製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を溶融状態の燐含有溶融鉄として製鋼スラグから還元・回収する第1の工程と、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグを、鉄鉱石の焼結過程におけるCaO源として使用し、製造された焼結鉱を高炉にリサイクルする第2の工程と、前記還元処理により回収した燐含有溶融鉄を、フッ素を含有しないCaO系フラックスを用いて、燐含有溶融鉄中の燐濃度が0.1質量%以下となるまで脱燐処理し、CaO系フラックス中に燐を濃縮させる第3の工程と、前記脱燐処理が施された、燐濃度が0.1質量%以下の燐含有溶融鉄を、鉄源として高炉から出銑された溶銑に混合する第4の工程と、を有する、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法」を出願した。
上記発明は、資源の有効利用及び精錬負荷の軽減の観点から、極めて有効な手法である。但し、還元処理によって鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有溶融鉄とした際に、冷却後、スラグと燐含有鉄とが密着し、両者を分離しがたいケースが発生することがあった。このような場合には、両者を剥離させるために破砕処理などが必要になり、追加的なエネルギーを要した。
この結果を踏まえ、本発明者らは、エネルギーを含めた更なる資源効率の改善の余地があるとの考えに至り、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収について更なる検討を加えた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、脱燐スラグや転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグのリサイクルにあたり、該製鋼スラグから燐及び鉄を安価且つ容易に分別し回収する方法を提供するとともに、回収した燐及び鉄をそれぞれ資源として有効活用することのできる、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法を提供することである。
本発明者らは、還元処理後の燐含有鉄とスラグとの分別・回収効率を抜本的に改善する方法について検討した。その結果、還元処理を施す製鋼スラグの特性、具体的には製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を或る特定範囲に制御することによって、分別・回収が大幅に改善されることを見出した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、第1の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグを、塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.7以上2.1以下になるように調製する調製工程と、塩基度を調製した製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を溶融状態の燐含有溶融鉄として製鋼スラグから還元する還元工程と、還元処理後の製鋼スラグ及び燐含有溶融鉄を放冷して還元処理後の製鋼スラグを粉化させる冷却工程と、を有することを特徴とする。
第2の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第1の発明において、前記製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグが、転炉での溶銑の脱炭精練処理において発生したスラグ及び/または溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグを含有することを特徴とする。
第3の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第1の発明において、前記製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグとして、転炉での溶銑の脱炭精練処理において発生したスラグと溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグの2種のみを使用し、前記塩基度の調製工程ではこの2種のスラグの混合比の調整により塩基度を調製することを特徴とする。
第4の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記冷却工程後、更に、磁力選別して燐含有溶融鉄と粉化させた製鋼スラグとを分別・回収する分別・回収工程を有することを特徴とする。
第5の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第1ないし第3の発明の何れかにおいて、前記冷却工程後、更に、目開き寸法が5mm以上15mm以下の範囲の篩で篩い分けして燐含有溶融鉄と粉化させた製鋼スラグとを分別・回収する分別・回収工程を有することを特徴とする。
第6の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第4または第5の発明において、前記分別・回収工程後、更に、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグを、製鉄過程へCaO源としてリサイクルする工程と、前記還元処理により回収した燐含有溶融鉄を、フッ素を含有しないCaO系フラックスを用いて燐含有溶融鉄中の燐濃度が0.1質量%以下となるまで脱燐処理し、CaO系フラックス中に燐を濃縮させる工程と、前記脱燐処理が施された、燐濃度が0.1質量%以下の燐含有溶融鉄を、鉄源として高炉から出銑された溶銑に混合する工程と、を有することを特徴とする。
第7の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第6の発明において、前記鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグを、鉄鉱石の焼結過程または高炉での溶銑製造過程にCaO源としてリサイクルすることを特徴とする。
第8の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第6または第7の発明において、燐が濃縮されたCaO系フラックスを、燐酸資源原料として回収することを特徴とする。
第9の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第1ないし第8の発明の何れかにおいて、前記燐含有溶融鉄が、炭素を3質量%以上含有する溶銑であることを特徴とする。
第10の発明に係る製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法は、第1ないし第9の発明の何れかにおいて、前記還元処理を、高炉から出銑された溶銑の存在下で行うことを特徴とする。
本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理により発生する脱燐スラグや、通常溶銑或いは脱燐が十分でない脱燐溶銑を使用した転炉脱炭精錬により発生する転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグから、当該製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有溶融鉄として還元して分離し、冷却後に燐含有鉄として回収するにあたり、還元処理時の製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を1.7以上2.1以下に調製するので、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された後の製鋼スラグの主成分は2CaO−SiO2となり、これが放冷時に低温域に至ったときに相変態を起こし、この相変態によって粉状に崩壊する。その結果、粉状のスラグと塊状の燐含有鉄とを容易に分離できるようになり、還元後のスラグと燐含有鉄との混合物に対して破砕処理などの特段の処理を施さなくても分別・回収が可能となり、製鋼スラグに含有される鉄及び燐をそれぞれ資源として低エネルギーコストで有効活用することが実現される。
製鋼スラグの塩基度と、冷却後の製鋼スラグ中の粒径1mm未満の粒子の占める質量比率との関係を示す図である。 粉化後の製鋼スラグの粒度分布の例を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者らは、溶銑の予備脱燐処理時に発生する脱燐スラグや、通常溶銑或いは予備脱燐処理されていても予備脱燐処理後の燐濃度が鉄鋼製品の燐濃度レベルに比較して高い脱燐溶銑を使用した転炉脱炭精錬時に発生する転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグ(燐含有製鋼スラグ)を、造滓剤用のCaO源として鉄鉱石の焼結過程や高炉での溶銑製造過程でリサイクル使用するにあたり、この燐含有製鋼スラグに含有される燐の溶銑への影響を解消することを検討した。
予め鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理された溶銑の脱炭精錬時に発生する転炉スラグは、溶銑の燐濃度のピックアップを来すことなく、鉄鉱石の焼結過程を経て高炉に造滓剤としてリサイクル使用されている。従って、燐含有製鋼スラグから燐を除去すれば、高炉へのリサイクル使用は可能になる。そこで、燐含有製鋼スラグからの燐の除去を検討した。
燐含有製鋼スラグには、燐はP25なる酸化物で含有されており、また、一般的に製鋼スラグはCaO及びSiO2を主成分としており、燐は、カルシウム(Ca)及び珪素(Si)に比較して酸素との親和力が弱いことから、燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどで還元すれば、燐含有製鋼スラグ中のP25は容易に還元されることが分かった。この場合、燐含有製鋼スラグには、鉄がFeOやFe23の形態(以下、まとめて「FeOX」と記す)の酸化物で含有されており、これらの鉄酸化物は酸素との親和力が燐と同等であるので、燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムなどで還元すると、製鋼スラグ中のFeOXが同時に還元されることが分かった。
また、燐は鉄中への溶解度が高く、還元により生成した燐は、還元により生成した鉄に迅速に溶解することが分かった。ここで、本発明では、燐を燐含有製鋼スラグから除去し、燐含有量の低い製鋼スラグに改質することを目的としており、還元により生成した燐を製鋼スラグと迅速に分離するためには、還元により生成した鉄が溶融状態になるように、高温下で還元することが望ましいことが分かった。つまり、還元により生成した鉄が溶融状態であれば、溶融鉄とスラグとは分離し、また、この溶融鉄に生成した燐が溶解することで(生成される溶融鉄を「燐含有溶融鉄」と呼ぶ)、燐の製鋼スラグからの分離も迅速化することが分かった。
この場合、生成される燐含有溶融鉄の融点が低いほど、燐含有溶融鉄とスラグとの分離が促進されることから、生成される燐含有溶融鉄に炭素を溶解させ、燐含有溶融鉄として燐を含有する溶銑を生成させることが好ましいことも分かった。具体的には、炭素濃度が3質量%以上になると、溶銑の液相線温度が1300℃以下になることから、生成される燐含有溶融鉄の炭素濃度を3質量%以上確保することが好ましいことが分かった。生成される燐含有溶融鉄に炭素を溶解させるには、炭素を還元剤として使用する、または、珪素やアルミニウムなどを還元剤とする場合には、炭素を製鋼スラグと共存させることにより、生成する溶融鉄は浸炭して自ずと溶銑(この溶銑を「高炉溶銑」と区別するために「高燐溶銑」と呼ぶ)になる。
また、還元処理の際、高炉溶銑を同時に装入することも可能である。製鋼系スラグ中の地金は炭素含有量が低い場合もあり、比較的融点が高くなるが、溶銑を同時に入れることによって、比較的低温でも溶融状態を維持できるため、反応槽内で流動することが可能となり、融点が高い粒鉄が存在した場合でも、高炉溶銑に付着・合体することによって、効率的に溶融鉄として分離することが可能となる。つまり、高炉溶銑を準備できる条件であるならば、高炉溶銑を装入して燐含有製鋼スラグの還元処理を行うことが好ましいことが分かった。
還元反応を有効に推進させると、燐含有製鋼スラグは、還元処理前の組成に対して鉄酸化物と燐酸化物とが除去された状態の複合酸化物(還元処理後の製鋼スラグ)と、多量の燐を含有した燐含有溶融鉄とに分かれる。還元した鉄及び燐を分離回収するためには、還元処理後の製鋼スラグから燐含有溶融鉄を分離することが必要となる。
燐含有溶融鉄が大量に生成される場合には、両者の分離は比較的容易であるが、燐含有製鋼スラグを還元した場合には、残渣として残るスラグ量に対して燐含有溶融鉄の生成量は多くなく、燐含有溶融鉄のみを出湯して両者を分離することは困難であり、還元処理後の高温の溶融状態の両者をスラグポットやスラグヤードに排出して冷却した場合、通常、燐含有鉄と還元処理後の製鋼スラグとが混在する場合が多く、このような場合には両者を剥離するために破砕処理などの工程が必要となる。実際、転炉スラグは冷却された後に破砕され、その後磁選されて転炉スラグに混入する地金が回収されている。
本発明者らは、工程を簡素化するべく、破砕処理などの両者を分離するための工程を省略することを検討した。様々な還元条件やスラグ組成について検討を進めていく中で、或る条件になると、還元処理後の冷却時、還元処理後の製鋼スラグが、高温状態から冷却し始めた直後は塊状であるのに対し、冷却の進行に伴って粉状に崩壊し、燐含有鉄と還元処理後の製鋼スラグとを容易に分離できる場合があることを見出した。
図1に、還元処理後の製鋼スラグを大気中で常温まで放冷したときの、製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)と、冷却後の製鋼スラグ中の1mm未満の粒子の質量比率との関係を示す。尚、製鋼スラグ中の1mm未満の粒子は、冷却後の製鋼スラグ全量を目開き寸法が1.0mmの篩で分別したものであり、また、製鋼スラグの塩基度は、2種以上の製鋼スラグや製鋼スラグと珪砂などとを混合した場合には、それぞれの塩基度と混合比率とを乗算した値を総和して求めた全体の平均値である。
図1に示すように、塩基度が1.6以下では、還元処理後の製鋼スラグの大部分は塊状であり、未破砕の状態では1mm未満の粒子はほとんど発生しない。また、塩基度が2.5を越えると、わずかに1mm未満の粒子が発生するが、大半は塊状である。これに対して、塩基度が1.7以上2.1以下の範囲では、80質量%を越える部分が1mm未満の粒子で占められることが分かった。このときの製鋼スラグの成分分析例を表1に示す。
Figure 2011074441
還元処理後の1mm未満のスラグは、鉄及び燐をほとんど含有しておらず、ほとんどが還元処理された製鋼スラグであることが分かった。即ち、還元処理対象の燐含有製鋼スラグの塩基度を1.7以上2.1以下に調製することによって、還元処理後の製鋼スラグの主成分は2CaO−SiO2となり、これが大気中での放冷時に低温域に至ったときに相変態を起こし、この相変態によって崩壊して粉化し、還元処理後の製鋼スラグと燐含有鉄との混在物に粉砕処理などを施すことなく、還元処理後の製鋼スラグと燐含有鉄とを分離できることを見出した。
本発明は、上記試験結果に基づいてなされたものであり、燐含有製鋼スラグから鉄及び燐を回収するにあたり、燐含有製鋼スラグを、塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.7以上2.1以下になるように調製する調製工程と、塩基度を調製した燐含有製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して燐含有製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を溶融状態の燐含有溶融鉄として燐含有製鋼スラグから還元する還元工程と、還元処理後の製鋼スラグ及び燐含有溶融鉄を放冷して還元処理後の製鋼スラグを粉化させる冷却工程と、を有することを特徴とする。特に、還元処理後の製鋼スラグ及び燐含有溶融鉄の放冷は、還元処理容器から取り出し大気中で放冷することが好ましい。
還元処理前の燐含有製鋼スラグの塩基度を1.7以上2.1以下となるように調製する方法は特に限定される理由はなく、例えば、転炉での溶銑の脱炭精練処理において発生したスラグ及び/または溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグを含有させればよい。具体的には、塩基度が1.7よりも低い燐含有製鋼スラグに対してはCaO含有量の多い原材料を添加・混合すればよく、逆に、塩基度が2.1よりも高い燐含有製鋼スラグに対しては、SiO2含有量の多い原材料を添加・混合すればよい。この場合、溶融して均一化してもよいが、必ずしも均一化は必要ではなく、固体状態のまま混合した状態であればよい。
但し、鉄及び燐を効率的に回収するためには、用いる原材料中に鉄酸化物及び燐酸化物が含まれていること、また、顕熱を保有している原材料ほど効率的に溶解・還元反応を実施できることから、転炉での溶銑の脱炭精練処理において発生したスラグと溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグの2種のみを使用し、前記塩基度の調製工程ではこの2種のスラグの混合比の調整により塩基度を調製することが好ましい。つまり、塩基度が2.1よりも高い燐含有製鋼スラグとして、製鋼過程における転炉での脱炭精錬処理において発生する、燐を含有する転炉スラグを使用し、塩基度が1.7よりも低い燐含有製鋼スラグとして、製鋼過程における溶銑予備脱燐処理において発生する脱燐スラグを使用し、他の原材料を使用せずに、これらの混合比の調整により塩基度を調製することが好ましい。勿論、前記転炉スラグ或いは前記脱燐スラグが、単独でもその塩基度が1.7以上2.1以下である場合には、混合する必要はなく単独で使用しても構わない。
また、本発明においては、鉄及び燐、並びに、還元処理後の製鋼スラグをCaO源として回収するために、冷却工程後、燐含有鉄と粉化した製鋼スラグとを分別・回収する。この分別・回収方法としては、磁力選別を用いることが好ましい。塊状で両者の分離が進んでいない場合には、磁力選別を実施してもスラグを同時に引き付けてしまい、燐含有鉄の品位が低下してしまうが、還元処理後のスラグ部分を粉化させたことによって、磁着物(燐含有鉄)と非磁着物(還元後の製鋼スラグ)とを容易且つ確実に分別・回収できるようになる。
この場合、磁力選別に代わって、篩による篩い分け方法も適用することができる。還元処理の条件に応じて燐含有鉄の大きさは変化するが15mm超えであり、一方、粉化する製鋼スラグの粒度分布は変化せず粒径は極めて細かい。粉化後の製鋼スラグの粒度分布は、その例を図2に示すように、平均粒径が20μmを下回っており、最大粒径も200μm程度である。従って、最大粒径を上回る目開き寸法の篩であれば、分別・回収することが可能である。但し、目開き寸法が、最大粒径を若干上回る程度の小さい場合には、篩い分け速度が遅く効率的な処理ができず、また、目詰まりなども起こり易くなることから、目開き寸法が5mm以上15mm以下の範囲の篩を使用することが好ましい。
分別・回収した、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグは、CaO分が高濃度で含まれており、CaO源の代替材としての利用が可能となる。特に、粉体であり、燐をほとんど含有していないことから、鉄鉱石の焼結過程で用いられるCaO源として用いることは、材料の輸送なども考慮したトータルエネルギーの観点からも望ましい。製造された焼結鉱は高炉に装入されることから、製鋼スラグが高炉での溶銑製造過程にリサイクルされることになるが、リサイクルされる製鋼スラグは燐が除去されているので、高炉で製造される溶銑は燐濃度のピックアップがなく、製鋼過程での脱燐精錬の負荷を高めることはない。
一方、回収した燐含有鉄は燐濃度が高く、そのままでは鉄源として使用困難であり、そこで、本発明では、更に燐含有鉄を鉄部分と燐部分とに分離する。鉄部分と燐部分とに分離することにより、両者の有用活用が可能となる。
例えば、炭素を含有させた燐含有鉄(=高燐溶銑)の化学成分は、炭素:4.3質量%、珪素:0.01質量%、マンガン:2.2質量%、燐:3.0質量%、硫黄:0.05質量%であり、このように燐含有鉄は燐濃度が極めて高いことから、この燐含有鉄に対して脱燐処理を実施することによって、燐濃度が高いスラグと燐濃度の低い鉄とに分離することが可能となる。
燐含有鉄の脱燐処理方法は、高炉溶銑の予備脱燐処理で一般的に行われている方法に準じて行うことができる。つまり、回収した燐含有鉄をアーク炉や誘導炉などで加熱・溶解し、好ましくは加炭して炭素濃度を高め、この燐含有溶融鉄に、酸素ガスまたは鉄鉱石などの酸素源を脱燐剤として吹き付けるまたはインジェクションして供給するとともに、CaO系フラックスを添加し、燐含有溶融鉄中の燐を供給する酸素源中の酸素により酸化してP25とし、このP25をCaO系フラックスに吸収させて固定し、脱燐するという方法である。
脱燐処理後の溶融鉄は、高炉溶銑に混合して鉄源としてリサイクル使用するので、燐濃度が高炉溶銑と同等の0.1質量%以下になるまで脱燐処理することが好ましい。逆に、溶融鉄中の燐濃度を0.1質量%以下になるまで脱燐処理することで、CaO系フラックス中に燐酸化物が高濃度に濃縮される。
燐酸化物が高濃度に濃縮されたCaO系フラックスは、日本に資源がほとんどない燐鉱石の代替として、つまり燐酸資源原料として用いることができる。
尚、脱燐処理に用いるCaO系フラックスは、ホタル石などのフッ素源を5質量%程度添加することにより、CaOの滓化が促進されて脱燐反応が促進されることが知られているが、本発明においては、脱燐処理後のCaO系フラックス(脱燐スラグ)を、例えば燐肥料として使用することも想定され、この場合には、燐肥料(脱燐スラグ)からフッ素が土壌に溶出し、土壌環境基準に対してフッ素溶出値が問題となる恐れがあるため、本発明においてはフッ素を含有しないCaO系フラックスを用いて脱燐処理を実施することが好ましい。
このような構成の本発明によれば、溶銑の予備脱燐処理により発生する脱燐スラグや、通常溶銑或いは脱燐が十分でない脱燐溶銑を使用した転炉脱炭精錬により発生する転炉スラグなどの燐を含有する製鋼スラグから、当該製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を燐含有溶融鉄として還元して分離し、冷却後に燐含有鉄として回収するにあたり、還元処理時の製鋼スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を1.7以上2.1以下に調製するので、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された後の製鋼スラグの主成分は2CaO−SiO2となり、これが大気中での放冷時に低温域に至ったときに相変態を起こし、この相変態によって粉状に崩壊し、その結果、粉状のスラグと塊状の燐含有鉄とを容易に分別・回収できるようになり、還元処理後の製鋼スラグと燐含有鉄との混合物に対して破砕処理などの特段の処理を施さなくても分離が可能となり、製鋼スラグに含有される鉄及び燐をそれぞれ資源として低エネルギーコストで有効活用することが実現される。
尚、予め鉄鋼製品の燐濃度レベルまで予備脱燐処理が施された溶銑の脱炭精錬時に発生する転炉スラグも、燐の含有量はゼロでなく燐を含有する。従って、この転炉スラグにも本発明を適用することは可能であるが、当該スラグは燐の含有量が低く、そのまま高炉などにリサイクルしても、燐の影響は無視することができ、本発明を適用することにより却ってコスト上昇を招く。従って、本発明で対象とする、燐を含有する製鋼スラグとは、その製鋼スラグを高炉などにリサイクルすると溶銑または溶鋼の燐濃度が上昇し、通常の操業に対してコスト上昇を発生させる濃度以上の燐を含有する製鋼スラグである。
高炉から出銑された高炉溶銑をトーピードカーで受銑し、トーピードカーに収容された高炉溶銑に脱珪処理及び予備脱燐処理を施し、その後、高炉溶銑を溶銑鍋に移し替え、溶銑鍋内の高炉溶銑に機械攪拌式脱硫装置により脱硫処理を施し、この脱硫処理終了後の高炉溶銑を転炉に装入して転炉にて脱炭精錬を実施して、高炉溶銑から溶鋼を溶製する製鋼過程において、本発明を適用した。
鉄及び燐の回収対象となる燐含有製鋼スラグとしては、通常溶銑或いは脱燐が十分でない脱燐溶銑を使用した転炉脱炭精錬により発生する転炉スラグを選択し、この転炉スラグの塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)を、溶銑の予備脱燐処理により発生する脱燐スラグ及び珪砂、フライアッシュを用いて調製した。使用した原材料の主成分の組成を表2に示す。
Figure 2011074441
100トンの転炉スラグに対し、塩基度が目標塩基度になるように脱燐スラグ、珪砂、フライアッシュを添加して混合物とし、還元剤としてのコークスとともにアーク炉に装入し、アークを発生させて装入した原材料を加熱・溶融して還元処理を実施した。30分間の還元処理後、装入した全量を炉から排出し、冷却ヤードに放流して大気中で放冷した。常温まで冷却後、ショベルカーで回収し、回収した、燐含有鉄混じりのスラグを磁力選別してスラグと燐含有鉄とに分別・回収した。
回収したスラグの塩基度及び破砕処理なしでのメタル分離率を表3に示す。ここでメタル分離率とは、還元処理前の使用原料中のT.Fe値から還元により生成される鉄分を計算で求め、計算で求められた鉄分の質量に対する、磁力選別で回収された燐含有鉄の質量の比率である。比率が高いほど、還元後のスラグが粉化して燐含有鉄が回収されることを意味している。尚、T.Feとは、転炉スラグなどの使用原料中の全ての鉄酸化物の鉄分の合計値である。
Figure 2011074441
試験No.5のように、一般的な転炉スラグの組成では、ほとんど粉状にならず、破砕処理無しでは燐含有鉄のスラグからの分離はできなかった。また、試験No.1のように、脱燐スラグの組成のままでは、破砕処理無しでは燐含有鉄の回収率は40質量%程度でしかなかった。これに対して、塩基度を調製した試験No.2,3、6,7の本発明例では、燐含有鉄の回収率は67〜87質量%であり、破砕処理無しでも、燐含有鉄の大部分が回収できた。
試験No.1,4,5では、還元後の製鋼スラグを破砕するなどして燐含有鉄とスラグ分とを剥離する必要があるので、この段階で試験を中断した。
一方、試験No.2,3、6,7の本発明例では、回収した還元処理後の粉化スラグは、鉄鉱石の焼結過程における造滓剤用のCaO源として使用し、製造した焼結鉱は、鉄源として高炉に装入し、高炉溶銑を製造した。製造された高炉溶銑の燐濃度は0.1質量%程度で、全く問題はなかった。尚、通常の製鋼過程において発生する転炉スラグをそのまま焼結過程のCaO源としてリサイクルした場合には、高炉から出銑される溶銑の燐濃度が高くなり、溶銑の予備脱燐処理における脱燐剤(酸素源及びCaO系フラックス)の原単位及び発生する脱燐スラグ量が約1.5倍になり、生産性は約20%低下することから、本発明を適用することで生産性が極めて良好となることが確認できた。
また、試験No.2,3、6,7の本発明例で回収された燐含有鉄の代表的な成分は、炭素:4.5質量%、珪素:0.01質量%、マンガン:2.5質量%、燐:3.0質量%、硫黄:0.05質量%であり、炭素濃度が高く溶銑(高燐溶銑)の状態で回収されることが分かった。
この高燐溶銑をアーク炉で加熱・溶解し、溶解した高燐溶銑を取鍋に出湯し、取鍋内の高燐溶銑に対して、高炉溶銑に対して予備脱燐処理を実施する脱燐処理設備を用い、酸素ガス及び鉄鉱石を酸素源とし、P25吸収用のCaO系フラックスとしてフッ素を含有しないCaO系フラックスを使用して脱燐処理を実施した。この脱燐処理により、高燐溶銑の燐濃度は0.1質量%まで減少した。
この脱燐処理により得られた、CaO系フラックスを起源とする脱燐スラグは、CaO:62質量%、SiO2:2.2質量%、P:28質量%、FeOX:2.8質量%、MgO:4質量%、MnO:0.8質量%であり、肥料の公定分析法によって評価した結果、ク溶性燐酸が20質量%以上と極めて良好な肥料原料特性であることが確認できた。
脱燐処理により得られた溶銑は高炉溶銑に混合し、混合した溶銑に予備脱燐処理及び脱硫処理を施した後、転炉に装入して脱炭精錬を実施した。得られた溶鋼は通常の高炉溶銑から製造した溶鋼と全く同等であり、連続鋳造機で薄鋼板用のスラブ鋳片に鋳造した。

Claims (10)

  1. 製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグを、塩基度(質量%CaO/質量%SiO2)が1.7以上2.1以下になるように調製する調製工程と、塩基度を調製した製鋼スラグを、炭素、珪素、アルミニウムのうちの1種以上を含有する還元剤を用いて還元処理して製鋼スラグ中の鉄酸化物及び燐酸化物を溶融状態の燐含有溶融鉄として製鋼スラグから還元する還元工程と、還元処理後の製鋼スラグ及び燐含有溶融鉄を放冷して還元処理後の製鋼スラグを粉化させる冷却工程と、を有することを特徴とする、製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  2. 前記製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグが、転炉での溶銑の脱炭精練処理において発生したスラグ及び/または溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグを含有することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  3. 前記製鋼精錬過程において発生した燐を含有する製鋼スラグとして、転炉での溶銑の脱炭精練処理において発生したスラグと溶銑の予備脱燐処理において発生したスラグの2種のみを使用し、前記塩基度の調製工程ではこの2種のスラグの混合比の調整により塩基度を調製することを特徴とする、請求項1に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  4. 前記冷却工程後、更に、磁力選別して燐含有溶融鉄と粉化させた製鋼スラグとを分別・回収する分別・回収工程を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  5. 前記冷却工程後、更に、目開き寸法が5mm以上15mm以下の範囲の篩で篩い分けして燐含有溶融鉄と粉化させた製鋼スラグとを分別・回収する分別・回収工程を有することを特徴とする、請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  6. 前記分別・回収工程後、更に、鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグを、製鉄過程へCaO源としてリサイクルする工程と、前記還元処理により回収した燐含有溶融鉄を、フッ素を含有しないCaO系フラックスを用いて燐含有溶融鉄中の燐濃度が0.1質量%以下となるまで脱燐処理し、CaO系フラックス中に燐を濃縮させる工程と、前記脱燐処理が施された、燐濃度が0.1質量%以下の燐含有溶融鉄を、鉄源として高炉から出銑された溶銑に混合する工程と、を有することを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  7. 前記鉄酸化物及び燐酸化物が除去された製鋼スラグを、鉄鉱石の焼結過程または高炉での溶銑製造過程にCaO源としてリサイクルすることを特徴とする、請求項6に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  8. 燐が濃縮されたCaO系フラックスを、燐酸資源原料として回収することを特徴とする、請求項6または請求項7に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  9. 前記燐含有溶融鉄が、炭素を3質量%以上含有する溶銑であることを特徴とする、請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
  10. 前記還元処理を、高炉から出銑された溶銑の存在下で行うことを特徴とする、請求項1ないし請求項9の何れか1項に記載の製鋼スラグからの鉄及び燐の回収方法。
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