JP2011074381A - 長繊維強化ポリアミド樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温条件下においても、強度・剛性に優れると共に、低吸水性にも優れ、かつ吸水時の高温条件下における強度にも優れる長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
【解決手段】(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、 (b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた、(A)ポリアミド樹脂20〜80質量%と、
重量平均繊維長が1〜15mmである(B)強化繊維20〜80質量%と、
を含む長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物及び成形体に関する。
従来から一般にガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂とチョップドストランド等の短繊維とを、押出機で混練する方法により製造されている。
しかしながら、この方法によると、押出機での混練中にガラス繊維が折損してしまい、高度な機械的特性の要求に応えるガラス繊維強化ポリアミド樹脂が得られないという問題がある。
これに対し、近年、繊維状強化材の機能を充分に引き出すために、樹脂組成物に含有されている強化繊維を長くする技術が検討されている。
例えば、長い強化繊維を用いた、いわゆるガラス長繊維強化ポリアミド樹脂は、ガラス繊維ロービングを用い、ストランドを引き取りながら、樹脂をガラス繊維ロービングに含浸させるプルトルージョン法により作製されており、この方法により作製されるガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、上記短繊維を含有するガラス繊維強化ポリアミド樹脂と比較して、機械的強度に優れている(例えば、特許文献1、2参照。)。
一方、自動車産業においては、環境に対する取り組みとして、排出ガスの低減化を図るために、金属代替による車体軽量化の要求がある。
当該要求に応えるために、自動車の外装材料や内装材料等に、ポリアミド樹脂が一段と利用されるようになっており、ポリアミド樹脂に対する耐熱性、強度、及び外観等の要求特性のレベルは一層向上している。
特に、エンジンルーム内は高温となるため、従来よりも一層、高温下における高強度・高剛性を有するポリアミド樹脂が要求されるようになっている。
例えばPA6及びPA66等のポリアミド樹脂を用いた長繊維強化ポリアミド樹脂が提案されているが、融点が低く、耐熱性の点で十分な特性が実現できていない。
PA6及びPA66等の従来のポリアミド樹脂に関する前記問題点を解決するために、高融点ポリアミド樹脂を用いたガラス長繊維強化ポリアミド樹脂が提案されている。
具体的には、テレフタル酸単位を含有するジカルボン酸単位と、1,9−ノナンジアミン単位及び/又は2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位を含有するジアミン単位とからなる半芳香族ポリアミド樹脂を用いた長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開昭46−4545号公報(対応米国特許3,742,106号) 特開2006−16463号公報 特開2006−274061号公報
しかしながら、上述した長繊維強化半芳香族ポリアミド樹脂組成物は、高温下における強度・剛性に関しては、PA6及びPA66等の長繊維強化ポリアミド樹脂と比較して優れているが、未だ不十分である。
また、半芳香族ポリアミド樹脂自体の溶融粘度が低せん断速度下で著しく高く、繊維を高濃度で配合した組成物を得られにくいため、高温下においても高強度・高剛性を確実に発揮できる組成物は、未だ得られていないという問題を有している。
本発明が解決しようとする課題は、高温条件下においても、強度・剛性に優れると共に、低吸水性にも優れ、かつ吸水時の高温条件下における強度にも優れる長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、脂環族ジカルボン酸と、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンと、を主たる構成成分として重合させたポリアミド樹脂に、特定サイズの強化繊維を配合した、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物が前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、
(b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた、(A)ポリアミド樹脂20〜80質量%と、
重量平均繊維長が1〜15mmである(B)強化繊維20〜80質量%と、
を含む長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔2〕
前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである前記〔1〕に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔3〕
前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である前記〔1〕又は〔2〕に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔4〕
前記(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を、さらに含有する前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔5〕
前記(A)ポリアミド樹脂の融点が270〜350℃である前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔6〕
前記(A)ポリアミド中、前記脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率が50〜85モル%である、前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔7〕
前記(B)強化繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、金属繊維からなる群より選ばれる1種以上ある、前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
〔8〕
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形体であって、前記(B)強化繊維が、重量平均繊維長1mm〜10mmで分散している成形体。
本発明によれば、高温条件下においても、強度・剛性に優れると共に、低吸水性にも優れ、かつ吸水時の高温条件下における強度にも優れる、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。
本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔長繊維強化ポリアミド樹脂組成物〕
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、後述する(A)ポリアミド樹脂に後述する(B)強化繊維を配合したものである。
[(A)ポリアミド樹脂]
本実施形態において用いられるポリアミド樹脂は、下記(a)ジカルボン酸及び(b)ジアミンを重合させたポリアミド樹脂である。
(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸。
(b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミン。
なお、ポリアミド樹脂とは主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味する。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物中の(A)ポリアミド樹脂の含有量は、強度、剛性、及び成形性の観点で20〜80質量%であり、好ましくは25〜75質量%であり、更に好ましくは30〜70質量%である。
(a)ジカルボン酸
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を構成する(A)ポリアミド樹脂を重合するために用いられる(a)ジカルボン酸は、少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含む。
(a)ジカルボン酸として、脂環族ジカルボン酸を少なくとも50モル%含むものを使用することにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び強度等を同時に満足する、ポリアミド樹脂を得ることができる。
(a−1)脂環族ジカルボン酸(脂環式ジカルボン酸とも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、及び1,3−シクロペンタンジカルボン酸等の、脂環構造の炭素数が3〜10である、好ましくは炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換であってもよく、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、耐熱性、流動性、及び強度等の観点で、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸であることが好ましい。
脂環族ジカルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。
原料モノマーとしての脂環族ジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとして、トランス体/シス体比がモル比にして、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。
脂環族ジカルボン酸のトランス体/シス体比(モル比)は、液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光法(NMR)により求めることができる。
(A)ポリアミド樹脂を重合するために用いる(a)ジカルボン酸のうちの、前記(a−1)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸(以下、(a−2)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸と言うこともある。)としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、及びジグリコール酸等の炭素数3〜20の直鎖又は分岐状飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、及び5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
種々の置換基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、並びにスルホン酸基及びナトリウム塩等のその塩である基等が挙げられる。
(a−2)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を共重合させる場合には、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び強度等の観点で、好ましくは脂肪族ジカルボン酸であり、より好ましくは、炭素数が6以上である脂肪族ジカルボン酸である。
中でも、耐熱性及び低吸水性等の観点で、炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸が好ましい。
炭素数が10以上である脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及びエイコサン二酸等が挙げられる。
特に、耐熱性等の観点で、セバシン酸及びドデカン二酸が好ましい。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸としては、本実施形態の目的を損なわない範囲で、トリメリット酸、トリメシン酸、及びピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸をさらに含んでもよい。
多価カルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸中の(a−1)脂環族ジカルボン酸の割合(モル%)は、少なくとも50モル%である。脂環族ジカルボン酸の割合は、50〜100モル%であり、60〜100モル%であることが好ましい。(a−1)脂環族ジカルボン酸の割合が、少なくとも50モル%であることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び強度等を同時に満足するポリアミド樹脂とすることができる。
(a)ジカルボン酸中の(a−2)脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸の割合は、0〜50モル%であり、0〜40モル%であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸成分として、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を含む場合には、 (a−1)脂環族ジカルボン酸が50.0〜99.9モル%及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸0.1〜50.0モル%であることが好ましく、(a−1)脂環族ジカルボン酸が60.0〜90.0モル%及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸10.0〜40.0モル%であることがより好ましく、(a−1)脂環族ジカルボン酸が70.0〜85.0モル%及び(a−2)炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸15.0〜30.0モル%であることがさらに好ましい。
本実施形態において、(a)ジカルボン酸としては、上記ジカルボン酸として記載の化合物に限定されるものではなく、上記ジカルボン酸と等価な化合物であってもよい。
ジカルボン酸と等価な化合物としては、上記ジカルボン酸に由来するジカルボン酸構造と同様のジカルボン酸構造となり得る化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、ジカルボン酸の無水物及びハロゲン化物等が挙げられる。
(b)ジアミン
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物を構成する(A)ポリアミド樹脂を重合するために用いられる(b)ジアミンは、少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含む。
(b)ジアミンとして、(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを少なくとも50モル%含むものを用いることにより、流動性、靭性、及び強度等を同時に満足する、ポリアミド樹脂を得ることができる。
主鎖から分岐した置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、及びtert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、例えば、2−メチルペンタメチレンジアミン(2−メチル−1,5−ジアミノペンタンとも記される。)、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、及び2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン等の炭素数3〜20の分岐状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンとしては、強度等の観点で、2−メチルペンタメチレンジアミンであることが好ましい。
主鎖から分岐した置換基を持つジアミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)ポリアミド樹脂を重合するために用いる(b)ジアミンのうちの、(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、及び芳香族ジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、及びトリデカメチレンジアミン等の炭素数2〜20の直鎖飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。
脂環族ジアミン(脂環式ジアミンとも記される。)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、及び1,3−シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、例えば、メタキシリレンジアミン等が挙げられる。
(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンとしては、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び強度等の観点で、好ましくは脂肪族ジアミン及び脂環族ジアミンであり、より好ましくは炭素数4〜13の直鎖飽和脂肪族ジアミンであり、さらに好ましくは炭素数6〜10の直鎖飽和脂肪族ジアミンであり、さらにより好ましくはヘキサメチレンジアミンである。
(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミンとしては、本実施形態の目的を損なわない範囲で、ビスヘキサメチレントリアミン等の3価以上の多価脂肪族アミンをさらに含んでもよい。
多価脂肪族アミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)ジアミン中の(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合は、少なくとも50モル%である。主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合は、50〜100モル%であり、60〜100モル%であることが好ましい。主鎖から分岐した置換基を持つジアミンの割合が、少なくとも50モル%であることにより、流動性、靭性、及び強度等に優れるポリアミド樹脂とすることができる。
(b)ジアミン中の(b−2)主鎖から分岐した置換基を持つジアミン以外のジアミンの割合は、0〜50モル%であり、0〜40モル%であることが好ましい。
(a)ジカルボン酸の添加量は、(b)ジアミンの添加量と同モル量付近であることが好ましい。重合反応中の(b)ジアミンの反応系外への逃散分も考慮して、(a)ジカルボン酸全体のモル量1.00に対して、(b)ジアミン全体のモル量は、好ましくは0.90〜1.20であり、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
((c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)
(A)ポリアミド樹脂は、靭性の観点で、(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸をさらに共重合させることが好ましい。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸とは、重縮合可能なラクタム及び/又はアミノカルボン酸を意味する。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸としては、好ましくは炭素数4〜14のラクタム及び/又はアミノカルボン酸であり、より好ましくは炭素数6〜12のラクタム及び/又はアミノカルボン酸である。
前記ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)等が挙げられる。
特に、靭性の観点で、ε−カプロラクタムやラウロラクタム等が好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
前記アミノカルボン酸としては、例えば、前記ラクタムが開環した化合物であるω−アミノカルボン酸やα,ω−アミノ酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、及び12−アミノドデカン酸等が挙げられる。その他、アミノカルボン酸として、パラアミノメチル安息香酸等も挙げられる。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸の添加量は、(a)、(b)及び(c)の各モノマー全体のモル量に対して、0〜20モル%であることが好ましい。
上述した(a)ジカルボン酸と(b)ジアミン、さらに必要に応じて(c)ラクタム及び/又はアミノカルボン酸から(A)ポリアミド樹脂を重合する際には、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、及びモノアルコール類等が挙げられ、ポリアミド樹脂の熱安定性の観点で、モノカルボン酸及びモノアミンが好ましい。
末端封止剤としては、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、及びイソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環族モノカルボン酸;並びに安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、及びフェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;等が挙げられる。
末端封止剤としてのモノカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環族モノアミン;並びにアニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン;等が挙げられる。
末端封止剤としてのモノアミンは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)ジカルボン酸及び(b)ジアミンの組み合わせは、下記に限定されるものではなく、少なくとも50モル%以上の(a−1)脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸及び少なくとも50モル%以上の(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミンを含むジアミンの組み合わせが好ましく、少なくとも50モル%以上の(a−1)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むジカルボン酸及び少なくとも50モル%以上の(b−1)2−メチルペンタメチレンジアミンを含むジアミンがより好ましい。
これらの組み合わせをポリアミド樹脂の成分として重合させることにより、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び強度に優れることを同時に満足するポリアミド樹脂とすることができる。
(A)ポリアミド樹脂中における脂環族ジカルボン酸構造は、トランス異性体及びシス異性体の幾何異性体として存在する。
ポリアミド樹脂中における脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、ポリアミド樹脂中の脂環族ジカルボン酸全体中のトランス異性体である比率を表し、トランス異性体比率は、好ましくは50〜85モル%であり、より好ましくは50〜80モル%であり、さらに好ましくは60〜80モル%である。
(a−1)脂環族ジカルボン酸としては、トランス体/シス体比(モル比)が50/50〜0/100である脂環族ジカルボン酸を用いることが好ましいが、(a)ジカルボン酸と(b)ジアミンとの重合により得られるポリアミド樹脂としては、脂環族ジカルボン酸構造すなわち脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率が50〜85モル%であることが好ましい。
トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、(A)ポリアミド樹脂は、高融点、靭性及び強度に優れるという特徴に加えて、高いガラス転移温度による熱時剛性と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性及び低吸水性とを同時に満足するという性質を持つ。
(A)ポリアミド樹脂のこれらの特徴は、(a)少なくとも50モル%以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を含むジカルボン酸、(b)少なくとも50モル%以上の2−メチルペンタメチレンジアミンを含むジアミンの組み合わせからなり、かつ脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率が50〜85モル%であるポリアミド樹脂で特に顕著である。
ポリアミド樹脂中の脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率は、NMRにより測定できる。
[(A)ポリアミド樹脂の製造方法]
(A)ポリアミド樹脂の製造方法としては、(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、(b)少なくとも50モル%の、主鎖から分岐した置換基を持つ脂肪族ジアミンを含むジアミンと、を重合させる工程を含む、ポリアミド樹脂の製造方法であれば、特に限定されるものではない。
(A)ポリアミド樹脂の製造方法としては、ポリアミド樹脂の重合度を上昇させる工程を、さらに含むことが好ましい。
(A)ポリアミド樹脂の製造方法としては、例えば、以下に例示するように種々の方法が挙げられる:
1)ジカルボン酸及びジアミンの水溶液又は水の懸濁液、又はジカルボン酸及びジアミン塩と他の成分との混合物(以下、本段落において、「その混合物」と略称する。)の水溶液又は水の懸濁液を、加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と略称する場合がある。)。
2)熱溶融重合法で得られたポリアミド樹脂を融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と略称する場合がある。)。
3)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダー等の押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」と略称する場合がある。)。
4)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにポリアミド樹脂の融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」と略称する場合がある。)。
5)ジカルボン酸及びジアミン又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と略称する場合がある)。
6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド及びジアミンを用いて重合させる方法「溶液法」。
(A)ポリアミド樹脂の製造方法においては、ポリアミド樹脂中の脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を50〜85%に維持して重合することが好ましく、ポリアミド樹脂の流動性の観点から、50〜80%に維持して重合することがより好ましい。
トランス異性体比率を上記範囲内に、特に、80%以下に維持することにより、色調や引張伸度に優れ、高融点のポリアミド樹脂を得ることができる。
ポリアミド樹脂の製造方法において、重合度を上昇させてポリアミド樹脂の融点を上昇させるために、加熱の温度を上昇させたり、及び/又は加熱の時間を長くしたりする必要が生ずるが、その場合、加熱によるポリアミド樹脂の着色や熱劣化による引張伸度の低下が起こる場合がある。また、分子量の上昇する速度が著しく低下する場合がある。
ポリアミド樹脂の着色や熱劣化による引張伸度の低下を防止することができるため、トランス異性体比率を80%以下に維持して重合することが好適である。
(A)ポリアミド樹脂を製造する方法としては、ポリアミド樹脂中の脂環族ジカルボン酸構造のトランス異性体比率を80%以下に維持することが容易であるため、また、得られるポリアミド樹脂が色調に優れるため、1)熱溶融重合法、及び2)熱溶融重合・固相重合法によりポリアミド樹脂を製造することが好ましい。
(A)ポリアミド樹脂の製造方法において適用する重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。
重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、及びニーダー等の押出機型反応器等が挙げられる。
ポリアミド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、以下に記載するバッチ式の熱溶融重合法によりポリアミド樹脂を製造することができる。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミド樹脂成分((a)ジカルボン酸、(b)ジアミン)を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素等の不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。該ストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
(A)ポリアミド樹脂の具体的な製造方法としては、特に限定されるものではなく、以下に記載する連続式の熱溶融重合法を適用できる。
かかる連続式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒としてポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱し、次いで、濃縮層/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮して濃縮溶液を得る。該濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧する。その後、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
(A)ポリアミド樹脂の分子量は、25℃の相対粘度ηrを指標とすることができる。 (A)ポリアミド樹脂の分子量は、靭性及び強度等の機械物性や、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の生産時における樹脂の含浸性の観点で、JIS−K6920に従って測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の相対粘度ηrにおいて、好ましくは1.5〜7.0であり、より好ましくは1.7〜6.0であり、さらに好ましくは1.9〜5.0である。
25℃の相対粘度の測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K6920に準じて行うことができる。
(A)ポリアミド樹脂の融点は、Tm2として、耐熱性の観点から、270〜350℃であることが好ましい。
融点Tm2は、好ましくは270℃以上であり、より好ましくは275℃以上であり、さらに好ましくは280℃以上である。
また、融点Tm2は、好ましくは350℃以下であり、より好ましくは340℃以下であり、さらに好ましくは335℃以下であり、よりさらに好ましくは330℃以下である。
(A)ポリアミド樹脂の融点Tm2を270℃以上とすることにより、耐熱性に優れるポリアミド樹脂とすることができる。(A)ポリアミド樹脂の融点Tm2を350℃以下とすることにより、押出、成形等の溶融加工でのポリアミド樹脂の熱分解等を抑制することができる。
なお、ポリアミド樹脂の融点Tm2については、後出の実施例でさらに詳述する。
(A)ポリアミド樹脂の融解熱量ΔHは、耐熱性の観点から、好ましくは10J/g以上であり、より好ましくは14J/g以上であり、さらに好ましくは18J/g以上であり、さらにより好ましくは20J/g以上である。
(A)ポリアミド樹脂の融点(Tm1又はTm2)及び融解熱量ΔHの測定は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて行うことができる。
融点及び融解熱量の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC等が挙げられる。
(A)ポリアミド樹脂のガラス転移温度Tgは、90〜170℃であることが好ましい。ガラス転移温度は、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上であり、さらに好ましくは110℃以上である。また、ガラス転移温度は、好ましくは170℃以下であり、より好ましくは165℃以下であり、さらに好ましくは160℃以下である。
ガラス転移温度を90℃以上とすることにより、耐熱性や耐薬品性に優れるポリアミド樹脂とすることができる。また、ガラス転移温度を170℃以下とすることにより、外観のよい成形体を得ることができる。
ガラス転移温度は、下記実施例に記載するように、JIS−K7121に準じて測定することができる。
ガラス転移温度の測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSC等が挙げられる。
[(B)強化繊維]
本実施形態における長繊維強化ポリアミド樹脂組成物に含有されている(B)強化繊維について説明する。
本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物中の(B)強化繊維の含有量は、強度、剛性、及び成形性の観点で、20〜80質量%であり、好ましくは25〜75質量%であり、より好ましくは30〜70質量%である。
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物中における(B)強化繊維の重量平均繊維長は、機械的強度、剛性及び成形性の向上の観点から1〜15mmであるものとし、好ましくは3〜12mmである。
なお、(B)強化繊維の重量平均繊維長は、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のポリアミド樹脂のみ燃焼又は溶解させて除去した後、光学顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置を用いて任意に選択した強化繊維400本の長さを測定し、算出した平均値であるものとする。
ここで、(B)強化繊維一本一本の長さを、それぞれL1、L2、・・・、L400としたとき、一本ごとの重量平均繊維長の算出式は下記式で表される。なお、下記式中、「i」は、1〜400までの整数をとる。
(数1)
重量平均繊維長=Σ(Li2)/ΣLi
なお、上記重量平均繊維長は、本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物に含有されている状態の(B)強化繊維に対して適用される値である。
すなわち、(A)ポリアミド樹脂に配合する前の段階の(B)強化繊維の重量平均繊維長については上記に限定されない。
(B)強化繊維の材料としては、一般的にポリアミド樹脂に使用される強化繊維であれば特に制限はない。
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、金属繊維(例:ステンレス繊維、アルミニウム繊維、銅繊維等)等の無機系のものや、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンテレフタルアミド繊維、ポリパラフェニレンイソフタルアミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維、ジアミノジフェニルエーテルとテレフタル酸又はイソフタル酸からの縮合物から得られる繊維等の全芳香族ポリアミド繊維、あるいは、全芳香族液晶ポリエステル繊維等の有機系のものが挙げられる。
(B)強化繊維としては、上記材料を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、機械的強度及び剛性の向上の観点から、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、金属繊維から選ばれる1種以上であることが好ましく、ガラス繊維及び/又は炭素繊維がより好ましい。
前記単繊維の平均繊維径としては、特に限定されるものではないが、例えば、直径5〜25μmのものが一般的に使用される。
なお、平均繊維径は、使用する強化繊維を光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて、任意に選んだ400本の繊維径を測定したときの平均値であるものとする。
また、(B)強化繊維としては、単繊維を集束した連続繊維であるロービングを用いることが好ましい。
(B)強化繊維には、(A)ポリアミド樹脂との間の接着性の向上を図る観点から、カップリング剤等の処理剤で表面処理を施すことが好ましい。
表面処理用の処理剤としては、特に限定されるものではなく、従来公知の表面処理剤が用いられる。
例えば、ガラス繊維に対しては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤が適用できる。
〔長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態における長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、(A)ポリアミド樹脂を二軸押出機で溶融混練し、溶融した(A)ポリアミド樹脂を(B)強化繊維のロービングに含浸させ、樹脂含浸ストランドを得るプルトルージョン法や、特開2008−221574号公報に記載されているように、樹脂含浸ストランドを螺旋状に撚る工程によって樹脂を十分に含浸させる方法が挙げられる。
本実施形態における長繊維強化ポリアミド樹脂組成物には、所望の特性に応じて所定の添加剤を含有させてもよい。
添加剤としては、例えば、銅化合物及びリン化合物等のポリアミド用熱安定剤、ヒンダードフェノール及びヒンダードアミン等の酸化劣化防止剤、マンガン化合物等の光安定剤、タルク、ボロンナイトライド等の核剤、炭酸カルシウム、ウオラストナイト、カオリン、焼成カオリン及びマイカ等のミネラルフィラー、カーボンブラック、酸化チタン、アジン系染料及びフタロシアニン系染料等の着色剤や、可塑剤、帯電防止剤、その他の熱可塑性樹脂等が挙げられる。これらは長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造工程中に配合できる。
〔長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形体〕
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形体は、長繊維強化ポリアミド樹脂組成物や、これをペレット化したものを溶融し、成形することにより得られる。
成形方法としては、公知の方法を適用できる。例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、カレンダー成形、流延成形等の公知の成形方法が挙げられる。
また、上記成形方法を任意に組み合わせてもよい。
なお、本実施形態の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形体中においては、(B)強化繊維が、重量平均繊維長が1mm〜10mmの範囲で分散していることが好ましく、2mm〜9mmの範囲で分散していることがより好ましい。
成形体中の前記(B)強化繊維の重量平均繊維長を達成する方法としては、下記に限定されないが、射出成形の際、繊維の折損を抑える以下の手法が例示される。
すなわち、例えば、1)深溝・低圧縮比で、逆流防止リングやスクリューヘッドのクリアランスの大きなスクリューを用いる方法。2)ゲート断面積の大きな金型を使用する方法。3)成形条件として、スクリュー回転数・背圧を極力少なくし、通常のポリアミド樹脂より若干高めの樹脂温度で成形する方法。
成形体中の(B)強化繊維の重量平均繊維長は、成形体に含有するポリアミド樹脂を燃焼もしくは溶解させて除去した後、強化繊維をスライドガラス上に移し、光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて、任意に選んだ強化繊維400本の長さを測定した値から、下記式により算出することができる。
重量平均繊維長=Σ(Li 2)/ΣLi
(強化繊維一本一本の長さをそれぞれL1、L2、・・・、L400とする。)
〔長繊維強化ポリアミド樹脂組成物及び成形体の用途〕
長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の用途としては、強度・剛性、特に高温下において強度・剛性に優れていることを要求される自動車用部品用の材料が挙げられる。
自動車用部品としては、例えば、シリンダーヘッドカバー、ラジエータータンク、タイヤ圧センサー、カーヒータータンク、ウォーターバルブ、ラジエーターパイプ、インテークマニホールド、エンジンマウント、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、ペダル、ブッシュ等が挙げられる。
以下、本発明の実施例と比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた原材料の調製、測定方法及び製造方法を以下に示す。
〔ポリアミド組成物の原料〕
ポリアミド組成物の原料として、(A)ポリアミド、(B)強化繊維を、下記に示す。
<(A)ポリアミド樹脂>
(A)ポリアミドを構成する(a)ジカルボン酸、(b)ジアミンについて下記に示す。
(a)ジカルボン酸
(a−1):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(CHDA) イーストマンケミカル製 商品名 1,4−CHDA HPグレード(トランス体/シス体(モル比)=25/75)
(a−2):ドデカン二酸(C12DA) 和光純薬工業製 商品名 ドデカン二酸
(a−3):アジピン酸(ADA) 和光純薬工業製 商品名 アジピン酸
(a−4):テレフタル酸(TPA) 和光純薬工業製 商品名 テレフタル酸
(b)ジアミン
(b−1):2−メチルペンタメチレンジアミン(2MPD) 東京化成工業製 商品名 2−メチル−1,5−ジアミノペンタン
(b−2):ヘキサメチレンジアミン(HMD) 和光純薬工業製 商品名 ヘキサメチレンジアミン
(b−3):1,9−ノナメチレンジアミン(NMD) アルドリッチ製 商品名 1,9−ノナンジアミン
(b−4):2−メチルオクタメチレンジアミン(2MOD) 特開平05−17413号公報に記載されている製法を参考にして製造した。
<(B)強化繊維>
(B−1):ガラス繊維ロービング PPGガラスファイバー製 商品名 TufRov 4510、平均繊維径17μm、2400TEXを用いた。
(B−2):ガラス繊維チョップドストランド 日本電気硝子製 商品名 T−275H(平均繊維径10.5μmφ、繊維カット長3mm)を用いた。
(B−3):炭素繊維ロービング 東邦テナックス製 商品名 STS40 F13 24K、平均繊維径7μm、1600TEXを用いた。
〔ポリアミド成分量の計算方法〕
<脂環族ジカルボン酸>
前記(a−1)である脂環族ジカルボン酸のモル%は、(原料モノマーとして加えた(a−1)脂環族ジカルボン酸のモル数/原料モノマーとして加えた全ての(a)ジカルボン酸のモル数)×100として、算出した。
<主鎖から分岐した置換基を持つジアミン>
前記(b−1)である主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル%は、(原料モノマーとして加えた(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数/原料モノマーとして加えた全ての(b)ジアミンのモル数)×100として、算出した。
なお、上記ポリアミド成分量の計算方式による各式で計算する際に、分母及び分子には、追添分として加えた(b−1)主鎖から分岐した置換基を持つジアミンのモル数は含まれない。
〔物性の測定方法〕
(1)ポリアミド樹脂の融点Tm1、Tm2(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minで、サンプルの融点に応じて300〜360℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm1(℃)とし、昇温の最高温度の溶融状態で温度を2分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で2分間保持した後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最大ピーク温度を融点Tm2(℃)とし、その全ピーク面積を融解熱量ΔH(J/g)とした。
なお、ピークが複数ある場合には、ΔHが1J/g以上のものをピークとみなした。
例えば、融点295℃、ΔH=20J/gと融点325℃、ΔH=5J/gの二つのピークが存在する場合、融点は325℃とした。
(2)ポリアミド樹脂のガラス転移温度Tg(℃)
JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて測定した。
測定条件は、試料をホットステージ(Mettler社製EP80)で溶融させて得られた溶融状態のサンプルを、液体窒素を用いて急冷し、固化させ、測定サンプルとした。
そのサンプル10mgを用いて、昇温スピード20℃/minの条件下、30〜360℃の範囲で昇温して、ガラス転移温度を測定した。
(3)ポリアミド樹脂の25℃の硫酸相対粘度ηr
JIS−K6920に準じて測定した。
具体的には、98%硫酸を用いて、1%の濃度の溶解液((ポリアミド樹脂1g)/(98%硫酸100mL)の割合)を作製し、25℃の温度条件下で測定した。
(4)ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率
ポリアミド樹脂30〜40mgをヘキサフルオロイソプロパノール重水素化物1.2gに溶解し、1H−NMRで測定した。脂環族ジカルボン酸が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の場合、トランス異性体に由来する1.98ppmのピーク面積とシス異性体に由来する1.77ppmと1.86ppmのピーク面積の比率から、ポリアミド中の脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率を求めた。
(5)ポリアミド組成物の曲げ弾性率、曲げ強度
射出成形機(FN−3000、スクリュー径40mm、日精樹脂工業(株)製)を用いて、シリンダー温度を、表1に示すポリアミド樹脂の融点Tm2+25℃、金型温度を表1に示すポリアミド樹脂のガラス転移温度Tg+15℃、射出圧力65MPa、射出時間5秒、冷却時間25秒、スクリュー回転数200rpmの成形条件として、ISO 3167に準じた多目的試験片(A形)を成形し、曲げ試験用試験片を切削加工した。
このようにして得られた試験片を用い、ISO 178に準じて、オートグラフ((株)島津製作所社製:AG−5000D形)で、クロスヘッドスピード2mm/分、周囲温度23℃、80℃の条件下で測定を行った。
なお、曲げ弾性率が高い程、剛性に優れているものと判断し、曲げ強度が高い程、機械的強度に優れていると判断した。
(6)ポリアミド組成物の荷重たわみ温度
上記方法により作製された曲げ試験用試験片を用いて、ISO 75に準拠し、曲げ応力1.80MPaの条件下、フラットワイズ法で荷重たわみ温度を測定した。
(7)ポリアミド組成物の吸水率(%)
上記多目的試験片(A型)を成形後の絶乾状態(dry as mold)で、試験前質量(吸水前質量)を測定した。
80℃の純水中に24時間浸漬させた。その後、水中から試験片を取り出し、表面の付着水分をふき取り、恒温恒湿(23℃、50RH%)雰囲気下に30分放置後、試験後質量(吸水後質量)を測定した。
吸水前質量に対しての吸水後質量の増分を吸水量とし、吸水前質量に対する吸水量の割合を、試行数n=3で求め、その平均値を吸水率(%)とした。
(8)ポリアミド組成物の吸水時の曲げ強度
上記多目的試験片(A型)を80℃の純水中に24時間浸漬した後、23℃の純水中に48時間浸漬し、さらに23℃、50RH%の状態で1,500時間静置し、平衡吸水率の試験片を調製した。この試験片を用いて、ISO 178に準じて、クロスヘッドスピード2mm/分、周囲温度80℃の条件下で測定を行った。
(9)ポリアミド組成物の成形体中の重量平均繊維長
上記方法により作製された多目的試験片A形を、磁器るつぼに入れ、電気マッフル炉(FP−31型、ヤマト科学製、設定温度600℃)を用いて、ポリアミド樹脂を燃焼させた。
燃焼後のガラス繊維をスライドガラス上に移し、光学顕微鏡下で観察し、画像解析装置を用いて、任意に選んだガラス繊維400本の長さを測定した値から、下記式により算出した。
重量平均繊維長=Σ(Li 2)/ΣLi
(強化繊維一本一本の長さをそれぞれL1、L2、・・・、L400とする。)
〔ポリアミドの製造例〕
<製造例1>
「熱溶融重合法」によりポリアミド樹脂の重合反応を実施し、ポリアミド樹脂を得た。
上記(a−1)CHDA896g(5.20モル)、上記(b−1)2MPD604g(5.20モル)を、蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。
上記均一水溶液に、上記(b−1)2MPD15g(0.13モル)を追添し、水溶液を得た。
このようにして得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温し、オートクレーブ内を窒素置換した。
オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cm2になるまで、液温を約50℃から加熱を続けた(この系での液温は約145℃であった。)。
槽内の圧力を約2.5kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、加熱を続けて、水溶液の濃度が約75%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。
その後、水の除去を停止し、槽内の圧力が約30kg/cm2になるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。
槽内の圧力を約30kg/cm2に保つため水を系外に除去しながら、最終温度−50℃になるまで加熱を続けた。
液温が最終温度−50℃(ここでは300℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで120分ほどかけながら降圧した。
その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約350℃になるようにヒーター温度を調整した。
樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で400torrの減圧下に30分維持した。
その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出して、ポリアミドを得た。
このようにして得られたポリアミドについて、上記測定方法に基づいて行った測定結果(融点Tm2、ガラス転移温度Tg、トランス異性体比率及び25℃の硫酸相対粘度)を、下記表1に示す。
<製造例2〜3、比較製造例1〜4>
(a)ジカルボン酸、(b)ジアミンとして、下記表1に記載の化合物と量を用いた。また、樹脂温度の最終温度を下記表1に示す温度にした。
その他の条件は、製造例1に示した方法によりポリアミドの重合を行った(「熱溶融重合法」)。
得られたポリアミドの上記測定方法に基づいて行った測定結果を下記表1に示す。
Figure 2011074381
<比較製造例5>
特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って製造した。
その際、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とした。一方、1,9−ノナメチレンジアミン単位及び2−メチルオクタメチレンジアミン単位[1,9−ノナメチレンジアミン単位:2−メチルオクタメチレンジアミン単位=80:20(モル比)]をジアミン単位とした。
上記の原料を、20リットル容のオートクレーブに入れ、窒素で置換した。
100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃まで昇温した。その際、オートクレーブは22kg/cm2まで昇圧した。
そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温し、その後2時間、230℃で恒温し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら反応させた。
次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。
これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。
これを230℃、0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、ポリアミド樹脂を得た。
ここで、下記融点(Tm2)は305℃、下記ガラス転移温度(Tg)は121℃、硫酸相対粘度(ηr)は2.59であった。
〔ポリアミド組成物の製造例〕
<実施例1>
二軸押出機(商品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、バレル温度を、表1に示すポリアミド樹脂(A)のTm2+25℃、スクリュー回転数300rpmの条件で、押出機の最上流部より、上記製造例1のポリアミド樹脂をフィードし、溶融混練した。
溶融したポリアミド樹脂を長繊維強化樹脂組成物製造装置(商品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイに供給し充填した。
この含浸ダイに2本のガラス繊維ロービング(B−1)を導入し、含浸ダイ内で上記の溶融ポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維束をノズル(ノズル径2.9mm)より連続的に引き抜き、1本の樹脂ストランド状にし、ペレタイザーでカットすることにより、ガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
また、このストランドを引き取る際、ストランドの引き取り方向を軸にストランドを回転させ撚りを付与した。
ストランドの引き取り速度は30m/分、撚りのピッチは29mmであった。
得られたペレットは、ペレットの長さ10mm、ペレットの直径2.9mm、強化繊維としての重量平均繊維長10.6mm、ガラス繊維含有量50質量%であった。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<実施例2>
ストランドを引き取る際に、ストランドに撚りを付与しなかった。
その他の条件は実施例1と同様とし、ガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットは、ペレットの長さ10mm、ペレットの直径2.9mm、強化繊維としての重量平均繊維長10.0mm、ガラス繊維含有量50質量%であった。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<実施例3>
強化繊維としてガラス繊維ロービングの代わりに炭素繊維ロービングを用いて、表2に記載の割合になるようにし、その他の条件は、実施例2と同様にして、炭素長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットは、ペレットの長さ10mm、ペレットの直径2.7mm、強化繊維としての重量平均繊維長10.0mm、炭素繊維含有量40質量%であった。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<実施例4、5、比較例4、5、7、9、11>
製造例1のポリアミドに代えて、製造例2、3、比較製造例1〜5のポリアミドを用いた。その他の条件は実施例1と同様にしてガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットは、ペレットの長さ10mm、ペレットの直径2.9mm、ガラス繊維含有量50質量%であった。
得られた長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
<比較例1〜3、6、8、10、12>
二軸押出機(商品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、バレル温度をポリアミド樹脂(A)のTm2+25℃、スクリュー回転数300rpmの条件で、押出機の最上流部より、下記表2に記載されている製造例又は比較製造例のポリアミド樹脂を50質量%、サイドフィード口よりガラス繊維チョップドストランドを50質量%供給し、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイザーでカットすることにより、ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットは、ペレットの長さ3.0mm、ペレットの直径2.0mm、ガラス繊維含有量50質量%であった。
得られたポリアミド樹脂組成物の評価結果を表2に示す。
Figure 2011074381
上記表2に示すように、実施例1〜5の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、いずれも高温条件下における強度、剛性、吸水率、吸水時の強度、荷重たわみ温度の評価が良好であった。
比較例1〜3、6、8、10、12の樹脂組成物は、成形体中のガラス繊維の重量平均繊維長が不十分であるため、高温条件下における強度、剛性、荷重たわみ温度の評価が実施例に比較して劣ったものとなった。
比較例4の樹脂組成物は、成形時に発泡が激しかったため、成形体が得られなかった。
比較例5の樹脂組成物は、重量平均繊維長の長繊維化による補強効果は大きいものの、高温下における強度、剛性、荷重たわみ温度に劣っていた。
比較例7、9、11の樹脂組成物は、重量平均繊維長の長繊維化による補強効果が小さく、高温下における強度で劣っていた。
実施例1、2と比較例1、実施例4と比較例2、実施例5と比較例3をそれぞれ比較すると、製造例1〜3のポリアミドと長繊維強化繊維の組み合わせにより、吸水率が大幅に低下していることが分かった。
一方、比較例5と6、比較例7と8、比較例9と10、比較例11と比較例12をそれぞれ比較すると、比較製造例2〜5のポリアミドについては長繊維強化繊維によって吸水率の改善は確認されなかった。
<実施例6〜8、比較例13、14、16>
二軸押出機(商品名「ZSK25」、Coperion社製)を用い、バレル温度をポリアミド樹脂(A)のTm2+25℃、スクリュー回転数300rpmの条件で、押出機の最上流部より、下記表3に記載されている製造例又は比較製造例のポリアミド樹脂をフィードし、溶融混練した。
溶融したポリアミド樹脂を、長繊維強化樹脂組成物製造装置(商品名「KOSLFP−212」、(株)神戸製鋼所製)の樹脂含浸用ローラーを備えた含浸ダイに供給し充填した。
この含浸ダイに、2本のガラス繊維ロービングを導入し、含浸ダイ内で上記の溶融ポリアミド樹脂を含浸したガラス繊維束をノズル(ノズル径2.2mm)より連続的に引き抜き1本の樹脂ストランド状にし、ペレタイザーでカットすることにより、ガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。
また、このストランドを引き取る際、ストランドの引き取り方向を軸にストランドを回転させ撚りを付与した。
ストランドの引き取り速度は30m/分、撚りのピッチは29mmであった。
得られたペレットは、ペレットの長さ10mm、ペレットの直径2.2mm、強化繊維の重量平均繊維長10.6mm、ガラス繊維含有量70質量%であった。
得られたポリアミド樹脂組成物の評価結果を表3に示す。
<比較例15、17>
製造例1のポリアミドに代えて比較製造例3、5のポリアミドを用いた。その他の条件は、実施例5と同様にしてガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の製造を実施した。
しかしながら、ガラス繊維にポリアミド樹脂が十分含浸せず、製造中にストランドが切断されたため、ガラス長繊維強化ポリアミド樹脂組成物のペレットを安定して製造することができなかった。
<比較例18>
製造例1のポリアミドとガラス繊維チョップドストランドを、下記表3に記載した割合に変更した。その他の条件は、比較例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物の製造を実施した。
しかしながら、押出機のダイの内圧が上昇し、またストランドの毛羽立ちが発生したため、安定して製造することができなかった。
Figure 2011074381
上記表3に示すように、実施例6〜8の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物は、高温下においても、優れた強度、剛性が得られた。
比較例13においては、樹脂ペレットの成形を試みたが、成形時に発泡が激しかったため、成形体が得られなかった。
比較例14、16においては、重量平均繊維長の長繊維化による補強効果は大きいものの実施例と対比すると、高温下における強度、剛性に劣っていた。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、シリンダーヘッドカバー、ラジエータータンク、タイヤ圧センサー、カーヒータータンク、ウォーターバルブ、ラジエーターパイプ、インテークマニホールド、エンジンマウント、フロントエンドモジュール、ドアモジュール、ペダル、ブッシュ等の自動車用部品の材料として産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. (a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、
    (b)少なくとも50モル%の主鎖から分岐した置換基を持つジアミンを含むジアミンと、を重合させた、(A)ポリアミド樹脂20〜80質量%と、
    重量平均繊維長が1〜15mmである(B)強化繊維20〜80質量%と、
    を含む長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記主鎖から分岐した置換基を持つジアミンが、2−メチルペンタメチレンジアミンである請求項1に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記脂環族ジカルボン酸が、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である請求項1又は2に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(a)少なくとも50モル%の脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸が、炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸を、さらに含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記(A)ポリアミド樹脂の融点が270〜350℃である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(A)ポリアミド中、前記脂環族ジカルボン酸に由来する部分のトランス異性体比率が50〜85モル%である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  7. 前記(B)強化繊維が、ガラス繊維、炭素繊維、ホウ素繊維、金属繊維からなる群より選ばれる1種以上ある、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の長繊維強化ポリアミド樹脂組成物の成形体であって、前記(B)強化繊維が、重量平均繊維長1mm〜10mmで分散している成形体。
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