JP2011074294A - ポリオレフィンパウダー及びそれを用いて得られる繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造工程におけるNOxガスによる影響を抑制し、充分に安定化されたポリオレフィン繊維を提供することができるポリオレフィンパウダーおよびそれを用いたポリオレフィン繊維を提供する。
【解決手段】オレフィンモノマーを重合することにより得られるポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンパウダーであって、
オレフィンモノマー100質量部に対して、
下記一般式(1)、
(式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、水素原子等を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30のアルキル基等を表す。)で表されるフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したもの0.001〜0.5質量部、および、リン系酸化防止剤0.001〜0.5質量部を、オレフィンモノマーの重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加してなることを特徴とするポリオレフィンパウダーである。
【選択図】なし
【解決手段】オレフィンモノマーを重合することにより得られるポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンパウダーであって、
オレフィンモノマー100質量部に対して、
下記一般式(1)、
(式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、水素原子等を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30のアルキル基等を表す。)で表されるフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したもの0.001〜0.5質量部、および、リン系酸化防止剤0.001〜0.5質量部を、オレフィンモノマーの重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加してなることを特徴とするポリオレフィンパウダーである。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリオレフィンパウダー及びそれを用いて得られる繊維に関し、詳しくは、熱安定性が良好で、NOxガス耐性に優れたポリオレフィン繊維を提供することができるポリオレフィンパウダー及びそれを用いて得られる繊維に関する。
ポリエステル系重合体を用いたメルトブローン法による繊維の製造方法が知られている。メルトブローン法とは、溶融樹脂を押出して微細な樹脂流とし、この樹脂流を高速度の加熱気体と接触させて、微細な繊維径の不連続ファイバーとし、このファイバーを多孔性支持体上に集積させることによって繊維を得る方法である。メルトブローン法の利用により、ポリエステル樹脂繊維の生産性が向上した。このメルトブローン法はその他の種々の素材でも利用が検討されており、ポリオレフィンでも利用が試みられている。
ポリオレフィンは、熱や光に対する安定性が乏しく、高温となる成形加工や熱や光に曝される使用段階で容易に酸化/劣化し、プラスチック製品として必要な寿命が得られない問題がある。このため、酸化/劣化を防止するために、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン化合物、ヒンダードアミン化合物、紫外線吸収剤、酸捕捉剤などの安定剤を添加することが一般的に行われており、用途に応じて種々の安定剤を選定し、配合するなどして実用化が進められている。
安定剤をポリオレフィンに配合する場合、ポリオレフィンと安定剤を混合し、押出加工機器等を用いて造粒する方法が一般的に用いられ、例えば、特許文献1、特許文献2において、ポリオレフィン樹脂に1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレートのフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を含有させたポリオレフィン樹脂組成物が提案されている。
しかし、メルトブローン法で繊維を得ようとした場合、ポリオレフィンは極めて高流動(場合によっては、メルトフローレート200〜600g/10min)であるものが用いられるため、通常の押出機加工機器では造粒ができない問題があった。
押出加工機器等を用いる造粒工程を利用することなく、ポリオレフィンを安定化させる方法としては、オレフィン系モノマーの重合前又は重合中に安定剤を添加する方法が検討されている。例えば、特許文献3では、リン系酸化防止剤の存在下にα−オレフィンの重合を行う製法が示されている。リン系酸化防止剤を用いないでα−オレフィンを重合して得られた重合物に酸化防止剤を混合したものと比べると、リン系酸化防止剤の存在下にα−オレフィンの重合したものの方が優れた安定化効果を得られることが示されている。
オレフィン系モノマーの重合前又は重合中に安定剤を添加する方法は、重合後の押出加工等の溶融混錬による安定剤の配合行程を省略できる利点が得られるが、重合触媒の触媒活性を低下させたり、安定剤と触媒金属との相互作用によってポリオレフィン系樹脂を着色させたりする問題があり、重合条件の選定、管理が煩雑になるとの問題があった。
上記重合触媒に対する具体的な影響としては、例えば、特許文献4において、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタンなどのエステル結合を有するフェノール系酸化防止剤はポリオレフィンに対して汎用的に用いられる安定剤であるが、重合触媒の触媒活性を低下させるため、重合前の添加には適していないことが示されていた。
そのような重合触媒への影響を避ける方法として、特許文献5、特許文献6には、エチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合前又は重合中に、有機アルミニウム化合物でマスキング処理したフェノール系酸化防止剤を添加して、安定化ポリマーを製造する方法が記載されている。
しかしながら、これらの文献には、繊維への適用を検討したものはなかった。また、ポリオレフィン繊維の製造工程の加熱(熱風)処理時では、NOxガスを含む熱風に繊維が曝される場合があるが、NOxガスの影響で繊維が黄変し、ポリオレフィン繊維の外観を損ねる問題があった。
そこで本発明の目的は、製造工程におけるNOxガスによる影響を抑制し、充分に安定化されたポリオレフィン繊維を提供することができるポリオレフィンパウダーおよびそれを用いたポリオレフィン繊維を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、上記現状に鑑み検討を重ねた結果、オレフィンモノマーの重合前または重合時に、特定のフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したもの及びリン系酸化防止剤を添加して、オレフィンモノマーを重合することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のポリオレフィンパウダーは、オレフィンモノマーを重合することにより得られるポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンパウダーであって、
オレフィンモノマー100質量部に対して、
下記一般式(1)、
(式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数7〜9のアリールアルキル基を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表す。)で表されるフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したもの0.001〜0.5質量部、および、リン系酸化防止剤0.001〜0.5質量部を、オレフィンモノマーの重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加してなることを特徴とするものである。
オレフィンモノマー100質量部に対して、
下記一般式(1)、
(式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数7〜9のアリールアルキル基を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表す。)で表されるフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したもの0.001〜0.5質量部、および、リン系酸化防止剤0.001〜0.5質量部を、オレフィンモノマーの重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加してなることを特徴とするものである。
本発明のポリオレフィンパウダーは、前記リン系酸化防止剤が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである事が好ましい。
また、本発明のポリオレフィンパウダーは、前記有機アルミニウム化合物が、トリアルキルアルミニウムである事が好ましい。
また、本発明のポリオレフィンパウダーは、前記オレフィンモノマーの重合触媒が、遷移金属触媒である事が好ましい。
さらにまた本発明のポリオレフィンパウダーは、前記オレフィンモノマーの重合触媒が、チーグラー・ナッタ触媒であることが好ましい。
また、本発明の繊維は上記記載のポリオレフィンパウダーを用いて得られる繊維である。
また、本発明の繊維は上記記載のポリオレフィンパウダーを用いて、メルトブローン法で得られる繊維である。
本発明によれば、製造工程におけるNOxガスによる影響を抑制し、充分に安定化されたポリオレフィン繊維を提供することができるポリオレフィンパウダーおよびそれを用いたポリオレフィン繊維を提供することができる。
本発明に用いられるフェノール系酸化防止剤は、下記一般式(1)で表される化合物であり、オレフィンモノマー100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.5質量部、より好ましくは0.005〜0.3質量部となるように用いられる。
上記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数7〜9のアリールアルキル基を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数12〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表す。
上記一般式(1)中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数7〜9のアリールアルキル基を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数12〜24のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表す。
上記一般式(1)中のR1及びR2で表される分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、第二ペンチル基、第三ペンチル基等が挙げられるが、特に第三ブチル基は、フェノール系酸化防止剤の安定化効果が良好であるので好ましく用いられる。
上記一般式(1)中のR1及びR2で表される炭素原子数7〜9のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、1−メチル−1−フェニルエチル等が挙げられる。
前記一般式(1)中のRで表される、分岐を有してもよい炭素原子数1〜30のアルキル基としては、上記R1およびR2がとりうるアルキル基の他、例えば、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、1,5−ジメチルーヘキシル基等が挙げられる。
これらアルキル基は、酸素原子、硫黄原子、又は、下記のアリール基で中断されていてもよく、アルキル基中の水素原子が、ヒドロキシ基、シアノ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基等の鎖状脂肪族基、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、2H−ピラン、4H−ピラン、フェニル、ビフェニル、トリフェニル、ナフタレン、アントラセン、ピロリジン、ピリンジン、インドリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、キノリン、イソキノリン、又はシクロアルキル基等の環状脂肪族基、芳香族基で置換されていてもよい。また、これらの中断又は置換は組み合わされていてもよい。
前記一般式(1)中のRで表される、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基中の水素原子が、アルキル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、又はシアノ基で置換されていてもよく、該アルキル基は酸素原子、又は硫黄原子で中断されていてもよい。
前記一般式(1)中のRで表される、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル基、ブチルフェニル基、オクチルフェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、4−第三ブチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ベンジル、フェニルエチル基、1−フェニル−1−メチルエチル基等が挙げられる。また、アリール基中の水素原子が、アルキル基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、又はシアノ基で置換されていてもよく、該アルキル基は酸素原子、又は硫黄原子で中断されていてもよい
本発明において、有機アルミニウムでマスキング処理したフェノール系酸化防止剤とは、フェノール系酸化防止剤のフェノール性ヒドロキシル基の水素を、有機アルミニウム化合物で置換したものであり、水、アルコール、酸等の水素供与性化合物で処理することによりフェノールに再生可能となるようにマスキング処理が施されたフェノール系酸化防止剤を表す。これらの中でも、重合反応において触媒の失活処理に用いられる失活剤と反応してフェノールが再生できるものが好ましく、ポリオレフィン樹脂の重合触媒による重合系に通常存在し、重合を阻害しない有機アルミニウム化合物とフェノール系酸化防止剤との反応により得られるフェノラート(塩)が特に好ましい。
上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハイドライド等が使用できるが、アルキルアルミニウムが好ましく、特に好ましくは、トリアルキルアルミニウムであり、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−へキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等が挙げられる。前記有機アルミニウム化合物はいずれも混合物として使用することができる。また、アルキルアルミニウム又はアルキルアルミニウムハイドライドと水との反応によって得られるアルミノキサンも同様に使用することができる。
上記フェノール系酸化防止剤のマスキングは、不活性な溶媒中でトリアルキルアルミニウム等の金属化合物とフェノール系酸化防止剤とを混合、撹拌するだけでよい。この方法による反応において、副生した化合物が重合物へ影響しない場合は、そのまま用いることができるが、副生した化合物が重合を阻害する場合は、該化合物を減圧留去等により取り除いてから用いることが好ましい。
上記不活性な溶媒としては脂肪族及び芳香族炭化水素化合物が挙げられる。脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンおよび精製ケロシン等の飽和炭化水素化合物、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の環状飽和炭化水素化合物等が挙げられ、芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼンおよびキシレンなどの化合物が挙げられる。これらの化合物のうち、n−ヘキサン、又は、n−ヘプタンが好ましく用いられる。不活性な溶媒中のトリアルキルアルミニウム塩の濃度は、0.001〜0.5mol/Lの範囲が好ましく、特に好ましくは、0.01〜0.1mol/Lである。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス〔2−第三ブチル−4−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル〕ホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジ(デシル)モノフェニルホスファイト、ジ(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6−トリ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)イソプロピリデンジフェノールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−n−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタントリホスファイト、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)フルオロホスファイト、トリス(2−〔(2,4,8,10−テトラキス第三ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ〕エチル)アミン、2−エチル−2−ブチルプロピレングリコールと2,4,6−トリ第三ブチルフェノールの公知のリン系酸化防止剤を用いることができるが、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイトのように、オレフィンモノマーの重合前に添加しても重合に悪影響しないリン系酸化防止剤が好ましい。
上記リン系酸化防止剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.001〜3重量部、より好ましくは、0.005〜0.5重量部である。
上記リン系酸化防止剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.001〜3重量部、より好ましくは、0.005〜0.5重量部である。
本発明に用いられるオレフィンモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロアルカン、スチレンあるいはこれらの誘導体等が挙げられる。
本発明に用いられる重合触媒としては、例えば、周期表第3〜11族の遷移金属(例えば、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、鉄、ニッケル、鉛、白金、イットリウム、サマリウム等)の化合物があり、代表的なものとしては、チタン含有固体状遷移金属成分と有機金属成分からなるチーグラー・ナッタ触媒、少なくとも一個のシクロペンタジエニル骨格を有する周期表第4族〜第6族の遷移金属化合物と助触媒成分からなるメタロセン触媒が挙げられる。
オレフィンモノマーの重合は、窒素等の不活性ガス雰囲気中にて行う必要があるが、上記の不活性な溶媒中で行ってもよい。また、重合を阻害しない範囲で、活性水素化合物、微粒子状担体、有機アルミニウム化合物、イオン交換性層状化合物、無機珪酸塩を添加してもよい。
オレフィンモノマーの重合は、例えば、スラリー重合法、気相重合法、バルク重合法、溶液重合法、若しくはこれらを組み合わせた重合法、一段重合法又は多段重合法によって、オレフィンモノマーを重合して、ポリオレフィン単独重合体を製造する方法や、プロピレンと、炭素原子数2〜12のオレフィン単位からなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン(プロピレンを除く)単位を共重合して共重合体を製造する方法で製造できる。また、バッチ式、連続式の区別なく製造することができる。重合の最後に、例えば、水(蒸気)又はアルコールを加えることにより、触媒を分解することができる。
本発明のポリオレフィンパウダーには、必要に応じてさらに他の通常の添加剤と配合することができる。他の添加剤の配合方法としては、オレフィンモノマーの重合に支障をきたさない程度に、飽和炭素溶媒に溶解してスラリー化したものを、オレフィンモノマーの重合時に添加する方法が挙げられる。また、可能であれば、他の添加剤を、目的に応じた配合量で混合して、押出機などの成形加工機で溶融混錬して造粒してもよい。他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン化合物、重金属不活性化剤、造核剤、難燃剤、金属石鹸、ハイドロタルサイト、充填剤、滑剤、帯電防止剤、顔料、染料、可塑剤等が挙げられ、本発明に用いるフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又は、その他のフェノール系酸化防止剤を重合後に添加して成形加工してもよい。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリルフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−アクリロイルオキシエチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三オクチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリロイルオキシエチル)−5−第三ブチルフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三アミル−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリロイルオキシメチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシプロピル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等の2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシロキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクトキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(3−C12〜13混合アルコキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシ−3−アリルフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−3−メチル−4−ヘキシロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等の2−(2−ヒドロキシフェニル)−4,6−ジアリール−1,3,5−トリアジン類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、オクチル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ドデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、テトラデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ヘキサデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、オクタデシル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート、ベヘニル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ)ベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類;各種の金属塩、又は金属キレート、特にニッケル、クロムの塩、又はキレート類等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部である。
上記紫外線吸収剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部である。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,4,4−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノ−ル/コハク酸ジエチル重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−モルホリノ−s−トリアジン重縮合物、1,6−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルアミノ)ヘキサン/2,4−ジクロロ−6−第三オクチルアミノ−s−トリアジン重縮合物、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1,5,8,12−テトラキス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕−1,5,8−12−テトラアザドデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、1,6,11−トリス〔2,4−ビス(N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ)−s−トリアジン−6−イル〕アミノウンデカン、ビス{4−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジル}デカンジオナート、ビス{4−(2,2,6,6−テトラメチル−1−ウンデシルオキシ)ピペリジル)カーボナート、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN NOR 371等が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部である。
上記ヒンダードアミン系光安定剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜5質量部、より好ましくは0.005〜0.5質量部である。
上記、造核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム及び2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等のカルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等のリン酸エステル金属塩、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の多価アルコール誘導体、N,N’,N”−トリス[2−メチルシクロヘキシル]―1,2,3−プロパントリカルボキサミド(RIKACLEAR PC1)、N,N’,N”−トリシクロヘキシルー1,3,5−ベンゼントリカルボキミド、N,N’−ジシクロヘキシル−ナフタレンジカルボキサミド、1,3,5−トリ(ジメチルイソプロポイルアミノ)ベンゼン等のアミド化合物等が挙げられる。
上記造核剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは0.005〜5質量部である。
上記造核剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは0.005〜5質量部である。
上記難燃剤としては、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−キシレニルホスフェート及びレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)等の芳香族リン酸エステル、フェニルホスホン酸ジビニル、フェニルホスホン酸ジアリル及びフェニルホスホン酸(1−ブテニル)等のホスホン酸エステル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド誘導体等のホスフィン酸エステル、ビス(2−アリルフェノキシ)ホスファゼン、ジクレジルホスファゼン等のホスファゼン化合物、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸アンモニウム、リン含有ビニルベンジル化合物及び赤リン等のリン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビス(ペンタブロモフェニル)、エチレンビステトラブロモフタルイミド、1,2−ジブロモ−4−(1,2−ジブロモエチル)シクロヘキサン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリスチレン及び2,4,6−トリス(トリブロモフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、トリブロモフェニルマレイミド、トリブロモフェニルアクリレート、トリブロモフェニルメタクリレート、テトラブロモビスフェノールA型ジメタクリレート、ペンタブロモベンジルアクリレート、及び、臭素化スチレン等の臭素系難燃剤等が挙げられる。
上記難燃剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜70質量部、より好ましくは、10〜30質量部である。
上記難燃剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、1〜70質量部、より好ましくは、10〜30質量部である。
上記その他のフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、トリデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジルチオアセテート、チオジエチレンビス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2−オクチルチオ−4,6−ジ(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−s−トリアジン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(2,6−ジ第三ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス[2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス[(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス[2−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシンナモイルオキシ)−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[β−(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
上記その他のフェノール系酸化防止剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
上記その他のフェノール系酸化防止剤の使用量は、前記ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
本発明のポリオレフィンパウダーを用いて得られる繊維は、従来ポリオレフィン繊維が使用されている用途全般に利用することができ、例えば、印刷用基材、壁紙用基材、ワイビング材、各種フィルター材、湿布材、生理用品等の医療衛生材、衣料、衣料用芯地、枕カバー、化粧用基材、自動車用内装材、吸音材、包装材、土木などの産業資材等の用途に利用することができる。
以下、実施例、比較例及び評価例をもって本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
下記の手順([1]触媒スラリーの調製、[2]フェノキシド溶液の調製、[3]ホスファイト溶液の調製、[4]オレフィンモノマー(プロピレンモノマー)の重合、[5]繊維の作製)に従い、繊維を得た。
下記の手順([1]触媒スラリーの調製、[2]フェノキシド溶液の調製、[3]ホスファイト溶液の調製、[4]オレフィンモノマー(プロピレンモノマー)の重合、[5]繊維の作製)に従い、繊維を得た。
[1]触媒スラリーの調製
無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デカン25mL及び2−エチルへキシルアルコール23.4mL(150mmol)を加えて、130℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とした後、さらに無水フタル酸1.11g(7.5mmol)を添加し、130℃を維持しながら1時間撹拌して、無水フタル酸を該均一溶液に溶解させた。次に、均一溶液を室温に冷却し、―20℃に保持された四塩化チタン200mL(1.8mol)中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、4時間かけて110℃まで昇温した。110℃に到達後、ジイソブチルフタレート2.68mL(12.5mmol)を加え、110℃を維持しながら2時間撹拌して反応させた。反応終了後、熱時ろ過にて残渣を採取し、該残渣を200mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃まで加熱して2時間反応させた。反応終了後、再び熱時ろ過で残渣を採取し、110℃のデカン及びヘキサンにて、洗液中に遊離しているチタン化合物が検出されなくなるまで充分に洗浄して固体チタン触媒成分を得た。この固体チタン触媒成分の一部を乾燥して触媒組成を分析したところ、チタン3.1重量%、塩素56.0重量%、マグネシウム17.0重量%及びイソブチルフタレート20.9重量%であった。
以上の製造方法にて合成された固体チタン触媒成分に、ヘプタンスラリーとして5mg/mLとなるようにヘプタンを加えて触媒スラリーを調製した。
無水塩化マグネシウム4.76g(50mmol)、デカン25mL及び2−エチルへキシルアルコール23.4mL(150mmol)を加えて、130℃で2時間加熱反応を行い均一溶液とした後、さらに無水フタル酸1.11g(7.5mmol)を添加し、130℃を維持しながら1時間撹拌して、無水フタル酸を該均一溶液に溶解させた。次に、均一溶液を室温に冷却し、―20℃に保持された四塩化チタン200mL(1.8mol)中に1時間にわたって全量滴下装入した。装入終了後、4時間かけて110℃まで昇温した。110℃に到達後、ジイソブチルフタレート2.68mL(12.5mmol)を加え、110℃を維持しながら2時間撹拌して反応させた。反応終了後、熱時ろ過にて残渣を採取し、該残渣を200mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、再び110℃まで加熱して2時間反応させた。反応終了後、再び熱時ろ過で残渣を採取し、110℃のデカン及びヘキサンにて、洗液中に遊離しているチタン化合物が検出されなくなるまで充分に洗浄して固体チタン触媒成分を得た。この固体チタン触媒成分の一部を乾燥して触媒組成を分析したところ、チタン3.1重量%、塩素56.0重量%、マグネシウム17.0重量%及びイソブチルフタレート20.9重量%であった。
以上の製造方法にて合成された固体チタン触媒成分に、ヘプタンスラリーとして5mg/mLとなるようにヘプタンを加えて触媒スラリーを調製した。
[2]フェノキシド溶液の調製
窒素置換したフラスコに、3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルプロピオンアミド(前記化合物No.4)1.03g(1.94mmol)及び、乾燥ヘプタン65.5mLを加えた。撹拌しながら、トリエチルアルミニウム/ヘプタン溶液3.0mL(1mol/L)を滴下し、フェノキシド溶液を調製した。
窒素置換したフラスコに、3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−N−オクタデシルプロピオンアミド(前記化合物No.4)1.03g(1.94mmol)及び、乾燥ヘプタン65.5mLを加えた。撹拌しながら、トリエチルアルミニウム/ヘプタン溶液3.0mL(1mol/L)を滴下し、フェノキシド溶液を調製した。
[3]ホスファイト溶液の調製
窒素置換したフラスコに、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.9g(1.4mmol)及び乾燥ヘプタン30mLを加えて、ホスファイト溶液を調製した。
窒素置換したフラスコに、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.9g(1.4mmol)及び乾燥ヘプタン30mLを加えて、ホスファイト溶液を調製した。
[4]オレフィンモノマー(プロピレンモノマー)の重合
窒素置換したオートクレーブに、乾燥ヘプタン600mL及びトリエチルアルミニウム/ヘプタン溶液2.2mL(1mol/L)を加えた。さらに、上記[2]で調製したフェノキシド溶液1.4mL、上記[3]で調製したホスファイト溶液0.7mL、乾燥ヘプタン100mLにジシクロペンチルジメトキシシラン1.2g(5.3mmol)を撹拌して溶解させたヘプタン溶液4.1mL、及び上記[1]で調製した触媒スラリー4.0mLを順次加えた。
オートクレーブ内をプロピレン雰囲気に置換し、水素(7.0L;標準状態換算)を入れ、プロピレン圧1kgf/cm2G、50℃で5分間プレ重合(600rpm)を行った。その後、プロピレン圧6kgf/cm2、70℃で1時間重合反応を行った。気体をパージ後、反応液にエタノール5mlを加え5分間撹拌して重合反応を停止させた後、減圧脱溶媒を行い、次いで、真空中、40℃で10時間乾燥して、プロピレンモノマーを重合した、ポリプロピレンパウダーを得た。
窒素置換したオートクレーブに、乾燥ヘプタン600mL及びトリエチルアルミニウム/ヘプタン溶液2.2mL(1mol/L)を加えた。さらに、上記[2]で調製したフェノキシド溶液1.4mL、上記[3]で調製したホスファイト溶液0.7mL、乾燥ヘプタン100mLにジシクロペンチルジメトキシシラン1.2g(5.3mmol)を撹拌して溶解させたヘプタン溶液4.1mL、及び上記[1]で調製した触媒スラリー4.0mLを順次加えた。
オートクレーブ内をプロピレン雰囲気に置換し、水素(7.0L;標準状態換算)を入れ、プロピレン圧1kgf/cm2G、50℃で5分間プレ重合(600rpm)を行った。その後、プロピレン圧6kgf/cm2、70℃で1時間重合反応を行った。気体をパージ後、反応液にエタノール5mlを加え5分間撹拌して重合反応を停止させた後、減圧脱溶媒を行い、次いで、真空中、40℃で10時間乾燥して、プロピレンモノマーを重合した、ポリプロピレンパウダーを得た。
[5]繊維の作製
得られたポリプロピレンパウダー100質量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05質量部を添加して混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
得られたポリプロピレンパウダー100質量部に対して、ステアリン酸カルシウム0.05質量部を添加して混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
(実施例2)
上記実施例1の[3]ホスファイト溶液の調製において、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.90g(1.4mmol)を2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト0.82g(1.4mmol)に替えた以外は、実施例1と同様に実施して、繊維およびシートを作製した。
上記実施例1の[3]ホスファイト溶液の調製において、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.90g(1.4mmol)を2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト0.82g(1.4mmol)に替えた以外は、実施例1と同様に実施して、繊維およびシートを作製した。
(比較例1)
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mL、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。
得られたプロピレン重合物100質量部に対して、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト及びステアリン酸カルシウムがそれぞれ0.05質量部ずつになるようにプロピレン重合物と混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mL、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。
得られたプロピレン重合物100質量部に対して、テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト及びステアリン酸カルシウムがそれぞれ0.05質量部ずつになるようにプロピレン重合物と混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
(比較例2)
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mL、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。プロピレン重合物100質量部に対し、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−4−第3ブチル−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイトをそれぞれ0.01質量部ずつ、及びステアリン酸カルシウムを0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mL、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。プロピレン重合物100質量部に対し、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−4−第3ブチル−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイトをそれぞれ0.01質量部ずつ、及びステアリン酸カルシウムを0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
(比較例3)
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mLを2.8mLに変更し、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1と同様に実施して、繊維およびシートを製造した。
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mLを2.8mLに変更し、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1と同様に実施して、繊維およびシートを製造した。
(比較例4)
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、ホスファイト溶液0.7mLを1.4mLに変更し、及びフェノキシド溶液1.4mLを用いなかった以外は、実施例1と同様に実施して繊維およびシートを製造した。
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、ホスファイト溶液0.7mLを1.4mLに変更し、及びフェノキシド溶液1.4mLを用いなかった以外は、実施例1と同様に実施して繊維およびシートを製造した。
(比較例5)
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mL、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。得られたプロピレン重合物100質量部に対し、化合物No.4、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ0.01質量部ずつ、及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mL、及びホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。得られたプロピレン重合物100質量部に対し、化合物No.4、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイトをそれぞれ0.01質量部ずつ、及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
(比較例6)
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。得られたプロピレン重合物100質量部に対し、前記化合物No.4を0.01質量部及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
上記実施例1の[4]オレフィンモノマーの重合において、フェノキシド溶液1.4mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。得られたプロピレン重合物100質量部に対し、前記化合物No.4を0.01質量部及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
(比較例7)
上記実施例1の[4]オレフィン系モノマーの重合において、ホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。得られたプロピレン重合物100質量部に対し、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.01質量部及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
上記実施例1の[4]オレフィン系モノマーの重合において、ホスファイト溶液0.7mLを用いなかった以外は、実施例1の[4]と同様に実施して、プロピレン重合物を得た。得られたプロピレン重合物100質量部に対し、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト0.01質量部及びステアリン酸カルシウム0.05質量部をプロピレン重合物に添加して、よく混合し、単軸押出機(装置:株式会社東洋精機製作所製プラストミルμ、押出温度:230℃、スクリュー回転速度:50rpm)で造粒してペレットを得た。該ペレットについて、紡糸機(30mmΦ、(株)島津製作所製)へ供給し、ノズル(0.45mmΦ、230℃、30ホール)に押出して、巻き取り速度1000m/minで繊維を引き取った。得られた繊維は、6.8デニールのフィラメントを30本集束したものである。また、上記のペレットを用いて、230℃、120kgf/cm2の荷重で5分間プレスし、シートを作製した。プレス後のシートの厚みは2mmであった。
上記実施例1、2及び比較例1〜7で得られた繊維について、安定性に関する、下記の評価を行った。それぞれの結果について表1に示す。尚、表1中の安定剤の欄の化合物名の下部にある数字は、添加剤成分を除いた場合のプロピレン重合物100質量部に対する割合を表す。また、上記実施例1、2及び比較例1〜7で得られたシートについてNOxガス変色試験による評価を行った。
(NOxガス変色試験)
下記手順によりNOxガス変色試験を行った。これらの結果について、下記表1に示す。
シートをガラス棒で吊し、ガラスデシケーター内に入れる。
ガラスビーカーに85%リン酸を9.52g、蒸留水38.10gを加え、溶解してリン酸水溶液を作り、ガラスデシケーター内にガラスビーカーを置く。
別のガラスビーカーに97%硝酸ナトリウム0.786g、蒸留水9.52gを加え、溶解して硝酸ナトリウム水溶液を作る。
上記硝酸ナトリウム水溶液をガラスデシケーター中のリン酸水溶液に一気に加えて、直ちにガラスデシケーターの蓋をし、2%のNOxガスを発生させる。
ガラスデシケーターの本体と蓋の結合部分をバルカーテープで塞ぎ、さらにビニルテープを貼って、ガス漏れがないようにする。
ガラスデシケーターを40℃のギヤーオーブンに入れ、140時間静置する。
140時間静地後のシートの黄色度(YI)を測定し、NOxガスで暴露する前のシートの黄色度(初期Y.I.)と暴露試験後の黄色度(ΔYI)を求めた。
下記手順によりNOxガス変色試験を行った。これらの結果について、下記表1に示す。
シートをガラス棒で吊し、ガラスデシケーター内に入れる。
ガラスビーカーに85%リン酸を9.52g、蒸留水38.10gを加え、溶解してリン酸水溶液を作り、ガラスデシケーター内にガラスビーカーを置く。
別のガラスビーカーに97%硝酸ナトリウム0.786g、蒸留水9.52gを加え、溶解して硝酸ナトリウム水溶液を作る。
上記硝酸ナトリウム水溶液をガラスデシケーター中のリン酸水溶液に一気に加えて、直ちにガラスデシケーターの蓋をし、2%のNOxガスを発生させる。
ガラスデシケーターの本体と蓋の結合部分をバルカーテープで塞ぎ、さらにビニルテープを貼って、ガス漏れがないようにする。
ガラスデシケーターを40℃のギヤーオーブンに入れ、140時間静置する。
140時間静地後のシートの黄色度(YI)を測定し、NOxガスで暴露する前のシートの黄色度(初期Y.I.)と暴露試験後の黄色度(ΔYI)を求めた。
(安定性)
繊維を120℃オーブンに15時間静置し、引張試験器で10mm/minの速度で引っ張った。
繊維の伸び率が、200%を超えた場合を○、150%以上〜200%以下の場合は△、150%未満の場合は×として評価した。
繊維を120℃オーブンに15時間静置し、引張試験器で10mm/minの速度で引っ張った。
繊維の伸び率が、200%を超えた場合を○、150%以上〜200%以下の場合は△、150%未満の場合は×として評価した。
2)化合物2:2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)−オクタデシルホスファイト
3)比較化合物1:テトラキス[3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン
4)比較化合物2:1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−4−第3ブチル−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート
5)添加方法
A:オレフィン系モノマーの重合時に安定剤を添加して重合後、ステアリン酸カルシウムを添加して、230℃の押出温度で造粒。
B:オレフィン系モノマーの重合後、安定剤とステアリン酸カルシウムを添加して混合し、押出機を用いて230℃の押出温度で造粒。
6)安定性:120℃オーブンに15時間静置後、引張試験
比較例1、2及び比較例5〜7より、オレフィンモノマーの重合後に安定剤を添加して造粒した場合、初期の黄色度(Y.I.)は高かった。特に、比較例1は通常一般に用いられる安定剤で配合量を5倍にしたにもかかわらず、実施例1及び2の本発明の繊維に比べて黄変しており、NOxガスの影響を受けやすく、安定剤の添加効果は乏しかった。
また、比較例2ではフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の種類を変えたものの、やはり本発明の繊維に比べて安定化効果は乏しかった。
また、比較例3及び4より、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤を単独でオレフィンモノマーの重合時に添加した場合、初期の黄色度の抑制効果はある程度見られた。しかしながら、比較例3のフェノール系酸化防止剤単独の場合、NOxガスの影響を受けやすく、比較例4のリン系酸化防止剤単独の場合、NOxガスの影響は受けにくいものの、繊維自体の安定性に欠け繊維が断裂し易かった。
また、比較例2ではフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の種類を変えたものの、やはり本発明の繊維に比べて安定化効果は乏しかった。
また、比較例3及び4より、フェノール系酸化防止剤又はリン系酸化防止剤を単独でオレフィンモノマーの重合時に添加した場合、初期の黄色度の抑制効果はある程度見られた。しかしながら、比較例3のフェノール系酸化防止剤単独の場合、NOxガスの影響を受けやすく、比較例4のリン系酸化防止剤単独の場合、NOxガスの影響は受けにくいものの、繊維自体の安定性に欠け繊維が断裂し易かった。
それに対して、実施例1および2から明らかなように本発明にかかるオレフィンパウダーは、NOxガスの影響を受けにくく、かつ、得られた繊維の安定性に優れていた。
以上より、本発明は、特定のフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したものとリン系酸化防止剤を組み合わせて、オレフィンモノマーの重合前又は重合中に添加することにより、NOxガスによる影響を抑制し、黄変の少ない繊維を得られることが確認できた。
Claims (7)
- オレフィンモノマーを重合することにより得られるポリオレフィン樹脂組成物からなるポリオレフィンパウダーであって、
オレフィンモノマー100質量部に対して、
下記一般式(1)、
(式中、R1及びR2は、各々独立して、水素原子、分岐を有してもよい炭素原子数1〜5のアルキル基、フェニル基、又は炭素原子数7〜9のアリールアルキル基を表し、Rは分岐を有してもよい炭素原子数1〜30のアルキル基、置換されていてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有してもよい炭素原子数6〜18のアリール基を表す。)で表されるフェノール系酸化防止剤を有機アルミニウム化合物でマスキング処理したもの0.001〜0.5質量部、および、リン系酸化防止剤0.001〜0.5質量部を、オレフィンモノマーの重合前又は重合中に触媒系又は重合系に添加してなることを特徴とするポリオレフィンパウダー。 - 前記リン系酸化防止剤が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである請求項1記載のポリオレフィンパウダー。
- 前記有機アルミニウム化合物が、トリアルキルアルミニウムである請求項1又は2記載のポリオレフィンパウダー。
- 前記オレフィンモノマーの重合触媒が、遷移金属触媒である請求項1〜3のうち何れか一項記載のポリオレフィンパウダー。
- 前記オレフィンモノマーの重合触媒が、チーグラー・ナッタ触媒である請求項1〜3のうち何れか一項記載のポリオレフィンパウダー。
- 請求項1〜5のうち何れか一項記載のポリオレフィンパウダーを用いて得られる繊維。
- 請求項1〜5のうち何れか一項記載のポリオレフィンパウダーを用いて、メルトブローン法で得られる繊維。
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- 2009-09-30 JP JP2009228981A patent/JP2011074294A/ja active Pending
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