JP2011074265A - 光ディスク用硬化性樹脂組成物、その硬化物及び光ディスク - Google Patents

光ディスク用硬化性樹脂組成物、その硬化物及び光ディスク Download PDF

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JP2011074265A JP2009228274A JP2009228274A JP2011074265A JP 2011074265 A JP2011074265 A JP 2011074265A JP 2009228274 A JP2009228274 A JP 2009228274A JP 2009228274 A JP2009228274 A JP 2009228274A JP 2011074265 A JP2011074265 A JP 2011074265A
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Abstract

【課題】透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや永久的な変形が抑制された硬化物を与えることができ、より信頼性の高い記録・再生を実現できる光ディスク用硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び、このような樹脂組成物を硬化させてなる層を有する光ディスクを提供する。
【解決手段】(a)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、(b)該(a)成分以外の(メタ)アクリレート化合物と、(c)光重合開始剤とを含有し、該硬化性樹脂組成物の錫含有量が5ppm以下である光ディスク用硬化性樹脂組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光ディスク用硬化性樹脂組成物、その硬化物及び光ディスクに関する。より詳しくは、ブルーレイディスク等の光ディスクに用いられる硬化性の樹脂組成物及びその硬化物、並びに、その樹脂組成物を用いてなる光ディスクに関する。
近年、情報技術の発展により、音楽、画像、映像等の膨大なデジタル情報を長期間保存するための高密度大容量の光記録媒体(光ディスク)が要求されている。例えば、デジタルハイビジョン放送が始まったことで、フルハイビジョン対応の大画面の液晶やプラズマテレビが普及するようになったが、従来の光記録媒体であるDVD(digital versatile disc)では記録容量が小さく、高品位の動画像を長時間録画することができなかった。そこで、高密度大容量の光記録媒体の新規格として、青色レーザー光で情報を記録・再生するブルーレイディスクが開発され、販売されるようになった。
この新規格では、光記録媒体の大容量化のために波長405nmの青色レーザー光を採用し、記録・再生光学系対物レンズ(光学レンズ)の開口数(NA)を0.85に大きくして、記録・再生時のレーザービームスポット径をDVDの約0.44倍まで小さく、また信号が記録されるトラックピッチ(間隔)を約0.43倍に狭くすることにより、DVDの約5倍以上もの大容量化が実現されている。
一般に、光ディスクには、レーザー入射側から見てディスク表面に、傷やホコリからの保護として透明な保護層(カバー層)が施されている。保護層の厚み(保護層の高さ;ディスク表面と信号の記録面との距離)は、DVDでは約600μmであったが、ブルーレイディスクでは、高NA化を実現するために約100μmと大幅に薄くなっており、これにより、ディスクの反り等による傾きで生じるレーザー光スポットの歪(ボケ)が抑えられ、信頼性の高い記録・再生が実現されるようになっている。
このような光ディスクの保護層に関し、特許文献1には、その厚みの均一性が情報の記録再生に大きな影響を与えるために、非常に高い均一性が要求される旨が記載されており、特許文献2には、ディスク表面から記録層までの厚さむらが±2μm公差をクリアする必要性が記載されている。また、特許文献3には、光透過層の膜厚と弾性率の積を一定値以下とすることにより、反りの発生が抑制される旨が記載されており、特許文献4には、保護層として積層シートを用いた場合、積層シートを巻き取る際に生じる圧迫痕や凹み等の傷が原因でレーザー光のスポット位置が変動し、データの書き込みや読み出しのエラーが発生することが記載されている。更に、特許文献5には、光透過層を形成する硬化性組成物として、ジブチル錫ラウレートを用いて得たウレタンアクリレートを含む硬化性組成物が開示されている。
特開2006−351102号公報(第3頁) 特開2007−115356号公報(第2〜3頁) 特開2007−102980号公報(第2、5、8、11〜14頁) 特開2008−126518号公報(第1〜2頁) 特開2008−192217号公報(第12〜13頁)
上記のように、種々の光ディスク用の樹脂組成物が開発されている。
ここで、光ディスクを構成する保護層の厚みにムラがあると情報の記録・再生に影響を及ぼすため、保護層の厚みには均一性が求められており、厚みを100μm±2〜3μm内に制御する必要があるが、更に長期安定した情報の記録・再生の観点から、ディスク保存時に保護層の厚みの変化が小さいことや高い透明性(低着色性)も要求される。また、ディスクへの圧迫痕や凹み等の傷(永久的な変形)があると、レーザースポット位置が変動し、この場合も情報の記録・再生に影響を及ぼすことがあるため、永久的な変形を充分に防止することが望まれる。
また保護層の形成方法としては、主に、ポリカーボネート製のシートを紫外線硬化型の接着剤で貼り合わせるシート接着法と、紫外線硬化型の樹脂をスピンコートで塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるスピンコート法との2つの手法があるが、現在はコスト面からスピンコート法が主流になっている。通常、紫外線硬化型の樹脂を用いて保護層を形成する場合、膜厚均一性や、生産性の観点から膜厚安定性が求められるが、紫外線硬化型の樹脂の硬化収縮によって光ディスクに反りが生じることが多々ある。そのため、予めディスク基板を塗布面とは逆に反らすようにしたり、再生・記録装置での補正等が行われたりするが、許容範囲(補正可能な範囲)を超えた反りが発生すると、光ディスクへの正確なデータ記録や再生ができない場合や、再生・記録装置への出し入れができなくなる場合がある。
したがって、光ディスクの保護層等を構成する樹脂組成物には、長期にわたって、硬化物が膜厚均一性、膜厚安定性、透明性(低着色性)等を充分に発揮できるという特性に加えて、永久的な変形を充分に抑制するとともに反りが著しく小さいという特性を充分に発揮することが望まれる。しかしながら、従来の樹脂組成物には、これらの特性をすべて充分に満足できるものは未だない。なお、特許文献5には、錫を使用したウレタンアクリレートを含む硬化性組成物が開示されているものの、光ディスクとして必要な保存性について検討した記載はなく、実施例に開示された樹脂組成物における錫含有量も、著しく多量(40ppm程度)である。
本発明は、上記現状に鑑み、透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや永久的な変形が抑制された硬化物を与えることができ、より信頼性の高い記録・再生を実現できる光ディスク用硬化性樹脂組成物、その硬化物、及び、このような樹脂組成物を硬化させてなる層を有する光ディスクを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、ブルーレイディスク等の大容量光ディスクに用いられる硬化性樹脂組成物について種々検討したところ、(a)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する特定の(メタ)アクリレート化合物と、(b)他の(メタ)アクリレート化合物と、(c)光重合開始剤とを含有する樹脂組成物において、錫含有量を特定すると、その硬化物が透明性や硬度、残膜性に優れるのみならず、長期安定的に、温度変化等による反りの他、圧接痕や凹み等による永久的な変形(永久変形)が充分に抑制されることを見いだし、長期保存安定性に著しく優れた硬化物が得られることを見いだした。特に錫の含有割合を特定値以下とすることによって樹脂組成物の粘度安定性が劇的に改善され、これに起因して、その硬化物が有する透明性や機械的物性等の諸物性の安定性が高められ、長期にわたって膜厚安定性や耐反り性、耐圧痕性等が更に充分に発揮され、高い生産性を得ることが可能になる。また、このような硬化性樹脂組成物が、ブルーレイディスク等の高容量光ディスクにおける保護層等に特に有用なものとなることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
なお、本明細書において、反りが小さいとは、初期の反りが小さいことのみならず、長期安定性を確認する耐熱試験(加熱促進試験)時においても反りが増加しない(小さい)ことを意味し、長期保存安定性に優れるとは、初期の又は加熱促進試験時の低反り性や残膜性、圧接痕や凹み等の永久変形量が小さいことを意味する。
すなわち本発明は、基板と、情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、厚さ20〜150μmの保護層とを有する光ディスクに用いられる硬化性樹脂組成物であって、該硬化性樹脂組成物は、(a)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、(b)該(a)成分以外の(メタ)アクリレート化合物と、(c)光重合開始剤とを含有し、該硬化性樹脂組成物の錫含有量が5ppm以下である光ディスク用硬化性樹脂組成物である。
本発明はまた、上記光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物でもある。
本発明は更に、上記光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層を有する光ディスクでもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物(以下、「樹脂組成物」又は「硬化性樹脂組成物」とも称する。)は、基板と、情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、厚さ20〜150μmの保護層とを有する光ディスクに用いられるものであり、基板、反射膜及び保護層を必須とする光ディスクである限り、更に他の機能層を有するものであってもよく、これらの各層の間に他の機能層を有するものであってもよい。
上記樹脂組成物は、錫含有量が5ppm以下となるものである。樹脂組成物の錫含有量が5ppm以下であると、樹脂組成物の粘度安定性が著しく改善され、機械的物性の安定性が高く、低着色性(透明性)を充分に発揮できる樹脂組成物となる。また、これに起因して、硬化物の膜厚安定性がより高められて生産性が向上するとともに、温度変化(低温)等による反りや、圧接痕や凹み等による永久的な変形(永久変形)が、長期安定的に充分に抑制され、また記録・再生特性を安定的に発揮することが可能になる。一方、錫含有量が5ppmを超えると、粘度が安定しないため、保存安定性に優れた樹脂組成物を得ることができず、本発明の作用効果を発揮することができない。樹脂組成物の錫含有量としては、好ましくは3ppm以下、より好ましくは2.5ppm以下、更に好ましくは2.3ppm以下、特に好ましくは2ppm以下である。また、錫を実質的に含まない、すなわち樹脂組成物の錫含有量が0ppmである形態も本発明の好適な形態の1つであるが、硬化物の透明性や保存安定性をより高めるために、0ppmを超える量とすることも好適である。より好ましくは0.0001ppm以上、更に好ましくは0.0005ppm以上、更に好ましくは0.001ppm以上、より更に好ましくは0.005ppm以上、特に好ましくは0.01ppm以上、最も好ましくは0.02ppm以上である。
なお、本発明における錫含有量は、原子換算での含有量(すなわち錫原子含有量)であり、誘導結合プラズマ分析(Inductively Coupled Plasma:以下「ICP」と称する。)により測定した値を採用するものとする。
上記樹脂組成物は、(a)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、(b)該(a)成分以外の(メタ)アクリレート化合物と、(c)光重合開始剤とを含むものである。なお、これらの必須成分は、各々1種又は2種以上使用してもよく、本発明の作用効果を損なわない限り、他の成分を更に含有していてもよい。
以下では、上記(a)に該当する各化合物を「化合物(a)」と称し、化合物(a)の集合体(すなわち、1以上の化合物(a)の総称)を「(a)成分」と称す。また、上記(b)に該当する各化合物を「化合物(b)」と称し、化合物(b)の集合体(すなわち、1以上の化合物(b)の総称)を「(b)成分」と称す。
上記化合物(a)は、1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。これらの中でも、長期保存安定性に優れるため、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を少なくとも用いることが好適である。また、機械的物性の設計範囲が広い等といった観点からも、ウレタン(メタ)アクリレート化合物が好適である。このように上記(a)成分がウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む形態もまた、本発明の好ましい形態の1つである。
なお、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物及びエポキシ(メタ)アクリレート化合物は、モノマー、モリゴマー又はポリマーのいずれの形態であってもよいが、オリゴマー又はポリマーであることが好適である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、多価アルコールと、有機ポリイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応で得られる化合物が好ましく用いられるが、この反応は通常の手法で行えばよい。例えば、この反応を効率良く行うための触媒として錫含有化合物(例えば、ジブチル錫ラウレート、オクテン酸錫等)を用いることが好ましいが、この場合は、本発明の樹脂組成物としての錫原子含有量が後述する範囲となるように考慮して錫含有化合物の使用量を設定することが好ましい。すなわち例えば、通常一般に使用される量よりも錫含有化合物の使用量を低くすることが好適である。また、この場合は、反応効率の観点から、他の触媒(例えば、トリエチレンジアミン等)を併用することも好適である。
上記多価アルコールは、飽和化合物又は不飽和化合物のいずれであってもよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールベンゼン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられるが、中でもポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられるが、中でもイソホロンジイソシアネートが好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリエステル(メタ)アクリレート化合物は、多塩基酸又はその無水物酸と、多価アルコールと、(メタ)アクリル酸との反応で得られる化合物が好ましく用いられるが、この反応は通常の手法で行えばよい。
上記多塩基酸又はその無水物酸としては、飽和化合物又は不飽和化合物のいずれであってもよく、例えば、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の他、これらの無水物酸が挙げられる。
上記多価アルコールについては、上述した化合物等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシポリ(メタ)アクリレートや、該エポキシ(メタ)アクリレートと多塩基酸無水物との反応で得られるカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートが好ましく使用されるが、この反応は通常の手法で行えばよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリブタンジエン変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記多塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーとは、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有するオリゴマー又はポリマーであれば特に限定されないが、例えば、下記式(1):
Figure 2011074265
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。mは、正の整数である。)で表される繰り返し単位を有するビニル系重合体が好適であり、これにより、硬化物の硬度をより向上することができる。
上記式(1)において、Rで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基、1,4−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,4−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基等が挙げられる。なお、Rで表される置換基は、上記式(1)中にm個存在するが、同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)において、mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、正の整数である。好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数、更に好ましくは1〜5の整数である。
なお、上記式(1)で表される繰り返し単位の数は、正の整数であればよいが、5〜600の整数であることが好適である。より好ましくは20〜300の整数、更に好ましくは40〜200の整数である。
上記式(1)で表されるビニル系重合体としては、数平均分子量(Mn)が500以上であることが好適であり、また、20000以下であることが好適である。500未満であると、硬化速度や硬化物の強度が充分なものとはならないおそれがある。また、20000を超えると、基材との濡れ性や樹脂組成物を調整する際の混合時間、高粘性による塗工時の作業性等の点において、より好適なものとはならないおそれがあり、更に、例えばプラスチック基材に塗布し硬化させて得られた積層体の反りを充分に低減することができないおそれがある。上記数平均分子量は、より好ましくは1000〜20000、更に好ましくは1500〜10000の範囲内である。
本明細書中、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
上記式(1)で表されるビニル系重合体としてはまた、固体状の単量体含有量が多い重合体の場合を除き、液状粘性体として得ることができる。液状粘性体であれば、(メタ)アクリレート系単量体等への溶解性が良いので、樹脂組成物を調整する際に作業効率の向上化が図れる。
上記式(1)で表されるビニル系重合体は、例えば、下記式(2):
Figure 2011074265
(式中、R、R及びmは、各々上記式(1)と同意義である。)で表されるビニル系単量体(「異種重合性モノマー」ともいう。)の1種又は2種以上を用いて、通常のカチオン重合手法により調製することが可能である。また、このビニル系単量体の1種又は2種以上を用い、特開2006−241189号公報に記載された方法でリビングカチオン重合することにより、容易に調製することもできる。なお、上記式(2)で表されるビニル系単量体を2種以上を併用する場合、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体又はその組み合わせのいずれであってもよく、また、グラフト共重合体であってもよい。
上記式(2)で表されるビニル系単量体の具体例としては、例えば、下記化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルフェニルメチル、
(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エトキシ)エチル。
これらのビニル系単量体の中でも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
上記式(1)で示されるビニル系重合体はまた、カチオン重合可能なモノマーに由来する構造単位を有する共重合体であってもよい。このような共重合体は、上記式(2)で示されるビニル系単量体と、カチオン重合可能なモノマーとを、カチオン重合又はリビングカチオン重合することにより、容易に調製することができる。この際、各モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を併用してもよく、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体又はその組み合わせのいずれであってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
上記カチオン重合可能なモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジヒドロフラン等のビニルエーテル化合物;スチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;イソプロペニルスチレン、ケイ皮酸2−ビニロキシエチル、ソルビン酸2−ビニロキシエチル等のジビニル化合物やトリビニル化合物等が挙げられる。中でも、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジヒドロフラン、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物が好適である。
上記式(2)で示されるビニル系単量体とカチオン重合可能なモノマーとを重合する場合、これらのモル比(カチオン重合可能なモノマー/上記式(2)で示されるビニル系単量体)としては、0.1〜10の範囲内であることが好ましい。このような範囲に調整することによって、硬化物の架橋密度が高く表面硬度に優れ、かつ硬化収縮の少ない共重合体を得ることが可能となる。より好ましくは0.5〜8、更に好ましくは0.8〜5である。
なお、上記式(2)で示されるビニル系単量体は、ラジカル重合性又はアニオン重合性の(メタ)アクリロイル基と、カチオン重合性のビニルエーテル基とを同時に有するため、重合方法を選択することにより、(メタ)アクリロイル基又はビニルエーテル基をペンダント基として有するポリマーを得ることができる。したがって、上記式(2)で表されるビニル系単量体のビニルエーテル基を、単独で、又は、カチオン重合可能なモノマーと共に、カチオン重合若しくはリビングカチオン重合させることによって、(メタ)アクリルロイル基をペンダント基として有する、上記式(1)で表されるビニル系重合体を得ることができる。
上記化合物(a)はまた、単独の硬化物のガラス転移温度(「Tg」とも称す。)が−10〜45℃となるものが好ましい。−10℃未満では、圧迫痕や凹み等の永久的な変形を充分に抑制することができず、45℃よりも大きいと、反りを充分に防止することができず、いずれの場合も長期保存安定性に優れた硬化物が得られないおそれがある。好ましくは−5℃以上、より好ましくは0℃以上、更に好ましくは10℃以上であり、また、好ましくは40℃以下、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下である。
ここでのガラス転移温度は、上記化合物(a)を単独で硬化して得た硬化物について、下記測定条件の下、動的粘弾性測定法により求められる値であり、最大tanδ値の温度を採用するものとする。
<測定条件>
引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性の測定を行う。
上記化合物(a)は更に、単独の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなるものが好ましい。10MPa未満では、圧迫痕や凹み等の永久的な変形を充分に抑制することができず、900MPaよりも大きいと、反りを充分に防止することができず、いずれの場合も長期保存安定性に優れた硬化物が得られないおそれがある。好ましくは30MPa以上、より好ましくは50MPa以上である。また、好ましくは800MPa以下、より好ましくは600MPa以下、更に好ましくは400MPa以下、最も好ましくは300MPa以下である。
ここでの貯蔵弾性率は、25℃における貯蔵弾性率を意味し、上記ガラス転移温度と同様に、上記化合物(a)を単独で硬化して得た硬化物について、上記測定条件の下で動的粘弾性測定法により求められる値である。
このように上記(a)成分は、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物を含むものであることが好適であり、このような形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。すなわち、上記(a)成分は、分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であって、かつ、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物を含むものであることが好ましい。これによって、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。中でも、上記(a)成分が、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物のみで構成されること、すなわち上記(a)成分が、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物の1種又は2種以上から構成されることがより好ましい。
上記化合物(b)は、上記(a)成分以外の(メタ)アクリレート化合物であるが、上記(a)成分と共硬化可能な化合物であることが好ましく、単量体(モノマー)の形態であることが好適である。化合物(b)を含むことにより、液粘度や硬化物の物性を調節することができるという効果を奏する。なお、化合物(b)は1種の化合物であってもよいし、2種以上であってもよい。
このような化合物(b)としては、化合物(b)の合計量に対する平均アクリル当量が230以上となるように使用することが好適である。これにより、光ディスクの反りがより低減され、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能になる。このように、上記化合物(b)の平均アクリル当量が230以上である形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。より好ましくは240以上、更に好ましくは250以上、特に好ましくは260以上である。また、上記化合物(b)の平均アクリル当量は400以下であることが好適である。これによって、光ディスクに凹み等が付くことがより抑制され、また長期保存安定性を更に発揮できる。より好ましくは390以下、更に好ましくは380以下である。特に上記化合物(b)の平均アクリル当量が230〜400の範囲にあると、得られた硬化物が透明性や硬度、残膜性に優れるのみならず、反りが著しく小さく、しかも圧接痕や凹み等による永久的な変形(永久変形)が充分に抑制され、長期保存安定性に優れた硬化物が得られるという効果をより充分に発揮できることになる。
上記化合物(b)の平均アクリル当量は、Mx×Ax÷Aの総和で求められる。
なお、Mxとは、化合物(b)に該当する(メタ)アクリル酸エステルxの分子量であり、(メタ)アクリル酸エステルxが有する(メタ)アクリロイル基が1つの場合は、該(メタ)アクリル酸エステルxの分子量の値を「Mx」とする。(メタ)アクリロイル基が2つ以上の場合は、(メタ)アクリル酸エステルxの分子量÷(メタ)アクリロイル基の数を「Mx」とする。Axは、(メタ)アクリル酸エステルxの質量(質量部)である。Aは、樹脂組成物に含まれるすべての化合物(b)の合計量の総和(質量部)である。
上記化合物(b)として具体的には、上述した一般式(2)で表されるビニル系単量体や下記化合物等の1種又は2種以上が好適である。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の1官能(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、アルキレンオキサイド変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、等の(メタ)アクリル酸系誘導体;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート等のエーテル構造を有する(メタ)アクリル系誘導体;
4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、等の1,3−ジオキソラン系モノマー等。
またエーテル構造を有する(メタ)アクリル系誘導体は、貯蔵弾性率の調整に有用である。エーテル構造が増加すると貯蔵弾性率が下がり、アクリル基量が増加すると貯蔵弾性率が上がる効果を有する。エーテル構造を有する(メタ)アクリル系誘導体として好ましくは、2官能又は3官能のアクリレートであり、エーテル構造は好ましくはオキシアルキレン骨格を有する2価アルコール部位を有する。オキシアルキレン骨格を有する2価アルコールとしては、オリゴエチレングリコール、オリゴプロピレングリコール、オリゴブチレングリコール、オリゴ(エチレン−プロピレン)グリコール等が挙げられ、オリゴエチレングリコール、オリゴ(エチレン−プロピレン)グリコールが特に好ましい。(メタ)アクリル系誘導体中のオキシアルキレン骨格の繰り返し数は4〜16が好ましく、6〜14がより好ましい。これらの中でも、特に、圧接痕や凹み等による永久的な変形(永久変形)がより充分に抑制され、長期保存安定性に更に優れた硬化物が得られるため、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくはビスフェノールAのエチレンオキシド10モル付加物のジ(メタ)アクリレートである。
このような観点からは、上記化合物(b)としては、2官能以上の化合物や、エーテル構造を有する(メタ)アクリル系誘導体が好適であるが、これらの化合物(b)の中でも、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート等を用いることが特に好適である。これらを用いることによって、得られた硬化物が透明性や硬度、残膜性に優れるのみならず、反りが著しく小さく、しかも圧接痕や凹み等による永久的な変形(永久変形)が充分に抑制され、長期保存安定性に優れた硬化物が得られるという本発明の効果を更に充分に発揮できる。
上記化合物(b)としてはまた、通常使用されるポリポリカーボネート基板との密着性が良好な点からは、上記一般式(2)で表されるビニル系単量体(異種重合性モノマー)が好適に使用できる。中でも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。中でも、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
上記化合物(b)として特に好ましくは、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、ラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、及び、上記一般式(2)で表されるビニル系単量体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。
上記樹脂組成物において、上記(a)及び(b)成分の含有割合としては、これらの総量100質量%に対し、各々、(a)15〜60質量%、(b)40〜85質量%であることが好ましい。このような範囲に設定することにより、得られた硬化物が透明性や残膜性、膜厚均一性に優れるとの特性に加えて、永久的な変形を充分に抑制するとともに、反りが著しく小さいという特性をより充分に発揮できることになる。なお、(a)成分の含有割合を15質量%以上とすることで、硬化後の反りを更に充分に抑制し、長期保存安定性に更に優れる硬化物を得ることが可能になる。上記(a)及び(b)成分の総量100質量%に対し、(a)成分の含有割合のより好ましい範囲は20〜55質量%、更に好ましくは25〜50質量%である。また、(b)成分の含有割合のより好ましい範囲は45〜80質量%、更に好ましくは50〜75質量%である。
本発明ではまた、上記(a)及び(b)成分に加え、その他の共硬化可能な成分として、下記の不飽和化合物等の1種又は2種以上含んでいてもよい。
スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリルエステル系モノマー;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテル等のアリルエーテル系モノマー;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル系モノマー;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等のフマル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルピロリドン等。
これら不飽和化合物の含有割合は、上記(a)及び(b)成分と不飽和化合物との総量100質量%に対し、0〜30質量%であることが好適である。より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
なお、以下では、上記(a)及び(b)成分と上記不飽和化合物とを総称して「重合性成分」と称す。すなわち、重合性成分とは、上記(a)及び(b)成分からなり、更に上記不飽和化合物を含んでもよいものである。言い換えると、本発明の上記光ディスク用硬化性樹脂組成物が上記不飽和化合物を含まない場合は、上記(a)及び(b)成分からなる成分を意味し、上記不飽和化合物を含む場合は、上記(a)及び(b)成分と、上記不飽和化合物との混合物を意味する。
本発明の樹脂組成物はまた、必須成分として、上述した(a)及び(b)成分に加えて光重合開始剤(c)を含有するが、光重合開始剤を含むことにより、光照射によって速やかに硬化させることができるという効果を奏する。
上記光重合開始剤(c)としては、光線の照射により重合開始ラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤や、光線の照射により重合開始カチオンを発生する光カチオン重合開始剤が好適であり、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン類が好適であり、具体的には1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが好適である。その中でも、光ディスク用硬化性樹脂組成物を保護層として用いた光ディスクの耐久性を向上させ、耐熱試験時の反りの増加を抑制するとの理由から、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}が特に好適である。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のアリールスルフォニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアリールヨウドニウム塩;フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート等のアリールジアゾニウム塩が挙げられる。中でも、アリールスルフォニウム塩、ジアゾニウム塩が好適であり、特に、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記樹脂組成物中、上記光重合開始剤(c)の含有量としては、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.1〜5重量部であることが好適である。0.1重量部未満であると、樹脂組成物が充分に硬化しないおそれがあり、5重量部を超えると、臭気発生や硬化物の着色を充分に抑制できないおそれや、樹脂組成物のリサイクル性や硬化物の長期保存安定性が良好なものとはならないおそれがある。より好ましくは1〜3重量部、更に好ましくは1〜2重量部である。
本発明の樹脂組成物は更に、上述した(a)〜(c)の必須成分に加えて、紫外線吸収剤や熱重合開始剤を含んでもよい。紫外線吸収剤を含む場合には、樹脂組成物のリサイクル性を高め、硬化速度を調整し光ディスクの反りを低減できるという効果をより充分に発揮することが可能になる。熱重合開始剤を含む場合には、樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合に発生する熱を利用し、更に硬化を進めることができるという効果を奏する。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、無機酸化物系紫外線吸収剤等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、サリチル酸グリコール、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメチルPABA(para-aminobenzoic acid)オクチル、ジメチルPABAエチルヘキシル等が挙げられ、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「TINUBIN PS」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、2−{2−ヒドロキシ−4−(1−オクチルオキシカルボニルエトキシ)フェニル}−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名「TINUBIN 479」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール(商品名「RUVA93」、大塚化学社製)、オクチル−3−{3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−yl)フェニル}プロピオン酸・2−エチルヘキシル−3−{3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−yl)フェニル}プロピオン酸(商品名「TINUBIN 109」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が好ましく使用される。
上記紫外線吸収剤の添加量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.03〜2重量部であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
上記熱重合開始剤としては、加熱により重合開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤と、加熱により重合開始カチオンを発生する熱カチオン重合開始剤が好適である。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、下記の有機過酸化物系開始剤やアゾ系開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、アセチルアセテートペルオキシド、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、m−トルオイルベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシソブチレート、t−ブチルペルオキシマレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルペルオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤;
2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤等。
これらの熱ラジカル開始剤の中でも、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド等の、金属石鹸及び/又はアミン化合物等の触媒作用により効率的にラジカルを発生させることができる化合物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好適である。
上記熱カチオン重合開始剤としては、下記の化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ、二塩化ジブチル第二スズ、二臭化ジブチル第二スズ、テトラエチルスズ、テトラブチルスズ、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム等)と、電子供与性化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等)との錯体;プロトン酸(例えば、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノエステル類、ホウ酸ジエステル類等)を塩基(例えば、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン等)により中和した化合物。これらの中でも、各種プロトン酸のアミン錯体が、可使時間の調整が容易であるので好適である。
ここで、上記熱ラジカル重合開始剤を用いる場合には、熱ラジカル重合開始剤の分解温度を低下させるために、熱重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる熱重合促進剤を用いることができる。
上記熱重合促進剤としては、例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウム等の金属石鹸、1級、2級、3級のアミン化合物、4級アンモニウム塩、チオ尿素化合物、ケトン化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、トリエタールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2−ヒドロキシエチル)p−トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルが好適である。
上記熱重合促進剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.001〜10重量部であることが好適である。熱重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、樹脂組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。より好ましくは0.01〜5重量部、更に好ましくは0.05〜3重量部である。
上記性樹脂組成物にはまた、必要に応じ、光増感剤、光重合促進剤、金属酸化物粒子、表面機能調整剤、溶剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記光増感剤とは、光励起により生じた励起状態から光重合開始剤に励起エネルギーを移し、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができるものであり、例えば、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記光増感剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.05〜20重量部が好適である。光増感剤の配合量がこのような範囲内であれば、樹脂組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。より好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部である。
上記光重合促進剤とは、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができるものであり、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−n−ブトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の1種又は2種以上を用いることができる。中でも、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好適である。
上記光重合促進剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.05〜20重量部が好適である。光重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、樹脂組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。より好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部である。
上記金属酸化物粒子とは、金属酸化物からなる粒子を意味し、好ましくは金属酸化物からなる微粒子である。このような金属酸化物粒子を含有する場合には、上記樹脂組成物から形成される硬化物の硬度が向上し、より傷つきにくく、低反射性のコーティング膜が得られるという効果を奏するため、好適である。
上記粒子を構成する金属酸化物は、Si、Ti、Zr、Zn、Sn、In、La及びYよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む酸化物であることが好適である。金属酸化物は、これらの元素を含む単独の酸化物であってもよいし、これらの元素を含む複合酸化物であってもよい。
上記粒子を構成する金属酸化物の具体例としては、例えば、SiO、SiO、TiO、ZrO、ZnO、In、La、Y、SiO−Al、SiO−Zr、SiO−Ti、Al−ZrO、TiO−ZrO等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、SiO、TiO、ZrO、ZnOが好適である。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、1〜300nmであることが好適である。300nmを超えると、硬化物の透明性が充分とはならないおそれがある。より好ましくは1〜300nm、更に好ましくは1〜50nmである。
なお、ここでいう粒子の平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することにより求められる体積平均粒子径を意味する。
上記金属酸化物粒子の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0〜80重量部であることが好適である。80重量部を超えると、硬化物が脆くなるおそれがある。より好ましくは0〜50重量部である。
上記表面機能調整剤を含有することにより、耐指紋除去性が良好になるが、表面機能調整剤としては、一般的には、フッ素系化合物やシリコーン系化合物が用いられる。本発明では、用途に応じ、例えば、ポリエーテル変性フッ素系化合物、反応性基(例えば(メタ)アクリレート)を有するポリエーテル変性フッ素系化合物、非反応性シリコーン、反応性(例えば(メタ)アクリレート)シリコーン、高分子シリコーン、マクロモノマー系シリコーンのいずれも用いることができる。
上記溶剤とは、揮発性を有するか又は低沸点のいわゆる有機溶剤を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族又は脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記樹脂組成物には更に、必要に応じ、添加物として、無機充填剤、低収縮化剤(反応性オリゴマー又はポリマー、非反応性オリゴマー又はポリマー)、着色顔料、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、近赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤等の1種又は2種以上を使用することができる。なお、これらの添加物の存在は、特に本発明の効果に影響を及ぼすものではない。
上記添加物の配合量は、添加物の種類や使用目的、組成物の用途や使用方法等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、無機充填剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部、更に好ましくは20〜50重量部である。低収縮化剤、着色顔料、可塑剤又は援変化剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部、更に好ましくは10〜25重量部である。重合禁止剤、酸化防止剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤又は援変助剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。
本発明の樹脂組成物は、上述した(a)〜(c)の必須成分と、更に必要に応じて含まれる上記成分とを配合し、通常の手法により混合・攪拌することにより得ることができる。
このような樹脂組成物の粘度は、25℃において、800〜3500mPa・sであることが好適である。この範囲外であると、例えば上記樹脂組成物を用いて光ディスクの保護層を形成した場合に、保護層の厚みを100μm±2μmに制御できないおそれがある。具体的には、中心部の保護層の厚みがより薄くなったり、端部の保護層の厚みが厚くなったりするおそれがある。より好ましくは900〜3000mPa・s、更に好ましくは1000〜2500mPa・sである。
なお、上記樹脂組成物の粘度は、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業社製)を用いて算出することができる。
上記樹脂組成物は、紫外線を照射することで硬化させることができる。ここでいう硬化とは、流動性のない状態にすることを意味する。
使用する紫外線の波長は、150〜450nmの範囲内であればよい。このような波長を発する光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射積算光量は、好ましくは0.1〜3J/cm、より好ましくは0.2〜2.0J/cm、更に好ましくは0.3〜1.0J/cmの範囲内である。
上記樹脂組成物はまた、光照射による硬化と共に加熱による硬化を行ってもよい。この場合は、上述した光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。加熱温度は、基材の種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、更に好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、更に好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
上記樹脂組成物は更に、光照射による硬化と共に電子線照射による硬化を行ってもよい。この場合、加速電圧は、好ましくは0〜500kV、より好ましくは20〜300kV、更に好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、更に好ましくは4〜200kGyの範囲内である。
上記樹脂組成物を硬化して得られる硬化物もまた、本発明の1つであるが、該硬化物は、透明性や硬度、残膜性に優れるのみならず、反りが著しく小さく、しかも圧接痕や凹み等による永久的な変形(永久変形)が充分に抑制されて、長期保存安定性に著しく優れたものである。そのため、この硬化物は、光ディスクを構成する層(硬化膜)として特に有用なものである。このように上記光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層を有する光ディスクもまた、本発明の1つである。
上記光ディスクは、基板と、情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、厚さ20〜150μmの保護層とを有するものであるが、基板、反射膜及び保護層を必須とする光ディスクである限り、更に他の機能層を有するものであってもよく、これらの各層の間に他の機能層を有するものであってもよい。このような光ディスクとしては、特にブルーレイディスクであることが好適である。なお、情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜としては、例えば、金、銀、アルミニウム、又は、それら金属を含む合金からなる膜が好適である。
上記光ディスクとしては、例えば、基板(又は基板上に形成された機能層)上に形成された反射膜上に、本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化させてなる保護層を形成することで得ることができるが、ここでいう「反射膜上」とは、反射膜に直接保護層を積層する形態だけでなく、反射膜上に機能層が積層され、その機能層上に保護層が積層される形態も意味する。
上記光ディスクにおいて、本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物は、光透過層を形成する材料として好適に用いることができるが、中でも、保護層の形成に特に好ましく用いられる。この場合、低反り性(低収縮性)、透明性(光透過性)、基板(例えば、ポリカーボネート基板等)との密着性、低腐食性、リサイクル性、速硬化性(生産性)、防汚性、寸法安定性、長期保存安定性(加熱促進試験時の反りの変化、残膜性、圧接痕や凹み等の永久変形量が小さいこと)等の特性を全て満たす保護層を実現することが可能になる。
また近年では、光ディスクの記録容量を上げるために情報記録層を2層以上有する多層構造の光ディスクも開発されており、このような光ディスクにおいては、情報記録層間に透明な紫外線硬化型樹脂を紫外線にて硬化させた中間層が形成されている。本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物は、保護層を形成する材料として特に好ましいが、この中間層を形成する材料として用いることも好適である。すなわち、上記光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化させてなる保護層及び/又は中間層を有する光ディスクは、本発明の好適な実施形態の1つである。
なお、上記樹脂組成物を用いることにより、硬化塗膜が傷つきにくい光ディスク(光記録媒体)の透明保護層(透明カバー層)を形成することができるが、更に性能向上が求められる場合は、保護層の上に、帯電防止層、撥水層、撥油層、ハードコート層等の層を形成してもよい。
上記樹脂組成物を硬化して得られる硬化物(硬化させてなる層)は、25℃における貯蔵弾性率が10MPa以上、500MPaであることが好適である。500MPaより大きいと、硬化物の反りをより充分に抑制することができないおそれがあり、また10MPa未満であると、圧接痕や凹み等による永久変形をより充分に抑制できないおそれがある。より好ましくは20MPa以上、更に好ましくは40MPa以上、特に好ましくは60MPa以上であり、より好ましくは400MPa以下、更に好ましくは300MPa以下、特に好ましくは200MPa以下、最も好ましくは150MPa以下である。
上記硬化物(硬化させてなる層)はまた、ガラス転移温度(Tg)が5〜40℃となるものであることが好適である。40℃より大きいと、硬化物の反りをより充分に抑制することができないおそれがあり、また5℃未満であると、圧接痕や凹み等による永久変形を更に充分に抑制できないおそれがある。より好ましくは10℃以上、更に好ましくは13℃以上、特に好ましくは15℃以上であり、より好ましくは35℃以下、更に好ましくは30℃以下、特に好ましくは25℃以下である。
上記硬化物(硬化させてなる層)は更に、ガラス転移温度におけるTanδ値が0.25〜0.70であることが好適である。より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.55以下である。
ここで、上記貯蔵弾性率、ガラス転移温度及びTanδ値は、上述した化合物(a)の単独硬化物と同様にして求めることができる。なお、ガラス転移温度は、最大tanδ値の温度を採用するものとする。
上記硬化物(硬化させてなる層)はまた、厚さ100μmでの405nmにおける光線透過率が85%以上となることが好適である。85%未満であると透明性が充分ではなく、記録された情報の読み出し時にエラーが増加するおそれがあるため、光ディスクにより好適なものとすることができないおそれがある。より好ましくは88%以上、更に好ましくは89%以上である。
上記光線透過率は、分光光度計により測定することができる。
上記硬化物(硬化させてなる層)はまた、70℃のオーブン中で100時間保持させた場合の質量減量(質量減少)率が、0.1〜2質量%となることが好適である。なお、質量減少は、未架橋の重合性モノマー成分、光重合開始剤の残渣やその分解生成物、低分子量の添加剤等が原因と考えられるが、2質量%より大きい場合には、揮発成分の硬化物表面へのブリードアウトや、保護層の厚み変化により記録された情報の読み出し時のエラー発生を充分に低減することができず、光ディスクの長期保存安定性が良好とはならないおそれがある。また、質量減少率を0.1質量%未満とするためには、硬化物の乾燥(減圧)工程等が必要なためコストアップとなる。すなわち、質量減量率を上記範囲に設定することにより、例えば、光ディスクにおいて経時的な表面精度の低下が少なく保存安定性が向上するのみならず、自動車内等での使用や保存がより可能となる。より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
上記質量減少率は、厚みが100μm±2μmの硬化物について測定するものとする。
上記硬化物(硬化させてなる層)は、20〜150μmの厚みを有する。厚みの上限値は、好ましくは120μm、より好ましくは105μmであり、下限値は、好ましくは50μm、更に好ましくは70μmである。すなわち、上記光ディスクにおける保護層等の厚みは20〜150μmであればよいが、50〜105μmであることがより好ましく、70〜120μmであることが更に好ましい。
上記硬化物(硬化させてなる層)はまた、本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物から形成されるものであるため、硬化後の厚み変化を±2μm内に制御することができる。
本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物は、上述のような構成よりなるので、膜厚均一性、膜厚安定性に優れ、保存安定性に著しく優れるものであり、この樹脂組成物を硬化して得られる硬化物は、透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや永久的な変形が抑制されるうえ、生産性が高いものである。このような樹脂組成物を光ディスクに用いれば、より信頼性の高い記録・再生を実現できるため、特に、ブルーレイディスク等の各種光ディスクを構成する保護層や中間層等の層形成材料として有用である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記製造例において、重合体の数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度及び貯蔵弾性率は、各々上述した方法にて測定した。また、実施例及び比較例における各種物性の評価は、下記方法にて行った。
<各種物性の評価方法>
(1)錫含有量
得られた樹脂組成物を、ICP分析により測定した値を採用する。
(2)樹脂組成物粘度
得られた樹脂組成物を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した値を採用した。
(3)保護層 25℃における貯蔵弾性率
得られた基板/保護層の積層体から、保護層(樹脂組成物の硬化膜(硬化物))のみを所定の寸法で剥がし取り、引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性の測定を行い、得られた25℃における貯蔵弾性率の値を採用した。
(4)保護層 ガラス点移転温度(Tg)
25℃における貯蔵弾性率と同様の測定方法及び条件により得られた値であり、最大tanδ値の温度を採用した。
(5)保護層 ガラス転移温度におけるtanδ値
25℃における貯蔵弾性率と同様の測定方法及び条件により測定されるガラス転移温度のtanδ値を採用した。
(6)永久変形量(μm)
得られた基板/保護層の積層体を用いて、微小圧縮試験機(島津製作所製、型式MCT−W500)により、試験条件として、使用平面圧子50μm径、負荷速度20mN/秒、最大荷重300mN、最大荷重での保持時間90秒、徐荷速度20mN/秒、完全徐荷後の保持時間90秒とした場合の、積層体に残る変形量を測定した値を採用した。
なお、この試験により永久変形量が1μmを超える場合には、圧接痕や凹み等により長期保存安定性に劣る場合がある。
(7)硬化時(初期)の反り増加量
得られた基板/保護層の積層体を、保護層(樹脂組成物の硬化膜(硬化物))が上面側になるように水平なガラス板上に置いた後、日本触媒社製のレーザー変位読取方式の反り角測定装置を使い、温度25℃、相対湿度50%環境下にて、半径58mm位置におけるラジアルチルト値を測定した。硬化時(初期)の反り増加量としては、塗布前後の反り変化量を採用した。
(8)加熱促進試験後の反り増加量
得られた基板/保護層の積層体を、70℃のオーブン中で100時間保持させ、更に、温度25℃、相対湿度50%環境下に24時間放置したときの反り値を、硬化時(初期)の反り増加量と同様にしてラジアルチルト値を測定した。
(9)反り総合評価
硬化時(初期)の反り増加量と加熱促進試験後の反り増加量とを合算し、得られた反り量を以下の基準で評価した。
◎:0.5°未満
○:0.5°以上、0.8°以内の変化
×:0.8°を超える変化
なお、0.8°を超える反り変化があれば、製造工程の工夫や透明カバー樹脂の改良を実施しても、反り規格内への改善は困難となるおそれがある。
(10)保護層の透明性
得られた基板/保護層の積層体から保護層(樹脂組成物の硬化膜(硬化物))のみを所定の寸法で剥がし取り、405nmにおける光線透過率を、分光光度計(型式UV−3100、島津製作所社製)を用いて測定した。空気をブランクとして採用した。次いで、算出された光線透過率の値について下記の基準により評価した。
○:透過率が89%以上
△:透過率が85%以上89%未満
×:透過率が85%未満
(11)保護層の残膜性
加熱促進試験(70℃のオーブン中で100時間保持)前後の保護層の厚みを、レーザーフォーカス変位計を用いて測定し、残膜率(%)を〔(加熱促進試験後の膜厚/加熱促進試験前の膜厚)×100〕で算出し、以下の基準で残膜性を評価した。
○:残膜率が98.0%以上、102%未満
×:残膜率が98.0%未満又は102%以上
(12)長期保存後の粘度安定性
樹脂組成物の初期(製造直後)の粘度(初期値)と、樹脂組成物を長期保存後(70℃オーブン中、遮光下で、30日間密閉された容器で保存した後)の粘度とを比較し、初期値に対して長期保存後の粘度がどの程度変化したかによって、下記の基準で粘度安定性を評価した。
○:初期値と比べ±5%未満の変化である場合
×:初期値と比べ±5〜10%以内の変化である場合
××:初期値と比べ±10%を超える変化である場合
(13)長期保存後の機械的物性の安定性
樹脂組成物の初期(製造直後)の25℃貯蔵弾性率(初期値)と、樹脂組成物を長期保存後(70℃オーブン中、遮光下で、30日間密閉された容器で保存した後)の25℃貯蔵弾性率とを比較し、初期値に対して長期保存後の25℃貯蔵弾性率がどの程度変化したかによって、下記の基準で機械的物性の安定性を評価した。
○:25℃貯蔵弾性率の変化が初期値と比べ±5%未満の変化である場合
△:初期値と比べ±5〜10%以内の変化である場合
×:初期値と比べ±10%を超える変化である場合
製造例1(UA−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート340g、ジブチルスズジラウレート0.015gを加え、80℃へ昇温した。一定温度後、ポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG2000」150gと、旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」150gとの混合物を2時間かけて滴下し、滴下終了後、5時間、80℃温度を保った。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート180gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、15時間、80℃の温度を保ち、ウレタンアクリレート(「UA−1」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は5500、分子量分布(Mw/Mn)は3.61、ガラス転移温度は10℃、25℃の貯蔵弾性率は150MPaであった。
製造例2(UA−2の合成)
製造例1のポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG2000」150gと、旭電化製ポリプロピレングリコール「P−2000」150gとの混合物を、旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」300gに変更したこと以外は、製造例1と同様にしてウレタンアクリレート(「UA−2」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は5600、分子量分布(Mw/Mn)は3.71、ガラス転移温度は−5℃、25℃の貯蔵弾性率は10MPaであった。
製造例3(UA−3の合成)
製造例1のポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG2000」150gと、旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」150gとの混合物を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG2000」300gに変更したこと以外は、製造例1と同様にしてウレタンアクリレート(「UA−3」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は5900、分子量分布(Mw/Mn)は3.91、ガラス転移温度は35℃、25℃の貯蔵弾性率は450MPaであった。
製造例4(UA−4の合成)
製造例1のポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG2000」150gと、旭電化製ポリプロピレングリコール「P−2000」150gとの混合物を、ポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG1000」150gに変更したこと以外は、製造例1と同様にしてウレタンアクリレート(「UA−4」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は3900、分子量分布(Mw/Mn)は4.31、ガラス転移温度は45℃、25℃の貯蔵弾性率は870MPaであった。
製造例5(UA−5の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート340g、ジブチルスズジラウレート0.5gを加え、80℃へ昇温した。一定温度後、ポリテトラメチレンエーテルグリコール三菱化学製「PTMG2000」150gと、旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」150gとの混合物を2時間かけて滴下し、滴下終了後、2時間、80℃温度を保った。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート180gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、5時間、80℃の温度を保ち、ウレタンアクリレート(「UA−5」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は5500、分子量分布(Mw/Mn)は3.61、ガラス転移温度は10℃、25℃の貯蔵弾性率は150MPaであった。
製造例6(P−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル150gを加え、50℃へ昇温した。昇温後、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)50g及び2−エチルヘキシルビニルエーテル150gの混合物と、酢酸エチル25g及びリンタングステン酸13mgとの混合溶解物とを、それぞれ3時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(「P−1」と称する。)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.6%であること、更に、酢酸エチルの含有量は0.1%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体の数平均分子量(Mn)は2210、分子量分布(Mw/Mn)は1.61、ガラス転移温度は23℃、貯蔵弾性率は100MPaであった。
実施例1
製造例1で合成したUA−1を30重量部、ビスフェノールAのエチレンオキシド10モル付加物のジアクリレート(商品名「SR−602」、サートマー社製)40重量部、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド6モル付加物のトリアクリレート(商品名「SR−499」、サートマー株式会社製)20重量部、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)10重量部、及び、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)2重量部を、混合・攪拌して、光ディスク用硬化性樹脂組成物(1)を調製した。
次に、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート基板(PC基板)上に、スピンコーターにて光ディスク用硬化性樹脂組成物(1)を厚さ100μm設定で塗布した(保護層)。得られたPC基板を、キセノンフラッシュUVランプを有するUV照射機(米国キセノン社製 形式RC−801)を用いて、窒素雰囲気下、ランプ高さ2cmでフラッシュを15回照射した。なお、320〜390nmにおける照射積算光量は約0.5J/cmであった。保護層の厚さをレーザーフォーカス変位計を用いて測定したところ、100±2μmであった。
得られた光ディスク用硬化性樹脂組成物(1)、及び、基板/保護層の積層体(1)の評価を行った。なお、評価は、初期の性能(すなわち、樹脂組成物又は積層体の製造直後の性能)、及び、長期保存後の性能(すなわち、樹脂組成物を、70℃オーブン中、遮光下で、30日間密閉された容器で保存した後の性能又は該保存後の樹脂組成物を用いて得た積層体の性能)との両方の性能を評価した。結果を表2に示す。
実施例2〜16、比較例1〜4、参考例1〜2
実施例1と同様にして、各成分を表1−1及び2−1に示した割合で混合・撹拌して、光ディスク用硬化性樹脂組成物(2)〜(16)、比較用樹脂組成物(1)〜(4)及び参考用樹脂組成物(1)〜(2)を各々得た。得られた樹脂組成物を実施例1と同様に評価した。結果を表1−2及び2−2に示す。
なお、実施例2〜3、比較例1〜2及び4では、各成分を混合・撹拌して樹脂組成物を調製する際に、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)を表1−1及び2−1に示す量(単位:部)追加して、樹脂組成物を調製した。
Figure 2011074265
Figure 2011074265
Figure 2011074265
Figure 2011074265
表1−1及び2−1中の略称は、以下のとおりである。なお、下記化合物中、括弧書きにて示したTgは、それを単独で硬化した硬化物のTgを意味する。また、表1−1、2−1中の(a)成分の貯蔵弾性率は、その単独の硬化物の貯蔵弾性率(25℃)を意味する。
UA−1:製造例1で得たウレタンアクリレート
UA−2:製造例2で得たウレタンアクリレート
UA−3:製造例3で得たウレタンアクリレート
UA−4:製造例4で得たウレタンアクリレート
UA−5:製造例5で得たウレタンアクリレート
P−1:製造例6で得たビニル系重合体
CN2302:ポリエステルアクリレート(サートマー社製、Tg:45℃、貯蔵弾性率:860MPa)
UV−1700B:ウレタンアクリレート(日本合成化学工業社製、Tg:60℃、貯蔵弾性率:1200MPa)
Bis10EO−A:ビスフェノールAのエチレンオキシド10モル付加物のジアクリレート(商品名「SR−602」、サートマー社製)
Bis4EO−A:ビスフェノールAのエチレンオキシド4モル付加物のジアクリレート(商品名「ライトアクリレートBP−4EA」、共栄社化学社製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「SR351」、サートマー社製)
TMP−3EO−A:トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリアクリレート(商品名「TMP−3EO−A」、共栄社化学社製)
TMP−6EO−A:トリメチロールプロパンのエチレンオキシド6モル付加物のトリアクリレート(商品名「SR−499」、サートマー株式会社製)
HX−620:ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン4モル付加物のジアクリレート(商品名「カヤラッドHX−620」、日本化薬株式会社製)
TCD−A:トリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学社製)
NP−2PO−A:ネオペンチルグリコールのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート(商品名「SR9003」、サートマー社製)
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184D」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
Esacure one:オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(商品名「エスキュアONE」、ランベルティ社製)
DBTDL:ジブチルスズジラウレート
平均アクリル当量:上述した算出方法によって、(b)成分の平均アクリル当量を求めた値である。
実施例及び比較例から、本発明の光ディスク用硬化性樹脂組成物を、特定の(a)〜(c)の3成分を必須とし、かつ樹脂組成物の錫含有量が特定された構成を満たすものとすることによって、長期安定的に優れた特性を発揮できるという点で有利な効果を発揮し、それが顕著であることが確認された。
錫含有量の数値範囲の技術的意義については、実施例3が2.98ppmであり、上限値5ppmを超える比較例1(5.35ppm)及び比較例2(42.5ppm)と比較すると明らかである。これらは、錫含有量以外の点ではすべて同条件で得た樹脂組成物を使用した例であるが、実施例3に比較して、比較例1及び2では、長期保存(70℃30日)後の粘度安定性及び機械的物性(25℃貯蔵弾性率)の安定性が著しく劣っており、長期保存後の透明性も劣っている。また、錫含有量以外の点ではすべて同条件で得た樹脂組成物を使用し、かつ実施例3よりも錫含有量が低い実施例1及び2では、長期保存後の粘度が実施例3の方がやや高くなってはいるものの、長期保存後の粘度安定性や機械的物性の安定性、透明性等の点で、実施例1及び2と実施例3とはほぼ同等の評価結果となっている。これらのことから、錫含有量を特定することによって、量的・質的に顕著な差異があること、すなわち臨界的意義を有することが分かる。
また実施例8の樹脂組成物の錫含有量は0.006ppmであるが、ICP分析法の分析限界は0.005ppmであることから、実施例8の樹脂組成物は、実質的に錫を含まない(0ppm)であるといえる。一方、比較例4の樹脂組成物は、実施例8の樹脂組成物と、錫含有量以外の点ではすべて同条件で得た樹脂組成物であるが、この場合は、実施例8に比較して、長期保存(70℃30日)後の粘度安定性及び機械的物性(25℃貯蔵弾性率)の安定性が著しく劣っている。
更に実施例1〜16のうち、実施例9以外は、(a)成分として、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物を用いた例であるが、実施例9に比較して、実施例1〜8及び10〜16では、特に長期保存後の機械的物性の安定性や反り総合評価の点で、より優れる結果となっている。このことから、(a)成分として、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物を用いることによって、本発明の作用効果が更に発揮されることが分かる。また、実施例1〜16と参考例1〜2との結果から、(b)成分の平均アクリル当量が230以上(より好ましくは240以上)であることで、粘度安定性及び機械的強度の安定性に加え、耐反り性により優れる硬化物を得ることができることが分かる。

Claims (4)

  1. 基板と、情報読み取り用のレーザー光を反射させる反射膜と、厚さ20〜150μmの保護層とを有する光ディスクに用いられる硬化性樹脂組成物であって、
    該硬化性樹脂組成物は、
    (a)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、
    (b)該(a)成分以外の(メタ)アクリレート化合物と、
    (c)光重合開始剤とを含有し、
    該硬化性樹脂組成物の錫含有量が5ppm以下である
    ことを特徴とする光ディスク用硬化性樹脂組成物。
  2. 前記(a)成分は、単独の硬化物のガラス転移温度が−10〜45℃、25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク用硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化して得られる
    ことを特徴とする硬化物。
  4. 請求項1又は2に記載の光ディスク用硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層を有する
    ことを特徴とする光ディスク。
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