JP2011192342A - 光記録媒体 - Google Patents

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雄一 川田
Minoru Urata
稔 浦田
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裕己 橘
Yoshiaki Majima
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Abstract

【課題】透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや変形、剥がれ等が抑制され、しかも表面平滑性に優れ、より信頼性の高い記録・再生を実現できる光記録媒体を提供する。
【解決手段】少なくとも基板、記録層、反射膜及び保護層を有し、青色レーザー光により記録及び/又は再生を行う光記録媒体であって、該保護層の少なくとも一層は、(A)25℃における貯蔵弾性率E1と、70℃における貯蔵弾性率E2との比(E1/E2)が1.0〜4.5であり、かつ、(B)ガラス転移温度が0〜30℃である光記録媒体。
【選択図】なし

Description

本発明は、光記録媒体に関する。より詳しくは、青色レーザー光により記録や再生を行う光記録媒体に関する。
近年、情報技術の発展により、音楽、画像、映像等の膨大なデジタル情報を長期間保存するための高密度大容量の光記録媒体(光ディスク)が要求されている。例えば、デジタルハイビジョン放送が始まったことで、フルハイビジョン対応の大画面の液晶やプラズマテレビが普及するようになったが、従来の光記録媒体であるDVD(digital versatile disc)では記録容量が小さく、高品位の動画像を長時間録画することができなかった。そこで、高密度大容量の光記録媒体の新規格として、青色レーザー光で情報を記録・再生するブルーレイディスク(BD)が開発され、販売されるようになった。この新規格では、大容量化のために短波長(約405nm)の青色レーザー光及び高開口数(NA)が採用され、DVDの約5倍以上もの大容量化が実現されている。このような光記録媒体は、通常、基板上に記録層、反射層及び保護層(光透過層)が積層された構成からなり、記録再生時にはレーザー光が保護層(光透過層)を通して記録層に照射され、記録や再生が行われる仕組みとなっている。
従来の光記録媒体に関し、例えば、特許文献1には、反り特性等に優れる光ディスクとして、保護層がウレタン(メタ)アクリレート、それ以外のエチレン性不飽和化合物及び光重合性開始剤を含む組成物の硬化物層である形態が開示され、このような保護層のガラス転移温度が50℃より低いと、炎天下の車内等の高温条件下で使用すると反り角が大きくなる傾向にあることが記載されている。特許文献2には、反り低減と光透過層のクリープ低減を両立できる光記録媒体として、特定温度での弾性率が特定範囲内にあり、かつガラス転移点温度(Tg)が−20〜0℃の光透過層を有する形態が開示され、具体的な形態を示す実施例としては、光透過層のTgが−17〜−1℃である形態が記載されている。
また特許文献3には、高温高湿試験後の反射率低下の少ない良好な特性の光ディスクとして、ヒドロキシ脂肪酸と、エポキシ化合物と、イソシアネート基及びアクリロイル基を有する化合物とを反応させて得られる紫外線硬化性化合物を含む紫外線硬化型組成物の硬化物からなる光透過層を有する形態が開示されている。特許文献4には、反り特性等に優れた光ディスクとして、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートと、ウレタン(メタ)アクリレート及び/又はエポキシ(メタ)アクリレートと、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型樹脂組成物の硬化物層を有する形態が開示されている。特許文献5には、反り発生を抑えた光ディスクとして、光透過層の膜厚と弾性率との積を特定値以下とした形態が開示されている。特許文献6には、光反射層の腐食及び反り発生を抑えた光ディスクとして、特定の弾性率を示す光透過層を有する形態が開示されている。特許文献7には、良好な信頼性を有する光記録媒体として、80℃/80%RH環境下で100時間放置する環境試験前後の貯蔵弾性率が特定範囲となるカバー層を有する形態が開示されている。
特開2002−245672号公報(第1、2、4頁) 特開2009−271970号公報(第1、2、16頁) 特開2008−123565号公報(第1、2頁) 国際公開第2007/142229号パンフレット(第1、26頁) 特開2007−102980号公報(第1、2頁) 特開2005−293823号公報(第1、2頁) 特開2009−026379号公報(第1、2頁)
上述したように、レーザー光で情報を記録・再生する光記録媒体に関する技術が種々検討されている。
ここで、このような光記録媒体を構成する保護層(光透過層とも称す)の厚みにムラがあると情報の記録・再生に影響を及ぼすため、光透過層の厚みには均一性が求められており、厚みを100μm±2〜3μm内に制御する必要があるが、更に、長期安定した情報の記録・再生の観点から、光記録媒体の保存時にも光透過層の厚みの変化が小さいことや高い透明性(低着色性)も要求される。また、光透過層への圧迫痕や凹み、温度変化等による変形(永久的な変形)等があると、レーザースポット位置が変動し、この場合も情報の記録・再生に影響を及ぼすことがあるため、永久的な変形を充分に防止することが望まれる。更に、光透過層の表面平滑性が充分ではない、例えば表面に凹凸形状が存在する場合も、記録・再生機能に影響を及ぼすことがあるため、光透過層には表面平滑性を有することも求められる。
また光透過層の形成方法としては、主に、ポリカーボネート製のシートを紫外線硬化型の接着剤で貼り合わせるシート接着法と、紫外線硬化型の樹脂をスピンコートで塗布し、紫外線を照射して樹脂を硬化させるスピンコート法との2つの手法があるが、現在はコスト面からスピンコート法が主流になっている。通常、紫外線硬化型の樹脂を用いて光透過層を形成する場合、膜厚均一性や、生産性の観点から膜厚安定性が求められるが、紫外線硬化型の樹脂の硬化収縮によって光記録媒体に反りが生じることが多々ある。また青色レーザー光で情報を記録・再生する光記録媒体では、光透過層は、基板の片側(レーザー光が入射される側)にのみ存在することから、光記録媒体の厚み方向に非対称な構造となる。そのため、接着層により2枚の基板を貼り合わせた対称構造からなるDVD等に比較して、構造的に反りやすい性質を有する。このようなことから、予め基板を塗布面とは逆に反らすようにしたり、再生・記録装置での補正等が行われたりするが、許容範囲(補正可能な範囲)を超えた反りが発生すると、光記録媒体への正確なデータ記録や再生ができない場合や、再生・記録装置への出し入れができなくなる場合もある。
したがって、青色レーザー光で情報を記録・再生する光記録媒体の光透過層等を形成する樹脂組成物には、長期にわたって硬化物が膜厚均一性、膜厚安定性、透明性(低着色性)等を充分に発揮できるという特性に加えて、表面平滑性に優れ、更に、永久的な変形を充分に抑制するとともに反りが著しく小さいという特性を充分に発揮することが望まれる。しかしながら、従来の樹脂組成物には、これらの特性をすべて充分に満足できるものは未だない。例えば、特許文献2に記載の樹脂組成物では、硬化膜の表面平滑性や永久変形量等の点で課題がある。また、例えば、基板上に、この樹脂組成物から硬化膜を形成した場合に、基板と硬化膜とが剥がれることもある他、更にハードコート層を積層した場合にクラックが発生することもあるため、各種特性をバランスよく発揮できるような、より信頼性の高い光記録媒体を得るための工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや変形、保護層の少なくとも一層と他の層との剥がれ等が抑制され、しかも表面平滑性に優れ、より信頼性の高い記録・再生を実現できる光記録媒体を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、青色レーザー光により記録や再生を行う光記録媒体について種々検討したところ、該光記録媒体が有する保護層の少なくとも一層が、ある所定の温度での貯蔵弾性率の比及びガラス転移温度が特定範囲を満たすものであると、透明性や膜厚安定性、残膜性等の諸物性を充分に発揮できるうえ、初期の反りが小さいのみならず、低温でも反りが増加せず、しかも加熱促進試験時の反り増加量が少ないという、3つの反り特性(耐反り性)に著しく優れ、耐光性をも有する光記録媒体となることを見いだした。このような光記録媒体はまた、圧接痕や凹みが小さいのみならず、耐ヒートショック性や耐圧痕性に極めて優れることも見いだした。また、スピンコート法による製膜によって好適に形成することができ、高レベルの表面平滑性を有することも見いだし、長期安定的に記録再生特性を発揮できる光記録媒体を実現できることを見いだした。更に、光記録媒体が特に記録可能な光記録媒体として有用なものとなることも見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
ここで、本明細書中、本発明が奏する効果としての「反りが小さい」とは、硬化時(初期)の反りが小さいのみならず、低温(5℃)でも反りが増加せず、しかも加熱促進試験時(70℃、100時間)の反り増加量が少ないという、3つの反り特性(耐反り性)に優れることを意味する。初期の反りが小さいことによって光記録媒体の生産性が向上され、低温時の反りが小さいことによって安定した記録・再生特性が得られ、加熱促進試験時の反りが小さいことによって優れた耐久性を発揮できるため、本発明の光記録媒体は、例えば寒冷地や車内等の高温に晒されやすい場所であっても、長期安定的に記録再生特性を発揮できることになる。
また本発明が奏する効果としての「耐ヒートショック性に優れる」とは、温度変動による剥がれ、すなわち、温度変動が大きい環境で使用・保存した場合における、光記録媒体が有する保護層の少なくとも一層と他の層(基板等)との剥がれが、充分に小さいことを意味する。
更に本発明が奏する効果としての「長期保存安定性に優れる」とは、上記3つの反り特性や残膜性に優れ、更に、圧接痕や凹み、温度変化等による永久変形量が小さい(すなわち耐圧痕性に優れる)ことを意味する。
すなわち本発明は、少なくとも基板、記録層、反射膜及び保護層を有し、青色レーザー光により記録及び/又は再生を行う光記録媒体であって、該保護層の少なくとも一層は、(A)25℃における貯蔵弾性率E1と、70℃における貯蔵弾性率E2との比(E1/E2)が1.0〜4.5であり、かつ、(B)ガラス転移温度が0〜30℃である光記録媒体である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の光記録媒体は、青色レーザー光により記録及び/又は再生を行う光記録媒体である。青色レーザー光とは、約405nmの波長を有するレーザー光が好適であるが、このようなレーザー光により記録等を行う光記録媒体、すなわち、いわゆるブルーレイディスクであることによって、数十年以上の長期間にわたって安定して記録・再生ができるという利点が顕著に発揮される。このような光記録媒体は、例えば、再生専用型(BD−ROM)、追記型(BD−R)及び書き換え型(BD−RE)等のいずれの光記録媒体としても好ましいが、信頼性の高い光記録媒体を実現できる観点から、特に記録可能な光記録媒体(追記型、書き換え型等)として好適である。
上記光記録媒体は、少なくとも基板、記録層、反射膜(反射層)及び保護層を有する。これらの層(基板含む)は、それぞれ1層から構成されるものであってもよいし、多層から構成されるものであってもよい。また、更に必要に応じて他の機能層を1層以上有するものであってもよく、これらの各層の間に他の機能層を有するものであってもよい。他の機能層としては、例えば、記録層(情報記録層)を2層以上有する多層構造の光記録媒体における記録層間に形成される中間層や、また、通常保護層の上に形成される、帯電防止層、撥水層、撥油層、ハードコート層等が挙げられる。また、記録層と保護層との間に形成される界面層も好ましく挙げられる。本発明の光記録媒体として特に好ましくは、更にハードコート層を有する形態である。
上記光記録媒体は、記録層を1層有する1層式の光記録媒体であってもよいし、記録層を2層又は3層以上有する多層式の光記録媒体であってもよい。すなわち本発明の光記録媒体は、1層式又は多層式の光記録媒体のいずれとしても好適である。
−基板−
上記基板は、特に限定されず、例えば、ポリカーボネート樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等から形成される樹脂基板の他、紙等も利用可能である。通常は、強度や柔軟性等を考慮して樹脂基板を採用するが、中でも、機械的強度の高さ、吸水率の低さ等から、ポリカーボネート樹脂から形成される基板、すなわちポリカーボネート基板が好適である。また、ポリカーボネート樹脂は硬化物の線膨張率が小さいため、このような基板と本発明における保護層との相乗効果によって、反り特性により一層優れる光記録媒体を得ることが可能になる。なお、吸水率が低いことによって、寸法安定性に優れた硬化物を与えることができ、また、硬化物への吸水も低く抑えることができる。
上記基板の厚みは、特に限定されないが、例えば0.5〜1.5mmであることが好適である。より好ましくは0.7〜1.2mm、更に好ましくは0.9〜1.1mmである。
−記録層−
上記記録層は、記録部位とも呼ばれ、情報信号の記録又は再生を行う部位である。このような記録層としては、再生専用の光記録媒体では、基板と一体化されたものであってもよく、例えば、ピット形状を有する基板が好ましく採用される。具体的には、基板上に情報記録を担うピットを、反射膜と積層される表面に形成することが好適である。また、記録可能な光記録媒体では、記録層は、反射膜と保護層(光透過層)との間に設けることが好適である。
上記記録層としては、情報の記録・再生が可能なものであればよく、相変化型記録層、光磁気記録層又は有機系色素型記録層のいずれであってもよい。中でも、有機系色素型記録層、すなわち有機系色素を用いた層であることが好適である。有機系色素としては、例えば、300〜800nm付近の光波長領域に、その構造に由来した吸収帯を有する有機化合物の1種又は2種以上を使用することが好ましい。このような有機系色素として具体的には、例えば、メチン系、アゾ系、含金アゾ系、ピロン系、ポリフィリン系の化合物等が挙げられる。
上記記録層の厚みは、特に限定されないが、例えば1〜100nmであることが好ましい。より好ましくは1〜50nm、更に好ましくは1〜30nmである。
−反射膜−
上記反射膜(反射層とも称す)は、情報読み取り用のレーザー光を反射させる膜であり、例えば、金、銀、アルミニウム、又は、それら金属を含む合金からなる膜が好適である。中でも、銀又は銀合金が好適である。
上記反射膜の厚みは、反射膜を構成する材料や層構造等によって適宜設定することが好ましい。例えば、単層の場合は反射率が35〜70%になるように、厚みを設定することが好ましい(L0)。通常、銀合金の場合、反射率を45%程度にするためには、厚みを40nm程度に設定する。また、反射層(反射膜)を2層とする場合、レーザー光照射側からみて奥に位置する反射膜(L1)は、反射率が10〜30%になるよう、使用する材料に応じた膜厚を設定することが好適である。通常、銀合金では、反射率を20%程度にするためには、厚みを20nm程度に設定する。本発明の反射層としては、該層が銀又は銀合金を用いた層である場合には、厚みを10〜50nmに設定することが好適である。すなわち、上記反射層の少なくとも1層が銀又は銀合金を用いた層であって、該層の厚みが10〜50nmである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
−保護層−
上記保護層は、その少なくとも一層が、(A)25℃における貯蔵弾性率E1と、70℃における貯蔵弾性率E2との比(E1/E2)が1.0〜4.5であり、かつ、(B)ガラス転移温度(Tg)が0〜30℃であることが適当である。これにより、低反り性(低収縮性)、透明性(光透過性)、基板(例えば、ポリカーボネート基板等)との密着性、低腐食性、リサイクル性、速硬化性(生産性)、防汚性、寸法安定性、長期保存安定性(反り特性、残膜性及び耐圧痕性)等の各種特性を全て満たす保護層を実現することが可能になる。ここで、上記(A)及び(B)の特定事項のうち1つでも満たさないものがあると、長期保存安定性(反り特性、残膜性及び耐圧痕性)や耐ヒートショック性、表面平滑性、クラック防止性等の諸性能を同時に充分に発揮させることができない。すなわち本発明では、長期保存安定性(反り特性、残膜性及び耐圧痕性)や耐ヒートショック性、表面平滑性、クラック防止性等の諸性能をバランスよく同時に発揮させるには、光記録媒体の上記各物性を上記範囲に特定することが必須となることを見いだしたのであり、ここに本発明の技術的意義を有する。
上記貯蔵弾性率の比(E1/E2)として好ましくは1.1以上であり、また、好ましくは4.3以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下、特に好ましくは3.3以下、最も好ましくは3.0以下である。また、上記Tgとして好ましくは0℃を超えることであり、より好ましくは1℃以上、更に好ましくは2℃以上であり、また、好ましくは29℃以下、より好ましくは28℃以下、更に好ましくは27℃以下、特に好ましくは26℃以下、最も好ましくは25℃以下である。
なお、本発明の光記録媒体は、上記(A)及び(B)を満たす保護層を有するものであればよく、保護層として当該層のみからなる形態であってもよいし、更に他の構成からなる保護層を有するものであってもよい。また、上記(A)及び(B)を満たす保護層を2層以上積層した形態であってもよい。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)は、(C)25℃における貯蔵弾性率が50〜300MPaであることが好適である。25℃における貯蔵弾性率が300MPa以下であると、硬化物の反りがより低減され、例えば光記録媒体を寒冷地で使用したり長期保存したりする場合にも更に好適なものとなる。また50MPa以上であると、圧接痕や凹み等による永久変形や、温度変化による剥がれ等をより充分に抑制することが可能になる。25℃における貯蔵弾性率は、より好ましくは250MPa以下、更に好ましくは230MPa以下、特に好ましくは200MPa以下である。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)はまた、(D)70℃における貯蔵弾性率が25〜100MPaであることが好適である。70℃における貯蔵弾性率が100MPa以下であると、硬化物の反りがより低減され、例えば光記録媒体を車内等の高温に晒されやすい場所で使用したり長期保存したりする場合にも更に好適なものとなる。また25MPa以上であると、圧接痕や凹み等による永久変形をより充分に抑制することが可能になる。70℃における貯蔵弾性率としてより好ましい範囲としては、上述したTgとも大きく関係するため、一概に説明できない部分もあるものの、例えば、より好ましくは30MPa以上、更に好ましくは40MPa以上、特に好ましくは50MPa以上であり、また、より好ましくは90MPa以下である。なお、Tgが低い場合、25℃の貯蔵弾性率と70℃の貯蔵弾性率とは近い値をとることになる。
また本発明では、上記保護層の少なくとも一層が、上記貯蔵弾性率の比(E1/E2)が3.5以下であり、かつ70℃における貯蔵弾性率が40MPa以上であることが特に好ましく、これによって、より過酷な温度変動条件下での当該保護層と他の層(基板)との剥がれが充分に抑制されることになる。すなわち、更に一層耐ヒートショック性に優れる光記録媒体を得ることが可能になる。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)は更に、(E)ガラス転移温度における損失正接tanδが0.15〜0.45となるものであることが好適である。損失正接tanδが0.45以下であると、硬化物の長期保存安定性がより充分なものとなり、圧接痕や凹み等による永久変形をより一層抑制することができ、また0.15以上であると、硬化物の反りをより充分に抑えることができ、いずれの場合も長期保存安定性に更に優れることになる。上記損失正接tanδは、より好ましくは0.4以下、更に好ましくは0.35以下、特に好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.25以下である。
上記保護層の貯蔵弾性率(25℃、75℃)、ガラス転移温度及び損失正接tanδは、下記測定条件の下、動的粘弾性の測定を行い、得られた値を採用する。なお、ガラス転移温度は、最大tanδ値の温度を採用するものとする。また、この測定試験での保護層の形成方法(保護層形成用樹脂組成物の硬化方法)は、例えば、下記硬化方法のようにすることが好ましい。
<測定条件>
引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性の測定を行う。
<硬化方法>
厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート基板(PC基板)上に、スピンコーターにて樹脂組成物を厚さ100μm設定で塗布する。得られたPC基板を、キセノンフラッシュUVランプを有するUV照射機(米国キセノン社製 形式RC−801)を用いて、窒素雰囲気下、ランプ高さ2cmでフラッシュを15回照射して硬化を完結させる。なお、320〜390nmにおける照射積算光量は約0.5J/cmとする。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)はまた、厚さ100μmでの405nmにおける光線透過率が85%以上となるものであることが好適である。この光線透過率が85%以上であることによって、透明性がより充分なものとなり、記録された情報の読み出し時のエラーをより防ぐことが可能になる。より好ましくは88%以上、更に好ましくは89%以上である。
上記光線透過率は、分光光度計により測定することができる。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)は更に、70℃のオーブン中で100時間保持させた場合の質量減量(質量減少)率が、0.1〜2質量%となることが好適である。質量減少は、未架橋の重合性モノマー成分、光重合開始剤の残渣やその分解生成物、低分子量の添加剤等が原因と考えられるが、上記質量減少率が2質量%以下となることで、揮発成分の硬化物表面へのブリードアウトや、硬化物からなる層の厚み変化により記録された情報の読み出し時のエラー発生をより一層防止することができ、光記録媒体の長期保存安定性を更に良好なものとすることができる。なお、上記質量減少率を0.1質量%未満とするためには、硬化物の乾燥(減圧)工程等が必要となり得る。したがって、上記質量減少率を上記範囲に設定することにより、例えば、光記録媒体において経時的な表面精度の低下がより少なく保存安定性がより向上するのみならず、自動車内等での使用や保存がより可能となる。より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
上記質量減少率は、厚みが100μm±2μmの硬化層(硬化膜、硬化物)について測定するものとする。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)は、紫外線硬化性の樹脂組成物を硬化して得られるもの、すなわち、紫外線硬化性樹脂組成物から形成される層であることが好適である。
このような紫外線硬化性樹脂組成物(以下、「硬化性樹脂組成物」又は「樹脂組成物」とも称す)としては、(メタ)アクリレート化合物と光重合開始剤とを含む組成物が好ましく、これら各成分はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。より好ましくは、(a)アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物と、(b)該(a)成分以外の(メタ)アクリレート化合物であって、分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物と、(d)光重合開始剤とを必須成分とするものである。これによって、透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや永久的な変形、当該保護層の少なくとも一層と他の層との剥がれ等が抑制され、しかも表面平滑性に優れ、より信頼性の高い記録・再生を実現できるという本発明の作用効果を更に一層発揮することが可能になる。また、必要に応じて、(c)上記(a)及び(b)成分以外の(メタ)アクリレート化合物を含んでいてもよい。
なお、これらの成分は、各々1種又は2種以上使用してもよく、本発明の作用効果を損なわない限り、他の成分を更に含有していてもよい。
以下では、上記(a)に該当する各化合物を「化合物(a)」と称し、化合物(a)の集合体(すなわち、1以上の化合物(a)の総称)を「(a)成分」と称す。上記(b)〜(d)についても、これと同様に称す。
上記硬化性樹脂組成物において、(a)、(b)及び(c)成分の含有割合としては、これらの総量100質量%に対し、各々、(a)40〜80質量%、(b)20〜70質量%、(c)0〜20質量%であることが好適である。このような範囲に設定することにより、得られる硬化物(すなわち、保護層)が透明性や残膜性、膜厚均一性等の諸物性に優れるとの特性に加えて、剥がれや永久的な変形を充分に抑制するとともに、表面平滑性に優れ、かつ反りが著しく小さいという特性をより一層発揮できることになる。すなわち、上記数値範囲を全て満たすことによって、これらの性能をバランスよく同時により充分に発揮することができ、長期安定的により一層信頼性の高い記録・再生機能を発揮することができる。また、上記各成分を上述した割合で含むことによって、上記硬化性樹脂組成物に含まれる各材料同士の相溶性が向上し、その流れ性が良好なものとなる。そのため、例えば、スピンコート法によって硬化膜(保護層)を得る場合には、樹脂組成物の流動痕の発生が抑制され、硬化膜の表面の凹凸が低減されるため、表面平滑性により一層優れる保護層(硬化膜)を得ることが可能になる。
上記(a)、(b)及び(c)成分の含有割合としてより好ましくは、これらの総量100質量%に対し、各々、(a)50〜80質量%、(b)20〜50質量%、(c)0〜20質量%である。
上記のように、上記保護層の少なくとも一層が、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化して得られるものであって、該紫外線硬化性樹脂組成物が、(a)アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物50〜80質量%と、(b)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物20〜50質量%と、(c)該(a)及び(b)成分以外の(メタ)アクリレート化合物0〜20質量%とを含み(但し、各数値範囲は、(a)、(b)及び(c)の総量を100質量%としたときの各成分の含有割合(質量%)を表す。)、更に、(d)光重合開始剤を含むものである形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
ここで、上記(メタ)アクリレート化合物(例えば、上記(a)〜(c)成分等)はまた、上記硬化性樹脂組成物中のその合計量に対する平均アクリル当量が160以上となるように使用することが好適である。これにより、光記録媒体の反りがより低減され、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能になる。より好ましくは170以上、更に好ましくは200以上である。また、300以下であることが好適であり、これによって、光記録媒体に凹み等が付くことがより抑制され、長期保存安定性を更に充分に発揮できる。より好ましくは280以下、更に好ましくは270以下である。
なお、本発明においては、上記アクリル当量が160以上であって、かつ、該硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物(上記保護層)のガラス転移温度(Tg)、Tgにおける損失正接tanδ及び貯蔵弾性率が、上述した範囲内にあると、反り特性に更に一層優れた光記録媒体を与えることが可能になる。特に、それぞれの好適な範囲内で、Tg又は貯蔵弾性率が小さいほど、またアクリル当量又は損失正接tanδが大きいほど、より良い傾向が見られる。
上記(メタ)アクリレート化合物の合計量に対する平均アクリル当量は、Mx×Ax÷Aの総和で求められる。
Mxとは、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレート化合物)xの分子量(※)であり、(メタ)アクリル酸エステルxが有する(メタ)アクリロイル基が1つの場合は、該(メタ)アクリル酸エステルxの分子量の値を「Mx」とする。(メタ)アクリロイル基が2つ以上の場合は、(メタ)アクリル酸エステルxの分子量÷(メタ)アクリロイル基の数を「Mx」とする。
Axは、(メタ)アクリル酸エステルxの質量(質量部)である。
Aは、樹脂組成物に含まれる全ての(メタ)アクリル酸エステルの合計量の総和(質量部)である。
※ここでいう分子量としては、上記(b)成分については数平均分子量(Mn)を採用し、それ以外の(メタ)アクリレート化合物については、構成する元素の原子量の総和として計算された値を採用する。
上記(メタ)アクリレート化合物は更に、上記硬化性樹脂組成物中のその総量100質量%に対し、分子量(※)1500以上の化合物の合計量が70質量%以下となることが好適である。これによって、樹脂組成物に含まれる各材料同士の相溶性がより向上されるため、表面平滑性により一層優れた硬化物を得ることが可能になる。より好ましくは65質量%以下、更に好ましくは65質量%未満である。
※ここでいう分子量としては、上記(b)成分については数平均分子量(Mn)を採用し、それ以外の(メタ)アクリレート化合物については、構成する元素の原子量の総和として計算された値を採用する。
〔(a)成分について〕
上記化合物(a)は、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物である。すなわち、アルキレンオキシドで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、ε−カプロラクトンで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、並びに、アルキレンオキシド及びε−カプロラクトンで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、のいずれか1以上の化合物である。このような化合物は、活性水素を3個以上有する多価アルコール(3価以上の多価アルコール)を、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性した(メタ)アクリレート、すなわち3価以上の多価アルコールにアルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンを付加した化合物の(メタ)アクリル酸エステルや、アルキレンオキシド骨格を有する3価以上のアルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記3価以上の多価アルコールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられ、置換基を有するものであってもよい。
上記アルキレンオキシドは、例えば、炭素数2〜18のアルキレンオキシドが好適である。より好ましくは炭素数2〜8のアルキレンオキシドであり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシド、トリメチルエチレンオキシド、テトラメチレンオキシド、テトラメチルエチレンオキシド、ブタジエンモノオキシド、オクチレンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。中でも、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等の炭素数2〜4のアルキレンオキシドが更に好ましい。特に好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
なお、上記アルキレンオキシドは、1種のものであってもよく、2種以上のものであってもよい。
上記化合物(a)におけるアルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンの存在数(繰り返し数)としては、アルキレンオキシド及びε−カプロラクトンの合計量の平均繰り返し数として、化合物(a)1モルに対し、2〜16モルであることが好適である。これによって、硬化物の貯蔵弾性率をより適切に調整することができ、長期保存安定性に更に優れた光記録媒体を与えることが可能になる。より好ましくは3〜14モル、特に好ましくは3〜12モルである。
上記化合物(a)として具体的には、例えば、トリメチロールプロパンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのε−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのε−カプロラクトン付加物のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのアルキレンオキシド付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記化合物(a)としてより好ましくは、上記多価アルコールとして、4級炭素を有する多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等)を使用してなる化合物である。これによって、更に耐光性に優れる硬化物を得ることが可能になる。このように、上記(a)成分が、4級炭素を有する3価以上の多価アルコールを、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性した(メタ)アクリレート化合物を含む形態もまた、本発明の好適な形態である。中でも、上記(a)成分の総量100質量%に占める、当該(メタ)アクリレート化合物の割合が、50質量%以上であることがより好ましく、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%、すなわち上記(a)成分が、4級炭素を有する3価以上の多価アルコールを、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性した(メタ)アクリレート化合物のみから構成されることであり、また、上記硬化性樹脂組成物が、3級炭素を有する3価以上の多価アルコールを、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性した(メタ)アクリレート化合物を含まないことが最も好適である。
上記化合物(a)はまた、分子量が3000以下であることが好適である。3000以下であると、樹脂組成物に含まれる各材料同士の相溶性が更に向上し、表面平滑性により優れた硬化物を好適に得ることが可能になる。より好ましくは2500以下、更に好ましくは2000以下である。また、200以上であることが好ましく、より好ましくは300以上、更に好ましくは400以上である。
このように、上記(a)成分が、分子量が3000以下の化合物を含む形態もまた、本発明の好適な形態であるが、中でも、上記(a)成分の総量100質量%に占める、当該化合物の割合が50質量%以上であることがより好ましく、これによって、各材料同士の相溶性がより一層向上され、表面平滑性に更に優れた硬化物を得ることが可能になる。更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%、すなわち上記(a)成分として、分子量が3000以下の化合物のみを使用することである。
〔(b)成分について〕
上記化合物(b)は、上述した(a)成分以外の化合物であって、1分子中にラジカル重合性不飽和基を2個以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。これらの中でも、長期保存安定性に優れるため、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を少なくとも用いることが好適である。また、機械的物性の設計範囲が広い等といった観点からも、ウレタン(メタ)アクリレート化合物が好適である。このように上記(b)成分が少なくともウレタン(メタ)アクリレート化合物を含む形態もまた、本発明の好ましい形態の1つである。
なお、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物及びエポキシ(メタ)アクリレート化合物は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれの形態であってもよいが、オリゴマー又はポリマーであることが好適である。
上記化合物(b)はまた、数平均分子量(Mn)が500以上であることが好適であり、また、10000以下であることが好適である。500以上であると、硬化速度や硬化物(保護層)の強度がより充分なものとなり、また、10000以下であると、基材との濡れ性や樹脂組成物を調整する際の混合時間、高粘性による塗工時の作業性等の点において、より好適なものとなり、更に、例えばプラスチック基材に塗布し硬化させて得られた積層体(光記録媒体)の反りをより充分に低減することが可能になる。また、10000以下であることによって、樹脂組成物に含まれる各材料同士の相溶性が更に向上し、表面平滑性により優れた硬化物を好適に得ることが可能になる。上記数平均分子量は、より好ましくは1000以上、更に好ましくは1500以上であり、また、より好ましくは8000以下、更に好ましくは7000以下である。
このように、上記(b)成分が、分子量が10000以下の化合物を含む形態もまた、好適な形態であるが、中でも、上記(b)成分の総量100質量%に占める、当該化合物の割合が50質量%以上であることがより好ましく、これによって、各材料同士の相溶性がより一層向上され、表面平滑性に更に優れた硬化物を得ることが可能になる。更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは100質量%、すなわち上記(b)成分として、分子量が10000以下の化合物のみを使用することである。
上記化合物(b)は更に、分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)が1以上であることが好適であり、また、10以下であることが好適である。1以上であると、これによって、化速度や硬化物の強度、各成分の混合時間等がより充分なものとなり、より生産性よく光記録媒体を得ることが可能になる。分子量分布は、より好ましくは1〜7、更に好ましくは1〜5の範囲内である。
本明細書中、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、テトラヒドロフラン(THF)を移動相とし、温度40℃、流速0.3mL/minの条件下で、東ソー社製のカラム TSK−gel SuperHM−H 2本、TSK−gel SuperH2000 1本を用い、東ソー社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置 HLC−8220GPCにより求め、標準ポリスチレン換算した値である。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、多価アルコールと、有機ポリイソシアネートと、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応で得られる化合物が好ましく用いられるが、この反応は通常の手法で行えばよい。例えば、この反応を効率良く行うための触媒として錫含有化合物(例えば、ジブチル錫ラウレート、オクテン酸錫等)を用いることが好ましい。また、この場合は、反応効率の観点から、他の触媒(例えば、トリエチレンジアミン等)を併用することも好適である。
上記多価アルコールは、飽和化合物又は不飽和化合物のいずれであってもよく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールベンゼン、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等が挙げられるが、中でもポリテトラメチレングリコールが好ましい。
上記有機ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等が挙げられるが、中でもイソホロンジイソシアネートが好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリエステル(メタ)アクリレート化合物は、多塩基酸又はその無水物酸と、多価アルコールと、(メタ)アクリル酸との反応で得られる化合物が好ましく用いられるが、この反応は通常の手法で行えばよい。
上記多塩基酸又はその無水物酸としては、飽和化合物又は不飽和化合物のいずれであってもよく、例えば、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の他、これらの無水物酸が挙げられる。
上記多価アルコールについては、上述した化合物等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレート化合物は、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシポリ(メタ)アクリレートや、該エポキシ(メタ)アクリレートと多塩基酸無水物との反応で得られるカルボン酸変性エポキシ(メタ)アクリレートが好ましく使用されるが、この反応は通常の手法で行えばよい。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリブタンジエン変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記多塩基酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
上記側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーとは、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有し、かつ分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有するオリゴマー又はポリマーであれば特に限定されないが、例えば、下記式(1):
Figure 2011192342
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数2〜8のアルキレン基を表す。Rは、水素原子又はメチル基を表す。mは、正の整数である。)で表される繰り返し単位を有するビニル系重合体が好適であり、これにより、硬化物の硬度をより向上することができる。
上記式(1)において、Rで表される炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、シクロヘキシレン基、1,4−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルシクロヘキサン−α,α’−ジイル基、1,4−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,3−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基、1,2−ジメチルフェニル−α,α’−ジイル基等が挙げられる。なお、Rで表される置換基は、上記式(1)中にm個存在するが、同一であっても異なっていてもよい。
上記式(1)において、mは、ROで表されるオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、正の整数である。好ましくは1〜20の整数、より好ましくは1〜10の整数、更に好ましくは1〜5の整数である。
なお、上記式(1)で表される繰り返し単位の数は、正の整数であればよいが、5〜600の整数であることが好適である。より好ましくは20〜300の整数、更に好ましくは40〜200の整数である。
上記式(1)で表されるビニル系重合体としてはまた、固体状の単量体含有量が多い重合体の場合を除き、液状粘性体として得ることができる。液状粘性体であれば、(メタ)アクリレート系単量体等への溶解性が良いので、樹脂組成物を調整する際に作業効率の向上化が図れる。
上記式(1)で表されるビニル系重合体は、例えば、下記式(2):
Figure 2011192342
(式中、R、R及びmは、各々上記式(1)と同意義である。)で表されるビニル系単量体(「異種重合性モノマー」ともいう。)の1種又は2種以上を用いて、通常のカチオン重合手法により調製することが可能である。また、このビニル系単量体の1種又は2種以上を用い、特開2006−241189号公報に記載された方法でリビングカチオン重合することにより、容易に調製することもできる。なお、上記式(2)で表されるビニル系単量体を2種以上を併用する場合、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体又はその組み合わせのいずれであってもよく、また、グラフト共重合体であってもよい。
上記式(2)で表されるビニル系単量体の具体例としては、例えば、下記化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルフェニルメチル、
(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}エチル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)イソプロポキシ}イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−[2−{2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)エトキシ}エトキシ]エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−[2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エトキシ]エトキシ)エチル。
これらのビニル系単量体の中でも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。
上記式(1)で示されるビニル系重合体はまた、カチオン重合可能なモノマーに由来する構造単位を有する共重合体であってもよい。このような共重合体は、上記式(2)で示されるビニル系単量体と、カチオン重合可能なモノマーとを、カチオン重合又はリビングカチオン重合することにより、容易に調製することができる。この際、各モノマーは、それぞれ単独で又は2種以上を併用してもよく、得られる共重合体は、ランダム共重合体、交互共重合体、周期的共重合体、ブロック共重合体又はその組み合わせのいずれであってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
上記カチオン重合可能なモノマーとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジヒドロフラン等のビニルエーテル化合物;スチレン、4−メチルスチレン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、4−メトキシスチレン、4−クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;イソプロペニルスチレン、ケイ皮酸2−ビニロキシエチル、ソルビン酸2−ビニロキシエチル等のジビニル化合物やトリビニル化合物等が挙げられる。中でも、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ジヒドロフラン、2−エチルヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物が好適である。
上記式(2)で示されるビニル系単量体とカチオン重合可能なモノマーとを重合する場合、これらのモル比(カチオン重合可能なモノマー/上記式(2)で示されるビニル系単量体)は、0.1〜10の範囲内であることが好ましい。このような範囲に調整することによって、硬化物の架橋密度が高く表面硬度に優れ、かつ硬化収縮の少ない共重合体を得ることが可能となる。より好ましくは0.5〜8、更に好ましくは0.8〜5である。
なお、上記式(2)で示されるビニル系単量体は、ラジカル重合性又はアニオン重合性の(メタ)アクリロイル基と、カチオン重合性のビニルエーテル基とを同時に有するため、重合方法を選択することにより、(メタ)アクリロイル基又はビニルエーテル基をペンダント基として有するポリマーを得ることができる。したがって、上記式(2)で表されるビニル系単量体のビニルエーテル基を、単独で、又は、カチオン重合可能なモノマーと共に、カチオン重合若しくはリビングカチオン重合させることによって、(メタ)アクリルロイル基をペンダント基として有する、上記式(1)で表されるビニル系重合体を得ることができる。
上記化合物(b)はまた、単独の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1〜300MPaとなるものが好ましい。このような化合物(b)を用いることで、上記硬化性樹脂組成物により得られる硬化物(保護層)において、圧接痕や凹み等による永久変形がより充分に抑制されるとともに、当該硬化物の反りがより充分に低減される。より好ましくは3MPa以上、更に好ましくは10MPa以上であり、また、より好ましくは200MPa以下、更に好ましくは100MPa以下、特に好ましくは50MPa以下である。
ここでの25℃における貯蔵弾性率は、上記化合物(b)を単独で硬化して得た硬化物について、下記測定条件の下、動的粘弾性測定法により求められる値である。
<測定条件>
引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性の測定を行う。
このように上記(b)成分は、単独の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1〜300MPaとなる化合物を含むものであることが好適であり、このような形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。すなわち、上記(b)成分は、分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物であって、かつ、単独の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が10〜900MPaとなる化合物を含むものであることが好ましい。これによって、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。中でも、上記(b)成分が、単独の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1〜300MPaとなる化合物のみで構成されること、すなわち上記(b)成分が、単独の硬化物の25℃における貯蔵弾性率が1〜300MPaとなる化合物の1種又は2種以上から構成されることがより好ましい。
上記化合物(b)は更に、単独の硬化物のガラス転移温度(「Tg」とも称す。)が−50〜50℃となるものが好ましい。このTgが−50℃以上となる化合物(b)を用いることで、上記硬化性樹脂組成物により得られる硬化物(保護層)において圧接痕や凹み等による永久変形をより充分に抑制することができ、また50℃以下であると当該硬化物の反りがより充分に低減される。より好ましくは−45℃以上、更に好ましくは−40℃以上であり、また、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下、特に好ましくは20℃以下である。
ここでのガラス転移温度は、上述した化合物(b)を単独で硬化して得た硬化物の貯蔵弾性率(25℃)と同様の測定条件の下、動的粘弾性測定法により求められる値であり、最大tanδ値の温度を採用するものとする。
〔(c)成分について〕
上記化合物(c)は、上記(a)及び(b)成分以外の(メタ)アクリレート化合物であり、必要に応じて上記硬化性樹脂組成物に含んでもよいものである。このような化合物(c)は、上記(a)及び(b)成分のいずれか1以上と共硬化可能な化合物であることが好ましく、単量体(モノマー)の形態であることが好適である。化合物(c)を含むことにより、例えば、液粘度や硬化物の物性を調節することができるという効果を奏する。なお、化合物(c)は1種の化合物であってもよいし、2種以上であってもよい。
上記化合物(c)としては、例えば、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性された2官能の(メタ)アクリレート化合物(すなわち、アルキレンオキシドで変性された2官能の(メタ)アクリレート化合物、ε−カプロラクトンで変性された2官能の(メタ)アクリレート化合物、並びに、アルキレンオキシド及びε−カプロラクトンで変性された2官能の(メタ)アクリレート化合物のいずれか1以上の化合物)が挙げられる。このような化合物としては、活性水素を2個有する多価アルコール(2価アルコール)を、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性した(メタ)アクリレート、すなわち、2価アルコールにアルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンを付加した化合物の(メタ)アクリル酸エステルや、アルキレンオキシド骨格を有する2価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
上記2価アルコール及びアルキレンオキシド骨格を有する2価アルコールとしては、例えば、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ビスフェノ−ルA、S、F等が挙げられ、置換基を有するものであってもよい。また、ポリ(エチレン−プロピレン)グリコール等の2種以上のアルキレンオキシド骨格を有する2価アルコールであってもよい。
上記アルキレンオキシドや、アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンの存在数については、上記化合物(a)に関して上述したのと同様である。
上記アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性された2官能の(メタ)アクリレート化合物として具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ビスフェノ−ルAのアルキレンオキシド付加物のジアクリレート;ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加物のジアクリレート;ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのアルキレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート;ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記化合物(c)としてはまた、例えば、上述した一般式(2)で表されるビニル系単量体や、アルキレンオキシド又はε−カプロラクトンで変性されていない(メタ)アクリレート化合物、単官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられ、具体的には、上述した一般式(2)で表されるビニル系単量体や下記化合物等の1種又は2種以上が挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート化合物;
1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタンー1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート化合物、等の(メタ)アクリル酸系誘導体;
メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−2−メチルエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のエーテル構造を有する(メタ)アクリル系誘導体;
4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−シクロヘキシル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、等の1,3−ジオキソラン系モノマー等。
上記化合物(c)としてはまた、通常使用されるポリポリカーボネート基板との密着性が良好な点からは、上記一般式(2)で表されるビニル系単量体(異種重合性モノマー)が好適に使用できる。中でも、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−{2−(2−ビニロキシエトキシ)エトキシ}エチルが好適である。中でも、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
上記化合物(c)として特に好ましくは、2官能以上の(メタ)アクリレート化合物(すなわち多官能(メタ)アクリレート化合物)や、上記一般式(2)で表されるビニル系単量体(異種重合性モノマー)である。
〔他の重合性成分について〕
上記硬化性樹脂組成物としてはまた、更に必要に応じて、その他の共硬化可能な成分(他の重合性成分)として、下記の不飽和化合物等の1種又は2種以上含んでいてもよい。
スチレン、ビニルトルエン、4−t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、4−クロロスチレン、4−メチルスチレン、4−クロロメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等のアリルエステル系モノマー;トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メチロールメラミンのアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテルのアジピン酸エステル、アリルアセタール、メチロールグリオキザールウレインのアリルエーテル等のアリルエーテル系モノマー;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル系モノマー;フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等のフマル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン;N−ビニルホルムアミド;N−ビニルピロリドン等。
これら不飽和化合物の含有割合は、上記(メタ)アクリレート化合物((a)〜(c)成分等)と不飽和化合物との総量100質量%に対し、0〜30質量%であることが好適である。ただし、例えば、上記硬化性樹脂組成物をスピンコート法に供する場合における当該樹脂組成物のリサイクル性等を考慮すると、上記不飽和化合物の含有量は低いほど好適である。より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは、実質的にこれら不飽和化合物を含まないことである。
なお、以下では、(メタ)アクリレート化合物((a)〜(c)成分等)と上記不飽和化合物とを総称して「重合性成分」と称す。すなわち、重合性成分とは、(メタ)アクリレート化合物(好ましくは上記(a)〜(b)成分(更に(c)成分を含む場合は上記(a)〜(c)成分))からなり、更に上記不飽和化合物を含んでもよいものである。言い換えると、上記硬化性樹脂組成物が上記不飽和化合物を含まない場合は、(メタ)アクリレート化合物(好ましくは上記(a)〜(b)成分(更に(c)成分を含む場合は上記(a)〜(c)成分))からなる成分を意味し、上記不飽和化合物を含む場合は、(メタ)アクリレート化合物(好ましくは上記(a)〜(b)成分(更に(c)成分を含む場合は上記(a)〜(c)成分))と、上記不飽和化合物との混合物を意味する。
〔(d)成分について〕
上記硬化性樹脂組成物はまた、光重合開始剤(d)を含有することが好ましいが、光重合開始剤を含むことにより、光照射によって速やかに硬化させることができるという効果を奏する。光重合開始剤(d)としては、光線の照射により重合開始ラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤や、光線の照射により重合開始カチオンを発生する光カチオン重合開始剤が好適であり、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤の中でも、アセトフェノン類が好適であり、具体的には1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オンが好適である。その中でも、光ディスク用硬化性樹脂組成物を保護層として用いた光ディスクの耐久性を向上させ、耐熱試験時の反りの増加を抑制するとの理由から、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}が特に好適である。
上記光カチオン重合開始剤としては、例えば、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等のアリールスルフォニウム塩;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のアリールヨウドニウム塩;フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート等のアリールジアゾニウム塩が挙げられる。中でも、アリールスルフォニウム塩、ジアゾニウム塩が好適であり、特に、(トリルクミル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが好ましい。
上記硬化性樹脂組成物中、上記光重合開始剤(d)の含有量としては、上記重合性成分の総量100重量部に対し、1〜10重量部であることが好適である。1重量部以上であると、上記硬化性樹脂組成物をより充分に硬化することができ、また10重量部以下であると、臭気発生や硬化物の着色を充分に抑制でき、硬化性樹脂組成物のリサイクル性や硬化物の長期保存安定性をより良好なものとすることができる。より好ましくは1〜5重量部、更に好ましくは1〜3重量部である。
〔他の成分について〕
上記硬化性樹脂組成物は更に、紫外線吸収剤や熱重合開始剤を含んでもよい。紫外線吸収剤を含む場合には、樹脂組成物のリサイクル性を高め、硬化速度を調整し光ディスクの反りを低減できるという効果をより充分に発揮することが可能になる。熱重合開始剤を含む場合には、樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合に発生する熱を利用し、更に硬化を進めることができるという効果を奏する。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、無機酸化物系紫外線吸収剤等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。具体的には、フェニルサリチレート、(2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、サリチル酸グリコール、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメチルPABA(para-aminobenzoic acid)オクチル、ジメチルPABAエチルヘキシル等が挙げられ、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(商品名「TINUBIN PS」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、2−{2−ヒドロキシ−4−(1−オクチルオキシカルボニルエトキシ)フェニル}−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名「TINUBIN 479」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、2−{2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリロイルオキシエチル)フェニル}ベンゾトリアゾール(商品名「RUVA93」、大塚化学社製)、オクチル−3−{3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−yl)フェニル}プロピオン酸・2−エチルヘキシル−3−{3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−yl)フェニル}プロピオン酸(商品名「TINUBIN 109」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が好ましく使用される。
上記紫外線吸収剤の添加量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.03〜2重量部であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
上記熱重合開始剤としては、加熱により重合開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤と、加熱により重合開始カチオンを発生する熱カチオン重合開始剤が好適である。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、下記の有機過酸化物系開始剤やアゾ系開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド、メチルアセトアセテートペルオキシド、アセチルアセテートペルオキシド、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ヘキシルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルペルオキシド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルペルオキシド、オクタノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ステアロイルペルオキシド、スクシン酸ペルオキシド、m−トルオイルベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルペルオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)ペルオキシジカーボネート、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシソブチレート、t−ブチルペルオキシマレート、t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、t−ブチルペルオキシソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルペルオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルペルオキシド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤;
2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤等。
これらの熱ラジカル開始剤の中でも、メチルエチルケトンペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド等の、金属石鹸及び/又はアミン化合物等の触媒作用により効率的にラジカルを発生させることができる化合物や、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が好適である。
上記熱カチオン重合開始剤としては、下記の化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ルイス酸(例えば、三フッ化ホウ素、塩化第一チタン、塩化第二チタン、塩化第一鉄、塩化第二鉄、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化第一スズ、塩化第二スズ、臭化第一スズ、臭化第二スズ、二塩化ジブチル第二スズ、二臭化ジブチル第二スズ、テトラエチルスズ、テトラブチルスズ、トリエチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム等)と、電子供与性化合物(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等)との錯体;プロトン酸(例えば、ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、硫酸モノエステル類、リン酸モノエステル類、リン酸ジエステル類、ポリリン酸エステル類、ホウ酸モノエステル類、ホウ酸ジエステル類等)を塩基(例えば、アンモニア、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ブチルアミン等)により中和した化合物。これらの中でも、各種プロトン酸のアミン錯体が、可使時間の調整が容易であるので好適である。
ここで、上記熱ラジカル重合開始剤を用いる場合には、熱ラジカル重合開始剤の分解温度を低下させるために、熱重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができる熱重合促進剤を用いることができる。
上記熱重合促進剤としては、例えば、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウム等の金属石鹸、1級、2級、3級のアミン化合物、4級アンモニウム塩、チオ尿素化合物、ケトン化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、トリエタールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2−ヒドロキシエチル)p−トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチルが好適である。
上記熱重合促進剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.001〜10重量部であることが好適である。熱重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、樹脂組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。より好ましくは0.01〜5重量部、更に好ましくは0.05〜3重量部である。
上記硬化性樹脂組成物にはまた、必要に応じ、光増感剤、光重合促進剤、金属酸化物粒子、表面機能調整剤、溶剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記光増感剤とは、光励起により生じた励起状態から光重合開始剤に励起エネルギーを移し、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができるものであり、例えば、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等の1種又は2種以上を用いることができる。
上記光増感剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.05〜20重量部が好適である。光増感剤の配合量がこのような範囲内であれば、樹脂組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。より好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部である。
上記光重合促進剤とは、光重合開始剤の分解を促進して有効にラジカルを発生させることができるものであり、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸−2−n−ブトキシエチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の1種又は2種以上を用いることができる。中でも、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好適である。
上記光重合促進剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0.05〜20重量部が好適である。光重合促進剤の配合量がこのような範囲内であれば、樹脂組成物の硬化性、硬化物の物性、経済性の点で好ましい。より好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは0.2〜10重量部である。
上記金属酸化物粒子とは、金属酸化物からなる粒子を意味し、好ましくは金属酸化物からなる微粒子である。このような金属酸化物粒子を含有する場合には、上記樹脂組成物から形成される硬化物の硬度が向上し、より傷つきにくく、低反射性のコーティング膜が得られるという効果を奏するため、好適である。
上記粒子を構成する金属酸化物は、Si、Ti、Zr、Zn、Sn、In、La及びYよりなる群から選択される少なくとも1種の金属元素を含む酸化物であることが好適である。金属酸化物は、これらの元素を含む単独の酸化物であってもよいし、これらの元素を含む複合酸化物であってもよい。
上記粒子を構成する金属酸化物の具体例としては、例えば、SiO、SiO、TiO、ZrO、ZnO、In、La、Y、SiO−Al、SiO−Zr、SiO−Ti、Al−ZrO、TiO−ZrO等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、SiO、TiO、ZrO、ZnOが好適である。
上記金属酸化物粒子の平均粒子径は、1〜300nmであることが好適である。300nmを超えると、硬化物の透明性が充分とはならないおそれがある。より好ましくは1〜300nm、更に好ましくは1〜50nmである。
なお、ここでいう粒子の平均粒子径とは、動的光散乱式粒径分布測定装置を用いて測定することにより求められる体積平均粒子径を意味する。
上記金属酸化物粒子の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、0〜80重量部であることが好適である。80重量部を超えると、硬化物が脆くなるおそれがある。より好ましくは0〜50重量部である。
上記表面機能調整剤を含有することにより、耐指紋除去性が良好になるが、表面機能調整剤としては、一般的には、フッ素系化合物やシリコーン系化合物が用いられる。本発明では、用途に応じ、例えば、ポリエーテル変性フッ素系化合物、反応性基(例えば(メタ)アクリレート)を有するポリエーテル変性フッ素系化合物、非反応性シリコーン、反応性(例えば(メタ)アクリレート)シリコーン、高分子シリコーン、マクロモノマー系シリコーンのいずれも用いることができる。
上記溶剤とは、揮発性を有するか又は低沸点のいわゆる有機溶剤を意味し、例えば、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族又は脂環式炭化水素;四塩化炭素、クロロホルム、二塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素;ニトロメタン、ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル等のエステル類;ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等の1種又は2種以上を使用することができる。
上記硬化性樹脂組成物には更に、必要に応じ、添加物として、無機充填剤、低収縮化剤(反応性オリゴマー又はポリマー、非反応性オリゴマー又はポリマー)、着色顔料、可塑剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、近赤外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤等の1種又は2種以上を使用することができる。なお、これらの添加物の存在は、特に本発明の効果に影響を及ぼすものではない。
上記添加物の配合量は、添加物の種類や使用目的、組成物の用途や使用方法等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、無機充填剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは10〜60重量部、更に好ましくは20〜50重量部である。低収縮化剤、着色顔料、可塑剤又は援変化剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは5〜30重量部、更に好ましくは10〜25重量部である。重合禁止剤、酸化防止剤、艶消し剤、染料、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤又は援変助剤の配合量は、上記重合性成分の総量100重量部に対し、好ましくは0.0001〜10重量部、より好ましくは0.001〜5重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。
上記硬化性樹脂組成物は、例えば、上述した好ましい成分等を配合し、通常の手法により混合・攪拌することにより得ることができる。
このような樹脂組成物の粘度は、製膜手法(例えば、スピンコーターによる製膜等)や所望する厚み等によって適宜設定される。通常、厚み100μm程度(例えば、記録容量25G程度の一層式ブルーレイディスク向け)から、厚み75μm程度(例えば、記録容量50G程度の2層式ブルーレイディスク向け)の塗膜を均一に得ようとする場合は、25℃において、800mPa・s以上であることが好ましく、また、2500mPa・s以下であることが好適である。より好ましくは850mPa・s以上、更に好ましくは900mPa・sであり、また、より好ましくは2300mPa・s以下、更に好ましくは2000mPa・s以下、特に好ましくは1900mPa・s以下である。なお、厚みを更に薄くしたい場合(例えば、3層以上の多層式ブルーレイディスク向け)には、粘度も更に小さくすることが好適である。
なお、上記樹脂組成物の粘度は、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」:東機産業社製)を用いて算出することができる。
上記保護層の少なくとも一層(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす層)は、上述したように、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られるものであることが好適であり、例えば、基板(又は基板上に形成された機能層)上に形成された反射膜上に、上記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層を形成することで得ることができる。ここでいう「反射膜上」とは、反射膜に直接、当該層を積層する形態だけでなく、反射膜上に機能層が積層され、その機能層上に当該層が積層される形態も意味する。
上記反射膜上に上記硬化性樹脂組成物を硬化させてなる層を形成する方法としては、通常の手法を採用すればよく、例えば、反射膜に接着剤で上記樹脂組成物の硬化物を貼り合わせる手法や、スピンコーターを用いた手法(スピンコート法)等が挙げられるが、コスト面を考慮するとスピンコート法により行うことが好適である。
上記硬化性樹脂組成物の硬化は、例えば、紫外線を照射することで硬化させることができる。ここでいう硬化とは、流動性のない状態にすることを意味する。
使用する紫外線の波長は、150〜450nmの範囲内であればよい。このような波長を発する光源としては、例えば、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、フラッシュ型キセノン灯、カーボンアーク灯等が挙げられる。照射積算光量は、好ましくは0.1〜3J/cm、より好ましくは0.2〜2.0J/cm、更に好ましくは0.3〜1.0J/cmの範囲内である。
上記硬化では、光照射による硬化と共に加熱による硬化を行ってもよい。この場合は、上述した光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等を用いればよい。加熱温度は、基材の種類等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜180℃、更に好ましくは100〜170℃の範囲内である。加熱時間は、塗布面積等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、好ましくは1分間〜24時間、より好ましくは10分間〜12時間、更に好ましくは30分間〜6時間の範囲内である。
上記硬化ではまた、光照射による硬化と共に電子線照射による硬化を行ってもよい。この場合、加速電圧は、好ましくは0〜500kV、より好ましくは20〜300kV、更に好ましくは30〜200kVの範囲内である電子線を用いればよい。また、照射量は、好ましくは2〜500kGy、より好ましくは3〜300kGy、更に好ましくは4〜200kGyの範囲内である。
上記保護層の厚みは、20〜150μmであることが好適である。より好ましくは70〜105μm、更に好ましくは70〜102μm、特に好ましくは70〜100μmである。なお、より多層式の光記録媒体の場合、保護層の厚みはより小さく、後述する中間層の厚みはより厚くすることが好適である。
なお、2層以上の層を積層して保護層を構成する場合、各層の厚みが上記範囲内であることが好ましいが、より好ましくは、保護層全体として上記範囲内であることである。
また本発明の光記録媒体では、上記保護層の少なくとも一層を上述した構成とすることによって、その厚み変化(硬化後の厚み変化)を±2μm内に制御することができる。
−中間層−
上記中間層は、上述したように、記録層(情報記録層)を2層以上有する多層構造の光記録媒体において、当該記録層間に形成される層であり、紫外線等の活性エネルギー線で硬化し得る樹脂組成物(紫外線硬化性樹脂組成物)から形成することが好適である。なお、中間層の少なくとも一層が、上述した本発明の保護層と同様の形態(すなわち、上記(A)及び(B)を満たす形態)であることも好ましく、また、中間層を形成する材料として、上述した本発明の保護層を形成するのに好適な紫外線硬化性樹脂組成物を用いることも好ましい。
上記中間層の厚みは、特に限定されないが、例えば1〜50μmであることが好ましい。より好ましくは5〜30μm、更に好ましくは8〜28μmである。
−界面層−
上記界面層は、上述したように、好ましくは記録層と保護層との間に形成される層であり、特に記録可能な光記録媒体(記録再生型の光記録媒体とも称す)では更に界面層を有することが好適である。この層を設けることで、記録層の保護層への膨れを有効に利用することができる。また、例えば、溶剤を含有する樹脂組成物を塗布することによって保護層を形成しようとする場合に、その溶剤による記録による記録層の溶出をも防止することができる。
上記界面層では、上記反射膜からの反射光の位相変化を選択的に利用できるようにするため、界面層での反射はできるだけ小さいことが好適である。この点を考慮すると、界面層と記録層とにおける屈折率の差、又は、界面層と保護層とにおける屈折率の差が小さいことが好適である。具体的には、当該差が1以下であることが好ましく、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.5以下である。特に好ましくは、界面層と記録層とにおける屈折率の差、及び、界面層と保護層とにおける屈折率の差のいずれもが、これらの好ましい範囲内となることである。
上記界面層としては、用いられるレーザー光の波長に対して透明で、しかも化学的、機械的、熱的に安定な材料から形成されるものであることが好適である。例えば、405nmの光線透過率が80%以上となる材料を用いることが好ましい。この光線透過率としてより好ましくは90%以上、更に好ましくは100%である。
上記界面層を形成する材料として具体的には、金属、半導体等の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等のフッ化物等の誘電体化合物やその混合物等が好ましい。中でも、記録層や保護層との屈折率の差が1以下となるものが好ましい点から、界面層を形成する材料の屈折率が1〜2.5であるものが好適であり、また、界面層としての屈折率もこの範囲となるように、界面層の厚みを適宜設定することが好ましい。界面層の硬度や厚みにより、記録層の変形(記録層の保護層への膨らみ変形)を促進又は抑制したりすることができるが、例えば、保護層側への膨れをより有効活用するためには、比較的に硬度の低い誘電体材料を用いることが好ましく、例えば、ZnO、In23、Ga23、ZnSや希土類金属の硫化物に、他の金属、半導体の酸化物、窒化物、炭化物を混合した材料が好適である。また、プラスチックのスパッタ膜、炭化水素分子のプラズマ重合膜を用いることもできる。
上記界面層の厚みは、例えば、1〜50nmであることが好適である。より好ましくは5〜20nmである。
−ハードコート層−
上記ハードコート層は、光記録媒体の汚れや小さな傷等を防止するために設けることが好適である。このようなハードコート層は、透明性を有する層であって、また、光等の活性エネルギー線で硬化する樹脂組成物を硬化させてなる層であることが好適である。
上記ハードコート層の厚みは、例えば、1〜10μmであることが好適である。より好ましくは2〜8μm、更に好ましくは3〜5μmである。
本発明の光記録媒体はまた、上記保護層上にこのようなハードコート層を設けた場合にも、当該ハードコート層のクラック等の発生がより防止されるという特性を有する。
本発明の光記録媒体としては、上述したように、再生専用型の光記録媒体と、記録可能な光記録媒体(記録再生型の光記録媒体ともいう)とのいずれとしても好ましく用いられるが、例えば、記録1層式である場合を例に挙げ、これらの型の好適な形態及び製法を下記に説明する。
上記再生専用型の光記録媒体として好適な形態は、少なくとも、ピット形状を有する樹脂基板(好ましくはポリカーボネート基板)、反射膜及び保護層をこの順に有する形態であるが、この形態の好ましい製法としては、例えば、1枚の樹脂基板を射出成形する際に、記録層であるピットを設け、次いで該記録層上に反射膜(反射層ともいう)を形成し、更に、該反射膜上に、紫外線硬化性樹脂組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射によって硬化させて保護層(光透過層)を形成する手法が挙げられる。なお、この保護層上に更にハードコート層を設けることがより好ましい。
上記記録再生型の光記録媒体として好適な形態は、少なくとも、基板(好ましくはポリカーボネート基板)、反射膜、記録層及び保護層をこの順に有する形態であるが、この形態の好ましい製法としては、例えば、1枚の基板上に反射膜を形成し、次いで記録層を設け、更に、該記録層上に、紫外線硬化性樹脂組成物をスピンコート法等により塗布した後、紫外線照射によって硬化させて保護層(光透過層)を形成する手法が挙げられる。なお、記録層上に界面層を設けた後に保護層を形成することがより好ましく、また、保護層上に更にハードコート層を設けることもより好ましい。
本発明の光記録媒体は、上述のような構成であるので、透明性や膜厚安定性等の諸物性を充分に発揮でき、かつ長期安定的に反りや変形が抑制され、しかも表面平滑性に優れるものであり、数十年以上の長期間にわたって安定して記録・再生ができる光記録媒体である。このような光記録媒体は、極めて信頼性が高く、また、寒冷地や車内等の高温に晒されやすい場所での使用や長期保存にも適したものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
下記製造例において、重合体の数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)、ガラス転移温度及び貯蔵弾性率は、各々上述した方法にて測定した。また、実施例等における各種物性の評価は、下記方法にて行った。
<各種物性の評価方法>
(1)樹脂組成物粘度
得られた樹脂組成物(保護層形成用の樹脂組成物)を、温度25℃の条件下で、B型粘度計(型式「RB80L」、東機産業社製)を用いて測定した値を採用した。
(2)表面平滑性
得られた基板/保護層の積層体(すなわち、各実施例等において、ポリカーボネート製の円盤状光記録媒体用基板に、スピンコーターにて樹脂組成物を厚さ約100μm設定で塗布し、硬化させて得られた、ポリカーボネート製の円盤状光記録媒体用基板と保護層との積層体)について、樹脂組成物の流動痕による平滑不良部分があるかどうかを目視にて判断した。
○:樹脂組成物の流動痕なし
×:樹脂組成物の流動痕あり
(3)保護層 25℃又は70℃における貯蔵弾性率(E1、E2)
得られた基板/保護層の積層体から、保護層(樹脂組成物の硬化膜(硬化物))のみを所定の寸法で剥がし取り、引っ張りモード、周波数1Hz、クランプ距離25mm、振幅0.1%、昇温速度5℃/分の条件で動的粘弾性の測定を行い、得られた25℃又は70℃における各貯蔵弾性率の値を採用した。また、これらの値から、25℃における貯蔵弾性率E1と、70℃における貯蔵弾性率E2との比(E1/E2)を算出した。
(4)保護層 ガラス転移温度(Tg)
上記(3)の25℃における貯蔵弾性率と同様の測定方法及び条件により得られた値であり、最大tanδ値の温度を採用した。
(5)保護層 ガラス転移温度におけるtanδ値
上記(3)の貯蔵弾性率と同様の測定方法及び条件により測定されるガラス転移温度のtanδ値を採用した。
(6)硬化時(初期)の反り量
得られた基板/保護層/ハードコート層の積層体を、保護層(樹脂組成物の硬化膜(硬化物))が上面側になるように水平なガラス板上に置いた後、日本触媒社製のレーザー変位読取方式の反り角測定装置を使い、温度25℃、相対湿度50%環境下にて、半径58mm位置におけるラジアルチルト値を測定した。硬化時(初期)の反り量としては、塗布前後の反り変化量を採用した。
(7)低温(5℃)時の反り増加量
得られた基板/保護層/ハードコート層の積層体を、5℃で、かつ相対湿度45%の環境下に5時間放置したときの反り増加値を、上記(6)の硬化時(初期)の反り量と同様に測定した。
(8)加熱促進試験(70℃、100時間)後の反り増加量
得られた基板/保護層/ハードコート層の積層体を、70℃のオーブン中で100時間保持させ、更に、温度25℃、相対湿度50%環境下に24時間放置したときの反り増加量を、上記(6)の硬化時(初期)の反り量と同様に測定した。
(9)反り総合評価
上記(6)〜(8)で求めた硬化時(初期)の反り量、低温(5℃)時の反り増加量及び加熱促進試験(70℃、100時間)後の反り増加量を合算し、得られた反り増加量を以下の基準で評価した。
◎:0.8°未満
○:0.8°以上、1.0°未満
△:1.0°以上、1.2°未満
×:1.2°以上
(10)耐ヒートショック性(i)(ハガレ評価)
得られた光記録媒体(基板/保護層/ハードコート層の積層体)を、25℃オーブン中で1時間保持した後、更に、70℃で1時間保持させた試験を100回繰り返した場合に、基板と保護層との界面における、剥離の有無により評価した。
○:ハガレなし
×:ハガレあり
(11)耐ヒートショック性(ii)(ハガレ評価)
得られた光記録媒体(基板/保護層/ハードコート層の積層体)を、25℃オーブン中で1時間保持した後、更に、70℃で1時間保持させた試験を500回繰り返した場合に、基板と保護層との界面における、剥離の有無により評価した。
○:ハガレなし
×:ハガレあり
(12)耐圧痕性
得られた基板/保護層/ハードコート層の積層体を用いて、微小圧縮試験機(島津製作所製、型式MCT−W500)により、試験条件として、使用平面圧子50μm径、負荷速度20mN/秒、最大荷重300mN、最大荷重での保持時間90秒、徐荷速度20mN/秒、完全徐荷後の保持時間90秒とした場合の、積層体に残る変形量(永久変形量、μm)を測定し、以下の基準で評価した。
◎:永久変形量が0.5μm未満
○:永久変形量が0.5μm以上、0.7μm未満
△:永久変形量が0.7μm以上、1.0μm未満
×:永久変形量が1.0μm以上
(13)HC(ハードコート層)のクラック防止性
得られた基板/保護層/ハードコート層の積層体を用いて、上記(12)の耐圧痕性試験と同様の試験を行い、ハードコート層のクラック発生の有無を目視にて確認し、以下の基準で評価した。
○:クラックなし
×:クラックあり
(14)残膜性
基板/保護層/ハードコート層の積層体について、上記(8)の加熱促進試験(70℃、100時間)前後の保護層の厚みを、レーザーフォーカス変位計を用いて測定し、残膜率(%)を〔(加熱促進試験後の膜厚/加熱促進試験前の膜厚)×100〕で算出し、以下の基準で評価した。
◎:残膜率が99%以上、101%未満
○:残膜率が98%以上、99%未満、又は、101%以上、102%未満
×:透過率が98%未満、又は、102%以上
製造例1(UA−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコにイソホロンジイソシアネート340g、ジブチルスズジラウレート0.015gを加え、80℃へ昇温した。一定温度後、旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」300gを2時間かけて滴下し、滴下終了後、5時間、80℃の温度を保った。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート180gとハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gとの混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、15時間、80℃の温度を保ち、ウレタンアクリレート(「UA−1」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は5600、分子量分布(Mw/Mn)は3.71、ガラス転移温度は−5℃、25℃の貯蔵弾性率は10MPaであった。
製造例2(UA−2の合成)
製造例1の旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」300gを、三菱化学社製ポリテトラメチレンエーテルグリコール「PTMG2000」150gと、旭電化社製ポリプロピレングリコール「P−2000」150gとの混合物に変更したこと以外は、製造例1(UA−1)と同様にして、ウレタンアクリレート(「UA−2」と称する。)を合成した。分子量(Mn)は5500、分子量分布(Mw/Mn)は3.61、ガラス転移温度は10℃、25℃の貯蔵弾性率は150MPaであった。
製造例3(P−1の合成)
攪拌棒、温度計、滴下ライン、窒素/空気混合ガス導入管を取り付けた4つ口フラスコに酢酸エチル150gを加え、70℃へ昇温した。昇温後、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)15g及び2−エチルヘキシルビニルエーテル185gの混合物と、酢酸エチル25g及びリンタングステン酸13mgの混合溶解物とを、それぞれ3時間かけて滴下し重合を行った。重合終了後はトリエチルアミンを加えて反応を終了した。次いで、エバポレーターで濃縮した後、ビニル系重合体(「P−1」と称する。)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.5%であること、更に、酢酸エチルの含有量は0.1%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体(P−1)の数平均分子量(Mn)は2200、分子量分布(Mw/Mn)は1.50、ガラス転移温度は−5℃、25℃の弾性率は30MPaであった。
製造例4(P−2の合成)
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)15g及び2−エチルヘキシルビニルエーテル185gの混合物を、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(VEEA、日本触媒社製)40g及び2−エチルヘキシルビニルエーテル160gの混合物に変更したこと以外は、製造例3(P−1)と同様にして、ビニル系重合体(「P−2」と称する。)を得た。単量体の反応率は、反応停止後の混合液をガスクロマトグラフィー(GC)で分析することにより、99.6%であること、更に、酢酸エチルの含有量は0.1%であることが判明した。また、得られたビニル系重合体(P−2)の数平均分子量(Mn)は2400、分子量分布(Mw/Mn)は1.55、ガラス転移温度は15℃、25℃の弾性率は150MPaであった。
実施例1
(保護層の準備)
表1に記載の各成分を、それぞれ表1に記載の各配合量(部)にて混合・攪拌し、光記録媒体用硬化性樹脂組成物(1)を調製した。
(ハードコート層の準備)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート30部、トリメチロールプロパントリアクリレート30部、アクリル酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル40部、光重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)5部、シリコーン系添加剤(商品名「FZ−2104」東レ・ダウコーニング社製 )0.3部を、混合・攪拌して、光記録媒体用ハードコート用樹脂組成物を調製した。
(保護層の形成1)
次に、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート製の円盤状光記録媒体用基板を準備し(ソリ角度0.0°)、その上に銀合金を20〜40nmの膜厚でスパッタリング処理した。次に、銀合金上に雰囲気温度25℃、相対湿度50%の環境下、得られた光記録媒体用硬化性樹脂組成物(1)を厚さ約100μm設定でスピンコーターにて塗布し、キセノンフラッシュUVランプを有するUV照射機(米国キセノン社製 形式RC−801)を用いて、窒素雰囲気下、ランプ高さ2cmでフラッシュを15回照射して硬化させた。なお、320〜390nmにおける照射積算光量は約0.5J/cmであった。硬化物(保護)層の厚さをレーザーフォーカス変位計を用いて測定したところ、97±2μmであった。
(ハードコート層の形成)
次に、得られた光記録媒体用ハードコート用硬化性樹脂組成物を、硬化物(保護)層の上に、厚さ約3μm設定でスピンコーターにて塗布し、キセノンフラッシュUVランプを有するUV照射機(米国キセノン社製 形式RC−801)を用いて、窒素雰囲気下、ランプ高さ2cmでフラッシュを10回照射して硬化させた。得られた硬化物層の積層体(保護層/ハードコート層)の厚みをレーザーフォーカス変位計を用いて測定したところ、100±2μmであった。
得られた光記録媒体用硬化性樹脂組成物(1)、及び、得られた光記録媒体(基板/保護層/ハードコート層の積層体(※))の評価を行った。結果を表1に示す。
※3つの反り増加量、反り総合評価、耐圧痕性、HCクラック防止性、残膜性及び耐ヒートショック性の評価試験以外は、ハードコート層を積層せずに、すなわち、基板/保護層の積層体について評価・測定した。
実施例1−2
実施例1の(保護層の形成1)における銀合金のスパッタリング処理の後、下記の方法にて硬化性樹脂組成物(1)を硬化させ、硬化物(保護)層を形成した後、実施例1と同様の手法で、光記録媒体(基板/保護層/ハードコート層の積層体、又は、基板/保護層の積層体)の各種評価を行ったが、結果はほぼ同じであった。なお、この場合のハードコート層の形成は実施例1と同様に行った。
(保護層の形成2)
実施例1の(保護層の形成1)における銀合金のスパッタリング処理(20〜40nmの膜厚)の後、有機色素系の記録層として含金アゾ系色素をスピンコーターにより10〜20nmの厚みで製膜した。次に、含金アゾ系色素上に、界面層としてITO(酸化インジウムスズ)を5〜10nmの膜厚でスパッタリング処理した。次に、雰囲気温度25℃、相対湿度50%の環境下、得られた硬化性樹脂組成物(1)を厚さ約100μm設定でスピンコーターにてITO膜上に塗布し、キセノンフラッシュUVランプを有するUV照射機(米国キセノン社製 形式RC−801)を用いて、窒素雰囲気下、ランプ高さ2cmでフラッシュを15回照射して硬化させた。なお、320〜390nmにおける照射積算光量は約0.5J/cmであった。硬化物(保護)層の厚さをレーザーフォーカス変位計を用いて測定したところ、97±2μmであった。
実施例2〜18、比較例1〜6、参考例1
実施例1(保護層の準備)と同様にして、各成分を表1〜3に示した割合で混合・撹拌して、光記録媒体用硬化性樹脂組成物(2)〜(18)、比較用樹脂組成物(1)〜(6)、及び、参考用樹脂組成物(1)を各々得た。その後、実施例1における光記録媒体用硬化性樹脂組成物(1)に代えて、これらの樹脂組成物の各々を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を得た。得られた樹脂組成物及び光記録媒体を実施例1と同様に評価した。結果を表1〜3に示す。
Figure 2011192342
Figure 2011192342
Figure 2011192342
表1〜3中の略称は、以下のとおりである。
※1:(c)成分の分子量は数平均分子量(Mn)を意味し、それ以外の(メタ)アクリレート化合物の分子量は、構成する元素の原子量の総和として計算された値を意味する。
※2:(c)成分のTg及び貯蔵弾性率は、それぞれ、それを単独で硬化した硬化物のTg及び貯蔵弾性率(25℃)を意味する。
TMP−3PO−A:トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3モル付加物のトリアクリレート(商品名「SR492」、サートマー社製)
TMP−6PO−A:トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド6モル付加物のトリアクリレート(商品名「CD501」、サートマー社製)
TMP−6EO−A:トリメチロールプロパンのエチレンオキシド6モル付加物のトリアクリレート(商品名「ライトアクリレートTMP−6EO−A」、共栄社化学社製)
TMP−9EO−A:トリメチロールプロパンのエチレンオキシド9モル付加物のトリアクリレート(商品名「SR502」、サートマー社製)
G−PO−A:グリセリンのプロピレンオキシド5.5モル付加物のトリアクリレート(商品名「CD9021」、サートマー社製)
THEIC−3CL−A:トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)のε−カプロラクトン3モル変性のアクリレート、商品名「アロニックスM327」、東亜合成社製
PET−4PO−A:ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド4モル付加物のテトラアクリレート
DPCA−120:ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン12モル付加物のヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPCA−120」、日本化薬社製)
DPCA−60:ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン6モル付加物のヘキサアクリレート(商品名「カヤラッドDPCA−60」、日本化薬社製)
UA−1:製造例1で得たウレタンアクリレート
UA−2:製造例2で得たウレタンアクリレート
CN978:サートマー社製、ウレタンアクリレート
CN9178:サートマー社製、ウレタンアクリレート
CN2270:サートマー社製、ポリエステルアクリレート
P−1:製造例3で得たビニル系重合体
P−2:製造例4で得たビニル系重合体
CN UVE151:サートマー社製、エポキシアクリレート
CN981:サートマー社製、ウレタンアクリレート
Bis−10EO−A:ビスフェノールAのエチレンオキシド10モル付加物のジアクリレート(商品名「SR−602」、サートマー社製)
APG−700:ポリプロピレングリコールのジアクリレート(商品名「NKエステル APG−700」、新中村化学社製)
HX−620:ヒドロキシピバリン酸ネオペングリコールのε−カプロラクトン4モル付加物のジアクリレート(商品名「カヤラッドHX−620」、日本化薬株式会社製)
NP−2PO−A:ネオペンチルグリコールのプロピレンオキシド付加物のジアクリレート(商品名「SR9003」、サートマー社製)
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「SR351」、サートマー社製)
TCD−A:トリシクロデカンジアクリレート(商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学社製)
PEA:フェノキシエチルアクリレート(商品名「ライトアクリレートPO−A」、共栄社化学社製)
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(日本触媒社製)
Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(商品名「イルガキュア184」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
Irg127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチループロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン(商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
Esacure one:オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}(商品名「エスキュアONE」、ランベルティ社製)
上述した実施例及び比較例の結果から、本発明の光記録媒体が有する保護層の少なくとも一層を、(A)25℃における貯蔵弾性率E1と、70℃における貯蔵弾性率E2との比(E1/E2)が1.0〜4.5であり、かつ、(B)ガラス転移温度が0〜30℃である形態とすることにより、表面平滑性や各種反り特性、耐圧痕性、耐ヒートショック性、残膜性等に優れ、しかもハードコート層を積層した場合のクラックの発生を防止できるという、各種特性をバランスよく同時に発揮できるという点において有利な効果を発揮し、それが顕著であることが確認された。以下に説明する。
すなわち実施例1〜18の樹脂組成物はいずれも、その硬化物である保護層が、上記(A)及び(B)を満たすものであるのに対し、比較例1〜3は、ガラス転移温度が、いずれも上記(B)の本発明の数値範囲を下回る例である。この場合、いずれも、実施例に比べて表面平滑性及びHCクラック防止性(ハードコート層を積層した場合のクラックを防ぐ性能)に劣っており、しかも25℃貯蔵弾性率が実施例に比べて小さい比較例1及び3では、更に耐ヒートショック性及び耐圧痕性にも劣る結果となっている。
また比較例5及び6は、ガラス転移温度が、いずれも上記(B)の本発明の数値範囲を上回る例であり、しかも比較例5は、E1/E2の値が上記(A)の本発明の数値範囲を上回る例である。この場合、いずれも、実施例に比べて反り特性に劣り、比較例6では更に、耐ヒートショック性及び耐圧痕性にも劣る結果となっている。更に、比較例4は、E1/E2の値が上記(A)の本発明の数値範囲を上回る例であるが、この場合も、耐ヒートショック性に劣る結果となっている。
したがって、上述した本発明の(A)及び(B)の範囲をいずれも満たす形態とすることによって初めて、各種性能をバランスよく良好に発揮できる光記録媒体を与えることができることが確認された。

Claims (7)

  1. 少なくとも基板、記録層、反射膜及び保護層を有し、青色レーザー光により記録及び/又は再生を行う光記録媒体であって、
    該保護層の少なくとも一層は、
    (A)25℃における貯蔵弾性率E1と、70℃における貯蔵弾性率E2との比(E1/E2)が1.0〜4.5であり、かつ、
    (B)ガラス転移温度が0〜30℃である
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記保護層の少なくとも一層は、更に、
    (C)25℃における貯蔵弾性率が50〜300MPaである
    ことを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 前記基板は、ポリカーボネート基板である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体。
  4. 前記記録層は、有機系色素を用いた層である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光記録媒体。
  5. 前記反射膜の少なくとも1層は、銀又は銀合金を用いた層であって、該層の厚みが10〜50nmであり、
    前記保護層の厚みは20〜150μmである
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光記録媒体。
  6. 前記保護層の少なくとも一層は、紫外線硬化性樹脂組成物を硬化して得られるものであって、
    該紫外線硬化性樹脂組成物は、
    (a)アルキレンオキシド及び/又はε−カプロラクトンで変性された3官能以上の(メタ)アクリレート化合物50〜80質量%と、
    (b)分子中にラジカル重合性不飽和基を2以上有する、ウレタン(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート化合物、エポキシ(メタ)アクリレート化合物、及び、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー又はポリマーからなる群より選択される少なくとも1種の化合物20〜50質量%と、
    (c)該(a)及び(b)成分以外の(メタ)アクリレート化合物0〜20質量%とを含み(但し、各数値範囲は、(a)、(b)及び(c)の総量を100質量%としたときの各成分の含有割合(質量%)を表す。)、
    更に、(d)光重合開始剤を含むものである
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体。
  7. 前記光記録媒体は、記録可能なものである
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光記録媒体。
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