JP2011074107A - 芳香族ポリマーの製造方法 - Google Patents

芳香族ポリマーの製造方法 Download PDF

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精二 小田
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卓 神川
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Abstract

【課題】高重合度のポリアリーレン構造の分子鎖を有する芳香族ポリマーを製造する製造方法を提供する。
【解決手段】ジハロビフェニル化合物を、ニッケル化合物及びリン化合物から調製される触媒と、金属還元剤と、の存在下で重合し、芳香族ポリマーを製造する製造方法において、前記リン化合物が、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、
下記式(2)
Figure 2011074107

(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基及びジアルキルアミノ基からなる群から選ばれる基を表す。)
で示されるトリアリールホスフィンを含むことを特徴とする製造方法の提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族ポリマーの製造方法に関する。
ポリアリーレン構造を有する芳香族ポリマーは近年、たとえば固体高分子形燃料電池(以下、場合により「燃料電池」という。)等の構成材料として注目されている。
かかる芳香族ポリマーの製造方法として、ニッケル化合物とトリフェニルホスフィンとから調製された触媒及び亜鉛の存在下に、スルホ基を有するジハロビフェニル化合物を重合することにより、芳香族ポリマーを製造する製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開2008−174715号公報
燃料電池等の構成材料として、ポリアリーレン構造を有する芳香族ポリマーを利用する場合には、より重合度が高い、すなわち、より高重合度の芳香族ポリマーが好ましい。
本発明は、ニッケル化合物及びリン化合物から調製される触媒と、
金属還元剤と、
の存在下、下記式(1)

Figure 2011074107

(式中、Aは独立に、下記式(1a)
−N(R) (1a)
(式中、2つのRはそれぞれ独立に、水素原子、又は、下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、2つのRが結合し、窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。ただし、2つのRがともに水素原子であることはない。)
で示されるアミノ基又は下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。
は独立に、フッ素原子、
下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、
下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数2〜20のアシル基
又はシアノ基を表わす。
kは同一ベンゼン環に結合するRの数であり、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、kが2又は3である場合、同一ベンゼン環に結合している複数のRはそれぞれ独立である。隣接する炭素原子にそれぞれ結合している2つのRがある場合、この2つのR同士は結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。
は独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)
で示されるジハロビフェニル化合物を含む芳香族モノマーを重合することで、以下の式(4)
Figure 2011074107
(式中、A、R及びkは前記式(1)と同義である。)
で示される構造単位を有する芳香族ポリマーを製造する製造方法において、
前記リン化合物が、
トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、
下記式(2)
Figure 2011074107
(式中、R、R及びRは独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数1〜20のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれる基を表し、R、R及びRが同時に水素原子であることはない。)
で示されるトリアリールホスフィンと、を含むことを特徴とする製造方法、を提供するものである。
〔G群〕
フッ素原子;炭素数1〜20のアルコキシ基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数6〜20のアリールオキシ基;炭素数2〜20のアシル基;シアノ基
本発明によれば、ポリアリーレン構造を有し、高重合度の芳香族ポリマーを得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<ジハロビフェニル化合物>
まず、本発明の製造方法の芳香族モノマー(原料モノマー)である前記式(1)で示されるジハロビフェニル化合物(以下、「ジハロビフェニル化合物(1)」という。)について具体例を示しつつ説明する。
Aは独立に、前記式(1a)で示されるアミノ基又は前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。
前記式(1a)の2つのRのうち少なくとも1つは、前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基である。ここで、「炭素数1〜20の炭化水素基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基及びn−イコシル基等のアルキル基;フェニル基及びo−キシリレン基等の芳香族基;が例示される。また、2つのRが結合して環を形成している場合には、1,3−ブタジエン−1,4−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基及びビフェニル−2,2’−ジイル基等による環状基が例示される。
前記式(1a)のアミノ基には、ここに例示するアルキル基、芳香族基又は環状基にある水素原子の一部又は全部が、前記G群から選ばれる基に置き換わったものも挙げることができる。
前記式(1a)で示されるアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、2,2−ジメチルプロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ウンデシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−トリデシルアミノ基、n−テトラデシルアミノ基、n−ペンタデシルアミノ基、n−ヘキサデシルアミノ基、n−ヘプタデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、n−ノナデシルアミノ基、n−イコシルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基等が挙げられ、ジエチルアミノ基及びn−ドデシルアミノ基が好ましい。
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよいアルコキシ基の「炭素数1〜20のアルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基及びn−イコシルオキシ基等が挙げられる。そして、ここに例示するアルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、前記G群から選ばれる基に置換された基がAであってもよい。中でも、Aのアルコキシ基としては、炭素数3〜20のアルコキシ基が好ましく、任意の置換基を有していないアルコキシ基が好ましく、イソプロポキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が特に好ましい。
ここで、前記G群の基について例示しておく。
炭素数1〜20のアルコキシ基としては、すでに例示したものと同じである。
炭素数6〜20のアリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−フェナントリル基及び2−アントリル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基及び2−アントリルオキシ基等の前記炭素数6〜20のアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられる。
炭素数2〜20のアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20の脂肪族もしくは芳香族アシル基が挙げられる。
以上、前記式(1)のAに関し具体例を挙げて説明したが、Aはアルコキシ基であることがより好ましい。さらに、該アルコキシ基はすでに述べたように、炭素数3〜20のものが一層好ましく、さらには、イソプロピル基、イソブトキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が特に好ましい。
は独立に、フッ素原子、
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数2〜20のアシル基、
又はシアノ基を表わす。
ここで、前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の「炭素数1〜20のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−メチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基及びn−イコシル基等の直鎖状、分枝鎖状もしくは環状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。ここに例示するアルキル基にある水素原子の一部又は全部が、前記G群より選ばれる基に置き換わった基がRであってもよい。
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例は、前記Aのアルコキシ基で例示したものと同じである。
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基の「炭素数6〜20のアリール基」の具体例は、フェニル基、4−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、3−フェナントリル基及び2−アントリル基等を挙げることができる。ここに例示するアリール基にある水素原子の一部又は全部が、前記G群より選ばれる基に置き換わった基がRであってもよい。
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基の「炭素数6〜20のアリールオキシ基」としては、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、3−フェナントリルオキシ基及び2−アントリルオキシ基等の前記炭素数6〜20のアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられる。ここに例示するアリールオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、前記G群より選ばれる基に置き換わった基がRであってもよい。
前記G群より選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基の「炭素数2〜20のアシル基」の具体例は、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等の炭素数2〜20の脂肪族もしくは芳香族アシル基が挙げられる。ここに例示するアシル基にある水素原子の一部又は全部が、前記G群より選ばれる基に置き換わった基がRであってもよい。
kは同一ベンゼン環に結合するRの数であり、独立に0〜3の整数を表し、kが2以上である場合、同一ベンゼン環に結合している複数のRはそれぞれ独立である。kは0であるとさらに好ましい。
隣接する炭素原子にそれぞれ結合している2つのRは結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。
は塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす。
かかるジハロビフェニル化合物(1)の具体例としては、例えば、
4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジメチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジエチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−プロピル)、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−ブチル)、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソブチル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジシクロヘキシル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−オクチル)、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−ペンタデシル)、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−イコシル)、
N,N−ジメチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジエチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジ(n−プロピル)−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジ(n−ブチル)−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジイソブチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(n−オクチル)−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(n−ドデシル)−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(n−イコシル)−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジフェニル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、5,5’−ジメチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、6,6’−ジメチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、5,5’−ジメトキシ−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、6,6’−ジメトキシ−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、3,3’−ジアセチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、5,5’−ジアセチル−4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、
4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジメチル、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジエチル、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−プロピル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−ブチル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソブチル、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジシクロヘキシル、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−オクチル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−ペンタデシル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(n−イコシル)、
N,N−ジメチル−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジエチル−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジ(n−プロピル)−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジイソプロピル−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジ(n−ブチル)−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジイソブチル−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(2,2−ジメチルプロピル)−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(n−オクチル)−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(n−ドデシル)−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N−ジ(n−イコシル)−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド、N,N−ジフェニル−4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホンアミド等が挙げられる。
なかでも、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル及び4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)が好ましい。
これらの中でも、前記式(1)におけるXが塩素原子又は臭素原子であるジハロビフェニル化合物(1)が、より高重合度の芳香族ポリマーが得られるので好ましい。
また、前記式(1)で示されるジハロビフェニル化合物(1)の中でも、Rがない(前記式(1)の2つのkがともに0)ジハロビフェニル化合物(1)又は、Rとして、置換基を有さない炭素数1〜20のアルキル基もしくは、置換基を有さない炭素数1〜20のアルコキシ基を有するジハロビフェニル化合物(1)が好ましい。Rが、置換基を有さない炭素数1〜20のアルキル基もしくは、置換基を有さない炭素数1〜20のアルコキシ基であるジハロビフェニル化合物(1)は、本発明の製造方法に係る重合反応の進行にほとんど影響しない点で有利であり、かかる点では、Rを有さない(前記式(1)の2つのkがいずれも0)ジハロビフェニル化合物(1)が一層好ましい。
さらに、前記式(1)にある2つのAはともに、アルコキシ基であるものが好ましい。
特に好ましいジハロビフェニル化合物(1)としては、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)、4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジイソプロピル及び4,4’−ジブロモビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)が挙げられる。
このジハロビフェニル化合物(1)は例えば、ジクロロスルホニルジハロビフェニルと、A−H(式中、Aは前記と同じ意味である。)と、を第3級アミン等の存在下に反応させることにより製造することができる。このようなジハロビフェニル化合物(1)の製造方法に関しては、特開2007−270118号公報に記載されている。
<その他の芳香族化合物>
Figure 2011074107

また、本発明の製造方法に用いる前記芳香族モノマーには、前記ジハロビフェニル化合物(1)に加え、以下の式(3)で示される芳香族化合物(以下、「芳香族化合物(3)」という)を用いることができる。
式(3)において、a、b及びcはそれぞれ独立に、0又は1を表わし、nは5以上の整数を表わす。Y及びYはそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基、スルホニル基、2,2−イソプロピリデン基、2,2−パーフルオロイソプロピリデン基又はフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。Z及びZはそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表わす。Xはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす。
式(3)において、Ar、Ar、Ar及びArはそれぞれ独立に、2価の芳香族基を表わす。ここで、前記2価の芳香族基は、以下の(a1)、(b1)、(c1)、(d1)、(e1)、(f1)、(g1)、(n1)及び(j1)[以下、「(a1)〜(j1)」のように表記することがある。]からなる群より選ばれる基を置換基として有していてもよい。)
(a1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
(b1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
(c1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基;
(d1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;
(e1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数2〜20のアシル基;
(f1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数2〜20のアシルオキシ基;
(g1)前記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールスルホニル基;
(h1)下記式:
Figure 2011074107
(式中、Aは前記式(1)と同じ意味である。)
で示される基;
(i1)シアノ基;
(j1)フッ素原子
以下、この芳香族化合物(3)について説明しておく。
該芳香族化合物(3)には、置換基を有していてもよい芳香族基を有しており、置換基を有する場合、この置換きは本発明の製造方法に係る重合反応に関与しないものであり、前記(a1)〜(j1)が挙げられる。これらのうち、(a1)〜(f1)の例示、及び(a1)〜(f1)の好ましい基は、前記ジハロビフェニル化合物(1)のRにおいて説明したものと同じである。また、(h1)におけるAも、前記ジハロビフェニル化合物(1)で説明したAと同じである。
前記(g1)における炭素数6〜20のアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基及びp−トルエンスルホニル基等が例示される。
(g1)のうち特に好ましいものとしては、置換基を有さない炭素数6〜20のアリールスルホニル基が挙げられる。
前記(a1)〜(j1)の基のうち、(a1)、(b1)、(e1)及び(h1)からなる群より選ばれる基が好ましい。これらの基は、本発明の製造方法に係る重合反応の進行に対して、ほとんど影響を及ぼすことがないため、これらの基を置換基として有する芳香族化合物(3)は、本発明の製造方法に好ましく用いることができる。
前記芳香族化合物(3)の具体例としては、下記に示す化合物、あるいは下記に示す化合物における両末端の塩素原子が臭素原子に代わった化合物が挙げられる。なお、下記式中、nは上述のとおりであり、好ましくは10以上である。
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
前記芳香族化合物(3)は、日本国特許第2,745,727号公報等に記載された方法を参考として製造することができる。また、芳香族化合物(3)として、市販されているものを用いることもできる。市販されている芳香族化合物(3)としては、例えば、住友化学株式会社製スミカエクセルPES等が挙げられる。
芳香族化合物(3)としては、そのポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上のものを用いることが好ましく、3,000以上であるものと用いることがより好ましい。
<芳香族ポリマーの製造方法>
続いて、本発明の芳香族ポリマーの製造方法について説明する。該製造方法は、少なくとも1種のジハロビフェニル化合物(1)を原料モノマーとして用い、該原料モノマーを、ニッケル化合物及びリン化合物から調製される触媒と、金属還元剤と、の存在下で重合することで芳香族ポリマーを得る方法である。そして、該リン化合物として、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、前記式(2)で示されるトリアリールホスフィンと、を含むことを特徴とする。
次に、本発明に用いる前記触媒について、当該触媒の調製に用いるニッケル化合物、リン化合物及びこれらを用いる触媒の調製方法について、順次説明する。
<ニッケル化合物>
ニッケル化合物としては、ゼロ価ニッケル化合物、ハロゲン化ニッケル(例えば、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル等)、ニッケルカルボン酸塩(例えば、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル等、2−エチルヘキサン酸ニッケル)、ニッケルアセチルアセトナート、(ジメトキシエタン)塩化ニッケル及び(ジメトキシエタン)臭化ニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である。該ゼロ価ニッケル化合物とは、具体的には中心金属ニッケルの原子価状態がゼロであるニッケル錯体(ゼロ価ニッケル錯体)を意味し、該ゼロ価ニッケル錯体の中でもビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が好ましい。ハロゲン化ニッケルとしては、フッ化ニッケル、塩化ニッケル及び臭化ニッケルが市場から容易に入手し易いので好ましく、塩化ニッケル及び臭化ニッケルがさらに好ましい。
ニッケル化合物の使用量は、少なすぎると本発明の効果が充分に発現されず、多すぎると、反応後の後処理が煩雑になる傾向がある。そのため、ニッケル化合物の使用量は、用いる芳香族モノマーの合計(ジハロビフェニル化合物(1)、又はジハロビフェニル化合物(1)及び芳香族化合物(3)等の合計)1モルに対して、0.001〜0.8モルの範囲が好ましく、0.01〜0.4モルの範囲がより好ましい。なお、このニッケル化合物として複数種を用いる場合は、その合計モル量が前記の範囲であればよい。
<リン化合物>
前記触媒において、リン化合物はニッケル原子に配位し得るものである。リン化合物としては、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、前記式(2)で示されるトリアリールホスフィン(以下、「トリアリールホスフィン(2)」という。)を用いる。
トリアリールホスフィン(2)において、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数1〜20のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれる基を表す。ただし、R、R及びRが同時に水素原子であることはない。
ここで、炭素数1〜20のアルキル基の具体例は、前記G群のアルキル基として説明したものと同じであり、好ましくはメチル基である。
炭素数1〜20のアルコキシ基の具体例も、前記G群のアルキル基として説明したものと同じであり、好ましくはメトキシ基である。
炭素数6〜20のアリール基の具体例は、前記G群のアリール基として説明したものと同じであり、好ましくはフェニル基である。
炭素数1〜20のジアルキルアミノ基のアルキル基としては、前記Aの炭化水素基を有するアミノ基で例示したもののうち、
−N(R’)
(式中、R’は炭化水素基を表し、2つのR’の炭素数の合計が1〜20である。)
で示される基を表す。具体的に例示すると、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基及びジ−n−オクチルアミノ基等が挙げられ、ジメチルアミノ基及びジエチルアミノ基が好ましい。
かかるリン化合物(2)は公知の方法、例えば、Journal of Molecular Cayalysis A: Chemical 2007,273,310−315に記載された方法で製造することが可能であり、市場から容易に入手できる市販品を用いることもできる。かかる市販品のうち入手し易いものとしては、トリ−o−トリルホスフィン及びトリス(2−メトキシフェニル)ホスフィンが好ましい。
なお、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンは市場から容易に入手可能である。市場から入手できるリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィン、あるいはリン化合物(2)はそのまま本発明の製造方法に用いることもできるし、適当な方法により精製してから用いてもよい。
<触媒の調製方法>
本発明の製造方法では、予め、前記ニッケル化合物と、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、トリアリールホスフィン(2)と、を用い、触媒(ニッケル錯体)を調製しておいてもよい。この場合のニッケル錯体の調製方法としては例えば、
(イ)ニッケル化合物と、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンから調製した錯体と、別途ニッケル化合物とトリアリールホスフィン(2)とから調製した錯体と、を準備し、これらの錯体同士を混合する方法(ここで、各錯体は、混合する前に精製して用いてもよい。);
(ロ)適当な溶媒に、ニッケル化合物と、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンとを混合し、溶液中でニッケル化合物とトリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンとからの錯体を調製し、この錯体を含む溶液に、トリアリールホスフィン(2)を加える方法;
(ハ)適当な溶媒に、ニッケル化合物と、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、トリアリールホスフィン(2)と、を加えてニッケル錯体を調製する方法;
を挙げることができる。かくして得られたニッケル錯体は精製してから、本発明の製造方法の触媒に使用してもよいし、該ニッケル錯体を含む溶液をそのまま、本発明の製造方法に供してもよい。
また、本発明の製造方法では後述のように、ニッケル化合物と、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、トリアリールホスフィン(2)と、芳香族化合物(1)を含む芳香族モノマーと、を略同時に反応器に仕込み、ニッケル錯体の調製を、前記芳香族モノマーから芳香族ポリマーへの反応と、略同時に行うことによれば操作が簡便で好ましい。
該ニッケル錯体調製に係る、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィン、トリアリールホスフィン(2)の混合比について好適な範囲を挙げておく。リン化合物の合計物質量に対して、トリアリールホスフィン(2)の使用モル量の割合は0.01〜0.99の範囲が好ましく、0.1〜0.9の範囲がさらに好ましい。
また、これらリン化合物の総物質量は、ニッケル化合物1モルに対して、0.2〜20モルの範囲が好ましく、1〜4モルの範囲がさらに好ましい。
上述のようにして、本発明の製造方法の触媒であるニッケル錯体は調製されるが、かかる調製は溶媒中で行うことが好ましい。このようにニッケル錯体の調製に溶媒を使用すると、調製時の反応混合物の色相の変化により、ニッケル錯体が調製されたことを判別することができる。
ニッケル錯体の調製に用いられる溶媒としては、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。かかる溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、エーテル溶媒及び非プロトン性極性溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン及びN,N−ジメチルアセトアミドから選ばれる少なくとも1種の溶媒がより好ましい。
<金属還元剤>
本発明の製造方法に係る重合反応では、前記ニッケル化合物としてゼロ価ニッケル化合物を用いた場合であっても、反応系中でニッケル自身が酸化され、高原子価状態(1、2又は3価)になることがある。
金属還元剤は、反応系中で高原子価状態(1、2又は3価)のニッケルを還元できる還元能を有するものであり、例えば、亜鉛、マグネシウム、マンガン、アルミニウム及びナトリウム等の金属が好ましく、取扱いが容易であることから、亜鉛、マグネシウム及びマンガンが好ましく、前記還元能が良好であることから亜鉛がより好ましい。
金属還元剤の形状は、取扱いが良好であることから、粉末状又は削り状のものが用いられる。金属還元剤の使用量は、用いる全ての芳香族化合物(ジハロビフェニル化合物(1)、又はジハロビフェニル化合物(1)及び芳香族化合物(3)等の合計)1モルに対して、1モル以上であれば、その上限は特に制限されないが、多すぎると、反応後の後処理が煩雑になり、経済的にも不利になりやすいため、10モル以下が好ましく、5モル以下がさらに好ましい。なお、この金属還元剤として複数種を用いる場合は、その合計モル量が前記の範囲であればよい。
<製造反応の好適例>
すでに述べたとおり、本発明の製造方法は、触媒(ニッケル錯体)の調製を、芳香族化合物(1)から共役芳香族化合物への反応と、略同時に行うことが好ましい。以下、このような本発明の好適な製造方法について詳述する。この場合の製造方法は、芳香族化合物(1)を含む芳香族モノマー、ニッケル化合物、金属還元剤、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィン、トリアリールホスフィン(2)及び溶媒を同一の反応器中に仕込み、混合することにより実施される。これらの反応器中への仕込順は、特に制限されない。予め、溶媒、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィン、トリアリールホスフィン(2)を混合することによりニッケル錯体を調製しておき、得られたニッケル錯体に、芳香族化合物(1)を含む芳香族モノマー及び金属還元剤を混合してもよいし、予めニッケル錯体を調製せずに、溶媒、ニッケル化合物、金属還元剤、トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィン、トリアリールホスフィン(2)及び芳香族モノマーを混合してもよい。なお、このようにニッケル錯体の調製と、芳香族モノマーから芳香族ポリマーへの反応と、略同時に行う場合には、溶媒の使用量は、芳香族化合物(1)1重量部に対して、1〜200重量部の範囲が好ましく、5〜100重量部の範囲がさらに好ましい。
次に、同一反応器中で混合した混合物を所定の反応温度まで加熱又は冷却する。該所定の反応温度は、0〜150℃の範囲であればよく、好ましくは30〜100℃の範囲である。反応時間は0.5〜48時間の範囲から選択され、クロマトグラフィー分析等により芳香族化合物(1)等の芳香族モノマーの消費の度合いを求めたり、ゲル浸透クロマトグラフィー分析等により、生成した芳香族ポリマーが所望の分子量に到達したことを求めたり、して反応の終点を決定することもできる。
反応後の反応混合物は室温(約23℃)程度まで戻した後、たとえば、抽出、再結晶、再沈殿又はクロマトグラフィー等の精製操作、あるいはこれらを組み合わせた精製操作を行うことにより、目的物である芳香族ポリマーを精製・単離することができる。
本発明の製造方法は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で実施されることが好ましい。
<芳香族ポリマー>
ジハロビフェニル化合物(1)を重合させることにより、ポリアリーレン鎖を有する芳香族ポリマーを製造することができる。また、ジハロビフェニル化合物(1)と芳香族化合物(3)を重合させることにより、ジハロビフェニル化合物(1)及び芳香族化合物(3)に対応する繰り返し単位を合わせ持つ芳香族ポリマーを製造することもできる。
ジハロビフェニル化合物(1)のみを反応させた場合には、下記式(10):
Figure 2011074107
(A、R及びkは、前記と同じ意味を表わす。)
で示される構造単位(以下、「構造単位(4)」という)から構成された芳香族ポリマーが得られる。本発明の製造方法によれば、得られる芳香族ポリマーの重合度は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で表して、20,000以上、好ましくは30,000以上、さらに好ましくは40,000以上といった高重合度のものが得られる。かかる重合度の上限は、得られる芳香族ポリマーの用途に応じて適切な範囲にすることができるが、好ましくはMwが6,000,000以下であり、さらに好ましくはMwが3,000,000以下である。また、用途に応じて適切な重合度の芳香族ポリマーは、短時間で製造することもできる。
前記式(4)で示される構造単位の具体例としては、例えば、下記式(4a)〜(4d)で示される構造単位が挙げられる。
Figure 2011074107
芳香族モノマーとして、ジハロビフェニル化合物(1)ととともに前記芳香族化合物(3)を用いた場合には、
前記構造単位(4)と、
下記式(5):

Figure 2011074107

(式中、a、b、c、n、Ar、Ar、Ar、Ar、Y、Y、Z及びZは、前記と同じ意味を表わす。)
で示されるセグメント(以下、「セグメント(5)」という)と、を含む芳香族ポリマーが得られる。
セグメント(5)の具体例としては、例えば、下記式(5a)〜(5x)で示されるセグメントが挙げられる。なお、下記式中、nは上述のとおりである。
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
このように該芳香族ポリマーが構造単位(4)及びセグメント(5)を含む場合、該芳香族ポリマーの総重量に対して、構造単位(4)の重量割合は、5重量%以上95重量%以下が好ましく、30重量%以上90重量%以下がより好ましい。一方、該芳香族ポリマーの総重量に対して、セグメント(5)の重量割合は、5重量%以上95重量%以下が好ましく、10重量%以上70重量%以下がより好ましい。芳香族ポリマーの総重量に対する構造単位(4)及びセグメント(5)の重量割合は、本発明の製造方法に用いるジハロビフェニル化合物(1)及び芳香族化合物(3)の使用量により調節することができる。
構造単位(4)及びセグメント(5)を含む芳香族ポリマーとしては、前記式(4a)〜(4d)で示される構造単位(4)のうちのいずれか一つと、前記式(5a)〜(5x)で示されるセグメント(5)のうちのいずれか一つを含む芳香族ポリマーが好ましい。具体的には、例えば、下記(I−1)〜(I−6)で示される芳香族ポリマーが挙げられる。ここで,「block」の表記は、セグメント(5)と、構造単位(4)からなるセグメントと、を有するブロック共重合体であることを意味し、pは構造単位(4)からなるセグメントの平均重合度を意味する。
Figure 2011074107
Figure 2011074107

Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
Figure 2011074107
構造単位(4)を含む芳香族ポリマーは、燃料電池用の構成材料、特に燃料電池用の高分子電解質の構成原料として有用であり、その場合の好ましい分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で表して、30,000以上であり、より好ましくは40,000以上である。本発明の製造方法によれば、燃料電池用高分子電解質の構成原料として、好ましいMwのものを容易に製造することができる。
構造単位(4)からなる芳香族ポリマーは、ジハロビフェニル化合物(1)を、重合させることにより製造することができる。構造単位(4)とセグメント(5)からなる共役芳香族化合物は、ジハロビフェニル化合物(1)と芳香族化合物(3)を、重合させることにより製造することができる。その際、ジハロビフェニル化合物(1)と芳香族化合物(3)とを予め加えておいて、重合を行ってもよいし、ジハロビフェニル化合物(1)のみで重合を行い、さらに芳香族化合物(3)を加えて反応を行ってもよい。
ジハロビフェニル化合物(1)と芳香族化合物(3)を反応させる場合、ジハロビフェニル化合物(1)の使用量を適宜調整することにより、得られる芳香族ポリマー中の構造単位(4)の含有量を調節することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。得られた芳香族ポリマーを、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する。)により分析(分析条件は下記のとおり)し、分析結果からポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を算出した。
<分析条件>
GPC測定装置:CTO−10A(株式会社島津製作所製)
カラム:TSK−GEL GMHHR−M(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:臭化リチウム含有N,N−ジメチルアセトアミド(臭化リチウム濃度:10mmol/dm
流量:0.5mL/分
UV検出波長:300nm
[実施例1]
冷却装置を備えたガラス製反応器に、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で、臭化ニッケル8mg、トリシクロヘキシルホスフィン10mg、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン12mg、亜鉛粉末96mg、4,4’−ジクロロビフェニル−2,2’−ジスルホン酸ジ(2,2−ジメチルプロピル)366mg及びN,N−ジメチルアセトアミド2mLを仕込んだ。70℃まで昇温後、同温度で4時間攪拌し、下記式(A)
Figure 2011074107
で示される構造単位からなる芳香族ポリマーを含む反応混合物を得た。GPC分析から該芳香族ポリマーのMwは88,000であった。
[実施例2]
実施例1において、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン12mgに代えてトリ−o−トリルホスフィン11mgを用いた以外は実施例1と同じ実験を行い、前記式(A)で示される繰り返し単位からなる芳香族ポリマーを含む反応混合物を得た。GPC分析から芳香族ポリマーのMwは63,000であった。
[比較例1]
実施例1において、トリシクロヘキシルホスフィン10mg及びトリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン12mgに代えてトリフェニルホスフィン18mgを用いた以外は実施例1と同じ実験を行い、前記式(A)で示される繰り返し単位からなる芳香族ポリマーを含む反応混合物を得た。GPC分析から芳香族ポリマーのMwは13,000であった。
本発明の製造方法は、例えば燃料電池等の構成材料として好適な高分子量の芳香族ポリマーの製造方法として有用である。

Claims (1)

  1. ニッケル化合物及びリン化合物から調製される触媒と、
    金属還元剤と、
    の存在下、下記式(1)

    Figure 2011074107

    (式中、Aは独立に、下記式(1a)
    −N(R) (1a)
    (式中、2つのRはそれぞれ独立に、水素原子、又は、下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20の炭化水素基を示し、2つのRが結合し、窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。ただし、2つのRがともに水素原子であることはない。)
    で示されるアミノ基又は下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。
    は独立に、フッ素原子、
    下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、
    下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基、
    下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリール基、
    下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基、
    下記G群から選ばれる基を置換基として有していてもよい炭素数2〜20のアシル基
    又はシアノ基を表わす。
    kは同一ベンゼン環に結合するRの数であり、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、kが2又は3である場合、同一ベンゼン環に結合している複数のRはそれぞれ独立である。隣接する炭素原子にそれぞれ結合している2つのRがある場合、この2つのR同士は結合して、それらが結合している炭素原子とともに環を形成していてもよい。
    は独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす。)
    で示されるジハロビフェニル化合物を含む芳香族モノマーを重合することで、以下の式(4)
    Figure 2011074107
    (式中、A、R及びkは前記式(1)と同義である。)
    で示される構造単位を有する芳香族ポリマーを製造する製造方法において、
    前記リン化合物が、
    トリフェニルホスフィン又はトリシクロヘキシルホスフィンと、
    下記式(2)
    Figure 2011074107
    (式中、R、R及びRは独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数1〜20のジアルキルアミノ基からなる群から選ばれる基を表し、R、R及びRが同時に水素原子であることはない。)
    で示されるトリアリールホスフィンと、を含むことを特徴とする製造方法。
    〔G群〕
    フッ素原子;炭素数1〜20のアルコキシ基;炭素数6〜20のアリール基;炭素数6〜20のアリールオキシ基;炭素数2〜20のアシル基;シアノ基
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