JP2011074028A - リパーゼ阻害剤及びこれを含有する飲食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑え、および/また
は肥満を防止する飲食品、並びにリパーゼ活性阻害剤を提供する。
【解決手段】フユボダイジュ花の水性溶媒抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させることにより得られた当該極性溶媒溶解抽出成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤。
【選択図】図1
は肥満を防止する飲食品、並びにリパーゼ活性阻害剤を提供する。
【解決手段】フユボダイジュ花の水性溶媒抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させることにより得られた当該極性溶媒溶解抽出成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤。
【選択図】図1
Description
本発明は、フユボダイジュ花の乾燥物に含まれるアルコール抽出画分が、強いリパーゼ阻害活性を示すことに着目してなされたものであり、この活性画分を選択的に回収し濃縮する方法、該方法により得られるリパーゼ活性阻害剤、および脂肪吸収阻害活性を有する医薬並びに肥満予防治療機能を有する飲食品に関する。
近年、日本人の生活様式の欧米化に伴い、脂質摂取が増加する一方である。国民栄養調査によると、エネルギー摂取量は年々減少しているにもかかわらず、その脂質エネルギー比は適正比率である25% を超え、中性脂肪値やコレステロール値が高い人の割合は60歳以上で5 〜6 割に認められたといわれている。
一方、肥満は現代社会における成人の最も重大な疾病をもたらす原因の1つであるが、その主たる要因はカロリー摂取の増加であり、さらには上述した脂質の過剰摂取である。また、脂肪の過剰摂取は、肥満のみならず、特に、肥満に起因する糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化等を発症させる。肥満を疾患とみなして治療対象とする考え方が普及してきている。このような目的の治療薬として、国内では、食欲抑制剤のマジンドールRが唯一承認されている。マジンドール(Mazindol、販売名:サノレックス(R))は、日本において唯一製造販売(ノバルティスファーマ)承認されている食欲抑制薬である(高度肥満症にのみ保険適応)。食欲中枢への直接作用と脳内でのアドレナリン、ドパミン、セロトニンの神経細胞による再取り込み抑制という2種類の機序により、消費エネルギー促進とともに食欲を抑制する交感神経作用アミンであり、薬理学的特性はアンフェタミンと類似している。しかし問題点として覚醒剤であるアンフェタミンと特性の類似が見られることより、依存性、および短期間での耐性発現が見られることが既に知られており、投与は短期間(3か月を限度)に限られる欠点がある。副作用としては、前述の依存性のほか、肺高血圧症が重要なものとして報告されており、そのほかには各種精神神経症状が見られる。また、口渇、便秘、胃部不快感、悪心・嘔吐等の副作用が報告されている(臨床評価 1985; 13(2): 419-459 、臨床評価 1985; 13(2): 461-515 )。また、海外においては、リパーゼ阻害活性により腸管からの脂肪吸収の抑制作用を持つゼニカルRが肥満改善薬として市販されている。ゼニカルは一般名称をオルリスタット(Orlistat。オーリスタット、オリスタットとし、販売名Xenical(R)(ゼニカル)およびAlli(R)(アライまたはアリ))とされている。ゼニカルは、日本において合法的に(医師による処方あるいは個人輸入できる)入手できる医薬品のうち、唯一中枢神経系に作用しない肥満治療薬である。アメリカ合衆国における治験の結果、本薬の1年間の投与により60%の成人で5%の体重減少が、27%の成人で10%の体重減少が観察されている。一方、プラセボ群では5%体重減少が31%、10%体重減少が11%である。なお、食欲は抑制しない。経口服用により腸内のリパーゼに作用し、結果的に腸管からの脂肪の吸収を阻害する。吸収されなかった脂肪は、大便として肛門を介して排泄される。副作用として脂溶性ビタミンであるA、D、E、K、βカロテンの吸収も阻害されるので、これらビタミン類の摂取量を増やす必要がある。特に、βカロテンとビタミンEでは、血漿中濃度が統計的に有意に減少したため、オルリスタットとともに毎日脂溶性ビタミン補助剤を服用しなければならない。
肥満を予防するためには、食事制限により摂取カロリーを減らすことが有効な手段ではある。しかし日常生活においての実行は困難である場合が多い。そこで、食事由来の脂肪が体内に吸収されることを安全かつ健康的に抑制することは、肥満及びそれに関連する疾患の治療あるいは健康増進の目的で、現実的で有用な方策であると考えられる。
このような背景のもと、安全でかつヒトに対する有効性が証明されている特定保健用食品の開発が注目されている。今までに食後の血清中性脂肪値の上昇を抑える食品素材としては、膵リパーゼ阻害により脂肪吸収を抑制するグロビン蛋白分解物(J. Nutr. 1988; 128: 56-60, 、日本臨床・食糧学会誌 1999; 52(2): 71-77 、健康・栄養食品研究 2002; 5(3): 131-144)、トリアシルグリセロールとは異なる消化吸収特性を持つジアシルグリセロール(J. Am. Coll. Nutr. 2000; 19(6): 789-796 、Clin. Chim. Acta. 2001; 11(2): 109-117)、魚油より精製されたエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ウーロン茶ポリフェノール、茶カテキンなどが特定保健用食品として発売されている。
一方、フユボダイジュ花の脂質改善効果を示した報告はほとんど知られていない。唯一、本出願人が出願した特願2001−389511(特開2003−192605)(特許文献1)において、フユボダイジュの類縁の植物である西洋ボダイジュの熱水抽出物にウシすい臓リパーゼの阻害活性が存在することが記載されているだけである。しかし、この方法は、10kgに水3Lを加え、1500psi(約103気圧)で20分間加熱するなど現実的ではない方法で抽出しており、本発明者らが追試したところこの抽出方法では抽出が困難であった。またこの原料が花由来であるのか、葉由来であるのか、或いは樹皮由来であるのか定かではない。さらにまた、このリパーゼ阻害作用の本質成分については一切明らかにされていない。
西洋ボダイジュ(Tilia×vulgaris Hyne)の花は芳香性が高く、西洋ではストレス緩和のハーブティーの原料として広く普及しているが、その薬効は殆ど知られていない。セイヨウボダイジュはヨーロッパに自生する夏ボダイジュ(Tiliaplatyphylla)とフユボダジュ(Tilia cordata)の交雑種である。セイヨウボダイジュの一方の親であるフユボダイジュの薬効については全く知られていなかった。
これまでは西洋ボダイジュの花については、ハーブティーとしての用途や高血圧、動脈系疾患の治療用途が知られているだけである(デニー・バウン著 ハーブ大百科、363ページ、株式会社誠文堂新光社、1997年)(非特許文献1)上記以外の西洋ボダイジュの薬効についての特許出願としては、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(特開2000−256206号)(特許文献2)、西洋ボダイジュ抽出物の呈味性改良法(特開2001−86941号)(特許文献3)、ダニアレルゲンの不活化剤(特開2005−343981号)(特許文献4)などがある。
西洋ボダイジュ(Tilia×vulgaris Hyne)の花は芳香性が高く、西洋ではストレス緩和のハーブティーの原料として広く普及しているが、その薬効は殆ど知られていない。セイヨウボダイジュはヨーロッパに自生する夏ボダイジュ(Tiliaplatyphylla)とフユボダジュ(Tilia cordata)の交雑種である。セイヨウボダイジュの一方の親であるフユボダイジュの薬効については全く知られていなかった。
これまでは西洋ボダイジュの花については、ハーブティーとしての用途や高血圧、動脈系疾患の治療用途が知られているだけである(デニー・バウン著 ハーブ大百科、363ページ、株式会社誠文堂新光社、1997年)(非特許文献1)上記以外の西洋ボダイジュの薬効についての特許出願としては、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(特開2000−256206号)(特許文献2)、西洋ボダイジュ抽出物の呈味性改良法(特開2001−86941号)(特許文献3)、ダニアレルゲンの不活化剤(特開2005−343981号)(特許文献4)などがある。
本発明者らが改めて、工業的に生産可能な方法で、フユボダイジュ花から常圧で、水又は含水エタノール抽出を行い、この抽出物中に存在するリパーゼ阻害活性を分画し追跡したところ、強いリパーゼ阻害活性を有することが確認された。さらにこの画分のリパーゼ阻害活性を示す主要成分は分子量が約500の低分子の化合物であり、従来お茶などで言われている高分子の重合ポリフェノール例えばカテキンなどとは全く異なる成分であることを確認した。
お茶カテキンなどのポリフェノールは、種々の吸着性樹脂により、分離されることが知られている。例えば活性炭処理で、除タンニン、除カフェインが可能である。しかしフユボダイジュについてはこのような活性炭または吸着系の樹脂等の吸着剤により、リパーゼ阻害活性を選択的に分離する有効な方法は知られていなかった。また、ブタノールなどの溶媒によって濃縮・抽出されることも知られていない。
デニー・バウン著 ハーブ大百科、363ページ、株式会社誠文堂新光社、1997年
本発明は、食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑え、および/また
は肥満を防止する飲食品、並びにリパーゼ活性阻害剤を提供することを課題とする。
は肥満を防止する飲食品、並びにリパーゼ活性阻害剤を提供することを課題とする。
本発明は、フユボダイジュ花中のリパーゼ阻害活性を有する画分を効率的に分離する方法を提供することを課題とする。
本発明は、フユボダイジュ花の水性の液を、ブタノールなどの非水性極性溶媒で抽出回収し、溶媒を除去する方法、および該方法で得られた濃縮物もしくは乾燥物からなる組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、リパーゼ阻害活性が、既知の水抽出方法より、より高まったフユボダイジュ花エキスを提供することを課題とする。
本発明はさらに、上記組成物またはエキスを含有するリパーゼ阻害剤および飲食品用
添加剤を提供することを課題とする。
添加剤を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は以下の物質・組成物・剤・食品の提供又は製造方法を実施することで達成される。
1. フユボダイジュ花の水性溶媒抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させることにより得られた当該極性溶媒溶解抽出成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤。
2.フユボダイジュ花の水性抽出液を、室温以上の液温で非水性極性溶媒と接触させることによりリパーゼ阻害活性を選択的に濃縮した、1.記載のリパーゼ活性阻害剤。
3.極性溶媒がブタノールである1.又は2.記載のリパーゼ阻害剤。
4. フユボダイジュの花から抽出された極性溶媒抽出成分であって、1.〜3.のいずれかに記載されたリパーゼ阻害活性画分が、以下の特性を有することを特徴とするリパーゼ阻害活性剤。
(1)逆相ODSカラムを用いたHPLCで単一ピークとなる。
(2)UVスペクトラムにおいて279nmに極大吸収を有する。
(3)マススペクトル分析を行うと、分子量579(M+H)に主ピークを有し、 291、427にフラグメントピークを有する。
(4)水、メタノール、エタノール、ブタノールに溶解し、ヘキサン、クロロホルム には溶解しない。
5. リパーゼ阻害活性が、フユボダイジュ花の水抽出エキスに対して少なくとも10倍以上に濃縮されている1.〜4.のいずれかに記載のリパーゼ阻害活性剤。
6. 食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用する1.〜5.のいずれかに記載のリパーゼ活性阻害剤。
7.1.〜6.のいずれかに記載のリパーゼ阻害剤からなる、飲食品用添加剤。
8.7.記載の添加剤を含有する、飲食品。
9. 健康食品または健康飲料である、8.の飲食品。
10. 錠剤又はカプセル剤の形態である、9.の飲食品。
11. フユボダイジュ花よりリパーゼ阻害活性剤を分取する方法であって、フユボダイジュ花の水性抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させ、当該極性溶媒側に移層させることによりリパーゼ阻害活性を選択的に濃縮する方法。
1. フユボダイジュ花の水性溶媒抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させることにより得られた当該極性溶媒溶解抽出成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤。
2.フユボダイジュ花の水性抽出液を、室温以上の液温で非水性極性溶媒と接触させることによりリパーゼ阻害活性を選択的に濃縮した、1.記載のリパーゼ活性阻害剤。
3.極性溶媒がブタノールである1.又は2.記載のリパーゼ阻害剤。
4. フユボダイジュの花から抽出された極性溶媒抽出成分であって、1.〜3.のいずれかに記載されたリパーゼ阻害活性画分が、以下の特性を有することを特徴とするリパーゼ阻害活性剤。
(1)逆相ODSカラムを用いたHPLCで単一ピークとなる。
(2)UVスペクトラムにおいて279nmに極大吸収を有する。
(3)マススペクトル分析を行うと、分子量579(M+H)に主ピークを有し、 291、427にフラグメントピークを有する。
(4)水、メタノール、エタノール、ブタノールに溶解し、ヘキサン、クロロホルム には溶解しない。
5. リパーゼ阻害活性が、フユボダイジュ花の水抽出エキスに対して少なくとも10倍以上に濃縮されている1.〜4.のいずれかに記載のリパーゼ阻害活性剤。
6. 食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用する1.〜5.のいずれかに記載のリパーゼ活性阻害剤。
7.1.〜6.のいずれかに記載のリパーゼ阻害剤からなる、飲食品用添加剤。
8.7.記載の添加剤を含有する、飲食品。
9. 健康食品または健康飲料である、8.の飲食品。
10. 錠剤又はカプセル剤の形態である、9.の飲食品。
11. フユボダイジュ花よりリパーゼ阻害活性剤を分取する方法であって、フユボダイジュ花の水性抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させ、当該極性溶媒側に移層させることによりリパーゼ阻害活性を選択的に濃縮する方法。
本発明の実施によって、市販のフユボダイジュ花のハーブティーや或いは水抽出物では、食後の中性脂肪の上昇を抑える効果の弱いものしか提供されなかった状況が改善され、容易に強い作用効果をもつリパーゼ阻害剤が提供される。またポリフェノール含量の高い画分を単離して飲食品に添加することにより、飲食品としての香味を損なうことなく、中性脂肪の上昇を抑える効果が期待でき、肥満の予防につながる効果を達成できる。 また、食事性脂肪の吸収を抑えるためには、食事とともに摂取することのできる飲食品が提供される。
[定義]
本明細書において、フユボダイジュとはシナノキ属のTilia cordataの花又は花の抽出物をいう。
本明細書において、フユボダイジュとはシナノキ属のTilia cordataの花又は花の抽出物をいう。
(1)リパーゼ活性阻害剤
本発明者らは、フユボダイジュ花中の脂肪吸収に必須なリパーゼ、特に膵リパーゼを阻害する成分は、水溶性であるが、水より極性の低いアルコール類とくにブタノールに選択的に溶解して分離されることを見いだした。本発明は、この発見に基づくものであり、脂肪の吸収を抑制し血中中性脂肪の上昇を抑え、および/または肥満を防止するための有効成分として、請求項1で特定される活性成分を含有するリパーゼ活性阻害剤および該画分を含有する飲食品である。
本発明者らは、フユボダイジュ花中の脂肪吸収に必須なリパーゼ、特に膵リパーゼを阻害する成分は、水溶性であるが、水より極性の低いアルコール類とくにブタノールに選択的に溶解して分離されることを見いだした。本発明は、この発見に基づくものであり、脂肪の吸収を抑制し血中中性脂肪の上昇を抑え、および/または肥満を防止するための有効成分として、請求項1で特定される活性成分を含有するリパーゼ活性阻害剤および該画分を含有する飲食品である。
本発明で使用する、フユボダイジュ花より分取したリパーゼ阻害剤は、水溶性の性質を有しており、その取得方法は、本発明の一部を構成するものである。
本発明のリパーゼ阻害活性成分は、ハーブティーとして古くから用いられてきたものの本質成分であり、飲食品に任意の量で添加しても香味が損なわれず、多量に摂取してもカフェインの過剰摂取にはならない。さらに、本発明のリパーゼ阻害活性成分は、フユボダイジュ花由来であり、安全性が高い。そのため、本発明の飲食品は、連日または日常的に摂取して、目指す効果を持続的に発揮させることが可能である。従って、飲食品に対するポリフェノール画分の添加量に、実質的な上限・下限は存在しない。しかしリパーゼ阻害活性効果を得るために、一回の摂取分(例えば飲料として摂取する場合を想定すると約250ml)あたり、50mg以上摂取できるよう飲食品に添加するとよい。この場合、添加後の飲食品に含まれるリパーゼ阻害活性の測定は以下に開示する高速液体クロマトグラフィ法で測定することができる。
リパーゼ阻害活性成分を添加する飲食品の例として、飲料には、液状強壮剤、健康飲料、栄養補給飲料、スポーツドリンク等があげられる。食品としては、健康食品、栄養補給食品等があげられる。
また、リパーゼ活性阻害剤として用いるため、フユボダイジュ花より分取したポリフェノール画分は、フユボダイジュ花の水性抽出液を、ブタノールなどの溶媒によって選択的に抽出し濃縮することができる。このような剤として、粉剤、液剤、錠剤、カプセル剤などを例示できる。
本発明の剤を得るための方法としては、フユボダイジュの水性の抽出溶液を、ブタノールなどの溶媒によって選択的に抽出し濃縮することからなる。
前処理 終了後の原料、例えばフユボダイジュ花の乾燥物を必要に応じて細切し、水により適宜抽出する。あるいは含水エタノールにより抽出する。この抽出の際の温度は特に限定されるものではないが、短時間で抽出することで変質を防止し、抽出効率を向上させるためには、好ましくは50〜99℃、さらに好ましくは80〜99℃である。抽出液は、微アルカリ性と効率よく抽出できるので、微アルカリ性にするため、重曹を添加剤として用いてもよい。重曹は無添加ないし飽和状態までの任意の濃度で添加してよい。例えば温水1Lあたり1.0 〜2.0 gの重曹を添加してよく、またはpH8.0 〜8.5 、好ましくは約8.2 となる量の重曹を添加してもよい。抽出後、固形分を除去するために、静置、遠心分離および/または濾過を行ってもよく、さらに変質(酸化防止)のためビタミンC(VC)を添加してもよい。またこの抽出液を濃縮し凍結乾燥処理してもよい。
リパーゼ阻害活性を濃縮するための2段階の抽出にあたって、フユボダイジュ花抽出液の濃度は、高いほど好ましい。
通常は固形分濃度1〜30重量%、好ましくは10〜30重量%である。この水性溶液から抽出する場合、水性溶液容量と同容量のブタノールを加え、弱酸性条件で10〜30分振盪して抽出し、静置後 二層に分離したブタノール溶媒層を回収し、溶媒を蒸留乾固し、発明の目的組成物を得ることができる。
通常は固形分濃度1〜30重量%、好ましくは10〜30重量%である。この水性溶液から抽出する場合、水性溶液容量と同容量のブタノールを加え、弱酸性条件で10〜30分振盪して抽出し、静置後 二層に分離したブタノール溶媒層を回収し、溶媒を蒸留乾固し、発明の目的組成物を得ることができる。
このようにして分画した組成物は溶媒を除去後、そのまま或いは凍結乾燥することができる。
回収したフユボダイジュ花抽出物(ポリフェノール画分、組成物)は、高分子ポリフェノールを豊富に含有しており、飲食品もしくは医薬品の原料として使用してもよい。
回収したフユボダイジュ花抽出物(ポリフェノール画分、組成物)は、高分子ポリフェノールを豊富に含有しており、飲食品もしくは医薬品の原料として使用してもよい。
本発明は、上記本発明の方法により得られ、単なる水抽出物と比較して、活性の本質であるフユボダイジュ花由来のポリフェノール特にフラボノイドの含有比率が高まったポリフェノール画分を含む、水性、湿潤性または乾燥状態の組成物である。この組成物中のポリフェノールは、単なる水抽出物又は含水エタノール抽出物の含有量の少なくとも4〜5倍である。
さらにこの組成物を、分取用クロマトグラフィー装置を用いて、活性画分を濃縮しても良い。クロマトグラフィー装置は市販の分取用カラムを用いることができる。その場合あらかじめ予備試験を行って、リパーゼ阻害活性を指標として溶出時間を確認し、回収する画分を定めておかなければならない。なおリパーゼ阻害活性試験は次のような方法を試験方法として例示できる。
リパーゼ阻害活性試験方法
リパーゼ活性阻害試験はすべてSatouchiらの方法(Satouchi. K, Mori. T, Matsushita. S, Characterization of inhibitor protein for lipase in soybean seeds. Bull. Fac. Agric. Biol. Chem., 38, 97-101 (1974).)に準じて行った。なお基質である大豆油の加水分解で生じた遊離脂肪酸量をDuncombe法(Duncombe. W. G., The colorimetric micro-determination of long-chain fatty acids. Biochem. J., 88, 7-10 (1963).)により測定した。
リパーゼ活性阻害試験はすべてSatouchiらの方法(Satouchi. K, Mori. T, Matsushita. S, Characterization of inhibitor protein for lipase in soybean seeds. Bull. Fac. Agric. Biol. Chem., 38, 97-101 (1974).)に準じて行った。なお基質である大豆油の加水分解で生じた遊離脂肪酸量をDuncombe法(Duncombe. W. G., The colorimetric micro-determination of long-chain fatty acids. Biochem. J., 88, 7-10 (1963).)により測定した。
・ 大豆油エマルジョンの調製
アラビアゴム1gを5mlの蒸留水に溶かし、5lの蒸留水で一晩、透析用セルロースチューブ(透過分子量は約14000、孔径は約50A゜;Viskase Companies, Inc製)にて透析した。翌日、透析用セルロースチューブからアラビアゴム水溶液を取り出し、蒸留水で20mlに定容して5%アラビアゴム水溶液を調製した。最後に、大豆油(和光純薬(株))1gに5%アラビアゴム水溶液を10ml加え、一晩マグネットスターラーで攪拌し、これを基質として実験に用いた。
アラビアゴム1gを5mlの蒸留水に溶かし、5lの蒸留水で一晩、透析用セルロースチューブ(透過分子量は約14000、孔径は約50A゜;Viskase Companies, Inc製)にて透析した。翌日、透析用セルロースチューブからアラビアゴム水溶液を取り出し、蒸留水で20mlに定容して5%アラビアゴム水溶液を調製した。最後に、大豆油(和光純薬(株))1gに5%アラビアゴム水溶液を10ml加え、一晩マグネットスターラーで攪拌し、これを基質として実験に用いた。
10%大豆油エマルジョン50μl、5mM酢酸カルシウム100μl、0.5M Tris-HCl 緩衝液(pH7.5) 50μlと食品素材、蒸留水を加え450μlとし、37℃、65rpm/min、5分間、ウオーターバス振盪機でプレインキュベートした。これに1.0 mg/mlに調整したブタ膵リパーゼを50μl加え、37℃、125rpm/min、15分間、ウオーターバス振盪機でインキュベートした。終了後、クロロホルムを3.5ml加え、酵素反応を停止した後、ボルテックスにて攪拌した。次に3500rpmで5分間遠心分離し、上層を取り除き、1Mトリエタノールアミン:1N酢酸:6.45% 硝酸銅水溶液=9:1:10(v/v/v)の割合で混合した溶液を1.5ml加え、ボルテックスにて攪拌した。その後、3500rpmで5分間遠心分離し、上層の溶液を除いた後、ろ過し、下層のクロロホルム溶液全量を別の試験管に移した。0.1%ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム(DEDC)/ブタノール溶液0.5mlを加え、分光光度計を用い440nmで吸光度を測定した。
以下に実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、実施例に本発明が限定されるものではないことは、いうまでもない。
[水性溶媒抽出例]
フユボダイジュ花の抽出操作
(1) 90℃の温水1Lに、重曹1.67gを入れて溶解し、フユボダイジュ花乾燥物100 gを加えた。90℃に保ちながら緩やかに5 分間攪拌して抽出を行った。抽出後、140メッシュの篩で抽出液を分離し、抽出液は更に遠心分離を行って細かい固形分を除去した。分離液にアスコルビン酸を1.59g添加して溶解し、Brix3.7 のフユボダイジュ花水溶性抽出液を得た。
フユボダイジュ花の抽出操作
(1) 90℃の温水1Lに、重曹1.67gを入れて溶解し、フユボダイジュ花乾燥物100 gを加えた。90℃に保ちながら緩やかに5 分間攪拌して抽出を行った。抽出後、140メッシュの篩で抽出液を分離し、抽出液は更に遠心分離を行って細かい固形分を除去した。分離液にアスコルビン酸を1.59g添加して溶解し、Brix3.7 のフユボダイジュ花水溶性抽出液を得た。
(2)70%エタノール1Lにフユボダイジュ花乾燥物100 gを加えた。還流冷却塔を付して、80℃に保ちながら緩やかに5 分間加熱攪拌して抽出を行った。抽出後、140メッシュの篩で抽出液を分離し、抽出液は更に遠心分離を行って細かい固形分を除去した。分離液にアスコルビン酸を1.59g添加して溶解しフユボダイジュ花水溶性抽出液を得た。
上記(1)(2)の抽出液は、ロータリーエバポレーターで蒸留濃縮し、ついで凍結乾燥して乾燥物を得た。
上記(1)(2)の抽出液は、ロータリーエバポレーターで蒸留濃縮し、ついで凍結乾燥して乾燥物を得た。
活性画分の濃縮・分離
上記水性溶媒抽出例(2)で得た70%含水エタノール抽出物乾燥物10gを蒸留水700mlに溶解し、これを200メッシュのフィルターろ過した後、等量のn-ブタノールを加え、水‐ブタノール抽出を行った。ブタノール層を回収し、エバポレーターにて溶媒を除去し、0.67g(670mg)の組成物を得た。
上記水性溶媒抽出例(2)で得た70%含水エタノール抽出物乾燥物10gを蒸留水700mlに溶解し、これを200メッシュのフィルターろ過した後、等量のn-ブタノールを加え、水‐ブタノール抽出を行った。ブタノール層を回収し、エバポレーターにて溶媒を除去し、0.67g(670mg)の組成物を得た。
上記で得られたn-ブタノール層へ移行した670mgのうち、500mgを使用しさらに活性画分の分離を行った。SP−825を用いて吸着カラムクロマトグラフィーを行った。蒸留水、20%メタノール溶液、50%メタノール溶液、70%メタノール溶液、100%メタノール溶液、アセトン:メタノール溶液(1:1)、100%アセトン溶液の順にカラムに流し、それぞれの溶出液を回収し、この溶出液を乾燥させた。
(a)Pass and Wash 151mg、(b)Wash 14mg、(c)20%メタノール溶出物28mg、(d)50%メタノール溶出物150mg、(e)70%メタノール溶出物134.6mg、(f)100%メタノール溶出物20mg、(g)アセトン:メタノール溶液(1:1)溶出物2mg、(h)100%アセトン溶出物0mgを得た。このうち、回収できた(d)〜(g)の各画分と、水性溶媒抽出例(2)で得たエキス、水−ブタノール抽出の水層、ブタノール層、それぞれの溶媒を蒸発させた残渣(乾固物)のリパーゼ阻害活性を上記の測定方法に従って測定した。各画分、試料の100μg/mlあたりのリパーゼ阻害活性(リパーゼ活性残存率)の測定結果を図1に示す。リパーゼ阻害活性は、主として(d)の50%メタノール溶出画分に存在することが確認できた。
(a)Pass and Wash 151mg、(b)Wash 14mg、(c)20%メタノール溶出物28mg、(d)50%メタノール溶出物150mg、(e)70%メタノール溶出物134.6mg、(f)100%メタノール溶出物20mg、(g)アセトン:メタノール溶液(1:1)溶出物2mg、(h)100%アセトン溶出物0mgを得た。このうち、回収できた(d)〜(g)の各画分と、水性溶媒抽出例(2)で得たエキス、水−ブタノール抽出の水層、ブタノール層、それぞれの溶媒を蒸発させた残渣(乾固物)のリパーゼ阻害活性を上記の測定方法に従って測定した。各画分、試料の100μg/mlあたりのリパーゼ阻害活性(リパーゼ活性残存率)の測定結果を図1に示す。リパーゼ阻害活性は、主として(d)の50%メタノール溶出画分に存在することが確認できた。
HPLCによる活性画分の再分画1
リパーゼ阻害作用を有する、50%メタノールで上記のSP−825カラムから溶出した画分をさらに、分取用液体クロマトグラフィ装置で分取した。分取用カラムとして、オクタデシルシリル化球状シリカゲル(カプセルパックUG−120 C18 資生堂社製)10×250mmを用いて、220nmを検出波長とし、移動相として0.01%TFA:メタノール=85:15の溶出液8ml/分の流速で溶出した。最終の段階でメタノール60%水溶液でカラムから押し出した。試料は上記の画分の乾燥物30mgを300μlの50%のメタノール溶液に溶解したものを、1回当たり約80μl注入した。代表的なクロマトグラムを図2に示す。
図2に示した、クロマトグラム図のFr1〜Fr7までの画分をそれぞれ回収し、溶媒をエバポレーターで蒸発させた。なおFr7の画分は押し出し画分に相当する。回収量はそれぞれ、Fr1 3.3mg、Fr2 1.7mg、Fr3 2.0mg、Fr4 2.9mg、Fr5 1.7mg、Fr6 1.1mg、Fr7 17.1mgであった。Fr7の画分は、以下の分離と活性確認操作の過程でフラボノイド化合物の混合であることが確認できた。したがって、ブタノール抽出画分中フラボノイドの含有量は、約各回収画分の膵リパーゼ活性を上記の方法で測定し、画分ごとの阻害活性の存在を確認した。結果を図3に示す。
図3からリパーゼ阻害活性の中心はFr3とFr7に存在することが確認できた。
リパーゼ阻害作用を有する、50%メタノールで上記のSP−825カラムから溶出した画分をさらに、分取用液体クロマトグラフィ装置で分取した。分取用カラムとして、オクタデシルシリル化球状シリカゲル(カプセルパックUG−120 C18 資生堂社製)10×250mmを用いて、220nmを検出波長とし、移動相として0.01%TFA:メタノール=85:15の溶出液8ml/分の流速で溶出した。最終の段階でメタノール60%水溶液でカラムから押し出した。試料は上記の画分の乾燥物30mgを300μlの50%のメタノール溶液に溶解したものを、1回当たり約80μl注入した。代表的なクロマトグラムを図2に示す。
図2に示した、クロマトグラム図のFr1〜Fr7までの画分をそれぞれ回収し、溶媒をエバポレーターで蒸発させた。なおFr7の画分は押し出し画分に相当する。回収量はそれぞれ、Fr1 3.3mg、Fr2 1.7mg、Fr3 2.0mg、Fr4 2.9mg、Fr5 1.7mg、Fr6 1.1mg、Fr7 17.1mgであった。Fr7の画分は、以下の分離と活性確認操作の過程でフラボノイド化合物の混合であることが確認できた。したがって、ブタノール抽出画分中フラボノイドの含有量は、約各回収画分の膵リパーゼ活性を上記の方法で測定し、画分ごとの阻害活性の存在を確認した。結果を図3に示す。
図3からリパーゼ阻害活性の中心はFr3とFr7に存在することが確認できた。
Fr3の画分については、再度同一条件でクロマト分離し、フラクションを図2に示したクロマトグラムの大きなピーク(Fr3−1)と小さなピーク(Fr3−2)に分けて分取し乾燥物としてFr3−1 0.8mg、Fr3−2 0.6mgを回収した。両フラクションを、同様にして膵リパーゼ阻害活性を測定した。結果を図4に示す。
図4に示すとおり、膵臓リパーゼ阻害活性はFr3−1に存在し、Fr3−2の画分には存在しなかった。
図4に示すとおり、膵臓リパーゼ阻害活性はFr3−1に存在し、Fr3−2の画分には存在しなかった。
HPLCによる活性画分の再精製
前記したFr3−1画分を、再度回収し特定するために以下の方法で再精製を行った。<精製方法>
フユボダイジュ水抽出エキス末10gを1000mL三角フラスコに入れ、700mL程度の水を加えエキス末を溶解する。溶解液に1moL/Lの水酸化ナトリウム溶液にてpHを7に調整し、しばらくスターラーにて攪拌する。
pH7に調整した溶液をブフナー漏斗を用いてろ過し、不溶物を取り除く。
前記したFr3−1画分を、再度回収し特定するために以下の方法で再精製を行った。<精製方法>
フユボダイジュ水抽出エキス末10gを1000mL三角フラスコに入れ、700mL程度の水を加えエキス末を溶解する。溶解液に1moL/Lの水酸化ナトリウム溶液にてpHを7に調整し、しばらくスターラーにて攪拌する。
pH7に調整した溶液をブフナー漏斗を用いてろ過し、不溶物を取り除く。
ろ液を分液ロートに移し、ろ液と同量のブタノールを加えて、ブタノール抽出を行う。
得られたブタノール層の溶液をエバポレーターで乾固し、670mgの抽出物を得た。
SP825(合成吸着剤)約20mLをガラス製オープンカラムに詰め、メタノールと水でコンディショニングし、水100mLに溶解したブタノール抽出物670mgを流し、目的活性成分を吸着させる。その後、水、20%メタノール水溶液それぞれ100mLで洗浄後、50%メタノール水溶液にて活性成分を溶出させた。50%メタノール溶出液をエバポレーターで乾固し、150mgの溶出画分Aを得た。
得られたブタノール層の溶液をエバポレーターで乾固し、670mgの抽出物を得た。
SP825(合成吸着剤)約20mLをガラス製オープンカラムに詰め、メタノールと水でコンディショニングし、水100mLに溶解したブタノール抽出物670mgを流し、目的活性成分を吸着させる。その後、水、20%メタノール水溶液それぞれ100mLで洗浄後、50%メタノール水溶液にて活性成分を溶出させた。50%メタノール溶出液をエバポレーターで乾固し、150mgの溶出画分Aを得た。
G3000S(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体樹脂)約10mLをガラス製オープンカラムに詰め、メタノールと水でコンディショニングし、水30mLに溶解した溶出画分A 150mgを流し、目的活性成分を吸着させる。その後、水、50mLで洗浄後、5%メタノール水溶液にて活性成分を溶出させた。5%メタノール溶出液をエバポレーターで乾固し、70mgの溶出画分Bを得た。
逆相ODSカラムクロマトグラフィーにて溶出画分Bを、カラム 10×250(mm) C18 Capcellpak UG-120 5μm、検出 280nm(UV)、移動相 15%メタノール水溶液、流速 8mL/分の条件で分離し、溶出画分C3mgを単離した。以上の操作工程を図5に示した。
この画分を再度、HPLCで溶出したところ、単一の精製ピークを示した。クロマトグラムを図6に示す。なおHPLCの条件は以下のとおりである。
この画分を再度、HPLCで溶出したところ、単一の精製ピークを示した。クロマトグラムを図6に示す。なおHPLCの条件は以下のとおりである。
カラム 4.6×150(mm) C18 Capcellpak UG-120 5μm
検 出 280nm(UV)
移動相 A液 0.01%TFA:B液 メタノール = 87:13
流 速 1mL/分
検 出 280nm(UV)
移動相 A液 0.01%TFA:B液 メタノール = 87:13
流 速 1mL/分
またこのC画分の紫外部吸収スペクトルを測定したところ279nmに極大吸収を有していた。このスペクトラムを図7に示す。
さらに、このC画分のマススペクトラムを測定した。MW579(M+H)にメインピークを有し、MW291と472にフラグメントを検出した。マススペクトルの測定結果を図8に示す。
このC画分の各種溶媒の溶解性を確認したところ、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどの極性溶媒に溶解し、ヘキサン、クロロホルムなどの非極性溶媒には溶解しないことが判明した。
このC画分の各種溶媒の溶解性を確認したところ、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどの極性溶媒に溶解し、ヘキサン、クロロホルムなどの非極性溶媒には溶解しないことが判明した。
このC画分を上記段落[0034]〜[0036]に記載した方法でリパーゼ阻害活性を残存活性として測定した。測定結果を図9に示す。C画分は濃度依存的にリパーゼ活性を阻害していることが判明した。したがってこのC画分の物質がリパーゼ阻害活性の中心であることが確認できた。
脂肪吸収阻害試験
7週齢のSlc:ddY系雌性マウスを日本エスエルシー株式会社より購入し脂肪吸収阻害試験に用いた。マウスは購入後、一週間標準食(ラボMRストック(日本農産工業株式会社))を自由摂取させて予備飼育を行った後試験に供した。予備飼育および実験期間を通じ、温度23±1℃、湿度50±10%、照明12時間(8時〜20時)の環境下で飼育した。試験開始24時間前から絶食した後、市販されている食用油(胚芽の恵みコーン油 コレステロールゼロ 600g(味の素))8ml/kg体重と実施例1で得たフユボダイジュ花のブタノール抽出組成物を水に溶解又は分散させたものを500mg/kg体重になるように強制経口投与した。投与開始前、投与開始1、2、3、4、5および6時間後、尾部より20μl採血を行い、3,000rpm、5分間遠心分離後、得られた血漿2μlを96wellプレートにとり、トリグリセリドEテストワコー(和光純薬(株))にて、血中トリグリセリド濃度を測定した。
7週齢のSlc:ddY系雌性マウスを日本エスエルシー株式会社より購入し脂肪吸収阻害試験に用いた。マウスは購入後、一週間標準食(ラボMRストック(日本農産工業株式会社))を自由摂取させて予備飼育を行った後試験に供した。予備飼育および実験期間を通じ、温度23±1℃、湿度50±10%、照明12時間(8時〜20時)の環境下で飼育した。試験開始24時間前から絶食した後、市販されている食用油(胚芽の恵みコーン油 コレステロールゼロ 600g(味の素))8ml/kg体重と実施例1で得たフユボダイジュ花のブタノール抽出組成物を水に溶解又は分散させたものを500mg/kg体重になるように強制経口投与した。投与開始前、投与開始1、2、3、4、5および6時間後、尾部より20μl採血を行い、3,000rpm、5分間遠心分離後、得られた血漿2μlを96wellプレートにとり、トリグリセリドEテストワコー(和光純薬(株))にて、血中トリグリセリド濃度を測定した。
結果を図10に、また脂肪吸収曲線下面積(AUC)をそれぞれ素材について算出し、コントロール(生理食塩水)投与時のAUCを100とした時の脂肪吸収率を計算した結果を図11に示した。
[リパーゼ阻害活性]
実施例1のブタノール抽出組成物のロット間のばらつきを確認するため複数ロットサンプルのリパーゼ阻害活性を測定しIC50値を求めた。陽性対照として、リパーゼ阻害活性が高いことが知られているクローブのエタノール抽出物を用いた。被験試料の阻害活性は、対照(蒸留水)の活性に対して50%阻害を与える試料量IC50(μg/ml )として求めた。結果を図12 に示す。従来高い阻害活性を示すことが知られているクローブ抽出物の6〜10倍のIC50値を示した。
実施例1のブタノール抽出組成物のロット間のばらつきを確認するため複数ロットサンプルのリパーゼ阻害活性を測定しIC50値を求めた。陽性対照として、リパーゼ阻害活性が高いことが知られているクローブのエタノール抽出物を用いた。被験試料の阻害活性は、対照(蒸留水)の活性に対して50%阻害を与える試料量IC50(μg/ml )として求めた。結果を図12 に示す。従来高い阻害活性を示すことが知られているクローブ抽出物の6〜10倍のIC50値を示した。
処方例1
実施例1のブタノール抽出物を原料として常法に従って下記の組成の錠剤を製造した。[錠剤の製造]
(組成) (配合:重量%)
フユボダイジュエキス乾燥物 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グァーガム 1
実施例1のブタノール抽出物を原料として常法に従って下記の組成の錠剤を製造した。[錠剤の製造]
(組成) (配合:重量%)
フユボダイジュエキス乾燥物 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グァーガム 1
処方例2
[ジュースの製造]
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L−アスコルビン酸 0.02
香料 0.2
色素 0.1
フユボダイジュエキス乾燥物 0.2
水 83.28
フユボダイジュ花エキスの添加によってオレンジジュースの風味には全く影響しなかった。
[ジュースの製造]
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L−アスコルビン酸 0.02
香料 0.2
色素 0.1
フユボダイジュエキス乾燥物 0.2
水 83.28
フユボダイジュ花エキスの添加によってオレンジジュースの風味には全く影響しなかった。
本発明の組成物または剤は、非常に強いリパーゼ阻害活性を有しており、少量でその目的である脂肪の吸収を抑制するため、食品に添加しても苦味・渋味が発現しないため、食品の風味を損なうことがなく、誰でも容易に摂取することができる。
さらに、本発明によれば、本発明の、リパーゼ活性阻害剤、組成物は、顕著なリパーゼ阻害活性を有することが判明した。そのため、飲食品に添加して、食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑制し、および/または肥満を防止するための添加剤として使用できる。本発明の組成物または茶エキスは、天然由来の物質であるから、安全性も大きく、長期間にわたり、定期的に(例えば、数日おき、毎日もしくは食事毎に)摂取してその効果を発揮させることが可能である。
さらに、本発明は、本発明の組成物またはエキスをリパーゼ阻害の有効成分として含
有する、食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑制し、および/または
肥満を防止するための医薬品にも関する。医薬品は好ましくは経口投与に適する剤形、例
えば、そのまま服用しても水に溶解して飲んでもよい、粉末剤、散剤もしくは顆粒剤、あ
るいは錠剤、丸剤、ピル、カプセル剤、トローチ、キャンデー、もしくはチョコレートの
形状とすることができる。医薬品中の本発明の組成物またはエキスの量は、例えば、一
回摂取あたり10〜5000mgである。
有する、食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑制し、および/または
肥満を防止するための医薬品にも関する。医薬品は好ましくは経口投与に適する剤形、例
えば、そのまま服用しても水に溶解して飲んでもよい、粉末剤、散剤もしくは顆粒剤、あ
るいは錠剤、丸剤、ピル、カプセル剤、トローチ、キャンデー、もしくはチョコレートの
形状とすることができる。医薬品中の本発明の組成物またはエキスの量は、例えば、一
回摂取あたり10〜5000mgである。
Claims (11)
- フユボダイジュ花の水性溶媒抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させることにより得られた当該極性溶媒溶解抽出成分を有効成分とするリパーゼ活性阻害剤。
- フユボダイジュ花の水性抽出液を、室温以上の液温で非水性極性溶媒と接触させることによりリパーゼ阻害活性を選択的に濃縮した、請求項1のリパーゼ活性阻害剤。
- 極性溶媒がブタノールである請求項1又は3記載のリパーゼ阻害剤。
- フユボダイジュの花から抽出された極性溶媒抽出成分であって、請求項1〜3のいずれかに記載されたリパーゼ阻害活性画分が、以下の特性を有することを特徴とするリパーゼ阻害活性剤。
(1)逆相ODSカラムを用いたHPLCで単一ピークとなる。
(2)UVスペクトラムにおいて279nmに極大吸収を有する。
(3)マススペクトル分析を行うと、分子量579(M+H)に主ピークを有し、 291、427にフラグメントピークを有する。
(4)水、メタノール、エタノール、ブタノールに溶解し、ヘキサン、クロロホルムに は溶解しない。 - リパーゼ阻害活性が、フユボダイジュ花の水抽出エキスに対して少なくとも10倍以上に濃縮されている請求項1〜4のいずれかに記載のリパーゼ阻害活性剤。
- 食事由来の脂肪の吸収を抑制し、血中中性脂肪の上昇を抑制するために使用する請求項1〜5のいずれかに記載のリパーゼ活性阻害剤。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のリパーゼ阻害剤からなる、飲食品用添加剤。
- 請求項7記載の添加剤を含有する、飲食品。
- 健康食品または健康飲料である、請求項8の飲食品。
- 錠剤又はカプセル剤の形態である、請求項9の飲食品。
- フユボダイジュ花よりリパーゼ阻害活性剤を分取する方法であって、フユボダイジュ花の水性抽出液を、水と混合しない極性溶媒と接触させ、当該極性溶媒側に移層させることによりリパーゼ阻害活性を選択的に濃縮する方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9158310B2 (en) | 2011-12-14 | 2015-10-13 | International Business Machines Corporation | Integrating a data center thermal control system and individual fan controllers for controlling a thermal environment in a data center room |
US9176508B2 (en) | 2012-01-09 | 2015-11-03 | International Business Machines Corporation | Managing workload distribution among computing systems to optimize heat dissipation by computing systems |
-
2009
- 2009-09-30 JP JP2009228330A patent/JP2011074028A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
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US9158311B2 (en) | 2011-12-14 | 2015-10-13 | International Business Machines Corporation | Integrating a data center thermal control system and individual fan controllers for controlling a thermal environment in a data center room |
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US9459633B2 (en) | 2012-01-09 | 2016-10-04 | International Business Machines Corporation | Managing workload distribution among computing systems to optimize heat dissipation by computing systems |
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