JP2011073621A - 折り畳みシート装置 - Google Patents

折り畳みシート装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011073621A
JP2011073621A JP2009228357A JP2009228357A JP2011073621A JP 2011073621 A JP2011073621 A JP 2011073621A JP 2009228357 A JP2009228357 A JP 2009228357A JP 2009228357 A JP2009228357 A JP 2009228357A JP 2011073621 A JP2011073621 A JP 2011073621A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
folding
seat
seat back
intermediate position
holding means
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2009228357A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Hanaki
和郎 花木
Keiichiro Shibata
恵一郎 柴田
Harunori Nagao
治典 長尾
Masahiro Maruyama
雅弘 丸山
Kazuhiro Saeki
和洋 佐伯
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2009228357A priority Critical patent/JP2011073621A/ja
Publication of JP2011073621A publication Critical patent/JP2011073621A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Seats For Vehicles (AREA)

Abstract

【課題】機構を複雑にすることなく、シートバックの移動を容易に行うことができる折り畳みシート装置を提供する。
【解決手段】折り畳みシート装置1は、後部に設けられた開口部102と、該開口部を開閉するバックドア104と、開口部102の前方に配置された荷室114とを有する車両100に取り付けられる折り畳みシート装置1であって、シートクッション2と、該シートクッション2の後端から起立して車幅方向に複数並んで配設されたシートバック4とで構成されるとともに、シートバック4が、乗員が着座する状態の使用位置と、シートクッション2上に向けて倒伏させた折り畳み位置との間で移動可能であり、折り畳みシート装置1は、複数のシートバック4を、使用位置と折り畳み位置との間にそれぞれ予め規定した中間位置に移動させるとともに、当該中間位置で保持する移動保持手段8を備える。
【選択図】図4

Description

本発明は、折り畳みシート装置に関し、特に、シートバック及びシートクッションで構成されるとともに、シートバックが、乗員が着座する状態の使用位置と、シートクッション上に向けて倒伏させた折り畳み位置との間で移動可能な車両用の折り畳みシート装置に関する。
車両のシート装置において、シートバックをシートクッションに対して倒伏させることが可能な折り畳みシート装置が知られている。この折り畳みシート装置では、例えば荷室に隣接する位置に配置すれば、シートバックを倒伏させることにより荷室空間を広くすることができる。このような折り畳みシート装置としては、例えば特許文献1に記載されるような構造のものが提案されている。
特許文献1に記載の折り畳みシート装置は、シートバックを前方側に倒伏させるシートバック倒伏機構と、倒伏したシートバックを起立位置に復帰させるシートバック復帰機構とを備えている。シートバック倒伏機構及びシートバック復帰機構は、荷室に設けられた操作部をそれぞれ備え、シートバック倒伏機構の操作部を操作すると、前方側に付勢されたシートバックが前倒方向に一気に回動して倒伏する。また、シートバック復帰機構の操作部を操作すると、シートバックを元の起立位置に戻すことができる。このような構造によれば、荷室から操作部を操作することによってシートバックの前倒及び復帰を行うことができるので、利便性は高まる。
特開2006−347304号公報
しかしながら、上記のような従来の折り畳みシート装置では、一気に前倒方向に倒伏したシートバックを起立位置に戻すために、シートバック倒伏機構は、操作部を繰り返し引いて起立位置に戻す構造となっており、このため、ラッチ機構のような複雑な機構が必要となる。また、シートバックを起立位置に戻すには、シートバック倒伏機構の操作部を繰り返し引かなければならず、操作が煩雑となる。
本発明の目的は、機構を複雑にすることなく、シートバックの移動を容易に行うことができる折り畳みシート装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、後部に設けられた開口部と、該開口部を開閉するバックドアと、開口部の前方に配置された荷室とを有する車両に取り付けられる折り畳みシート装置であって、該折り畳みシート装置は、シートクッションと、該シートクッションの後端から起立して車幅方向に複数並んで配設されたシートバックとで構成されるとともに、シートバックが、乗員が着座する状態の使用位置と、シートクッション上に向けて倒伏させた折り畳み位置との間で移動可能であり、折り畳みシート装置は、複数のシートバックを、使用位置と折り畳み位置との間にそれぞれ予め規定した中間位置に移動させるとともに、当該中間位置で保持する移動保持手段を備えた、ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、折り畳みシート装置が、移動保持手段を備えているので、シートバックが中間位置に移動した後、中間位置で保持される。その後、乗員が、荷室側からシートバックを更に押すことによって、あるいはシートバックの後面に荷物を載置すること等によって、シートバックを折り畳み位置に移動させれば、シートバックを折り畳み位置に移動させてシートバックの後面を荷室として使用することが可能となる。また、折り畳みシート装置が車両の最後部に配置されている場合には、乗員が、荷室側からシートバックを掴んで、使用位置に引き戻せば、荷室側から操作してシートバックを中間位置から使用位置に移動させることが可能となる。このように、各シートバックがそれぞれ予め規定された中間位置で保持されるので、シートバックを折り畳み位置または使用位置に移動させるときにも複雑な機構を必要とすることなく、シートバックを荷室側から容易に操作可能となるから、利便性が向上する。
また、折り畳みシート装置が、シートクッションと、車幅方向に複数並んで配設されたシートバックとで構成され、移動保持手段が、各シートバックをそれぞれ予め規定された中間位置に移動するので、シートバック毎に中間位置をそれぞれ規定することが可能であり、これにより、車両におけるシートアレンジの自由度が高まり、利便性が向上する。
本発明において、好ましくは、各シートバックの中間位置は、車両前後方向で同一の位置に設定される。
このように構成された本発明においては、各シートバックの中間位置が、車両前後方向で同一の位置に設定されるので、乗員がシートバックの移動動作を覚えやすく、操作が容易になる。これは、例えば、各シートバックの中間位置を同一の位置に設定することによって、複数のシートバックの大きさ(幅)が異なる等の理由によりシートバックの重量が異なる場合でも中間位置を一致させることが可能になるから、特に有用である。
本発明において、好ましくは、複数のシートバックのうちのいずれか少なくとも1つは、中間位置が折り畳み位置に近い位置に設定され、複数のシートバックの他の少なくとも1つは、中間位置が使用位置に近い位置に設定される。
このように構成された本発明においては、複数のシートバックのうち中間位置が折り畳み位置に近い位置に設定されるシートバックと中間位置が使用位置に近い位置に設定されるシートバックトが存在するので、車両の使用傾向やニーズに従ってそれぞれのシートバックの中間位置を折り畳み位置または使用位置に近い位置に設定することができ、車両におけるシートアレンジの自由度が高まると共に、利便性、操作性が向上する。
したがって、例えば、国内では荷室として使用することが比較的多い運転席側のシートバックの中間位置を折り畳み位置に近い位置に設定し、乗員が着座することが比較的多い助手席側のシートバックの中間位置を使用位置に近い位置に設定するなどの設定が可能になる。このような設定により、シートバックの後面を荷室として使用するために運転席側のシートバックを中間位置から折り畳み位置に移動させるのが容易になるとともに、乗員が着座するために助手席側のシートバックを中間位置から使用位置に移動させることが容易になるので、折り畳みシート装置の操作性が向上する。
本発明において、好ましくは、開口部から操作可能な位置に設けられると共に、移動保持手段を操作するための移動保持手段操作部を更に有する。
このように構成された本発明においては、開口部から操作可能な位置に設けられた移動保持手段操作部を有するので、乗員が開口部近傍に立ってこの移動保持手段操作部を操作することにより、シートバックを中間位置に移動させることが可能となる。したがって、乗員が荷室側から折り畳みシート装置の移動保持手段を操作することができるので、利便性が向上する。
本発明において、好ましくは、複数のシートバックを、使用位置から中間位置に移動させるときには同時に移動させ、折り畳み位置から中間位置に移動させるときにはそれぞれ独立して移動させる移動機構を更に有する。
このように構成された本発明においては、移動機構が設けられているので、あるシートバックが折り畳み位置にあるときに、複数のシートバック全てが折り畳み位置から中間位置に移動するのが防止される。これは、例えばあるシートバックを折り畳み位置に位置させてシートバックの後面に荷物を載せている場合などに、このシートバックが折り畳み位置から中間位置に移動してしまうのが防止される。
本発明において、好ましくは、移動保持手段は、複数のシートバックの各々に設けられ、移動保持手段操作部は、各移動保持手段による各シートバックの使用位置または折り畳み位置から中間位置への移動の可否を選択する切替手段を有する。
このように構成された本発明においては、切替手段が設けられているので、選択されたシートバックのみが使用位置または折り畳み位置から中間位置に移動する。したがって、乗員がどのシートバックの移動の許可するかを選択することが可能になり、シートバックのアレンジを自由に且つ簡単な操作で工夫することが可能になる。
本発明において、好ましくは、着座した乗員を拘束するシートベルト装置のウェビングのバックル部材との係合を検知するバックル係合検知手段を更に有し、移動保持手段操作部は、バックル係合検知手段がウェビングのバックル部材との係合を検知している間は、切替手段による移動の可否の選択を無効にする切替無効手段を有する。
このように構成された本発明においては、バックル係合検知手段が設けられ、移動保持手段操作部が切替無効手段を有するので、シートベルト装置のウェビングがバックル部材に係合しているとバックル係合検知手段がこのバックル部材への係合を検知する。切替無効手段は、バックル部材係合検知手段がウェビングのバックル部材との係合を検知している間は、切替手段によってシートバックの移動の許可があったとしても、この切替を無効にする。したがって、切替無効手段によって、ウェビングがバックル部材と係合している間、つまり、乗員がシートクッションに着座している可能性が高い間は、シートバックの移動を防止することが可能になる。
本発明の第1実施形態による車両の後部を概略的に示す側断面図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の斜視図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の側面図である。 本発明の第1実施形態による移動保持手段の側面図である。 本発明の第1実施形態による移動保持手段の斜視図である。 図4のA−A線に沿った断面図である。 本発明の第1実施形態による車両の荷室側の斜視図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の移動保持手段操作部の構成を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の操作レバーの操作位置を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の使用位置を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の使用位置と折り畳み位置との中央位置を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の中間位置を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の中間位置における移動保持手段を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の折り畳み位置を示す図である。 本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の折り畳み位置における移動保持手段を示す図である。 本発明の第1実施形態による複数の折り畳みシート装置の中間位置を示す図である。 本発明の第2実施形態による折り畳みシート装置の中間位置を示す図である。 本発明の第2実施形態による車両の荷室側の斜視図である。 本発明の第2実施形態による移動保持手段操作部の構成を示す図である。 本発明の第2実施形態による複数の折り畳みシート装置の位置を示す図である。 本発明の第2実施形態による複数の折り畳みシート装置の位置を示す図である。 本発明の第2実施形態による複数の折り畳みシート装置の位置を示す図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、第2実施形態以降では、第1実施形態と同様の構成には、図面に第1実施形態と同一符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態による車両100の後部を概略的に示す側断面図である。この図1に示すように、車両100は、最後部に形成された開口部102と、この開口部102を開閉可能なバックドア104と、車両100内部に設けられた車室フロア106と、車室フロア106の後方に、後方に向かって上方に傾斜するキックアップ部108を介して配置された荷室フロア110と、荷室フロア110の車幅方向両側に設けられたホイールハウス111と、車室フロア106上に配置された折り畳みシート装置1と、を備える。
折り畳みシート装置1は、車両100の種類によって数、配置が異なるが、本実施形態では、運転席及び助手席(共に図示せず)の後部に配置された複数(本実施形態では2つ)の後部シートとして採用されており(図2)、図1には、運転席の後方に配置された折り畳みシート装置1のみを図示する。この折り畳みシート装置1は、車両100の側部に形成された開口部116及び開口部116を開閉可能に設けられたサイドドア118に隣接して配置されている。このようなシート配置の車両100においては、折り畳みシート装置1によって、車両100の内部空間は、折り畳みシート装置1よりも前方の車室112と、折り畳みシート装置1よりも後方の荷室114とに概略仕切られている。したがって、折り畳みシート装置1は、車両100の最後方で荷室114のすぐ前方に、荷室114に隣接して配置されている。
図2は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の斜視図である。また図3は、折り畳みシート装置1の側面図である。図2に示すように、本実施形態では、車両100には、車幅方向の寸法が異なる2つの折り畳みシート装置1A,1Bが設けられている。これらの折り畳みシート装置1の構造はほぼ同様であるので、図2中左側(車両100において運転席の後方側)の折り畳みシート装置1Aの構造について以下説明する。
図2及び図3に示すように、折り畳みシート装置1Aは、乗員が着座するためのシートクッション2と、シートクッション2に向けて倒伏可能なシートバック4と、シートバック4をシートクッション2上に向けて倒伏させるための折り畳み機構6と、乗員が着座する状態の使用位置とシートバック4をシートクッション2上に向けて倒伏させた折り畳み位置との間の中間位置にシートバック4を移動させると共に、当該中間位置でシートバック4を保持する移動保持手段8と、折り畳みシート装置1Aを使用位置または折り畳み位置で保持するためのロック機構9と、移動保持手段8を操作するための移動保持手段操作部10(図1)と、を備える。
シートクッション2は、乗員が上に着座するクッション12と、クッション12の内部に配置され、シートクッション2を支持するシートクッションフレーム14とを有する。また、シートバック4は、着座時に乗員の背中が接触するクッション16と、クッション16の内部に配置され、シートバック4を支持するシートバックフレーム18とを有する。
折り畳み機構6は、シートクッション2の前端部に配置され、シートクッション2を車室フロア106に対して取り付けるための前方シートクッションリンク機構20と、シートバック4をキックアップ部108に対して取り付けるためのシートバックリンク機構22と、シートクッション2の後端部に配置され、シートクッション2をシートバック4に対して取り付けるための後方シートクッションリンク機構24と、を備える。
前方シートクッションリンク機構20は、シートクッションフレーム14に固定されたシートクッション側ブラケット26と、車室フロア106に固定された車体側ブラケット28と、シートクッション側ブラケット26及び車体側ブラケット28に対して回動可能に取り付けられた前側リンク30とを有する。前側リンク30は、シートクッション側ブラケット26に対して回動軸30Aを中心に回動可能に取り付けられ、また、車体側ブラケット28に対して回動軸30Bを中心に回動可能に取り付けられている。また、前側リンク30には、回動軸30Bよりも後方側に、車室フロア106と接触可能なストッパ32が形成されている。このような構造により、シートクッション2は、前側リンク30が回動軸30Bを中心に回動することによって前方に移動可能に構成され、また前側リンク30が後方に回動するとき、ストッパ32が車室フロア106に当接することによってそれ以上の後方への回動が制限されるように構成される。
シートバックリンク機構22は、シートバックフレーム18の下部の車幅方向両側に固定されたシートバックブラケット34と、キックアップ部108に固定されるとともに、シートバックブラケット34をその下端において回動軸36Aを中心に回動可能に支持する車体側ブラケット36とを有する。車体側ブラケット36は、スペーサ37(図6)を介してシートバックブラケット34を回動可能に支持する。このような構造により、シートバック4は、回動軸36Aを中心に回動可能に支持される。
後方シートクッションリンク機構24は、略L字形の一対の後側リンク38で構成され、各後側リンク38の一端は、シートクッションフレーム14の後端部において車幅方向両側にそれぞれ固定され、各後側リンク38の他端は、シートバックブラケット34にそれぞれ回動可能に取り付けられている。後側リンク38のシートバックブラケット34に対する回動軸38Aは、回動軸36Aよりも後方側かつ上方側に位置している。
図4は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1Aの移動保持手段8の側面図である。ここで、図4は、シートバックブラケット34の下端部を、折り畳みシート装置1Aの内側から外側に向かって見た図である。また、図5は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1Aの移動保持手段8の斜視図であり、図6は、図4のA−A線に沿った断面図、即ち、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1Aの移動保持手段8の断面図である。これらの図4乃至図6において、移動保持手段8は、第1の規制部材または第1の付勢手段である第1のばね40と、第2の規制部材または第2の付勢手段である第2のばね42と、車体側ブラケット36に固定された係合部であるピン44と、シートバックブラケット34に形成された長孔46と、を有する。なお、本実施形態では、移動保持手段8は、各折り畳みシート装置1A,1Bにそれぞれ1つずつ設けられており、それぞれ車幅方向外側に位置するシートバックリンク機構22の回動軸36Aの周りに配置されている。
第1のばね40及び第2のばね42は、ともに渦状に巻かれた板ばねであり、第1のばね40が、第2のばね42より車幅方向内側に位置し、互いに巻き方向が逆になるように並んで配置されている。
第1のばね40の内端は、回動軸36Aに固定されており、回動軸36Aは、シートバックブラケット34に固定されている。第1のばね40は、図4において時計回りに巻かれている。第1のばね40の外端は、外側に湾曲して鉤部48を形成しており、この鉤部48は、ピン44に上方から係合可能となっている。
ここで、回動軸36Aは、シートバックブラケット34にねじ係合等で固定されることにより、シートバックブラケット34に対して所定角度回動可能になっている。つまり、回動軸36Aは、シートバックブラケット34に対する角度位置を調整可能に構成されている。そして、第1のばね40は、回動軸36Aに固定されているので、回動軸36Aの回動に伴って回動するようになっている。したがって、回動軸36Aを所定角度回動させることにより、第1のばね40の鉤部48の位置が変更可能となる。
このような構造によれば、回動軸36Aの角度位置を変更すると、第1のばね40がシートバックブラケット34と共に回動軸36Aを中心に回動したとき、鉤部48がピン44に係合する位置(タイミング)が変更されることを意味する。それにより、ピン44に係合することによって回動軸36Aを介してシートバックブラケット34に作用する第1のばね40の付勢力が、変更されることとなり、ひいては、折り畳みシート装置1Aの中間位置が変更されることとなる。したがって、回動軸36Aは、本実施形態においては、折り畳みシート装置1Aの中間位置を調節可能な中間位置調節機構として機能する。
第2のばね42は、図4において反時計回りに巻かれている。第2のばね42の内端は、回動軸36Aの外周側に設けられた筒状の取付部50(図6)に固定されている。この取付部50は、シートバックブラケット34に固定されており、回動軸36Aに対して摺動可能となっている。第2のばね42の外端は、外側に湾曲して鉤部52を形成しており、この鉤部52は、ピン44に下方から係合可能となっている。したがって、図4及び図5に示すように、第1のばね40の鉤部48と第2のばね42の鉤部52は、ピン44に対して互いに反対側に対向して配置される。
ピン44は、その一端が車体側ブラケット36に固定され、他端が長孔46を貫通して折り畳みシート装置1Aの幅方向内側に向かって突出し、第1のばね40及び第2のばね42の幅を越えて延びる。
長孔46は、シートバックブラケット34に形成され、第1及び第2のばね40,42の外周側かつ回動軸36Aに対して前方側に、回動軸36Aを中心とする円弧形に形成されている。また、長孔46の円弧形の中心角度は、シートバック4の回動角度に応じて、シートバック4の回動に伴うピン44の回動範囲よりも大きく設定されている。この長孔46により、シートバックブラケット34の回動時、ピン44がシートバックブラケット34に干渉しないようになっている。
ここで、第1のばね40及び第2のばね42の付勢力及び鉤部48,52の位置は、折り畳みシート装置1Aが使用位置にあるとき、第1のばね40がピン44の外周に当接せず且つ第2のばね42がピン44の外周に当接するように設定され、また、折り畳みシート装置1Aが折り畳み位置にあるとき、第1のばね40がピン44の外周に当接し且つ第2のばね42がピン44の外周に当接しないように設定される。
また、第1のばね40及び第2のばね42の付勢力及び鉤部48,52の位置は、折り畳みシート装置1Aが中間位置にあるときには、第1のばね40及び第2のばね42の両方がピン44の外周に当接し、シートバック4の重量による影響を加えた上で、第1のばね40及び第2のばね42の付勢力が釣り合うように設定されている。更に、第1のばね40に付勢力が発生しない状態での鉤部48の位置は、シートバック4がシートクッション2に対して鉛直方向の位置近傍で、鉤部48がピン44に接触するような位置に設定されている。
本実施形態では、使用位置は、シートバック4の後面がホイールハウス111の前方面111A(図1)に当接され、乗員がシートクッション2に着座することができる位置である。使用位置は、折り畳みシート装置1Aの車両100内での配置、使用用途、座り心地等を勘案して任意に設定されるが、本実施形態では、使用位置は、シートバック4がシートクッション2に対して90°より大きな鈍角を成すように設定されている。
折り畳み位置は、シートバック4がシートクッション2上に向かって倒伏し、シートバック4の前面がシートクッション2に接触し、シートバック4の後面がほぼ水平になる位置である。折り畳み位置は、折り畳みシート装置1Aの車両100内での配置、使用用途等を勘案して任意に設定されるが、本実施形態では、折り畳みシート装置1Aが荷室114に隣接して配置されているため、シートバック4の後面を荷室114の底面として使用することができ、荷室114の空間を拡張することができるように設定され、具体的には、本実施形態における折り畳み位置は、シートバック4がシートクッション2に対してほぼ平行になるように設定される。
そして、中間位置は、折り畳みシート装置1Aの車両100内での配置、使用用途等を勘案して使用位置と折り畳み位置との間の任意の位置に設定されるが、本実施形態では、中間位置は、シートバック4が使用位置よりも折り畳み位置に近い位置に位置するように設定されている。
なお、本実施形態では、助手席側の折り畳みシート装置1Bの中間位置は、使用位置よりも折り畳み位置に近い位置に設定され、運転席側の折り畳みシート装置1Aの中間位置と同一の位置に設定されている。ここで、助手席側の折り畳みシート装置1Aは、運転席側の折り畳みシート装置1Bよりも車幅方向の寸法が大きいため、シートバック4の重量も大きくなる。したがって、運転席側の折り畳みシート装置1Aに設けられた移動保持手段8の第1のばね40及び第2のばね42と同じ設定のばねを用いると、シートバック4の中間位置が、シートバック4の自重によってより折り畳み位置に近い位置に設定されてしまう。
そこで、本実施形態では、助手席側の折り畳みシート装置1Bの移動保持手段8においては、第1のばね40及び第2のばねの付勢力を調整することにより、シートバック4の中間位置が、運転席側の折り畳みシート装置1Aの中間位置と同じ位置に設定している。具体的には、助手席側の折り畳みシート装置1Bの回動軸36Aを運転席側の折り畳みシート装置1Aの回動軸36Aの角度位置よりも回動させることにより、第1のばね40の鉤部48をピン44に近づける方向に移動させる。このような変更により、ピン44が移動するにしたがって第1のばね40がより早い段階でピン44に係合してピン44に付勢力を及ぼすようになるから、ピン44の各位置における第1のばね40の付勢力が大きくなる。このような調整により、重量のより大きい助手席側のシートバック4でも、運転席側の折り畳みシート装置1Aのシートバック4と同じ中間位置に設定される。
ロック機構9は、図1に示すように、折り畳みシート装置1Aを折り畳み位置で固定保持するための第1のロック機構としての折り畳み位置ロック機構54と、折り畳みシート装置1Aを使用位置で固定保持するための第2のロック機構としての使用位置ロック機構56と、を備える。
折り畳み位置ロック機構54は、シートクッション2の前方で且つ幅方向略中央に設けられたストライカ58と、車室フロア106に取り付けられ且つストライカ58と係合可能なラッチ60とを有する。ラッチ60は、折り畳みシート装置1Aが折り畳み位置に移動したとき、ストライカ58がラッチ60に係合する位置に配置されている。
使用位置ロック機構56は、折り畳み位置ロック機構54と同様に、シートバック4の上部で且つ車幅方向外側に設けられたストライカ62と、荷室114のホイールハウス111に取り付けられ且つストライカ62と係合可能なラッチ64とを有する。ラッチ64は、折り畳みシート装置1Aが使用位置に移動したとき、ストライカ62がラッチ64に係合する位置に配置されている。
図7は、本発明の第1実施形態による車両の荷室側の斜視図である。図7及び図1に示すように、移動保持手段操作部10は、乗員が操作する操作レバー66と、操作レバー66及びラッチ60,64を接続するケーブル68と、を有する。操作レバー66は、荷室114のホイールハウス111の内部を通って車両100のリアエンドトリム113に配置されている。したがって、操作レバー66は、バックドア104を開けたときに乗員が車両100の後方に立って開口部102から手が届く位置に設けられ、よって開口部102から操作可能な位置に配置されている。
ケーブル68は、一端が操作レバー66に接続されるとともに、ホイールハウス111の内部を通って荷室114の側壁に沿ってキックアップ部108近傍まで延び、そこで2つに分岐している。一方のケーブル68Aは、ラッチ60に接続されており、他方のケーブル68Bは、ラッチ64に接続されている。本実施形態では、運転席側の折り畳みシート装置1A用のケーブル68と助手席側の折り畳みシート装置1B用のケーブル68は、共に共通の1つの操作レバー66に接続されている。
図8は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の移動保持手段操作部10の構成を概略的に示す図である。また、図9は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の操作レバー66の操作位置を示す図である。図8に示すように、運転席側の折り畳みシート装置1Aのケーブル68A,68B、及び助手席側の折り畳みシート装置1Bのケーブル68A,68Bは、操作レバー66に接続されている。ここで、国内においては、運転席側の折り畳みシート装置1Aは、助手席側の折り畳みシート装置1Bに比べて、シートバック4の後面を荷室として使用する頻度が高い。一方、助手席側の折り畳みシート装置1Bは、運転席側の折り畳みシート装置1Aに比べて、シートクッション2に乗員が着座するために使用する頻度が高い。そこで、本実施形態では、シートバック4を使用位置から中間位置に移動させるときには、両方の折り畳みシート装置1A,1Bのシートバック4を同時に移動させ、折り畳み位置から中間位置に移動させるときにはこれらをそれぞれ独立して移動させるように、移動保持手段操作部10には、移動機構70が設けられている。具体的には、本実施形態では、移動機構70は、両方の折り畳みシート装置1A,1Bのシートバック4が折り畳み位置にあるときには助手席側の折り畳みシート装置1Aのシートバック4を常に先に中間位置に移動させるように構成されている。
移動機構70は、2つの折り畳みシート装置1A,1Bの両方を使用位置から中間位置に移動させるための第1の移動機構72と、2つの折り畳みシート装置1A,1Bの両方が折り畳み位置にあるときに、助手席側の折り畳みシート装置1Aを先に折り畳み位置から中間位置に移動させるための第2の移動機構74と、を有する。
第1の移動機構72は、操作レバー66と、2つの折り畳みシート装置1A,1Bの使用位置ロック機構56に接続されるケーブル68Bとを備えて構成される。折り畳みシート装置1A,1Bの2つのケーブル68Bは、ともに同じ長さに形成され、したがって、操作レバー66を、図9の操作位置66Aまで引くと、同時に2つの使用位置ロック機構56を作動させるようになっている。
第2の移動機構74は、操作レバー66と、2つの折り畳みシート装置1A,1Bの折り畳み位置ロック機構54に接続されるケーブル68Aとを備えて構成される。折り畳みシート装置1A,1Bの2つのケーブル68Aのうち、助手席側の折り畳みシート装置1Bのケーブル68Aは、使用位置ロック機構56に接続されるケーブル68Bと同じ長さに形成されており、したがって、操作レバー66を引くと、2つの使用位置ロック機構56を作動させるとともに、折り畳みシート装置1Bの折り畳み位置ロック機構54も作動させる。一方、運転席側の折り畳みシート装置1Aのケーブル68Aは、助手席側の折り畳みシート装置1Bのケーブル68Aよりも所定長さΔLだけ長く形成されている。したがって、操作レバー66を、図9の操作位置66Aまで引いて2つの使用位置ロック機構56及び助手席側の折り畳みシート装置1Bの折り畳み位置ロック機構54が作動する時にも、運転席側の折り畳みシート装置1Aの折り畳み位置ロック機構54は作動せず、操作レバー66を、図9の操作位置66Bに示すような、更にΔLに対応する距離だけ引いたときに、折り畳み位置ロック機構54が作動するようになっている。
操作レバー66を操作することにより、折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56が作動すると、対応するラッチ60,64が同時に作動するようになっている。このときラッチ60,64がストライカ58,62と係合していれば、その係合が解除される。このため、この移動保持手段操作部10は、ロック機構を解除するロック解除機構として機能し、操作レバー66は、ロック解除機構操作部として機能する。よって、移動保持手段操作部10は、ロック解除機構を作動することによって移動保持手段を操作するように構成されている。
以上のような構造の折り畳みシート装置1は、次のように動作する。
前述の図4及び図10乃至図15は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の移動保持手段8の動作を示す図である。ここで、図10は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の使用位置を示す図であり、図11は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置の使用位置と折り畳み位置との中央位置を示す図であり、図12は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の中間位置を示す図であり、図13は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の中間位置における移動保持手段8を示す図であり、図14は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の折り畳み位置を示す図であり、図15は、本発明の第1実施形態による折り畳みシート装置1の折り畳み位置における移動保持手段8を示す図である。まず、1つの折り畳みシート装置1(運転席側の折り畳みシート装置1A)についての動作を説明する。
まず、折り畳みシート装置1が、図10に示すような使用位置にあるとき、シートバック4の後面は、ホイールハウス111の前面に当接され(図1)、使用位置ロック機構56のストライカ62がラッチ64に係合した状態である。このとき、シートバックブラケット34は、車体側ブラケット36に対して後方に回動しているため、ピン44は、図4に示すように、円弧状の長孔46の最下部に位置する。また、第1のばね40及び第2のばね42は、第2のばね42の鉤部52がピン44に当接し、第1のばね40の鉤部48がピン44から離れた状態になっている。したがって、ピン44には第2のばね42による付勢力のみが働いている。その結果、付勢力は、第2のばね42の巻きがほどける方向、即ち取付部50を介してシートバックブラケット34を前方に回動させる方向に働く。したがって、折り畳みシート装置1の使用位置においては、シートバック4には、シートバック4をシートクッション2上に向かって倒伏させる方向に付勢力が働いた状態となっている。
次に、乗員が荷室114の空間を広げたい場合には、乗員は、バックドア104を開けて荷室114の開口102から手を伸ばして操作レバー66を操作して使用位置ロック機構56のラッチ64を作動させる。このとき、使用位置ロック機構56のラッチ64は、ストライカ62と係合しているため、ラッチ64が作動すると、ストライカ62との係合を解除する。シートバック4は、第2のばね42によって前方方向に付勢されているため、シートバック4は、回動軸36Aを中心に、シートクッション2に向かって回動する。
シートバック4がシートクッション2に対して鉛直に起立した位置に移動したとき、第1のばね40がピン44に当接する。したがって、これ以降のシートバック4の前方への回動においては、第2のばね42による付勢力に加えて、第1のばね40による付勢力が働くこととなる。ここで、第1のばね40の付勢力は、第2のばね42の付勢力とは反対方向に働くため、第1のばね40による付勢力は、シートバック4の倒伏動作を抑制する役割を果たす。
シートバック4が前方へ回動するに従い、第2のばね42は巻きがほどけてくるので、その付勢力が徐々に小さくなる。一方、第1のばね40は、ピン44に押されてさらに巻かれることになるので、付勢力が徐々に大きくなる。その結果、図11に示すような、使用位置と折り畳み位置との間の中央位置(基準位置)を通過して、図12及び図13に示すように、シートバック4が中間位置まで移動したとき、第1のばね40と第2のばね42との釣り合いがとれ、シートバック4は中間位置に保持される。この状態では、ピン44において、シートバック4の重力による倒伏方向の力成分及び第2のばね42による付勢力との合計と、第1のばね40による付勢力とが釣り合っている。したがって、第1のばね40及び第2のばね42は、ピン44と係合することにより、回動軸36Aの回動量を規制する規制部材として機能する。
なお、図11に示すように、基準位置においてシートバック4の回動中心(回動軸36Aの中心)を通ってシートバック4の後面にほぼ平行な基準位置線Sと、使用位置における使用位置線Aとが成す角度αは、基準位置線Sと、折り畳み位置における折り畳み位置線Cとが成す角度βにほぼ等しくなる。また、図12に示すように、中間位置では、シートバック4は、回動軸36Aを中心に、基準位置よりも折り畳み位置に近い位置に回動した状態である。したがって、中間位置における中間位置線Bと使用位置線Aとが成す角度γは、中間位置線Bと折り畳み位置線Cとが成す角度δよりも大きくなる。
その後、シートバック4を折り畳み位置に移動させる場合には、乗員が開口部102側から荷物をシートバック4の後面に載置することによって、または開口部102から或いはサイドドア118から、シートバック4を第1のばね40の付勢力に抗してシートクッション2側に移動させる。シートバック4を折り畳み位置まで移動させると、折り畳み位置ロック機構54のストライカ58がラッチ60に係合し、図14に示すように、シートバック4が折り畳み位置で保持される。
折り畳み位置においては、図14及び図15に示すように、ピン44は長孔46の最上部に位置し、第2のばね42は、ピン44に接触せず、第1のばね40は、鉤部52がピン44に係合している。したがって、ピン44には、第1のばね40による付勢力のみが働いている。その結果、付勢力は第1のばね40の巻きがほどける方向、即ち回転軸36Aを介してシートバックブラケット34を後方に回動させる方向に働く。したがって、折り畳み位置においては、シートバック4には、シートクッション2から離れる方向に付勢力が働いた状態となっている。
ここで、シートバック4が使用位置から折り畳み位置まで移動するとき、折り畳み機構6は、図10、図12、及び図14に示すように、以下のように動作する。
シートバック4がシートクッション2上に向かって回動軸36Aを中心に回動すると、シートバック4の移動に伴って、後側リンク38の回動軸38Aが回動軸36Aを中心に回動するように移動する。回動軸38Aの移動に伴い、後側リンク38は、前方に移動し、シートクッションフレーム14を前方に押して移動させる。シートクッションフレーム14は、後方を後側リンク38に支持され、前方を前方シートクッションリンク機構20に支持されているため、シートクッション2が前方側に移動すると、前方シートクッションリンク機構20の前側リンク30が回動軸30Bを中心に回動する。
このような動作により、シートバック4を前方に倒伏させると、シートバック4は回動軸36Aを中心に回動し、一方、シートクッション2は、前方に移動しながら下方に移動する。したがって、折り畳みシート装置1の折り畳み位置においては、シートクッション2は、使用位置における場合よりも、車室フロア106に近い位置にほぼ水平に位置し、シートバック4は、シートクッション2上にほぼ水平に、シートクッション2とほぼ平行に位置し、シートバック4の後面は、荷室フロア110とほぼ同一平面上に位置する。
折り畳みシート装置1を使用状態に戻す場合には、乗員が操作レバー66を操作して、ロック機構9を作動させる。操作レバー66を操作すると、使用位置ロック機構56のラッチ64及び折り畳み位置ロック機構56のラッチ60の両方が、ケーブル68を介して作動する。使用位置ロック機構56のラッチ64は、ストライカ62と係合していないため、ラッチ64が作動するのみであるが、折り畳み位置ロック機構54のラッチ60は、ストライカ58との係合を解除する。折り畳み位置ロック機構54のロックが外れると、シートバック4は、第1のばね40の付勢力によって、後方に向かって回動し、シートバック4の重力による影響を加味して、第1のばね40の付勢力と第2のばね42の付勢力が釣り合った状態である中間位置において静止する。その後、中間位置で保持されたシートバック4を、サイドドア側からまたは荷室114側から、第2のばね42の付勢力に抗して後方に使用位置まで移動させて、使用位置ロック機構56のストライカ62をラッチ64に係合させる。
折り畳みシート装置1の初期設定として工場等において予め中間位置を調節するには、回動軸36Aの回動位置(回動角度)を決定する。即ち、回動軸36Aをシートバックブラケット34に対して回動させると、第1のばね40の内端の位置、ひいては鉤部48の位置が変化する。例えば回動軸36Aを回動させて第1のばね40をピン44から遠ざかる方向に移動させると、シートバック4が前方に回動したとき、第1のばね40がピン44に当接する位置(タイミング)が遅くなる。したがって、シートバックブラケット34の回動位置における第1のばね40の付勢力が小さくなる。これにより、第1のばね40の付勢力と第2のばね42の付勢力のバランスが変わり、第1のばね40及び第2のばね42の付勢力が釣り合う中間位置が、より折り畳み位置に近い位置に変更される。反対に、回動軸36Aを回動させて第1のばね40の鉤部48をピン44により近づけた方向に移動させると、中間位置がより使用位置に近い位置に変更される。
次に、移動保持手段操作部10を操作するときの、2つの折り畳みシート装置1A,1Bの動作について説明する。図16は、本発明の第1実施形態による複数の折り畳みシート装置の中間位置を示す図である。
この図16と前述の図8及び図9を参照すると、まず、両方の折り畳みシート装置1A,1Bが使用位置にあるとき、操作レバー66を図9の操作位置66Aまで引くと、助手席側の折り畳みシート装置1Bの使用位置ロック機構56及び折り畳み位置ロック機構54と、運転席側の折り畳みシート装置1Aの使用位置ロック機構56が作動する。運転席側の折り畳みシート装置1Aでは、使用位置ロック機構56のラッチ64は、ストライカ62と係合しているため、ラッチ64が作動すると、ストライカ62との係合を解除する。この係合解除により、シートバック4は、回動軸36Aを中心に回動し、使用位置から中間位置に移動する。
助手席側の折り畳みシート装置1Bでは、使用位置ロック機構56及び折り畳み位置ロック機構54の両方が作動する。このとき、折り畳みシート装置1Bは使用位置にあるので、折り畳み位置ロック機構54のラッチ60はストライカ58と係合しておらず、したがって、ラッチ60が単に作動するのみとなる。一方、使用位置ロック機構56のラッチ64は、ストライカ62と係合しているため、ラッチ64が作動すると、ストライカ62との係合を解除する。この係合解除により、シートバック4は、回動軸36Aを中心に、回動し、使用位置から中間位置に移動する。
したがって、操作レバー66を操作位置66Aまで引くと、両方の折り畳みシート装置1A,1Bが同時に使用位置から中間位置に移動する。このとき、折り畳みシート装置1A,1Bの中間位置はともに、図16に示すように、折り畳み位置に近い位置で且つ互いに同じ位置に位置する。
次に、両方の折り畳みシート装置1A,1Bが折り畳み位置にあるとき、操作レバー66を図9の操作位置66Aまで引くと、助手席側の折り畳みシート装置1Bの使用位置ロック機構56及び折り畳み位置ロック機構54の両方が作動する。このとき、使用位置ロック機構56のラッチ64はストライカ62と係合していないため、ラッチ64が単に作動するのみとなる。一方、折り畳み位置ロック機構56のラッチ60はストライカ58と係合しているため、ラッチ60の作動によってストライカ58との係合が解除される。この係合解除により、シートバック5は、折り畳み位置から中間位置に移動する。
運転席側の折り畳みシート装置1Aでは、操作レバー66の操作位置66Aへの操作によっては、使用位置ロック機構56のみが作動する。したがって、折り畳み位置ロック機構54のラッチ60はストライカ58と係合したままとなり、折り畳みシート装置1Aのシートバック4は、折り畳み位置に維持されたままとなる。
したがって、操作レバー66を操作位置66Aまで引くと、助手席側の折り畳みシート装置1Bのみが、折り畳み位置から中間位置に移動する。
その後、操作レバー66を操作位置66Aから引き続き図9の操作位置66Bまで引くと、運転席側の折り畳みシート装置1Aの折り畳み位置ロック機構54も作動する。この作動により、ストライカ58のラッチ60への係合が解除され、シートバック4が折り畳み位置から中間位置に移動する。
このように構成された本実施形態によれば、次のような優れた効果を得ることができる。
折り畳みシート装置1が移動保持手段8を備えているので、折り畳みシート装置1を中間位置に移動させると共に当該中間位置で保持することができる。したがって、折り畳みシート装置1を折り畳み位置に移動させたい場合には、乗員は、中間位置で保持されたシートバック4を、中間位置から手で押して折り畳み位置に移動させたり、またはシートバック4の後面に荷物を載せる等して中間位置から折り畳み位置に移動させればよい。また、折り畳みシート装置1を折り畳み位置から使用位置に移動させたい場合には、乗員は、中間位置で保持されたシートバック4を、中間位置から使用位置に移動させればよい。このように、移動保持手段8が折り畳みシート装置1を中間位置に移動させて保持するので、シートバック4を折り畳み位置及び使用位置のいずれの位置にも、比較的小さな力で簡単に移動させることができる。
また、移動保持手段8が折り畳みシート装置1を中間位置で保持するので、中間位置にあるシートバック4を荷室114から掴んで使用位置に戻すことができる。したがって、複雑な機構を必要とすることなく、また、乗員が車両100の後方からサイドドア側に回る必要なく、シートバック4の倒伏、起立の操作を荷室114から行うことができる。
中間位置が、使用位置よりも折り畳み位置に近い位置に設定されているので、折り畳みシート装置1を中間位置に移動させたときに、中間位置から折り畳み位置に、シートバック4をより簡単に移動させることができる。これは、例えば、荷室114の空間を広げるために後部シートを折り畳み位置に移動させて使用することが多い車種の場合には、特に有用である。また、例えば、折り畳みシート装置1がサイドドアに隣接して配置され、当該折り畳みシート装置1の後方にもシートが配置されている場合には、中間位置が折り畳み位置に近い位置に配置されると、サイドドアから後方のシートへ移動するための空間がより広くなるため後方のシートへ乗り込みやすくなるから、有用である。
車両100に2つの折り畳みシート装置1A,1Bが設けられているので、これらの折り畳みシート装置1A,1Bをそれぞれ使用位置または折り畳み位置に移動させることにより、様々なシートアレンジを実現できる。また、乗員の使用用途等に応じてシートバック4を移動させることができるから、車両100の利便性を向上させることができる。本実施形態では、折り畳みシート装置1A,1Bが後部シートとして使用されているので、シートバック4を折り畳み位置に移動させることによって、シートバック4の後面を荷室として使用することができるから、特に有用である。
また、2つの折り畳みシート装置1A,1Bの予め規定されたそれぞれの中間位置が、互いに同一の位置に設定されているので、乗員が中間位置を覚えやすく、折り畳みシート装置1A,1Bの動きを容易に予測できるから、操作性を向上させることができる。また、折り畳みシート装置1A,1Bの中間位置が同一の位置に設定されるから、折り畳みシート装置1A,1Bの幅寸法の違いにより重量が異なる場合でも、折り畳みシート装置1A,1Bを同じ中間位置に移動させることができ、これによっても操作性を向上させることができる。
移動機構70が設けられているので、折り畳みシート装置1A,1Bが使用位置にあるとき、操作レバー66を操作位置66Aまで操作すると、両方の折畳みシート装置1A,1Bのシートバック4を同時に使用位置から中間位置に移動させることができる。これは、例えば荷室として広い空間を確保したい場合に、1度の操作で両方のシートバック4を中間位置に移動させることができるから、特に有用である。
また、折り畳みシート装置1A,1Bの両方が折り畳み位置にあるとき、操作レバー66を操作位置66Aまで操作すると、助手席側の折り畳みシート装置1Bのシートバック4が折り畳み位置から中間位置に移動し、操作レバー66を操作位置66Bまで更に操作すると、運転席側の折り畳みシート装置1Aのシートバック4が折り畳み位置から中間位置に移動する。したがって、移動機構70によって2つの折り畳みシート装置1A,1Bの折り畳み位置から中間位置への移動を別個に行うことができる。これは、例えば運転席側の折り畳みシート装置1Aのシートバック4を折り畳み位置に移動させてシートバック4の後面を荷室として使用することが多く、一方で助手席側の折り畳みシート装置1Bのシートバック4を使用位置に移動させて乗員が着座することが多い場合には、助手席側の折り畳みシート装置1Bのシートバック4をより頻繁に使用位置に戻すことが多くなることがある。本実施形態では、操作レバー66を操作位置66Aまで操作すると、まず助手席側の折り畳みシート装置1Bのシートバック4が中間位置に移動する。したがって、運転席側の折り畳みシート装置1Aのシートバック4の後面に荷物を載置している場合でも、操作レバー66の操作によって助手席側の折り畳みシート装置1Bのシートバック4のみを移動させることができるので、特に有用である。
移動保持手段8が、シートバック4の回動中心である回動軸36A周りに設けられ、第1のばね40、第2のばね42、ピン44、及び長孔46によって構成されているので、シートバック4を使用位置から中間位置へ移動させる機構と、折り畳み位置から中間位置へ移動させる機構を共通の1つの手段で構成することができる。したがって、シートバック4を使用位置に移動させる機構と折り畳み位置に移動させる機構を別々に有する従来の折り畳みシート装置とは異なり、シートバック4を折り畳み位置に移動させる場合及び使用位置に移動させる場合の両方の場合において、共通の移動保持手段8を用いて行うことができるから、シートバック4の移動のための機構を簡単にすることができる。
第1のばね40及び第2のばね42の付勢力のバランスによって、シートバック4を中間位置に保持するので、中間位置における保持のためにロック機構等を設ける必要がない。したがって、シートバック4を中間位置から使用位置または折り畳み位置に移動させる際にも、ロックを解除する等の操作が不要となるから、操作効率を良好に保つことができる。
移動保持手段操作部10の操作レバー66が、開口部102から操作可能な位置に設けられているので、荷室114の空間を広げるために、乗員が荷室114側に立ったまま操作レバー66を操作して折り畳みシート装置1を中間位置に移動させることができる。したがって、乗員がサイドドア側に移動する等の操作の煩雑さをなくすことができ、荷室114での作業の利便性を向上させることができる。
回動軸36Aが、シートバックブラケット34に対して回動可能に且つ回動した位置において保持可能に構成されているので、回動軸36Aを回動させることにより、第1のばね40の鉤部48の位置を変更して、第1のばね40の付勢力を変更することができる。これにより、折り畳みシート装置1の中間位置を変更することができる。したがって、車両100の車種や好ましい使用態様に応じて、共通構造の折り畳みシート装置1で異なる中間位置を設定することができるから、折り畳みシート装置1の構造の共通化を図ることができる。
例えば、一般に、運転席の背後に位置する後部シートは助手席の背後に位置する後部シートに比べて、折り畳み位置に設定して荷室空間を拡張するように使われることが多い。そこで、運転席の背後に位置する後部シートである折り畳みシート装置1の中間位置を、使用位置よりも折り畳み位置に近い位置に設定しておくと、折り畳みシート装置1を中間位置に移動保持させたとき、シートバック4を中間位置から折り畳み位置へ移動させる作業を容易に行うことができる。一方で、乗員がよく着座すると思われる、助手席の背後に位置する後部シートである折り畳みシート装置1においては、中間位置を使用位置に近い位置に設定しておくと、乗員の着座のために使用位置に戻すのが容易になる。本実施形態の中間位置調節機構によれば、このような使用状態の違いに応じて、各折り畳みシート装置1の中間位置を、車両100の製造時にそれぞれ調節、設定することができる。
また、例えば、車両100の車種の違いに応じて、ある車種では折り畳みシート装置1の中間位置を使用位置に近い位置に設定し、他の車種では折り畳みシート装置1の中間位置を折り畳み位置に近い位置に設定することができる。
このように、車両100の製造時に各折り畳みシート装置1の中間位置を別個に調節可能となるので、共通構造の折り畳みシート装置1で、車両100の車種や使用用途に応じて柔軟に中間位置を設定することができる。
折り畳みシート装置1に折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56で構成されるロック機構9が設けられているので、シートバック4を使用位置または折り畳み位置で保持することができる。これにより、折り畳みシート装置1に外力が加わった場合でも、シートバック4が意図せず中間位置に移動するのを防止することができる。
また、1つの操作レバー66がケーブル68を介して折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56の両方に接続されているので、1つの操作レバー66を操作するだけで折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56の両方を操作することができる。したがって、シートバック4が使用位置及び折り畳み位置のいずれの位置にある場合でも、同じ操作レバー66を操作することによってシートバック4を中間位置に移動させることができるので、操作が覚えやすく簡単に行える。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態による折り畳みシート装置80について説明する。第2実施形態による折り畳みシート装置80は、折り畳みシート装置80A,80Bのそれぞれの中間位置が異なる点、及び移動保持手段操作部の構造が異なる点が第1実施形態による折り畳みシート装置1と異なる他は、折り畳みシート装置1と同様の構造である。
本実施形態においては、運転席側の折り畳みシート装置80Aのシートバック4の中間位置は、第1実施形態と同様に、使用位置よりも折り畳み位置に近い位置に設定されている。一方、助手席側の折り畳みシート装置80Bのシートバック4の中間位置は、第1実施形態と異なり、折り畳み位置よりも使用位置に近い位置に設定されている。図17は、本発明の第2実施形態による折り畳みシート装置80Bの中間位置を示す図である。この図17に示すように、助手席側の折り畳みシート装置80Bの中間位置の中間位置線Bは、基準位置線Sよりも使用位置線Aに近い位置に位置する。
したがって、本実施形態では、2つの折り畳みシート装置80A,80Bのシートバック4の中間位置は、互いに異なる位置に設定されている。この設定は、移動保持手段8の第1のばね40及び第2のばね42の位置や巻き数、ばね40,42の強さ等を調整することにより、個々の折り畳みシート装置80A,80Bについて調整可能である。
図18は、本発明の第2実施形態による車両120の荷室114側の斜視図である。また、図19は、本発明の第2実施形態による移動保持手段操作部82の構成を示す図である。図18及び図19に示すように、移動保持手段操作部82は、乗員が操作可能な操作手段84と、折り畳みシート装置80A,80Bの各ロック機構54,56の作動を選択する切替手段としての切替ボタン86と、切替ボタン86が操作されたときに点灯して乗員にどの切替ボタン86が操作されたかを表示するランプ88と、切替ボタン86によるロック機構54,56の作動選択を無効にする切替無効手段としての制御部90と、を備える。
操作手段84は、第1実施形態と同様にリアエンドトリム113に配置され、乗員が開口部102から操作可能な位置に設けられている。操作手段84は、操作ボタン等の構造を採用することができ、例えば第1実施形態の操作レバー66と同様の構造を採用してもよい。また、操作手段84は、制御部90に接続されている。
また、本実施形態では、折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56は、制御部90に接続されており、操作手段84の操作に応じてラッチ60,64を電気的に作動させるようになっている。
切替ボタン86、及びランプ88は、各折り畳みシート装置80A,80Bについて1つずつ設けられ、制御部90に接続されている。切替ボタン86は、図18に示すように、リアエンドトリム113の操作手段84の両側に配置されている。切替ボタン86がONになっているとき、対応する折り畳みシート装置80A,80Bが選択された状態となる。
ランプ88は、切替ボタン84内に組み込まれるとともに、制御部90に接続されている。ランプ88は、切替ボタン86が選択される(ONされる)と、制御部90からのランプ点灯信号により、点灯するように構成されている。
本実施形態においては、各折り畳みシート装置80A,80Bにはシートベルト装置(図1参照)が設けられている。このシートベルト装置は、乗員の体に接するウェビングと、車両120に固定され、ウェビングと係合可能なバックル部材と、ウェビングのバックル部材への係合を検知するバックル係合検知手段92と、を備えている。このバックル係合検知手段92は、それぞれ制御部90に接続され、バックル部材にウェビングが係合したときの検知信号を制御部90に出力するようになっている。なお、バックル係合検知手段92は、シートベルト装置にもともと設けられたバックル係合検知手段を利用して、そこからの出力をそのまま利用してもよいし、もともと設けられているバックル係合検知手段とは別個に、移動保持手段操作部80の作動のために設置してもよい。
制御部90は、操作手段84が操作されると出力される操作信号と、切替ボタン86から出力される切替信号に基づいて折り畳みシート装置80A,80Bの折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56のうち、切替ボタン86によって選択された折り畳みシート装置80A,80Bのロック機構54,56を作動させる作動信号を出力するようになっている。また、制御部90は、切替ボタン86が選択されているとき、ランプ88に点灯信号を送信するようになっている。更に、制御部90は、バックル係合検知手段92から検知信号を入力すると、対応する折り畳みシート装置80A,80Bの各ロック機構54,56の作動を、切替ボタン86の選択状態にかかわらず、無効にするようになっている。
次に、本発明の第2実施形態による折り畳みシート装置80の動作について説明する。
まず、乗員が切替ボタン86を操作して、例えば運転席側の折り畳みシート装置80Aの切替ボタン86をONにする。すると、制御部90は、切替ボタン86からの切替信号を受けて、ランプ88に点灯信号を送信する。この点灯信号により、選択された切替ボタン86が点灯し、乗員にその切替ボタン86に対応する折り畳みシート装置、即ち運転席側の折り畳みシート装置80Aが選択されたことを表示する。
切替ボタン86によって運転席側の折り畳みシート装置80Aのみが選択された状態で、操作手段84を操作すると、操作手段84は制御部90に操作信号を送信する。制御部90は、操作信号を受けると、切替ボタン86によって選択された折り畳みシート装置80Aのバックル係合検知手段92から検知信号が出力されていないかどうかを判断する。バックル係合検知手段92からの検知信号が出力されていない場合には、折り畳みシート装置80Aの折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56に作動信号を出力する。
この作動信号により、折り畳みシート装置80Aのシートバック4は、折り畳み位置または使用位置から中間位置に移動する。
図20乃至図22は、本発明の第2実施形態による複数の折り畳みシート装置の位置を例示的に示す図である。まず、両方の折り畳みシート装置80A,80Bが使用位置に位置した状態で、運転席側の折り畳みシート装置80Aの切替ボタン86が選択された場合には、操作手段84を操作すると、図20に示すように、折り畳みシート装置80Aのシートバック4のみが中間位置に移動し、助手席側の折り畳みシート装置80Bのシートバック4は使用位置に保持されたままとなる。このとき、折り畳みシート装置80Aのシートバック4の中間位置は、折り畳み位置に近い位置に位置する。
両方の折り畳みシート装置80A,80Bが使用位置に位置した状態で、助手席側の折り畳みシート装置80Bの切替ボタン86が選択された場合には、操作手段84を操作すると、図21に示すように、折り畳みシート装置80Bのシートバック4のみが中間位置に移動し、運転席側の折り畳みシート装置80Aのシートバック4は使用位置に保持されたままとなる。このとき、折り畳みシート装置80Bのシートバック4の中間位置は、使用位置に近い位置に位置する。
また、両方の折り畳みシート装置80A,80Bが使用位置に位置した状態で、両方の折り畳みシート装置80A,80Bの切替ボタン86が選択された場合には、操作手段84を操作すると、図22に示すように、両方の折り畳みシート装置80A,80Bのシートバック4が中間位置に移動する。このとき、運転席側の折り畳みシート装置80Aのシートバック4の中間位置は、折り畳み位置に近い位置に位置し、助手席側の折り畳みシート装置80Bのシートバック4の中間位置は、使用位置に近い位置に位置する。
一方、バックル係合検知手段92からの検知信号が出力されている場合には、制御部90は、操作手段84の操作信号を無効にして、折り畳みシート装置80Aの折り畳み位置ロック機構54及び使用位置ロック機構56に作動信号を出力しない。
この制御部90の動作により、操作手段84の操作は無効にされ、折り畳みシート装置80Aは、折り畳み位置または使用位置から中間位置には移動せず、元の折り畳み位置または使用位置に維持されたままとなる。
以上のような第2実施形態による折り畳みシート装置80によれば、前述の効果と同様の効果が得られる他、次のような効果が得られる。
移動保持手段操作部82に切替ボタン86を設けたので、複数(本実施形態では2つ)の折り畳みシート装置80A,80Bのうち、切替ボタン86で選択された折り畳みシート装置80A,80Bのみのシートバック4を中間位置に移動させることができる。したがって、乗員が移動させたい折り畳みシート装置80A,80Bを選択することができ、乗員の要望に合わせて様々なシートアレンジを簡単且つより少ない操作で行うことができるから、利便性を向上させることができる。
また、切替ボタン86にランプ88を設けたので、どの折り畳みシート装置80A,80Bを選択したかを即座に認識することができる。これにより乗員が操作を目で確認することができるから、操作が簡単になる。
制御部90が、バックル係合検知手段92からの検知信号を検出している間は、切替ボタン86による選択にかかわらず、検知信号に対応する折り畳みシート装置80A,80Bの各ロック機構54,56を作動させないので、シートバック4が意図せず移動してしまうのを防止することができる。ここで、バックル係合検知手段92がウェビングのバックル部材への係合を検知している時には、対応するシートクッション2に乗員が着座している可能性が高い。本実施形態では、そのような場合に制御部90が操作手段84からの操作信号に基づく作動信号を出力しないので、折り畳みシート装置80A,80Bの操作ミスを防止することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、でもよい。
移動機構、どのシートバックを移動できないようにするか、選択できるように構成してもよい。
シートクッションが共通でもよい。シートバックが倒れるのみの構造でもよい。
中間位置を変更可能な中間位置調節機構を、必ずしも設ける必要はない。例えば、中間位置を車両の設計段階で予め設定しておき、車両の製造時に中間位置の設定変更をする必要がない場合や、複数の折り畳みシート装置間で中間位置を変更する必要がない場合などには、中間位置調節機構を設ける必要がない。これらのような場合には、例えば前述の実施形態の例では、回動軸36Aをシートバックブラケット34に固定すればよい。
中間位置は、使用位置または折り畳み位置の間の任意の位置に設定することができる。したがって、第1実施形態による折り畳みシート装置のように、中間位置を使用位置よりも折り畳み位置に近い位置に設定してもよいし、第2実施形態による運転席側の折り畳みシート装置のように、中間位置を折り畳み位置よりも使用位置に近い位置に設定してもよい。また、中間位置は、使用位置と折り畳み位置のちょうど真ん中、即ち、使用位置におけるシートバックと折り畳み位置におけるシートバックの成す角度の半分の角度における位置(第1実施形態における基準位置)に設定されていてもよい。
更に、複数の折り畳みシート装置が設けられている場合において、折り畳みシート装置の中間位置は、第1実施形態のように、全ての折り畳みシート装置の中間位置が車両前後方向で同一の位置に設定されていてもよく、また第2実施形態のように、互いに異なる位置に設定されていてもよい。更に、折り畳みシート装置の中間位置が互いに異なる位置に設定される場合には、例えばいずれも使用位置に近い位置において互いに異なる位置に設定されていてもよく、複数の折り畳みシート装置のうち少なくとも1つが、少なくとも他の1つと互いに異なる位置に設定されていればよい。
切替手段は、必ずしも設ける必要はなく、例えば第1実施形態による移動保持手段操作部のように、予め決定された順序で複数のシートバックの移動を行ってもよい。また、切替手段を設けず、各移動保持手段に移動保持手段操作部をそれぞれ設けて、切り替えることなくそれぞれの移動保持手段操作部を操作してもよい。
また、切替手段が設けられている場合に、切替無効手段を必ずしも設ける必要はない。
移動機構は、必須の構成ではなく、例えば、複数のシートバックの各々を別個に移動させる場合などでは、必ずしも設ける必要はない。
移動保持手段操作部の構造は、前述の実施形態では、第1実施形態では操作レバーであり、第2実施形態では操作ボタン等の操作手段であったが、それぞれ逆に、即ち、第1実施形態において操作手段で構成し、第2実施形態で操作レバーで構成してもよい。また、移動保持手段操作部の構造は、これら操作ボタン及び操作レバーに限らず、任意の構造を採用することができる。
移動保持手段は、第1のばね及び第2のばねを有する構造のものに限らず、折り畳みシート装置を使用位置または折り畳み位置から中間位置へ移動させ、且つ中間位置で保持することができる構造であれば任意に採用することができる。また、移動保持手段は、前述の実施形態では、第1のばね及び第2のばねを有する構造によって、シートバックを使用位置から中間位置へ移動保持させる機構と折り畳み位置から中間位置へ移動保持させる機構を、共通の構造で実現していたが、これに限らず、例えば、使用位置から中間位置へ移動保持させる機構と折り畳み位置から中間位置へ移動保持させる機構とを別個に設けてもよい。更に、移動保持手段は、前述の各実施形態では、各折り畳みシート装置にそれぞれ1つずつ設けられていたが、これに限らず、複数の折り畳みシート装置に共通の移動保持手段を1つ設けてもよい。この場合には、例えば複数の折り畳みシート装置のシートバックを共通の回動軸で連結し、この回動軸に移動保持手段を配置してもよい。
移動保持手段操作部は、各実施形態に記載したように複数の折り畳みシート装置に対して1つ設けられているものに限らず、各折り畳みシート装置に1つずつ設けられていてもよい。このように構成すれば、操作したい折り畳みシート装置の移動保持手段操作部をそれぞれ操作することによって、わかり易い操作でシートバックの移動を行うことができる。また、移動保持手段操作部は、荷室の開口部から操作可能な位置に設けられていなくてもよく、例えばサイドドアの近傍に配置されてもよい。
ロック機構は、前述の実施形態では、使用位置ロック機構及び折り畳み位置ロック機構が設けられていたが、これに限らず、いずれか一方のみが設けられていてもよい。また、ロック機構及び移動保持手段操作部は、必ずしも設ける必要はない。例えば、中間位置が折り畳み位置に近い位置に設定されている前述の実施形態において、シートバックを折り畳み位置に保持するロック機構が設けられていない場合には、シートバックの後面上に荷物を載置することでシートバックを折り畳み位置に移動させることができ、荷物を取り除けばシートバックが自動的に中間位置に戻るので、ロック機構を解除する操作が省け、操作性が向上する。
折り畳みシート装置の配置は任意に設定でき、荷室に隣接して配置されていなくてもよく、例えばシートが3列並んでいる場合の真ん中の列のシート等、後部シートが前後に複数並んでいる場合の、荷室に隣接しないシートとして折り畳みシート装置を使用してもよい。また、折り畳みシート装置は、サイドドアに隣接して配置されていなくてもよく、例えばワゴン車などの、車両後部の運転席側にサイドドアが設けられていないような車両において、サイドドアが設けられていない側の車体の側部に隣接して配置されてもよい。
折り畳みシート装置の折り畳み構造は、前述の実施形態のような、リンク機構による折り畳み機構6を有し、折り畳み位置においてシートバックの後面が荷室フロアとほぼ同一平面上に位置するものに限らず、任意の構造を採用することができる。したがって、本発明の折り畳みシート装置の構造を、例えば、折り畳み時にシートクッションが下方に移動せず、単純にシートバックがシートクッションに対して回動するのみの構造の折り畳みシート装置に適用することもでき、その他任意の構造の折り畳みシート装置に適用することができる。
折り畳みシート装置は、前述の実施形態においては2つ設けられていたが、これに限らず、任意の複数個設けられていてよい。また、折り畳みシート装置は、各々がシートクッション及びシートバックを別個に有している構造に限らず、例えば、2つ以上の折り畳みシート装置において、共通のシートクッションを有するとともに、各折り畳みシート装置がそれぞれ別個のシートバックを有していてもよい。この場合においても、各シートバックに対してそれぞれ移動保持手段を設けてシートバックを独立して中間位置に移動保持させてもよいし、複数のシートバックを連結し、共通の移動保持手段によって複数のシートバックを連動させて中間位置に移動保持させてもよい。
1,80 折り畳みシート装置
2 シートクッション
4 シートバック
8 移動保持手段
9 ロック機構
10,82 移動保持手段操作部
36A 回動軸
40 第1のばね
42 第2のばね
44 ピン
46 長孔
54 折り畳み位置ロック機構
56 使用位置ロック機構
58,62 ストライカ
60,64 ラッチ
66 操作レバー
68 ケーブル
84 操作手段
86 切替ボタン
90 制御部
92 バックル係合検知手段
100,120 車両
102 開口部
104 バックドア
114,122 荷室
116 側部開口
118 サイドドア

Claims (7)

  1. 後部に設けられた開口部と、該開口部を開閉するバックドアと、上記開口部の前方に配置された荷室とを有する車両に取り付けられる折り畳みシート装置であって、
    該折り畳みシート装置は、シートクッションと、該シートクッションの後端から起立して車幅方向に複数並んで配設されたシートバックとで構成されるとともに、上記シートバックが、乗員が着座する状態の使用位置と、上記シートクッション上に向けて倒伏させた折り畳み位置との間で移動可能であり、
    上記折り畳みシート装置は、複数の上記シートバックを、使用位置と折り畳み位置との間にそれぞれ予め規定した中間位置に移動させるとともに、当該中間位置で保持する移動保持手段を備えた、
    ことを特徴とする折り畳みシート装置。
  2. 各上記シートバックの中間位置は、車両前後方向で同一の位置に設定される、請求項1に記載の折り畳みシート装置。
  3. 複数の上記シートバックのうちのいずれか少なくとも1つは、上記中間位置が上記折り畳み位置に近い位置に設定され、複数の上記シートバックの他の少なくとも1つは、上記中間位置が上記使用位置に近い位置に設定される、請求項1に記載の折り畳みシート装置。
  4. 上記開口部から操作可能な位置に設けられると共に、上記移動保持手段を操作するための移動保持手段操作部を更に有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の折り畳みシート装置。
  5. 複数の上記シートバックを、上記使用位置から上記中間位置に移動させるときには同時に移動させ、上記折り畳み位置から上記中間位置に移動させるときにはそれぞれ独立して移動させる移動機構を更に有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の折り畳みシート装置。
  6. 上記移動保持手段は、複数の上記シートバックの各々に設けられ、上記移動保持手段操作部は、各上記移動保持手段による各上記シートバックの上記使用位置または上記折り畳み位置から上記中間位置への移動の可否を選択する切替手段を有する、請求項4に記載の折り畳みシート装置。
  7. 着座した乗員を拘束するシートベルト装置のウェビングのバックル部材との係合を検知するバックル係合検知手段を更に有し、上記移動保持手段操作部は、上記バックル係合検知手段が上記ウェビングの上記バックル部材との係合を検知している間は、上記切替手段による移動の可否の選択を無効にする切替無効手段を有する、請求項6に記載の折り畳みシート装置。
JP2009228357A 2009-09-30 2009-09-30 折り畳みシート装置 Pending JP2011073621A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009228357A JP2011073621A (ja) 2009-09-30 2009-09-30 折り畳みシート装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009228357A JP2011073621A (ja) 2009-09-30 2009-09-30 折り畳みシート装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011073621A true JP2011073621A (ja) 2011-04-14

Family

ID=44018053

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009228357A Pending JP2011073621A (ja) 2009-09-30 2009-09-30 折り畳みシート装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011073621A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2567425B (en) * 2017-10-06 2020-08-19 Jaguar Land Rover Ltd A moveable vehicle seat assembly
EP4116143A4 (en) * 2020-07-10 2023-09-13 Delta Kogyo Co., Ltd. VEHICLE SEAT

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2567425B (en) * 2017-10-06 2020-08-19 Jaguar Land Rover Ltd A moveable vehicle seat assembly
EP4116143A4 (en) * 2020-07-10 2023-09-13 Delta Kogyo Co., Ltd. VEHICLE SEAT

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7661760B2 (en) Device for vehicle seat
US8388054B2 (en) Stowable vehicle seat
US8967719B2 (en) Easy entry seat system with single position memory and hold open feature
JP5291373B2 (ja) 誤操作防止装置及び車両用格納シート
US9108544B2 (en) Vehicle seat device
KR20010040787A (ko) 일체형 아동용 시트를 구비한 용이 접근 텀블형 시트 및아동용 시트가 전개될 때의 텀블형 로크아웃부
EP1888367A1 (en) Mono leg transformer seat
JP2009090808A (ja) 車両用シート
JP2009196424A (ja) 車両用格納シート
JPWO2011002027A1 (ja) 乗物用シート
JP4825612B2 (ja) 車両用シート装置
JP2009090807A (ja) 車両用格納シート
JP2019069652A (ja) 乗物用シート及びパーティション
JP4566152B2 (ja) 車両用シート装置
JP2011073621A (ja) 折り畳みシート装置
JP2007313977A (ja) 車両用シート
JP4622772B2 (ja) 車両用シート装置
JP5727222B2 (ja) シートフレーム及び該シートフレームを備えた車両用格納シート
JP5727221B2 (ja) シートフレーム及び該シートフレームを備えた車両用格納シート
JP5589368B2 (ja) 車両のシート装置
JP5159219B2 (ja) 車両用格納シート
JP2011073604A (ja) 折り畳みシート装置
JP4622771B2 (ja) 車両用シート装置
KR101677469B1 (ko) 차량용 시트의 원터치 더블폴딩 장치
WO2023243713A1 (ja) シート状態変更装置、乗り物用シートおよび車両