JP2011072252A - 海苔の細胞内成分の採取方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】海苔の細胞内有効成分を分取する場合に、フィコビリン系色素による海苔としての色合いが充分に有り、また海苔の自然な香りや味などの風味を充分に有する海苔の細胞内成分の採取方法とする。
【解決手段】海苔を冷却して細胞内に氷結晶を成長させながら凍結させ、その際に成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、前記氷結晶を融解して細胞内成分を細胞膜外に滲出させると共に、固液分離して細胞内成分を含む液状物を分取することからなる海苔の細胞内成分の採取方法とする。成長した氷結晶で細胞膜を破壊するので、細胞の完全凍結に要する冷却時間より短い時間かつ比較的高い冷却温度で細胞壁を破壊でき、海苔の自然な香りや色や味などの風味を有する海苔の細胞内成分が得られる。
【選択図】なし
【解決手段】海苔を冷却して細胞内に氷結晶を成長させながら凍結させ、その際に成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、前記氷結晶を融解して細胞内成分を細胞膜外に滲出させると共に、固液分離して細胞内成分を含む液状物を分取することからなる海苔の細胞内成分の採取方法とする。成長した氷結晶で細胞膜を破壊するので、細胞の完全凍結に要する冷却時間より短い時間かつ比較的高い冷却温度で細胞壁を破壊でき、海苔の自然な香りや色や味などの風味を有する海苔の細胞内成分が得られる。
【選択図】なし
Description
この発明は、海苔の細胞内に存する風味成分や色素などの成分を食品などに利用できるように採取する海苔の細胞内成分の採取方法に関する。
一般に、紅藻、緑藻、藍藻(シアノバクテリア)のうち、食用となる藻類およびそれらの藻類を漉いて板状に加工し乾燥させたものは纏めて海苔と総称されており、この発明でも同様に以下これら食用藻類および加工乾燥品を海苔と総称する。特に、紅藻類のポルフィラ(Porphyra)属(アマノリ属とも別称される)は、日本や韓国などで古来利用されてきた重要な食用藻類である。
このような海苔には、ヒトに有用な栄養成分が多く含まれていることも知られており、例えばビタミンA、C、B1、B2、B6、B12、葉酸、パントテン酸などのビタミン類、鉄分、カルシウム、タウリン、ナトリウム、ヨウ素などのミネラル類が含まれていることが周知である。
また海苔は、細胞壁の構成成分が、β-1,4-マンナン、β-1,3−キシランおよび寒天のような糖の重合体から成り、さらに細胞壁は、粘質多糖で覆われており、細胞内の有用成分を丈夫な細胞壁外に取り出す操作は容易ではない。
海苔の有効成分の抽出に際しては、微粉砕した後、常温液体中で有効成分を抽出する方法や、微粉砕せずに加熱水やアルコールで抽出する方法が知られている。
海苔の有効成分の抽出に際しては、微粉砕した後、常温液体中で有効成分を抽出する方法や、微粉砕せずに加熱水やアルコールで抽出する方法が知られている。
因みに、細胞内成分を含む液状物には、風味や旨味の成分が含まれており、例えば昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸、椎茸のグアニル酸、貝類のコハク酸がある。これらの旨味成分は、2種類混合することで、その効果が相乗的に増加する。海苔はグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸の3種類を有する数少ない食材であり、旨味成分の強い調味料が製造できる。
また、海苔の呈味成分は上述の3成分だけではなく、含有する遊離アミノ酸・ペプチド・たんぱく質などが複雑に関与して成り立っている。食品標準成分表によれば、海苔のタンパク質は39.6%に達し、植物界でも有数の高含有であるが、強固な細胞壁により、その全てが有効に活用されているとは言い難い状況である。
海苔の成分は、呈味を示す成分だけではなく、細胞間質多糖についても多くの分野で利用が待たれているが、抽出条件により目的とする性質が損なわれる場合もある。
海苔の成分は、呈味を示す成分だけではなく、細胞間質多糖についても多くの分野で利用が待たれているが、抽出条件により目的とする性質が損なわれる場合もある。
例えば、アマノリ(Porphyra)属の有用成分を含水アルコールで抽出する方法としては、特許文献1が知られており、得られた含水アルコール抽出物は、0.1〜5%程度の濃度で化粧品や栄養補充物に配合され、これによって物理的または生理学的なストレスを受けた細胞を保護することができる(特許文献1)。
また、動植物の組織を温度−15℃〜−20℃に冷却し、その際に凍結する水の体積膨張によって細胞膜を破壊し、そのために少なくとも48時間冷却処理した後、熱水抽出し、これに含まれる成分をアルコールで抽出して分離する方法が知られている(特許文献2)。
しかし、上記した特許文献1に記載された技術では、得られた含水アルコール抽出物に海苔本来の風味はなく、またフィコビリン系色素による海苔本来の色調もなく、海苔の自然な風味もないため、食品としての価値は全く認められない。
また、海苔の抽出溶媒として、アルコールに代えて熱水を用いると、加熱による有効成分の変質・分解や、オフフレーバー等の加熱副産物の発生などが起こる可能性があり、好ましくなかった。
また、細胞内水分の凍結による体積膨張によって細胞膜が破壊されるように、48時間かけて冷却処理し、その後に熱水にて100℃で60分程度の加熱抽出を行なう特許文献2に記載の発明では、凍結してから細胞膜が破壊されるまでに長時間を要するので、処理方法として効率的な方法ではなく、また細胞内の水分全体を体積膨張させるので、細胞壁の全体を強度劣化させることができるが、細胞壁も含めて粘ちょうな液体となってしまうので、溶媒抽出でなければ細胞内成分の分取は困難となり、また食品の海苔としての紫色の色調が無くなり、さらには海苔の自然な香りや風味もないという問題点がある。
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決して、フィコビリン系色素による海苔としての色合いが充分であり、また海苔の自然な香りや味などの風味を充分に有する海苔の細胞内成分の採取方法とすることである。
上記の課題を解決するために、この発明においては、海苔を冷却して細胞内に氷結晶を成長させながら凍結させ、その際に成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、前記氷結晶を融解して細胞内成分を細胞膜外に滲出させ、固液分離して細胞内成分を含む液状物を分取することからなる海苔の細胞内成分の採取方法としたのである。
上記したように構成されるこの発明の海苔の細胞内成分の採取方法によれば、細胞の完全凍結に要する冷却時間より短い時間で氷結晶が細胞壁に突き刺さるように成長し、すなわち緩慢凍結によって、成長した氷結晶で細胞膜を破壊することができるので、従来のように急速に凍結する必要が無く、冷却コストも節約できる。
また、生成した氷結晶は、融解させれば細胞壁に氷結晶の貫通孔が形成され、このような貫通孔から細胞内成分を外部に効率よく滲出させることができるので、細胞膜を破壊する工程での効率も良い。
また、適当な孔を形成した細胞壁は、粉砕されていないものであるから、液状化せず、ろ過などの分離操作によって、容易に固相の細胞壁等と液相の細胞内成分とに分離することができる。
このような固液分離操作の際には、加熱する必要はなく、海苔特有の色素であるフィコビリンや香りの成分も失われない。また、風味および色調の良い液状物からなる海苔の細胞内成分が得られる。そのため、上記の液状物は、フィコビリン系色素を0.1重量%以上含有する液温80℃未満の液状物であることが好ましい。
また、海苔の細胞壁に対し効率よく内容成分を取り出すための孔を形成するには、海苔の細胞内水分を冷却して氷結晶を成長させながら凍結させ、成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、氷結晶を融解する工程を1サイクルとして、2サイクル以上5サイクル以下の複数回繰り返すことが好ましい。
細胞内で氷結晶の成長と融解とが2サイクル以上繰り返されることにより、海苔の細胞壁に内容成分を取り出すための孔が数多く形成できる。6サイクルを超えて繰り返してもそれ以上に効率よく細胞内成分を取り出すことにならず、却って細胞壁が必要以上に細かく破壊されることにより、固液分離が容易でなくなるため、好ましくない。
細胞内で氷結晶の成長と融解とが2サイクル以上繰り返されることにより、海苔の細胞壁に内容成分を取り出すための孔が数多く形成できる。6サイクルを超えて繰り返してもそれ以上に効率よく細胞内成分を取り出すことにならず、却って細胞壁が必要以上に細かく破壊されることにより、固液分離が容易でなくなるため、好ましくない。
また、氷結晶を成長させる冷却速度は、海苔の細胞内水分の最大氷結晶生成温度帯の0℃未満−5℃以上の温度範囲を1〜24時間内に通過させる冷却速度であることが、海苔の細胞内に氷結晶を可及的に急速に成長させるために好ましい冷却速度である。−5℃以下の低温に冷却しても所期した程度に氷結晶は速やかに大きく成長せず、0℃を超える高温では細胞内の水分は凍結しないからである。前記温度範囲は、−1℃〜−5℃と設定することも可能である。
また、所定温度範囲の通過時間を1〜24時間とする理由は、氷結晶を所定以上に大きく成長させ、氷結晶により細胞膜及び細胞壁を傷つける確実性を高めるために好ましい条件だからであり、0℃未満−5℃以上の温度範囲を1時間未満の短時間で通過する急速な冷却条件では、氷結晶は大きく成長しにくく、24時間以上を費やすような冷却速度では、必要以上に時間がかかり実用性を低くするからである。
このように最大氷結晶生成温度帯の保持時間が1時間未満であれば、細胞内の氷結晶が充分に大きく成長しない。凍結時に海苔細胞内に成長する氷結晶により、細胞膜及び細胞壁を傷つけることが抽出効率に好影響を及ぼすため、いわゆる緩慢凍結することが望ましい。
また海苔の細胞内で氷結晶を成長させるには、細胞内にある程度の水分を含ませる調整も必要な場合があり、乾燥した海苔を用いる場合には、海苔の細胞内水分を冷却する前工程として、細胞に対し水分を含ませて膨潤させる工程を設ける。
この発明では、上記のように細胞壁や粘質多糖類を大きく破壊することなく、細胞内の成分を抽出することが可能である。このことは抽出液の粘度を低調に保つことができることになり、海苔の成分を有効利用する方法として、海苔の細胞壁を微粉砕処理する必要がなく簡単であり、また高温下で過酷な抽出や微生物等を利用する必要もないので、海苔本来の持つ成分を損なうことなく色調および風味に優れた細胞内成分を得ることができる。
この発明は、海苔の細胞内に氷結晶を成長させながら凍結することにより、細胞膜を破壊し、その後、氷結晶を融解して細胞内成分を細胞膜外に取り出しやすくしてから、加熱する必要もなく固液分離して細胞内成分を含む液状物を分取するようにしたので、液状物にはフィコビリン系色素による海苔としての色合いが充分に備わり、海苔特有の香りや味などの風味を充分に得られる海苔の細胞内成分の採取方法となる利点がある。
また、この発明では、煩雑な抽出方法を経ることなく、海苔の各種成分を有効に、かつ、大量に得ることが可能となる利点がある。
この発明の実施形態の海苔の細胞内成分の採取方法は、海苔を冷却して細胞内に氷結晶を成長させながら凍結させ、その際に成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、前記氷結晶を融解してから、固液分離してフィコビリン系色素を0.1重量%以上含有する液温80℃未満の液状物を含むものを分取する。
原料となる海苔は、前述のように、紅藻、緑藻、藍藻(シアノバクテリア)のうち、食用となる藻類およびそれらの藻類を漉いて板状に加工し乾燥させたものであり、ポルフィラ属(アマノリ属)の他、必要があれば特に種類を限定せずに使用可能である。
このような海苔として、紅藻類ではウシケノリ目、ウシケノリ科、アマノリ属(Porphyra)に属するアサクサノリ、スサビノリ、マルバアマノリ、ツクシアマノリ、オニアマノリ、イチマツノリ、コスジノリ、ウップルイノリ、クロノリ、イワノリなどが挙げられ、緑藻類としては、アオサ目、アオサ科に属するアオサやアオノリ、カワノリ目のカワノリなどが代表例として挙げられ、藍藻類としては、クレオコッカス目、クレオコッカス科、スイゼンジノリ属に属するスイゼンジノリなどが挙げられる。
また、原料の海苔は、微粉砕されていないものであれば、その形態を特に限定されるものではなく、生海苔でも、バラ干海苔でも、板海苔でも使用可能である。使用する原料の海苔は、色の無いものや破れのあるものなど、従来食用に供されなかった海苔を原料として有効利用することもできる。
乾燥した海苔を原料として用いる場合、細胞に水分を含ませて膨潤させる液体は、塩類や有機溶媒を含まない水道水を用いることが、最大氷結晶の生成温度帯を氷点以下のできるだけ高い温度帯とするために好ましい。
融解時の温度上昇速度等の条件を限定する必要性は特に認められない。
しかしながら、融解温度が80℃を超えると、フィコビリン系色素が分解される恐れがあって好ましくない。また100℃を超える加熱温度であれば、海苔特有の風味を損ねる場合があって好ましくない。また、微生物の繁殖が可能な温度で長時間経過すると、予期しない微生物の増殖が起こることがあるため、通常は10℃〜25℃の常温で融解することが望ましい。
しかしながら、融解温度が80℃を超えると、フィコビリン系色素が分解される恐れがあって好ましくない。また100℃を超える加熱温度であれば、海苔特有の風味を損ねる場合があって好ましくない。また、微生物の繁殖が可能な温度で長時間経過すると、予期しない微生物の増殖が起こることがあるため、通常は10℃〜25℃の常温で融解することが望ましい。
この発明では、氷結晶を融解すれば、自然にある程度の細胞内成分は細胞膜外に滲出するが、効率よく周知な手段で細胞内成分を取り出し、分取することが実用的である。細胞内の液状物には水に可溶な成分と不溶な成分が混在しているが、固液分離の手段については、例えば、遠心力を利用する方法、圧力を利用する方法、各種フィルターを利用する方法など、その目的に応じて周知の手段を選択的に採用することができる。
なお、フィコビリン系色素は、熱に対して不安定で水分の存在下で80℃以上で分解され、アルコールなどの有機溶媒には難溶性である。そのような性質であるため、海苔特有の色調を保持しつつ抽出物を得るためには、80℃以上となるような加熱工程を経ることなく抽出することが好ましい。
また、抽出物を得た後に残る残渣については、更に熱水抽出やアルコール抽出、あるいは乾燥して粉末状にして利用することが可能である。
また、抽出物を得た後に残る残渣については、更に熱水抽出やアルコール抽出、あるいは乾燥して粉末状にして利用することが可能である。
乾燥した板海苔10gに100mlの蒸留水を加え、3時間膨潤させた後、−5℃の冷凍庫内で0℃未満−5℃以上の最大氷結晶生成温度帯で24時間静置して完全に凍結させ、その後、15℃の温度に保ち、完全に融解させた後、遠心分離等の方法により固液分離した。分取した固形部分については、前記同様に凍結、融解、固液分離のサイクルを5サイクル行なって、最終的に得られた固形部分と各サイクルで分取した液体全量との混合物を液状物とした。
得られた液状物は、海苔特有の赤紫の抽出液で低粘性の液状であり、海苔特有の風味を有し、固形重量として計量すれば2.5gであった。
得られた液状物は、海苔特有の赤紫の抽出液で低粘性の液状であり、海苔特有の風味を有し、固形重量として計量すれば2.5gであった。
[実験例1]
乾燥海苔10gに水道水100mlを加えて膨潤させ、冷却時の最大氷結晶生成温度帯(0℃未満−5℃以上)の通過のための保持時間を変化させたとき融解物取得量(固形量)の変化は以下の表に示す通りであった。
乾燥海苔10gに水道水100mlを加えて膨潤させ、冷却時の最大氷結晶生成温度帯(0℃未満−5℃以上)の通過のための保持時間を変化させたとき融解物取得量(固形量)の変化は以下の表に示す通りであった。
表1の結果からも明らかなように、最大氷結晶生成温度帯での保持時間が1時間で得られる固形量が最大となり、また、24時間以上保持しても、得られる固形量は顕著に増加しなかった。
[実験例2]
海苔の細胞内成分の採取法について、従来の加熱抽出法と実施例1の製法の比較を行なった。海苔の量や液体量等の条件は実施例1と同様(乾燥海苔10g、水道水100ml)とし、計量に際して固形物を得るために減圧下25℃で乾燥させた。なお、熱水抽出およびアルコール抽出の工程に際しては、液体の蒸発飛散を防ぐため、還流装置を設置した。
海苔の細胞内成分の採取法について、従来の加熱抽出法と実施例1の製法の比較を行なった。海苔の量や液体量等の条件は実施例1と同様(乾燥海苔10g、水道水100ml)とし、計量に際して固形物を得るために減圧下25℃で乾燥させた。なお、熱水抽出およびアルコール抽出の工程に際しては、液体の蒸発飛散を防ぐため、還流装置を設置した。
官能評価については、5名のパネラーによる色調と香りの評価とし、実施例1で得られたものを「5」とし、香りが全くなく、色調が茶褐色であるものを「1」とする5段階評価を行なった。
表2の結果からも明らかなように、実施例1の液状物は、海苔本来の色・風味を有していた。赤紫色の色調は、海苔本来のフィコビリン系色素蛋白と想定できた。
熱水抽出法で得られたものは、茶褐色で加熱臭が強く海苔本来の特有の風味ではなかった。固形重量の増加する理由は、海苔の細胞壁が加水分解により発生したものと想定され、茶褐色の色は、葉緑素が熱分解を受けたものと想定された。
また、アルコール抽出物は、葉緑素が抽出され、海苔特有の水溶性成分は抽出されていないと想定され、固形重量も実施例1より少なく、充分量の組成物を得ることはできなかった。
熱水抽出法で得られたものは、茶褐色で加熱臭が強く海苔本来の特有の風味ではなかった。固形重量の増加する理由は、海苔の細胞壁が加水分解により発生したものと想定され、茶褐色の色は、葉緑素が熱分解を受けたものと想定された。
また、アルコール抽出物は、葉緑素が抽出され、海苔特有の水溶性成分は抽出されていないと想定され、固形重量も実施例1より少なく、充分量の組成物を得ることはできなかった。
このように得られた海苔の抽出物は海苔の色調・風味はもとより、様々な有効成分を含んでいるため、健康食品や化粧品の素材として利用することが可能であり、海苔の有効利用に際して新しい分野を開拓するものであった。
従って、この発明の海苔の細胞内成分の採取方法は、海苔本来の性質を有する抽出物を得るために極めて有効な手段であり、海苔の抽出物を上述のように特別な装置を要することなく、幅広い分野での海苔の有効利用が可能となるものである。
また、海苔を含む天然系素材の有効成分の抽出には、従来の加熱操作が可能な煮熟設備や、凍結状態を保ちつつ微粉末状に粉砕する設備、防爆設備を備えた揮発性液体による抽出設備等が必要でなくなり、この発明では、冷凍設備と固液を分離する装置があれば簡単に海苔の抽出物を得ることができる。
Claims (5)
- 海苔を冷却して細胞内に氷結晶を成長させながら凍結させ、その際に成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、前記氷結晶を融解して細胞内成分を細胞膜外に滲出させ、固液分離して細胞内成分を含む液状物を分取することからなる海苔の細胞内成分の採取方法。
- 氷結晶を成長させる冷却速度が、海苔の細胞内水分の0℃未満−5℃以上の温度範囲を1〜24時間以内に通過させる冷却速度である請求項1に記載の海苔の細胞内成分の採取方法。
- 海苔の細胞内水分を冷却して氷結晶を成長させながら凍結させ、その際に成長した氷結晶で細胞膜を破壊した後、前記氷結晶を融解する工程を1サイクルとして、2サイクル以上5サイクル以下の複数回繰り返す請求項1または2に記載の海苔の細胞内成分の採取方法。
- 海苔が乾燥した海苔からなり、細胞内水分を冷却する前工程として海苔の細胞に水分を添加して膨潤させる工程を設けた請求項1または2に記載の海苔の細胞内成分の採取方法。
- 液状物が、フィコビリン系色素を0.1重量%以上含有する液状物である請求項1または2に記載の海苔の細胞内成分の採取方法。
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JP2009227119A JP2011072252A (ja) | 2009-09-30 | 2009-09-30 | 海苔の細胞内成分の採取方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014033639A (ja) * | 2012-08-08 | 2014-02-24 | Takasago Thermal Eng Co Ltd | 炭化水素を生産可能な微生物からのオイル製造方法、及び製造システム |
WO2020148989A1 (ja) * | 2019-01-17 | 2020-07-23 | 株式会社リナイス | プロテオグリカン含有組成物の製造方法及びプロテオグリカン含有組成物 |
-
2009
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JP2020114185A (ja) * | 2019-01-17 | 2020-07-30 | 株式会社リナイス | プロテオグリカン含有組成物の製造方法及びプロテオグリカン含有組成物 |
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