JP2011069978A - 網膜走査型画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化かつ低コスト化を図ることができる虹彩認証機能を有する網膜走査型画像表示装置を提供すること。
【解決手段】網膜走査型画像表示装置は、画像信号に応じた強度のレーザ光を出射する光源部と、出射されたレーザ光を2次元方向に走査する走査部と、走査部が走査したレーザ光を利用者の網膜に画像を投影する投射部と、利用者の眼を撮像する撮像部と、撮像した画像を予め規定された画像と照合して利用者の認証処理を行う認証部と、レーザ光の光路中に形成される中間像位置又はその近傍であって画像形成用のレーザ光が入射しない領域に配置される配光部とを備えている。配光部は、前記認証部が認証処理を行うときに、光源部から出射されて前記走査部により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて投射部による射出瞳の周囲を照射することにより、走査部が走査したレーザ光を利用者の虹彩を照射する照明光として用いる。
【選択図】図2
【解決手段】網膜走査型画像表示装置は、画像信号に応じた強度のレーザ光を出射する光源部と、出射されたレーザ光を2次元方向に走査する走査部と、走査部が走査したレーザ光を利用者の網膜に画像を投影する投射部と、利用者の眼を撮像する撮像部と、撮像した画像を予め規定された画像と照合して利用者の認証処理を行う認証部と、レーザ光の光路中に形成される中間像位置又はその近傍であって画像形成用のレーザ光が入射しない領域に配置される配光部とを備えている。配光部は、前記認証部が認証処理を行うときに、光源部から出射されて前記走査部により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて投射部による射出瞳の周囲を照射することにより、走査部が走査したレーザ光を利用者の虹彩を照射する照明光として用いる。
【選択図】図2
Description
本発明は、網膜走査型画像表示装置に関し、更に詳細には、虹彩認証機能を有する網膜走査型画像表示装置に関する。
従来より、複数の画素を行列状に配列した2次元画像を形成する画像光を生成し、この画像光を利用者の眼に投射して、利用者の眼の網膜に画像を投影する画像表示装置が知られている。
この種の画像表示装置として、例えば、走査型の画像表示装置やLCD型の画像表示装置がある。走査型の画像表示装置は、2次元画像の各画素に応じた3原色のレーザ光をレーザ光源から順次出射し、走査部によって2次元走査して画像光を生成する。この走査型の画像表示装置は、網膜走査型画像表示装置と呼ばれる。また、LCD型の画像表示装置は、2次元画像を表示したLCDなどに光源からの光を入射し、その透過光又は反射光を画像光として生成する。
この種の画像表示装置においては機密情報を記憶して表示する場合がある。しかし、例えば、画像表示装置の紛失や盗難が発生した場合、機密性情報が漏洩する恐れがある。
そこで、機密情報の漏洩を防止するため、虹彩認証による個人認証機能を有する画像表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1の画像表示装置においては、利用者の虹彩を照明するために赤外光を用いており、この赤外光を出力するための赤外光源を設けている。従って、画像光を出力するための部材とは別に赤外光源が必要となり、表示装置が大型化し、また、低コストを図ることができなかった。
そこで、上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、網膜走査型画像表示装置において、画像信号に応じた強度のレーザ光を出射する光源部と、前記光源部から出射されたレーザ光を2次元方向に走査する走査部と、前記走査部が走査したレーザ光を利用者の眼の網膜へ投射して、前記網膜に画像を投影する投射部と、前記利用者の眼を撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像した画像を予め規定された画像と照合して、前記利用者の認証処理を行う認証部と、前記走査部が走査したレーザ光の光路中に形成される中間像位置又はその近傍であって、画像形成用のレーザ光が入射しない領域に配置される配光部と、を備え、前記配光部は、前記認証部が認証処理を行うときに前記光源部から出射されて前記走査部により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて前記投射部による射出瞳の周囲を照射する照明光としたものである。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記中間像位置又はその近傍に配置され、前記走査部を介して入射される画像形成用のレーザ光を分岐させて前記投射部の射出瞳を拡大する瞳拡大部を備え、前記瞳拡大部を前記配光部と一体的に形成したものである。
また、請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記投射部の射出瞳位置と前記利用者の瞳孔位置とを略一致させ、前記配光部によって形成される前記照明光を前記利用者の虹彩に照射するようにしたものである。
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記照明光は前記虹彩上で略円環形状をなすようにしたものである。
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記配光部は、ホログラムにより形成したものである。
また、請求項6に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記配光部は、凹レンズと、前記凹レンズ近傍に配置され、前記照明光が前記射出瞳位置において,前記利用者の瞳孔内に照射されることを阻止する黒点板とにより形成したものである。
また、請求項7に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記配光部は、円錐体状の透過部材にて形成したものである。
また、請求項8に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記レーザ光の光路中心を挟んで互いに対向する位置に、一対の前記配光部を設けており、各前記配光素子はそれぞれ前記利用者の虹彩の異なる領域を照明するものである。
また、請求項9に係る発明は、請求項8に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記配光部は、プリズムにより形成するものである。
また、請求項10に係る発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記照明光が出射されているときに、前記撮像部により前記利用者の眼を撮像させる制御部を備えているものである。
また、請求項11に係る発明は、請求項10に記載の網膜走査型画像表示装置において、前記利用者により操作可能な起動ボタンを備え、前記制御部は、起動操作を検出した後、前記利用者の眼の網膜に画像を投影する動作モードに移行するまでに、前記配光部から前記照明光を出射させて、前記利用者の認証処理を前記認証部により行うものである。
また、請求項12に係る発明は、請求項11に記載の網膜走査型画像表示装置において、少なくとも前記光源部からの画像形成用のレーザ光の出射を停止するスタンバイモードを有しており、前記制御部は、前記スタンバイモードから前記動作モードへ復帰するとき、前記動作モードに移行するまでに、前記配光部から前記照明光を出射させて、前記利用者の認証処理を前記認証部により行うものである。
本発明によれば、配光部は、認証処理時に光源部から出射されて走査部により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて射出瞳の周囲を照射する照明光として、利用者の虹彩に投射することができる。これにより、赤外光等の画像光以外を用いることなく虹彩に対して照明光を照射することができるので、網膜走査型画像表示装置の小型化、低コスト化を図ることができる。
[1.網膜走査型画像表示装置の構成]
まず、本発明の一実施形態に係る網膜走査型画像表示装置(以下、「RSD」という)の構成について、図1,図2を参照して具体的に説明する。
まず、本発明の一実施形態に係る網膜走査型画像表示装置(以下、「RSD」という)の構成について、図1,図2を参照して具体的に説明する。
[1.1.RSDの外観]
図1に示すように、本実施形態に係るRSD1は、コントロールユニット2、頭部装着具5を有しており、コントロールユニット2と頭部装着具5とは伝送ケーブル部4を介して接続されている。伝送ケーブル部4は、コントロールユニット2から出射されたレーザ光を伝送する光ファイバケーブル50(図2参照)を有する。また、この伝送ケーブル部4には、後述の投影部6に備えられる高速走査部80及び低速走査部90と同じく後述の光源部20との間で同期をとるための高速駆動信号61及び低速駆動信号62を伝送する駆動信号伝送用ケーブルも有する。
図1に示すように、本実施形態に係るRSD1は、コントロールユニット2、頭部装着具5を有しており、コントロールユニット2と頭部装着具5とは伝送ケーブル部4を介して接続されている。伝送ケーブル部4は、コントロールユニット2から出射されたレーザ光を伝送する光ファイバケーブル50(図2参照)を有する。また、この伝送ケーブル部4には、後述の投影部6に備えられる高速走査部80及び低速走査部90と同じく後述の光源部20との間で同期をとるための高速駆動信号61及び低速駆動信号62を伝送する駆動信号伝送用ケーブルも有する。
コントロールユニット2は、後述する内蔵のコンテンツ記憶部12に記憶されたコンテンツ情報Fに基づいて画像信号Sを生成し、この画像信号Sに応じた強度のレーザ光(以下、「画像光」ともいう)を伝送ケーブル部4へ出射する。なお、コントロールユニット2は、図示しない外部入出力端子から画像信号やコンテンツ情報などを入力することができる。また、ここでコンテンツ情報とは、文字画像、絵柄画像などを含む静止画像データや動画像データなどにより構成される。
頭部装着具5は、投影部6と、この投影部6を支持する眼鏡型フレーム14とから構成される。投影部6は、伝送ケーブル部4の光ファイバケーブル50を介して伝送されてきた画像光を2次元方向に走査し、利用者の眼へ投射する。これにより、利用者の眼の網膜には、2次元方向に走査された画像が投影され、利用者は画像信号Sに応じた画像を視認する。
また、投影部6には、利用者の眼101と対向する位置にハーフミラー15が設けられている。外光Lyはハーフミラー15を透過して利用者の眼101に入射され、投影部6から出射される画像光Lxはハーフミラー15で反射して利用者の眼101に入射される。これにより、利用者は外光Lyによる外景に画像光Lxによる画像を重ねて視認することができる。
このようにRSD1は、外光を透過しつつ、画像光を利用者の眼101に投射するシースルー型のヘッドマウントディスプレイとしている。
さらに、本実施形態のRSD1に投影部6には、利用者の眼101を撮像する撮像部98を備えている。撮像部98による撮像画像は、利用者の個人認証のために、コントロールユニット2の後述する制御部11によって、予め規定されている虹彩画像と照合される。すなわち、制御部11は、利用者の眼101の虹彩101c(図2参照)と、予め設定された虹彩画像とを照合する。さらに、投影部6には、後述するように配光部97が設けられている。この配光部97により利用者の眼101の瞳孔101a(図2参照)を避けつつ、眼101の虹彩101c(図2参照)に照明光を照射して、撮像部98による虹彩101c(図2参照)の撮像を精度よく行うことができる。
[1.2.RSD1の電気的構成及び光学的構成]
次に、RSD1の電気的構成及び光学的構成について、図2を参照して説明する。
次に、RSD1の電気的構成及び光学的構成について、図2を参照して説明する。
コントロールユニット2は、駆動制御部10と、光源部20と、操作部40とを有している。
駆動制御部10は、RSD1全体を制御する制御部11と、コンテンツ情報Fを記憶するコンテンツ記憶部12と、画像を合成するための要素となる信号等を発生する駆動信号供給回路13とを有している。
制御部11は、その内部に記憶されている制御プログラムに従って後述する所定の処理を実行することによって、RSD1全体を制御する。この制御部11は、CPU、フラッシュメモリ、RAM、VRAM、複数の入出力I/Fなどを有し、これらはデータ通信用のバスにそれぞれ接続されており、このバスを介して各種情報の送受信を行う。なお、以下においては、フラッシュメモリを内部フラッシュメモリとし、RAMを内部RAMとする。
制御部11は、CPUがフラッシュメモリに記憶されている制御プログラムを実行することにより動作し、RSD1を構成する各部を動作させ、RSD1が備える各種機能を実行する。また、制御部11は、操作部40から入力される情報を取得し、当該情報に応じた処理を行う。例えば、制御部11は、操作部40から入力される情報に基づき、コンテンツ情報Fを所定形式の画像信号S(例えば、NTSCコンポジット信号、コンポーネント信号)に変換して駆動信号供給回路13へ出力する。なお、画像信号Sは必ずしも規格化された画像信号である必要はなく、画像を表示することができる信号であればどのような信号であってもよい。
また、操作部40には利用者により操作可能な起動ボタン8(図1参照)が備えられており、制御部11は、起動ボタン8の押下を検出すると、画像を投影する画像表示モードに移行する。さらに、操作部40には利用者により操作可能な終了ボタン9(図1参照)が備えられており、制御部11は、終了ボタン9の押下を検出すると、RSD1の動作を停止させる。
駆動信号供給回路13は、画像信号Sに基づいて、画像を形成するための要素となる各信号を画素単位で生成する。すなわち、駆動信号供給回路13からは、R(赤色)駆動信号60r,G(緑色)駆動信号60g,B(青色)駆動信号60bが生成されて出力される。また、駆動信号供給回路13は、高速走査部80で使用される高速駆動信号61と、低速走査部90で使用される低速駆動信号62とをそれぞれ出力する。
光源部20には、Rレーザドライバ66,Gレーザドライバ67,Bレーザドライバ68が設けられる。Rレーザドライバ66,Gレーザドライバ67,Bレーザドライバ68は、それぞれ駆動信号供給回路13から出力されるR駆動信号60r,G駆動信号60g,B駆動信号60bをもとに、Rレーザ63,Gレーザ64,Bレーザ65へそれぞれ駆動電流を供給する。各レーザ63,64,65は、各レーザドライバ66,67,68から供給される駆動電流に応じて強度変調されたレーザ光(「光束」とも呼ぶ。)を出射する。各レーザ63,64,65は、例えば、半導体レーザや高調波発生機構付き固体レーザとして構成することが可能である。なお、半導体レーザを用いる場合は駆動電流を直接変調して、レーザ光の強度変調を行うことができるが、固体レーザを用いる場合は、各レーザそれぞれに外部変調器を備えてレーザ光の強度変調を行う必要がある。
さらに、光源部20には、コリメート光学系71,72,73と、このコリメートされたレーザ光を合波するためのダイクロイックミラー74,75,76と、結合光学系77とが設けられている。各レーザ63,64,65から出射したR(赤色)レーザ光Lr,G(緑色)レーザ光Lg、B(青色)レーザ光Lbは、コリメート光学系71,72,73によってそれぞれ平行光化された後に、ダイクロイックミラー74,75,76に入射される。その後、これらのダイクロイックミラー74,75,76により、3原色の各レーザ光が波長選択的に反射・透過して結合光学系77に達し、合波されて光ファイバケーブル50へ出射される。このように光ファイバケーブル50へ出射されるレーザ光は、画像光Lxであり、強度変調された各色のレーザ光が合波されたものである。
投影部6は、光源部20と利用者の眼101との間に配置されており、走査部30、第2リレー光学系95、瞳拡大部96、配光部97、撮像部98を有している。走査部30は、コリメート光学系79、高速走査部80、低速走査部90、第1リレー光学系85により構成される。
コリメート光学系79は、光源部20で生成され、光ファイバケーブル50を介して出射されるレーザ光を平行光化する。
高速走査部80及び低速走査部90は、光ファイバケーブル50から入射されたレーザ光を画像として利用者の網膜101bに投影可能な状態にするために、第1方向Xと第2方向Yに走査して走査光束とする光学系である。高速走査部80は、コリメート光学系79で平行光化されて入射するレーザ光を画像表示のために第1方向Xに往復走査する。また、低速走査部90は、高速走査部80で第1方向Xに走査され、第1リレー光学系85を介して入射するレーザ光を第2方向Yに走査する。この第2方向Yは第1方向Xに略直交する方向である。例えば、第1方向を水平方向、第2方向を垂直方向とすることができる。
高速走査部80は、レーザ光を第1方向Xに走査するため偏向面(反射面)82を有する共振型の偏向素子81と、この偏向素子81を共振させて偏向素子81の偏向面82を揺動させる駆動信号を高速駆動信号61に基づいて発生する高速走査駆動回路83を備えている。
一方、低速走査部90は、レーザ光を第2方向Yに走査するため偏向面(反射面)92を有する非共振型の偏向素子91と、この偏向素子91の偏向面92を非共振状態で強制的に揺動させる駆動信号を低速駆動信号62に基づいて発生する低速走査駆動回路93とを備える。この低速走査部90は、表示すべき画像の1フレームごとに、画像を形成するためのレーザ光を最初の走査線から最後の走査線に向かって第2方向Yに走査する。ここで「走査線」とは、高速走査部80による第1方向Xへの1走査を意味する。
なお、偏向素子81,91は、ここではガルバノミラーを用いることとするが、レーザ光を走査するようにその偏向面82,92を揺動又は回転させられるものであれば、圧電駆動、電磁駆動、静電駆動等いずれの駆動方式によるものであってもよい。また、本実施形態においては、高速走査部80に共振タイプの偏向素子を用い、低速走査部90を非共振タイプの偏向素子を用いることとしているが、これに限られない。例えば、どちらも非共振タイプの偏向素子としてもよい。
また、高速走査部80と低速走査部90との間でレーザ光を中継する第1リレー光学系85は、偏向素子81の偏向面82によって第1方向Xに走査されたレーザ光を偏向素子91の偏向面に収束させる。そして、このレーザ光が偏向素子91の偏向面92によって第2方向Yに走査される。偏向素子91によって走査されたレーザ光は、正の屈折力を持つ2つのレンズ95a,95bが直列配置された第2リレー光学系95及び瞳拡大部96を介して、眼101の前方に位置させたハーフミラー15で反射されて利用者の瞳孔101aに入射する。これにより、網膜101b上に画像信号Sに応じた画像が投影され、利用者は瞳孔101aに入射するレーザ光(画像光Lx)を画像として認識する。また、ハーフミラー15は外光Lyを透過して利用者の瞳孔101aに入射させるようにしており、これにより利用者は外光Lyに基づく外景に画像光Lxに基づく画像を重ねた画像を視認することができる。
図3には、高速走査部80及び低速走査部90の偏向素子81,91による最大走査範囲G(図3に示す高速走査最大範囲Xa及び低速走査最大範囲Yaにより形成される範囲)と有効走査範囲Z(図3に示す高速有効走査範囲X1及び低速有効走査範囲Y1により形成される範囲)との関係が示されている。ここで、「最大走査範囲G」とは、高速走査部80の偏向素子81及び低速走査部90の偏向素子91がレーザ光を走査できる最大の範囲を意味する。なお、偏向素子81は高速駆動信号61を入力しない状態のときに、その走査位置は揺動中心X0となり、偏向素子91は低速駆動信号62を入力しない状態のときに、その走査位置は揺動中心Y0となる。
最大走査範囲Gのうちのうち、偏向素子81及び偏向素子91による走査位置が有効走査範囲Zにあるタイミングで光源部20から画像信号Sに応じて強度変調されたレーザ光(以下、「画像形成用レーザ光」という)が出射される。これにより、偏向素子81及び偏向素子91によって画像形成用レーザ光が有効走査範囲Zで走査され、1フレーム分の画像形成用レーザ光が有効走査範囲Z内で走査される。この走査が1フレームの画像ごとに繰り返される。
このように走査部30により2次元方向に走査された画像形成用レーザ光は、第2リレー光学系95及びハーフミラー15を介して利用者の網膜101bに投影される。これにより、利用者は画像信号Sに応じた画像を視認することができる。なお、図3には、光源部20からレーザ光が常時出射されたと仮定したときに偏向素子81及び偏向素子91によって走査されるレーザ光の軌跡γが仮想的に示されている。ただし、偏向素子81による第1方向Xの走査線数は、1フレームあたり数百又は千程度あり、図3ではレーザ光の軌跡γを簡略して記載している。
なお、第2リレー光学系95においては、レンズ95aによって、それぞれのレーザ光がそのレーザ光の中心線を相互に略平行にされ、かつそれぞれ収束レーザ光に変換される。そして、レンズ95bによってそれぞれほぼ平行なレーザ光となると共に、これらのレーザ光の中心線が利用者の瞳孔101aに収束するように変換される。なお、本実施形態においては、レンズ95bとハーフミラー15により投射部が構成される。
瞳拡大部96は、透明樹脂板86の略中央に第1方向Xに沿った複数の溝を形成することで透過型回折格子を形成した第1分岐部と、透明樹脂板86の略中央に第2方向Yに沿った複数の溝を形成することで透過型回折格子を形成した第2分岐部とから構成される。そして、瞳拡大部96は、入射した光を例えば9つの光に分岐するものであり、これにより、画像光の実効的径を拡大して、射出瞳を第1方向X及び第2方向Yに拡大する。この瞳拡大部96は、網膜101bと像共役の関係にある中間像位置Tに配置されている。この中間像位置Tは、網膜101bと像共役の関係にある。なお、瞳拡大部96の位置は、中間像位置Tと完全に一致する必要はなく、その近傍に配置するようにしてもよい。
配光部97は、後述のように、光彩認証処理時に光源部20から出射されて走査部30により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて利用者の虹彩を照射する照明光Ldにする。この配光部97は、網膜101bと像共役の関係にある中間像位置T又はその近傍に配置され、透明樹脂板86の縁部側の領域に形成されている。このように、配光部97と瞳拡大部96とは透明樹脂板86により一体的に形成される。なお、配光部97と瞳拡大部96とを別体で形成してもよい。この配光部97は、走査部30の走査位置が無効走査領域の一部の領域にあるときに、照明光Ldを形成するために光源部20から出射されたレーザ光(以下、「照明光形成用レーザ光」という)が入射する位置に配置される。すなわち、配光部97は、走査部30が走査した画像形成用のレーザ光の光路中に形成される中間像位置T上であって、画像形成用のレーザ光が入射しない領域に配置される。なお、配光部97は、中間像位置Tに完全に一致する必要はなく、中間像位置Tの近傍に配置するようにしてもよい。
撮像部98は、例えば、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサなどによって構成される。配光部97によって虹彩101cに照明光が照射されると、この照明光の虹彩101cによる反射光がハーフミラー15,99を介して撮像部98に入射する。これにより撮像部98は、虹彩101cを撮影する。なお、撮像部98によって撮像された虹彩101cの画像は、後述するように、利用者の個人認証に用いられる。
RSD1の頭部装着具5には、RSD1が利用者に装着されているか否かを検出する検出部(図示せず)を有しており、制御部11は、この検出部による検出結果に基づき、「スタンバイモード」と「動作モード」とを切り替える。例えば、制御部11は、頭部装着具5が利用者に装着されていないと判定すると、光源部からの画像形成用のレーザ光の出射を停止する「スタンバイモード」となる。一方、制御部11は、「スタンバイモード」のときに、頭部装着具5が利用者に装着されたと判定すると、光源部20からの画像形成用のレーザ光の出射を行い、利用者の眼の網膜に画像を投影する「動作モード」へ移行する。制御部11は、「スタンバイモード」から「動作モード」へ移行するときに利用者の個人認証を行う。
〔3.配光部97の構成〕
次に、本実施形態の特徴部分である配光部について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
次に、本実施形態の特徴部分である配光部について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図4に示すように、走査部30から配光部97に向けて走査された照明光形成用レーザ光は、レンズ95aに入射し、このレンズ95aによって収束レーザ光に変換されて、中間像位置Tに配置された配光部97に集光する。配光部97は、入射した照明光形成用レーザ光の光路を変更することにより、レンズ95bを介して利用者の眼101を照射する照明光Ldを形成する。
図5に、利用者の眼101に照明光Ldの照射位置及び画像光Lxの射出瞳Pの位置の関係を示す。なお、同図では利用者の眼101の上側に利用者の眉毛があるものとする。同図に示すように、レンズ95b及びハーフミラー15によって形成される画像形成用レーザ光の射出瞳Pは、瞳拡大部96により9つに分岐されて利用者の眼101に入射する。なお、9つに分岐された射出瞳Pのうちいずれかが利用者の瞳孔101aに合致すると、画像光Lxに応じた画像が網膜101bに投影されることになる。
一方、照明光Ldは、レンズ95b及びハーフミラー15を介して、利用者の眼101の位置で形成される射出瞳Pの周囲に略円環状に利用者の眼101を照射する。すなわち、利用者の眼101の瞳孔101aを避けて、虹彩101cが照明光Ldにより照射される。
このようにRSD1では、レンズ95b及びハーフミラー15によって形成される画像形成用レーザ光の射出瞳Pの位置と利用者の瞳孔101a位置と略一致させ、さらに、この射出瞳Pの周囲の位置する利用者の虹彩101cを照明光Ldにより照射する。しかも、利用者の眼101の瞳孔101aを避けて、虹彩101cが照明光Ldにより照射される。従って、照明光Ldを利用者の眼101に向けて照射した場合であっても、利用者の瞳孔101aに入射しないことから、利用者は眩しさを感じることがない。しかも、照明の必要がない瞳孔101aに照明光Ldを入射させず照射面積を小さくできるため、その分だけ照明光形成用レーザ光の強度を低減することができ、省電力化を図ることができる。なお、後述するように、照明光Ldは利用者の眼101の位置で必ずしも円環状である必要はなく、虹彩認証ができるために必要十分な虹彩101cの領域を照射できればよい。
この配光部97は、上述したように、透明樹脂板86の縁部領域に設置されており(図2及び図6参照)、走査部30の走査位置が有効走査範囲Z外の所定範囲にあるときに光源部20から出射されたレーザ光を入射する。すなわち、偏向素子81の揺動が停止して、偏向素子81の偏向面が揺動中心X0に位置し、さらに、偏向素子91の偏向面92が所定位置+Y2に位置しているときに、光源部20から出射されたレーザ光が配光部97に入射する。従って、照明光Ldは同じ位置に継続して照射することができ、所望のタイミングで虹彩101cを撮像することができる。なお、配光部97の大きさは、少なくとも中間像位置Tで1ドット分相当のレーザ光が入射できる大きさであればよい。また、虹彩101cの撮像及び撮像した虹彩101cの画像を用いた個人認証処理は、後述するように、RSD1の起動時や、スタンバイモードのRSD1が利用者に装着された時点で実行される。
また、図6に示すように、瞳拡大部96の有効走査範囲Z外の透明樹脂板86には瞳拡大部96の形成領域及び配光部97の形成領域を除いて遮光膜120が設けられている。これにより、有効走査範囲Z外で走査されたレーザ光は遮光膜120で遮光され、利用者の眼に照射されることを防いでいる。なお、第1方向X及び第2方向Yに数ドット分のレーザ光が入射できる大きさで配光部97を構成した場合は、偏向素子81及び偏向素子91の静止位置が多少ずれたとしても、利用者の虹彩に照明光を確実に照射することができる。
また、図4に示すように、利用者の眼101の上側から照明光が照射されるので、眼101の下側の睫毛によってできる影の影響を低減することができる。なお、利用者の眼101の下側の睫毛によってできる影の影響は、眼101の上側の睫毛や眉毛によってできる影の影響よりも小さい。従って、利用者の眼の下側から照明光を照射するように配光部97を下側に設けることが望ましい。
RSD1が以上のように構成されることにより、別途赤外光源などを設けることなく虹彩101cに対して照明光Ldを照射する。従って、RSD1の小型化、低コスト化を図ることができ、さらに、虹彩101cに対して均一な照明光Ldを照射することができる。
また、照明光Ldの形成においては、有効走査範囲Zのレーザ光と同じようにレンズ95a及びレンズ95bが用いられるため、照明光Ldの形成のための専用のレンズを必要としない。これにより、RSD1の部材の数を削減することにより、製造コストを低減させることができる。
次に、配光部97の具体的構成について説明する。
この配光部97は、ホログラム111によって形成することができる(図7参照)。このホログラム111により、入射された照明光形成用レーザ光の波面を変え、利用者の虹彩を照射する照明光Ldとするものである。さらに、ホログラム111の作用により、照明光Ldを円環状の光として利用者の虹彩を照射することができる。このように、ホログラム111を用いることにより、利用者の虹彩を照射する照明光Ldを容易に形成することができる。
また、図8に示すように、配光部97をいわゆるアキシコンプリズム状の光学素子112によって形成してもよい。この光学素子112は、円錐体状の透過部材であり、より具体的には、底面を楕円形状とした斜円錐体状の透過部材である。光学素子112の円錐面に入射した画像光は、底面から円環状の光となって出射する。これにより、円環状の光が、レンズ95bを介して照明光として利用者の虹彩101cに照射される。なお、光学素子112における円錐の中心軸は、接眼レンズであるレンズ95bの特性に応じて入射する照明光形成用レーザ光の光路中心に対して傾斜するように配置されており、これにより照明光Ldの方向を制御している。また、斜円錐体状の透過部材とすることにより、利用者の眼101の照射領域を中心対称の円環形状に近づけることができる。なお、利用者の眼101の照射領域が中心対称の円環形状からくずれていくが正円錐体状の透過部材を用いるようにしてもよい。この場合でも、入射する照明光形成用レーザ光の光路中心に対して傾斜するように配置することになる。
また、図9に示すように、配光部97を凹レンズ113と黒点板114とによって形成してもよい。凹レンズ113に入射したレーザ光は凹レンズ113により拡散光となり、レンズ95bに入射する。この凹レンズ113には、照明光形成用レーザ光の略中心が入射する位置に円状の黒点板114が配置されており、この黒点板114は照明光が射出瞳P位置において利用者の瞳孔内に照射されることを阻止するので、配光部97に入射したレーザ光は、円環状の光として出射される。そして、この出射光が、レンズ95bを介して円環状の照明光として利用者の虹彩101cに照射される。
以上説明したRSD1では、配光部を1か所に設けていたが、配光部を2か所に設けるように構成してもよい。
図10は、走査部30により走査されたレーザ光の光路中心にある瞳拡大部96を挟んで対向する上側と下側の領域2か所に、配光部97をそれぞれ設けた場合における光の光路を示す断面図である。図10に示すように、走査部30から配光部97に向けて走査されたレーザ光は、レンズ95aを介して配光部97に入射しそれぞれ矩形状の照明光に変換され、レンズ95bを介して利用者の眼101に照射される。なお、上側の配光部97に入射した照明光形成用レーザ光は、レンズ95bを介して照明光Ld1として利用者の眼101の下側に照射される。一方、下側の配光部97に入射した照明光形成用レーザ光は、レンズ95bを介して照明光Ld2として利用者の眼101の上側に照射される。図11に、利用者の眼101に照明光Ld1,Ld2の照射位置及び画像光Lxの射出瞳Pの位置の関係を示す。同図に示すように、照明光Ld1,Ld2は、それぞれ利用者の眼101の下側と上側に照射されることになる。
この上下各配光部97は、例えば、回折格子(ブレーズド、バイナリ等)、ホログラム、プリズム、凹レンズ、フレネルレンズ等によって形成される。
図11に示すように、上側に設けられた配光部97は、虹彩101cの下側に照明光Ld1を照射するので、眼101の上側の睫毛や眉毛によって遮られることなく、利用者の虹彩101cを照射することができる。また、下側に設けられた配光部97は、虹彩101cの上側に照明光Ld2を照射するので、眼101の下側の睫毛によって遮られることなく、利用者の虹彩101cを照射することができる。
この上下各配光部97を配置する場合には、図12に示すように、各配光部97にレーザ光を入射するために、偏向素子81及び偏向素子91を駆動させる必要がある。
そして、走査部30の走査位置が各配光部97にレーザを入射できる位置となったタイミングで光源部20から照明光形成用レーザ光を出射させ、さらに撮像部98を動作させることにより、利用者の虹彩101cを撮像することができる。ここで、一つのドットに対応するレーザ光が照射される期間は短時間であるため、図12に示すように、各配光部97の大きさをできだけ大きくし、有効走査範囲Z以外の無効走査範囲に占める領域(割合)を大きくする。これにより、照明光Ld1,Ld2が照射される時間を増加させることができ、撮像部98により虹彩101cを確実に撮像できるように構成している。なお、図11に示した構成においては、瞳拡大部96の上下側に配光部97を配置したが、瞳拡大部96の左右側に配光部97を配置するように構成してもよい。
〔4.配光部97の制御処理〕
上記のように構成されたRSD1の制御部11による制御処理について説明する。なお、以下では、まず、配光部97が瞳拡大部96の上部一箇所に配置されているものとして説明する。また、制御部11が以下の処理を行うことにより、制御部11は、認証部として機能する。
上記のように構成されたRSD1の制御部11による制御処理について説明する。なお、以下では、まず、配光部97が瞳拡大部96の上部一箇所に配置されているものとして説明する。また、制御部11が以下の処理を行うことにより、制御部11は、認証部として機能する。
〔4.1.起動時の制御処理〕
まず、起動時の制御処理について説明する。図13は、制御部11による起動時の制御処理のフローチャートである。制御部11による以下の処理は、RSD1の起動ボタン8の押下による電源投入操作によりその処理を開始する。なお、起動時の制御処理の開始時には、偏向素子81,91は制御されていない。従って、偏向素子81,91の走査位置がそれぞれ、揺動中心X0,Y0(図3参照)となっている。
まず、起動時の制御処理について説明する。図13は、制御部11による起動時の制御処理のフローチャートである。制御部11による以下の処理は、RSD1の起動ボタン8の押下による電源投入操作によりその処理を開始する。なお、起動時の制御処理の開始時には、偏向素子81,91は制御されていない。従って、偏向素子81,91の走査位置がそれぞれ、揺動中心X0,Y0(図3参照)となっている。
まず、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、低速駆動信号62を低速走査部90に出力することにより、偏向素子91の偏向面92が+Y2の位置に位置するように偏向素子91を制御する(ステップS10)。
次いで、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、駆動信号60r,60g,60bをそれぞれレーザドライバ66,67,68に出力することにより、照明光形成用レーザ光を光源部20から出射させる(ステップS11)。このとき、偏向素子91の偏向面92が+Y2の位置にあるため、光源部20から出射される照明光形成用レーザ光は、配光部97に入射する。従って、配光部97により照明光Ldが形成され、利用者の眼101に照射される。
次いで、制御部11は、虹彩認証処理を行う(ステップS12)。虹彩認証処理において利用者の個人認証を行う。虹彩認証処理の詳細については後述する。
その後、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、高速駆動信号61を高速走査部80に出力することにより、偏向素子81を駆動させる(ステップS13)。これにより、偏向素子81は、第1方向Xでの揺動(図3のγ1参照)を開始する。また、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、低速駆動信号62を低速走査部90に出力することにより、偏向素子91を駆動させる(ステップS14)。これにより、偏向素子91は、第2方向Yでの揺動(図3のγ2参照)を開始する。
次いで、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、画像信号Sに基づいた駆動信号60r,60g,60bをそれぞれレーザドライバ66,67,68に出力して、画像信号Sに応じて強度変調されたRレーザ光、Gレーザ光、Bレーザ光をそれぞれ出射し、画像光として光源部20から出射させる(ステップS15)。これにより、RSD1は通常モードで動作し、利用者は画像信号Sに応じた画像を視認することができる。以下、RSD1が画像光を出力している状態を「RSD駆動定常状態」ということがある。制御部11は、このRSD駆動定常状態を維持する(ステップS16)。RSD駆動定常状態が維持されている間、利用者は画像信号Sに応じた画像を継続して視認することができる。
次に、制御部11は、終了ボタン9が押下されたか否かを判断する(ステップS17)。この処理において、終了ボタン9が押下されたと判断すると(ステップS17:YES)、制御部11は、処理をステップS18に移行させる。一方、この処理において、終了ボタン9が押下されていないと判断すると(ステップS17:NO)、制御部11は、処理をステップS19に移行させる。
ステップS18の処理において、制御部11は、RSD駆動停止処理を実行する。RSD駆動停止処理は、RSD1を停止させるための処理である。RSD駆動停止処理では、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、駆動信号60r,60g,60b、高速駆動信号61、及び低速駆動信号62の出力を停止し、各レーザドライバ66,67,68、高速走査部80、及び低速走査部90の駆動を停止させる。
ステップS19の処理において、制御部11は、非装着信号を受信したか否かを判断する。非装着信号は、RSD1が利用者の頭部から外された場合に、不図示の検出部から制御部11に対して出力される。この処理において、非装着信号を受信していないと判断した場合は(ステップS19:NO)、制御部11は、処理をステップS16に移行させる。これにより、RSD駆動定常状態が維持される。一方、この処理において、非装着信号を受信したと判断すると(ステップS19:YES)、制御部11は、処理をステップS20に移行させる。
ステップS20の処理において、制御部11は、RSD駆動一時停止処理を実行する。RSD駆動一時停止処理は、RSD1を一時的に停止させるための処理である。RSD駆動一時停止処理では、駆動信号供給回路13を制御して、駆動信号60r,60g,60bの出力を停止し、各レーザドライバ66,67,68の駆動を停止させる。これにより、光源部20からの画像形成用のレーザ光の出射が停止される。ただし、偏向素子81,91の駆動は継続させる。これにより、RSD1はスタンバイモードに移行する。
〔4.2.虹彩認証処理〕
次に、制御処理のステップS12で実行される虹彩認証処理について説明する。図14は、虹彩認証処理のフローチャートである。また、制御部11が以下の処理を行うことにより、制御部11は、認証部として機能する。なお、この認証部を制御部11とは別途に設けるように構成してもよい。
次に、制御処理のステップS12で実行される虹彩認証処理について説明する。図14は、虹彩認証処理のフローチャートである。また、制御部11が以下の処理を行うことにより、制御部11は、認証部として機能する。なお、この認証部を制御部11とは別途に設けるように構成してもよい。
虹彩認証処理を開始すると、制御部11は、まず撮像部98を制御して、利用者の眼101を撮像する(ステップS30)。このとき、偏向素子81,91の走査位置はそれぞれ、X0,Y2(図3参照)に固定されているので、照射光Ldにより継続的に利用者の眼101が照射される。従って、制御部11は、所望のタイミングで撮像部98により利用者の眼101を撮像することができる。
次いで、制御部11は、ステップS30で取得した撮像画像から、虹彩101cの領域を抽出し(ステップS31)、さらに、この抽出した領域の画像を白黒2値化するための白黒2値化処理を行う(ステップS32)。
次いで、制御部11は、ステップS32で2値化した画像に対して、照合処理に適切な符号に変換するための符号化処理を行う(ステップS33)。そして、制御部11は、ステップS33で符号化した白黒2値化画像情報と、記憶部に予め記憶していた利用者の虹彩101cの白黒2値化画像情報との照合を行うようにしている(ステップS34)。このように、制御部11は、撮像部98によって撮像した画像を予め規定された画像と照合して、利用者の認証処理を行う認証部として機能する。なお、ステップS31〜S34の各処理自体は公知であるためより詳細な説明は省略する。
次いで、制御部11は、本人照合ができたかどうかを判断する(ステップS35)。この処理において、本人照合ができなかった場合には(ステップS35:NO)、制御部11は、処理をステップS36に移行させて、照合が失敗したことを報知する。この処理では、例えば、画像としてその旨を示す情報を表示したり、所定の報知音を出力したりしてもよい。制御部11は、その後、処理をステップS30に移行させ、再度虹彩認証処理を行う。
一方、本人照合ができた場合には(ステップS35:YES)、制御部11は、処理をステップS37に移行させる。ステップS37において、制御部11は、照合が成功したことを報知する(ステップS37)。この処理では、例えば、画像としてその旨を示す情報を表示したり、所定の報知音を出力したりしてもよい。制御部11は、その後、虹彩認証処理を終了させる。
なお、瞳拡大部96を挟んで対向する上側と下側の領域2か所に配光部97をそれぞれ設けた場合(図10〜図12参照)の起動時の制御処理では、上述したステップS10(図13参照)の代わりに、偏向素子81,91の駆動を開始させるための処理を行う。そして、制御部11は、走査部30の走査位置が有効走査範囲Z外の各配光部97に位置するタイミングで、駆動信号供給回路13を制御して、光源部20から照明光形成用レーザ光を出射させる。
〔4.3.スタンバイモードからの復帰時の制御処理〕
次に、スタンバイモードから動作モードへ復帰する際の制御処理について説明する。図15は、制御部11による復帰時の制御処理のフローチャートである。制御部11による以下の処理は、利用者がスタンバイモードのRSD1を装着したときにその処理を開始する。
次に、スタンバイモードから動作モードへ復帰する際の制御処理について説明する。図15は、制御部11による復帰時の制御処理のフローチャートである。制御部11による以下の処理は、利用者がスタンバイモードのRSD1を装着したときにその処理を開始する。
復帰時の制御処理を開始すると、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、走査部30の走査位置が配光部97にレーザを入射できる位置となったタイミングで、駆動信号60r,60g,60bをそれぞれレーザドライバ66,67,68に出力する。これにより、走査部30の走査位置が配光部97にレーザを入射できる位置となったタイミングで、照明光形成用レーザ光を光源部20から出射させる。
次いで、制御部11は、虹彩認証処理を行う(ステップS51)。復帰時に実行される虹彩認証処理は、起動時に実行される虹彩認証処理と基本的に同じである。
次いで、制御部11は、駆動信号供給回路13を制御して、画像信号Sに基づいた駆動信号60r,60g,60bをそれぞれレーザドライバ66,67,68に出力することにより、画像光を光源部20から出射させ(ステップS52)、その後、RSD駆動定常状態を維持する(ステップS53)。これにより、RSD1は通常モードで動作する。
次いで、制御部11は、終了ボタン9が押下されたか否かを判断する(ステップS54)。この処理において、終了ボタン9が押下されたと判断すると(ステップS54:YES)、制御部11は、RSD駆動停止処理を実行する(ステップS55)。一方、この処理において、終了ボタン9は押下されていないと判断すると(ステップS54:NO)、制御部11は、非装着信号を受信したか否かを判断する(ステップS56)。この処理において、非装着信号を受信していないと判断した場合は(ステップS56:NO)、制御部11は、処理をステップS53に移行させる。これにより、RSD駆動定常状態が維持される。一方、この処理において、非装着信号を受信したと判断すると(ステップS56:YES)、制御部11は、RSD駆動一時停止処理を実行する(ステップS57)。これにより、RSD1は、スタンバイモードに移行する。
なお、ステップS51での虹彩101cの撮像処理(ステップS30)において、走査部30の走査位置が各配光部97にレーザを入射できる位置となったタイミングで撮像部98を動作させるようにしてもよい。このようにすることで、利用者の虹彩101cを精度よく撮像することができる。
復帰時の制御処理では、配光部97の領域を広くすることにより、照明光Ldの照射時間長くすることができる。例えば、瞳拡大部96を挟んで対向する上側と下側の領域2か所に配光部97をそれぞれ設ける(図10〜図12参照)ことにより、照明光Ldの照射時間をより長くすることができ、利用者の虹彩101cを精度よく撮像することができる。
なお、配光部97を1か所に設ける場合には、例えば、偏向素子81の偏向面82の揺動はそのままで、偏向素子91の偏向面92を配光部97の位置に移動させて、照明光Ldの照射時間をより長くするようにしてもよい。偏向素子91は相対的に低速であるため、偏向素子91に比べて偏向面の揺動を介して安定させるまでの時間が短いため、スタンバイモードからの起動が遅くなることを抑制しつつ、照明光Ldの照射時間を長くすることができる。
また、利用者が眼を上下左右に大きく動かすと、瞳孔101aに照明光Ldが入射する可能性があるが、虹彩認証処理時において所定の画像を表示し、利用者が画像の表示方向を注視させて、利用者の眼101が大きく動かないようにしてもよい。また、虹彩に正確に撮像するために、利用者に対して視線方向等を指示するようにアナウンスするように構成してもよい。
以上説明したとおり、本実施形態におけるRSD1では、配光部97は、画像形成用レーザを出射するのに用いている光源部20から走査部30を介して入射したレーザ光を、その光路を変えて射出瞳P近傍を照射する照明光として、利用者の虹彩に照射することができる。これにより、別途赤外光源などの光源を用いることなく虹彩に対して照明光を照射することができるので、RSD1の小型化、低コスト化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
本発明を、上述してきた実施形態を通して説明したが、本実施形態によれば、以下の効果が期待できる。
(1)本実施形態に係るRSD1では、画像信号に応じた強度のレーザ光を出射する光源部20と、光源部20から出射されたレーザ光を2次元方向に走査する走査部30と、走査部30が走査したレーザ光を利用者の眼101の網膜101bへ投射して、網膜101bに画像を投影する投射部(レンズ95b及びハーフミラー15)と、利用者の眼101を撮像する撮像部98と、撮像部98によって撮像した画像を予め規定された画像と照合して、利用者の認証処理を行う認証部(制御部11)と、走査部30が走査したレーザ光の光路中に形成される中間像位置T又はその近傍であって、画像形成用のレーザ光が入射しない領域に配置される配光部97と、を備え、配光部97は、認証部(制御部11)が虹彩認証処理を行うときに光源部20から出射されて走査部30により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて投射部(レンズ95b及びハーフミラー15)による射出瞳Pの周囲を照射する照明光Ld,Ld1,Ld2としている。従って、別途赤外光源などを設けることなく虹彩101cに対して照明光Ld,Ld1,Ld2を照射することができ、その結果、RSD1の小型化、低コスト化を図り、さらに、虹彩101cに対して均一な照明光Ld,Ld1,Ld2を照射することができる。
(2)また、中間像位置又はその近傍に配置され、走査部30を介して入射される画像形成用のレーザ光を分岐させて投射部(レンズ95b及びハーフミラー15)の射出瞳Pを拡大する瞳拡大部96を備え、瞳拡大部96を配光部97と一体的に形成している。従って、配光部97の省スペース化を図ることができ、さらに、瞳拡大部96及び配光部97の製造コストを削減することができる。
(3)また、投射部(レンズ95b及びハーフミラー15)の射出瞳P位置と利用者の瞳孔位置とを略一致させ、配光部97によって形成される照明光Ld,Ld1,Ld2を利用者の虹彩101cに照射する。従って、瞳孔101aを避けて、容易に利用者の虹彩101cを照射することができる。
(4)また、照明光Ld,Ld1,Ld2は虹彩101c上で略円環形状をなしている。従って、虹彩上の照射範囲を広くすることができ虹彩認証に用いる画像が大きくなるので、個人認証の精度を高めることができる。
(5)また、配光部97は、ホログラム111により形成されている。従って、ホログラム111を用いることにより、利用者の虹彩101cを照射する円環状の照明光Ldを容易に形成することができる。
(6)また、配光部97は、凹レンズ113と、凹レンズ113近傍に配置され、照明光Ldが射出瞳P位置において、利用者の瞳孔101a内に照射されることを阻止する黒点板114とにより形成されている。従って、凹レンズ113は拡散光を出射し、黒点板114は照明光が射出瞳P位置において利用者の瞳孔101a内に照射されることを阻止するので、利用者の虹彩101cを照射する円環状の照明光Ldを容易に形成することができる。
(7)また、配光部97は、円錐体状の透過部材(光学素子112)にて形成されている。従って、光学素子112の円錐面に入射した画像光は、底面から円環状の光となって出射するので、利用者の虹彩101cを照射する円環状の照明光Ldを容易に形成することができる。
(8)また、配光部97は、レーザ光の光路中心を挟んで互いに対向する位置に一対の配光部97を設けており、各配光部97はそれぞれ利用者の虹彩101cの異なる領域を照明する。従って、2か所から照明光を照射することができるので、例えば、眉毛や睫毛などを避けて、利用者の眼101に照明光Ld1,Ld2を照射することができる。
(9)また、配光部97はプリズムにより形成される。従って、矩形状の照明光Ld1,Ld2を容易に形成することができる。
(10)また、照明光Ld,Ld1,Ld2が出射されているときに、撮像部98により利用者の眼101を撮像させる制御部11を備えている。従って、利用者の虹彩101cに照明光Ld,Ld1,Ld2が照射されるタイミングと撮像部98の撮像タイミングとの同期を確実に取ることができる。
(11)また、利用者により操作可能な起動ボタン8を備え、制御部11は、起動操作を検出した後、利用者の眼101の網膜101bに画像を投影する動作モードに移行するまでに、配光部97から照明光Ld,Ld1,Ld2を出射させて、利用者の認証処理を認証部(制御部11)により行う。従って、RSD1の起動時において、利用者に画像を視認させる前に認証処理を行うので、コンテンツ情報Fの機密性を高めることができる。
(12)また、少なくとも光源部20からの画像形成用のレーザ光の出射を停止するスタンバイモードを有しており、制御部11は、スタンバイモードから動作モードへ復帰するとき、動作モードに移行するまでに、配光部97から照明光Ld,Ld1,Ld2を出射させて、利用者の認証処理を認証部(制御部11)により行う。従って、スタンバイモードのRSD1を利用者が装着したときに、利用者に画像を視認させる前に認証処理を行うので、コンテンツ情報Fの機密性を高めることができる。
1 RSD
20 光源部
30 走査部
11 制御部
96 瞳拡大部
97 配光部
98 撮像部
20 光源部
30 走査部
11 制御部
96 瞳拡大部
97 配光部
98 撮像部
Claims (12)
- 画像信号に応じた強度のレーザ光を出射する光源部と、
前記光源部から出射されたレーザ光を2次元方向に走査する走査部と、
前記走査部が走査したレーザ光を利用者の眼の網膜へ投射して、前記網膜に画像を投影する投射部と、
前記利用者の眼を撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像した画像を予め規定された画像と照合して、前記利用者の認証処理を行う認証部と、
前記走査部が走査したレーザ光の光路中に形成される中間像位置又はその近傍であって、画像形成用のレーザ光が入射しない領域に配置される配光部と、を備え、
前記配光部は、前記認証部が認証処理を行うときに前記光源部から出射されて前記走査部により走査された所定の強度のレーザ光を入射し、当該レーザ光の光路を変えて前記投射部による射出瞳の周囲を照射する照明光とすることを特徴とする網膜走査型画像表示装置。 - 前記中間像位置又はその近傍に配置され、前記走査部を介して入射される画像形成用のレーザ光を分岐させて前記投射部の射出瞳を拡大する瞳拡大部を備え、
前記瞳拡大部を前記配光部と一体的に形成したことを特徴とする請求項1に記載の網膜走査型画像表示装置。 - 前記投射部の射出瞳位置と前記利用者の瞳孔位置とを略一致させ、
前記配光部によって形成される前記照明光を前記利用者の虹彩に照射することを特徴とする請求項1又は2に記載の網膜走査型画像表示装置。 - 前記照明光は前記虹彩上で略円環形状をなすことを特徴とする請求項3に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記配光部は、ホログラムにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記配光部は、凹レンズと、前記凹レンズ近傍に配置され、前記照明光が前記射出瞳位置において,前記利用者の瞳孔内に照射されることを阻止する黒点板とにより形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記配光部は、円錐体状の透過部材にて形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記レーザ光の光路中心挟んで互いに対向する位置に、一対の前記配光部を設けており、各前記配光素子はそれぞれ前記利用者の虹彩の異なる領域を照明することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記配光部は、プリズムにより形成されることを特徴とする請求項8に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記照明光が出射されているときに、前記撮像部により前記利用者の眼を撮像させる制御部を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の網膜走査型画像表示装置。
- 前記利用者により操作可能な起動ボタンを備え、
前記制御部は、起動操作を検出した後、前記利用者の眼の網膜に画像を投影する動作モードに移行するまでに、前記配光部から前記照明光を出射させて、前記利用者の認証処理を前記認証部により行うことを特徴とする請求項10に記載の網膜走査型画像表示装置。 - 少なくとも前記光源部からの画像形成用のレーザ光の出射を停止するスタンバイモードを有しており、
前記制御部は、前記スタンバイモードから前記動作モードへ復帰するとき、前記動作モードに移行するまでに、前記配光部から前記照明光を出射させて、前記利用者の認証処理を前記認証部により行うことを特徴とする請求項11に記載の網膜走査型画像表示装置。
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