JP2011068248A - 牽引車輌の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】制御装置の安定化制御部23が、トラクタに作用する横加速度GYと、ヨーレートYrと、走行速度Vと、操舵角δとに基づいてヒッチ点に作用するヒッチ点横力Fhを推定するヒッチ点横力推定部23Cを備えている。この安定化制御部23は、推定されたヒッチ点横力Fhと逆方向となる相殺ヨーモーメントを演算する相殺ヨーモーメント演算部23Dと、この相殺ヨーモーメントを出力するヨーモーメント出力部23Eとを備えている。このヨーモーメント出力部23Eはトラクタの車輪の左右の一方に制動力を作用させる。
【選択図】図6
Description
前記トラクタの横加速度を検出する横加速度検出手段と、前記トラクタのヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、前記トラクタの操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記トラクタの走行速度を検出する走行速度検出手段とを備えると共に、前記横加速度検出手段で検出された横加速度と、前記ヨーレート検出手段で検出されたヨーレートと、前記操舵角検出手段で検出された操舵角と、前記走行速度検出手段で検出された走行速度とに基づいて前記ヒッチ点に作用するヒッチ点横力を推定するヒッチ点横力推定手段を備え、このヒッチ点横力推定手段で推定されたヒッチ点横力の値から牽引車輌の安定性を判定する点にある。
特に、近年の車両では、操舵時における車体の挙動をセンサで検出し、この検出結果に基づいて各ブレーキの制御や、エンジン出力の調整を自動的に行うことで適正なコーナリングを実現するESC等の制御装置を備えたものが存在する。トラクタの挙動を検出するセンサとしては、ヨーレートセンサ、横加速度センサ、操舵角センサ、走行速度センサ等を備えている。このような理由から、ESC等の制御装置の既存のセンサを用いて本発明の制御を実現することも可能となる。
〔基本構成〕
図1に示すように、自動車で成るトラクタ1の自走車体Aの後端のヒッチ2に対し、トレーラ4の被牽引車体Bの前端のブラケット3を連結して牽引車輌が構成されている。
また、トレーラ側のブレーキ装置BKは必須ではなく、特に軽量なトレーラに多く見られるように、トレーラ側にはブレーキ装置を設けず、自走車体Aにのみブレーキ装置BKが設けられても良い。
図3に示すように、自走車体Aでは、操舵角センサ13、アクセルペダルセンサ14S、ブレーキペダルセンサ15S、ヨーレートセンサ16、横加速度センサ17、制御装置20がCANバスで成る通信ラインLによって接続されている。この通信ラインLに対して、ブレーキ制御ECU25と、エンジン制御ECU27と、自動変速ECU29と、通信ユニット31とが接続している。また、ブレーキ制御ECU25はブレーキ圧制御ユニット26の電磁弁を制御する。エンジン制御ECU27はエンジン7のスロットルユニット28を制御する。自動変速ECU29は変速装置(図示せず)の変速ユニット30を制御する。
また、従来のESC制御では、ステアリングホイール12の操作時に、回転数センサ11(走行速度センサとして機能する)で検出される走行速度や、ヨーレートセンサ16で検出されたヨーレートに基づいて自走車体Aの挙動を求め、この挙動に基づいて適正なコーナリングとなるように、各ブレーキ装置BKの制御や、エンジン7の出力の調整や、変速装置の変速を自動的に行うことでアンダーステアやオーバーステアを抑制している。
また、本実施例では、制御装置20とブレーキ制御ECU25は個別に設けられ、通信ラインLで接続されているが、制御装置20とブレーキ制御ECU25は通信ラインLを介さず一体として構成されても良い。
図4には、自走車体Aの前車輪5に横方向に作用する前車輪横力Ffと、後車輪6に横方向に作用する後車輪横力Frと、ヒッチ点Jに横方向に作用するヒッチ点横力Fhとが釣り合う関係を示している。また、この釣り合う関係を同図の関係式のように示すことが可能である。この〔演算形態1〕では、安定化制御部23が力の釣り合いの関係と、走行速度Vと、操舵角δfと、ヨーレートYrと、重心点Xに作用する横加速度GYと、重量Mとに基づいてヒッチ点横力Fhを推定する(図5を参照)。尚、図4では夫々の力が作用する方向を矢印で示している。
Ff+Fr+Fh=M×GY〔式1〕によって釣り合い関係が表される。
この図4では自走車体Aの左方向に作用する力に+(プラス)の符号を附しており、自走車体Aの右方向に作用する力に−(マイナス)の符号を附している。この関係式に基づいてヒッチ点横力Fhを推定する演算が行われる。
βf=β+(Lf×Yr/V)−δf 〔式3〕
βr=β−(Lf×Yr/V) 〔式4〕
Fh=−Cpf×βf 〔式5〕
Fr=−Cpr×βr 〔式6〕
この場合、トラクタ1の前車輪5や後車輪6の左右の一方を制動対象として選択した場合は、効率良くヨーモーメントを発生させることができる。
更には、揺動周期に応じて制動タイミングや制動力を補正しても良い。
そして、ヨーモーメント出力部23Eはブレーキ制御ECU25を制御することにより、トラクタ1の制動対象となるブレーキ装置BKに対して算出された制動力を作用させて、相殺ヨーモーメントを発生させ、スウェイ現象の抑制を図ることができる(#106〜#108ステップ)。
尚、相殺ヨーモーメント演算部23Dが安定していないと判定した場合には、トラクタ1のブレーキ装置BKに加えて、トレーラ側のブレーキ装置BKを作用させても良い。
この場合、ヨーモーメント出力部23Eは、自走車体Aの前車輪5あるいは後車輪6の少なくとも一方で左右両輪を制動対象として選択し、左右の車輪のブレーキ力差を維持しながら左右両輪のブレーキ力の和を増大することで、相殺ヨーモーメントを維持したまま車輌の減速度を増大することができる。
これにより、相殺ヨーモーメントによって自走車体A及び被牽引車体Bの揺動を収束すると同時に、車輌の速度をより速く低下させることで被牽引車体Bの安定性の向上を図ることができる。
このような制御形態でも、前述と同様に、スウェイ現象による揺動の収束までに時間を要する場合に、収束までの時間に基づいてブレーキ力の増大量を調整するように制御形態を設定しても良い。
但し、被牽引車体Bの揺動中に自走車体Aにのみ強いブレーキ力を作用させると被牽引車体Bはジャックナイフ傾向を示すため、ブレーキ力の増大量や発生させる車輌の減速度には、上限値を設けるようにすることが望ましい。
図9には、自走車体Aの重心点Xを基準として前車輪5に横方向に作用する前車輪モーメント(Lf×Ff)と、自走車体Aの重心点Xを基準として後車輪6に作用する後車輪モーメント(Lr×Fr)と、自走車体Aの重心点Xを基準としてヒッチ点Jに横方向に作用するヒッチ点モーメント(Lh×Fh)と、自走車体Aの重心点Xに作用する車体モーメント(Iz×dYr)と釣り合う関係を示している。尚、同図では夫々の力が作用する方向を矢印で示している。
Lf×Ff−Lr×Fr−Lh×Fh=Iz×dYr〔式11〕によってモーメントの釣り合いが表される。
図9では自走車体Aの左方向に作用するモーメントに+(プラス)の符号を附しており、自走車体Aの右方向に作用するモーメントに−(マイナス)の符号を附している。この関係式に基づいてヒッチ点横力Fhを推定する演算が行われる。
この場合、トラクタ1の前車輪5や後車輪6の左右の一方を制動対象として選択した場合には、効率良くヨーモーメントを発生させることができる。
更には、揺動周期に応じて制動タイミングや制動力を補正しても良い。
そして、ヨーモーメント出力部23Eはブレーキ制御ECU25を制御することにより、トラクタ1の制動対象となるブレーキ装置BKに対して算出された制動力を作用させて相殺ヨーモーメントを発生させ、スウェイ現象の抑制を図ることができる(#206〜#208ステップ)。
尚、相殺ヨーモーメント演算部23Dが安定していないと判定した場合には、トラクタ1のブレーキ装置BKに加えて、トレーラ側のブレーキ装置BKを作用させても良い。
この場合、ヨーモーメント出力部23Eは、自走車体Aの前車輪5あるいは後車輪6の少なくとも一方で左右両輪を制動対象として選択し、左右の車輪のブレーキ力差を維持しながら左右両輪のブレーキ力の和を増大することで、相殺ヨーモーメントを維持したまま車輌の減速度を増大することができる。
これにより、相殺ヨーモーメントによって自走車体A及び被牽引車体Bの揺動を収束すると同時に、車輌の速度をより速く低下させることで被牽引車体Bの安定性の向上を図ることができる。
このような制御形態でも、前述と同様に、スウェイ現象による揺動の収束までに時間を要する場合に、収束までの時間に基づいてブレーキ力の増大量を調整するように制御形態を設定しても良い。
但し、被牽引車体Bの揺動中に自走車体Aにのみ強いブレーキ力を作用させると被牽引車体Bはジャックナイフ傾向を示すため、ブレーキ力の増大量や発生させる車輌の減速度には、上限値を設けるようにすることが望ましい。
このように本発明によると、従来から車体に備えられているESCで成る制御装置20に用いられるセンサ類をそのまま用いることにより、ヒッチ点Jの角度を検出するセンサを特別に備えることなく、ヒッチ点Jに作用するヒッチ点横力Fhの推定が可能となる。そして、このように算出されたヒッチ点横力Fhの大きさからスウェイ現象の程度を把握して、抑制の要否の判断が可能になると共に、ブレーキ装置BKの操作により最適な相殺ヨーモーメントを作用させることでスウェイ現象の初期段階での抑制を実現しているのである。
4 トレーラ
5 操舵輪・車輪(前車輪)
6 車輪(後車輪)
8 トレーラ車輪
11 走行速度センサ(回転数センサ)
13 操舵角検出手段(操舵角センサ)
16 ヨーレート検出手段(ヨーレートセンサ)
17 横加速度検出手段(横加速度センサ)
23 安定化制御手段(安定化制御部)
23C ヒッチ点横力推定手段(ヒッチ点横力推定部)
23E モーメント発生手段(ヨーモーメント出力部)
J ヒッチ点
Fh ヒッチ点横力
Claims (4)
- トラクタに対しヒッチ点を介して揺動自在にトレーラを連結している牽引車輌の制御装置であって、
前記トラクタの横加速度を検出する横加速度検出手段と、前記トラクタのヨーレートを検出するヨーレート検出手段と、前記トラクタの操舵輪の操舵角を検出する操舵角検出手段と、前記トラクタの走行速度を検出する走行速度検出手段とを備えると共に、
前記横加速度検出手段で検出された横加速度と、前記ヨーレート検出手段で検出されたヨーレートと、前記操舵角検出手段で検出された操舵角と、前記走行速度検出手段で検出された走行速度とに基づいて前記ヒッチ点に作用するヒッチ点横力を推定するヒッチ点横力推定手段を備え、このヒッチ点横力推定手段で推定されたヒッチ点横力の値から牽引車輌の安定性を判定する牽引車輌の制御装置。 - 前記トラクタは、前記ヒッチ点横力の値に対応して牽引車輌の姿勢を安定化する安定化制御手段を備える請求項1記載の牽引車輌の制御装置。
- 前記安定化制御手段は、前記トラクタに対して前記ヒッチ点横力と逆方向となるヨーモーメントを発生させるモーメント発生手段である請求項2記載の牽引車輌の制御装置。
- 前記安定化制御手段は、前記トラクタの車輪の少なくとも一つに制動力を発生させる制動力発生手段である請求項3記載の牽引車輌の制御装置。
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