JP2011067833A - 鋼管杭用高強度電縫鋼管およびその製造方法 - Google Patents

鋼管杭用高強度電縫鋼管およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼管杭用高強度電縫鋼管およびその製造方法を提供する。
【解決手段】鋼帯に、常温で、ロール成形、電縫溶接、さらにサイジング(縮径)からなる電縫造管工程において、管円周方向の降伏比が85〜95%となるように、管円周方向に1〜5%の圧縮の加工歪を調整して付与する。前記鋼帯は、C:0.02〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下を含み、あるいはさらにAl:0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。なお、前記組成に加えてさらに、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有してもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼管杭として好適な電縫鋼管に係り、とくに電縫鋼管の強度(耐力)の安定的向上に関する。
近年、電縫鋼管は、建築・土木用の基礎杭(鋼管杭)として多用されている。しかも、最近では、鋼管の中空部にコンクリートを注入した、鋼管コンクリート複合杭(SC杭)が、基礎杭の耐震性向上の観点から、注目されている。従来、SC杭に使用される鋼管(電縫鋼管)としては、引張強さ:400〜490N/mm級JIS A 5525に規定された鋼管が使用されてきた。しかし、最近の土木・建築物の更なる高強度化かつ耐震性向上という要望から、SC杭等の基礎杭に使用する電縫鋼管の高強度化、さらには高靭性化の要望が高まっている。
電縫鋼管の高強度化・高靭性化は、素材である熱延鋼板(鋼帯)の高強度化・高靭性化に依存しており、一般的に、熱延鋼板では、合金元素を添加して強度、さらに靭性を向上させている。
例えば特許文献1には、「低温靭性に優れた低降伏比電縫鋼管の製造方法」が提案されている。特許文献1に記載された技術は、C:0.01〜0.09%、Si:0.50%以下、Mn:2.5%以下、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.10%を含み、さらに、Mn、Si、P、Cr、Ni、Moの特定な関係式であるMneqが2.0%以上となるように、Mo、Cu、Ni、Crのうちの1種または2種以上を含有するスラブを熱間圧延し、5℃/s以上の冷却速度で500〜650℃まで冷却して巻き取り、この温度範囲で10分以上滞留させてから500℃未満の温度に冷却して特定の鋼組織を有する熱延鋼板とし、該熱延鋼板を造管することを特徴とする電縫鋼管の製造方法である。特許文献1に記載された技術で製造された電縫鋼管は、低温靭性に優れ、かつ高い塑性変形吸収能を有する、引張強さ:590MPa以上の高強度電縫鋼管となるとしている。なお、特許文献1に記載された技術では、バウシンガー効果を利用して、85%以下の低降伏比とするため、造管時に,管長手方向に10%以下の圧縮歪み、または5%以下の引張歪を付与することが好ましいとしている。このような電縫鋼管を建築・土木用の柱として使用すると、大地震が発生した際に、局部座屈起因の亀裂発生や管の破断が生じることを防止できるとしている。
また、特許文献2には、C:0.01〜0.09%、Si:0.50%以下、Mn:2.5%以下、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.10%、Cr:0.50超え〜3.0%を含むスラブを、熱間圧延し、5℃/s以上の冷却速度で650℃以下まで冷却して巻き取り、冷却停止時の温度±50℃に10分以上滞留させて冷却して熱延鋼板とし、該熱延鋼板を造管することを特徴とする低温靭性に優れた低降伏比電縫鋼管の製造方法が記載されている。なお、特許文献2に記載された技術では、造管時に管長手方向に10%以下の圧縮歪み、または5%以下の引張歪を付与することが好ましいとしている。これにより、低温靭性に優れ、かつ高い塑性変形吸収能を有する、引張強さ:590MPa以上の高強度電縫鋼管を製造できるとしている。
特開2006−299413号公報 特開2006−299414号公報
杭基礎の分野では、鉛直支持力に関しては、荷重値以上に許容支持力が大きくなるように杭の諸元を定めている。その際、変形量は考慮せずに、荷重と支持力のバランスを考慮する方法が一般的であり、杭体は弾性部材として扱われている。一方、水平抵抗力に関しては、地震時の水平外力に対して、地盤の塑性化や非線形性を考慮した非線形の地盤バネを用いて、杭体の応力と変形に関する検討を行なうのが一般的であるが、この際にも、杭体は弾性部材として扱われている。なお、構造物全体の破壊を検討するような場合には、杭体を弾塑性部材として扱う詳細な設計方法を使う場合もあるが、通常の杭基礎の設計方法では、杭体を弾性部材として扱う設計方法が主流となっている。このような設計方法を使用するかぎり、杭体は、弾性領域の特性に優れた材料で構成すればよいことになる。
また、杭の破壊機構としては、地震時の水平力の増大に伴い、まず杭頭部が塑性化し、ついで地中部に塑性ヒンジが生じ、杭体に2箇所ヒンジができることで破壊状態となる。この杭構造としての特有な破壊機構においては、杭体の降伏比の影響は小さく、逆に高降伏比の杭の方が、塑性ヒンジが生じにくいため、地震時耐力としては有利になる場合もある。
特許文献1,2に記載された技術では、いずれも低降伏比が85%以下程度の低降伏比を有する電縫鋼管の製造を指向している。このような電縫鋼管を基礎杭等に適用すると、引張強さを基準とした場合に、降伏強さが低いことになる。同一の降伏比を保持したまま、所望の降伏強さを有する電縫鋼管とするためには、更に多量の合金元素を添加した素材を用いる必要がある。このような多量の合金元素を添加した素材を用いた電縫鋼管は、材料コストが高騰するうえ、素材がすでに高強度となっており、管製造時に成形性が低下するため、管製造時の調整ロスや不良品が多発する等により歩留が大幅に低下するという問題があった。
本発明者らは、基礎杭等に適用されるSC杭等を高強度化するために使用する鋼管は、所望の高降伏強さを有する高強度鋼管であればよく、とくに低降伏比を有する鋼管とする必要はないことに想到した。そして、杭用鋼管としては、所望の降伏強さが安定して確保できていれば、85〜95%程度となる高降伏比の高強度鋼管であってもとくに問題はないことに思い至った。そして、降伏比を、積極的に、85〜95%の範囲に調整した高強度電縫鋼管を、鋼管杭用とすることを見い出した。
このようなことから、本発明は、SC杭等の鋼管杭用として好適な、引張強さTS:570MPa以上の高強度で、かつ降伏強さYS:485MPa以上と、85%以上95%以下の高降伏比を有し、成形性に優れ、かつ低温靱性にも優れた鋼管杭用高強度電縫鋼管およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「鋼管杭」は、鋼管コンクリート杭(SC杭)をも含むものとする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、多量の合金元素を含有することなく、高強度鋼管杭用として、所望の高い降伏強さを有する鋼管を安定して製造するために、管の降伏強さに影響する各種要因について、鋭意検討した。その結果、造管工程で、素材の強度に応じて、管円周方向に適正範囲の圧縮歪を導入することにより、管の降伏強さを適正範囲に調整でき、かつ管の降伏比を85〜95%という範囲に調整できることを見出した。また、本発明者らは、多量の合金元素を含有することのない組成の鋼帯を使用することにより、造管工程中は低強度であり容易に造管することができ、さらに造管途中での成形不良を多発することなく、造管工程で、素材の強度に応じて、管円周方向に適正範囲の圧縮歪を導入することにより、所望の降伏強さを有する高強度電縫鋼管を安定して製造できるという知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)鋼帯に、常温で、ロール成形、電縫溶接、さらにサイジングからなる電縫造管工程を施して電縫鋼管とするにあたり、前記電縫造管工程において、成形用付加歪に加えて、管円周方向の降伏比が85〜95%となるように、管円周方向に1〜5%の圧縮の加工歪を調整して付与することを特徴とする低温靭性に優れた鋼管杭用高強度電縫鋼管の製造方法。
(2)(1)において、前記鋼帯が、質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下を含み、あるいはさらにAl:0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする鋼管杭用高強度電縫鋼管の製造方法。
(3)(2)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする鋼管杭用高強度電縫鋼管の製造方法。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法により製造された高強度電縫鋼管を用いてなる鋼管製杭。
(5)質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下を含み、あるいはさらにAl:0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、降伏強さYS:485MPa以上、引張強さTS:570MPa以上で、かつ降伏比:85%以上95%以下であり、0℃における吸収エネルギーが27J以上であることを特徴とする低温靱性に優れた鋼管杭用高強度電縫鋼管。
(6)(5)において、前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする鋼管杭用高強度電縫鋼管。
(7)(5)〜(6)のいずれかに記載の高強度電縫鋼管を用いてなる鋼管製杭。
本発明によれば、引張強さTSが570MPa以上、かつ降伏強さYSが485MPa以上という高強度で、降伏比が85%以上95%以下という高降伏比を有し、かつ成形性に優れ、さらに低温靭性に優れる鋼管杭用高強度電縫鋼管を安定して製造でき、鋼管杭の高強度化に寄与するという、産業上格段の効果を奏する。また本発明では、さらに合金元素を多量に含有することのない鋼帯を使用するため、造管時には低強度で、造管完了時に、管降伏強さをほぼ所望の高強度とする工程を採用するため、高強度材料特有の成形性の低下もなく成形できるという効果もある。
本発明では、鋼帯に、常温で、電縫造管工程を施して電縫鋼管とする。電縫造管工程は、ロール成形、電縫溶接(電縫接合)、さらにサイジング(縮径)からなる。
ロール成形では、コイル状に巻き取られた鋼帯を払い出し、常温で、ケージロール、フィンパスロール等を用いたロールフォーミングにより、略円筒状断面のオープン管に成形する。なお、本発明では、ロール成形に用いる成形装置の種類はとくに限定する必要はないが、ロール成形においても、所定寸法の管に成形するために必要な管円周方向への加工歪(成形用付加歪)に加えて、さらに降伏強さを高めるために、管の円周方向に適正な圧縮の加工歪を付与することが望ましい。管の円周方向に圧縮の加工歪を付与できる装置としては、フィンパスロールが例示できる。なお、ロール成形過程における管の円周方向の加工歪δLは、次式
δL=(L0−L)/L0×100(%)
(ここで、L0:縮径前の外周長さ、L:縮径後の外周長さ)
により、それぞれ計算するものとする。
電縫溶接(電縫接合)では、ロール成形過程で成形された略円筒状断面のオープン管の両端面同士をスクイズロールで突き合せ加圧し、高周波抵抗溶接(あるいは高周波誘導溶接)等により突合せ部を溶接(接合)する。
サイジング(縮径)では、サイザーで管外径を縮径し、管の断面形状を矯正するとともに、本発明では主として、管の円周方向に圧縮の加工歪を付与する。なお、サイジング過程における管の円周方向の加工歪δは、次式
δ=(D0−D)/D0×100(%)
(ここで、D0:縮径前の外径、D:縮径後の外径)
により計算するものとする。
上記した本発明の電縫造管工程で付与される管の円周方向の圧縮の加工歪は、1〜5%の範囲に限定する。付与される圧縮の加工歪が1%未満では、降伏比が高くならず、安定して所望の85〜95%の範囲の高降伏比とすることができない。一方、付与される管円周方向の圧縮の加工歪が5%を超えると、降伏比が高くなりすぎ、降伏比を安定して所望の85〜95%の範囲とすることができない。このため、電縫造管工程で付与される管の円周方向の圧縮の加工歪は、1〜5%の範囲に限定した。なお、電縫造管工程での管の円周方向の圧縮の加工歪の付与は、素材の強度に応じて、降伏比が85〜95%の範囲となるように付加量、すなわち縮径量を調整する。
なお、本発明の電縫造管工程では、所望の寸法形状の電縫鋼管とするために、従来と同様に、成形用付加歪として管の円周方向に圧縮の加工歪が付加され、成形される。本発明の電縫造管工程における圧縮の加工歪の付加は、それらの加工歪に加えて、降伏強さを高めるためにさらに付加されるものである。
次に、本発明で使用する鋼帯の、好ましい組成について説明する。以下、とくに断わらないかぎり質量%は単に%で記す。
C:0.02〜0.25%
Cは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の高強度を確保するために、0.02%以上含有することが望ましい。C含有量が0.02%未満では降伏比:85%以上の高降伏比を確保できない。一方、0.25%を超える含有は、溶接性、低温靭性を低下させる。このため、Cは0.02〜0.25%の範囲に限定することが好ましい。
Si:0.5%以下
Siは、脱酸剤として作用するとともに、固溶して鋼の強度を増加させる元素である。0.5%を超える含有は、電縫溶接時に酸化物の生成が著しくなり、溶接欠陥が多発する。このため、Siは、0.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0〜0.3%である。
Mn:2.0%以下
Mnは、鋼の強度を増加させる元素であり、所望の高強度、高靭性を確保するために、0.4%以上含有することが望ましいが、2.0%を超える含有は、溶接性が低下する。このため、Mnは2.0%以下に限定することが好ましい。
P:0.05%以下、S:0.03%以下
P、Sは、いずれも不純物として不可避的に含有され、いずれも低温靭性に悪影響を及ぼす元素であり、できるだけ低減することが望ましい。しかし、過度の低減は製造コストの高騰を招く。このため、製造コストが高騰しない範囲の、P:0.05%以下程度,S:0.03%以下程度に限定することが好ましい。
上記した成分が基本の成分であるが、この基本の組成に加えてさらに、Al:0.01〜0.10%含有し、さらに板厚により目標とする強度が確保できにくい場合等に、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、を選択して含有できる。
Al:0.01〜0.10%
Alは、脱酸剤として作用し、さらにはAlNを形成し高温における結晶粒の粗大化を抑制する作用を有する元素であり、必要に応じて含有できる。このような効果を得るためには0.01%以上含有することが望ましいが、0.10%を超える含有は、酸化物系介在物が増加し、鋼の清浄度を低下させる。このため、Alは0.01〜0.10%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.01〜0.06%である。
Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Nb、Ti、Vはいずれも、析出強化を介して鋼の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るためには、Nb:0.01以上、Ti:0.01%以上、V:0.01%以上、それぞれ含有することが必要となるが、Nb:0.10%、Ti:0.10%、V:0.10%を超える含有は、電縫溶接性や、電縫溶接部の熱影響部靭性が低下する。このため、含有する場合には、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下にそれぞれ限定することが好ましい。
Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上
Cu、Ni、Mo、Crはいずれも、固溶強化を介して鋼の強度増加に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。このような効果を得るためには、Cu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、Mo:0.01%以上、Cr:0.01%以上、それぞれ含有するとよいが、Cu:0.5%、Ni:0.5%、Mo:0.5%、Cr:0.5%、をそれぞれ超えて含有しても、強度増加の効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となるとともに、電縫溶接性が低下する。このため、含有する場合には、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下に、それぞれ限定することが好ましい。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物からなる。
以下、本発明について、実施例に基づきさらに詳細に説明する。
表1に示す組成、板厚の熱延鋼帯を素材とした。これら熱延鋼帯に、表2に示す条件の電縫造管工程を室温(25℃)で施して、表2に示す寸法の電縫鋼管とした。電縫造管工程は、ロール成形、電縫溶接、サイジングからなる工程とし、電縫造管工程全体で、管円周方向に表2に示す量の圧縮の加工歪を付与した。なお、ロール成形はケージロール、フィンパスロールを用いたロールフォーミングとして、略円筒状断面のオープン管とした。なお、ロール成形では、管円周方向に表2に示す量の圧縮加工歪を付与した。電縫溶接は、該オープン管の端部同士を突き合せ、スクイズロールで加圧し、高周波抵抗溶接で溶接接合して電縫鋼管とした。また、サイジングは、該電縫鋼管を縮径して、断面形状を整えるとともに、管円周方向に表2に示す量の圧縮加工歪を付与した。
なお、参考として、表2には、電縫造管工程で、成形のために付与された管の円周方向の加工歪についても付記した。
得られた電縫鋼管について、外形寸法検査、引張試験、衝撃試験を実施し、成形性、引張特性、低温靭性を調査した。試験方法は次のとおりとした。
(1)成形性
得られた電縫鋼管の断面形状、真円度、ロール成形時に成形が困難であることを原因として発生した疵深さを測定し、真円度が1.0%以上、ロール成形時の座屈による真円に対する局部凹みが0.3mm以上、ロール成形疵深さが0.3mm以上の場合を成形性不良とした。それ以外は成形性良とした。
(2)引張試験
得られた電縫鋼管の電縫溶接部から、管の円周方向(管周方向)に90°の位置から、JIS Z 2241の規定に準拠して、引張方向が管円周方向となるように、JIS 5号引張試験片を採取し、引張試験を実施し、降伏強さYS、引張強さTSを求めた。得られたYS、TSからYS/TS×100を算出し、降伏比YR(%)とした。
(3)衝撃試験
得られた電縫鋼管の電縫溶接部から、管円周方向に90°の位置から、JIS Z 2242の規定に準拠して、試験片の長さが管軸方向となるように、シャルピー衝撃試験片(Vノッチ試験片)を採取し、試験温度:0℃における吸収エネルギーvE−0(J)を求めた。なお、吸収エネルギーは3本の平均値とした。また、破面遷移温度vTrs(℃)も求めた。
得られた結果を表2に併記した。
Figure 2011067833
Figure 2011067833
本発明例はいずれも、電縫造管時の成形性に優れ、かつSC杭等の鋼管杭用として好適な、引張強さTS:570MPa以上の高強度で、かつ降伏強さYS:485MPa以上と、85%以上95%以下の所望の範囲内の高降伏比を示す高強度電縫鋼管となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、降伏強さが485MPa未満であるか、降伏比が85〜95%の範囲から外れるか、低温靭性が低下しているか、あるいは成形性が不良となっている。
電縫造管工程において管円周方向に付加される加工歪が、本発明の範囲を低く外れる比較例(鋼管No.7)は、降伏強さが所望の値を下まわり、所望の高強度を達成できていない。また、電縫造管工程において管円周方向に付加される加工歪が、本発明の範囲を高く外れる比較例(鋼管No.8)は、降伏比が本発明の所望の範囲を高く外れ、低温靭性が低下している。また、比較的多量に合金元素を含む組成の熱延鋼帯を使用し、電縫造管工程において管円周方向に付加される加工歪が、本発明の範囲を低く外れる比較例(鋼管No.9)は、所望の高強度、高靭性を確保できているが、素材がすでに高強度であり降伏点が高いため、電縫造管工程での成形性が低下し成形不良となっている。

Claims (7)

  1. 鋼帯に、常温で、ロール成形、電縫溶接、さらにサイジングからなる電縫造管工程を施して電縫鋼管とするにあたり、前記電縫造管工程において、成形用付加歪に加えて、管円周方向の降伏比が85〜95%となるように、管円周方向に1〜5%の圧縮の加工歪を調整して付与することを特徴とする低温靭性に優れた鋼管杭用高強度電縫鋼管の製造方法。
  2. 前記鋼帯が、質量%で、C:0.02〜0.25%、Si:0.5%以下、Mn:2.0%以下、P:0.05%以下、S:0.03%以下を含み、あるいはさらにAl:0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする請求項1に記載の鋼管杭用高強度電縫鋼管の製造方法。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項2に記載の鋼管杭用高強度電縫鋼管の製造方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の製造方法により製造された高強度電縫鋼管を用いてなる鋼管製杭。
  5. 質量%で、
    C:0.02〜0.25%、 Si:0.5%以下、
    Mn:2.0%以下、 P:0.05%以下、
    S:0.03%以下
    を含み、あるいはさらにAl:0.01〜0.10%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、降伏強さYS:485MPa以上、引張強さTS:570MPa以上で、かつ降伏比:85%以上95%以下であり、0℃における吸収エネルギーが27J以上であることを特徴とする低温靱性に優れた鋼管杭用高強度電縫鋼管。
  6. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Nb:0.10%以下、Ti:0.10%以下、V:0.10%以下のうちから選ばれた1種または2種以上、および/または、Cu:0.5%以下、Ni:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cr:0.5%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項5に記載の鋼管杭用高強度電縫鋼管。
  7. 請求項5または請求項6に記載の高強度電縫鋼管を用いてなる鋼管製杭。
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