JP2011067787A - 乾燥設備の運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】乾燥機5から排出される乾燥品D1の温度を測るための乾燥品温度センサ80が具えられるものであり、乾燥品温度及び乾燥品温度の変化を条件部とし、汚泥Dの投入速度設定値を結論部とするファジィ推論を行うことを特徴として成り、乾燥品D1の水分を測定する水分センサが不要となり、乾燥設備1のイニシャルコストを低減することができる。また乾燥品温度及び乾燥品温度の変化から乾燥品D1の水分値を把握し、汚泥の投入速度を調整することにより、乾燥機5内に位置する汚泥の処理状態を適切なものとして、乾燥品D1の水分値を所望の値に近づけることが可能となる。
【選択図】図1
Description
そして本出願人は、前記乾燥設備1′の安定した運転を実現するための手法を発明し、既に特許権を取得している(特許文献1参照)。
この発明は、排気温度、ドラム50′の回転にかかる所要動力または攪拌翼55′の回転にかかる所要電力またはトルクを検出し、排ガス温度が上昇したことの原因を判別し、汚泥Dの投入量または乾燥機5′に供給する熱量を調整することにより、熱風吹き抜け現象を防止して、乾燥機5′による汚泥Dの連続乾燥を安定して行うことができるというものである。
この発明は、乾燥機5′からの排ガス温度と、乾燥処理された乾燥品D1の水分量とを測定し、これらの値を予め設定された所定値と比較することにより、排出ガス温度の上昇が、ペースト状物質(汚泥D)の乾燥の進行によるものか、あるいはペースト状物質(汚泥D)の分散性の悪さに起因する未乾燥によるものか否かを判断して、乾燥機5′へ投入するペースト状物質(汚泥D)の量または乾燥機5′へ供給する熱量のいずれか一方または双方を調整するというものである。
またこの発明では、乾燥品D1の水分量を赤外線吸収式水分計により非接触で連続的に行うものである。
また赤外線吸収式水分計による測定値は被対象物の色や表面形状の影響を受けてしまうため、物性が不均一である汚泥D等を扱う場合には測定値の補正を充分に行うことには限界があり、必ずしも乾燥品D1の水分測定が精密であるとはいえなかった。
そしてこれら各請求項記載の発明の構成を手段として前記課題の解決が図られる。
また汚泥の物性が変動した場合であっても、その影響を受けにくい乾燥品温度及び乾燥品温度の変化から、乾燥品の水分値を把握し、汚泥の投入速度(投入速度設定値)を調整することにより、乾燥機内に位置する汚泥の処理状態を適切なものとして、乾燥品の水分値を所望の値に近づけることが可能となる。
また汚泥の物性が変動した場合であっても、その影響を受けにくい乾燥品温度及び乾燥品温度の変化から、乾燥品の水分値を把握し、乾燥機に供給される熱風(排気温度設定値)を調整することにより、乾燥機内に位置する汚泥の処理状態を適切なものとして、乾燥品の水分値を所望の値に近づけることが可能となる。
また汚泥の物性が変動した場合であっても、その影響を受けにくい乾燥品温度及び乾燥品温度の変化から、乾燥品の水分値を把握し、汚泥の投入速度(投入速度設置値)を調整するとともに、乾燥機に供給される熱風を調整することにより、乾燥機内に位置する汚泥の処理状態を適切なものとして、乾燥品の水分値を所望の値に近づけることが可能となる。
図1に骨格的に示すのが乾燥設備1であり、このものは供給ホッパ2、熱風炉3、乾燥機5、乾燥ファン7、取出コンベヤ8及びファジィ制御ユニット10を主要部材として具えて成るものである。
まず前記供給ホッパ2について説明すると、このものは箱型の容器の底部に、モータM2によって駆動されるスクリューコンベヤ2aを具え、容器内に収容された汚泥Dをスクリューコンベヤ2aの回転数に応じて適量排出するものである。
またモータM2とファジィ制御ユニット10との間には投入速度調節器102が具えられる。
また、ドラム50の中心付近を貫通するように設けられた軸55aがモータM1により回転駆動される構成とするものであり、この軸55aに攪拌翼55が具えられる。そして前記モータM1には電流計56が接続されるとともに、その出力はファジィロジックコントローラを具えたファジィ制御ユニット10に接続される。
また排気温度センサ70の出力信号は排気温度調節器103に入力されるとともに、この排気温度調節器103により前記コントロールモータ31がPID制御される。
そして前記U型トラフの内部に、乾燥品温度センサ80のプローブが位置するようにしてこのものが配されるとともに、乾燥品温度センサ80の出力がファジィ制御ユニット10に接続される。
そして前記熱風炉3と乾燥機5との間の管路Pに対して熱風温度センサ93が具えられ、この熱風温度センサ93の出力信号は熱風温度調節器109に入力されるとともに、この熱風温度調節器109により前記コントロールモータ92がPID制御される。
まず乾燥設備1の運転立ち上げ時の作動態様について説明する。はじめに乾燥ファン7を起動し、ドラム50及び軸55aを回転させ、更にバーナ3aを点火する。
汚泥Dは、乾燥機5内においてドラム50の回転と攪拌翼55の作用とにより破砕、攪拌されながら、熱風炉3から供給された熱風と接触して乾燥処理がなされ、やがて乾燥品D1となって順次排出口52から取出コンベヤ8に排出される。
以降、汚泥Dの投入、乾燥並びに乾燥品D1の排出は連続的に行われる定常運転状態となるものであり、循環ダンパ91の開度またはバーナ3aの燃焼度のいずれか一方または双方が適宜PID制御により調整され、所望の水分値の乾燥品D1が得られるものである。
この実施例は、結論部である「投入速度設定値」の変更の必要性を、乾燥品温度センサ80によって検出される「乾燥品温度」と「乾燥品温度変化」とを条件部としてIf−Then形式の制御規則で表すものである。
なお前記投入速度設定値とは、供給ホッパ2によるドラム50への汚泥Dの投入速度を決定するものであり、具体的には供給ホッパ2におけるスクリューコンベヤ2aの搬送速度すなわちモータM2の回転数の設定値が該当するものである。
また乾燥品温度変化とは、乾燥品温度センサ80によって計測された乾燥品D1の温度(乾燥品温度)の一定時間内における変動値を示すものであって、一例として単位〔℃/min〕で表されるものである。
図中「↓↓↓」は大きく減ずる、「↓↓」は普通に減ずる、「↓」は少し減ずる、「→」は変更しない、「↑」は少し増す、「↑↑」は普通に増す、「↑↑↑」は大きく増すを意味するものである。
このような属性の言語変数(ラベル)の数、及びこの言語変数に対するメンバーシップ関数は、経験則に基づいて決定されるものであり、汚泥Dの種類、物性、システムの規模や構成等によって適宜チューニングが行われる。
特に本発明にあっては、前記乾燥品温度と乾燥品水分値との間に相関関係があることを本発明者らが見出し、水分計を用いることなく乾燥品D1の温度からその水分値が一定となるように運転できるようにしたものであり、このことがメンバーシップ関数及びファジィ推論のルールに反映されている。
更に汚泥Dの粘着性が強くなれば、ドラム50の内面に汚泥Dが付着してほとんど分散も起きない運転状況に変化することがある。
この場合、従来手法である排気温度センサ70と排気温度設定値に基づくバーナ3aのPID制御では、上述のように熱風はドラム50を素通りするだけなので、排気温度センサ70の測定値は設定値より高い温度を示すので、バーナ3aの燃焼を絞り込む制御が続き、ドラム50への熱量を減ずる方向に運転条件が変化するだけで、乾燥品D1は水分の高い未乾燥状態から抜け出せなくなってしまう。
そればかりか、ドラム50内に付着した汚泥Dの厚みが増してゆき、ドラム50の回転動力にとって過負荷状態となったり、付着した汚泥Dが自重により剥離して攪拌翼55に衝突して急激な過負荷状態となったり、著しい場合には破損を来たし、運転不能の状態に陥ってしまう。
この投入速度設定値は、投入速度調節器102に入力され、スクリューコンベヤ2aの搬送速度が増減されてドラム50への汚泥Dの投入量が調整される。結果として、汚泥Dの物性が変化しても適切な運転状態が維持され、それと共に一定した水分の乾燥品D1を得ることができる。
この実施例は、結論部である「排気温度設定値」の変更の必要性を、乾燥品温度センサ80によって検出される「乾燥品温度」と「乾燥品温度変化」とを条件部としてIf−Then形式の制御規則で表すものである。
なお前記排気温度設定値とは、排気温度センサ70による排気温度の検出値の目標値であり、この排気温度設定値に応じて前記循環ダンパ91の開度あるいはバーナ3aの燃焼度が調節されることとなる。
図中「↓↓↓」は大きく減ずる、「↓↓」は普通に減ずる、「↓」は少し減ずる、「→」は変更しない、「↑」は少し増す、「↑↑」は普通に増す、「↑↑↑」は大きく増すを意味するものである。
このような属性の言語変数(ラベル)の数、及びこの言語変数に対するメンバーシップ関数は、経験則に基づいて決定されるものであり、汚泥Dの種類、物性、システムの規模や構成等によって適宜チューニングが行われる。
特に本発明にあっては、前記乾燥品温度と乾燥品水分値との間に相関関係があることを本発明者らが見出し、水分計を用いることなく乾燥品D1の温度からその水分値が一定となるように運転できるようにしたものであり、このことがメンバーシップ関数及びファジィ推論のルールに反映されている。
なおこの実施例では、前記排気温度調節器103によるPID制御及び前記熱風温度調節器109によるPID制御がファジィ制御と共に動作するものとした。
また汚泥Dの供給速度は、前記投入速度調節器102により一定値で汚泥Dを供給するように設定されている。
更に汚泥Dの粘着性が強くなれば、ドラム50の内面に汚泥Dが付着してほとんど分散も起きない運転状況に変化することがある。
この場合、従来手法である排気温度センサ70と排気温度設定値に基づくバーナ3aのPID制御では、排気温度センサ70の測定値は設定値より高い温度を示すので、バーナ3aの燃焼を絞り込む制御が続き、ドラム50への熱量を減ずる方向に運転条件が変化するだけで、乾燥品D1は水分の高い未乾燥状態から抜け出せなくなってしまう。
そればかりか、ドラム50内に付着した汚泥Dの厚みが増してゆき、ドラム50の回転動力にとって過負荷状態となったり、付着した汚泥Dが自重により剥離して攪拌翼55に衝突して急激な過負荷状態となったり、著しい場合には破損をきたし、運転不能の状態に陥ってしまう。
これにより排気温度調節器103の排気温度設定値が調整され、従来の排気温度調節器103によるPID制御に反映される。この結果として、汚泥Dの物性が変化しても適切な運転状態が維持され、それと共に一定した水分の乾燥品D1を得ることができる。
この実施例は、結論部である「投入速度設定値」及び「排気温度設定値」の変更の必要性を、乾燥品温度センサ80によって検出される「乾燥品温度」と「乾燥品温度変化」とを条件部としてIf−Then形式の制御規則で表すものである。
すなわち上述した二つの実施例に示された制御を組み合わせて行うものであり、図3及び図4に示すルールに従いファジィ推論の結果として、排気温度設定値及び投入速度設置値の増減がなされる。これにより、汚泥Dの物性が変化してもより適切な運転状態が維持され、それと共により一定した水分の乾燥品D1を得ることができる。
なおこの実施例では、前記熱風温度調節器109によるPID制御がファジィ制御と共に動作するものとした。
次に上述した三種のファジィ推論において、条件部として攪拌電流(モータM1の電流値)及び投入速度設定値(モータM2により駆動されるスクリューコンベヤ2aの搬送速度の設置値)を加えた実施例について説明する。
この実施例は、結論部である「投入速度設定値」及び「排気温度設定値」の変更の必要性を、電流計56によって検出される「攪拌電流」と、投入速度調節器102の「投入速度設定値」とを条件部としてIf−Then形式の制御規則で表すものである。
図中「↓↓↓」は大きく減ずる、「↓↓」は普通に減ずる、「↓」は少し減ずる、「→」は変更しない(維持する)、「↑」は少し増す、「↑↑」は普通に増す、「↑↑↑」は大きく増すを意味するものである。
なお図7(a)に示すグラフの横軸は、モータM1の定格電流値に対する実際の運転時のモータM1の電流値を百分率で示したものである。また図7(b)に示すグラフの横軸は、投入速度を表したものであり、投入速度が100%とは、投入速度調節器102により周波数60HzにてモータM2を回転させることに相当し、0%とは、周波数が0Hzに相当する。この実施例では、投入速度65%すなわち周波数39HzにてモータM2を回転させると理論計算上での汚泥Dの最適投入量となる。
このような属性の言語変数(ラベル)の数、及びこの言語変数に対するメンバーシップ関数は、経験則に基づいて決定されるものであり、汚泥Dの種類、物性、システムの規模や構成等によって適宜チューニングが行われる。
なおこの際、乾燥品温度センサ80から送られてくる測定値をもとに、図3及び/または図4に示されたルールに従ったファジィ推論も同時に一定時間毎に行われ、常法により合成された結論として投入速度設定値及び/または排気温度設定値が変更される。
以上述べたようにこの実施例によれば、投入される汚泥Dの物性変化の影響が投入されて比較的短時間の内に現れる電流値の増減を条件部とするため、より応答が速くなり、より変動の少ない安定した運転で一定した水分の乾燥品D1を得る運転を行うことができる。
またこの実施例では、前記排気温度調節器103によるPID制御及び前記熱風温度調節器109によるPID制御がファジィ制御と共に動作するものとした。
なお本発明は主に汚泥を対象としたものであるが、汚泥に類似した粘着性のある材料の乾燥に適用することができる。
2 供給ホッパ
2a スクリューコンベヤ
3 熱風炉
3a バーナ
31 コントロールモータ
5 乾燥機
50 ドラム
50a 蓋部材
50b 蓋部材
51 投入口
52 排出口
53 熱風吹込口
54 排気口
54a 排気ダンパ
55 攪拌翼
55a 軸
56 電流計
57 支持ローラ
59 チェーン
7 乾燥ファン
70 排気温度センサ
8 取出コンベヤ
80 乾燥品温度センサ
9 循環経路
91 循環ダンパ
92 コントロールモータ
93 熱風温度センサ
10 ファジィ制御ユニット
102 投入速度調節器
103 排気温度調節器
109 熱風温度調節器
B 基台
D 汚泥
D1 乾燥品
M モータ
M1 モータ
M2 モータ
P 管路
Claims (4)
- 内部に攪拌翼を具えた乾燥機に対し、その投入口に供給ホッパを臨ませ、またその熱風吹込口に熱風炉を接続し、またその排出口に取出コンベヤを臨ませ、更にまたその排気口に乾燥ファンを接続して成る汚泥乾燥設備の運転方法において、前記汚泥乾燥設備には、前記乾燥機から排出される乾燥品の温度を測るための乾燥品温度センサが具えられるものであり、乾燥品温度及び乾燥品温度の変化を条件部とし、汚泥の投入速度設定値を結論部とするファジィ推論を行うことを特徴とする乾燥設備の運転方法。
- 内部に攪拌翼を具えた乾燥機に対し、その投入口に供給ホッパを臨ませ、またその熱風吹込口に熱風炉を接続し、またその排出口に取出コンベヤを臨ませ、更にまたその排気口に乾燥ファンを接続して成る汚泥乾燥設備の運転方法において、前記汚泥乾燥設備には、前記乾燥機から排出される乾燥品の温度を測るための乾燥品温度センサが具えられ、更に前記乾燥機から排気される排気ガスの温度を測るための排気温度センサが具えられるものであり、乾燥品温度及び乾燥品温度の変化を条件部とし、排気温度設定値を結論部とするファジィ推論を行うことを特徴とする乾燥設備の運転方法。
- 内部に攪拌翼を具えた乾燥機に対し、その投入口に供給ホッパを臨ませ、またその熱風吹込口に熱風炉を接続し、またその排出口に取出コンベヤを臨ませ、更にまたその排気口に乾燥ファンを接続して成る汚泥乾燥設備の運転方法において、前記汚泥乾燥設備には、前記乾燥機から排出される乾燥品の温度を測るための乾燥品温度センサが具えられ、更に前記乾燥機から排気される排気ガスの温度を測るための排気温度センサが具えられるものであり、乾燥品温度及び乾燥品温度の変化を条件部とし、汚泥の投入速度設定値及び排気温度設定値を結論部とするファジィ推論を行うことを特徴とする乾燥設備の運転方法。
- 前記ファジィ推論は、前記条件部として挙げられた要件に加え、前記攪拌翼を回転させるモータに具えられた電流計の電流値および/または汚泥の投入速度設定値を条件部とするものであることを特徴とする請求項1、2または3記載の乾燥設備の運転方法。
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