JP2011067323A - 歩行補助車 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩行補助車の走行する前方に存在する路面の段差や障害物を検知することができる歩行補助車を提供する。
【解決手段】車体1は、下方の脚1bに前輪3と後輪4が支持されている。支持軸1aに把持部2bを有するハンドル2のハンドル軸2aが伸縮可能に取り付けられている。2つの脚1bの前部には、赤外線距離センサ8,9が下向きに取り付けられ、その上方の支持軸1aに赤外線距離センサ7が下向きに取り付けられている。使用状態では、各センサが反射点までの距離を測定し、測定した距離をそれぞれ閾値と比較する。前方に障害物は上昇する段差があると、測定した距離は閾値より小さくなるから検知でき、下降する段差の場合は、測定した距離は閾値より大きくなるから検知できるので、歩行補助車よりも先行する位置における路面の段差や地面よりもやや高い障害物を検出することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、健常な歩行に支障のある高齢者、障害者、リハビリテーション患者等の、歩行を補助することができる歩行補助車に関するものである。
歩行補助車は、健常な歩行に支障のある高齢者、障害者、リハビリテーション患者等の使用者の歩行を補助するために用いられるものである。特許文献1に記載されたものは、下部に4つの車輪が取り付けられ、上部にハンドルが設けられた車体を、使用者がハンドルの両端の把持部を握って押すことにより、上半身を安定させて歩行を補助するものである。この例では、使用者は、棒状のハンドルの両端の把持部を握るものであるが、特許文献2に記載されているように、使用者の身体を取り巻くように、手すりを設け、その前部に取り付けられた把持部を握るもの、あるいは、特許文献3に記載されている乳母車形状の手押し車は、後部の両側のフレームを上方に伸ばして連結した押し手を把持部とするものなど、様々な構造のものが用いられている。これらいずれのものも、車体の下部に前輪と後輪が設けられ、車体の上部に設けられた把持部を使用者が押しながら走行させて、使用者の歩行を補助する点で共通するものである。
しかしながら、上述した従来の歩行補助車は、特許文献3に記載されているように、制動特性については考慮されているものの、走行する路面の凹凸等の路面状態についての考慮はされておらず、必ずしも安全性については十分とはいえないものである。
特開2003−164500号公報 特開2000−157585号公報 特開平11−267162号公報
本発明は、歩行補助車の走行する前方に存在する石ころや落下物等の障害物や路面の段差を検知することができる歩行補助車を提供することを目的とするものである。
本発明は、車体の下部に前輪と後輪が設けられ、車体の上部に設けられた把持部を使用者が押しながら走行させて、使用者の歩行を補助する歩行補助車において、前記車体の前部の下方の同じ高さにおいて前方に向け、かつ下向きに取り付けられた少なくとも2つの赤外線距離センサと、前記車体の前部の前記少なくとも2つの赤外線距離センサの上方において前方に向け、かつ下向きに取り付けられた少なくとも1つの赤外線距離センサと、各赤外線距離センサがそれぞれ一定の距離を測定した場合の出力に対応した値を各閾値として記憶する記憶手段と、各赤外線距離センサの出力に対応した値をそれぞれの閾値に基づいて分析する信号分析手段を備え、前記少なくとも2つの赤外線距離センサの下向きの角度は、前記歩行補助車を平坦面に置いたときに前記平坦面における前記歩行補助車の前方の所定の距離にある基準位置に向けて距離測定を行う角度であり、前記少なくとも1つの赤外線距離センサの下向きの角度は、前記歩行補助車を平坦面に置いたときに前記平坦面における前記歩行補助車の前方の前記所定の距離と同じ程度の距離にある基準位置に向けて距離測定を行う角度であり、各赤外線距離センサにおける前記一定の距離は、それぞれの赤外線距離センサの位置からそれぞれの前記基準位置までの距離であることを特徴とするものである。
本発明によれば、使用者が歩行補助車の補助によって歩行する際に、段差や石ころ、落下物等の障害物を歩行している位置に先行して検知できるので、警告を発したり、ブレーキをかけることが可能であり、歩行補助車の安全性を向上させることができる。また、赤外線距離センサを高さを異ならせた位置に取り付けるとともに、下方において同じ高さに少なくとも2つの赤外線距離センサを取り付けて、各赤外線距離センサの出力を各赤外線距離センサにおける一定の距離に対応した閾値に基づいて分析するようにしたので、より確実に段差や障害物を検知することができる。
本発明の歩行補助車の一実施例を説明するための斜視図である。 本発明の歩行補助車の一実施例を説明するための側面図である。 ハンドルの具体例を使用者側からみた正面図である。 本発明に用いられる赤外線距離センサの説明図である。 距離測定センサユニットの一例の距離と出力電圧との関係を示す線図である。 距離測定センサユニットの一例の距離の逆数と出力電圧との関係を示す線図である。 本発明の一実施例の歩行補助車の動作の説明図である。 本発明の一実施例の歩行補助車の動作の説明図である。 本発明の一実施例の歩行補助車の動作の説明図である。 本発明の一実施例の歩行補助車の動作の説明図である。
図1,図2は、本発明の歩行補助車の一実施例を説明するためのもので、図1は斜視図、図2は側面図である。図中、1は車体、1aは支持軸、1bは脚、2はハンドル、2aはハンドル軸、2bは把持部、2cはブレーキレバー、2dは昇降ボタン、2eは把持部、3は前輪、4は後輪、5は座、6はブレーキペダル、7〜9は赤外線距離センサである。
車体1は、ハンドル軸2aを昇降可能に支持する支持軸1aと前後方向に延び、前部に比べて後部が開いた「ハ」字状の脚1bを左右に有し、それぞれ、前輪3と後輪4を支持している。ハンドル2aの上部に両端部が把持部2bとなっており、把持部2bに沿うようにブレーキレバー2cが設けられ、後輪4に取り付けられた図示しないブレーキ機構を作動させるようになっている。この例では、ブレーキは後輪4のみに設けられているが、前輪3のみに設けるようにしても、前輪3および後輪4の両方に設けるようにしてもよい。後輪4の支持軸は固定軸となっているが、前輪3には自在車を用いて、進行方向を自在に向けることができるようになっている。前輪3を固定軸とし、後輪4に自在車を用いてもよい。また、前輪3と後輪4の外径は、同じでもよく、一方の外径を他方の外径よりも大きくしてもよい。もちろん、本発明における歩行補助車の構造についても、図1,図2で説明した構造に限られるものではなく、下部に前輪と後輪を取り付けることができるとともに、上部に車体を押して走行させるための把持部が設けられていれば足りるものであり、特許文献1〜3にみられる構造のものでもよい。
昇降ボタン2dを押した状態にすると、ハンドル軸2aと支持軸1aとの係合が解除され、ハンドル軸2aを支持軸1aに対して昇降させることができ、昇降ボタン2dを離せば、ハンドル軸2aと支持軸1aとが係合され、その位置でハンドル軸2aを支持軸1aに止めることができる。把持部2eを回してハンドル軸2aと支持軸1aとの係合状態を固定することができ、昇降ボタン2dを押しても、ハンドル軸2aを支持軸1aに対して昇降させることができない。ハンドル軸の昇降は、使用者に適した高さとするためのものであるから、通常は、昇降動作は行われないものであるので、把持部2eによって、昇降ボタン2dを押しても、ハンドル軸2aを支持軸1aに対して昇降させることができないようにすることは、不用意な昇降動作が行われることを防止する観点から有効である。
座5は、下部を回動軸として車体1に取り付けられており、ほぼ水平面となるように後方に倒すようにして回動させることができ、使用者が腰を掛けて休むことができるようになっている。座を腰掛けに使用する場合には、ブレーキペダル6を踏んで、上述したブレーキ機構をロックして、歩行補助車が移動しないようにする。
本発明の特徴とする構造は、赤外線距離センサ7〜9を取り付けて後述するように、段差や障害物等を検知して警報を発することができるようにしたものである。
赤外線距離センサ8,9は、歩行補助車の下方の位置に取り付けられる。取付高さは、10〜25cmの高さ、すなわち、赤外線距離センサ7よりも低い位置に取り付けられており、両者の幅は、一般的な使用者の歩行の左右幅の程度とし、いずれも進行方向に平行であって、下向きに光スポットを照射し、反射光を検出するように方向付けられている。この実施例では、18cmの高さとして、脚1bの先端に取り付けた。下向きの角度は、歩行補助車を水平な床や地面等の平面に置いた場合に、歩行補助車の先端から0.5〜2mの範囲内、好ましくは、0.6〜1.2mの範囲内の距離、より好ましくは、70〜80cmの距離にある位置を照射するような角度とするのがよい。この実施例では、赤外線距離センサ8,9とも、歩行補助車の先端から75cmの距離にある位置を基準位置として、光スポットが基準位置を照射して距離を測定する角度としたが、必ずしも両者の照射距離を厳密に一致させる必要はなく、同じ程度の範囲内の距離であればよい。歩行補助車の先端から75cmの位置は、使用者が歩行補助車を利用した場合の平均的な歩行速度や、歩行補助車における赤外線距離センサの取付位置、障害物による乱反射光の受光効率等からみて、最適な距離である。
赤外線距離センサ7は、赤外線距離センサ8,9よりも高い位置に取り付けられる。赤外線距離センサ8,9の高さの1.5倍以上の高さが必要である。可能な限り高いのが望ましいが、歩行補助車の高さが限界である。この実施例では、30cmの高さとして、支持軸1aに取り付けた。照射光の方向は、正面であって、下向きに光スポットを照射し、反射光を検出するように方向付けられている。下向きの角度は、赤外線距離センサ8,9と同じ距離にある位置を基準位置として光スポットを照射して距離を測定する角度としたが、厳密に同じ距離でなくてもよく、赤外線距離センサ8,9と同じ程度の範囲内の距離にある位置を基準位置として光スポットを照射して距離を測定する角度とするのがよい。同じ程度の範囲内にある距離とは、10cm前後の範囲内にある距離であればよい。
本発明に用いられる赤外線距離センサについて説明する。図4は、PSD(Position Sensitive Detector :半導体位置検出素子)を用いた位置検出センサである。図中、21は光源、22はPSD、23,24はレンズ、25は検出物体である。光源21としては、赤外線を出射するLEDやLDが用いられる。レンズ23から検出物体までの距離、光源21とPSDの基準位置までの間隔をW、PSDにおける基準位置からPSDの受光面上での反射光の光スポットの重心位置までの距離をd、レンズ24の焦点距離をfとすれば、三角測量により、
L=W・f/d
となる。PSDは距離dに応じたアナログ電圧を出力することから、出力電圧によって距離Lを知ることができる。
このように、三角測量によって検出物体までの距離を得ることができるものであるから、反射光の位置の検出には、必ずしもPSDを用いるものに限られるものではなく、複数の受光素子を一方向にアレイ状に並べて、最大光量を受光した受光素子を検出し、その受光素子の位置の順位からdを得るようにしてもよい。したがって、本発明においては、光源からの赤外線の集束光を照射し、反射光の光スポットの重心位置を検出して三角測量により検出物体までの距離を検出するセンサを用いるものであり、換言すれば、光源と反射光の光スポットの重心位置を検出する位置検出センサを用いて距離を測定する赤外線距離センサを用いることが不可欠である。
試作機に使用したシャープ株式会社製の距離測定センサユニットの型番「GP2Y0AO2YK0F」(LEDとPSDが用いられている)について、カタログに記載された、距離と出力電圧との関係を図5に示し、距離の逆数と出力電圧との関係を図6に示す。図5に示すように、この距離測定センサユニットでは、測定物体までの距離に応じた出力電圧を出力するものであり、図6から分かるように、出力電圧は距離の逆数にほぼ比例している。したがって、出力電圧から測定物体までの距離を演算して、アナログやデジタルの演算結果を利用することができる。また、距離の値を演算することなく、出力電圧そのものをもって距離に応じた信号として利用することもできる。なお、PSDは、光スポットの重心位置に応じた電圧を出力するものであり、光量の依存性は極めて小さく、図5,図6のデータは、測定物体の反射係数が90%の場合であるが、18%の場合でも、ほとんど同じ出力電圧である。
図1,2に示した歩行補助車の赤外線距離センサ7〜9として、光源としてLED、受光素子としてPSDを用いた実施例について説明する。なお、この実施例ではPSDの出力電圧をA/D変換回路を用いてデジタル値に変換して信号分析を行うようにしたが、アナログ電圧値で信号分析を行ってもよいことは上述したとおりである。
図7は、障害物がない状態、すなわち、平坦な路面を走行している平常状態である。上述したように、この実施例では、赤外線距離センサ7と8は、歩行補助車10の前方75cmの距離の距離にある位置に光スポットが照射されている。照射光を破線で図示した。赤外線距離センサ9とその照射光は、図7では、赤外線距離センサ8とその照射光に重なっており、図示されていない。赤外線距離センサ7,8,9の照射光を上から路面に写した正射影では、赤外線距離センサ7の照射光が正面を向いており、赤外線距離センサ8,9の照射光は、赤外線距離センサ7の照射光の両側に平行に向いている。
それぞれの赤外線距離センサの照射光は路面に斜めに入射する。路面が鏡面でない限り、乱反射による反射光の一部が赤外線距離センサのPSDに入射し、入射した光スポットの重心位置に応じた出力電圧は、75cmの距離を測定した場合の出力電圧、図5では0.8Vである。しかしながら、この75cmは、実際は、歩行補助車10の先端位置からの水平距離であるところ、赤外線距離センサ7,8,9が測定する距離は、直角三角形の斜辺の距離であるから、75cmより大きな距離となり、さらに、赤外線距離センサ7は、それを取り付けている支持軸1aが後方に傾斜しているから、それよりもさらに大きい距離となるが、説明の簡便さのために、すべて75cmとして説明する。75cmを測定した場合、すなわち、歩行補助車10を平坦面に置いて障害物や段差がない図7の場合に、それぞれの赤外線距離センサの出力を、信号分析を行うためのA/D変換されたデジタル値は、距離75cmに対応する平常状態の値であり、これを、それぞれの赤外線距離センサの閾値ということにする。なお、それぞれの赤外線距離センサの光源LEDからの照射光は、パルス状に間欠的に出射される。この実施例では、制御部の制御によって、40msecの周期で、繰り返し照射が行われ、その1周期内で受光と、A/D変換、および、信号分析が行われる。制御部においては、赤外線距離センサ7,8,9のそれぞれの閾値を記憶する記憶手段と、この閾値に基づいて信号分析を行う信号分析手段を有している。閾値については、上述したように、実際は、それぞれの赤外線距離センサによって異なる値であるから、それぞれの赤外線距離センサ7,8,9におけるそれぞれの固有の閾値として記憶される。各赤外線距離センサにおける閾値は、それぞれの赤外線距離センサの位置からそれぞれの基準位置までの距離に対応した値であるということもできる。
図8は、前方に障害物Pがある場合の説明図である。障害物Pが75cmより少し近くなったところに歩行補助車10が進行すると、赤外線距離センサ7,8,9においては、光スポットが障害物Pからの反射光によって距離を測定するが、測定した距離は75cmより小さくなり、PSDの出力電圧は大きくなるから、デジタル値は大きい値となる。制御部では、このデジタル値を閾値と比較し、閾値よりも大きい場合に検知信号を出力する。
障害物Pの高さによっては、歩行補助車10がさらに進行して障害物Pが照射光の下に入ってしまい、照射光が障害物の上方を通過するようになると、検知ができない。低い障害物を検知し続けようとするには、赤外線距離センサを低い位置に設置するのがよい。したがって、赤外線距離センサ7に比べて、赤外線距離センサ8,9は、障害物の検知により適しているといえるから、この実施例では、赤外線距離センサ8,9を障害物センサと呼ぶことにする。障害物は、壁のように幅が広いものは別として、石ころや落下物のような障害物は、進行方向から見た幅は、小さいものが普通であり、1つだけの赤外線距離センサでは、検知漏れが生じやすい。したがって、障害物センサは、複数を並置するのがよい。
図9は、前方に上昇する段差Qがある場合の説明図である。段差Qが75cmより少し近くなったところに歩行補助車10が進行すると、赤外線距離センサ7,8,9においては、光スポットが段差Qの上昇した面に当たり、測定した距離が75cmより小さくなって、PSDの出力電圧は大きくなるから、デジタル値は大きい値となる。制御部では、このデジタル値を閾値と比較し、閾値よりも大きい場合に検知信号を出力する。
段差Qは、歩行補助車が位置する面よりも上昇している面が継続する限り、検知し続ける。段差Qを検知するには、赤外線距離センサを高い位置に設置するのがよい。低い位置に設置すると、照射光が段差面と平行に近づき、歩行補助車10の多少の上下動で、測定距離が変化し、測定値に誤差が生じやすい。したがって、段差Qの検知には、赤外線距離センサの取付位置が高い方がよく、赤外線距離センサ8,9に比べて、赤外線距離センサ7は、段差Qの検知により適しているといえる。後述するように、下降する段差でも同じことがいえるから、この実施例では、赤外線距離センサ7を段差センサと呼ぶことにする。
図10は、前方に下降する段差Rある場合の説明図である。段差Rが75cmより少し近くなったところに歩行補助車10が進行すると、赤外線距離センサ7,8,9においては、光スポットが段差Rの下降した面に当たり、測定した距離が75cmより大きくなって、PSDの出力電圧は小さくなるから、デジタル値は小さい値となる。制御部では、このデジタル値を閾値と比較し、閾値よりも小さい場合に検知信号を出力する。
段差Rは、歩行補助車が位置する面よりも下降している面が継続する限り、検知し続ける。段差Rを検知するには、段差Qと同様に、赤外線距離センサを高い位置に設置するのがよい。低い位置に設置すると、照射光が段差面と平行に近づき、歩行補助車10の多少の上下動で、測定距離が変化し、測定値に誤差が生じやすい。したがって、段差Rの検知には、赤外線距離センサの取付位置が高い方がよく、赤外線距離センサ8,9に比べて、赤外線距離センサ7は、段差Rの検知により適しているといえることは、上述した上昇する段差Qの場合と同様であり、赤外線距離センサ7は上述したように段差センサと呼ぶのがよい。
段差は、上昇する段差、下降する段差とも、進行方向から見た幅は、歩行の左右幅に比べて大きいものが普通であるから、段差センサは、横に複数設ける利点は小さく、1つでもよく、複数個を設けるのならば、高さを異ならせて複数段に設置するのがよい。
制御部では、閾値との比較を行うことは上述したとおりであるが、障害物センサである赤外線距離センサ8,9では、下降する段差Rは検知しないようにすることができる。そのようにするには、赤外線距離センサ8,9よりのデジタル値と閾値との比較は、閾値より大きい場合のみ、すなわち、測定した距離が平坦面を測定した場合の距離よりも小さくなったときに検知信号を出力するようにする。段差センサである赤外線距離センサ7では、上昇する段差Qは、立ち上がり面を障害物Pと同様に、障害物センサである赤外線距離センサ8,9で検知できるから、段差センサである赤外線距離センサ7は、閾値より小さい場合のみに検知信号を出力するようにしてもよい。このようにした場合には、障害物センサは、障害物と上昇する段差を検出するのであるから、閾値との比較は、閾値よりも大きい場合、すなわち、測定した距離が平坦面を測定した場合の距離よりも小さくなったことのみを検知するようにし、段差センサは、降下する段差のみを検出すれば足り、閾値との比較は、閾値よりも小さい場合のみ、すなわち、測定した距離が平坦面を測定した場合の距離よりも大きくなったことのみを検知するようにすることができる。このようにした場合は、上昇する段差は、障害物と同様にみることができ、赤外線距離センサ8,9を障害物センサと呼び、段差センサと呼ぶ赤外線距離センサ7は、下降する段差のみを検知するものとなる。
上述した制御部での信号分析は、閾値と比較する赤外線距離センサからのデジタル値が、距離の増加ともに減少する関係であることを前提としたものである。閾値と比較する赤外線距離センサからの信号の大きさが、距離の増加ともに増加する関係である信号を用いる場合には、閾値との大小関係が逆転することは明らかである。したがって、本発明においては、障害物と上昇する段差は、距離が平常の値よりも小さくなるものとして検出し、降下する段差は、距離が平常の値よりも大きくなるものとして検出するものであるといえる。
制御部からの出力によって、警報回路を作動させるようにできる。警報回路は、LED等の発光素子を発光させたり、発振回路を作動させて音響を発生させたり、あるいは、メモリに記憶された音声データを読み出して発音させたり、表示回路を作動させることができる回路である。これら発光手段や発音手段のいずれか1つでもよく、発光手段と発音手段の両方を動作させるなど、複数手段の警報を発するようにしてもよい。また、ブレーキを作動させるようにしてもよい。
図3は、ハンドルの具体例を使用者側からみた正面図である。図中、2aはハンドル軸、2bは把持部、2cはブレーキレバー、11は電源スイッチ、12はチャイム用スイッチ、13は警告表示灯、14はスピーカ、15はケースである。
電源スイッチ11は、赤外線距離センサを含めた電気回路のオン・オフ用のスイッチであり、チャイム用スイッチ12は、押している間だけ図示しないチャイムをならすことができる。警告表示灯13は、段差や障害物を検出した際に点灯して、使用者に警告する。スピーカ14は、上述した発音手段として用いられる。上述したA/D変換回路、制御部や電源は、ケース15に内蔵され、これらスイッチや、表示灯,スピーカ,チャイム、赤外線距離センサ等との接続は、ハンドル軸2aに内装されたケーブルを介して行われている。
1…車体、1a…支持軸、1b…脚、2…ハンドル、2a…ハンドル軸、2b…把持部、2c…ブレーキレバー、2d…昇降ボタン、2e…把持部、3…前輪、4…後輪、5…座、6…ブレーキペダル、7〜9…赤外線距離センサ、10…歩行補助車。

Claims (9)

  1. 車体の下部に前輪と後輪が設けられ、車体の上部に設けられた把持部を使用者が押しながら走行させて、使用者の歩行を補助する歩行補助車において、
    前記車体の前部の下方の同じ高さにおいて前方に向け、かつ下向きに取り付けられた少なくとも2つの赤外線距離センサと、
    前記車体の前部の前記少なくとも2つの赤外線距離センサの上方において前方に向け、かつ下向きに取り付けられた少なくとも1つの赤外線距離センサと、
    各赤外線距離センサがそれぞれ一定の距離を測定した場合の出力に対応した値を各閾値として記憶する記憶手段と、
    各赤外線距離センサの出力に対応した値をそれぞれの閾値に基づいて分析する信号分析手段を備え、
    前記少なくとも2つの赤外線距離センサの下向きの角度は、前記歩行補助車を平坦面に置いたときに前記平坦面における前記歩行補助車の前方の所定の距離にある基準位置に向けて距離測定を行う角度であり、
    前記少なくとも1つの赤外線距離センサの下向きの角度は、前記歩行補助車を平坦面に置いたときに前記平坦面における前記歩行補助車の前方の前記所定の距離と同じ程度の距離にある基準位置に向けて距離測定を行う角度であり、
    各赤外線距離センサにおける前記一定の距離は、それぞれの赤外線距離センサの位置からそれぞれの前記基準位置までの距離であることを特徴とする歩行補助車。
  2. 前記少なくとも2つの赤外線距離センサは、10〜25cmの高さに取り付けられ、前記少なくとも1つの赤外線距離センサは、前記少なくとも2つの赤外線距離センサの高さの1.5倍以上の高さに取付られていることを特徴とする請求項1に記載の歩行補助車。
  3. 前記信号分析手段は、前記少なくとも2つの赤外線距離センサの出力に対応した値に対しては、それぞれの赤外線距離センサにおける前記一定の距離よりも小さい距離であることを検知するようにそれぞれの赤外線距離センサにおける前記閾値に基づいて分析をすることを特徴とする請求項1または2に記載の歩行補助車。
  4. 前記信号分析手段は、前記少なくとも1つの赤外線距離センサの出力に対応した値に対しては、それぞれの赤外線距離センサにおける前記一定の距離よりも大きい距離であることを検知するようにそれぞれの赤外線距離センサにおける前記閾値に基づいて分析をすることを特徴とする請求項1または2に記載の歩行補助車。
  5. 前記信号分析手段は、前記少なくとも2つの赤外線距離センサの出力に対応した値に対しては、それぞれの赤外線距離センサにおける前記一定の距離よりも小さい距離であることを検知するようにそれぞれの赤外線距離センサにおける前記閾値に基づいて分析をし、前記少なくとも1つの赤外線距離センサの出力に対応した値に対しては、それぞれの赤外線距離センサにおける前記一定の距離よりも大きい距離であることを検知するようにそれぞれの赤外線距離センサにおける前記閾値に基づいて分析をすることを特徴とする請求項1または2に記載の歩行補助車。
  6. 前記信号分析手段からの検知信号によって、発音手段および/または発光手段を作動させるようにしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の歩行補助車。
  7. 前記歩行補助車の前方の前記所定の距離が0.5〜2mの範囲内の距離であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の歩行補助車。
  8. 前記歩行補助車の前方の前記所定の距離が0.6〜1.2mの範囲内の距離であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の歩行補助車。
  9. 前記歩行補助車の前方の前記所定の距離が70〜80cmの範囲内の距離であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の歩行補助車。
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