JP2011064045A - コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材、その使用方法 - Google Patents

コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材、その使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材を提供する。
【解決手段】コンクリート構造物の支柱孔に埋設する残置用補強部材10であって、コイル状線材10aと線材に間隔を空けて固着されたスペーサ11aとを有し、スペーサはコイル状の線材に挿通するために貫通孔11cを有する。残置用補強部材は、線材を円形状に形成しその一部を切断除去して除去部13aを形成したものをリングとし、このリングを複数個、その除去部が同一方向を向くようにして、支柱13bに高さ方向に間隔を空けて固着し、リング上に間隔を空けて固着されたスペーサを有することを特徴とすることもできる。線材をコイル状に形成し、スペーサの代わりとして線材をコイル内側に山形状に折曲させ形成した折曲部14aを有することを特徴とすることもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンクリート構造物に埋設残置される残置用補強部材において、該補強部材がコンクリート構造物の支柱孔形成装置内の抜取用ボイドの外壁面に嵌装され、コイル状等に形成された線材から成る、支柱孔の型崩れ防止、クラック防止、フェンス落下防止のための残置用補強部材を提供する。
一般に、フェンス等の支柱を立設する際には、支柱を立設するための支柱孔を基礎面に予め設けておき、このような支柱孔に支柱を挿入してモルタルやコンクリートなどを支柱孔の隙間に流し込んで固化させる。このため、支柱孔に対応した寸法のボイド型枠を、コンクリート構造物の形成領域内の所定位置に設定した後、この形成領域枠内に流動コンクリートを流し込み、固化後にボイド型枠を取除くことによりコンクリート構造物に支柱孔を形成していた。従来のボイド型枠としては紙管製のものが多く用いられ、基礎コンクリートを現場施工した場合には、コンクリートの固化後に型枠と一緒に取り外している。そして、ボイド型枠により形成された支柱孔内に支柱を配置した後、この支柱孔内にモルタルや生コンクリートを詰め込んで孔周囲の隙間を埋める作業を行っている。
このようなボイド型枠などを用いた施工技術に関連して、例えば特許文献1(特開2004−300892号公報)には、合成樹脂材や金属材などからなる筒状ボイド本体の両端に、先端側に行くに従って縮径した形状の配管保持部材を取り付けて成るボイドが記載されている。このボイド本体は型枠に固定し、コンクリート打設後もそのまま壁内に残される。
さらに、特許文献2(特開平9−144311号公報)には、コンクリートを打設する前に紙製の空所形成管、即ちボイド管を型枠に固定するための固定具において、ボイド管の位置を所定位置に決定することができるため作業性や精度が向上し、またボイド管が水分や荷重によって潰れることを防止するボイド管固定具が記載されている。
特開2004−300892号公報 特開平9−144311号公報
特許文献1などのように合成樹脂管や金属管などからなるボイドでは、現場の施工条件に合わせた長さ調整などに手間と時間がかかるとともに、ボイド材がすべて使い捨てとなることから価格面や省資源の観点から好ましくない。
また、特許文献2に記載の紙製のボイド管を型枠に固定するための固定具では、ボイド管の位置を所定位置に決定することができるため作業性や精度が向上するものの、固定具はボイド管の潰れを防止するものであり、支柱孔自体の型崩れを防ぐものではなく、ボイド管を取り除いた際に型枠が崩れる危険性を孕むという問題があった。
さらに、従来の支柱支持装置においては、例えばフェンス等の支柱に乗用車が衝突した場合に支柱に衝撃が加わり、支柱が支柱孔から容易に抜けてしまうという問題があった。
本発明は、このような問題点に鑑みて提案されるものであり、コンクリートを打設し、コンクリート硬化後に紙管製のボイド枠を抜き取り、形成された支柱孔の周囲に引き続き残置されて、支柱孔の型崩れ防止と同時に支柱孔の周囲を補強する補強筋としての役割を果たすコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材を提供することを目的とする。
また、残置用補強部材の内側に装入される抜取用ボイドの外枠が大きい場合でも、補強部材の内径を拡張して適用可能なコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材を提供することを別の目的とする。
(1)前記課題を解決するため、本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、コンクリート構造物の支柱孔に埋設されて残置される補強部材において、1条のコイル状の線材と、該コイル状の線材に間隔を空けて固着されたスペーサを有することを特徴とする。
(2)本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、前記(1)において、前記スペーサが、前記1条のコイル状の線材に挿通するために貫通孔を有する円盤であることを特徴とする。
(3)本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、前記(2)において、前記スペーサが、前記1条のコイル状の線材に外方から挿入するための開口部を有することを特徴とする。
(4)本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、前記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記残置用補強部材は、1条のコイル状にしたものを、抜取用ボイドの高さに合わせて所定寸法に切断したものであることを特徴とする。
(5)本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、
線材を円形状に形成し、その一部を切断除去して除去部を形成したものをリングとし、
このリングを複数個、その除去部が同一方向を向くようにして、
支柱に高さ方向に間隔を空けて固着し、
該リング上にスペーサを間隔を空けてスペーサが固着されていることを特徴とする。
(6)本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、
線材をコイル状に形成し、線材をコイル内側に、間隔を空けて山形状に折曲させ形成した折曲部を有することを特徴とする。
本発明は、コンクリートを打設し、コンクリート硬化後に紙管製のボイド枠を抜き取り、形成された支柱孔の周囲に引き続き残置されて、支柱孔の型崩れ防止と同時に支柱孔の周囲を補強する補強筋としての役割を果たす残置用補強部材を提供する。また、残置用補強部材の内側に装入される抜取用ボイドの外枠が大きい場合でも、本補強部材の形状をコイル状等にすることにより、内径を拡張できるため適用可能であるという特徴を有する。
本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施の一形態の、第一例を示す説明図である。 本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施の一形態の、第二例を示す説明図である。 本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施の一形態の、第三例を示す説明図である。 本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材を真上から見た上面図である。 支柱孔形成装置を用いて支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の取付に関する説明図である。 支柱孔形成装置を適用した支柱孔形成方法の説明図である。 コンクリート構造物の支柱孔形成装置を適用した支柱孔形成方法を示す説明図である。 本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施の一形態の、第四例を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係るコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材は、コンクリート構造物に埋設残置される残置用補強部材において、該補強部材がコンクリート構造物の支柱孔形成装置内の抜取用ボイドの外壁面に嵌装され、コイル状等に形成された線材、であることを特徴とする。これによって抜取用ボイドの径が多少大きくなってもその外周壁に嵌装することができ、抜取用ボイドを抜き取った後、コンクリート内に残置されて支柱孔の周囲を補強する補強筋としての役割を果たす。
本実施形態に係る残置用補強部材としては、鋼やアルミなどの金属製の線材を、コイル状や、円状の線材の一部を切断除去したリング状に形成したものが挙げられ、支柱孔形成装置によって形成された支柱孔の周囲に残置されて、支柱孔の型崩れ防止、クラック防止、フェンス落下防止のための残置用補強部材として機能させるものであり、予め円筒状を呈した抜取用ボイドの外周壁に嵌装して固定しておく。
残置用補強部材は、コイル状等にすることによって、抜取用ボイドの径が多少大きくなってもその外周壁に嵌装することができ、抜取用ボイドを抜き取った後、コンクリート内に残置されて支柱孔の周囲を補強する補強筋としての役割を果たす。また、残置用補強部材は、抜取用ボイドに嵌装されたときに抜取用ボイド外壁と所定の間隔を保つため、スペーサを設けておくことが好ましい。
すなわち、コンクリートを硬化させた後、その上部を覆うコンクリートを破壊して抜取用ボイドを抜き取るとそこにフェンス基部などを固定するための支柱孔が形成されるが、その形成された支柱孔表面からスペーサの間隔距離分だけ外方向(抜取用ボイドの中心方向と逆方向)に残置用補強部材が配置されて、コンクリートの内部に埋め込まれたままにすることにより、支柱孔表面のコンクリートの型崩れ破損やクラック発生をより効果的に防止することができるのである。
また、残置用補強部材にスペーサを設けておくことで、抜取用ボイドと残置用補強部材との隙間に生コンクリートが流入され、残置用補強部材の露出を抑え、錆発生などの防止ができる。なお、このような残置用補強部材は、鋼線材などからなる長尺線材を予めコイル状等に形成しておき、適宜な縦方向(高さ)のサイズに切断して用いることができる。
鋼などの線材からなる残置用補強部材の太さは1〜32mmの範囲とすることが好ましい。これは、鋼線材の太さが1mmより少ないと残置用補強部材による支柱孔周囲の補強効果が著しく減少する傾向が強まり、32mmを超えるとコスト高となるからである。なお、コイルの巻き回数は、多数回である方が強度的には好ましいが、本発明においては規定するものではない。
抜取用ボイドは、その全体が略円筒状に形成され生コンクリート中に埋設してコンクリート硬化後に抜き取ることによって、フェンス部分などの基端部を支持するための支柱孔が形成されるようになっている。
抜取用ボイドは、例えば、巻き芯などに用いられるボイド管と呼ばれる厚めの紙でできた円筒、角筒などの筒状の管素材が挙げられるが、これに限定されるものではなく、塩ビなどの合成樹脂材料や鉄管などの金属材料、木材などでもよい。
この抜取用ボイドは、支持軸部材に貫通して配置された複数の円盤状鍔部の周端を、この抜取用ボイドの円筒状内壁面に当接させられることで支持軸部材に固定保持されるように構成されている。また、抜取用ボイドを吊り下げるようにして固定保持する支持軸部材は、その上部がフェンス施工現場などにおけるコンクリート基礎の基礎枠体に取り付けられた把持部を介して、支柱孔が形成される施工予定位置に固定配置される。
スペーサは、例えば、金属製の直径5〜100mm程度の円盤から成る。円盤の中心に本発明に係る補強部材を形成する線材を貫通させ、スペーサと線材を固着して残置用補強部材を構成する。補強部材がコイル状の場合は、補強部材上端部からみた際に、コイル1周につきスペーサ3個程度が均等間隔に配置されていることが好ましい。この構造により、残置用補強部材が抜取用ボイドに嵌装されたときに安定的に抜取用ボイド外壁と所定の間隔を保つことができる。また、スペーサは円盤に貫通孔を形成した形状のみならず、開口部を設けて、コイルの外方から線材に固着するようにしてもよい。また、スペーサと線材との固着状態をより強固なものにするために、円盤型のスペーサ貫通孔両側に円筒管を突設したものを使用してもよい。
コンクリート構造物の支柱孔形成装置は、前記残置用補強部材が前記抜取用ボイドの外壁面に嵌装されて保持される太さが1〜32mmの線材によりコイル状に巻き回されて形成され、構成されている。これによって、コンクリート構造物に形成される支柱孔周囲をコイル状に巻き回された鋼線材により有効に補強する補強筋としての役割を果たすことができる。さらに、残置用補強部材をコイル状にすることによって、その内側に装入される抜取用ボイドの外径が大きくても、コイル内径を拡張できるので適用できる抜取用ボイドの外径範囲が広がる。
また、残置用補強部材のスペーサで抜取用ボイドを締め付けて残置用補強部材を配置することにより、支柱孔周囲に応力を付加させることにより支柱孔表面のコンクリートの強度を増すことができ、支柱に局部的に強い力が加わっても支柱を抜けにくくし、支柱の耐久性を向上することができる。
コンクリート構造物の支柱孔形成装置は、前記抜取用ボイドが紙管材により円筒状に形成されるとともに、その開口した円筒上端が上蓋部により封止されるように構成されている。また、前記抜取用ボイドの円筒下端を粘着テープなどの粘着性を有する下蓋部により封止することもでき、この場合、支持軸部材に貫通して配置された円盤状鍔部の下面に接着させることによって、抜取用ボイドを支持軸部材に強くかつ簡易に固定保持できる。
コンクリート構造物の支柱孔形成装置は、前記支持軸部に貫通して上下動可能に配置され、コンクリート硬化後の前記抜取用ボイド上部をその上端面に沿って円形状に打撃して破砕するコンクリート切除部材を備えている。これによって、作業環境が制約を受けることの多い施工現場などにおいても、支柱孔の形成作業をいつでも容易かつ効率的に行なうことができる。
以下、図面を用いて本発明の実施例について説明する。
図1は、本発明のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施例1を示す説明図である。図示するように、実施例1の残置用補強部材10は、鋼線材10aなどによりその全体がコイル状に形成されて補強筋としての役割を有するものであり、打設された生コンクリートの硬化後に撤去される円筒状に形成された抜取用ボイド12の外壁面に嵌装して用いられる。
残置用補強部材10は、例えば、太さが約5mmの長尺線材10aを3回半巻き回して1条のコイル状にしたものを、抜取用ボイド12の大きさに合わせて所定寸法に切断したものを用いる。すなわち、前記抜取用ボイド12の外径や高さを考慮して適宜な寸法に切断して形成する。抜取用ボイド12が、例えば外径が50mm、長さが100mmの紙管材である場合、実施例1の残置用補強部材10は、その抜取用ボイド12の大きさに合わせて切断して用いる。
なお、抜取用ボイド12の外径が大きい場合においても、実施例1の残置用補強部材10はコイル形状であるため、残置用補強部材10のコイル径を広げて、抜取用ボイド12の外壁面に嵌装することが可能である。
また、抜取用ボイド12の外径が小さい場合は、抜取用ボイド12の外径に合わせて残置用補強部材10のコイルに固着するスペーサ11の大きさを適宜調整することで、残置用補強部材10を抜取用ボイド12の外壁面に固定できる。
スペーサとしては、例えば、以下のものが挙げられる。
図1のスペーサ11aは、図示するように、外径20mmの鉄製のドーナツ状のものである。スペーサ11aは、ドーナツ状の円盤の中央に、残置用補強部材10の線材10aを挿通させる直径約5mm径の貫通孔11dが予め形成されている。複数のスペーサ11aをコイル状の残置用補強部材10の一端から挿通させて、適宜な間隔を空けてコイル状の残置用補強部材10上に固着させる。固着手段としては、例えば電気溶接方法などを用いることができる。
次に、図1に示すスペーサ11bは、その中央に残置用補強部材10を挿通させるための貫通孔11eが形成されていることはスペーサ11aと同様であるが、貫通孔11eの一部に開口部11fを設けている点で異なっている。このため、スペーサ11bをコイル状の残置用補強部材10に固着する場合は、残置用補強部材10の一端から挿通させて残置用補強部材10の適宜な位置まで巻き回して間隔をおいて配置する必要がなく、開口部11eを残置用補強部材10の外方から挿入することにより、残置用補強部材10の適宜な位置に固着することができる。
また、図1に示すスペーサ11cは、その中央に残置用補強部材10を挿通させるための貫通孔が形成されていることはスペーサ11aと同様であるが、その貫通孔両側に円筒管11gを突設している点で異なっている。このため、スペーサ11cをコイル状の残置用補強部材10の一端から挿通させて、適宜な間隔を空けてコイル状の残置用補強部材10上に固着する際に、該円筒管11gにかしめ接合を施すことで、スペーサ11cがその位置を移動しないように強固に固着させることが可能である。他の固着手段としては、前記同様、例えば電気溶接方法などを用いることができる。
なお、スペーサは、残置用補強部材のコイル1周につき3個が均等間隔に配置されていることが好ましい。このような配置により、残置用補強部材が抜取用ボイドに嵌装されたときに抜取用ボイド外壁と均等な間隔を保つことができる。
しかし、本発明においては、コイル1周につき配置するスペーサの数は、3個に限定するものではなく、4個以上でもよい。
図2は、コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施例2を示す説明図である。図示するように、実施例2の残置用補強部材13は、線材10aに間隔をおいてスペーサ11が配置されている点で、実施例1の残置用補強部材10と同様であるが、線材10aが1条のコイルでない点、線材10aの一部が切断除去されている点で異なる。
実施例2の残置用補強部材13は、例えば、5mm径の線材を円形状に形成し、その一部を20mm程度切断除去して除去部13aを形成したものをリングとし、このリングを複数個、その除去部13aが同一方向を向くようにし、支柱13bに高さ方向に等間隔を空けて、溶接などの方法で固着したものである。
実施例2の残置用補強部材13は、リング上にスペーサ11を簡易に取り付けられる点において実施例1の残置用補強部材10に比較して作業性がよいという利点がある。また、抜取用ボイド12の外径が大きい場合においても、実施例2の残置用補強部材13は除去部13aを有しているため、残置用補強部材13の径を広げて、抜取用ボイド12の外壁面に嵌装することが可能である。
図3は、コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施例3を示す説明図である。図示するように、実施例3の残置用補強部材14は、例えば、太さが約5mmの長尺線材10aを3回半巻き回して1条のコイル状にしたものを、抜取用ボイド12の高さに合わせて所定寸法に切断したものを用いる点で、実施例1の残置用補強部材10と同様であるが、スペーサを配置しない点、またスペーサの代わりとして線材10aを等間隔でコイル内側に折曲させた折曲部14aを形成する点で異なる。
実施例3の残置用補強部材14は、例えば、太さが約5mmの長尺線材10aを3回半巻き回して1条のコイル状にし、抜取用ボイド12の高さに合わせて所定寸法に切断し、線材10aをコイル内側に等間隔に折曲させて形成した折曲部14aを有するものである。折曲部14aは図示するように、抜取用ボイド12の外径に合わせて、線材10aが内側に角度約45度で折り曲げられコイル内側に山形部を形成したものである。折曲部14aがスペーサと同様の役割を果たすことにより、実施例1、2と比較してスペーサを残置用補強部材に取り付ける必要がないという利点がある。
図4は、本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施例1、2、3を真上から見た上面図である。
(a)は実施例1を真上から見た上面図である。上述の通り、スペーサ11は残置用補強部材10に等間隔に固着しており、抜取用ボイド12を支持する大きさに調整されている。これにより、残置用補強部材10が抜取用ボイド12に嵌装されたときに安定的に抜取用ボイド外壁と所定の間隔を保つことができる。
(b)は実施例2を真上から見た上面図である。また、(c)は実施例3を真上から見た上面図である。
図5は、支柱孔形成装置を用いて支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の取付に関する説明図である。図示するように、抜取用ボイド12は、例えば、その厚みが約2〜15mm、外径が30〜300mm、長さが約50〜1000mmの紙管材であって、支持軸部15に鍔状に設けられた複数の円盤状受部15aの円周縁にその内筒面が当接して保持される。そして、この支持軸部15に吊り下げられるように保持された抜取用ボイド12の上下端におけるそれぞれの開口端は、その幅が約30〜300mmの上蓋部及び下蓋部として粘着テープ16を用いて貼着することで封止するようになっている。なお、段ボール材や金属材、木材などにより円板状に形成した上蓋や下蓋を、接着材や粘着テープを介してこのような抜取用ボイド12に装着して用いるようにしてもよい。
残置用補強部材10は、鋼線材10aなどによりその全体がコイル状に形成されて補強筋としての役割をするものであり、図示するように、前記抜取用ボイド12の外壁面に嵌装して用いられる。
図6は、支柱孔形成装置を適用した支柱孔形成方法の説明図である。図示するように、コンクリート構造物の支柱孔形成装置19は、フェンス基礎を施工する工事領域内の支持台18などから水平方向に延設されたボイド型枠把持部17と、このボイド型枠把持部17の先端側を貫通して上下動自在に垂下されて所定位置に固定される支持軸部15と、この支持軸15の下端側に抜取用ボイド12を備えている。
図7は、コンクリート構造物の支柱孔形成装置を適用した支柱孔形成方法を示す説明図である。以下、本実施例の残置用補強部材を用いた支柱孔形成方法について説明する。
まず、フェンスなどを立設する工事現場においてフェンス基礎となる支持台18の支持軸部15に取り付ける。このとき、紙管材からなる抜取用ボイド12を支持軸部15の円盤状受部15aに装着する。そして、粘着テープ16を予め所定長さに切断して、その粘着テープ片の中央に粘着テープ開孔治具を用いて開口を形成する。こうして、この粘着テープ16を抜取用ボイド12の上下端に多重状に貼り付けて封止するのである。次に、粘着テープ片により封止された抜取用ボイド12に、残置用補強部材10を装着して、図7(a)に示すように、支持軸部15の長さを調整して、このような抜取用ボイド12及び残置用補強部材10をコンクリート構造物のフェンスやガードレールなどの基礎の支柱孔形成位置に配置する。
次に、施工現場のフェンス支柱が立設される支柱位置に配置された抜取用ボイド12及び残置用補強部材10の周囲に、コンクリートミキサ車などに保持された未硬化のコンクリートCを流し込んで硬化させる(図7(b))。
そして、図7(c)に示すように、支持台18などを撤去した後、支持軸部15にコンクリート切除部材23を装着して、コンクリート硬化後の抜取用ボイド上部をその上端面に沿って円形状に打撃して破砕する。こうして、円盤状に切断された抜取用ボイド上部を抜き取ることができる(図7(d))。
ここでは、コンクリートが抜取用ボイド12の上を被覆した状態で硬化しても、その被覆コンクリート部分はその下方が変形自在の粘着テープで支持されているだけなので、被覆コンクリート部分を容易に破壊できる。こうして、支持軸部15、円盤状受部15aを抜き取って再利用することができる。
次に、このように形成された開口部から支持軸部15及び円盤状受部15aを引き上げて取り外すことによって、図7(e)に示すようにコンクリート構造物の支柱孔21が形成されるのである。なお、紙管材からなる抜取用ボイド12は、この時点では支柱孔21内に残置し後に除去するようにしているが、円盤状受部15aとともに支柱孔21から取り外すようにしてもよい。
最後に、フェンス用支柱22の下端部分をこの支柱孔21に挿入して、生コンクリートを充填固定することで本発明に係る残置用補強部材10により補強されたコンクリート基礎が施工されるようになっている(図7(f))。
なお、本発明のスペーサ11として図8に示すものも考えられる。本発明であるコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材の実施の一形態の、第四例を示す説明図である。
図8のスペーサ11hは、図1のスペーサの変形例であり、残置用補強部材10の上方からコイル状の線材10aを挟むようにして上部(外方)から挿入して、スペーサの背中(挿入時の上側)をコイル内部側に倒すように回転させスペーサ11hの4本足をコイル外方に向けて固着するようにする。図8(a)では、スペーサ11hは、残置用補強部材10の上方及び下方のそれぞれ左右2箇所に固着されている状態を示している。
このようにして、スペーサ11hを固着した残置用補強部材10のスペーサ11hの背中を抜取用ボイドの外側に接するようにして嵌装した後、図8(b)に示すように、スペーサ11hの足側を型枠25の内側壁に当接して、残置用補強部材10が型枠の中心部に位置させる。
図8の残置用補強部材10は、型枠25内側の中心に位置させることができるので、図6に示すような支持軸部15のような装置は不要となる。
上述したように、本発明に係る残置用補強部材は、抜取用ボイドの外周面に設けた補強筋としての役割を果たし、抜取用ボイドを除去しても支柱の下部を支えることにより、支柱に強い力が加わっても支柱が抜けてしまうことを防止するものである。つまり、支柱の上部に強い衝撃が加わるような状態では、残置用補強部材はこの支柱に押され、外力方向に弾性変形する。したがって、支柱下部において残置用補強部材が、補強部材が存在しない従来構造の場合と比較して広範囲で弾性変形し、部分的に大きな応力が発生することを防止することができる。
残置用補強部材が存在しない従来構造の場合には、支柱に強い力が加わった際に支柱が抜けてしまうことを防止することができない。これに対して、本発明の残置用補強部材を備えた場合には、当該補強部材が一種の緩衝材として機能して、支柱上部に強い力が加わった場合でも、大きな応力が加わることを防止することができ、支柱の耐久性向上を図れる。
以上説明したように、実施例の残置用補強部材は、コンクリートを打設し、コンクリート硬化後に紙管製の抜取用ボイドを抜き取った後においても、形成された支柱孔の周囲に引き続き残置されて、支柱孔の型崩れ防止と同時に支柱孔の周囲を補強する補強筋としての役割を果たす。
また、残置用補強部材の内側に装入される抜取用ボイドの外径が大きい場合でも、残置用補強部材の内径を拡張できるため適用可能である。さらに、補強筋としての役割を果たす残置用補強部材が、抜取用ボイドを除去しても、支柱下部を支え、支柱に強い力が加わっても支柱が抜けてしまうことを防止する。
本発明は、コンクリート構造物に埋設残置される残置用補強部材において、該補強部材がコンクリート構造物の支柱孔形成装置内の抜取用ボイドの外壁面に嵌装され、支柱孔の型崩れ防止、クラック防止、フェンス落下防止のための効果を奏し、産業上の利用可能性が極めて高い。
10 残置用補強部材(コイル状)
10a 線材
11、11a、11b、11c、11h スペーサ
11d、11e 貫通孔
11f 開口部
11g 円筒管
12 抜取用ボイド
13 残置用補強部材(リング状)
13a 除去部
13b 支柱
14 残置用補強部材
14a 折曲部
15 支持軸部
15a 円盤状受部
16 粘着テープ(上蓋部、下蓋部)
17 ボイド型枠把持部
18 支持台
19 コンクリート構造物の支柱孔形成装置
21 支柱孔
22 フェンス用支柱
23 コンクリート切除部材

Claims (6)

  1. コンクリート構造物の支柱孔に埋設されて残置される補強部材において、
    1条のコイル状の線材と、
    該コイル状の線材に間隔を空けて固着されたスペーサを有することを特徴とする、
    コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材。
  2. 前記スペーサが、前記1条のコイル状の線材に挿通するために貫通孔を有する円盤であることを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材。
  3. 前記スペーサが、前記1条のコイル状の線材に外方から挿入するための開口部を有することを特徴とする請求項2に記載のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材。
  4. 前記残置用補強部材は、1条のコイル状にしたものを、抜取用ボイドの高さに合わせて所定寸法に切断したものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材。
  5. 線材を円形状に形成し、その一部を切断除去して除去部を形成したものをリングとし、
    このリングを複数個、その除去部が同一方向を向くようにして、
    支柱に高さ方向に間隔を空けて固着し、
    該リング上に間隔を空けて固着されたスペーサを有することを特徴とする、
    コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材。
  6. 線材をコイル状に形成し、線材をコイル内側に、間隔を空けて山形状に折曲させ形成した折曲部を有することを特徴とする、
    コンクリート構造物の支柱孔型崩れ防止のための残置用補強部材。
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