JP2011062771A - インパクト工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】
簡単な機構のハンマとアンビルによってインパクト機構を実現したインパクト工具を提供する。
【解決手段】
減速機構を介してモータの出力部に接続されるハンマ151と、先端工具を回転させるアンビル156を有するインパクト工具であって、ハンマ151は本体部分151bから径方向外側または軸方向に突出する1組以上の突出部152、153と軸上に形成された嵌合部151aを有し、アンビル156は本体部分から径方向外側または軸方向に突出する1組以上の突出部157、158と、嵌合部151aと嵌合する嵌合部を有し、突出部152、157には相互に衝突する打撃面152a、157aを有し、アンビル156とハンマ151が相対的に360度未満の最大回転角で回転可能なように構成した。この構成において、モータ3を正方向及び逆方向に回転させることによって、ハンマ151とアンビル156を双方向に打撃しながら先端工具を回転させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、モータにより駆動され、新規な打撃機構部を実現したインパクト工具に関する。
インパクト工具は、モータを駆動源として回転打撃機構部を駆動し、アンビルに回転と打撃を与えることによって先端工具に回転打撃力を間欠的に伝達してネジ締め等の作業を行うものである。用いられるモータとして、ブラシレスDCモータが広く用いられるようになってきた。ブラシレスDCモータは、例えばブラシ(整流用刷子)の無いDC(直流)モータであり、コイル(巻線)を固定子側に、マグネット(永久磁石)を回転子側に用い、インバータ回路で駆動された電力を所定のコイルへ順次通電することによりロータを回転させる。インバータ回路は、FET(電界効果トランジスタ)や、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)のような大容量の出力トランジスタを使用して構成され、大電流で駆動される。ブラシレスDCモータは、ブラシ付きDCモータと比較するとトルク特性に優れ、より強い力で被加工部材にネジやボルト等を締め付けることができる。
ブラシレスDCモータを用いたインパクト工具の例として、例えば特許文献1の技術が知られている。特許文献1では、連続回転式のインパクト機構部を有し、動力伝達機構部(減速機構部)を介してスピンドルに回転力が与えられると、スピンドルの回転軸方向に移動可能に係合するハンマが回転し、ハンマと当接するアンビルを回転させる。ハンマとアンビルは、回転平面上の2箇所に互いに対称的に配置された2つのハンマ凸部(打撃部)をそれぞれ有し、これらの凸部は互いに回転方向に噛み合う位置にあり、凸部同士の噛み合いにより回転打撃力が伝えられる。ハンマは、スピンドルを囲むリング域で、スピンドルに対して軸方向に摺動自在にされ、ハンマの内周面には、逆V字型(略三角形)のカム溝が設けられる。スピンドルの外周面には軸方向に、V字型のカム溝が設けられており、このカム溝とハンマの内周カム溝との間に挿入されたボール(鋼球)を介してハンマが回転する。
特開2009−72888号公報
従来の動力伝達機構部においては、スピンドルとハンマは、カム溝に配置されたボールを介して保持され、ハンマはその後端に配置されるスプリングによって、スピンドルに対して軸方向後方に後退できるように構成されている。従って、スピンドルとハンマの部分の部品点数が多くなり、スピンドルとハンマの間の取り付け精度を良くするように考慮しなければならないので、製造コストが高くなっていた。
一方、従来技術のインパクト工具においては、インパクト機構を動作させない(即ち、打撃が生じない)ように制御するには、ハンマの後退動作を制御する機構を設ける等の何らかの工夫が必要であり、特許文献1の技術のままでは、いわゆるドリルモードとしてインパクト工具を使用することができなかった。さらに、ハンマの後退動作を制御するドリルモードを実現したとしても、所定の締め付けトルクに達成した際に動力伝達を遮断するクラッチ動作までをも実現するには、クラッチ機構を別途設ける必要があり、インパクト工具においてドリルモードや、クラッチ付きドリルモードを実現するにはコストアップにつながっていた。
さらに特許文献1の技術において、ハンマによる打撃時には、先端工具の負荷状態にかかわらず、モータに供給する駆動電力は一定であった。したがって、軽負荷状態でも高い締め付けトルクで打撃することになり、モータに過剰な電力を供給することになって、無駄な電力消費が生じていた。さらに、高い締め付けトルクで打撃することによりねじ締めの際に過剰にねじが進みすぎて、先端工具がねじ頭から離れる等の、いわゆるカムアウト現象が生じやすかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は簡単な機構のハンマとアンビルによってインパクト機構を実現したインパクト工具を提供することにある。
本発明の別の目的は、モータの駆動方法を工夫することにより、相対的な回転角が360度未満のハンマとアンビルを駆動して締結作業を行うことができるインパクト工具を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、ドリルモードとインパクトモードを切り替えて使用することができるマルチユースのインパクト工具を提供することにある。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの特徴を説明すれば、次の通りである。
本発明の一つ特徴によれば、モータと、モータに接続されるハンマと、ハンマによって回転するアンビルを有し、ハンマを正方向と逆方向に回転させることによりアンビルを正方向に回転させるインパクト工具であって、ハンマを逆方向に回転させてアンビルに衝突させた後に、ハンマを正方向に回転させるように構成した。ハンマは、モータの回転力を減速する減速機構を介してモータに接続され、減速機構の出力部とハンマとアンビルが同軸上に配置される。ハンマは、本体部分から半径方向外側または軸方向に突出する1組以上の突出部と、軸上に形成された嵌合部を有し、アンビルは、本体部分から半径方向外側または軸方向に突出する1組以上の突出部と、ハンマ部の嵌合部と嵌合する嵌合部を有し、アンビル及びハンマの少なくとも片方の突出部は相互に衝突する打撃面を有し、モータを正方向及び逆方向に回転させることによって、ハンマとアンビルを双方向に交互に打撃しながらハンマを正方向に回転させる。アンビルとハンマの打撃部は、相対的に360度未満の回転角で回動させる。
本発明の他の特徴によれば、ハンマがアンビルに打撃する際のモータの回転数は、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の回転数が低いように構成した。また、正回転打撃時のモータの回転数は、逆回転打撃時の回転数の2倍以上になるように構成した。さらに、ハンマがアンビルに打撃する際の打撃トルクは、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の方が小さくなるように構成した。このため、ハンマがアンビルに打撃する際のアンビルの進み角は、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の方が小さい。
本発明のさらに他の特徴によれば、モータの回転を制御する制御部を設け、制御部は、正転電流を供給してモータを正転方向に加速させ、ハンマがアンビルと衝突したら、モータの回転が第1の所定回転数まで低減した後にモータに逆転電流を供給してハンマを逆回転させ、モータの逆回転が第2の所定回転数に達したらモータに供給する電流をオフにし、ハンマとアンビルを逆回転方向に衝突させ、衝突後に再び正転電流を供給してモータを正転方向に加速させるように制御する。モータは、回転位置検出素子を用いて駆動されるブラシレスDCモータであり、モータの回転数は、回転位置検出素子の出力信号を用いて算出される。
請求項1の発明によれば、ハンマを正方向と逆方向に回転させることによりアンビルを正方向に回転させるインパクト工具において、ハンマを逆方向に回転させてアンビルに衝突させた後に、ハンマを正方向に回転させるように構成したので、シンプルな構成のインパクト工具を実現できる。また、ハンマを逆回転させた際に、アンビルに衝突(逆回転打撃)させてからハンマを正方向に回転させるので、逆転から正転への切り替えを確実に行うことができる。この逆回転方向のブレーキ動作は、ハンマをアンビルに衝突させることによって実現するので、ブレーキ動作のためのモータへの電流供給をなくす或いは大幅に減少できるので、モータの消費電力を低減させることができる。
請求項2の発明によれば、アンビル及びハンマの少なくとも片方の突出部は相互に衝突する打撃面を有し、モータを正方向及び逆方向に回転させることによって、ハンマとアンビルを双方向に交互に打撃しながらハンマを正方向に回転させるので、モータの駆動方法を工夫するだけで容易にインパクト工具を実現できる。
請求項3の発明によれば、アンビルとハンマの打撃部が相対的に180度以上360度未満の回転角で回動するので、ハンマを軸方向に移動可能に構成する必要が無く、低コストのインパクト機構を実現でき、インパクト工具を安価に提供することができる。
請求項4の発明によれば、ハンマがアンビルに打撃する際のモータの回転数は、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の回転数が低いので、逆回転打撃によって締め付け部材が緩んでしまうことを回避できる。
請求項5の発明によれば、正回転打撃時のモータの回転数は、逆回転打撃時の回転数の2倍以上であるので、締め付け部材が緩んでしまうことなく効率よくインパクト動作を実行できる。
請求項6の発明によれば、ハンマがアンビルに打撃する際の打撃トルクは、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の方が小さいので、締め付け部材が緩んでしまうことなく効率よくインパクト動作を実行できる。
請求項7の発明によれば、ハンマがアンビルに打撃する際のアンビルの進み角は、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の方が小さいので、締め付け部材が緩んでしまうことなく効率よくインパクト動作を実行できる。
請求項8の発明によれば、モータの回転を制御する制御部を設け、モータの回転方向、回転速度をきめ細かに制御し、正回転方向だけでなく逆回転方向にもハンマをアンビルに打撃するので、制御部を用いて所望のインパクト動作を実現できる。
請求項9の発明によれば、モータは、回転位置検出素子を用いて駆動されるブラシレスDCモータであり、モータの回転数は、回転位置検出素子の出力信号を用いて算出されるので、既存の素子を用いて容易のモータの回転速度を測定することができ、ハンマの回転速度を別途測定する必要がない。このため構成要素の増大を防止でき、インパクト工具の低コスト化が実現できる。
本発明の上記及び他の目的ならびに新規な特徴は、以下の明細書の記載及び図面から明らかになるであろう。
本発明の実施例に係るインパクト工具1の全体構造を示す縦断面図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具1の外観を示す斜視図である。 図1の打撃機構40付近の拡大断面図である。 図1の冷却ファン18の斜視図である。 本発明の実施例に係るインパクト工具のモータ3の駆動制御系を示す機能ブロック図である。 本発明の基本構成(第2の実施例)に係るハンマ151とアンビル156の形状を示す図である。 図6のハンマ151及びアンビル156の打撃動作を示す図であり、一回転の動きを6段階で示した断面図である。 図1のハンマ41及びアンビル46の形状を示す斜視図である。 図1のハンマ41及びアンビル46の形状を示す別の角度からの斜視図である。 図8、9に示したハンマ41及びアンビル46の打撃動作を示す図である。 インパクト工具1の運転時のトリガ信号、インバータ回路の駆動信号、モータ3の回転速度、ハンマ41とアンビル46の打撃状況を示す図である。 本発明の実施例に係るモータ3の駆動制御手順を示すフローチャートである。 本実施例におけるハンマ41の駆動モードを説明するための図であり、パルスモード(2)におけるモータに印加する電流と回転数を示したグラフである。 本発明の実施例に係るモータの駆動制御手順であって、パルスモード(1)における制御手順を示すフローチャートである。 モータ3の回転数と経過時間との関係、及び、モータ3に供給される電流値と経過時間との関係を示すグラフである。 本発明の実施例に係るモータ3の駆動制御手順であって、パルスモード(2)における制御手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。尚、以下の説明において、上下前後、左右の方向は、図1及び図2中に示した方向として説明する。
図1は本発明に係るインパクト工具の全体構造を示す縦断面図である。インパクト工具1は、充電可能なバッテリパック30を電源とし、モータ3を駆動源として打撃機構40を駆動し、出力軸であるアンビル46に回転と打撃を与えることによってドライバビット等の図示しない先端工具に連続する回転力や断続的な打撃力を伝達してネジ締めやボルト締め等の作業を行う。
モータ3は、ブラシレスDCモータであって、側面から見て略T字状の形状を成すハウジング6の筒状の胴体部6a内に収容される。ハウジング6は、ほぼ対称な形状の左右2つの部材に分割可能に構成され、それら部材が複数のネジにより固定される。そのため、分割されるハウジング6の一方(本実施例では左側ハウジング)に複数のネジボス20が形成され、他方(右側ハウジング)に複数のネジ穴(図示せず)が形成される。モータ3の回転軸19は、胴体部6aの後端側のベアリング17bと中央部付近に設けられるベアリング17aによって回転可能に保持される。モータ3の後方には6つのスイッチング素子10が搭載された基板が設けられ、これらスイッチング素子10によってインバータ制御を行うことによりモータ3を回転させる。基板7の前方側には、回転子3aの位置を検出するためにホール素子やホールIC等の回転位置検出素子58が搭載される。
ハウジング6の胴体部6aから略直角に一体に延びるグリップ部6b内の上部にはトリガスイッチ8及び正逆切替レバー14が設けられ、トリガスイッチ8には図示しないバネによって付勢されてグリップ部6bから突出するトリガ操作部8aが設けられる。グリップ部6b内の下方には、トリガ操作部8aによってモータ3の速度を制御する機能等を備えた制御回路基板9が収容される。ハウジング6のグリップ部6bの下方に形成されたバッテリ保持部6cには、ニッケル水素やリチウムイオン等の複数の電池セルが収容されたバッテリパック30が着脱可能に装着される。
モータ3の前方には、回転軸19に取り付けられてモータ3と同期して回転する冷却ファン18が設けられる。冷却ファン18により、胴体部6aの後方に設けられた空気取入口26a、26bから空気が吸引される。吸引された空気は、ハウジング6の胴体部6aであって冷却ファン18の半径方向外周側付近に形成される複数のスリット26c(図2参照)からハウジング6の外部に排出される。
打撃機構40は、アンビル46とハンマ41の2つの部品により構成され、ハンマ41は遊星歯車減速機構21の複数の遊星歯車の回転軸を連結するように固定される。現在広く使われている公知のインパクト機構と違って、ハンマ41には、スピンドル、スプリング、カム溝、及びボール等を有するカム機構を有しない。そしてアンビル46とハンマ41とは回転中心付近に形成された嵌合軸と嵌合溝により1回転未満の相対回転だけができるように連結される。アンビル46は、図示しない先端工具を装着する出力軸部分と一体に構成され、前端には軸方向と鉛直面の断面形状が六角形の装着穴46aが形成される。アンビル46の後方側はハンマ41の嵌合軸と連結され、軸方向中央付近でメタルベアリング16aによりケース5に対して回転可能に保持される。尚、これらアンビル46とハンマ41の詳細形状については後述する。
ケース5は打撃機構40及び遊星歯車減速機構21を収容するための金属製の一体成形で形成され、ハウジング6の前方側に装着される。また、ケース5の外周側は、熱の伝達を防止するとともに、衝撃吸収効果等を果たすために樹脂製のカバー11で覆われる。アンビル46の先端には先端工具を着脱するためのスリーブ15が設けられる。
トリガ操作部8aが引かれてモータ3が起動されると、モータ3の回転は遊星歯車減速機構21によって減速され、モータ3の回転数に対して所定の比率の回転数でハンマ41が回転する。ハンマ41が回転すると、その回転力はアンビル46に伝達され、アンビル46がハンマ41と同じ速度で回転を開始する。先端工具側からの受ける反力によってアンビル46にかかる力が大きくなると、後述する制御部は締め付け反力の増大を検出し、モータ3の回転が停止してロック状態になる前に、ハンマ41の駆動モードを変更しながらハンマ41を連続的に又は断続的に駆動する。
図2は、図1のインパクト工具1の外観を示す斜視図である。ハウジング6は3つの部分(6a、6b、6c)から構成され、胴体部6aの、冷却ファン18の半径方向外周側付近には冷却風排出用のスリット26cが形成される。また、バッテリ保持部6cの上面には制御パネル31が設けられる。制御パネル31には、各種の操作ボタンや表示ランプ等が配置され、例えばLEDライト12をON/OFFするためのスイッチや、バッテリパックの残量を確認するためのボタンが配置される。また、バッテリ保持部6cの側面にはモータ3の駆動モード(ドリルモード、インパクトモード)を切り替えるためのトグルスイッチ32が設けられる。トグルスイッチ32を押下するごとに、ドリルモードとインパクトモードが交互に切り替わる。
バッテリパック30には、リリースボタン30Aが設けられ、左右両側に位置するリリースボタン30Aを押しながら前方にバッテリパック30を移動させることにより、バッテリパック30をバッテリ保持部6cから取り外すことができる。バッテリ取付部6cの左右側には、着脱可能な金属製のベルトフック33が設けられる。図2では、インパクト工具1の左側に取り付けられているが、ベルトフック33を取り外してインパクト工具1の右側に装着することも可能である。バッテリ取付部6cの後端部付近にはストラップ34が取り付けられる。
図3は、図1の打撃機構40付近の拡大断面図である。遊星歯車減速機構21は、プラネタリー型であり、モータ3の回転軸19の先端と接続されるサンギヤ21aが駆動軸(入力軸)となり、胴体部6aに固定されるアウターギヤ21d内で、複数のプラネタリーギヤ21bが回転する。プラネタリーギヤ21bの複数の回転軸21cは、遊星キャリヤの機能を持つハンマ41にて保持される。ハンマ41は遊星歯車減速機構21の従動軸(出力軸)として、モータ3と同方向に所定の減速比で回転する。この減速比をどの程度に設定するかは、主な締結対象(ネジかボルトか)、モータ3の出力と必要な締結トルクの大きさ等の要因から適切に設定すれば良く、本実施例ではモータ3の回転数に対してハンマ41の回転数が1/8〜1/15程度になるように減速比を設定する。
胴体部6aの内部の2つのネジボス20の内周側には、インナカバー22が設けられる。インナカバー22はプラスチック等の合成樹脂の一体成形で製造された部材であり、後方側には円筒状の部分が形成され、その円筒部分でモータ3の回転軸19を回転可能に固定するベアリング17aを保持する。また、インナカバー22の前方側には、2つの異なる径を有する円筒状の段差部が設けられ、その小さい方の段差部にはボール式のベアリング16bが設けられ、大きい方の円筒状の段差部には、前方側からアウターギヤ21dの一部が挿入される。尚、アウターギヤ21dはインナカバー22に回転不能に取り付けられ、インナカバー22はハウジング6の胴体部6aに回転不能に取り付けられることから、アウターギヤ21dは非回転状態で固定されることになる。また、アウターギヤ21dの外周部には外径が大きく形成されたフランジ部分が設けられ、フランジ部分とインナカバー22の間にはOリング23が設けられる。ハンマ41とアンビル46の回転部分にはグリス(図示せず)が塗布されており、Oリング23は、そのグリスがインナカバー22側に漏れないようにシールする。
本実施例において特徴的なこととして、ハンマ41がプラネタリーギヤ21bの複数の回転軸21cを保持する遊星キャリヤの機能を持つことである。そのためハンマ41の後端部はベアリング16aの内輪の内周側にまで延びる。また、ハンマ41の後方側内周部は、モータ3の回転軸19に取り付けられるサンギヤ21aを収容する円筒形の内部空間内に配置される。ハンマ41の前方側中心軸付近は、軸方向前方に突出する嵌合軸41aが形成され、嵌合軸41aはアンビル46の後方側中心軸付近に形成される円筒形の嵌合溝46fに嵌合する。尚、嵌合軸41aと嵌合溝46fは、双方が相対的に回転可能なように軸支されるものである。
図4は、冷却ファン18の斜視図である。冷却ファン18は例えばプラスチック等の合成樹脂の一体構成によって製造される。回転中心には、回転軸19が貫通される貫通穴18aが形成され、回転軸19を軸方向に所定距離だけ覆いロータ3aとの所定の距離を確保する円筒部18bが形成され、円筒部18bから外周側には複数のフィン18cが形成される。フィン18cの前後側には、円環状の部分が設けられ、冷却ファン18の回転方向に限られずに軸方向後方から吸引された空気を、外周付近に形成された複数の開口部18dから円周方向外側に排出する。冷却ファン18は、いわゆる遠心ファンの機能を果たすものであり、遊星歯車減速機構21を介さずにモータ3の回転軸19に直接接続されるので、ハンマ41に比べて十分大きい回転数で回転されるので、十分な風量を確保することができる。
次に、モータ3の駆動制御系の構成と作用を図5に基づいて説明する。図5はモータ3の駆動制御系の構成を示すブロック図であり、本実施例では、モータ3は3相のブラシレスDCモータで構成される。このブラシレスDCモータは、いわゆるインナーロータ型であって、複数組(本実施例では2組)のN極とS極を含む永久磁石(マグネット)を含んで構成される回転子(ロータ)3aと、スター結線された3相の固定子巻線U、V、Wから成る固定子3bと、回転子3aの回転位置を検出するために周方向に所定の間隔毎、例えば角度60°毎に配置された3つの回転位置検出素子(ホール素子)58を有する。これら回転位置検出素子58からの位置検出信号に基づいて固定子巻線U、V、Wへの通電方向と時間が制御され、モータ3が回転する。回転位置検出素子58は、基板7上の回転子3aの永久磁石3cに対向する位置に設けられる。
基板7上に搭載される電子素子には、3相ブリッジ形式に接続されたFETなどの6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含む。ブリッジ接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御回路基板9に搭載される制御信号出力回路53に接続され、6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ドレインまたは各ソースは、スター結線された固定子巻線U、V、Wに接続される。これによって、6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路53から入力されたスイッチング素子駆動信号(H4、H5、H6等の駆動信号)によってスイッチング動作を行い、インバータ回路52に印加されるバッテリパック30の直流電圧を3相(U相、V相及びW相)電圧Vu、Vv、Vwとして固定子巻線U、V、Wに電力を供給する。
6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動するスイッチング素子駆動信号(3相信号)のうち、3個の負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6をパルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6として供給し、制御回路基板9上に搭載された演算部51によって、トリガスイッチ8のトリガ操作部8aの操作量(ストローク)の検出信号に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させることによってモータ3への電力供給量を調整し、モータ3の起動/停止と回転速度を制御する。
ここで、PWM信号は、インバータ回路52の正電源側スイッチング素子Q1〜Q3または負電源側スイッチング素子Q4〜Q6の何れか一方に供給され、スイッチング素子Q1〜Q3またはスイッチング素子Q4〜Q6を高速スイッチングさせることによってバッテリパック30の直流電圧から各固定子巻線U、V、Wに供給する電力を制御する。尚、本実施例では、負電源側スイッチング素子Q4〜Q6にPWM信号が供給されるため、PWM信号のパルス幅を制御することによって各固定子巻線U、V、Wに供給する電力を調整してモータ3の回転速度を制御することができる。
インパクト工具1には、モータ3の回転方向を切り替えるための正逆切替レバー14が設けられ、回転方向設定回路62は正逆切替レバー14の変化を検出するごとに、モータの回転方向を切り替えて、その制御信号を演算部51に送信する。演算部51は、図示していないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するための中央処理装置(CPU)、処理プログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、タイマ等を含んで構成される。
制御信号出力回路53は、回転方向設定回路62と回転子位置検出回路54の出力信号に基づいて所定のスイッチング素子Q1〜Q6を交互にスイッチングするための駆動信号を形成し、その駆動信号を制御信号出力回路53に出力する。これによって固定子巻線U、V、Wの所定の巻線に交互に通電し、回転子3aを設定された回転方向に回転させる。この場合、負電源側スイッチング素子Q4〜Q6に印加する駆動信号は、印加電圧設定回路61の出力制御信号に基づいてPWM変調信号として出力される。モータ3に供給される電流値は、電流検出回路59によって測定され、その値が演算部51にフィードバックされることにより、設定された駆動電力となるように調整される。尚、PWM信号は正電源側スイッチング素子Q1〜Q3に印加しても良い。
制御回路基板9に搭載される制御部50には、アンビル46に発生する衝撃の大きさを検出する打撃衝撃センサ56が接続され、その出力は打撃衝撃検出回路57を介して演算部51に入力される。打撃衝撃センサ56としては、アンビル46に取り付けられる歪ゲージ等で実現でき、打撃衝撃センサ56の出力を用いて規定トルクで締め付けが完了した際に、モータ3を自動停止させるようにしても良い。
次に、本実施例に係るハンマ41とアンビル46の打撃動作を説明する前に、図6、7を用いて本発明のハンマとアンビルの基本構成と、その打撃動作原理を説明する。図6は、本発明の基本構成に係るハンマ151とアンビル156の形状を示す図であり、最もシンプルな形状のものである。この形状は本発明の第2の実施例に係る形状でもある。ハンマ151は、円筒形の本体部分151bから軸方向に突出する1組の突出部、即ち突出部152と突出部153が形成される。本体部分151bの前方側、中央には、アンビル156の後方に形成された嵌合溝(図示せず)に嵌合する嵌合軸151aが形成され、ハンマ151とアンビル156は相対的に1回転未満(360度未満)の所定角度だけ回転可能なように連結される。突出部152は打撃爪として作用するもので、円周方向の両側に平面状の打撃面152aと152bが形成される。また、ハンマ151には、突出部152との回転バランスを取るための突出部153が形成される。突出部153は、回転バランスをとるための錘部として機能するため、打撃面は形成されない。
本体部分151bの後方側には、接続部分151dを介して円盤部151cが形成される。本体部分151bと円盤部151dの間の空間は、遊星歯車機構21のプラネタリーギヤ21bを配置するためのもので、円盤部151dにはプラネタリーギヤ21bの回転軸21cを保持するための貫通穴151fが形成される。図示していないが、本体部分151bの円盤部151dに面する側にもプラネタリーギヤ21bの回転軸21cを保持するための保持穴が形成される。
アンビル156は、円筒形の本体部分156bの前端側に先端工具を装着するための装着穴156aが形成され、本体部分156bの後方側には本体部分156bから半径方向外側に突出する2つの突出部157と158が形成される。突出部157は、被打撃面157aと157bを有する打撃爪であり、突出部158が被打撃面をもたない錘部である。突出部157は、突出部152と衝突するように構成されるため、その外径は突出部152の外形と同じに構成される。しかしながら突出部153と158は共に錘として作用させるだけであって、どの部位にも衝突させないために、お互いが干渉しない位置や大きさに形成し配置することが重要である。また、ハンマ151とアンビル156の相対的な回転角をできるだけ多く取るために(但し、最大でも1回転未満である)、突出部153及び158の半径方向の厚さを小さくして円周方向の長さを大きくすることによって、突出部152と157との回転バランスをとれるように形成される。相対的な回転角を大きく設定することにより、ハンマをアンビルに衝突させるときのハンマの加速区間(助走区間)を大きく取ることができ、大きなエネルギーにて打撃することができる。
図7は、ハンマ151及びアンビル156の使用状態における一回転の動きを6段階で示した断面図である。断面は軸方向と鉛直面であって、衝突面152a(図6)を含む断面である。図7(1)の状態において、先端工具からうける締め付けトルクが小さいうちは、アンビル156はハンマ151から押されることにより反時計回りに回転する。しかしながら、締め付けトルクが大きくなってハンマ151から押される力だけでは回転できなくなった場合には、ハンマ151によってアンビル156を叩くため、ハンマ151を矢印161の方向に逆回転させるべく、モータ3の逆回転を開始する。(1)で示す状態においてモータ3の反転を開始し、それによってハンマ151の突出部152を矢印161の方向に回転させ、さらにモータ3を逆回転させて、(2)に示すように突出部152は突出部158の外周側を通って矢印162の方向に加速されながら回転する。ここで、突出部158の外径Ra1は、突出部152の内径Rh1よりも小さく構成され、両者は衝突しない。同様に、突出部157の外径Ra2は、突出部153の内径Rh2よりも小さく構成され、両者は衝突しない。このような位置関係に構成すれば、ハンマ151とアンビル156との相対回転角を180度より大きく構成することができ、アンビル156に対してハンマ151の十分な量の反転角を確保することができる。
ハンマ151がさらに逆回転して、矢印163aに示すように図7(3)の位置に到達したら、突出部152の打撃面152bを、突出部157aの打撃面157bに衝突させる。この衝突はアンビル156を打撃するために行うのではなく、ハンマ151の逆回転を止めるためものであり、いわばブレーキのための打撃である。このようにハンマ151の逆回転を、打撃させることにより止めるため、モータ3にブレーキ電流(正回転方向への駆動電流)を流す必要が無い。
ハンマ151がアンビル156に衝突した後に、モータ3の矢印163bの方向(正回転方向)への回転を開始させる。本実施例において、ハンマ151の逆回転停止位置は、アンビル156と衝突する位置となり、停止位置は毎回同じ位置となる。
そして、図7(4)の位置を矢印164の方向に通過しながらさらにハンマ151を加速させ、加速中の状態のまま図7(5)に示す位置にて突出部152の衝突面152aは、アンビル156の被衝突面157aに衝突する。この衝突の結果、アンビル156には強力な回転トルクが伝達され、アンビル156は矢印166で示す方向に回転する。図7(6)の位置は、図7(1)で示した状態から、ハンマ151とアンビル156の双方が所定角度分だけ回転した状態であり、再び図7(1)の状態から図7の(5)に至る動作を繰り返すことによって、被締結部材を適正トルクになるまで締め付けを行う。
以上のように、本発明に係るハンマ151とアンビル156では、モータ3を逆回転させる駆動モードを用いることによって、打撃機構としてハンマ151とアンビル156だけのきわめてシンプルな構成で、インパクト工具を実現することができる。尚、この構成の打撃機構においては、モータ3の駆動モードの設定よって、ドリルモードとして回転させることもできる。例えば、ドリルモードにおいては、図7(5)の状態からモータ3を回転させてハンマ151を正方向に回転させるだけで図7(6)のようにアンビル156を追従して回転させることが可能であるので、これを繰り返すことにより締め付けトルクが小さくて済むネジやボルト等の被締結部材を高速で締め付けることができる。
さらに、本実施例に係るインパクト工具1においては、モータ3としてブラシレスDCモータを用いているため、電流検出回路59(図5参照)からモータ3に流れる電流値を求めて、電流値が所定の値よりも大きくなった状態を検出して、演算部51がモータ3を停止させることによって、所定トルクまで締め付けた後に動力伝達を遮断させる、いわゆるクラッチ機構を電子的に実現することができる。従って、本発明の本実施例に係るインパクト工具1においては、ドリルモード時のクラッチ機構をも実現することができ、簡単な構成の打撃機構にてクラッチ無しのドリルモード、クラッチ付きのドリルモード、インパクトモードを有するマルチユースの締付け工具を実現できる。
次に図8、9を用いて、図1、2に示した打撃機構40の詳細構造を説明する。図8は、本発明の第1の実施例に係るハンマ41とアンビル46の形状を示す斜視図であり、ハンマ41は斜め前方から、アンビル46は斜め後方からのみた図である。図9はハンマ41とアンビル46の形状を示す斜視図であり、ハンマ41は斜め後方から見た図であり、アンビル46は斜め前方からみた部分図である。ハンマ41は、円柱形の本体部分41bから径方向に突出する2つの羽根部41cと41dが形成される。羽根部41cと41cには、それぞれ軸方向に突出する突出部が形成されるが、図6で示した基本構成(第2の実施例)と異なることは、羽根部41cと41dのそれぞれに一組ずつの打撃部と錘部が形成されることである。
羽根部41c側は、外周部が扇状に広がるように形成されとともに、外周部から軸方向前方に突出する突出部42が形成される。この扇状に広がる部分と突出部42が打撃部(打撃爪)として機能と同時に、錘部としての機能を果たす。突出部42には円周方向の両側には打撃面42aと42bが形成される。打撃面42aと42bは、共に平面に形成されたもので、アンビル46の後述する被打撃面と良好に面接触するように適度な角度がつけられる。一方、羽根部41dは外周部が扇状に広がるように形成され、扇状に広がる形状によりその部分の質量が大きくなり錘部として良好な作用を果たす。また羽根部41dの径方向中央付近から軸方向前方に突出する突出部43が形成される。突出部43は打撃部(打撃爪)として作用するもので、円周方向の両側には打撃面43aと43bが形成される。打撃面43aと43bは、共に平面状に形成されたもので、アンビル46の後述する被打撃面と良好に面接触するように、円周方向に適度な角度がつけられる。
本体部分41bの軸心付近、前方側にはアンビル46の嵌合溝46fと嵌合される嵌合軸41aが形成される。本体部分41bの後方側には遊星キャリヤの機能を有するように2つの円盤部44a、44bと円周方向の2箇所においてこれらを接続する接続部44cが形成される。円盤部44a、44bの円周方向のそれぞれ2箇所には、貫通穴44dが形成され、円盤部44a、44bの間に2つのプラネタリーギヤ21b(図3参照)が配置され、プラネタリーギヤ21bの回転軸21c(図3参照)が貫通穴44dに装着される。円盤部44bの後方側には円筒形に延びる円筒部44eが形成される。円筒部44eの外周側はベアリング16bの内輪にて保持される。また、円筒部44eの内側の空間44fにはサンギヤ21a(図3参照)が配置される。尚、図8及び図9に示すハンマ41とアンビル46とは、金属の一体構造にて製造すると強度的にも重量的にも好ましい。
アンビル46は、円柱形の本体部分46bから径方向に突出する2つの羽根部46cと46dが形成される。羽根部46cの外周付近には軸方向後方に突出する突出部47が形成される。突出部47の円周方向両側には被打撃面47a及び47bが形成される。一方、羽根部46dの径方向中央付近には軸方向後方に突出する突出部48が形成される。突出部48の円周方向両側には被打撃面48a及び48bが形成される。ハンマ41が正回転(ネジ等を締め付ける回転方向)するときには、打撃面42aが被打撃面47aに当接し、同時に打撃面43aが被打撃面48aに当接する。また、ハンマ41が逆回転(ネジ等をゆるめる回転方向)するときには、打撃面42bが被打撃面47bに当接し、同時に打撃面43bが被打撃面48bに当接する。この当接するのは同時となるように突出部42、43、47、48の形状が決定される。
このように、図8、9に示すハンマ41及びアンビル46によれば、回転する軸心を基準に対称な2箇所にて打撃が行われるので打撃時のバランスが良く、打撃時にインパクト工具1が振られにくく構成できる。また、打撃面は突出部の円周方向両側にそれぞれ設けられるので、正回転だけでなく逆回転時にもインパクト動作が可能になるので、使いやすいインパクト工具を実現できる。さらに、ハンマ41でアンビル46を打撃する方向は円周方向のみであって、軸方向(前方)に叩かないので、先端工具を必要以上に被締結部材を押しつけることもなく、木材に木ねじ等を締め込む際に有利である。
次に図10を用いて図8、9に示したハンマ41及びアンビル46の打撃動作を説明する。基本的な動作は図7で説明した動作と同じであり、違いは打撃時に1箇所でなくほぼ軸対称な2箇所の打撃面にて同時に打撃されることである。また、図10で示す断面図は図3のA−A部の断面であり、この断面からハンマ41から軸方向に突出する突出部42、43と、アンビル46から軸方向に突出する突出部47、48の位置関係が理解できるであろう。締め付け動作時(正回転時)のアンビル47の回転方向は反時計回りである。
図10(1)は、ハンマ41がアンビル46に対して最反転位置(打撃位置)まで逆回転した後に正回転方向に回転を開始した直後の状態である(図7(3)の状態に相当)。この状態はハンマ41をアンビル46に対して衝突させるべく、矢印91の方向(正方向)に加速させている状態である。そして、図10(2)のように突出部42は突出部48の外周側を通過し、同時に突出部43は突出部47の内周側を通過する。このように、双方の通過を可能とするために、突出部42の内径RH2は、突出部48の外径RA1よりも大きく構成され、両者は衝突しない。同様に、突出部43の外径RH1は、突出部47の内径RA2よりも小さく構成され、両者は衝突しない。このような位置関係に構成すれば、ハンマ41とアンビル46との相対回転角を180度より大きく構成することができ、アンビル46に対してハンマ41の十分な量の反転角が確保でき、この反転角がハンマ41をアンビル46に打撃する前の加速区間とすることができる。
次に、図10(3)の状態までハンマ41が正回転すると突出部42の衝突面42aは、突出部47の被衝突面47aに衝突する。同時に、突出部43の衝突面43aは突出部48の被衝突面48aに衝突する。このように、回転軸に対して反対側の2箇所にて衝突することによりアンビル46に対してバランスの良い打撃を行うことができる。この打撃の結果、図10(4)に示すようにアンビル46は、矢印94の方向に回転することになり、この回転によって被締結材の締め付けが行われる。尚、ハンマ41には、径方向の同心位置(RH2以上、RH3以下の位置)において唯一の突起である突起部42を有し、同心位置(RH1以下の位置)において第3の唯一の突起である突起部43を有する。また、アンビル46は、径方向の同心位置(RA2以上、RA3以下の位置)において唯一の突起である突起部47を有し、同心位置(RA1以下の位置)において唯一の突起である突起部48を有する。
次に、本実施例に係るインパクト工具1の駆動方法について説明する。本実施例に係るインパクト工具1においては、アンビル46とハンマ41が、相対的に360度未満の回転角で回転可能なように形成される。従って、ハンマ41はアンビル46に対して1回転以上の相対的回転ができないため、その回転制御も特有のものになる。図11は、インパクト工具1の運転時のトリガ信号、インバータ回路の駆動信号、モータ3の回転速度、ハンマ41とアンビル46の打撃状況を示す図である。各グラフにおいて横軸は時間であり、各グラフのタイミングを比較できるように横軸を合わせて記載している。
本実施例に係るインパクト工具1において、インパクトモードにおける締め付け作業の場合は、最初“ドリルモード”で高速に締め付けを行い、必要な締め付けトルク値が大きくなったら“インパクトモード(1)”に切り替えて締め付けを行い、必要な締め付けトルク値がさらに大きくなったら“インパクトモード(2)”に切り替えて締め付けを行う。図11の時間TからTにおけるドリルモードでは、制御部51はモータ3を目標回転数に基づく制御を行う。このためモータ3は矢印85aで示す目標回転数に達するまでモータを加速させる。その後、アンビル46に取り付けられた先端工具からの締め付け反力が大きくなると、矢印85bに示すようにモータ3の回転速度が徐々に落ちてくる。そこで、その回転速度の落ち込みをモータ3に供給される電流値で検出して、時間Tで“パルスモード(1)”による回転駆動モードに切り替える。
パルスモード(1)は、モータ3を連続的に駆動するのではなく断続的に駆動するモードであり、「休止→正回転駆動」を複数回繰り返すようにパルス状に駆動する。ここで、「パルス状に駆動する」とは、インバータ回路52に加えるゲート信号を脈動させることにより、モータ3に供給される駆動電流を脈動させ、それによってモータ3の回転数又は出力トルクを脈動させるように駆動制御することである。この脈動は、時間TからT21まではモータへ供給される駆動電流OFF(休止)、時間T21からTまではモータの駆動電流ON(駆動)、時間TからT31までは駆動電流OFF(休止)、時間T31から時間Tまでは駆動電流ONというような、大きな周期(例えば数十Hz〜百数十Hz程度)で駆動電流のON−OFFを繰り返すことによって発生される。尚、駆動電流ON状態の時にはモータ3の回転数制御のためにPWM制御が行われるが、そのデューティ比制御の周期(通常数キロHz)に比べると、脈動させる周期は十分小さい。
図11の例では、Tから一定の時間モータ3への駆動電流の供給を休止して、モータ3の回転速度が矢印86aに低下した後に、制御部51(図5参照)は駆動信号83aを制御信号出力回路53に送ることによりモータ3にパルス状の駆動電流(駆動パルス)が供給され、モータ3を加速させる。尚、この加速時の制御は、必ずしもデューティ比100%で駆動という意味ではなく、100%未満のデューティ比で制御する事もありうる。次に、矢印86bの地点においてハンマ41がアンビル46に強く衝突することにより、矢印88aで示すように打撃力が与えられる。打撃力が与えられると再び、所定期間モータ3への駆動電電流の供給を休止し、モータの回転速度が矢印86aで示すように低下した後に、制御部51は駆動信号83bを制御信号出力回路53に送ることによりモータ3を加速させる。すると、矢印86dの地点においてハンマ41がアンビル46に強く衝突することにより、矢印88bで示すように打撃力が与えられる。パルスモード(1)においては、上述したモータ3の「休止→正回転駆動」を繰り返す断続的な駆動が1回又は複数回繰り返されるが、より高い締め付けトルクが必要になったらその状態を検出し、パルスモード(2)による回転駆動モードに切り替える。高い締め付けトルクが必要になったか否かの判定は、例えば矢印88bで示す打撃力が与えられた際のモータ3の回転数(矢印86dの前後)を用いて判断することができる。
パルスモード(2)は、モータ3を断続的に駆動し、パルスモード(1)と同様にパルス状にモータ3を駆動するモードであるが、「休止→逆回転駆動→休止(停止)→正回転駆動」を複数回繰り返すように駆動する。つまりパルスモード(2)においては、モータ3の正回転駆動だけでなく逆回転駆動をも加わるために、ハンマ41をアンビル46に対して十分な相対角だけ逆回転させた後に、ハンマ41を正回転方向に加速させて勢いよくアンビル46に衝突させる。このようにハンマ41を駆動することにより、アンビル46に強い締め付けトルクを発生させるものである。本実施例においては、逆回転駆動されたモータ3の回転を停止させる際に(図中矢印87c、87g付近)、モータ3に正転電流を加えてモータ3を減速・停止させるのではなく、ハンマ41をアンビル46に衝突させることによりモータ3を減速・停止させるようにした。
図11の例では時間Tでパルスモード(2)に切り替わると、モータ3の駆動を一時休止させて、その後負の方向の駆動信号84aを御信号出力回路53に送ることによりモータ3を逆回転させる。正転、逆転を行う際には、御信号出力回路53から各スイッチング素子Q1〜Q6に出力する各駆動信号(オンオフ信号)の信号パターンを切り替えることにより実現される。モータ3が所定の回転角分だけ逆回転したら、モータ3の駆動を一時休止させて正回転駆動を開始する。このため、正の方向の駆動信号84bを御信号出力回路53に送る。尚、インバータ回路52を用いた回転駆動においては、駆動信号をプラス側又はマイナス側に切り替えるものではないが、図11ではどちら方向へ回転駆動するか容易に理解できるように、駆動信号を+及び−方向に分けて模式的に表現した。
モータ3の回転速度が最大速度に達する付近で、ハンマ41はアンビル46に衝突する(矢印87c)。この衝突によりパルスモード(1)で発生する締め付けトルク(88a、88b)に比べて格段に大きい締め付けトルク88dが発生する。このように衝突が行われると矢印87cから87dに至るようにモータ3の回転数が低下する。尚、矢印88dに示す衝突を検出した瞬間にモータ3への駆動信号を停止する制御をしても良く、その場合は締結対象がボルトやナット等の場合は打撃後に作業者の手に伝わる反動が少なくて済む。本実施例のように衝突後もモータ3に駆動電流を流すことにより作業者への反力がドリルモードに比較して小さく、中負荷状態での作業に適している。また、締め付け速度が速く、パルス強モードと比較して電力消費が少なくて済むという効果が得られる。その後、同様にして、「休止→逆回転駆動→打撃(反対方向)→正回転駆動」を所定回数だけ繰り返すことにより強い締め付けトルクでの締め付けが行われる。逆回転時の打撃は、アンビル46を反対方向に打撃することになるため、矢印88c、88eのように反対向きに小さな打撃トルクが発生することになる。しかしながら、打撃トルクは衝突時の回転数の2乗に比例するため、反対方向の打撃トルクは正転方向の打撃トルク(矢印88d、88f)に比べて十分小さく、締め付け作業に悪影響を与えることはない。時間Tにおいて作業者がトリガ操作を解除することによってモータ3が停止し、締め付け作業が完了する。作業の完了は作業者によるトリガ操作の解除だけでなく、打撃衝撃検出センサ56(図5参照)の出力を元に、演算部51が設定された締め付けトルクでの締め付けが完了したと判断したらモータ3の駆動を停止するように制御しても良い。
以上説明したように、本実施例においては締め付けトルクが少なくてすむ締め付け初期段階はドリルモードで回転駆動し、締め付けトルクが大きくなるにつれて正転のみの断続駆動によるインパクトモード(1)で締め付けを行い、締め付けの最終段階においては、モータ3の正転及び逆転による断続駆動によるインパクトモード(2)によって強力に締め付けを行う。尚、インパクトモード(1)とインパクトモード(2)だけを使って駆動するように構成しても良い。また、インパクトモード(1)を設けないで、ドリルモードからインパクトモード(2)に直接移行する制御も可能である。インパクトモード(2)ではモータの正回転と逆回転を交互に行うため、締め付け速度が、ドリルモードやインパクトモード(1)よりも大幅に遅くなる。このように締め付け速度が急に遅くなると、周知の回転打撃機構を有するインパクト工具に比べて打撃動作に移行する際の違和感が大きくなるので、ドリルモードからインパクトモード(2)への移行にあたり、インパクトモード(1)を介在させた方が操作感が自然な感じとなる。さらに、可能な限りドリルモードやインパクトモード(1)で締め付けを行うことにより、締め付け作業時間の短縮化を図ることができる。
次に、図12〜図16を用いて本発明に係るインパクト工具1の制御手順を説明する。図12は、本発明の実施例に係るインパクト工具1の制御手順を示すフローチャートである。インパクト工具1は、作業者による作業の開始に先立ち、トグルスイッチ32(図2参照)を用いてインパクトモードが選択されたか否かを判定する(ステップ101)。インパクトモードが選択された場合はステップ102に進み、選択されていない場合、即ち通常のドリルモードの場合はステップ110に進む。
インパクトモードにおいては、演算部51はトリガスイッチ8がONされたか否かを判定し、ONされた(トリガ操作部8aが引かれた)場合は、図11に示したようにドリルモードによりモータ3を起動し(ステップ103)、トリガ操作部8aの引き量に応じてインバータ回路52のPWM制御を開始する(ステップ104)。そして、モータ3に供給されるピーク電流が上限値のpを超えないように制御しながらモータ3の回転を加速させる。次に、起動してからtミリ秒経過した後のモータ3に供給される電流値Iを、電流検出回路59(図5参照)の出力を用いて検出する。検出された電圧値Iがp1アンペアを超えていなかったらステップ104に戻り、超えていたらステップ108に進む(ステップ107)。次に、検出された電流値Iがp2アンペアを超えているか否かを判定する(ステップ108)。
ステップ108において、検出された電流値Iがp2[A]を超えていなかったら、即ち、p1<I<p2の関係にあったら図14で示すパルスモード(1)の手順を実行してからステップ109に進み(ステップ120)、検出された電流値Iがp2[A]を超えていたらパルスモード(1)の手順を実行することなく直接ステップ109に進む。ステップ109において、トリガスイッチ8がオンになっているかを判定し、OFFにされた場合はステップ101に戻り、ON状態が継続されている場合は図16で示すパルスモード(2)の手順を実行してからステップ101に戻る。
ステップ101でドリルモードが選択されている場合は、ドリルモード110が実行されるが、その制御はステップ102から107の制御と同様である。そして、ステップ107のp1として、電子クラッチでの制御電流あるいは、モータ3のロック直前による過電流状態を検出してモータ3を停止させる(ステップ111)ことにより、ドリルモードを終了し、ステップ101に戻る。
ここで、図13を用いてステップ107、108におけるモード移行の判定手順を説明する。上側のグラフは経過時間とモータ3の回転数との関係を示すもので、下側のグラフはモータ3に供給される電流値と時間の関係を示すもので、上下のグラフの時間軸は同じにしている。左側のグラフにおいて、時間Tにおいてトリガスイッチが引かれると(図12のステップ102に相当)、モータ3が矢印113aのように起動されて加速される。この加速の際には、矢印114aで示すように最大電流値pが制限された状態での定電流制御がされる。モータ3の回転数が所定の回転数に到達すると(矢印113b)、矢印114bに示すように加速時電流から定常時電流になるため、電流値が減少する。この後、ネジやボルト等の締結が進行するに従って、締結部材からの受ける反力が増加すると、矢印113cに示すようにモータ3の回転数が徐々に低下すると共に、モータ3に供給される電流値が増加する。そしてモータ3の起動からtミリ秒経過した後に電流値が判定され、矢印114cに示すように、p1<I<p2の関係にある場合はステップ120で示すように後述するパルスモード(1)の制御に移行する。
右側のグラフにおいて、時間Tにおいてトリガスイッチが引かれると(図12のステップ102に相当)、モータ3が矢印115aのように起動されて加速される。この加速の際には、矢印116aで示すように最大電流値pが制限された状態での定電流制御がされる。モータ3の回転数が所定の回転数に到達すると(矢印115b)、矢印116bに示すように加速時電流から定常時電流になるため、電流値が減少する。この後、ネジやボルト等の締結が進行するに従って、締結部材からの受ける反力が増加すると、矢印115cに示すようにモータ3の回転数が徐々に低下すると共に、モータ3に供給される電流値が増加する。本例では、締結部材からの受ける反力が急激に増加したため、矢印116cで示すようにモータ3の回転数の低下が大きく、また、電流値の上昇度合いが大きい。そしてモータ3の起動からtミリ秒経過した後の電流値が116cで示すように、p2<Iの関係にあるため、ステップ140に示すように図16で示すパルスモード(2)の制御に移行する。
通常ネジやボルト等の締め付け作業においては、ネジやボルトの加工精度のばらつき、被締結材の状態、木材の節や木目などの材質のばらつき等により、必要とされる締め付けトルクが一定でないことが多い。そのためドリルモードだけで締め付け完了直前まで一気に締め付けることができてしまう場合がありうる。このような場合は、インパクトモード(1)における締め付けをスキップして、より締め付けトルクの高いドリルモード(2)による締め付けに移行させると短時間で効率よく締め付け作業を完了させることができる。
次に図14のフローチャートを用いてパルスモード(1)でのインパクト工具の制御手順を説明する。パルスモード(1)に移行した場合、まず所定の休止期間をおいてから、ピーク電流をp3アンペア以下と制限し(ステップ121)、所定の時間、即ちTミリ秒だけモータ3に正転電流を供給することによってモータ3を回転させる(ステップ122)。次に、時間Tミリ秒経過後にそのときのモータ3の回転数N1n(但し、n=1、2、・・)[rpm]を検出する(ステップ123)。次に、モータ3へ供給する駆動電流をOFFにし、モータ3の回転数が、N1nからN2n(=N1n/2)に低下するまで減速するまでに要する時間t1nを測定する。次に、t2n=X−t1nよりt2nを求め、このt2nの期間だけモータ3に正転電流を加え(ステップ126)、ピーク電流をp3アンペア以下に押さえてモータ3を加速させる。次に、t2n時間経過後にモータ3の回転数N1(n+1)が、パルスモード(2)に移行するための閾値回転数Rth以下か否かを判定し、Rth以下である場合はパルスモード(1)の処理を終了して図12のステップ120に戻り、Rth以上である場合はステップ124に戻る(ステップ128)。
図15は、図14に示すフローチャートの手順を実行中のモータ3の回転数と経過時間の関係、及び、モータ3に供給される電流と経過時間の関係を示すグラフである。最初に時間Tだけモータ3に駆動電流132が供給される。駆動電流はピーク電流をp3アンペア以下と制限されるため、矢印132aに示すように加速時の電流が制限され、その後、モータ3の回転数が上がるにつれて電流値が矢印132bのように低下する。時間Tにおいて、モータ3の回転数がN11に到達したのが測定されると、N21=N11/2からモータ3の回転を開始する回転数N21が計算によって算出される。回転数N11は、例えば10,000rpmである。モータ3の回転数がN21に低下すると、駆動電流133が供給されモータ3が再び加速される。駆動電流133を流す時間t2nは、t2n=X−t1nにて決定される。同様にして、時間2X、3Xにおいて同様の制御を行うが、締め付け反力が大きくなるにつれてモータ3の回転数上昇度合いが低下し、時間4Xにおいて回転数N14は閾値回転数Rth以下となってしまう。この時点で、パルスモード(1)の処理が終了し、パルスモード(2)の処理へと移行することになる。
次に図16のフローチャートを用いてパルスモード(2)でのインパクト工具の制御手順を説明する。まず、モータ3に供給する駆動電流をオフにして待機する(ステップ141)。待機中にモータの回転数が5000rpm以下に減速されたら、モータ3を−3000rpmで回転させるように、逆転電流をモータ3に供給する(ステップ142)。モータ3の回転数は、回転位置検出素子58の出力信号を用いて検出する。ここで、‘マイナス’とは作業中の回転方向とは逆方向に3000rpmでモータ3を回転させるという意味である。次に、モータ3の回転数が、−3000rpmに到達したら、モータ3に供給する電流をオフにして待機する(ステップ143,144)。電流をオフにするとモータ3は惰性で回転し続け、ハンマ41がアンビル46に衝突する。この衝突は、作業中の回転方向とは逆方向の衝突であり、作業を妨げる方向でもあるが、作業方向(正回転方向)の衝突時の回転数(10,000rpm)に比べて3000rpm以下と十分小さいだめ、反対方向への打撃力は十分小さく、ネジ等の締結部材は緩むことはない。このように、モータ3の逆回転時にハンマ41をアンビル46に衝突させることによって、電流を消費せずに逆転したモータ3を停止させることができるので、電流消費を大幅に節約できる。
次に、モータ3が停止したことを確認できたら、モータ3を正回転方向に回転させるべく、正転電流をオンにする(ステップ147,148)。モータ3の回転停止は、回転位置検出素子58の出力信号や、打撃衝撃検出センサ56の出力信号を用いて検出することができる。正転電流をオンにするとモータ3が10,000rpm回転まで加速し、この回転数にてハンマ41がアンビル46に衝突する。このように、モータ3の出力トルクと、モータ3及びハンマ41の完成エネルギーで締め付けが行われる(ステップ149)。そして、正転電流をONにしてから所定時間経過後にモータ3に供給する電流をオフにする(ステップ150)。この所定時間は、打撃が行われた後に経過するように設定するのが好ましい。
その後、トリガスイッチのオン状態が維持されているかを検出し、オフの状態であればモータ3の回転を停止してパルスモード(2)の処理を終了し、図12のステップ140に戻る(ステップ151)。トリガスイッチ8がオンの状態であればステップ141に戻る(ステップ151)。
尚、ステップ146において、逆回転時の衝突直前に正転電流を流すことにより、僅かならがブレーキを掛けて衝突直前のモータの逆方向の回転数を低下させて、逆回転時の衝撃を緩和するようにしても良い。
以上説明したように、本実施例によれば相対回転角が1回転未満のハンマとアンビルを用いて、モータを連続回転、正方向のみの断続回転、正方向及び逆方向の断続回転を行うことによって、効率的に締結部材を締結することができる。また、ハンマとアンビルの形状をシンプルな構造にすることができたので、インパクト工具の小型化及びコストダウンが実現できる。また、逆方向に回転中のモータを停止させるのに、大きな正転電流を流す必要が無く、衝撃エネルギーによって短時間で効果的に停止させるので、電流消費量を低減させることができる。さらに、逆転させたハンマをアンビルに衝突させるので、ハンマの正回転の加速をスタートさせる初期位置の誤差が少なくなり、打撃力のばらつきを小さくできる。
以上、本発明を示す実施例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、本実施例ではモータとしてブラシレスDCモータを用いた例を説明したが、これに限定されず、正方向及び逆方向に駆動できる他の種類のモータであっても良い。
また、アンビルとハンマの形状は任意であり、アンビルとハンマが相対的に連続回転できない(乗り越えながら回転できず)構造とし、相対的に360度未満の所定の回転角を確保し、打撃面、被打撃面を形成すれば良い。例えば、ハンマとアンビルの突出部が軸方向に突出するのではなく、円周方向にも突出するように構成しても良い。さらに、ハンマとアンビルの突出部は、必ずしも外部に凸状となる突出部だけに限られずに、なんらかの形状にて打撃面、被打撃面を形成できれば良いので、ハンマ又はアンビルの内部に突出する突出部(つまり凹部)であっても良い。また、打撃面、被打撃面は必ずしも平面に限られずに、曲面であっても、その他の良好に打撃及び被打撃される形状であれば良い。
1 インパクト工具 3 モータ
3a (モータの)回転子 3b (モータの)固定子
3c (モータの)永久磁石 3d 絶縁部材
3e (モータの)コイル 5 ケース
6 ハウジング 6a (ハウジングの)胴体部
6b (ハウジングの)グリップ部 6c (ハウジングの)バッテリ保持部
7 基板 8 トリガスイッチ 8a トリガ操作部
9 制御回路基板 10 スイッチング素子 11 カバー
12 LEDライト 14 正逆切替レバー
15 スリーブ 15a スプリング 15b ワッシャ
15c 止め輪 16a メタルベアリング 16b ベアリング
17a、17b ベアリング 18 冷却ファン
18a (冷却ファンの) 18b (冷却ファンの)
18c (冷却ファンの) 18d (冷却ファンの)
19 (モータの)回転軸
20 ネジボス 21 遊星歯車減速機構
21a サンギヤ 21b プラネタリーギヤ
21c 回転軸 21d アウターギヤ 22 インナカバー
23 Oリング 24 ボール
26a、26b 空気取入口 26c スリット
30 バッテリパック 30A リリースボタン 31 制御パネル
32 トグルスイッチ(パルスモード/ドリルモード切替スイッチ)
33 ベルトフック 34 ストラップ
36 ライトボタン 37 電池残量ボタン
38 電池残量表示ランプ 39 強弱表示ランプ
40 打撃機構 41 ハンマ 46 アンビル
50 制御部 51 演算部 52 インバータ回路
53 制御信号出力回路 54 回転子位置検出回路
55 回転数検出回路 56 打撃衝撃検出センサ
57 打撃衝撃検出回路 59 電流検出回路
60 スイッチ操作検出回路 61 印加電圧設定回路
62 回転方向設定回路
151 ハンマ 151a 嵌合軸 151b 本体部分
151c 円盤部 151d 接続部分 151f 貫通穴
152 突出部 152a、152b 打撃面 153 突出部
156 アンビル 156a 装着穴 156b 本体部分
157 突出部 157a、157b 被打撃面 158 突出部

Claims (9)

  1. モータと、
    前記モータに接続されるハンマと、
    前記ハンマによって回転するアンビルとを有し、
    前記ハンマを正方向と逆方向に回転させることにより前記アンビルを正方向に回転させるインパクト工具であって、
    前記ハンマを逆方向に回転させて前記アンビルに衝突させた後に、前記ハンマを正方向に回転させることを特徴とするインパクト工具。
  2. 前記ハンマは、前記モータの回転力を減速する減速機構を介して前記モータに接続され、
    前記減速機構の出力部と前記ハンマと前記アンビルが同軸上に配置され、
    前記ハンマは、本体部分から半径方向外側または軸方向に突出する1組以上の突出部と、軸上に形成された嵌合部を有し、
    前記アンビルは、本体部分から半径方向外側または軸方向に突出する1組以上の突出部と、前記ハンマ部の嵌合部と嵌合する嵌合部を有し、
    前記アンビル及び前記ハンマの少なくとも片方の突出部は相互に衝突する打撃面を有し、
    前記モータを正方向及び逆方向に回転させることによって、前記ハンマと前記アンビルを双方向に交互に打撃しながら前記ハンマを正方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載のインパクト工具。
  3. 前記アンビルと前記ハンマの打撃部が相対的に180度以上360度未満の回転角で回動することを特徴とする請求項2に記載のインパクト工具。
  4. 前記ハンマが前記アンビルに打撃する際の前記モータの回転数は、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の回転数が低いことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  5. 正回転打撃時の前記モータの回転数は、逆回転打撃時の回転数の2倍以上であることを特徴とする請求項4に記載のインパクト工具。
  6. 前記ハンマが前記アンビルに打撃する際の打撃トルクは、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の方が小さいことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  7. 前記ハンマが前記アンビルに打撃する際の前記アンビルの進み角は、正回転打撃時に比べて逆回転打撃時の方が小さいことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  8. 前記モータの回転を制御する制御部を設け、該制御部は、
    正転電流を供給して前記モータを正転方向に加速させ、
    前記ハンマが前記アンビルと衝突したら、
    前記モータの回転が第1の所定回転数まで低減した後に前記モータに逆転電流を供給して前記ハンマを逆回転させ、
    前記モータの逆回転が第2の所定回転数に達したら前記モータに供給する電流をオフにし、
    前記ハンマと前記アンビルを逆回転方向に衝突させ、
    該衝突後に再び前記正転電流を供給して前記モータを正転方向に加速させるように制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のインパクト工具。
  9. 前記モータは、回転位置検出素子を用いて駆動されるブラシレスDCモータであり、
    前記モータの回転数は、前記回転位置検出素子の出力信号を用いて算出されることを特徴とする請求項8に記載のインパクト工具。
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