以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の説明において、上下前後の方向は、図1中に示した方向として説明する。
図1は本発明に係るインパクト工具1の全体構造を示す縦断面図である。インパクト工具1は、充電可能なバッテリパック2を電源とし、モータ3を駆動源として打撃機構50を駆動し、出力軸であるアンビル61に回転力と打撃を与えることによってドライバビット等の図示しない先端工具に連続する回転力や断続的な打撃力を伝達してネジ締めやボルト締め等の作業を行う。
モータ3は、ブラシレスDCモータであって、側面から見て略T字状の形状を成すハウジング6の略筒状の胴体部6a内に、回転軸4の軸方向が前後方向と一致するように胴体部6a内に収容される。ハウジング6は、ほぼ対称な形状の左右2つの部材に分割可能に構成され、それら部材が複数の図示しないネジにより固定される。そのため、分割されるハウジング6の一方(本実施例では左側ハウジング)に複数のネジボス19bが形成され、図示しない他方のハウジング(右側ハウジング)に複数のネジ穴が形成される。モータ3の回転軸4は、胴体部6aの後端側のベアリング17bと中央部付近に設けられるベアリング17aによって回転可能に保持される。モータ3の後方には6つのスイッチング素子11が搭載されたインバータ基板10が設けられ、これらスイッチング素子11によってインバータ制御を行うことによりモータ3を回転させる。インバータ基板10の前方側であって回転子の永久磁石に対向する位置には、回転子の位置を検出するためのホールIC等の回転位置検出素子(図示せず)が搭載される。
ハウジング6の胴体部6aから略直角方向下方に一体に延びるグリップ部6b内の上部にはトリガ操作部8a及び正逆切替レバー14が設けられ、トリガスイッチ8には図示しないバネによって付勢されてグリップ部6bから突出するトリガ操作部8aが設けられる。胴体部6aの先端側に接続されるハンマケース7の下方位置にはLED12が保持される。LED12は、後述の装着穴62aに図示せぬ先端工具であるビットが装着された際に、ビットの前端付近を照射可能に構成される。グリップ部6b内の下方であってバッテリ保持部6cの内部には、トリガ操作部8aの操作に応じてモータ3の速度を制御する機能等を備えた制御回路を搭載する制御回路基板9が収容される。制御回路基板9の前方側上面には、インパクト工具1の動作モードを設定するための回転式のダイヤルスイッチ5が設けられ、ダイヤルスイッチ5のダイヤルの一部又は全部がハウジング6から外部に露出するように取り付けられる。ダイヤルスイッチ5によって複数の動作モードを切り替えることができ、例えば動作モードを、「ドリルモード(クラッチ機構無し)」、「ドリルモード(クラッチ機構付き)」、又は、「インパクトモード」に切り替えることができる。「インパクトモード」においては、打撃トルクの強さを段階的に又は連続的に可変に設定できるように構成すると好ましい。尚、図1では図示していないが、ハウジング6のいずれかの一部に液晶表示あるいはLED表示等の表示部を設け、表示部はダイヤルスイッチ5によって設定されたモードを示すようにすると良い。
グリップ部6bの下方に形成されたハウジング6のバッテリ保持部6cには、ニッケル水素やリチウムイオン等の複数の電池セルが収容されたバッテリパック2が着脱可能に装着される。バッテリパック2には、リリースボタン2aが設けられ、左右両側に位置するリリースボタン2aを押しながら前方にバッテリパック2を移動させることにより、バッテリパック2をバッテリ保持部6cから取り外すことができる。バッテリ保持部6cの後方側には、ストラップ92が取り付けられる。バッテリ保持部6cの左右側面のいずれかには、着脱可能な金属製のベルトフック91が装着可能である。
モータ3の前方には、回転軸4に取り付けられてモータ3と同期して回転する冷却ファン18が設けられる。冷却ファン18は、回転方向によらずに回転軸4付近の空気を吸引して径方向外側に排出する遠心ファンであり、冷却ファン18により胴体部6aの後方に設けられた空気取入口13a、13bから空気が吸引される。ハウジング6の内部に吸引された外気は、モータ3の回転子と固定子の間、及び、固定子の磁極の間を通過した後に冷却ファン18に到達し、冷却ファン18の半径方向外周側付近に形成される複数の空気排出口(図示せず)からハウジング6の外部に排出される。
打撃機構50は、アンビル61と第2遊星キャリヤ組立体51の2つの部品により構成され、第2遊星キャリヤ組立体51は遊星歯車減速機構20の2段目の遊星歯車の回転軸を連結すると共に、アンビル61を打撃するための後述するハンマを有する。現在広く使われている公知の打撃機構と違って、打撃機構50は、スピンドル、スプリング、カム溝、及びボール等を有するカム機構をもたない。そしてアンビル61と第2遊星キャリヤ組立体51とは回転中心付近に形成された嵌合軸と嵌合穴により半回転未満の相対回転だけができるように連結される。アンビル61は、先端工具(図示せず)を装着する出力軸部分と一体に構成され、前端には軸方向と鉛直面の断面形状が六角形の装着穴62aが形成される。尚、アンビル61と、先端工具を装着する出力軸は別体部品で構成して連結させるように構成しても良い。アンビル61の後方側は第2遊星キャリヤ組立体51の嵌合軸と連結され、軸方向中央付近でメタル16aによりハンマケース7に対して回転可能に保持される。アンビル61の先端には先端工具をワンタッチで着脱するためのスリーブ15が設けられる。これらアンビル61と第2遊星キャリヤ組立体51の詳細形状については後述する。
ハンマケース7は打撃機構50及び遊星歯車減速機構20を収容するために金属製の一体成形で製造され、ハウジング6の前方側の内部に装着される。ハンマケース7は、ベアリング機構を介してアンビル61を保持するものであり、左右分割式のハウジング6によって全体が覆われるようにして固定される。このようにハンマケース7は、ハウジング6に対してしっかりと保持されるので、アンビル61の軸受け部分にガタつきが生ずることを防止でき、インパクト工具1の長寿命化を図ることができる。
トリガ操作部8aが引かれてモータ3が起動されると、モータ3の回転は遊星歯車減速機構20によって減速され、モータ3の回転数に対して所定の比率の回転数で第2遊星キャリヤ組立体51が回転する。第2遊星キャリヤ組立体51が回転すると、その回転力は第2遊星キャリヤ組立体51に設けられるハンマを介してアンビル61に伝達され、アンビル61が第2遊星キャリヤ組立体51と同じ速度で回転を開始する。先端工具側からの受ける反力によってアンビル61にかかる力が大きくなると、後述する制御部は締め付け反力の増大を検出し、モータ3の回転が停止してロック状態になる前に、第2遊星キャリヤ組立体51の駆動モードを変更してハンマを断続的に駆動する。
図2は、図1の打撃機構50付近の拡大断面図である。本実施例における遊星歯車減速機構20は、プラネタリー型であり、第1減速機構部と第2減速機構部の2つの減速機構部を有し、各減速機構部はそれぞれ、サンギヤ、複数のプラネタリーギヤ、リングギヤを含んで構成される。モータ3の回転軸4の先端には第1ピニオン29が取り付けられ、第1ピニオン29が第1減速機構部の駆動軸(入力軸)となる。第1ピニオン29の周囲には、複数の第1プラネタリーギヤ33が位置し、第1リングギヤ28の内周側で回転する。複数の第1プラネタリーギヤ33の回転軸たるニードルピン34aは、遊星キャリヤの機能を持つ第1遊星キャリヤ組立体30にて保持される。第1遊星キャリヤ組立体30は第2減速機構部の入力軸となり、前方側中央付近には第2ピニオン35が形成される。
第2ピニオン35の周囲には、複数の第2プラネタリーギヤ56が位置し、第2リングギヤ40の内周側で回転する。複数の第2プラネタリーギヤ56の回転軸たるニードルピン57は、第2遊星キャリヤ組立体51にて保持される。第2遊星キャリヤ組立体51は、2つの打撃爪たるハンマを有し、アンビル61に形成された打撃爪に対応する。第2遊星キャリヤ組立体51は第2減速機構部の出力として、モータ3と同方向に所定の減速比で回転する。この減速比をどの程度に設定するかは、主な締め付け対象(ネジかボルトか)や、モータ3の出力と必要な締付トルクの大きさ等の要因から適切に設定すれば良く、本実施例ではモータ3の回転数に対して第2遊星キャリヤ組立体51の回転数が1/8〜1/15程度になるように減速比を設定する。
胴体部6aの内部であって、冷却ファン18の前方側にはインナカバー21が設けられる。インナカバー21はプラスチック等の合成樹脂の一体成形で製造された部材であり、ハウジングの内壁に沿って取り付けられる。インナカバー21の後方側には円筒状の部分が形成され、その円筒部分でモータ3の回転軸4を回転可能に固定するベアリング17aの外輪を保持する。また、インナカバー21の前方側には、3つの異なる径を有する円筒状の部分が段差状に設けられ、後方の小径内径部分にはベアリングの役目を果たす円筒状のメタル16bが設けられ、中央付近の中径内径部分には第1リングギヤ28が挿入され、前方の大径内径部分には第2リングギヤ40及びスラスト軸受45が収容される。本実施例では、ハンマの後部に設けられるスラスト軸受45の後方側は、第2リングギヤ40にて固定することによってハウジング6に間接的に保持しているが、これだけに限定されずに、インナカバー21にて保持するようにしても良いし、ハウジング6にて直接固定するように構成しても良い。尚、小径内径部分、中径内径部分、大径内径部分以外にも後述するワッシャ類を保持するための僅かな段差部分が形成されるが、ここでの説明は省略する。第1リングギヤ28はインナカバー21に対して回転不能に取り付けられ、第2リングギヤ40はインナカバー21に対して僅かな径方向の回動ができるように、しかし実質的には回転不能なように取り付けられる。インナカバー21は、ハウジング6の胴体部6aの内部に回転不能に取り付けられるので、第1リングギヤ28及び第2リングギヤ40は、ハウジング6に対して非回転状態で固定されることになる。
インナカバー21の大径内径部は、ハンマケース7の後方側開口から内部に挿入され、インナカバー21とハンマケース7によって画定される空間の内部に、第1及び第2の減速機構部からなる遊星歯車減速機構20と、ハンマ52、53及びアンビル61からなる打撃機構50が収容されることになる。従って、第1及び第2の減速機構や打撃機構に与えられる潤滑のためのグリース類が外部に流出しすることを効果的に防止でき、長期間にわたって安定して減速機構と打撃機構を動作させることができる。尚、本実施例ではインナカバー21とハンマケース7の軸方向の接合部分(インナカバー21の前端側又はハンマケース7の後端側)にシール部材を介在させていないが、Oリング等の任意のシール部材を介在させるように構成しても良い。
次に図3及び図4を用いて、打撃機構50を構成する第2遊星キャリヤ組立体51とアンビル61の詳細構造を説明する。図3は、第2遊星キャリヤ組立体51とアンビル61の形状を示す斜視図であり、第2遊星キャリヤ組立体51は斜め前方から、アンビル61は斜め後方から見た図である。図4は、第2遊星キャリヤ組立体51とアンビル61の形状を示す斜視図であり、第2遊星キャリヤ組立体51は斜め後方から、アンビル61は斜め前方から見た図である。第2遊星キャリヤ組立体51は、一体に構成される円盤状部材54を基本とし、円盤状部材54の対向する2箇所に軸方向前方に突出する2つのハンマ52、53が形成される。ハンマ52、53は打撃部(打撃爪)として機能し、ハンマ52の円周方向には、打撃面52aと52bが形成され、ハンマ53の円周方向には、打撃面53aと53bが形成される。打撃面52a、52b、53a、53bは、共に平面に形成されたもので、アンビル61の後述する被打撃面と良好に面接触する。円盤状部材54の中心軸付近から前方に、突当部56aと嵌合軸56bが形成される。円盤状部材54の外周付近の後方側は、スラスト軸受45と当接するための円環状の当接面54aが形成される。
円盤状部材54の後方側には遊星キャリヤの機能を有するように2つの円盤部55a、55bが形成され、円周方向の3箇所において円盤部55a、55bを接続する接続部55cが形成される。円盤部55a、55bの円周方向のそれぞれ3箇所には、貫通穴55d、55eが形成され、円盤部55a、55bの間に3つの第2プラネタリーギヤ56(図2参照)が配置され、第2プラネタリーギヤ56の回転軸たるニードルピン57(図2参照)が貫通穴55d、55eに装着される。円盤部55bの後方側中心軸付近には円形のくり貫き穴55fが形成される。くり貫き穴55fを介して第2ピニオン35が貫通し、第2プラネタリーギヤ56と噛合する。尚、第2遊星キャリヤ組立体51は、金属の一体構造にて製造すると強度的にも重量的にも好ましい。同様にアンビル61も金属の一体構造にて製造すると強度的にも重量的にも好ましい。
アンビル61は、円柱形の出力軸部分62の後方に円盤部63が形成され、この円盤部63の外周方向に突出する2つの打撃爪64、65が形成される。打撃爪64の円周方向両側には被打撃面64a及び64bが形成される。同様に打撃爪65の円周方向両側には被打撃面65a及び65bが形成される。円盤部63の中央には嵌合穴63aが形成され、嵌合軸56bが嵌合穴63aによって回動可能なように接続されることにより、第2遊星キャリヤ組立体51とアンビル61が、モータ3の回転軸4と同軸延長線上にて相対回転できるように構成される。
第2遊星キャリヤ組立体51が正回転(ネジ等を締め付ける回転方向)するときには、打撃面52aが被打撃面64aに当接し、同時に打撃面53aが被打撃面65aに当接する。また、第2遊星キャリヤ組立体51が逆回転(ネジ等をゆるめる回転方向)するときには、打撃面52bが被打撃面65bに当接し、同時に打撃面53bが被打撃面64bに当接する。この当接するタイミングが同時となるようにハンマ52、53及び打撃爪64、65の形状が決定されるので、回転する軸心を基準に対称な2箇所にて打撃が行われるので打撃時のバランスが良く、打撃時にインパクト工具1が振られにくく構成できる。
図5は、ハンマ52、53及び打撃爪64、65の使用状態における一回転の動きを6段階で示した断面図である。断面は軸方向と垂直面であって、図2のA−A部の断面である。図5においては、ハンマ52、53及び円盤部55aが一体に回転する部分(駆動側)であり、打撃爪64、65が一体に回転する部分(被駆動側)である。図5(1)の状態において、先端工具からうける締め付けトルクが小さいうちは、打撃爪64、65はハンマ52、53から押されることにより反時計回りに回転する。しかしながら、締め付けトルクが大きくなってハンマ52、53から押される力だけでは回転できなくなった場合には、ハンマ52、53を逆回転させるべく、モータ3の逆回転を開始する。(1)で示す状態においてモータ3の反転を開始し、それによって(2)に示すようにハンマ52、53を矢印58aの方向に回転させる。
モータ3が図5(3)の矢印58bに示す所定回転角度(遊動角c)だけ後退した位置に到達したら、モータ3に正回転方向への駆動電流を流すことにより、ハンマ52、53の矢印59aの方向(正回転方向)への回転を開始する。尚、ハンマ52、53を逆回転させた際に、ハンマ52と打撃爪65、及びハンマ53と打撃爪64が衝突しないように、停止位置において確実にハンマ52、53を停止させることが重要である。ハンマ52、53の停止位置を、打撃爪64、65と衝突する位置のどの程度前に設定するかは任意であるが、必要とされる締め付けトルクが大きいときは、反転角(遊動角c)を大きくすると良い。停止位置の制御は、モータ3の回転位置検出素子の出力信号を用いて行うが、この制御の方法については後述する。
そして、図5(4)で示すようにハンマ52、53を矢印59bの方向に加速させて、図5(5)に示す位置にてモータ3への駆動電圧の供給をストップするとほとんど同時に、ハンマ52の打撃面52aは打撃爪64の被打撃面64aと衝突する。同時に、ハンマ53の打撃面53aは打撃爪65の被打撃面65aと衝突する。この衝突の結果、打撃爪64、65には強力な回転トルクが伝達され、打撃爪64、65は矢印59dで示す方向に回転する。図5(6)の位置は、図5(1)で示した状態から、ハンマ52、53と打撃爪64、65の双方が所定角度分だけ回転した状態であり、再び図5(1)の状態から図5(5)に至る正転及び逆転動作を繰り返すことによって、被締め付け部材を適正トルクになるまで締め付けを行う。
次に、モータ3の駆動制御系の構成と作用を図6に基づいて説明する。図6はモータ3の駆動制御系の構成を示すブロック図であり、本実施例では、モータ3は3相のブラシレスDCモータで構成される。このブラシレスDCモータは、いわゆるインナーロータ型であって、複数組(本実施例では2組)のN極とS極を含む永久磁石(マグネット)を含んで構成される回転子(ロータ)3aと、スター結線された3相の固定子巻線U、V、Wから成る固定子3bと、回転子3aの回転位置を検出するために周方向に所定の間隔毎、例えば角度60°毎に配置された3つの回転位置検出素子(ホール素子)78を有する。これら回転位置検出素子78からの位置検出信号に基づいて固定子巻線U、V、Wへの通電方向と時間が制御され、モータ3が回転する。
インバータ基板10上に搭載される電子素子には、3相ブリッジ形式に接続されたFETなどの6個のスイッチング素子Q1〜Q6を含む。ブリッジ接続された6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートは、制御回路基板9に搭載される制御信号出力回路73に接続され、6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ドレインまたは各ソースは、スター結線された固定子巻線U、V、Wに接続される。これによって、6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路73から入力されたスイッチング素子駆動信号(H4、H5、H6等の駆動信号)によってスイッチング動作を行い、インバータ回路72に印加されるバッテリパック2の直流電圧を3相(U相、V相及びW相)電圧Vu、Vv、Vwとして固定子巻線U、V、Wに電力を供給する。
6個のスイッチング素子Q1〜Q6の各ゲートを駆動するスイッチング素子駆動信号(3相信号)のうち、3個の負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6をパルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6として供給し、制御回路基板9上に搭載された演算部71によって、トリガスイッチ8のトリガ操作部8aの操作量(ストローク)の検出信号に基づいてPWM信号のパルス幅(デューティ比)を変化させることによってモータ3への電力供給量を調整し、モータ3の起動/停止と回転速度を制御する。
ここで、PWM信号は、インバータ回路72の正電源側スイッチング素子Q1〜Q3または負電源側スイッチング素子Q4〜Q6の何れか一方に供給され、スイッチング素子Q1〜Q3またはスイッチング素子Q4〜Q6を高速スイッチングさせることによってバッテリパック2の直流電圧から各固定子巻線U、V、Wに供給する電力を制御する。尚、本実施例では、負電源側スイッチング素子Q4〜Q6にPWM信号が供給されるため、PWM信号のパルス幅を制御することによって各固定子巻線U、V、Wに供給する電力を調整してモータ3の回転速度を制御することができる。
インパクト工具1には、モータ3の回転方向を切り替えるための正逆切替レバー14が設けられ、回転方向設定回路82は正逆切替レバー14の変化を検出するごとに、モータの回転方向を切り替えて、その制御信号を演算部71に送信する。演算部71は、図示していないが、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するための中央処理装置(CPU)、処理プログラムや制御データを記憶するためのROM、データを一時記憶するためのRAM、タイマ等を含んで構成される。
制御信号出力回路73は、回転方向設定回路82と回転子位置検出回路74の出力信号に基づいて所定のスイッチング素子Q1〜Q6を交互にスイッチングするための駆動信号を形成し、その駆動信号を制御信号出力回路73に出力する。これによって固定子巻線U、V、Wの所定の巻線に交互に通電し、回転子3aを設定された回転方向に回転させる。この場合、負電源側スイッチング素子Q4〜Q6に印加する駆動信号は、印加電圧設定回路81の出力制御信号に基づいてPWM変調信号として出力される。モータ3に供給される電流値は、電流検出回路79によって測定され、その値が演算部71にフィードバックされることにより、設定された駆動電力となるように調整される。尚、PWM信号は正電源側スイッチング素子Q1〜Q3に印加しても良い。
次に、図7及び図8を用いて本実施例に係るインパクト工具1の駆動方法について説明する。図7はモータ3の駆動制御を行う際の、モータ回転数、PWM制御デューティ、打撃トルク、ハンマ回転角、モータ電流の状態を示す図である。図7(1)〜(5)の5つのグラフの横軸は経過時間t(秒)であって、それぞれのグラフの横軸スケールを合わせて図示している。本実施例に係るインパクト工具1においては、アンビル61とハンマ52、53が、相対的に180度未満の回転角で回転可能なように形成される。従って、ハンマ52、53はアンビル61に対して半回転以上の相対回転ができないため、その回転制御も特有のものになる。
インパクト工具1の動作モードとして“インパクトモード”が選択された際の締め付け作業では、図7(1)の時間t0からt2の区間で“連続駆動モード”で高速に締め付けを行い、必要な締め付けトルク値が大きくなったら時間t2〜t13の区間において“断続駆動モード”に切り替えて締め付けを行う。連続駆動モードでは、演算部71はモータ3を目標回転数に基づく制御を行う。このためモータ3は目標回転数Ntに達するまで加速し、アンビル61は、ハンマ52、53に押されながら一体に回転する。その後時間t1においてアンビル61に取り付けられた先端工具からの締め付け反力が大きくなると、アンビル61からハンマ52、53に伝わる反力が大きくなるため、モータ3の回転速度が徐々に落ちてくる。演算部71はモータ3の回転速度の落ち込みを検出して、時間t2においてモータ3を反転させる断続駆動モードによる駆動を開始する。
断続駆動モードは、モータ3を連続的に駆動するのではなく断続的に駆動するモードであり、「逆回転駆動と正回転駆動」を複数回繰り返すようにモータ3をパルス状に駆動する。ここで、本明細書における「パルス状に駆動する」とは、インバータ回路72に加えるゲート信号を脈動させることにより、モータ3に供給される駆動電流を脈動させ、それによってモータ3の回転数又は出力トルクを脈動させるように駆動制御することである。脈動の周期は、例えば数十Hz〜百数十Hz程度である。正回転駆動と逆回転駆動の切り替えの間には、休止時間を介するようにしても良いし、休止時間無しで切り替えるようにしても良い。尚、駆動電流ON状態の時にはモータ3の回転数制御のためにPWM制御が行われるが、そのデューティ比制御の周期(通常数キロHz)に比べると、脈動させる周期は十分小さい。
図7(1)は、モータ3の回転数100を示すグラフであり、+が正方向の回転方向(意図する回転方向と同じ方向)、−が逆方向の回転方向(意図する回転方向とは反対方向)である。縦軸はモータ3の回転数(単位rpm)である。時間t0においトリガ操作部8aが引かれてモータ3が起動されると、目標回転数Ntに達するまで加速され、矢印101で示すように目標回転数Ntで定速回転するように制御される。
その後、締め付け対象たるボルト等が着座し、ハンマ52、53の回転角の変化率が大きく減少し、時間t1からモータ3の回転が徐々に低下する。演算部71は、時間t1〜t2において回転角変化率が所定の閾値よりも小さくなったことを検出したら、モータ3に供給する正転駆動電圧を停止し、モータ3は“断続駆動モード”による回転制御に切り替えられる。時間t2においてモータ3には逆転駆動電圧の供給が開始される。逆転駆動電圧は、演算部71(図6参照)が負の方向の駆動信号を制御信号出力回路73(図6参照)に送ることにより行われる。モータ3の正転、逆転を行う際には、制御信号出力回路73から各スイッチング素子Q1〜Q6に出力する各駆動信号(オンオフ信号)の信号パターンを切り替えることにより実現される。尚、インバータ回路72を用いたモータ3の回転駆動においては、印加電圧をプラスからマイナスに切り替えるものではなく、駆動電圧を供給するコイルへの供給順序を変えるだけである。
逆転駆動電圧の供給によって、モータ3は逆回転を開始し、それによってハンマ52、53も逆回転を開始する(矢印102)。この逆回転時には、ハンマ52、53はアンビル61の打撃爪64、65から離れる方向への移動なので無負荷状態での回転となり、ハンマ52、53が大きく逆転する。その後は正回転及び逆回転を繰り返しながら打撃動作を行う。ここで、矢印102で示す時間t2〜t4、矢印104で示すt7〜t9がモータ3の逆回転駆動であり、矢印103で示す時間t4〜t7、矢印105で示す時間t9〜t12までが正回転駆動である。
図7(2)はモータ3へのPMW制御のデューティ比110を示すグラフである。デューティ比は所定のスイッチング素子に対して0〜100%で駆動されるが、本実施例においては、時間t0におけるモータ3の起動時だけでなく、回転方向の切り替え時、即ち時間t2、t4、t7及びt9においてもモータを起動する制御となる。時間t2、t4、t7及びt9においては、デューティ比を0から徐々に増加させて100%にするように制御することにより、回転方向の切り替え制御によるモータ3の不安定な制御を避けるようにした。しかも本実施例では、デューティ比を0から徐々に増加させて所定の割合、例えば40%程度にまで増加したら、所定の時間tDrimだけデューティ比に制限値(<100%)を設けて制限する。所定の時間tDrimが経過したらその制限を解除して再びデューティ比を徐々に増加させ、100%になるまで増加させる。この際のデューティ比の上昇率ΔD/Δtが所定の値Durになるように制御されると好ましい。
図7(3)は、ハンマ52、53がアンビル61を打撃することによって生ずる打撃トルクを示す図である。打撃トルクは、正回転駆動で回転が下がる区間(時間t1〜t2)にも弱く発生するが、ハンマ52、53が逆回転した後に正回転させて時間t6、t12においてハンマ52、53がアンビル61に衝突することによって強い打撃トルクが発生する。この状態を示す波形が打撃トルク122、123である。
図7(4)は、ハンマ52、53の回転角、つまり第2遊星キャリヤ組立体51の回転角130を示すグラフである。縦軸はハンマ52、53の回転角(単位rad)である。演算部71は“連続駆動モード”で回転中のハンマ52、53の回転角の変化率(=Δθ/Δt)を周期的に求めて、その変化率を監視する。ハンマ52、53の回転角は、回転位置検出素子78の出力信号から回転子位置検出回路74が所定間隔毎の検出パルスを演算部71に出力するので、演算部71はこの検出パルス数を監視することにより回転角の変化率を算出できる。本実施例においては、ホールIC等の回転位置検出素子78が回転角で60度ずつ隔てて3つ設けられているので、回転子位置検出回路74から出力される検出パルスは、回転子3aの回転角にして60度毎に出力される。また回転子3aの回転は遊星歯車減速機構20にて所定の減速比(本実施例では1:15)で減速されるので、ハンマ52、53の回転角にして4度毎に回転位置検出素子78の検出パルスが出力される。従って、回転子位置検出回路74の検出パルスをカウントすることによって、演算部71はハンマ52、53のアンビル61に対する相対的な回転角を検出することができる。
時間t0からt1までの連続駆動モードにおいては、モータ3の回転数がほぼ一定であるため、回転角変化率Δθ/Δtはほぼ一定となる。時間t2〜t4においては矢印131のように逆回転される。時間t4においてハンマ52、53の回転角の減少量が所定の遊動角cに到達したら、モータ3に正転駆動電圧の供給を開始する。正転駆動電圧の供給によって、モータ3は再び正回転を開始し、それによって矢印132のようにハンマ52、53も正回転を開始する。この正回転時には、ハンマ52、53はアンビル61の打撃爪64、65に再び接近方向への移動なので、無負荷状態となりハンマ52、53の回転角が大きく増加する。
次に、時間t6においてハンマ52、53の回転角の増加量が閾値たる遊動角cに到達したら、モータ3への正転駆動電圧の供給を停止させる。この停止させる際が、モータ3の回転速度が最大速度に達する付近であり、ハンマ52、53は勢いよく打撃爪64、65に衝突し、この衝突により打撃トルク121に比べて大きい打撃トルク122が発生する。理想的には遊動角cに到達した時間t6においてハンマ52、53がアンビル61の打撃爪64、65に衝突する。このようにハンマ52、53がアンビル61を打撃するタイミング近傍でモータ3の正転駆動を停止させるようにしたので、打撃の際にはハンマ52、53(第2遊星キャリヤ組立体51)は惰性で回転し、第2遊星キャリヤ組立体51の慣性のみでハンマ52、53はアンビル61に対する打撃を行うことができる。この結果、モータ3への過剰な電流供給を抑制することができ、効率的なインパクト動作を実現できる。尚、「打撃の際」とは、打撃の時と一致している場合だけでなく、打撃のほんの僅か前であってもほんの僅かだけ後であっても良い。打撃前におけるハンマ52、53に対するアンビル61の位置は、専用の位置センサで正確に検出している訳ではないので、厳密な制御をするのは難しいが、少なくとも打撃トルクが発生している期間内(t6〜t7)のほとんどの区間でモータ3への正転駆動電圧の供給が停止されるような状態とすれば良い。
時間t6にて打撃が行われると、打撃トルクが消失する時間t7において、モータ3に逆転駆動電圧の供給を開始し、ハンマ52、53の逆回転を開始させる(矢印104)。ハンマ52、53が遊動角cだけ逆回転したら、モータ3の駆動電圧を正転駆動電圧に切り替える。正転駆動電圧の供給によって、モータ3を再び正回転させ(矢印133)、時間t9においてハンマ52、53の回転角の増加量が遊動角cに到達したら、モータ3に正転駆動電圧の供給を停止させる。この停止とほぼ同時にハンマ52、53がアンビル61の打撃爪64、65に衝突するので、以降は時間t4〜t7と同じ制御を繰り返し、モータ3の逆転駆動電圧の供給、正転駆動電圧の供給、モータ3への駆動電圧の停止(時間t12〜t13)を繰り返すことによってインパクト動作を行い、ボルト等の締め付け部材の締め付けを完了させる。締め付け作業の終了は、時間t13にて作業者がトリガ操作部8aを離すことによって行う。尚、作業の終了は作業者がトリガ操作部8aを離すだけでなく、アンビル61による締め付けトルク値を検出する公知のセンサ(図示せず)を付加し、締め付けトルク値が所定の値になったときに演算部71がモータ3への駆動電圧を強制的に停止させるように構成しても良い。
図7(5)は、モータ3に流れる電流値140を示すグラフであって電流検出回路79によって検出される電流値である。モータ3は一般に起動時の突入電流が大きくなり、その大きさは定速回転時の10倍を超えることもある。従って、通常は起動時の突入電流を小さくするために、デューティ比を低い状態から徐々に高くする等の対策がなされるが、本実施例の制御によって時間t2〜t3、t4〜t5、t7〜t8、及び、t9〜t10の区間の電流を制限することができる。尚、インバータ回路72を使ったモータ3の回転制御においては、電流検出回路79によって検出される電流値が+、−になるわけではないが、図7(5)では説明のためにモータ3を正回転させる場合を+電流、逆回転させる場合を−として説明をした。
以上説明したように、本実施例においては締め付けトルクが少なくてすむ締め付け初期段階は連続駆動モードで回転駆動し、必要な締め付けトルクが大きくなったら断続駆動モードを用いてネジやボルト等の締め付けを行うので、効率よく迅速に締め付け作業を行うことができる。また、逆転及び正転させるハンマの回転角を、回転位置検出素子の出力に基づいて得られる回転角度によって精密に制御するので、消費電力の無駄が少ないインパクト工具を実現できる。さらに、ハンマ52、53がアンビル61を打撃するタイミング近傍でモータ3への駆動電圧の供給を停止させ、ハンマの慣性エネルギーのみでアンビルを打撃するので、打撃後に作業者の手に伝わる反動が少なくて済むという効果がある。
次に図8のフローチャートを用いて演算部71によるモータ3の回転制御手順を説明する。このフローチャートに示す回転制御手順は、トリガ操作部8aが引かれたことを契機に開始する。また、これらの回転制御手順は演算部71に含まれる図示しないマイクロコンピュータによってプログラムを実行することによりソフトウェア的に実現できる。
トリガ操作部8aが引かれると、演算部71はハンマ52、53の回転角変化率(=Δθ/Δt)の算出を開始し(ステップ201)、モータ3に所定のデューティ比による正転電圧を印加する(ステップ202)。これによってモータ3は正回転を開始し、ハンマ52、53とアンビル61が一体的に回転し、ボルト等への締め付けが開始される。
演算部71は短い周期で算出しているモータ3の回転角変化率Δθ/Δtが、予め設定された閾値aより小さくなったか否かを判定する(ステップ203)。回転角変化率Δθ/Δtが閾値aより小さくなるのは、締め付け対象が被締め付け部材に着座した状態(図7(1)の時間t1〜t2の状態)であるので、演算部71はモータ3への正転電圧印加を停止し(ステップ204)、回転角変化率算出値のリセットを行う(ステップ205)。ステップ203において回転角変化率が閾値a以上の場合は、ステップ202に戻る。
続いて、次なる打撃動作に向け、ハンマ52、53の逆転方向への相対回転角度の算出を開始するとともに、(ステップ206)、ハンマ52、53の逆回転をすべくモータ3の逆転を開始する(ステップ207)。この際、デューティ比を0から徐々に増やして100%まで変化させるが、モータ3の逆回転を開始後の所定時間TDrimだけは、デューティ比の上限をDrim(%)に制限する(ステップ208)。この閾値たるDrimは、例えば10から70%くらいの範囲で適宜設定すれば良く、本実施例では40%としている。
次にデューティ比を制限する時間tDrimが経過したかどうかを判定し(ステップ209)、経過していなければステップ208に戻る。時間tDrimが経過したらデューティ比の制限を解除し、目標回転数に基づいてデューティ比を上昇率Dur(%/sec)にて上昇させて100%に到達させる(ステップ210)。
次にハンマ52、53の反転角度が所定の角度(遊動角c)以上になったか否かを判定する(ステップ211)。反転角度が遊動角cに到達していなければステップ210に戻り、反転角度が遊動角c以上になったら、制御部70はモータ3への逆転電圧の印加を停止させる(ステップ212)。ここで、遊動角cはハンマ52、53とアンビル61とを十分な回転角だけ引き離すために設定されるものであって、逆回転方向に打撃しない程度に十分な角度分を遊動角cとして設定する。また、逆回転させる回転角によって打撃前の助走区間を調整できるので、必要とされる打撃トルクの大きさに合わせて遊動角cを設定すれば良い。
続いて、逆回転方向の相対回転角度算出値をリセットし(ステップ213)、ハンマ52、53の正回転方向の相対回転角度の算出と回転角変化率の算出を開始し(ステップ214、215)、正転電圧を印加することによりモータ3の正回転をスタートさせる(ステップ216)。この際、デューティ比を0から徐々に増やして100%まで変化させるが、ハンマ52、53の正回転を開始の所定時間TDrimだけはデューティ比の上限をDrim(%)に制限する(ステップ217)。Drimは、例えば10〜50%くらいの範囲で適宜設定すれば良く、本実施例では逆回転時と同様の値である40%としている。
次にデューティ比を制限する時間tDrimが経過したかどうかを判定し(ステップ218)、経過していなければステップ217に戻る。時間tDrimが経過したらデューティ比の制限を解除し、目標回転数に基づいてデューティ比を上昇率Dur(%/sec)にて上昇させて100%に到達させる(ステップ219)。
次にハンマ52、53の正転角度が所定の角度(遊動角c)以上になったか否かを判定する(ステップ220)。正転角度が遊動角cに到達していなければステップ219に戻り、反転角度が遊動角c以上になったら、制御部70はモータ3への正転電圧の印加を停止させる(ステップ221)。この停止させるタイミングとほぼ同じに、ハンマ52、53は加速度をもってアンビル61に衝突し、正転方向に強い打撃トルクが発生する(図7(1)のt4)。その後、ハンマ52、53が持つ慣性力にしたがってアンビル61と一体的に回転する。(図7のt4−t5)。
次に、ハンマ52、53の慣性力による打撃の終了(回転の終了)を検出するために、回転角変化率が閾値aより小さくなったか否かを判定し(ステップ222)、回転角変化率が閾値a以上の場合はステップ221に戻る。回転角変化率が閾値aより小さくなった場合は、回転角変化率算出値及び相対回転角度算出値のリセットを行い(ステップ223、234)、次なる打撃動作に向けステップ206に戻る。以上の動作を、作業者がトリガ操作部8aを離すまで繰り返すことによって、ボルト等の締め付け作業を完了させる。
尚、上記実施例では、ステップ211と220では、逆回転の角度(反転角度)の遊動角と、正回転の角度(正転角度)の遊動角を等しくしたが、これらを個別の閾値を用いてもよい。また、本実施例では逆転及び正転させる量をハンマ52、53の回転角度で決定するようにしたが、これだけに限られずに逆転時間又は正転時間で決定するようにしても良い。この場合であってもモータの回転方向を切り替えた直後にPWMのデューティ比を所定時間だけ所定の値Drimに制限するように構成すればよい。
以上、本発明について実施例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、アンビルとハンマの形状は任意であり、アンビルとハンマが相対的に連続回転できない(乗り越えながら回転できない)構造とし、相対的に180度未満あるいは360度未満の所定の回転角を確保して打撃面及び被打撃面を形成すれば他の形状のものでも良い。また、上記実施例では、ボルトを締め付ける際の制御について説明したが、木ネジ等の作業及び緩める(取り外す)際にも同様に適用することができる。