JP2011059740A - 熱流体シミュレーション解析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】空調状態を把握するための熱流体シミュレーション実行時間を短縮し、素早く状況を解析することを課題とする。
【解決手段】熱流体シミュレーション解析装置は、データセンターにおける空調状態に熱流体シミュレーション解析を実施する際の解析条件を用いて解析モデルを生成する。そして、熱流体シミュレーション解析装置は、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施する。その後、熱流体シミュレーション解析装置は、熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する。続いて、熱流体シミュレーション解析装置は、収集された解析条件から、境界条件を抽出する。その後、熱流体シミュレーション解析装置は、境界条件に対応する領域を解析モデル上から特定し、特定した領域を境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実行する。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱流体シミュレーション解析装置に関する。
従来より、コンピュータ、サーバ、ルータなどのIT(Information Technology)機器を搭載したラック装置を配置するデータセンターでは、温かい空気を吸って冷却風を供給する空調機を用いて、IT機器の冷却を行っている。
近年では、データセンターにおいて、ラック装置に搭載されるIT機器の実装高密度化や消費電力上昇に伴う温度上昇により、IT機器が冷却されず、異常発生の原因となることがある。データセンター内部の温度分布としては、個々のIT機器やラック装置の設置場所、設置環境が均一でなく、IT機器内のCPU(Central Processing Unit)やラック装置全体の発熱量のバラツキがある。そのため、冷却されないIT機器が発生し、許容温度を超えてしまうという問題が生じる。また、データセンター内部の温度上昇に伴い、冷却風を供給する空調機の異常運転および異常停止などのトラブルも想定される。
このような異常状態を予測するために、センサー等による予測手法が用いられている。ところが、センサー等による予測手法では、限られた計測ポイントから、根本となる異常現象を予測するため、熱対策技術、分析技術等を駆使した発生要因の特定、分析、対策を施す必要があり、問題解決までに時間を費やしてしまう。
そこで、上述したセンサー等による異常現象の予測手法以外に、熱流体シミュレーションを活用した手法が用いられている。具体的には、温度センサーや風量センサーなどでデータセンター内の温度異常が検出されると、原因究明のための温度等の測定データ分析を始め、シミュレーションによる状況把握や対策等を実施している。
例を挙げると、熱流体シミュレーションを行うシミュレーション装置は、解析条件の収集、解析モデルの作成、メッシュ作成、計算実行、結果分析の一連の処理を実行することで、熱流体シミュレーションによる状況把握等を実現している。
ここで、それぞれの処理について具体的に説明すると、まず、シミュレーション装置は、フロア情報、ラック装置・グリル・空調機の配置情報、ラック発熱量、ラック排気風量、グリルの開口率、空調機冷房能力、空調機風量などの解析条件を収集する。なお、収集手法としては、管理者によって作成されたデータセンター内配置情報を格納するデータベースなどから取得する。続いて、シミュレーション装置は、形状作成・発熱条件設定・風量設定を行った解析モデルを作成する。
その後、シミュレーション装置は、データセンター内の空間における空気の流れと熱移動の保存方程式(例えば、ナビエストークス方程式など)を有限体積に置き換えたメッシュ分割を行う。なお、対象の空間が大きかったり、シミュレーション精度を高めたりする場合には、メッシュ数が増大し、計算量が多くなる。
続いて、シミュレーション装置は、ナビエストークス方程式などの保存方程式に対して、変数と他の変数、又周囲の値に依存させる連成を行い、保存方程式の誤差が許容レベルに達するまで有限反復計算を続けて、解を収束させて方程式を解く。具体的には、シミュレーション装置は、ナビエストークス方程式に対して、一般的に広く利用されているSMPLE(Semi-Implicit Pressure Linked Equations)法などの分離解放の計算手順を実行し、解を収束させる。
例えば、シミュレーション装置は、保存方程式に初期値を設定した後、メッシュ分割された空間内にx軸の流速とy軸の流速とを保存方程式から算出する。そして、シミュレーション装置は、メッシュ分割された空間内にかかる圧力を算出し、保存方程式における流速、流速、密度をそれぞれ更新し、熱伝導方程式などの他の方程式を用いて、例えば、温度を算出する。そうして、シミュレーション装置は、算出した流速と温度とによる境界値と閾値との誤差が許容範囲か否か、つまり、境界値が収束したか否かを判定する。その後、シミュレーション装置は、境界値が収束した場合には、シミュレーションを終了し、境界値が収束しない場合には、収束するまで上記シミュレーションを実行する。なお、シミュレーションが終了すると、そのシミュレーション結果を用いた状況把握等が管理者などによって実行される。
特開2008−034715号公報 特開平08−095672号公報
しかしながら、上述した従来の技術では、データセンター内の空調状態を把握するためのシミュレーション実行に非常に多くの時間が必要であり、素早く状況を解析することできないという課題があった。例えば、データセンター内に異常が発生した場合に、上記一連の処理を実施した上でしか状況把握を解析することができないので、状況把握から異常対策までに非常に多くの時間が必要である。
具体的には、従来のシミュレーション装置では、図15に示すように、保存方程式の誤差が許容レベルに達するまでの有限反復計算を約200回行う必要があったとする。この場合、例えば、データセンター内に温度異常が発生したとすると、従来のシミュレーション装置は、上述した解析条件の収集や解析モデルを作成した後、以前の計算結果を初期化する。その後、従来のシミュレーション装置は、再び、約200回の計算を実行した後に、状況把握等の情報を作成する。したがって、管理者等は、状況把握までに多くの時間が必要であり、異常対策までにはさらに多くの時間を要することとなる。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、空調状態を把握するための熱流体シミュレーション実行時間を短縮し、素早く状況を解析することが可能である熱流体シミュレーション解析装置を提供することを目的とする。
本願の開示する熱流体シミュレーション解析装置は、一つの態様において、所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する際の各種条件を示す解析条件を用いて解析モデルを生成し、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施するシミュレーション部と、前記シミュレーション部によって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する解析条件収集部と、前記解析条件収集部によって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、前記熱流体シミュレーション解析が実行された時点での解析条件のうち変更する条件を示す境界条件を抽出する条件抽出部と、前記条件抽出部によって抽出された境界条件に対応する領域を前記シミュレーション部によって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を前記境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して前記熱流体シミュレーション解析を実行する再実行部と、を有する。
本願の開示する熱流体シミュレーション解析装置の一つの態様によれば、空調状態を把握するための熱流体シミュレーション実行時間を短縮し、素早く状況を解析することが可能であるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置の構成を示すブロック図である。 図2は、解析条件DBに記憶される情報の例を示す図である。 図3は、温度センサーや風量センサーを備えさせたラック装置の側面図の例を示す図である。 図4は、データセンター内を例示した平面図である。 図5は、データセンターを有限体積法でメッシュ分割した例を示す図である。 図6は、シミュレーションの実行対象となる再定義領域を説明する図である。 図7は、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートである。 図8は、境界条件のみを再定義してシミュレーションを再実行した場合の収束曲線の例を示す図である。 図9は、実施例2に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートである。 図10は、アラームの種別と再定義項目との対応関係例を示す図である。 図11は、実施例3に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートである。 図12は、実施例4に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートである。 図13は、シミュレーション結果と実測値との比較例を示す図である。 図14は、熱流体シミュレーション解析プログラムを実行するコンピュータシステムの例を示す図である。 図15は、従来技術に係る熱流体シミュレーション解析を実行した場合の収束曲線の例を示す図である。
以下に、本願の開示する熱流体シミュレーション解析装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る熱流体シミュレーション解析装置の実施例を詳細に説明する。なお、以下では、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置の構成および処理の流れ、実施例1による効果について説明する。
本願が開示する熱流体シミュレーション解析装置は、所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する装置であり、例えば、データセンターにおける空調状態をシミュレーションする。なお、データセンターに限られるものではなく、例えば、映画館、農業施設など温度や風量に注意する必要があるような空間に対して用いることができる。
データセンターとは、IT(Information Technology)機器を格納するラック装置と、IT機器の排気を吸気して冷却風を床下等に供給する空調機と、床下の冷却風を床上に循環させるグリルとを有している。そして、IT機器は、空調機から提供された冷却風を吸気して、内部の電子機器等を冷却し、冷却に使用した空気を室内に排気する。したがって、データセンター内は、IT機器を冷却するために、比較的低い一定温度に保つ必要がある。
[熱流体シミュレーション解析装置の構成]
まず、図1を用いて、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置の構成について説明する。図1は、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、熱流体シミュレーション解析装置10は、通信制御I/F部11と、入力部12と、表示部13と、記憶部15と、制御部20とを有するコンピュータ装置である。
通信制御I/F部11は、複数のポートを有するインタフェースであり、他の装置と間でやり取りされる情報を制御する。例えば、通信制御I/F部11は、当該熱流体シミュレーション解析装置10により得られたシミュレーション結果(解析結果)を受信し、シミュレーション結果に応じた対策を検討する管理者装置などのコンピュータ装置と接続される。そして、通信制御I/F部11は、管理者装置に対してシミュレーション結果を送信する。
入力部12は、各種の情報の入力を受付ける入力手段であり、例えば、キーボードやマウス、マイクなどである。入力部12は、例えば、シミュレーション開始指示や終了指示などを受け付けて、後述する制御部20等に入力する。なお、後述する表示部13も、マウスと協働してポインティングディバイス機能を実現する。
表示部13は、各種の情報を出力する出力手段であり、例えば、モニタ、ディスプレイ、タッチパネルやスピーカなどである。表示部13は、例えば、熱流体シミュレーション解析装置10により得られたシミュレーション結果などを表示出力する。
記憶部15は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。このような記憶部15は、制御部20による各種処理に必要なデータおよびプログラムを格納するとともに、解析条件DB15aと、解析結果DB15bとを有する。
解析条件DB15aは、後述する実行部20aが解析モデルを作成する際に使用する解析条件を記憶する上記で例示した記憶装置である。例えば、解析条件DB15aは、図2に示すように、解析条件となる項目として、「フロア情報(外形・高さ)、配置情報(ラック・グリル・空調機)、ラック発熱量、ラック排気風量、グリル情報(開口率)、空調機冷房能力、空調機風量」などを記憶する。図2は、解析条件DBに記憶される情報の例を示す図である。
このうち、フロア情報(外形・高さ)、配置情報(ラック・グリル・空調機)グリル情報(開口率)、空調機冷房能力、空調機風量等が、データセンター管理者やIT機器保守者等によって、予め入力された情報である。また、ラック発熱量、ラック排気風量についても、予め入力された情報であってもよいが、ラック装置等に温度センサーや風量センサーを備えさせて、シミュレーションを実行するタイミングで、実測値を取得するようにすることもできる。
例えば、図3に示すように、ラック装置に格納されるIT機器が冷却風を吸気する吸気側に温度センサー、排気する排気側に風量センサーを備えさせる。こうすることで、IT機器が吸気する冷却風の温度と、IT機器が排気する風量等を取得することができる。図3は、温度センサーや風量センサーを備えさせたラック装置の側面図の例を示す図である。
解析結果DB15bは、後述する制御部20によって得られたシミュレーション結果を格納する上記で例示した記憶装置である。例えば、解析結果DB15bは、シミュレーションが実行された日時、シミュレーションが実行された解析条件等に対応付けて、シミュレーション結果を格納する。
制御部20は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路、または、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などの電子回路である。この制御部20は、OS(Operating System)などの制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有する。さらに、制御部20は、実行部20aと、解析条件収集部20bと、条件抽出部20cと、再実行部20dとを有し、これらによって各種処理を実行する。
実行部20aは、所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する際の各種条件を示す解析条件を用いて解析モデルを生成し、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施する。
具体的には、実行部20aは、図4に示すように、空調機と、グリルと、ラック装置とが配置されたデータセンターにおける解析条件を解析条件DB15aから取得する。例えば、実行部20aは、データセンターにおけるフロア情報、ラック装置・グリル・空調機の配置情報、ラック発熱量、ラック排気風量、グリルの開口率、空調機冷房能力、空調機風量などの解析条件を収集する。図4は、データセンター内を例示した平面図である。
続いて、実行部20aは、収集した解析条件を用いて、データセンターの形状、ラック装置等の発熱条件、IT機器個々の吸排気風量、ラック装置全体全体の吸排気風量、データセンター全体の風量などを定義(設定)した解析モデルを生成する。そして、実行部20aは、図5に示すように、データセンター内の空間における空気の流れと熱移動の保存方程式(例えば、ナビエストークス方程式など)を有限体積に置き換えたメッシュ分割を行う。なお、メッシュ分割は、一般的な有限体積法を用いて実行するので、ここでは詳細な説明は省略する。図5は、データセンターを有限体積法でメッシュ分割した例を示す図である。
その後、実行部20aは、ナビエストークス方程式などの保存方程式に対して、変数と他の変数、又周囲の値に依存させる連成を行い、保存方程式の誤差が許容レベルに達するまで有限反復計算を続けて、解を収束させて方程式を解く。具体的には、実行部20aは、ナビエストークス方程式に対して、一般的に広く利用されているSMPLE(Semi-Implicit Pressure Linked Equations)法などの分離解放の計算手順を実行し、解を収束させる。
例えば、実行部20aは、保存方程式に初期値を設定した後、メッシュ分割された空間内にx軸の流速とy軸の流速とを保存方程式から算出する。そして、実行部20aは、メッシュ分割された空間内にかかる圧力を算出し、保存方程式における流速、流速、密度をそれぞれ更新し、熱伝導方程式などの他の方程式を用いて、例えば、温度を算出する。そうして、実行部20aは、算出した流速と温度とによる境界値と閾値との誤差が許容範囲か否か、つまり、境界値が収束したか否かを判定する。その後、実行部20aは、境界値が収束した場合には、シミュレーションを終了し、境界値が収束しない場合には、収束するまで上記シミュレーションを実行する。なお、シミュレーションが終了すると、そのシミュレーション結果を用いた状況把握等が管理者などによって実行される。
より例を挙げると、実行部20aは、式(1)に示した質量保存式と、式(2)と式(3)に示した運動量保存式と、式(4)に示したエネルギー保存式等を用いたナビエストークス方程式を用いる。このようなナビエストークス方程式に対するSMPLE解放は一般的な解放手法であるので、詳細な説明は省略し、簡単に説明する。なお、ここで簡単に説明する解析手法や式は、あくまで例示であり、これに限定されるものではない。
Figure 2011059740
Figure 2011059740
Figure 2011059740
Figure 2011059740
まず、各式の変数について説明する。「Ω」は、データセンターの空間内の閉じた領域又は領域の体積を示しており、「A」は、領域Ωの外部との境界面又は境界の面積を示している。「n」は、単位ベクトルを示しており、「u(i=1、2、3)」は、デカルト座標系の流速成分を示している。「ρ」は、単位面積当たりにおけるデータセンター内の流体の質量を示しており、「μ」は、せん断応力と速度勾配の比である粘性係数を示しており、「p」は、データセンター内の圧力値を示している。「E」は、データセンター内のエネルギー量を示しており、「T」は、温度を示している。「k」は、熱流束と温度勾配の比(フーリエ法則)を示す熱伝導率である。「S」は、データセンター内部、言い換えると、メッシュ内部の圧力を示す生成項(圧力項)である。
次に、処理の流れを簡単に説明する。実行部20aは、式(2)と式(3)に示したる運動量保存式から、メッシュ分割されたデータセンター上のx、y、z軸の流速を示す「V:流体の速度(流速)」とを算出する。つまり、実行部20aは、式(2)や式(3)に既知の圧力値(p)を代入し、流速(V)の予測値を算出する。
続いて、実行部20aは、式(1)や(2)に示した運動量保存方程式と質量保存方程式とを用いて、圧力と流速の補正量が満たすべき方程式を算出する。そして、実行部20aは、流速の補正量を圧力の補正量で表し、圧力の補正量のみを未知数とする圧力方程式を計算して、圧力と流速とを更新し、運動量保存方程式と質量保存方程式とを同時に満たす圧力(圧力場)と流速(流速場)を算出する。つまり、実行部20aは、圧力の補正値と流速の補正値とを算出し、既知の圧力値(p)を用いて予測した流速(V)を更新する。
次に、実行部20aは、式(5)や(6)に示した質量保存方程式や、ニュートン力学第二法則、熱力学法則等を用いて、エネルギー値「E」を算出する。そして、実行部20aは、算出した「E」と式(4)とを用いて、温度「T」を算出する。
Figure 2011059740
Figure 2011059740
その後、実行部20aは、算出した流速と温度とによる境界値と閾値との誤差が許容範囲か否か、つまり、境界値が収束したか否かを判定する。その後、実行部20aは、境界値が収束した場合には、シミュレーションを終了し、境界値が収束しない場合には、収束するまで上記シミュレーションを実行する。こうすることにより、実行部20aは、例えば、データセンター内の温度が、シミュレーションを実行した時点からどのように変化していくかなどが示されるシミュレーション結果を算出することができる。そして、実行部20aは、算出したシミュレーション結果を表示部13に表示出力したり、解析結果DB15bに格納したりする。
図1に戻り、解析条件収集部20bは、実行部20aによって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する。例えば、解析条件収集部20bは、熱流体シミュレーション解析が実施されてから1時間経過後に、その時点におけるフロア情報、配置情報、ラック発熱量、ラック排気風量、グリルの開口率、空調機冷房能力、空調機風量などの解析条件を収集する。この際の収集方法については、実行部20aと同様、例えば、データセンター管理者やIT機器保守者等によって、予め入力された情報や、温度センサーや風量センサーによる実測値を収集する。また、所定時間は、管理者等によって任意に設定することができる。そして、解析条件収集部20bは、収集した解析条件を条件抽出部20cに出力する。
条件抽出部20cは、解析条件収集部20bによって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、実行部20aによってシミュレーションが実行された時点での解析条件のうち変更する条件を示す境界条件を抽出する。例えば、条件抽出部20cは、解析条件収集部20bによって収集され解析条件と、実行部20aによって熱流体シミュレーション解析が実行された時点における解析条件とを比較し、差異がある解析条件を境界条件として抽出する。そして、条件抽出部20cは、抽出した境界条件を再実行部20dに出力する。例を挙げると、条件抽出部20cは、比較した結果、「ラック発熱量」と「ラック排気風量」とに差異が生じていると判定した場合には、センサー等により収集された「ラック発熱量」と「ラック排気風量」それぞれの実測値を再実行部20dに出力する。
再実行部20dは、条件抽出部20cによって抽出された境界条件に対応する領域を実行部20aによって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実行する。具体的には、再実行部20dは、条件抽出部20cによって抽出された境界条件として定義される領域を、実行部20aによって生成された解析モデルから特定する。そして、再実行部20dは、特定した領域を実行部20aによって生成された解析モデル上で再定義、すなわち、条件抽出部20cによって抽出された境界条件に変更する。その後、再実行部20dは、境界条件で変更された解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実行する。
このようにすることで、再実行部20dは、上記した例では先のシミュレーション実行から1時間後など再実行する時点で、解析条件を収集して新たに解析モデル作成およびメッシュ分割を行う必要がない。つまり、再実行部20dは、図6に示すように、過去(上記した例では1時間前)に生成された解析モデルおよびメッシュ分割上において、再実行時点で過去の解析条件と異なる条件のみを変更し、変更した解析モデルおよびメッシュ分割に対して、熱流体シミュレーション解析を再実行する。図6は、シミュレーションの実行対象となる再定義領域を説明する図である。
そして、再実行部20dは、例えば、データセンター内の温度が、シミュレーションを実行した時点からどのように変化していくかなどが示されるシミュレーション結果を算出することができる。そして、再実行部20dは、算出したシミュレーション結果を表示部13に表示出力したり、解析結果DB15bに格納したりする。
上記した例で説明すると、再実行部20dは、1時間前の解析条件と比較して差異があると判定された「ラック発熱量」と「ラック排気風量」のみを解析モデルに再定義し、設定された新たな解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を再実行する。言い換えると、再実行部20dは、1時間前の解析条件における「ラック発熱量」と「ラック排気風量」の値を、シミュレーション実行後の1時間後に新たに収集された「ラック発熱量」と「ラック排気風量」の値で変更する。そうすることで、1時間前に生成された解析モデルおよびメッシュ分割上の「ラック発熱量」と「ラック排気風量」の領域の値も変更される。そして、再実行部20dは、変更された新たな解析モデルに対して、熱流体シミュレーション解析を再実行する。
[熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れ]
次に、図7を用いて、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理について説明する。図7は、実施例1に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図7に示すように、実行部20aは、シミュレーション開始指示が入力部12等によって受け付けられると(ステップS101肯定)、解析条件を収集する(ステップS102)。
続いて、実行部20aは、収集した解析条件を用いた、言い換えると、解析条件を定義した解析モデルを生成する(ステップS103)。さらに、実行部20aは、生成した解析モデルにおける空気の流れと熱移動の保存方程式を有限体積に置き換えたメッシュ分割を行う(ステップS104)。
その後、実行部20aは、ナビエストークス方程式等の保存方程式に対して連成を行い、保存方程式の誤差が許容レベルに達するまで有限反復計算を続けて、解を収束させて方程式を解く熱流体シミュレーションを実行する(ステップS105)。そして、実行部20aは、シミュレーション結果を表示部13に表示出力したり、解析結果DB15bに格納したりする(ステップS106)。
その後、解析条件収集部20bは、実行部20aによって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間が経過すると(ステップS107肯定)、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する(ステップS108)。
続いて、条件抽出部20cは、解析条件収集部20bによって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、境界条件を抽出する(ステップS109)。そして、再実行部20dは、条件抽出部20cによって抽出された境界条件に対応する領域を実行部20aによって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を境界条件で変更する(ステップS110)。続いて、再実行部20dは、境界条件のみが変更された解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実行する(ステップS111)。その後は、入力部12等によって、装置終了指示やシミュレーション終了指示が受け付けられるまで、ステップS106以降の処理を繰り返して実行する。
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、熱流体シミュレーションを開始する時点で、前回から変更された条件のみ再定義した解析モデルで、熱流体シミュレーションを実行することができる。したがって、例えば、データセンター内の空調状態を把握するための熱流体シミュレーション実行時間を短縮し、素早く状況を解析することが可能である。
例えば、本願が開示する熱流体シミュレーション解析装置を用いた場合、図8に示すように、初期計算、言い換えると、初期値を用いた熱流体シミュレーション回数が約200回である。その後、次に実行する場合、前回から変更された条件のみ再定義した解析モデルに対して実行するので、約50回の計算回数で済む。したがって、従来のシミュレーション装置では、初期計算に要した回数(ここでは、約200回)を毎回実行する必要があるので、1回のシミュレーションに非常に多くの時間を要する。これに対して、本願では、初期計算以降は、前回から変更された条件のみ再定義した解析モデルに対して実行するので、変更された条件について熱流体シミュレーションを行っていることとなり、計算回数を格段に少なくすることができる。その結果、データセンター内の空調状態を把握するための熱流体シミュレーション実行時間を短縮し、素早く状況を解析することが可能である。図8は、境界条件のみを再定義してシミュレーションを再実行した場合の収束曲線の例を示す図である。
ところで、実施例1では、初期のシミュレーション実行後、所定時間経過後にシミュレーションを再実行する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、データセンター内の温度が閾値以上になった場合や、ラック装置に備えさせた温度センサーや風量センサーによって異常が検出された場合などアラームが発生した場合に、シミュレーションを再実行するようにしてもよい。
そこで、実施例2では、図9と図10を用いて、データセンター内でアラームが発生した場合に、シミュレーションを再実行する処理の流れについて説明する。図9は、実施例2に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートであり、図10は、アラームの種別と再定義項目との対応関係例を示す図である。
図9に示すように、ステップS201〜ステップS211までの処理は、実施例1で説明したステップS101〜ステップS111と同様であるので、ここでは省略し、実施例1とは異なる処理であるステップS212〜ステップS214について説明する。
具体的には、熱流体シミュレーション解析装置10は、熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間が経過していない場合(ステップS207否定)、各種センサーによってアラームが検知されたか否かを判定する(ステップS212)。
例えば、熱流体シミュレーション解析装置10は、データセンター内に備えられた温度センサーや風量センサー、又は、ラック装置ごとに備えられた温度センサーや風量センサーから実測値を取得し、実測値が予め任意に設定された閾値を超えるか否かを判定する。なお、ここでは、センサーから実測値を取得した熱流体シミュレーション解析装置10が異常が発生しているか否かを判定しているが、これに限定されるものではない。例えば、温度センサーや風量センサーが、予め定められた閾値を超える温度又は風量を検出した場合に、熱流体シミュレーション解析装置10に対してアラームを出力するようにしてもよい。
図9に戻り、アラームが検知されると(ステップS212肯定)、熱流体シミュレーション解析装置10の解析条件収集部20bは、アラーム種別に対応する解析条件を収集する(ステップS213)。そして、条件抽出部20cは、解析条件収集部20bによって収集された解析条件を境界条件として抽出する(ステップS214)。なお、アラームが検知されない場合は(ステップS212否定)、ステップS207に戻って、以降の処理が実行される。
例えば、解析条件収集部20bは、図10に示すようなアラーム種別と再定義項目との対応関係を示すデータベースを記憶部15に記憶しておき、アラームが検出された場合に、図10を参照して、検出されたアラームの種別から再定義項目を特定する。例えば、解析条件収集部20bは、ラック装置の吸気側で温度アラームが検出された場合、「ラック排気風量」、「空調機冷房能力」、「空調機風量」を再定義項目として特定し、センサーや管理者の入力等からそれぞれの実測値を取得する。また、解析条件収集部20bは、グリルで風量アラームが検出された場合、「配置情報」と「空調機風量」とを再定義項目として特定して、それぞれの実測値を取得する。
続いて、条件抽出部20cは、解析条件収集部20bによって、図10に示したデータベースから特定された再定義項目を境界条件として抽出する。上記した例で説明すると、条件抽出部20cは、ラック装置の吸気側で温度アラームが検出された場合、「ラック排気風量」、「空調機冷房能力」、「空調機風量」の実測値を境界条件として抽出する。また、条件抽出部20cは、グリルで風量アラームが検出された場合、「配置情報」と「空調機風量」の実測値とを境界条件として抽出する。
図9に戻り、実施例1と同様、再実行部20dは、条件抽出部20cによって抽出された境界条件に対応する領域を実行部20aによって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を境界条件で変更する(ステップS210)。続いて、再実行部20dは、境界条件のみが変更された解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実行する(ステップS211)。その後、熱流体シミュレーション解析装置10は、入力部12等によって、装置終了指示やシミュレーション終了指示が受け付けられるまで、ステップS206以降の処理を繰り返して実行する。
このように、実施例2によれば、熱流体シミュレーション解析装置10は、異常を報知するアラームが発生した場合に、当該アラームによる影響を受ける解析条件(メッシュ分割上では領域)の実測値を取得する。そして、熱流体シミュレーション解析装置10は、取得した実測値で、アラームに関係する解析条件を変更(再定義)した解析モデルに対して、熱流体シミュレーション解析を実行する。したがって、異常が発生してから短時間で熱流体シミュレーションを実行することができ、異常状況を解析および対応策の選定を素早く実施することが可能である。
ところで、本願が開示する熱流体シミュレーション解析装置10は、シミュレーション結果を表示部13に表示したりするだけでなく、シミュレーション結果と直前のシミュレーション結果とを比較し、比較結果を表示部13に表示したりすることもできる。
そこで、実施例3では、図11を用いて、シミュレーション結果と直前のシミュレーション結果とを比較する処理の流れについて説明する。図11は、実施例3に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS301〜ステップS311までの処理は、実施例1で説明したステップS101〜ステップS111と同様である。また、ステップS314〜ステップS316の処理についても、実施例2で説明したステップS212〜ステップS214と同様である。したがって、ここでは、実施例1や2と同様の処理についての説明は省略し、実施例1や2とは異なる処理であるステップS312〜ステップS313について説明する。
具体的には、熱流体シミュレーション解析装置10の再実行部20dは、境界条件のみが変更された解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実行して得られたシミュレーション結果と、前回実行されて得られた結果とを比較する(ステップS312)。そして、再実行部20dは、比較結果を表示部13に表示出力したり、解析結果DB15bに格納したりする(ステップS313)。その後、熱流体シミュレーション解析装置10は、入力部12等によって、装置終了指示やシミュレーション終了指示が受け付けられるまで、ステップS307以降の処理を繰り返して実行する。
例えば、再実行部20dは、シミュレーション結果として空間内の温度変化や風速や風量変化のシミュレーションが得られた場合には、前回の結果と比較することで、空間全体の温度分布や風速分布、風量分布などの分布状況を比較結果として抽出する。また、分布状況だけでなく、例えば、今回と前回との差分又はその差分の時間変化などを比較結果としてもよい。
このように、実施例3によれば、前回との比較結果を表示することができるので、管理者等は、前回から異常に異なる条件や領域など、異常が発生しそうな情報をいち早く取得することができる。その結果、例えばデータセンター内などの異常を未然に防止することができる。
ところで、本願が開示する熱流体シミュレーション解析装置10は、シミュレーション結果と実測値とを比較し、その結果をフィードバックすることで、安定した空調制御を行うようにすることもできる。
そこで、実施例4では、図12と図13を用いて、シミュレーション結果と実測値とを比較し、その結果をフィードバックする処理の流れについて説明する。図12は、実施例4に係る熱流体シミュレーション解析装置による処理の流れを示すフローチャートであり、図13は、シミュレーション結果と実測値との比較例を示す図である。
図12に示すように、熱流体シミュレーション解析装置10は、データセンターが稼動されると(ステップS401)、上述してきた熱流体シミュレーションを実行する(ステップS402)。
そして、熱流体シミュレーション解析装置10は、例えば5分ごとなど所定の時間おきに、データセンターやラック装置に設置されたセンサー等から温度の実測値を取得し、シミュレーション結果でのその時間における数値と比較する(ステップS403)。続いて、熱流体シミュレーション解析装置10は、比較結果が許容範囲を超える場合(ステップS404肯定)、アラームを報知し(ステップS405)、危険な状態を管理者装置等に送信してフィードバックする(ステップS406)。その後、熱流体シミュレーション解析装置10は、入力部12等によって、装置終了指示やシミュレーション終了指示が受け付けられるまで、ステップS401以降の処理を繰り返して実行する。一方、熱流体シミュレーション解析装置10は、比較結果が許容範囲を超えない場合(ステップS404否定)、ステップS401以降の処理を繰り返して実行する。
例えば、熱流体シミュレーション解析装置10は、図13に示すように、ラック装置ごとに産出された温度上昇のシミュレーション結果と、ラック装置ごとに備えられた温度センサーから取得された実測値とを比較する。この場合、熱流体シミュレーション解析装置10は、ラックNoAとKが許容範囲を超えており、危険な状態であると判定してアラームを報知する。そして、熱流体シミュレーション解析装置10は、ラックNoAとKが許容範囲を超えている危険な状態であるので、対策を行って危険を回避する旨の指示を管理者装置等に送信する。
このようにすること、異常の早期発見に繋がり、不安定要素を素早く排除でき、データセンターの安全運転および運用維持に貢献することができる。
さて、これまで本願が開示する熱流体シミュレーション解析装置10の実施例について説明したが、熱流体シミュレーション解析装置10は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では実施例5として、本願に含まれる他の実施例について説明する。
(計算手法)
例えば、上述した各実施例では、ナビエストークス方程式など空気の流れと熱移動の保存方程式に対して、SMPLE法などの分離解放の計算手順を実行して、シミュレーションを行う例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、熱流体シミュレーション解析を実施できる解析プログラムやアルゴリズムであれば、どのような計算方式を用いてもよい。
(シミュレーション実行契機)
また、例えば、上述した各実施例では、初回のシミュレーション実行から所定時間経過後やアラームが発生した場合をシミュレーション実行契機とする例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、熱流体シミュレーション解析装置10は、シミュレーション結果からアラームが発生すると予測される時間に到達した場合に、熱流体シミュレーションを実行するようにしてもよい。すなわち、熱流体シミュレーション解析装置10は、シミュレーション結果からアラームが発生すると予測される時間をシミュレーション実行契機とすることができる。
(比較対象)
例えば、実施例4では、シミュレーション結果と実測値を比較した結果を表示部13等に出力する例について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、熱流体シミュレーション解析装置10は、シミュレーション結果とCOP(Coefficient Of Performance)やPUE(Power Usage Effectiveness)などの指標等を比較した結果を表示部13等に出力するようにしてもよい。そうすることで、シミュレーション対象空間の空調に使用するエネルギー効率を向上させることができる。
(システム構成等)
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、実行部20aと再実行部20dとを統合するなど)して構成することができる。また、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図2や図10など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
(プログラム)
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムの一例を説明する。
[熱流体シミュレーション解析プログラムを実行するコンピュータシステム]
図14は、熱流体シミュレーション解析プログラムを実行するコンピュータシステムの例を示す図である。図14に示すように、コンピュータシステム100は、RAM101と、HDD102と、ROM103と、CPU104とを有する。ここで、ROM103には、上記の実施例と同様の機能を発揮するプログラムがあらかじめ記憶されている。つまり、図14に示すように、実行プログラム103aと、解析条件収集プログラム103bと、条件抽出プログラム103cと、再実行プログラム103dとがあらかじめ記憶されている。
そして、CPU104には、これらのプログラム103a〜103dを読み出して実行する。つまち、図14に示すように、実行プロセス104aと、解析条件収集プロセス104bと、条件抽出プロセス104cと、再実行プロセス104dとなる。なお、実行プロセス104aは、図1に示した、実行部20aに対応し、同様に、解析条件収集プロセス104bは、解析条件収集部20bに対応する。同様に、条件抽出プロセス104cは、条件抽出部20cに対応し、再実行プロセス104dは、再実行部20dに対応する。
また、HDD102には、解析モデルを作成する際に使用する解析条件を記憶する解析条件テーブル102aと、シミュレーション結果を格納する解析結果テーブル102bとが設けられる。なお、解析条件テーブル102aは、図1に示した、解析条件DB15aに対応し、同様に、解析結果テーブル102bは、解析結果DB15bに対応する。
ところで、上記したプログラム103a〜103dは、必ずしもROM103に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータシステム100に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に記憶させておく。また、コンピュータシステム100の内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などの「固定用の物理媒体」に記憶させておく。さらに、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータシステム100に接続される「他のコンピュータシステム」に記憶させておく。そして、コンピュータシステム100がこれらからプログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する際の各種条件を示す解析条件を用いて解析モデルを生成し、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施する実行部と、
前記実行部によって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する解析条件収集部と、
前記解析条件収集部によって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、前記熱流体シミュレーション解析が実行された時点での解析条件のうち変更する条件を示す境界条件を抽出する条件抽出部と、
前記条件抽出部によって抽出された境界条件に対応する領域を前記実行部によって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を前記境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して前記熱流体シミュレーション解析を実行する再実行部と、
を有することを特徴とする熱流体シミュレーション解析装置。
(付記2)前記条件抽出部は、前記解析条件収集部によって収集された所定時間経過時点における解析条件と、前記実行部によって熱流体シミュレーション解析が実行された時点における解析条件とを比較し、差異がある解析条件を前記境界条件として抽出することを特徴とする付記1に記載の熱流体シミュレーション解析装置。
(付記3)前記所定の空間における空調状態の異常を検出する異常検出部をさらに有し、
前記解析条件収集部は、前記異常検出部によって異常が検出された場合に、前記解析条件のうち、当該異常の影響を受ける解析条件を抽出し、
前記条件抽出部は、前記解析条件収集部によって抽出された解析条件を境界条件として抽出することを特徴とする付記1または2に記載の熱流体シミュレーション解析装置。
(付記4)前記再実行部は、前記熱流体シミュレーション解析を実行して得られたシミュレーション結果と、前回の熱流体シミュレーション解析で得られたシミュレーション結果とを比較した比較結果を生成することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の熱流体シミュレーション解析装置。
(付記5)前記所定の空間における温度または風量を検出する検出部をさらに有し、
前記再実行部は、前記熱流体シミュレーション解析を実行して得られたシミュレーション結果と、前記検出部により検出された温度または風量とを比較し、比較結果が所定の閾値を超える場合には、異常が発生したこと報知することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の熱流体シミュレーション解析装置。
(付記6)所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する際の各種条件を示す解析条件を用いて解析モデルを生成し、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施する実行ステップと、
前記実行ステップによって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する解析条件収集ステップと、
前記解析条件収集ステップによって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、前記熱流体シミュレーション解析が実行された時点での解析条件のうち変更する条件を示す境界条件を抽出する条件抽出ステップと、
前記条件抽出ステップによって抽出された境界条件に対応する領域を前記実行ステップによって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を前記境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して前記熱流体シミュレーション解析を実行する再実行ステップと、
を含んだことを特徴とする熱流体シミュレーション解析方法。
(付記7)所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する際の各種条件を示す解析条件を用いて解析モデルを生成し、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施する実行手順と、
前記実行手順によって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する解析条件収集手順と、
前記解析条件収集手順によって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、前記熱流体シミュレーション解析が実行された時点での解析条件のうち変更する条件を示す境界条件を抽出する条件抽出手順と、
前記条件抽出手順によって抽出された境界条件に対応する領域を前記実行手順によって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を前記境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して前記熱流体シミュレーション解析を実行する再実行手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする熱流体シミュレーション解析プログラム。
10 熱流体シミュレーション装置
11 通信制御I/F部
12 入力部
13 表示部
15 記憶部
15a 解析条件DB
15b 解析結果DB
20 制御部
20a 実行部
20b 解析条件収集部
20c 条件抽出部
20d 再実行部
100 コンピュータシステム
101 RAM
102 HDD
102a 解析条件テーブル
102b 解析結果テーブル
103 ROM
103a 実行プログラム
103b 解析条件収集プログラム
103c 条件抽出プログラム
103d 再実行プログラム
104 CPU
104a 実行プロセス
104b 解析条件収集プロセス
104c 条件抽出プロセス
104d 再実行プロセス

Claims (5)

  1. 所定の空間における空調状態をシミュレーションする熱流体シミュレーション解析を実施する際の各種条件を示す解析条件を用いて解析モデルを生成し、生成した解析モデルに対して熱流体シミュレーション解析を実施する実行部と、
    前記実行部によって熱流体シミュレーション解析が実施されてから所定時間経過後に、当該所定時間経過時点における解析条件を収集する解析条件収集部と、
    前記解析条件収集部によって収集された当該所定時間経過時点での解析条件から、前記熱流体シミュレーション解析が実行された時点での解析条件のうち変更する条件を示す境界条件を抽出する条件抽出部と、
    前記条件抽出部によって抽出された境界条件に対応する領域を前記シミュレーション部によって生成された解析モデル上から特定し、特定した領域を前記境界条件で変更して、変更した解析モデルに対して前記熱流体シミュレーション解析を実行する再実行部と、
    を有することを特徴とする熱流体シミュレーション解析装置。
  2. 前記条件抽出部は、前記解析条件収集部によって収集された所定時間経過時点における解析条件と、前記実行部によって熱流体シミュレーション解析が実行された時点における解析条件とを比較し、差異がある解析条件を前記境界条件として抽出することを特徴とする請求項1に記載の熱流体シミュレーション解析装置。
  3. 前記所定の空間における空調状態の異常を検出する異常検出部をさらに有し、
    前記解析条件収集部は、前記異常検出部によって異常が検出された場合に、前記解析条件のうち、当該異常の影響を受ける解析条件を抽出し、
    前記条件抽出部は、前記解析条件収集部によって抽出された解析条件を境界条件として抽出することを特徴とする請求項1または2に記載の熱流体シミュレーション解析装置。
  4. 前記再実行部は、前記熱流体シミュレーション解析を実行して得られたシミュレーション結果と、前回の熱流体シミュレーション解析で得られたシミュレーション結果とを比較した比較結果を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の熱流体シミュレーション解析装置。
  5. 前記所定の空間における温度または風量を検出する検出部をさらに有し、
    前記再実行部は、前記熱流体シミュレーション解析を実行して得られたシミュレーション結果と、前記検出部により検出された温度または風量とを比較し、比較結果が所定の閾値を超える場合には、異常が発生したこと報知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の熱流体シミュレーション解析装置。
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