JP2002365253A - 乾燥炉解析プログラム - Google Patents

乾燥炉解析プログラム

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JP2002365253A
JP2002365253A JP2001174181A JP2001174181A JP2002365253A JP 2002365253 A JP2002365253 A JP 2002365253A JP 2001174181 A JP2001174181 A JP 2001174181A JP 2001174181 A JP2001174181 A JP 2001174181A JP 2002365253 A JP2002365253 A JP 2002365253A
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dried
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drying
hot air
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JP2001174181A
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Yoichi Tanaka
洋一 田中
Shuichi Aoki
修一 青木
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Toho Gas Co Ltd
Original Assignee
Toho Gas Co Ltd
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  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
  • Drying Of Solid Materials (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 乾燥炉内の熱風の数値流体解析を行うために
必要な境界条件を簡易な方法で算出することで、短時間
で実行できる乾燥炉解析プログラムを提供すること。 【解決手段】 含水している被乾燥物を入れて、乾燥し
た熱風により乾燥させる乾燥炉の内部状態を解析するた
めに、被乾燥物の表面の微小面積と、その微小面積に接
した微小体積の熱風との間の境界条件を、被乾燥物の含
水率によって2種類に分類して算出する。被乾燥物の含
水率が限界含水率以上である場合には、微小面積と微小
体積との間で、蒸発した水の物質流束を熱量換算したも
のと流入した熱流束とが等しいとして境界条件を算出
し、被乾燥物の含水率が限界含水率以下である場合に
は、含水率と乾燥速度との関係が関数で表されるとして
境界条件を算出する。そして、その算出された境界条件
を熱風の数値流体解析に適用して、熱風の挙動を解析す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、水濡れ
した廃棄物を焼却前に乾燥させる乾燥炉を設計するため
に、乾燥炉の内部状態を有限要素法を用いて解析する乾
燥炉解析プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】水濡れした廃棄物等をそのまま焼却する
ことは、焼却温度の低下を招き、ダイオキシンの発生な
どで環境へ悪影響を与える原因となるので、焼却前に乾
燥炉で乾燥させることが行われている。ここで、乾燥炉
内の熱風のように連続した流体の現象は、一般的に時間
の関数であり、その挙動を微分方程式で表すことができ
る。そして、この微分方程式の近似解を得る方法の一つ
として、有限要素法がある。有限要素法は、連続体を多
くの微小な有限要素に分割して、それぞれの要素内では
連続体の挙動を比較的簡単な近似式で表すことができる
と考え、全体の連続体の挙動は、各要素の挙動を連結し
たものとして解析する手法である。近年では、コンピュ
ータを使用して、これらの多数の近似式を数値計算する
ことができる。
【0003】この有限要素法を乾燥炉内の熱風に適用し
ようとしたとき、熱風を微小部分に分割して、各微小要
素として取り扱う。そして、例えば、乾燥炉内の被乾燥
物の表面に接した微小部分のように熱風以外の構成要素
と接している各要素の挙動を近似して数値計算するため
には、その境界における境界条件を与える必要がある。
ここで、被乾燥物表面と接した部分の境界条件を与える
プログラムとしては、次の2種類の方法が考えられる。
【0004】(第1の方法)被乾燥物内の水の物質移動
・熱移動と、被乾燥物周辺の熱風の解析の両方を行う。
この方法では、被乾燥物内部の水の拡散方程式と伝熱方
程式を解いて、被乾燥物表面の境界を求め、その求めら
れた境界条件を被乾燥物周辺の熱風の流体解析に受け渡
す。その場合の、被乾燥物内部の水の拡散方程式は一般
に知られており、数1に示すように、含水率Xの時間t
に対する変化は、見かけの拡散係数D(X)と含水率X
の距離xに対する変化によって求められる。
【0005】
【数1】
【0006】(第2の方法)被乾燥物内の水の物質移動
・熱移動は計算せず、被乾燥物周辺の熱風の流体解析の
みを行う。この方法では、被乾燥物内部の状態を無視し
て、被乾燥物の表面の伝熱状態のみを境界条件として流
体解析に受け渡す。そのために、被乾燥物の表面温度、
熱流束、表面の水蒸気濃度が必要になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
(第1の方法)では、水の拡散方程式を解くために必要
な見かけの拡散係数(D(X))は、文献データが少な
く、多くの場合、実験を行う必要がある。また、乾燥炉
内の被乾燥物の体積は、通常、乾燥炉内の体積全体の約
20%であり、周辺の熱風のみを計算する場合に比べ
て、その分計算量が増加する。例えば、熱風の解析のみ
の計算で3日かかるとすると、約14時間の計算時間の
増加となる。つまり、解析に必要なデータを実験によっ
て得る必要があることと、計算時間が増大することの2
点によって、この第1の方法は容易ではなかった。
【0008】またあるいは、上記の(第2の方法)で
は、被乾燥物の表面温度分布が必要となる。被乾燥物が
簡単な形状である場合は、その表面温度分布を予め与え
ることができる場合もあるが、一般の被乾燥物について
は不可能である。つまり、解析に必要な境界条件を与え
ることができないので、この第2の方法は不可能である
という問題点があった。
【0009】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、その課題は、乾燥炉内の熱風の数値流体解
析を行うために必要な境界条件を簡易な方法で算出する
ことで、短時間で実行できる乾燥炉解析プログラムを提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、含水している被乾燥物を
入れて、乾燥した熱風により前記被乾燥物を乾燥させる
乾燥炉の内部状態を解析する乾燥炉解析プログラムにお
いて、前記被乾燥物の表面の微小面積と、前記微小面積
に接した微小体積の前記熱風との間の境界条件を設定す
るために、前記被乾燥物の含水率を算出する含水率算出
手段と、前記含水率算出手段によって算出された前記含
水率が限界含水率以上である場合に、前記微小面積と前
記微小体積との間で、蒸発した水の物質流束を熱量換算
したものと流入した熱流束とが等しいとして境界条件を
算出する第1境界条件算出手段と、前記含水率算出手段
によって算出された前記含水率が限界含水率以下である
場合に、前記含水率と乾燥速度との関係が関数で表され
るとして境界条件を算出する第2境界条件算出手段と、
を含むことを特徴とするものである。
【0011】上記の発明特定事項によれば、含水率算出
手段によってその時点での被乾燥物の含水率が算出さ
れ、算出された含水率によって、境界条件の算出手段を
選択している。限界含水率は、被乾燥物が内部に含むこ
とのできる最大の含水率であり、被乾燥物の含水率が限
界含水率以上であるときには、被乾燥物の間や表面に水
が溜まっている状態である。つまり、被乾燥物の表面か
ら水が蒸発していくと同時に、他の部分から充分な量の
水が表面へと送られてくると考えられるので、被乾燥物
に加えられた熱量のほとんどはその表面からの水の蒸発
に使われると仮定できる。そのため、被乾燥物の内部温
度の上昇や被乾燥物内の水の拡散等の影響は小さく、被
乾燥物の内部状態の変化を無視して近似する。そして、
第1境界条件算出手段によって、被乾燥物の表面の微小
面積と、その微小面積に接する微小体積の熱風との間で
やりとりされた熱量として、微小面積から微小体積へと
蒸発した水分量に相当する熱量と、微小体積から微小面
積へと流入した熱量とが等しいと仮定して、これらを計
算することで境界面での温度や湿度等の境界条件が得ら
れる。
【0012】また、算出された含水率が、限界含水率以
下であれば、水は全て被乾燥物の内部に浸透している。
そこで、表面から蒸発すると同時に被乾燥物の内部の含
水率の分布を適当に仮定して、含水率と単位時間当たり
に蒸発する水の量とが比例するとして近似する。そし
て、第2境界条件算出手段によって、被乾燥物の含水率
と乾燥速度との関係が関数で表されると仮定して、これ
らを計算することで境界面での温度やその時の含水率等
の境界条件が得られる。いずれの場合も、比較的簡単な
近似式で境界条件が得られるので、この境界条件を乾燥
炉の内部状態の解析に使用することで、乾燥炉を有限要
素法で解析することができる。
【0013】上記課題を達成するために、請求項2に記
載の発明は、請求項1に記載の乾燥炉解析プログラムに
おいて、前記境界条件の設定に先立って、前記被乾燥物
に特徴的な複数の物理的数値を入力する入力手段を有す
ることを特徴とするものである。
【0014】含水率や各境界条件の算出に必要な数値と
して、例えば、限界含水率や乾燥前含水率等は、被乾燥
物によって特徴的な数値であり、被乾燥物を変更して解
析実施する場合には、外部より与える必要がある。上記
の発明特定事項によれば、これらの物理的数値を入力手
段によって入力するので、乾燥炉の解析を実行する使用
者は、解析プログラムに手を加えることなく、各種の数
値を入力して解析を実行することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の乾燥炉解析プログ
ラムを具体化した一実施の形態を図面を参照して詳細に
説明する。図1は、本実施の形態に係る乾燥炉1の概略
構成を示す説明図である。
【0016】乾燥炉1は、炉枠10内に含水している被
乾燥物20を配置し、一方側より、乾燥した熱風30を
送風して被乾燥物20の表面を流通させることで、被乾
燥物20を乾燥させるものである。そして、被乾燥物2
0の表面とその表面に接する熱風30を、それぞれ多数
の微小面積21と微小体積31に分割すれば、各微小体
積31の挙動を比較的簡単な近似式で近似できると仮定
して、乾燥炉1の内部状態を有限要素法で解析する。こ
の有限要素法による流体解析プログラムは、市販されて
いるものがあるが、この解析のためには、微小面積21
と微小体積31との間の境界条件を与える必要がある。
そして、単位時間毎に境界条件を算出して流体解析プロ
グラムに代入することを繰り返して、乾燥炉1の内部状
態の変化を解析する。
【0017】ところで、多くの物質について、乾燥現象
を表す含水率と乾燥速度との関係は、図2のようになる
ことが知られている。ここで、最終含水率Xeは、その
物質が最も乾燥した状態での含水率であり、限界含水率
Xcは、その物質に内含できる最大の含水率である。ま
た、乾燥速度Rは、単位時間に被乾燥物20から熱風3
0へ蒸発する水の量である。
【0018】図2に示すように、限界含水率Xcを超え
て含水した状態では、被乾燥物20に内含されず、その
間や表面に溜まった状態の水が順次蒸発していくので、
含水率に拘わらず、ほぼ一定の恒率乾燥速度Rcとなる
と仮定できる。また、最終含水率Xeと限界含水率Xc
との間では、被乾燥物20に内含された水が、全体が予
め仮定した含水率の分布になるように拡散しつつ、表面
から順次乾燥していくことになり、乾燥速度Rは、その
時の含水率Xと何らかの関数で表される関係となると仮
定できる。これらの仮定から、その時の含水率Xによっ
て、微小面積21と微小体積31と間の境界条件を近似
的に算出する。ここで、含水率Xが、X≧Xcの期間を
恒率乾燥期間と呼び、Xc≧X≧Xeの期間を減衰乾燥
期間と呼ぶ。
【0019】まず、恒率乾燥期間における境界条件算出
プログラムについて説明する。恒率乾燥期間では、微小
面積21から微小体積31へ蒸発する水の物質流束に相
当する熱量と、微小体積31から微小面積21に流入す
る熱流束とが等しいと仮定される。ここで、微小面積2
1から微小体積31へと蒸発する水の量は単位面積当た
りの乾燥速度Rであり、微小面積21と微小体積31と
の湿度の差(Ww−W)に、物質伝達率hdと流体の密
度ρを掛けたものであるので、数2のように表される。
【0020】
【数2】
【0021】一方、熱伝達により微小体積31から微小
面積21へと流入する熱量qは、微小体積31と微小面
積21との温度差(T−Tw)と熱伝達率hとの積に、
放射による伝熱量qrを加えたものである。従って、数
3のように表される。
【0022】
【数3】
【0023】微小面積21から微小体積31へ蒸発する
水の量に相当する熱量は、数2に示した水の量に水の潜
熱rを掛けたものであり、これが、数3に示した熱量q
と等しいと仮定することにより、数4の関係が導かれ
る。
【0024】
【数4】
【0025】また、被乾燥物20の表面での湿度は飽和
湿度なので、微小面積21の湿度Wwは、微小面積21
の温度Twの関数であり、数5で表される。
【0026】
【数5】
【0027】そして、数4と数5を連立させて解くこと
から、微小面積21での温度Twと湿度Wwを算出で
き、境界条件として利用できる。さらに、数2より、乾
燥速度Rを求めることができ、この乾燥速度Rは、恒率
乾燥速度Rcとなる。このとき、流体解析の結果から得
られた被乾燥物20の表面近傍の微小体積31の温度T
と湿度Wとを利用して、上記の計算をすることによっ
て、その単位時間での境界条件を得ることができる。こ
のプログラムが、請求項1に記載の第1境界条件算出手
段に相当する。さらに、この境界条件を利用して流体解
析を行うことで、次の単位時間の微小体積31の温度T
と湿度Wを得ることができる。
【0028】次に、減衰乾燥期間における境界条件算出
プログラムについて説明する。前記した恒率乾燥期間の
境界条件算出プログラムにより、恒率乾燥速度Rcが得
られる。そして、減衰乾燥期間では、含水率Xと乾燥速
度Rとの関係が関数で表されるので、図2に示すよう
に、最終含水率Xeでは乾燥速度Rが0、限界含水率X
cでは乾燥速度がRcとなる関数で表されると仮定す
る。つまり、ある単位時間における含水率Xにより、そ
の時の乾燥速度Rはこれらの関数として、<R=f
(X,Xc,Xe,Rc)>で表される。例えば、数6
のような数式によって求められる。
【0029】
【数6】
【0030】また、使用者によって予め与えられる、乾
燥前質量Moと乾燥前含水率Xoとにより、被乾燥物2
0の乾燥質量Mは、乾燥前重量Moを(Xo+1)で割
ることで得られる。また、乾燥前の水分量は、乾燥質量
Mに乾燥前含水率Xoを掛けて得られる。さらに、乾燥
し始めてから時間tまでに蒸発した水の量は、乾燥速度
Rを時間0〜tにわたって積分した値に、被乾燥物20
の表面積Aを掛けて得られる。これらより、含水率X
は、X={(乾燥前の水分量)−(蒸発した水分量)}
÷(乾燥質量)として、算出することができ、数7で表
される。この式による含水率の算出が、請求項1に記載
の含水率算出手段に相当する。ここで求められたXを数
6に代入して、乾燥速度Rを求めることができる。
【0031】
【数7】
【0032】また、減衰乾燥期間では、被乾燥物20へ
流入する熱量が水の蒸発と被乾燥物20の温度上昇の両
方に使われる。ここで、被乾燥物20へ流入する全熱量
は、数3で表された熱量に被乾燥物20の表面積Aを掛
けて得られる。そして、水の蒸発に使われる熱量は、乾
燥速度Rと表面積Aの積で表され、被乾燥物20の温度
上昇に使われる熱量は、被乾燥物20の比熱Cと単位時
間当たりの被乾燥物表面温度Twの変化量ΔTとの積で
表される。そして、被乾燥物20へ流入する熱量が、水
の蒸発と被乾燥物20の温度上昇とに使われる熱量の和
と等しいと仮定することから、数8が得られる。これよ
り、被乾燥物20の表面温度Twを求めることができ、
この単位時間での境界条件を得ることができる。このプ
ログラムが、請求項2に記載の第2境界条件算出手段に
相当する。このようにして得られた乾燥速度Rと表面温
度Twとを境界条件として流体解析を行う。
【0033】
【数8】
【0034】ところで、この乾燥炉1の内部状態の解析
プログラムの実行は、一般的なコンピュータ装置で行わ
れるものであり、使用者による指示で実行される。そし
て、使用者は、この解析の開始にあたって、例えば、限
界含水率Xcや最終含水率Xe等の被乾燥物20に特徴
的な各種の物理的数値を入力する必要がある。そこで、
この実施の形態では、これらの初期条件となる数値を入
力する入力手段として、図3に示したインターフェース
50が設けられている。使用者によって乾燥炉1の解析
プログラムの実行が開始されると、まず、図示しない表
示装置にインターフェース50が表示される。使用者
は、各項目に必要な数値を入力し、「OK」をクリック
する。すると、流体解析プログラムと境界条件算出プロ
グラムとが相互に数値解析結果を与えつつ解析を繰り返
し、時間経過とともに変化する乾燥炉1の内部状態を解
析することができる。
【0035】ここでは、入力項目として、熱伝達率h、
物質伝達率hd、比熱C、限界含水率Xc、最終含水率
Xe、乾燥前重量Mo、乾燥前含水率Xoが設けられて
いる。これらの内、熱伝達率h、限界含水率Xc、最終
含水率Xe、比熱Cは、良く知られている値であり、乾
燥前重量Mo、乾燥前含水率Xoは、容易に計測できる
値である。また、物質伝達率hdは、<hd=h/(C
・ρ)>によって容易に算出できるので、入力すること
は容易である。
【0036】次に、この乾燥炉解析プログラムを使用し
て、乾燥炉1内の熱風30の挙動を有限要素法で解析す
る手順を図4のフローチャートを使用して説明する。使
用者が、この乾燥炉解析プログラムを実行すると、コン
ピュータは、まず、表示装置にインターフェース50を
表示し、使用者によって、各数値が初期条件として入力
されるのを待つ(ステップ101)。以下は、コンピュ
ータがプログラムに従って実行する手順である。
【0037】初期条件が入力されると、まず、その時点
での含水率X(初期状態では乾燥前含水率Xo)が、限
界含水率Xc以上であるかどうかを判断する(ステップ
102)。
【0038】ステップ102でX≧Xcであると判断さ
れた場合は、恒率乾燥期間であるので第1境界条件算出
手段を適用し、ステップ103に進む。そして、数4、
数5に示した2式を使用して、微小面積21の温度Tw
と湿度Wwを得る(ステップ103)。さらに、数2に
示した式を使用して、その時点での乾燥速度Rを得る
(ステップ104)。
【0039】あるいは、ステップ102でX<Xcであ
ると判断された場合は、減衰乾燥期間であるので第2境
界条件算出手段を適用し、ステップ105に進む。そし
て、数6、数7に示した2式を使用して、その時点での
乾燥速度Rを得る(ステップ105)。さらに、数8に
示した式を使用して、その時点での微小面積21の温度
Twを得る(ステップ106)。
【0040】次に、ステップ104あるいはステップ1
05で得られた乾燥速度Rと被乾燥物20の表面積Aと
の積の量の水が、単位時間当たり、被乾燥物20から失
われたので、これを減算して新たな含水率Xを求める
(ステップ107)。
【0041】続いて、この単位時間で、熱風30全体が
含む水の量は、乾燥速度Rと被乾燥物20の表面積Aと
の積の量だけ増えている。さらに、被乾燥物20の表面
に接している微小体積31の温度Tを、熱風30から被
乾燥物20への熱流束を考慮して算出する(ステップ1
08)。そして、このステップ108の結果を利用し
て、熱風30の流体解析を行う(ステップ109)。ス
テップ109の流体解析の結果から、次の単位時間での
微小体積31の温度T、湿度W、放射伝熱量qrが得ら
れる(ステップ110)。
【0042】被乾燥物20の含水率Xが最終含水率Xe
以下となるまで(ステップ111)、ステップ102か
らステップ110までを繰り返す。
【0043】この実施の形態の乾燥炉解析プログラムを
使用して、一定の条件の乾燥炉の内部状態を解析した。
そして、その条件に合う乾燥炉を作成して、実際に乾燥
させてその経過を計測し、乾燥炉解析プログラムによる
解析値との比較を行った。ここでは、乾燥炉1として1
辺64cmの立方体のものを使用し、紙製品の被乾燥物
20を、流速1m/s、湿度0%の熱風30によって乾
燥させた。この実験を行った結果を図5のグラフに示
す。
【0044】図5に示すように、被乾燥物20の質量
は、時間の経過とともに乾燥して減少していく。図5に
実線で示した実験計測値に対して、破線で示した計算値
によれば、途中で少しはずれるものの、概ね良く近似さ
れていることがわかる。特に、乾燥し始めの部分におい
ての被乾燥物20の質量の減少割合は、非常に良く近似
されている。このことから、実用レベルにおいては、こ
の実施の形態の乾燥炉解析プログラムによって乾燥炉1
の内部状態を解析できることがわかった。
【0045】以上詳細に説明したように、この実施の形
態によれば、全乾燥期間を含水率Xによって2種類に分
類し、含水率が限界含水率以上であれば恒率乾燥期間で
あり、限界含水率以下であれば減衰乾燥期間であるとす
ることで、いずれの場合においてもそれぞれ単純な条件
で近似することができる。そして、この近似を用いた境
界条件によって熱風30を数値流体解析した結果は実用
的に充分であり、従来技術の(第1の方法)のように、
計算時間が増加することもない。従って、乾燥炉1の内
部状態の解析を行うために必要な境界条件を簡易な方法
で算出することができるので、短時間で乾燥炉の解析を
行うことが可能となった。
【0046】さらに、入力する必要がある各種の物理的
数値はいずれも、良く知られた値か、あるいは、容易に
計測できる値である。そして、それらの物理的数値の入
力はインターフェース50によって、容易に行うことが
できるので、乾燥炉1の解析を行う使用者にとって、使
い勝手のよいものとなっている。
【0047】また、この乾燥炉解析プログラムによれ
ば、乾燥炉1内の熱風30を微小体積31に分割して数
値流体解析手法によって解析するので、被乾燥物20の
形状・材質や、周囲の流体の状態を考慮した細かな解析
結果を得ることができ、乾燥炉1の設計に反映させるこ
とができる。
【0048】尚、この発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲
で変更して実施することができる。例えば、上記実施の
形態では、インターフェース50から7つの数値を入力
させるとしたが、被乾燥物20の材質によって特徴的な
数値をデータとして記憶しておき、被乾燥物の材質を選
択することで、そのデータが選択されるようにしてもよ
い。
【0049】
【発明の効果】請求項1に記載の発明の構成によれば、
第1境界条件算出手段によって含水率が限界含水率以上
である場合の境界条件が算出され、第2境界条件算出手
段によって含水率が限界含水率以下である場合の境界条
件が算出される。これらを被乾燥物の表面の微小面積に
接した熱風の微小体積に適用することで、乾燥炉の内部
状態を有限要素法の手法によって解析するための境界条
件を簡易な方法で算出することが可能となる。これによ
り、短時間で乾燥炉の解析を行うことが可能となった。
【0050】請求項2に記載の発明の構成によれば、入
力手段を有するので、解析実行にあたって必要な各種の
数値の入力が容易であり、使い勝手のよいものとなっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る乾燥炉の概略構成を示す説
明図である。
【図2】含水率Xと乾燥速度Rとの関係を示すグラフで
ある。
【図3】インターフェースを表示した画面を示す説明図
である。
【図4】乾燥炉内の熱風の解析処理手順を示すフローチ
ャートである。
【図5】実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 乾燥炉 20 被乾燥物 21 微小面積 30 熱風 31 微小体積 50 インターフェース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 17/13 G06F 17/13 17/50 612 17/50 612H 680 680Z Fターム(参考) 2G040 AB08 AB11 BA25 BA29 BB04 CB02 EA08 EB02 GA04 HA16 ZA05 3K065 AA24 BA01 CA11 CA20 3L113 AA01 AB02 AC45 AC46 AC48 BA01 BA39 CA02 CA03 CA04 CA08 CA09 DA30 5B046 AA00 JA09 5B056 BB00 HH00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含水している被乾燥物を入れて、乾燥し
    た熱風により前記被乾燥物を乾燥させる乾燥炉の内部状
    態を解析する乾燥炉解析プログラムにおいて、 前記被乾燥物の表面の微小面積と、前記微小面積に接し
    た微小体積の前記熱風との間の境界条件を設定するため
    に、 前記被乾燥物の含水率を算出する含水率算出手段と、 前記含水率算出手段によって算出された前記含水率が限
    界含水率以上である場合に、前記微小面積と前記微小体
    積との間で、蒸発した水の物質流束を熱量換算したもの
    と流入した熱流束とが等しいとして境界条件を算出する
    第1境界条件算出手段と、 前記含水率算出手段によって算出された前記含水率が限
    界含水率以下である場合に、前記含水率と乾燥速度との
    関係が関数で表されるとして境界条件を算出する第2境
    界条件算出手段と、を含むことを特徴とする乾燥炉解析
    プログラム。
  2. 【請求項2】 前記境界条件の設定に先立って、前記被
    乾燥物に特徴的な複数の物理的数値を入力する入力手段
    を有することを特徴とする請求項1に記載の乾燥炉解析
    プログラム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008203045A (ja) * 2007-02-19 2008-09-04 Kobe Univ 基材上の塗布層の乾燥速度推定方法、及び、基材上の塗布層の乾燥速度分布を得る方法
JP2011059740A (ja) * 2009-09-04 2011-03-24 Fujitsu Ltd 熱流体シミュレーション解析装置
CN113696371A (zh) * 2021-06-22 2021-11-26 北京凯米优化科技有限公司 一种应用于pvc干燥流化床的智能控制系统

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