しかしながら、上記特許文献1に記載の光コネクタ取付用工具では、光ファイバと内蔵光ファイバとが所定の突き当て力で突き当てられるようにするために光ファイバの一部にたわみを形成するようになっているが、このたわみが上側ではなく下側に向けて形成された場合、たわみが工具の一部と干渉し、所望の大きさのたわみを形成することができない場合がある。そして、この場合には、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力が過大となり、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じる虞がある。
同様に、上記特許文献2に記載の光コネクタにおいても、たわみが上側ではなく下側に向けて形成された場合、たわみが周囲のコネクタ構造部(例えば、把持部材から延出され、光ファイバ心線を下側から支持する延出支持部)と干渉し、所望の大きさのたわみを形成することができない場合がある。そして、この場合には、光ファイバ心線と内蔵光ファイバとの突き当て力が過大となり、光ファイバ心線や内蔵光ファイバに欠け等が生じる虞がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、所望の大きさのたわみを形成することができる光コネクタ用取付補助具及び光コネクタを提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の光コネクタ用取付補助具は、光コネクタの内部に形成された溝に光ファイバの先端部を挿入して前記溝に保持された内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とを突き合わせた状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定するための光コネクタ用取付補助具であって、前記光コネクタをセットするための光コネクタセット部と、前記光コネクタセット部にセットされる前記光コネクタの軸方向に前記光コネクタセット部と並んで設けられると共に、前記光コネクタセット部にセットされた前記光コネクタに前記光ファイバの先端部を挿入する際に前記光コネクタの先端部を前記光コネクタ側にガイドするためのファイバガイド面を有して構成されたファイバガイド部と、前記ファイバガイド部に対する前記光コネクタセット部と反対側に設けられ、前記光コネクタセット部にセットされた前記光コネクタに前記光ファイバの先端部を挿入した状態で前記光ファイバの先端部よりも後端側をスライド可能に支持するためのスライド支持部と、前記ファイバガイド面から突出された凸部と、を備えている。
この光コネクタ用取付補助具によれば、例えば、次の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。すなわち、先ず、光コネクタセット部に光コネクタをセットする。そして、この状態で、光ファイバの先端部をファイバガイド面によってガイドさせながら、光ファイバを光コネクタセット部側にスライドさせて、この光ファイバの先端部を光コネクタの内部の溝に挿入する。
次いで、光ファイバの先端部よりも後端側をスライド支持部で支持し、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とが突き当てられてファイバガイド面上において光ファイバにたわみが形成されるまで、光ファイバの先端部よりも後端側をスライド支持部にて光コネクタセット部側にスライドさせる。そして、光ファイバにたわみが形成された状態で光ファイバの先端部に光コネクタを固定する。以上の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。
ここで、この光コネクタ用取付補助具において、ファイバガイド面には、凸部が突出されている。従って、上述のように、ファイバガイド面上において光ファイバにたわみを形成する場合でも、この凸部によってたわみの形成方向をファイバガイド面から離間する方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみがファイバガイド面と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみを形成することができる。
請求項2に記載の光コネクタ用取付補助具は、光コネクタの内部に形成された溝に光ファイバの先端部を挿入して前記溝に保持された内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とを突き合わせた状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定するための光コネクタ用取付補助具であって、前記光コネクタをセットするための光コネクタセット部と、前記光コネクタセット部にセットされる前記光コネクタの軸方向に前記光コネクタセット部と並んで設けられると共に、前記光コネクタセット部にセットされた前記光コネクタに前記光ファイバの先端部を挿入する際に前記光コネクタの先端部を前記光コネクタ側にガイドするためのファイバガイド面を有して構成されたファイバガイド部と、前記ファイバガイド部に対する前記光コネクタセット部と反対側に設けられると共に、前記光コネクタセット部にセットされた前記光コネクタに前記光ファイバの先端部を挿入した状態で前記光ファイバの先端部よりも後端側をスライド可能に支持するためのスライド支持面を有し、且つ、前記スライド支持面が前記光コネクタセット部と反対側を向くように前記軸方向に対して傾斜されたスライド支持部と、を備えている。
この光コネクタ用取付補助具によれば、例えば、次の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。すなわち、先ず、光コネクタセット部に光コネクタをセットする。そして、この状態で、光ファイバの先端部をファイバガイド面によってガイドさせながら、光ファイバを光コネクタセット部側にスライドさせて、この光ファイバの先端部を光コネクタの内部の溝に挿入する。
次いで、光ファイバの先端部よりも後端側をスライド支持面上に沿わせた状態とし、内蔵光ファイバの後端と光ファイバの先端とが突き当てられてファイバガイド面上において光ファイバにたわみが形成されるまで、光ファイバの先端部よりも後端側をスライド支持面上にて光コネクタセット部側にスライドさせる。そして、光ファイバにたわみが形成された状態で光ファイバの先端部に光コネクタを固定する。以上の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。
ここで、この光コネクタ用取付補助具において、上述のスライド支持面は、光コネクタセット部と反対側を向くように、光コネクタセット部にセットされた光コネクタの軸方向に対して傾斜されている。従って、上述のように、ファイバガイド面上において光ファイバにたわみを形成する場合でも、このスライド支持面の傾斜によってたわみの形成方向をファイバガイド面から離間する方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみがファイバガイド面と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみを形成することができる。
請求項3に記載の光コネクタ用取付補助具は、請求項1又は請求項2に記載の光コネクタ用取付補助具において、前記ファイバガイド面の向く方向に凸をなす円弧部が前記ファイバガイド部に設けられた構成とされている。
この光コネクタ用取付補助具によれば、ファイバガイド部には、ファイバガイド面の向く方向に凸をなす円弧部が設けられているので、作業者は、この円弧部を利用して、たわみが適正な大きさに形成されているか目視確認することができる。
請求項4に記載の光コネクタ用取付補助具は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の光コネクタ用取付補助具において、前記ファイバガイド部の前記軸方向に沿った長さが20mm以上とされた構成とされている。
現在、広く普及している外径が0.9mmの光ファイバを用いた場合(特に、被覆の材料がナイロン(登録商標)の場合)に、ファイバガイド部の軸方向に沿った長さが20mm未満に設定されていると、たわみの曲率が大き過ぎるため、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力が過大となり、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じる。
これに対し、この光コネクタ用取付補助具によれば、ファイバガイド部の軸方向に沿った長さが20mm以上に設定されているので、上述の0.9mmの光ファイバを用いた場合でも、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力を適切な値とすることができ、これにより、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じることを抑制することができる。
請求項5に記載の光コネクタ用取付補助具は、請求項4に記載の光コネクタ用取付補助具において、前記ファイバガイド部の前記軸方向に沿った長さが25mm以上35mm以下とされた構成とされている。
上述の通り、外径が0.9mmの光ファイバを用いた場合には、ファイバガイド部の軸方向に沿った長さが20mm以上に設定されている必要があるが、製造誤差や被覆の材料であるナイロン(登録商標)の種類によっては、この光ファイバよりももっと剛性の高い光ファイバも想定される。従って、この場合には、余裕をみて、ファイバガイド部の軸方向に沿った長さが25mm以上に設定されている必要がある。
一方、現在、広く普及している外径が0.25mmの光ファイバを用いた場合に、ファイバガイド部の軸方向に沿った長さが35mmを上回って設定されていると、たわみの曲率が小さ過ぎるため、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力が不足し、所望の光学特性を得られない場合がある。
これに対し、この光コネクタ用取付補助具によれば、ファイバガイド部の軸方向に沿った長さが25mm以上35mm以下に設定されているので、上述の外径が0.9mmであっても通常の光ファイバよりももっと剛性の高い光ファイバを用いる場合や、外径が0.25mmの光ファイバを用いた場合でも、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力を適切な値とすることができ、これにより、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じたり、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなったりすることを抑制することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項6に記載の光コネクタの組立方法は、請求項4に記載の光コネクタ用取付補助具を用いて、外径が0.9mmとされた前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定する光コネクタの組立方法であって、前記光コネクタセット部に前記光コネクタをセットする工程と、前記光ファイバの先端部を前記ファイバガイド面によってガイドさせながら、前記光ファイバを前記光コネクタセット部側にスライドさせて、前記光ファイバの先端部を前記光コネクタの内部の前記溝に挿入する工程と、前記光ファイバの先端部よりも後端側を前記スライド支持部で支持し、前記内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とが突き当てられて前記ファイバガイド面上において前記光ファイバにたわみが形成されるまで、前記光ファイバの先端部よりも後端側を前記スライド支持部にて前記光コネクタセット部側にスライドさせる工程と、前記光ファイバにたわみが形成された状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定する工程と、を備えている。
この光コネクタの組立方法によれば、請求項4に記載の光コネクタ用取付補助具を用いるので、上述のように、外径が0.9mmの光ファイバを用いた場合でも、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力を適切な値とすることができ、これにより、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じることを抑制することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項7に記載の光コネクタの組立方法は、請求項5に記載の光コネクタ用取付補助具を用いて、外径が0.9mm又は0.25mmとされた前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定する光コネクタの組立方法であって、前記光コネクタセット部に前記光コネクタをセットする工程と、前記光ファイバの先端部を前記ファイバガイド面によってガイドさせながら、前記光ファイバを前記光コネクタセット部側にスライドさせて、前記光ファイバの先端部を前記光コネクタの内部の前記溝に挿入する工程と、前記光ファイバの先端部よりも後端側を前記スライド支持部で支持し、前記内蔵光ファイバの後端と前記光ファイバの先端とが突き当てられて前記ファイバガイド面上において前記光ファイバにたわみが形成されるまで、前記光ファイバの先端部よりも後端側を前記スライド支持部にて前記光コネクタセット部側にスライドさせる工程と、前記光ファイバにたわみが形成された状態で前記光ファイバの先端部に前記光コネクタを固定する工程と、を備えている。
この光コネクタの組立方法によれば、請求項5に記載の光コネクタ用取付補助具を用いるので、外径が0.9mmであっても通常の光ファイバよりももっと剛性の高い光ファイバを用いる場合や、外径が0.25mmの光ファイバを用いた場合でも、光ファイバや内蔵光ファイバに欠け等が生じたり、光ファイバと内蔵光ファイバとの突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなったりすることを抑制することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項8に記載の光コネクタは、内蔵光ファイバを有するフェルールと、前記フェルールと一体に設けられると共に、内部に形成された溝に前記内蔵光ファイバが挿入され、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部を前記溝にて前記内蔵光ファイバと突き合わせた状態で固定するためのファイバ固定部と、前記フェルール及び前記ファイバ固定部と別体に構成され、前記光ファイバケーブルの外皮部と固定されるケーブル固定部と、前記ファイバ固定部に対して前記ケーブル固定部を固定支持するための固定支持部と、前記ファイバ固定部と前記ケーブル固定部との間から突出され、前記光ファイバ心線の突出部に特定の方向に向けてたわみを形成するための凸部と、を備えている。
この光コネクタは、例えば、次の要領で光ファイバケーブルと固定される。すなわち、先ず、光ファイバケーブルの外皮部にケーブル固定部を固定した状態で、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけて、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部をファイバ固定部の内部に形成された溝に挿入する。
次いで、内蔵光ファイバの後端と光ファイバ心線の先端とが突き当てられて光ファイバ心線の突出部にたわみが形成されるまで、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づける。そして、光ファイバ心線の突出部にたわみが形成された状態で、ファイバ固定部によって光ファイバ心線の突出部を内蔵光ファイバと固定し、さらに、固定支持部によってファイバ固定部に対してケーブル固定部を固定支持する。以上の要領で、光コネクタは、光ファイバケーブルと固定される。
ここで、この光コネクタでは、光ファイバ心線の突出部に特定の方向に向けてたわみを形成するための凸部がファイバ固定部とケーブル固定部との間から突出されている。従って、上述のように、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけて光ファイバ心線の突出部の一部にたわみを形成する場合でも、この凸部によってたわみの形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみが周囲のコネクタ構造部(例えば、ケーブル固定部から延出され、光ファイバ心線の突出部を下側から支持する延出支持部)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみを形成することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項9に記載の光コネクタは、内蔵光ファイバを有するフェルールと、前記フェルールと一体に設けられると共に、内部に形成された溝に前記内蔵光ファイバが挿入され、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部を前記溝にて前記内蔵光ファイバと突き合わせた状態で固定するためのファイバ固定部と、前記フェルール及び前記ファイバ固定部と別体に構成され、前記光ファイバケーブルの外皮部と固定されるケーブル固定部と、前記ケーブル固定部から前記ファイバ固定部に向けて延出されると共に、前記光ファイバ心線の突出部と接触されて前記光ファイバ心線の突出部に特定の方向に向けてたわみを形成し得る変形状態を取り得る可動片と、前記ファイバ固定部に対して前記ケーブル固定部を固定支持するための固定支持部と、前記固定支持部に設けられ、前記ケーブル固定部が前記ファイバ固定部側に移動されることに伴って前記可動片と接触されて前記可動片を前記変形状態とする接触部と、を備えている。
この光コネクタは、例えば、次の要領で光ファイバケーブルと固定される。すなわち、先ず、光ファイバケーブルの外皮部にケーブル固定部を固定した状態で、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけて、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部をファイバ固定部の内部に形成された溝に挿入する。
次いで、この状態からさらにケーブル固定部をファイバ固定部に近づけると、可動片が接触部と接触することによって変形された状態となる。そして、これにより、この可動片が光ファイバ心線の突出部の一部を押し上げるので、光ファイバ心線の突出部の一部にたわみが形成される。
そして、光ファイバにたわみが形成された状態で、ファイバ固定部によって光ファイバ心線の突出部を内蔵光ファイバと固定し、さらに、固定支持部によってファイバ固定部に対してケーブル固定部を固定支持する。以上の要領で、光コネクタは、光ファイバケーブルと固定される。
このように、この光コネクタによれば、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけた場合に、可動片によって光ファイバ心線の突出部の一部にたわみを形成することができると共に、このたわみの形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみが周囲のコネクタ構造部(この場合、ケーブル固定部から延出され、光ファイバ心線の突出部を下側から支持する延出支持部としての機能も有する可動片)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみを形成することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項10に記載の光コネクタは、内蔵光ファイバを有するフェルールと、前記フェルールと一体に設けられると共に、内部に形成された溝に前記内蔵光ファイバが挿入され、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部を前記溝にて前記内蔵光ファイバと突き合わせた状態で固定するためのファイバ固定部と、前記フェルール及び前記ファイバ固定部と別体に構成され、前記光ファイバケーブルの外皮部と固定されるケーブル固定部と、前記ファイバ固定部に対して前記ケーブル固定部を固定支持するための固定支持部と、前記固定支持部に設けられると共に、前記光ファイバ心線の突出部と接触されて前記光ファイバ心線の突出部に特定の方向に向けてたわみを形成し得る変形状態を取り得る可動片と、を備えている。
この光コネクタは、例えば、次の要領で光ファイバケーブルと固定される。すなわち、先ず、光ファイバケーブルの外皮部にケーブル固定部を固定した状態で、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけて、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部をファイバ固定部の内部に形成された溝に挿入する。
そして、ケーブル固定部が固定支持部によってファイバ固定部に対して固定支持される位置までケーブル固定部をファイバ固定部に近づけると共に、このときに可動片を変形状態とする。これにより、この可動片が光ファイバ心線の突出部の一部を押し上げるので、光ファイバ心線の突出部にたわみが形成された状態で内蔵光ファイバの後端と光ファイバ心線の先端とが突き当てられる。
そして、光ファイバ心線の突出部の一部にたわみが形成された状態で、ファイバ固定部によって光ファイバ心線の突出部を内蔵光ファイバと固定し、さらに、固定支持部によってケーブル固定部をファイバ固定部に対して固定支持する。以上の要領で、光コネクタは、光ファイバケーブルと固定される。
このように、この光コネクタによれば、上述のように、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけた場合に、可動片によって光ファイバ心線の突出部の一部にたわみを形成することができると共に、このたわみの形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみが周囲のコネクタ構造部(例えば、ケーブル固定部から延出され、光ファイバ心線の突出部を下側から支持する延出支持部)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみを形成することができる。
また、前記課題を解決するために、請求項11に記載の光コネクタは、内蔵光ファイバを有するフェルールと、前記フェルールと一体に設けられると共に、内部に形成された溝に前記内蔵光ファイバが挿入され、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部を前記溝にて前記内蔵光ファイバと突き合わせた状態で固定するためのファイバ固定部と、前記フェルール及び前記ファイバ固定部と別体に構成され、前記光ファイバケーブルの外皮部と固定されるケーブル固定部と、前記溝の中心軸に対して偏芯した位置に中心軸を有すると共に前記溝と連通するガイド孔を有し、前記ファイバ固定部に対して前記ケーブル固定部を固定支持するための固定支持部と、を備えている。
この光コネクタは、例えば、次の要領で光ファイバケーブルと固定される。すなわち、先ず、光ファイバケーブルの外皮部にケーブル固定部を固定した状態で、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけて、光ファイバケーブルの外皮部の端部から突出された光ファイバ心線の突出部を固定支持部のガイド孔に挿入した後にファイバ固定部の内部に形成された溝に挿入する。
次いで、内蔵光ファイバの後端と光ファイバ心線の先端とが突き当てられて光ファイバ心線の突出部にたわみが形成されるまで、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づける。そして、光ファイバにたわみが形成された状態で、ファイバ固定部によって光ファイバ心線の突出部を内蔵光ファイバと固定し、さらに、固定支持部によってケーブル固定部をファイバ固定部に対して固定支持する。以上の要領で、光コネクタは、光ファイバケーブルと固定される。
ここで、この光コネクタでは、ガイド孔が溝の中心軸に対して偏芯した位置に中心軸を有している。従って、上述のように、ケーブル固定部をファイバ固定部に近づけたときには、このガイド孔の中心軸が溝の中心軸に対して偏芯した位置に設定されていることよって光ファイバ心線の突出部の一部にたわみを形成することができると共に、このたわみの形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみが周囲のコネクタ構造部(例えば、ケーブル固定部から延出され、光ファイバ心線の突出部を下側から支持する延出支持部)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみを形成することができる。
以上詳述したように、本発明によれば、所望の大きさのたわみを形成することができる。
[第一実施形態]
はじめに、本発明の第一実施形態について説明する。
図1,図2に示される本発明の第一実施形態に係る光コネクタ用取付補助具10は、光ファイバの先端部に光コネクタを固定するためのものであって、光コネクタセット部12と、ファイバガイド部14(たわみ形成部)と、スライド支持部16(ファイバ仮固定部)とを備えている。
光コネクタセット部12は、光コネクタ30をセットするためのものであり、その表面には、光コネクタ30を位置決めするための位置決め突起12Aや、光コネクタ30を保持するための保持爪12B等が形成されている。
ファイバガイド部14は、光コネクタセット部12にセットされる光コネクタ30の軸方向に光コネクタセット部12と並んで設けられている。このファイバガイド部14には、光コネクタ30の軸方向に沿って一対のガイド壁17が平行して形成されており、この一対のガイド壁17の間には、断面V字状のファイバガイド面17Aが形成されている。
スライド支持部16は、ファイバガイド部14に対する光コネクタセット部12と反対側に設けられている。このスライド支持部16の表面には、平面状のスライド支持面16Aが形成されており、このスライド支持面16Aには、例えば、後述する光ファイバ50の先端部における裸ファイバ50Bの長さ(端末処理長)を確認するための目盛り16Bが付されている。なお、この目盛り16Bは、後述する光ファイバ50の押し込み量の目安として用いても良い。
また、上述のファイバガイド面17Aの長手方向中間部(長手方向中央部よりもスライド支持部16側)には、凸部18が形成されている。この凸部18は、図1に示されるように、ファイバガイド面17Aの幅方向中央部に設けられると共に、その高さは、図2に示されるように、光コネクタセット部12にセットされた光コネクタ30の中心軸A1よりも高く設定されている。なお、光コネクタ30の中心軸A1は、後述する溝43の中心軸と一致するものである。
さらに、図1に示されるように、各ガイド壁17の突出端は、円弧部17Bとされており、この円弧部17Bは、ガイド壁17の突出方向(ファイバガイド面17Aの向く方向であって、この場合、上側)に凸をなす円弧状に形成されている。
また、本実施形態において、この光コネクタ用取付補助具10は、現在、広く普及している外径が0.9mmの光ファイバ(被覆の材料はナイロン(登録商標)又はPVC)用とされており、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが20mm以上に設定されている。
光コネクタ30は、図3に示されるように、所謂、メカニカル接続型とされており、プラグ32と、スプリング33と、フレーム34と、支持部材35と、スライダ36とを有して構成されている。
プラグ32は、フェルール37及びファイバ固定部38を有して構成されている。フェルール37は、内蔵光ファイバ39を有しており、後述するファイバ固定部38の基板40に一体に組み付けられている。
ファイバ固定部38は、基板40と、一対の蓋部材41と、押圧部材42とを有して構成されている。基板40の表面部には、光コネクタ30の軸方向に沿って断面V字状の溝43が形成されており、この溝43には、上述の内蔵光ファイバ39の後端側が挿入されている。
一対の蓋部材41は、溝43の長手方向に並んで配置されると共に、それぞれこの溝43が形成された基板40の表面部を覆う大きさ及び形状で構成されて、この基板40の表面部と対向して設けられている。また、この一対の蓋部材41は、押圧部材42に形成された一対の押圧片42Aによって基板40側にそれぞれ押圧されている。
なお、基板40及び一対の蓋部材41には、図1,図2に示される楔44に形成された凸部を挿入可能な凹部(いずれも不図示)が形成されている。そして、この凹部に凸部を挿入することで押圧部材42の押圧力に抗して基板40から一対の蓋部材41を離間させることが可能となっている。
フレーム34は、プラグ32を軸方向にスライド可能に収納しており、スプリング33は、フレーム34の内部に設けられて、フレーム34に対してプラグ32を先端側に付勢している。また、支持部材35は、フレーム34の外周部に組み付けられており、スライダ36は、支持部材35の外側に設けられると共に、この支持部材35にスライド可能に支持されている。
次に、この光コネクタ用取付補助具10を用いて光ファイバの先端部に光コネクタを固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
先ず、図1に示されるように、光ファイバ50の先端部50Aにおける先端側の被覆を除去して裸ファイバ50Bを露出させると共に、この裸ファイバ50Bの先端を切断する。また、位置決め突起12Aで光コネクタ30を位置決めすると共に、保持爪12Bで光コネクタ30を保持することによって、光コネクタセット部12に光コネクタ30をセットする。
そして、光ファイバ50の先端部50Aをファイバガイド面17Aによってガイドさせながら、光ファイバ50を光コネクタセット部12側にスライドさせて、この光ファイバ50の先端部50Aを光コネクタ30の内部の溝43に挿入する。
次いで、図2に示されるように、光ファイバ50の先端部50Aよりも後端側50Cをスライド支持面16A上に沿わせた状態とし、内蔵光ファイバ39の後端と光ファイバ50の先端とが突き当てられてファイバガイド面17A上において光ファイバ50にたわみ52が形成されるまで、光ファイバ50の後端側50Cをスライド支持面16A上にて光コネクタセット部12側にスライドさせる。なお、このとき、把持具や指等の把持部19により光ファイバ50の後端側50Cをスライドさせる。
そして、光ファイバ50にたわみ52が形成された状態で、楔44を光コネクタ30から取り外す。これにより、図3に示されるように、押圧部材42によって蓋部材41が基板40側に押圧されて光ファイバ50の先端部50Aがファイバ固定部38に固定される。以上の要領で光ファイバ50の先端部50Aに光コネクタ30を固定することができる。
ここで、この光コネクタ用取付補助具10において、ファイバガイド面17Aの長手方向中間部には、凸部18が形成されている。そして、この凸部18の高さは、光コネクタ30の中心軸A1よりも高く設定されている。従って、上述のように、ファイバガイド面17A上において光ファイバ50にたわみ52を形成する場合でも、この凸部18によってたわみ52の形成方向をファイバガイド面17Aから離間する方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみ52がファイバガイド面17Aと干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみ52を形成することができる。
この結果、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力を適切な値に調節することができるので、突き当て力が不足して光学特性が悪化したり、突き当て力が過大なことに起因して光ファイバ50や内蔵光ファイバ39に欠け等が生じたりすることを防止することができる。
また、この光コネクタ用取付補助具10によれば、ファイバガイド面17Aに凸部18を設けたことにより、光ファイバ50に下側にたわむように癖が付いていた場合や、光ファイバ50を後方上側から溝43に挿入する場合や、作業者によって作業の仕方が異なる場合など、いずれの場合でも、ファイバガイド面17Aから離間する方向(上側)にたわみ52を形成することができる。
しかも、この光コネクタ用取付補助具10によれば、各ガイド壁17の突出端は、ガイド壁17の突出方向に凸をなす円弧部17Bとして構成されている。従って、作業者は、この円弧部17Bを利用して、たわみ52が適正な大きさに形成されているか目視確認することができる。
ところで、現在、広く普及している外径が0.9mmの光ファイバを用いた場合(特に、被覆の材料がナイロン(登録商標)の場合)に、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが20mm未満に設定されていると、次の問題がある。
ここで、図4,図5には、現在、広く普及している、外径が0.9mmの光ファイバ(被覆の材料はナイロン(登録商標)又はPVC)、及び、外径が0.25mmの光ファイバについて、光ファイバの突き当て力とたわみ長との関係が示されている。なお、この図4,図5の測定結果は、光ファイバの押し込み量を共通にして測定したものである。
これらの図に示されるように、現在、広く普及している外径が0.9mmの光ファイバ(被覆の材料はナイロン(登録商標))を用いた場合、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが20mm未満に設定されていると、たわみ52の曲率が大き過ぎるため、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力が2.5Nを上回り、突き当て力が過大となる。そして、この場合には、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力が過大となり、光ファイバ50や内蔵光ファイバ39に欠け等が生じる。
これに対し、この光コネクタ用取付補助具10によれば、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが20mm以上に設定されているので、上述の0.9mmの光ファイバ(被覆の材料はナイロン(登録商標))を用いた場合でも、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力を適切な値とすることができ、これにより、光ファイバ50や内蔵光ファイバ39に欠け等が生じることを抑制することができる。
なお、上述の通り、外径が0.9mmの光ファイバ(被覆の材料はナイロン(登録商標))を用いた場合には、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが20mm以上に設定されている必要があるが、製造誤差や被覆の材料であるナイロン(登録商標)の種類によっては、この光ファイバよりももっと剛性の高い光ファイバも想定される。従って、この場合には、余裕をみて、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが25mm以上に設定されていても良い。
一方、図5に示されるように、現在、広く普及している外径が0.25mmの光ファイバを用いた場合に、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが35mmを上回って設定されていると、たわみ52の曲率が小さ過ぎるため、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との間のグリスの粘度や、光ファイバ50と基板40との摩擦力等の影響により、光ファイバ50の先端まで突き当て力が伝わらず、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力が0.03Nを下回り、突き当て力が不足する。そして、この場合には、両ファイバの端面の間隔が開き、所望の光学特性を得られない場合がある。
従って、上述のように、外径が0.9mmであっても通常の光ファイバよりももっと剛性の高い光ファイバを用いる場合や、現在、広く普及している外径が0.25mmの光ファイバを用いる場合には、ファイバガイド部14の軸方向に沿った長さが25mm以上35mm以下に設定されていても良い。
このように構成されていると、外径が0.9mmであっても通常の光ファイバよりももっと剛性の高い光ファイバを用いる場合や、現在、広く普及している外径が0.25mmの光ファイバを用いる場合でも、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力を適切な値とすることができ、これにより、光ファイバ50や内蔵光ファイバ39に欠け等が生じたり、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力が不足して所望の光学特性を得られなくなったりすることを抑制することができる。
なお、本実施形態では、凸部18の高さが光コネクタセット部12にセットされた光コネクタ30の中心軸A1よりも高く設定されていたが、この凸部18によってたわみ52の形成方向をファイバガイド面17Aから離間する方向(上側)に規定することができれば、凸部18の高さが光コネクタセット部12にセットされた光コネクタ30の中心軸A1と同じ位置に設定されていても良い。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図6に示される本発明の第二実施形態に係る光コネクタ用取付補助具20は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ用取付補助具10に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ファイバガイド部14は、への字状に屈曲されており、これにより、スライド支持面16Aは、光コネクタセット部12と反対側を向くように光コネクタ30の中心軸A1(軸方向)に対して傾斜されている(傾斜角度θ)。
次に、この光コネクタ用取付補助具20を用いて光ファイバの先端部に光コネクタを固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
先ず、上述の本発明の第一実施形態と同様に、光コネクタセット部12に光コネクタ30をセットした状態で、光ファイバ50の先端部50Aを光コネクタ30の内部の溝43に挿入する(図1,図3参照)。
次いで、図6に示されるように、光ファイバ50の後端側50Cをスライド支持面16A上に沿わせた状態とし、内蔵光ファイバ39の後端と光ファイバ50の先端とが突き当てられてファイバガイド面17A上において光ファイバ50にたわみ52が形成されるまで、光ファイバ50の後端側50Cをスライド支持面16A上にて光コネクタセット部12側にスライドさせる。
そして、光ファイバ50にたわみ52が形成された状態で、楔44を光コネクタ30から取り外す。これにより、押圧部材42によって蓋部材41が基板40側に押圧されて光ファイバ50の先端部50Aがファイバ固定部38に固定される(図3参照)。以上の要領で光ファイバ50の先端部50Aに光コネクタ30を固定することができる。
ここで、この光コネクタ用取付補助具20において、上述のスライド支持面16Aは、光コネクタセット部12と反対側を向くように光コネクタ30の中心軸A1に対して傾斜されている(傾斜角度θ)。従って、上述のように、ファイバガイド面17A上において光ファイバ50にたわみ52を形成する場合でも、このスライド支持面16Aの傾斜によってたわみ52の形成方向をファイバガイド面17Aから離間する方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみ52がファイバガイド面17Aと干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみ52を形成することができる。
この結果、光ファイバ50と内蔵光ファイバ39との突き当て力を適切な値に調節することができるので、突き当て力が不足して光学特性が悪化したり、突き当て力が過大なことに起因して光ファイバ50や内蔵光ファイバ39に欠け等が生じたりすることを防止することができる。
また、この光コネクタ用取付補助具20によれば、スライド支持面16Aを傾斜させることにより、光ファイバ50に下側にたわむように癖が付いていた場合や、光ファイバ50を後方上側から溝43に挿入する場合や、作業者によって作業の仕方が異なる場合など、いずれの場合でも、ファイバガイド面17Aから離間する方向(上側)にたわみ52を形成することができる。
なお、本実施形態では、ファイバガイド部14がへの字状に屈曲されることによって、スライド支持面16Aが光コネクタセット部12と反対側を向くように光コネクタ30の中心軸A1に対して傾斜されていたが、図7に示されるように、ファイバガイド部14が直線状に形成されたまま、スライド支持面16Aが光コネクタセット部12と反対側を向くように光コネクタ30の中心軸A1に対して傾斜されていても良い。
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8に示される本発明の第三実施形態に係る光コネクタ60は、後述する光ファイバケーブル120の先端部に取り付けられるものであり、プラグ62と、ケーブル固定部材64と、フレーム66と、固定支持部としての収納部材68とを主要な構成として備えている。
プラグ62は、フェルール70及びファイバ固定部72を有して構成されている。フェルール70は、内蔵光ファイバ74を有しており、後述するファイバ固定部72の基板76に一体に組み付けられている。
ファイバ固定部72は、所謂、メカニカルスプライス方式とされており、基板76と、一対の蓋部材78と、押圧部材80とを有して構成されている。基板76の表面部には、光コネクタ60の軸方向に沿って溝82が形成されており、この溝82には、上述の内蔵光ファイバ74の後端側が挿入されている。
一対の蓋部材78は、溝82の長手方向に並んで配置されると共に、それぞれこの溝82が形成された基板76の表面部を覆う大きさ及び形状で構成されて、この基板76の表面部と対向して設けられている。また、この一対の蓋部材78は、押圧部材80によって基板76側にそれぞれ押圧されている。
なお、この光コネクタ60では、図10に示されるように、この光コネクタ60に一体部品として備えられるか又は別体の治具とされた楔84を挿入可能な凹部86が基板76及び一対の蓋部材78に形成されている。そして、この凹部86に楔84を挿入することで基板76から一対の蓋部材78を離間させることが可能となっている。
図8に示されるように、ケーブル固定部材64は、プラグ62及びフレーム66と別体に構成されており、後述する光ファイバケーブル120の外皮部124を把持するケーブル固定部としての一対の把持部88と、延出支持部90とを有して構成されている。延出支持部90は、光ファイバ心線122の突出部122Aを下側から支持するためのものであり、一対の把持部88の一方からファイバ固定部72側に向けて延出されている。また、この延出支持部90の先端には、後述する蓋108側に向けて凸部92が形成されている。この凸部92の高さは、ファイバ固定部72の中心軸A2(溝82の中心軸)よりも高く設定されている。
収納部材68には、フレーム66側に嵌合部94が形成されており、この嵌合部94がフレーム66の収納部材68側と嵌合されることにより、フレーム66と収納部材68とは、互いに一体に組み付けられている。
フレーム66の内部には、上述のファイバ固定部72が収納されており、このファイバ固定部72に一体に設けられたフェルール70は、フレーム66の先端側に形成された孔部96を通じて外部に突出されている。一方、収納部材68のフレーム66側には、溝82と連通すると共にケーブル固定部材64側に向かうに従って拡径するガイド孔100が形成されている。
また、上述の基板76及び蓋部材78には、拡径部102が形成されており、この拡径部102と嵌合部94との間には、スプリング104が圧縮状態で収納されている。そして、プラグ62は、このスプリング104によって光コネクタ60の先端側に付勢されている。
また、上述の収納部材68は、収納室106Aを有する本体部106と、この収納室106Aを開閉する蓋108とを有している。蓋108は、その先端側が本体部106に回動可能に連結されており、収納室106Aを開放する開状態(図9上図参照)と、収納室106Aを閉鎖する閉状態(図9下図参照)とを取り得るようになっている。また、蓋108の後端側には、ケーブル固定部材64の抜けを防止するための抜止部110が形成されている。
なお、図示しないが、収納部材68には、ケーブル固定部材64のファイバ固定部72側への移動を規制するための規制構造や、蓋108を閉状態に保持するための保持構造が備えられている。
光ファイバケーブル120は、光ファイバ心線122と、この光ファイバ心線122を被覆する外皮部124(シースや抗張力体)とを有している。また、光ファイバケーブル120の先端側では、上述の外皮部124が切除されることにより、外皮部124の端部から光ファイバ心線122の一部が突出部122Aとして突出されている。
次に、この光コネクタ60を光ファイバの先端部に固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
先ず、図9の上図に示されるように、光ファイバケーブル120の先端側の外皮部124を除去し、光ファイバ心線122を露出させる。続いて、この光ファイバケーブル120の外皮部122の先端側を一対の挟持部88で把持して、光ファイバケーブル120にケーブル固定部材64を固定する。さらに、光ファイバケーブル120の外皮部124の端部から突出された光ファイバ心線122の突出部122A(露出部)の先端側の被覆を除去して裸ファイバ122Bを露出させ、この裸ファイバ122Bの先端を切断する。
そして、蓋108を開状態とし、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけて、光ファイバ心線122の突出部122Aの先端側をガイド孔100を通じて溝82に挿入すると共に、ケーブル固定部材64を収納室106Aに配置する(図9中図参照)。
次いで、内蔵光ファイバ74の後端と光ファイバ心線122の先端とが突き当てられて光ファイバ心線122の突出部122Aにたわみ126が形成されるまで、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づける(図9下図参照)。
そして、光ファイバ心線122の突出部122Aにたわみ126が形成された状態で、図10に示されるように、楔84をファイバ固定部72から取り外す。これにより、押圧部材80によって蓋部材78が基板76側に押圧されて光ファイバ心線122の突出部122Aがファイバ固定部72に固定される。
次いで、蓋108を閉状態として収納部材68にケーブル固定部材64を収納し、これにより、ファイバ固定部72に対してケーブル固定部材64を固定支持する。以上の要領で、光コネクタ60は、光ファイバケーブル120と固定される。
ここで、この光コネクタ60では、図8に示されるように、ファイバ固定部72とケーブル固定部材64との間に凸部92が形成されている。そして、この凸部92の高さは、ファイバ固定部72の中心軸A2よりも高く設定されている。従って、上述のように、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけて光ファイバ心線122の突出部122Aの一部にたわみ126を形成する場合でも、この凸部92によってたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみ126が周囲のコネクタ構造部(この場合、延出支持部90)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみ126を形成することができる。
この結果、光ファイバ心線122と内蔵光ファイバ74との突き当て力を適切な値に調節することができるので、突き当て力が不足して光学特性が悪化したり、突き当て力が過大なことに起因して光ファイバ心線122や内蔵光ファイバ74に欠け等が生じたりすることを防止することができる。
なお、本実施形態では、ケーブル固定部材64に形成された延出支持部90の先端に凸部92が形成されていたが、図11に示されるように、凸部92は、収納部材68の本体部106から突出されていても良い。
このように構成されていると、光ファイバ心線122の突出部122Aを溝82に挿入する段階(図9上図参照)では、光ファイバ心線122の突出部122Aがたわまないので、光ファイバ心線122の突出部122Aを溝82に容易に挿入することができる。
また、この凸部92は、光コネクタ60の横方向(紙面表裏方向)に移動可能に構成されていても良い。そして、たわみ126を形成するときに凸部92を光コネクタ60の中心軸上に移動させて光ファイバ心線122の突出部122Aの一部にたわみ126を形成し、ファイバ固定部72によって光ファイバ心線122と内蔵光ファイバ74とを突き合わせ接続した後に、凸部92を光コネクタ60の中心軸上から外れた位置に移動させると共にケーブル固定部材64を後退させることによって、たわみ126を解消させるようにしても良い。
また、本実施形態では、凸部92の高さがファイバ固定部72の中心軸A2よりも高く設定されていたが、この凸部92によってたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができれば、凸部92の高さがファイバ固定部72の中心軸A2と同じ位置に設定されていても良い。
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図12に示される本発明の第四実施形態に係る光コネクタ130は、上述の本発明の第三実施形態に係る光コネクタ60に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ケーブル固定部材64には、一対の把持部88の一方からファイバ固定部72に向けて延出する可動片132が形成されている。この可動片132は、上述の延出支持部90と同様に、光ファイバ心線122の突出部122Aを下側から支持する機能を有している。また、この可動片132の先端には、蓋108側に突出する凸部134が形成されている。一方、収納部材68の本体部106には、凸部134と同じ側に突出する接触部136が形成されている。この接触部136は、側面視にて山型に形成されている。
そして、この光コネクタ130では、ケーブル固定部材64がファイバ固定部72側に移動されることに伴って可動片132が接触部136の傾斜面と接触し、これにより、可動片132が変形されて、この可動片132の凸部134がファイバ固定部72の中心軸A2よりも高い位置に位置されるようになっている。
次に、この光コネクタ130を光ファイバの先端部に固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
先ず、上述の本発明の第一実施形態と同様に、蓋108を開状態とすると共に、光ファイバケーブル120の外皮部124にケーブル固定部材64を固定した状態とする(図13上図参照)。
そして、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけて、光ファイバ心線122の突出部122Aをガイド孔100を通じて溝82に挿入すると共に、ケーブル固定部材64を収納室106Aに配置する(図13中図参照)。
次いで、この状態からさらにケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけると、可動片132が接触部136の傾斜面と接触することによって可動片132が変形された状態となり、可動片132の先端の凸部134がファイバ固定部72の中心軸A2よりも高い位置に位置される。そして、これにより、この可動片142132の先端の凸部134が光ファイバ心線122の突出部122Aの一部を押し上げるので、光ファイバ心線122の突出部122Aの一部にたわみ126が形成される(図13下図参照)。
そして、光ファイバ心線122にたわみ126が形成された状態で、楔84をファイバ固定部72から取り外す(図10参照)。これにより、押圧部材80によって蓋部材78が基板76側に押圧されて光ファイバ心線122の突出部122Aがファイバ固定部72に固定される。
次いで、蓋108を閉状態として収納部材68にケーブル固定部材64を収納し、これにより、ファイバ固定部72に対してケーブル固定部材64を固定支持する。以上の要領で、光コネクタ130は、光ファイバケーブル120と固定される。
このように、この光コネクタ130によれば、上述のように、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけた場合に、可動片132によって光ファイバ心線122の突出部122Aの一部にたわみ126を形成することができると共に、このたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみ126が周囲のコネクタ構造部(この場合、延出支持部としての機能を有する可動片132)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみ126を形成することができる。
この結果、光ファイバ心線122と内蔵光ファイバ74との突き当て力を適切な値に調節することができるので、突き当て力が不足して光学特性が悪化したり、突き当て力が過大なことに起因して光ファイバ心線122や内蔵光ファイバ74に欠け等が生じたりすることを防止することができる。
また、この光コネクタ130によれば、光ファイバ心線122の突出部122Aを溝82に挿入する段階(図13上図参照)では、光ファイバ心線122の突出部122Aがたわまないので、光ファイバ心線122の突出部122Aを溝82に容易に挿入することができる。
なお、本実施形態では、可動片132が変形された場合に、可動片132の先端の凸部134がファイバ固定部72の中心軸A2よりも高い位置に位置されるように構成されていたが、この凸部134によってたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができれば、可動片132が変形された場合に、可動片132の先端の凸部134がファイバ固定部72の中心軸A2と同じ位置に位置されるように構成されていても良い。
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図14に示される本発明の第五実施形態に係る光コネクタ140は、上述の本発明の第三実施形態に係る光コネクタ60に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ケーブル固定部材64には、一対の把持部88の一方からプラグ62側に向けて延出する延出支持部141が形成されている。また、収納部材68の本体部106には、弾性を有する可動片142が形成されており、この可動片142の先端には、蓋108側に突出する凸部144が形成されている。また、この可動片142は、下側から力が加えられたときに凸部144がファイバ固定部72の中心軸A2よりも高い位置に位置されるように弾性変形可能な構成とされている。
次に、この光コネクタ140を光ファイバの先端部に固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
先ず、上述の本発明の第一実施形態と同様に、蓋108を開状態とすると共に、光ファイバケーブル120の外皮部124にケーブル固定部材64を固定した状態とする(図15上図参照)。
そして、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけて、光ファイバ心線122の突出部122Aをガイド孔100を通じて溝82に挿入すると共に、ケーブル固定部材64を収納室106Aに配置する(図15中図参照)。
また、このときに可動片142に下側から力を加えて可動片142を弾性変形させ、可動片142の先端の凸部144をファイバ固定部72の中心軸A2よりも高い位置に位置させる。これにより、この可動片142の先端の凸部144が光ファイバ心線122の突出部122Aの一部を押し上げるので、光ファイバ心線122の突出部122Aにたわみ126が形成された状態で内蔵光ファイバ74の後端と光ファイバ心線122の先端とが突き当てられる。
そして、光ファイバ心線122にたわみ126が形成された状態で、楔84をファイバ固定部72から取り外す(図10参照)。これにより、押圧部材80によって蓋部材78が基板76側に押圧されて光ファイバ心線122の突出部122Aがファイバ固定部72に固定される。
次いで、蓋108を閉状態として収納部材68にケーブル固定部材64を収納し、ファイバ固定部72に対してケーブル固定部材64を固定支持する。以上の要領で、光コネクタ140は、光ファイバケーブル120と固定される。
このように、この光コネクタ140によれば、上述のように、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけた場合に、可動片142によって光ファイバ心線122の突出部122Aの一部にたわみ126を形成することができると共に、このたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみ126が周囲のコネクタ構造部(この場合、延出支持部141)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみ126を形成することができる。
この結果、光ファイバ心線122と内蔵光ファイバ74との突き当て力を適切な値に調節することができるので、突き当て力が不足して光学特性が悪化したり、突き当て力が過大なことに起因して光ファイバ心線122や内蔵光ファイバ74に欠け等が生じたりすることを防止することができる。
なお、本実施形態では、可動片142が下側から力を加えられて最も弾性変形された場合に、可動片142の先端の凸部144がファイバ固定部72の中心軸A2よりも高い位置に位置されるように構成されていたが、この凸部144によってたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができれば、可動片142が下側から力を加えられて最も弾性変形された場合に、可動片142の先端の凸部144がファイバ固定部72の中心軸A2と同じ位置に位置されるように構成されていても良い。
また、蓋108を閉状態として収納部材68にケーブル固定部材64を収納した状態では、ケーブル固定部材64が後退されてたわみ126が解消されるように構成されていても良い。このように構成されていると、たわみ126による光ファイバ心線122の光学特性の低下を防止することができる。
[第六実施形態]
次に、本発明の第六実施形態について説明する。
図16に示される本発明の第六実施形態に係る光コネクタ150は、上述の本発明の第三実施形態に係る光コネクタ60に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ガイド孔100は、ファイバ固定部72の中心軸A2(溝82の中心軸)に対して蓋108側に偏芯した位置に中心軸A3を有する構成とされている。
次に、この光コネクタ150を光ファイバの先端部に固定する方法と併せて、その作用及び効果を説明する。
先ず、上述の本発明の第一実施形態と同様に、蓋108を開状態とすると共に、光ファイバケーブル120の外皮部124にケーブル固定部材64を固定した状態とする。また、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけて、光ファイバ心線122の突出部122Aをガイド孔100に挿入した後に溝82に挿入する。(図16上図参照)。
次いで、内蔵光ファイバ74の後端と光ファイバ心線122の先端とが突き当てられて光ファイバ心線122の突出部122Aにたわみ126が形成されるまで、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づける。
そして、光ファイバ心線122にたわみ126が形成された状態で、楔84をファイバ固定部72から取り外す(図10参照)。これにより、押圧部材80によって蓋部材78が基板76側に押圧されて光ファイバ心線122の突出部122Aがファイバ固定部72に固定される。
次いで、蓋108を閉状態として収納部材68にケーブル固定部材64を収納し、これにより、ファイバ固定部72に対してケーブル固定部材64を固定支持する。以上の要領で、光コネクタ150は、光ファイバケーブル120と固定される。
ここで、この光コネクタ150では、ガイド孔100がファイバ固定部72の中心軸A2に対して蓋108側に偏芯した位置に中心軸A3を有している。従って、上述のように、ケーブル固定部材64をファイバ固定部72に近づけたときには、このガイド孔100の中心軸A3がファイバ固定部72の中心軸A2に対して偏芯した位置に設定されていることよって光ファイバ心線122の突出部122Aの一部にたわみ126を形成することができると共に、このたわみ126の形成方向を特定の方向(上側)に規定することができる。これにより、たわみ126が周囲のコネクタ構造部(この場合、延出支持部90)と干渉することを防止することができるので、所望の大きさのたわみ126を形成することができる。
この結果、光ファイバ心線122と内蔵光ファイバ74との突き当て力を適切な値に調節することができるので、突き当て力が不足して光学特性が悪化したり、突き当て力が過大なことに起因して光ファイバ心線122や内蔵光ファイバ74に欠け等が生じたりすることを防止することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
なお、以下に本発明の参考例について説明する。
[第一参考例]
図17に示される本発明の第一参考例に係る光コネクタ用取付補助具160は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ用取付補助具10に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ファイバガイド部14には、円弧状のザグリ又はスリットからなる凹部162が形成されている。
このように構成されていると、光ファイバ50の一部にたわみ52を形成する際に、この凹部162によって、たわみ52を下側に形成することが許容されるので、所望の大きさのたわみ52を形成することができる。
[第二参考例]
図18に示される本発明の第二参考例に係る光コネクタ用取付補助具170は、上述の本発明の第一実施形態に係る光コネクタ用取付補助具10に対し、次の如く構成が変更されている。
すなわち、ファイバガイド面17Aの幅が上述の本発明の第一実施形態よりも広く確保されており、光ファイバ50にたわみ52を形成する際に、たわみ52を横方向に形成することが許容されるようになっている。
このように構成されていても、所望の大きさのたわみ52を形成することができる。
この光コネクタ用取付補助具によれば、例えば、次の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。すなわち、先ず、光コネクタセット部に光コネクタをセットする。そして、この状態で、光ファイバの先端部をたわみ形成部によってガイドさせながら、光ファイバを光コネクタセット部側にスライドさせて、この光ファイバの先端部を光コネクタの内部の溝に挿入する。
この光コネクタ用取付補助具によれば、例えば、次の要領で光ファイバの先端部に光コネクタを固定することができる。すなわち、先ず、光コネクタセット部に光コネクタをセットする。そして、この状態で、光ファイバの先端部をたわみ形成部によってガイドさせながら、光ファイバを光コネクタセット部側にスライドさせて、この光ファイバの先端部を光コネクタの内部の溝に挿入する。