JP2011057606A - イミンの不斉シアノ化方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)光学活性チオウレア型の有機触媒を用いる方法(非特許文献1)。
(2)糖より誘導した光学活性配位子とガドリニウムアルコキシドより調製される触媒を用いる方法(非特許文献2)。
(3)光学活性アミノアルコールとチタンアルコキシドより調製される触媒を用いる方法(非特許文献3、4、5)。
(4)光学活性アミノアルコールとチタンアルコキシドの部分加水分解物より調製される触媒を用いる方法(特許文献1、2)。
(5)イミン化合物を基質とするルイス酸触媒反応の機構(非特許文献6)。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[4]前記チタンアルコキシド化合物が、Ti(OEt)4、Ti(OnPr)4、Ti(OiPr)4、Ti(OnBu)4、又はTi(OiPr)2(acac)2であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれかに記載のイミンの不斉シアノ化方法。
[5]前記イミンが、下記一般式(5)で表されることを特徴とする、[1]から[4]のいずれかに記載のイミンの不斉シアノ化方法。
(1)光学活性アミノアルコール
本発明においては、以下の一般式(1)で表される光学活性アミノアルコールの存在下、反応を行う。
一般式(1)中において、R1とR2に結合する炭素原子が不斉炭素原子である場合を(i)タイプ、R7とR8に結合する炭素原子が不斉炭素原子である場合を(ii)タイプ、またはR9とR10に結合する炭素原子が不斉炭素原子である場合を(iii)タイプ、と称する。
光学活性アミノアルコールにおける光学活性は、特に限定されないが、例えば(ii)タイプ、(iii)タイプが挙げられ((ii)または(iii)のいずれかの一方、もしくは(ii)および(iii)の両方が挙げられ)、特に(ii)タイプが好ましい。
このような直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。このような分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
このような環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
本発明においては、以下の一般式(2)で表されるチタンアルコキシド化合物を用いる。
本発明においては、以下の一般式(3)又は(4)で表されるアルコール類を用いる。
本発明においては、光学活性アミノニトリルの原料として、イミンを用いる。
本発明に係るイミンの構造は特に限定されないが、例えば、下記一般式(5)で表すことができる。
R11及びR12のアルキル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。このような直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。このような分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。このような環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
R11及びR12のアルケニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等が挙げられる。
R11及びR12のアルキニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、又は分岐状のいずれでもよい。具体例としては、エチニル基、プロパルギル等が挙げられる。
R11及びR12のアリール基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10である。具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R11及びR12の芳香族複素環基の構造は特に限定されないが、その一つの複素環を構成する原子数は好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10である。具体例としては、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
R11及びR12の非芳香族複素環基の構造は特に限定されないが、その一つの複素環を構成する原子数は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜8である。具体例としては、ピロリジニル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
R11及びR12上の置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキシ基等が例として挙げられ、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、又はアリール基等が好ましい。
R13のアルキル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。このような直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。このような分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。このような環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
R13のアルケニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等が挙げられる。
R13のアルキニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、又は分岐状のいずれでもよい。具体例としては、エチニル基、プロパルギル等が挙げられる。
R13のアリール基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10である。具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
R13の芳香族複素環基の構造は特に限定されないが、その一つの複素環を構成する分子数は好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10である。具体例としては、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
R13の非芳香族複素環基の構造は特に限定されないが、その一つの複素環を構成する分子数は好ましくは3〜20、より好ましくは3〜8である。具体例としては、ピロリジニル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
R13のアシル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8である。具体例としては、ホルミル基、アセチル等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基等のアリールカルボニル基が挙げられる。
R13のアルコキシカルボニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8である。具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
R13のシリル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは3〜12である。具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられる。
R13のホスフィンオキシド基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜12である。具体例としては、ジフェニルホスフィンオキシド基等が挙げられる。
R13のスルフィニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。具体例としては、メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル等が挙げられる。
R13のスルホキシ基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10である。具体例としては、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル等が挙げられる。
本発明に係るシアノ化剤は、シアノ基を含有し、イミンとの反応でシアノ基を導入しうるものであれば、特に限定されないが、シアノ化水素、及び下記一般式(6)で表されるシアノ化剤が好ましく、これらの混合物も好ましく用いることができる。さらに、下記一般式(6)で表されるシアノ化剤がより好ましい。
R14〜R16のアルキル基の構造は、特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。
このような直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。このような分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
このような環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
R14〜R16のアリール基の構造は、特に限定されないが、その炭素数は好ましくは6〜20、より好ましくは6〜10である。具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
本発明においては、上記の光学活性アミノアルコール及び上記のチタンアルコキシドより、イミンの不斉シアノ化反応に対して有効な触媒を調製する。
本発明においては、上記の触媒とアルコールの存在下、上記イミンをシアノ化剤によって不斉シアノ化することにより、光学活性アミノニトリルが得られる。
たとえば、J. Am. Chem. Soc., 121巻, No. 17, 4284−4285頁(1999)のScheme1等には、イミン二重結合へのCNイオンの付加反応について基本的な反応機構が示されている。本発明のシアノ化反応機構に関しては、このような一般的なイミン化合物を基質とするルイス酸触媒反応の機構に従うものと推定される。
蓋付き試験管に、光学活性アミノアルコール(上記式(S)−L−8)2.3mg(0.010mmol)を量り取り、無水トルエン0.50mLを加えて調整した溶液に対し、Ti(OnBu)4の無水トルエン溶液(0.050mol/L)0.20mL(0.010mmol)を加え、23℃で30分攪拌した。こうして得られた溶液に対しN−ベンジリデンベンジルアミン39mg(0.20mmol)、トリメチルシリルシアニド30mg(0.30mmol)、n−ブタノール15mg(0.20mmol)を23℃で順番に加えた。23℃で15分攪拌した後、原料の転化率、及び生成物の不斉収率の測定のために少量の反応溶液を採り、真空ポンプで溶媒、未反応のトリメチルシリルシアニドなどの低沸点化合物を除去し、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は99%で、生成物の不斉収率は87%であった。
蓋付き試験管に、光学活性アミノアルコール(上記式(S)−L−8)2.3mg(0.010mmol)を量り取り、無水トルエン0.50mLに溶解させ、Ti(OnBu)4の無水トルエン溶液(0.050mol/L)0.20mL(0.010mmol)を加え、23℃で30分攪拌した。得られた溶液を、2mLのメスフラスコに移し、無水トルエンを全体量が2mLになるまで加えた。こうして調整された溶液0.20mLを別の蓋付き試験管に量り取り、無水トルエン0.50mLを加え希釈し、N−ベンジリデンベンジルアミン39mg(0.20mmol)、トリメチルシリルシアニド30mg(0.30mmol)、n−ブタノール15mg(0.20mmol)を23℃で順番に加えた。
2.3mgの光学活性アミノアルコール(上記式(S)−L−8)(0.010mmol)の代わりに、4.6mgの光学活性アミノアルコール(上記式 (S)−L−8)(0.020mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は73%で、生成物の不斉収率は86%であった。
Ti(OnBu)4の無水トルエン溶液の代わりに、TiCl2(OiPr)2の無水トルエン溶液(0.050mol/L)0.20mL(0.010mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は65%で、生成物の不斉収率は60%であった。
Ti(OnBu)4の無水トルエン溶液の代わりに、TiCl(OiPr)3の無水トルエン溶液(0.050mol/L)0.20mL(0.010mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は65%で、生成物の不斉収率は60%であった。
Ti(OnBu)4の無水トルエン溶液の代わりに、Ti(acac)2(OiPr)2の無水トルエン溶液(0.050mol/L)0.20mL(0.010mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は99%で、生成物の不斉収率は88%であった。
n−ブタノールの代わりに、n−プロパノール12mg(0.20mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は99%で、生成物の不斉収率は87%であった。
n−ブタノールの代わりに、2,6−キシレノール24mg(0.20mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は77%で、生成物の不斉収率は90%であった。
n−ブタノールの代わりに、i−プロパノール12mg(0.20mmol)を使用した以外は、実施例1と同じ操作を行い、(S)体が過剰のN−ベンジルアミノ−2−フェニルアセトニトリルを得た。原料の転化率は49%に留まり、生成物の不斉収率は86%であった。
Claims (6)
- 下記一般式(1)で表される光学活性アミノアルコール、下記一般式(2)で表されるチタンアルコキシド、及び下記一般式(3)で表されるアルコールの存在下、イミンとシアノ化剤とを反応させることを特徴とする、イミンの不斉シアノ化方法。
- 下記一般式(1)で表される光学活性アミノアルコール、下記一般式(2)で表されるチタンアルコキシド、及び下記一般式(4)で表されるアルコールの存在下、イミンとシアノ化剤とを反応させることを特徴とする、イミンの不斉シアノ化方法。
- 反応温度が、室温である、請求項2に記載のイミンの不斉シアノ化方法。
- 前記チタンアルコキシド化合物が、Ti(OEt)4、Ti(OnPr)4、Ti(OiPr)4、Ti(OnBu)4、又はTi(OiPr)2(acac)2であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のイミンの不斉シアノ化方法。
- 前記イミンが、下記一般式(5)で表されることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のイミンの不斉シアノ化方法。
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