JP2011057516A - 単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】P型半導体とn型半導体の両方に使用することができ、有機薄膜太陽電池の有機半導体薄膜として使用した場合に光電流値を向上させることができる、単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】アーク放電により生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を大気中において加熱して燃焼酸化した後に酸で処理することによって精製した単層カーボンナノチューブを真空中において1000℃以上で加熱して高結晶性の単層カーボンナノチューブを得た後、この高結晶性の単層カーボンナノチューブを含む単層カーボンナノチューブフィルムを形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、本発明は、単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法に関し、特に、有機薄膜太陽電池などの有機系太陽電池の有機半導体薄膜などに使用可能な単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法に関する。
有機薄膜太陽電池は、有機化合物の薄膜を用いて発電する太陽電池であり、その原理はpn接合型のシリコン太陽電池と基本的に同じであるが、大きな設備を必要とせずに容易に且つ安価に製造可能であり、軽量で柔軟性があり、大面積化が可能であるため、シリコン太陽電池に代わる太陽電池として期待されている。
このような有機薄膜太陽電池として、異なる種類の金属からなる電極間にp型有機半導体薄膜を挟んだショットキー接合型の有機薄膜太陽電池、少なくとも一方が透明電極からなる一対の電極間に有機高分子または有機低分子からなるp型有機半導体薄膜と有機低分子からなるn型有機半導体薄膜とを重ねて挟んでpn接合面で発電するpnヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池、少なくとも一方が透明電極からなる一対の電極間にp型有機半導体とn型有機半導体の混合物を挟んでpn接合面で発電するバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池などが提案されている。
これらの有機薄膜太陽電池のうち、ショットキー接合型の有機薄膜太陽電池では、光電流を取り出すことができるものの、その電流値が非常に低くて変換効率が非常に低いため、実用化が考えられなかったが、pnヘテロ接合型やバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池では、光電流値を高くして変換効率を向上させることができ、実用化が可能になってきた。このような変換効率を向上させたpnヘテロ接合型やバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池として、励起子拡散長が長いかご状クラスターのフラーレンC60(60個の炭素原子のみから構成された略球状の分子)のようなフラーレン誘導体をn型有機半導体に使用したpnヘテロ接合型やバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
従来のフラーレンC60をn型半導体(アクセプタ)に使用したpnヘテロ接合型やバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池は、有機層とフラーレンC60層とのヘテロ接続が形成される太陽電池であり、可視光により有機層において電子−正孔が生じ、電子がフラーレンC60に移動して、正孔が有機層にサイト分離されることによって、ショットキーが形成されて光起電力が生じる。しかし、有機層とフラーレンC60層とのヘテロ接続ではなく、フラーレンC60をp型半導体(ドナー)とn型半導体(アクセプタ)の両方に使用したpnヘテロ接合型やバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池については報告されていない。
一方、カーボンナノチューブは、黒鉛結晶の薄層を円筒状に巻いた構造、すなわち、炭素分子の六員環が亀甲模様のように配列した平面状または曲面状のグラフェンシートを円筒状に巻いた構造を有し、その直径は数nm〜数十nm、長さは直径の数十倍〜数千倍以上である。このようなカーボンナノチューブは、円筒状に巻いたグラフェンシートが実質的に1層である単層カーボンナノチューブと、2層以上である多層カーボンナノチューブに分類される。
単層カーボンナノチューブは、グラファイトと異なり、カイラリティーの違いによって金属的にも半導体的にも電気的性質を変えることができる。これは、カイラリティーによって、バンドギャップが変調され、光吸収も異なることを意味している。
近年、有機半導体として単層カーボンナノチューブを使用した有機薄膜太陽電池の研究が行われ始めている。例えば、仕事関数の異なるパラジウム(Pd)とアルミニウム(Al)の間に化学蒸着法(CVD)によって数本の単層カーボンナノチューブを架橋させた有機薄膜太陽電池が作製されている。この有機薄膜太陽電池では、単層カーボンナノチューブで可視光を吸収し、電子と正孔をそれぞれの電極にサイト分離させている。また、p型の特性を有する単層カーボンナノチューブとn型シリコンを用いた太陽電池も作製されている。
特開2008−34764号公報(段落番号0006) 特開2007−258235号公報(段落番号0016)
しかし、単層カーボンナノチューブをp型半導体(ドナー)とn型半導体(アクセプタ)の両方に使用したpnヘテロ接合型やバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池については報告されていない。
また、有機半導体として単層カーボンナノチューブを使用した有機薄膜太陽電池について報告された研究では、まだ光電流値が低く変換効率が低いため、光電流値を高めて変換効率を向上させることが望まれる。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、P型半導体とn型半導体の両方に使用することができ、有機薄膜太陽電池の有機半導体薄膜として使用した場合に光電流値を向上させることができる、単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アーク放電により生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を精製した後に、真空中で加熱して得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブの微粉末を含む単層カーボンナノチューブフィルムを、有機薄膜太陽電池の有機半導体薄膜として使用することにより、有機薄膜太陽電池の光電流値を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、アーク放電により単層カーボンナノチューブを含む煤を生成する工程と、生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を精製する工程と、精製した単層カーボンナノチューブを含む煤を真空中で加熱して高結晶性の単層カーボンナノチューブを得る工程と、得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを含む単層カーボンナノチューブフィルムを形成する工程とを備えたことを特徴とする。この単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法において、単層カーボンナノチューブフィルムの形成が、高結晶性の単層カーボンナノチューブを微細化して溶媒に分散させた後に溶媒を蒸発させることによって行われるのが好ましい。また、精製が、生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を大気中で加熱して燃焼酸化した後に酸で処理するのが好ましい。また、真空中で加熱する温度が1000℃以上であるのが好ましい。
また、本発明による単層カーボンナノチューブフィルムは、アーク放電により生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を精製した後に真空中で加熱して得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする。
また、本発明による単層カーボンナノチューブフィルムは、吸着気体としてHまたはDを吹き付けて吸着させた後、昇温速度0.2K/sで昇温させて測定された昇温脱離スペクトルにおいて、温度19.0〜22.0Kに半値幅1.0K以下のピークを有する高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする。
さらに、本発明による単層カーボンナノチューブフィルムは、透過型電子顕微鏡(TEM)像において、100nm四方に1nm程度の欠陥が10個以下である高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする。
本発明によれば、P型半導体とn型半導体の両方に使用することができる単層カーボンナノチューブフィルムを製造することができ、この単層カーボンナノチューブフィルムを有機薄膜太陽電池の有機半導体薄膜として使用した場合に有機薄膜太陽電池の光電流値を向上させることができる。
実施例で得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブのSEM写真である。 実施例で得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブの可視近赤外光吸収スペクトルを示す図である。 実施例および比較例で使用した光電流測定装置の概略図である。 実施例および比較例1で得られた単層カーボンナノチューブフィルムの暗電流値と光電流値を示す図である。 比較例2のグラファイトシートの暗電流値と光電流値を示す図である。 実施例および比較例の暗電流値と光電流値の差(ΔI)を示す図である。 実施例で得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムと比較して、実施例で得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムを緻密化して得られた単層カーボンナノチューブフィルムの見掛け密度に対する暗電流値と光電流値の差(ΔI)を示す図である。
本発明による単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法の実施の形態は、アーク放電により単層カーボンナノチューブを含む煤を生成する工程と、生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を大気中において加熱して燃焼酸化した後に酸で処理することによって精製する工程と、精製した単層カーボンナノチューブを含む煤を真空中において1000℃以上で加熱して高結晶性の単層カーボンナノチューブを得る工程と、得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを含む単層カーボンナノチューブフィルムを形成する工程とを備えている。
アーク放電法により生成した単層カーボンナノチューブは、CVD法などの他の方法で合成する場合と比べて、構造欠陥が少なく結晶性が高い単層カーボンナノチューブである。また、アーク放電法により生成した単層カーボンナノチューブを含む煤は、アモルファスカーボンなどの不純物も多量に含んでいる。これらの不純物は、生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を大気中において加熱して燃焼酸化した後に酸で処理することによって除去することができる。また、精製した単層カーボンナノチューブを含む煤を真空中において1000℃以上で加熱することにより、さらに高い結晶性の単層カーボンナノチューブを得ることができる。このようにして得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むフィルムを有機薄膜太陽電池の有機半導体薄膜として使用することにより、有機薄膜太陽電池の光電流値を非常に高くすることができる。
以下、本発明による単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
(単層カーボンナノチューブの製造)
まず、Fe、Ni、CおよびS(質量比1:1:3:0.1)の混合粉末からなる金属触媒を調製し、直径6mmのグラファイト棒(純度99.9%、高純度化学(株))に形成された直径3.2mmの穴に充填して陽極棒とした。この陽極棒とグラファイト棒からなる陰極棒をアーク放電装置のチャンバ内の電極アダプタに取り付け、ロータリーポンプを用いてチャンバ内を10−2Torr以下の真空状態にした。その後、陰極棒と陽極棒を接触させた状態において80Aで7分間直流電流を流した。この抵抗加熱により金属触媒とグラファイト粉末が溶解して混合され、陽極の組成が均一になる。25分間待機してチャンバが十分冷えた後、Heガスを100Torrになるように満たし、陰極と陽極の間を2〜3mm程度に保持して、67Aでアーク放電を行った。放電終了後、20分間以上チャンバを冷却し、チャンバ内部の壁面および天板に堆積した煤を回収した。
このようにして合成した単層カーボンナノチューブから試料(約1g)を取り、大気中において723Kで30分間燃焼酸化した後、大気中において773Kで30分間燃焼酸化した。この燃焼酸化後の試料を6MのHCl水溶液100mlに浸して333Kのオーブン中で12時間以上静置した。その後、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)メンブランフィルタ(直径47mm、孔径0.1μm、ADVANTEC社製)を用いて、濾液が中性になるまで精製水で洗浄しながら吸引濾過を行った。この吸引濾過後の濾過物を333Kのオーブン中で12時間以上静置して乾燥した。さらに、大気中において773Kで30分間燃焼酸化し、6MのHCl水溶液100mlに浸して333Kのオーブン中で12時間以上静置した後、上記と同様の方法により、洗浄しながら吸引濾過を行った後に乾燥して、単層カーボンナノチューブの試料を回収した。
このようにして燃焼酸化および酸処理によって精製した単層カーボンナノチューブ(約150mg)をグラファイト製の坩堝へ投入した後、高真空炉のチャンバ内に設置し、ロータリーポンプとターボポンプを用いてチャンバ内の圧力が10−5Pa以下になるまで減圧した。その後、赤外線温度センサーを用いて坩堝の温度を測定しながら、坩堝の温度を室温から373Kずつ昇温させた。なお、この昇温は、保持温度において1時間以上経過するか、内部圧力が10−5Pa以下になったときに行った。坩堝の温度が1273Kになった後は50Kずつ昇温させ、1473Kに達した時点で3時間保持してアニール処理を施した。その後、室温まで十分に冷却し、アニール処理された単層カーボンナノチューブを回収した。このように高温且つ高真空雰囲気下でアニール処理することにより、精製処理後の単層カーボンナノチューブの壁面に存在する精製処理由来の欠陥構造が殆どなく、高結晶性の単層カーボンナノチューブを得ることができる。
このようにして得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブについて、走査型電子頭微鏡(SEM)により観察したところ、図1のSEM写真のように、バンドルを形成している単層カーボンナノチューブの層が鮮明に観測された。なお、SEM写真から直接測定した単層カーボンナノチューブの直径は約1.51nmであった。
また、得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブは、吸着気体としてHまたはDを吹き付けて吸着させた後、昇温速度0.2K/sで昇温させて測定された昇温脱離スペクトルにおいて、温度19.0〜22.0Kに半値幅1.0K以下のピークを有していた。
また、得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察したところ、格子像が鮮明に観察され、例えば、TEM像で100nm四方に1nm程度の欠陥が10個以下しか確認されなかったので、欠陥が存在しないか、あるいは欠陥が殆どない単層カーボンナノチューブであると評価することができる。
(単層カーボンナノチューブフィルムの製造)
得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブ10mgを瑪瑙乳鉢で微細化し、少量のエタノールを入れて馴染ませながら、磨り潰した。このように磨り潰した高結晶性の単層カーボンナノチューブをエタノール100mLとともに三角フラスコに投入し、単層カーボンナノチューブが分散するまで超音波照射を行った。この超音波照射を行った後、PTFEメンブランフィルタ(直径27mm、孔径0.1μm)で濾過し、フィルタ上の試料を取り外した。この濾過後の試料を1.6kPaの圧力で加圧し、大気中において333Kで24時間以上乾燥させた。次に、真空下において383Kで24時間熱処理して、水分と残存するエタノールを蒸発させて単層カーボンナノチューブフィルムを得た。
このようにして得られた直径約1.51nmの高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムの可視近赤外光吸収スペクトルを図2に示す。この図の横軸はフォトンエネルギーに変換している。図2に示すように、0.68eV(1823.5nm)、1.20eV(1033nm)、1.74eV(712nm)に3つの吸収ピークが検出されている。フォトンエネルギーが高くなるに従って緩やかに増大するバックグランドは、電子の集団励起(π電子プラズモン)による。単層カーボンナノチューブの電子状態密度は、1次元物質に見られる特有のヴァンホーブ特異点をもつスパイク状になる。例えば、1.3nmに近い直径のカイラリティー、(12、8)の半導体チューブと(10、10)の金属チューブを考えると、1800nmと1000nmの吸収ピークは、それぞれ(12、8)の半導体チューブの第一電子励起(S11)、第二電子励起(S22)、800nm付近の吸収ピークは、(10、10)の金属チューブの電子励起(M11)に帰属される。このような高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムは光吸収して電子励起を起こすので、有機薄膜太陽電池などの有機系太陽電池の有機半導体薄膜などに使用することができる。
また、比較例1として、高結晶性の単層カーボンナノチューブに欠陥を導入した単層カーボンナノチューブのフィルム(以下、「欠陥導入単層カーボンナノチューブフィルム」という)を用意した。この欠陥導入単層カーボンナノチューブフィルムは、高結晶性の単層カーボンナノチューブ100mgを6.8
mol/Lの硝酸100mLを入れ、超音波照射を30分間行った後、500mLの三角フラスコに入れ、373Kで16時間還流処理を行い、その後、PTFEメンブランフィルタ(孔径0.1μm)で濾過し、蒸留水で濾液が中性になるまで洗浄し、大気中において333Kで乾燥させて作製した。また、比較例2として、PGSグラファイトシート(パナソニック株式会社製)を用意した。
(光電流の測定)
得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムを10mm×10mmの大きさにカットし、銀ペースト(幅10mm)を塗布した電極上に貼り付けた後、電極フランジを真空チャンバに取り付け、真空チャンバ内を10−2Torrに真空引きして24時間乾燥させて、単層カーボンナノチューブフィルムの試料を電極に接着した。次に、このようにして電極に接着した単層カーボンナノチューブフィルムの試料10を、図3に示す光電流測定装置の真空チャンバ12内に入れ、真空チャンバ12内をロータリーポンプで10−2Torrの真空度に真空引きした。また、試料10からビューポート14を介して850mm離間した位置にキセノンランプ16を設置して、試料10に照射する光量が1.0W/cmになるようにした。試料10を接着した電極に直流電圧1.5Vを印加し、電流計18を直流に接続して、光を照射しない時の電流値(暗電流Id)と、光を照射したときに流れる電流値(光電流Ip)を測定した。
また、比較例1の欠陥導入単層カーボンナノチューブフィルムと、比較例2のグラファイトシートについても、実施例と同様の方法によって暗電流と光電流を測定した。
実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルム、比較例1の欠陥導入単層カーボンナノチューブフィルム、比較例2のグラファイトシートについて、暗電流および光電流の測定結果を図4Aおよび図4Bに示し、暗電流値と光電流値の差(ΔI)を図5に示す。
(量子効率の算出)
実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルム、比較例1の欠陥導入単層カーボンナノチューブフィルム、比較例2のグラファイトシートについて、量子効率(%)=(光電流値から計算した電子数)/(サンプルが吸収したフォトン数)×100と定義して、量子効率(%)を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2011057516
(見掛け密度および抵抗の測定)
実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルム、比較例1の欠陥導入単層カーボンナノチューブフィルム、比較例2のグラファイトシートについて、見掛け密度および抵抗を測定した。その結果を表2に示す。
Figure 2011057516
表2に示すように、実施例および比較例1の単層カーボンナノチューブの直径は約1.51nmであり、見掛け密度は、実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムより比較例1の欠陥単層カーボンナノチューブフィルムの方が大きくなっている。これは、欠陥単層カーボンナノチューブフィルムの単層カーボンナノチューブが、硝酸処理によって表面に欠陥と同時にカルボキシル基が導入されて、エタノール中に均一に分散し易くなっていることと、カルボキシル基同士による水素−酸素の水素結合が作用して、チューブ同士の密着性を高めていることによると考えられる。この単層カーボンナノチューブフィルムの見掛け密度は、抵抗値にも反映されている。1本の高結晶性の単層カーボンナノチューブと欠陥単層カーボンナノチューブを比較すれば、高結晶性の単層カーボンナノチューブの方が低抵抗になると推測される。しかし、単層カーボンナノチューブフィルムのようなバルク体になると、高結晶性の単層カーボンナノチューブでは、幾何学的な絡み編みもなく、また表面が滑らかであるため、単層カーボンナノチューブ同士の相互作用がなく、多孔質な膜質になる。これが各々の単層カーボンナノチューブを接触し難くして、IRドロップを形成してしまう原因となる。一方、欠陥単層カーボンナノチューブでは、欠陥がある部分に電子が流れ難くなったとしても、単層カーボンナノチューブが緻密化されている分だけ、結晶性がよい部分を通って電子が流れると推測される。その結果、欠陥単層カーボンナノチューブフィルムでは、チューブの欠陥の数にも依存するが、IRドロップが小さい膜になり、チューブの欠陥の影響が顕著になっていないと考えられる。
図4Aおよび図4Bに示すように、実施例の高結晶の単層カーボンナノチューブフィルム、比較例1の欠陥単層カーボンナノチューブフィルム、比較例2のグラファイトシートの暗電流値が異なっているのは、フィルムの抵抗値が異なるためである。図5に示すように、暗電流値と光電流値の差(ΔI)が最も大きいのは、実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムであり、比較例2のグラファイトシートでは殆ど差がなかった。また、表1に示すように、量子効率が最も高いのは、実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムであり、5.4%であった。これらの結果から、IRドロップの小さい比較例1の欠陥単層カーボンナノチューブフィルムで光電流が小さいということは、励起される電子数が少ないことを意味しており、欠陥構造によりチューブ構造が維持されていないことが原因であることが明らかである。一方、実施例の高結晶単層カーボンナノチューブフィルムでは、暗電流値と光電流値の差がΔI=8.7と最も高く、フィルムを緻密化してフィルム内のIRドロップを小さくすれば、光電流特性が向上すると考えられる。
このような光電流特性の向上を確認するために、実施例で得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルム(直径16mm)を14.9MPaの圧力(3kNの力)で30秒間加圧して、緻密化した高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムを作製し、実施例と同様の方法により光電流を測定した。緻密化した高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムの見掛け密度に対する暗電流値と光電流値の差(ΔI)を実施例の高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムと比較して図6に示す。図6に示すように、緻密化された高結晶性の単層カーボンナノチューブフィルムの見掛け密度は0.41g/cmであり、暗電流値と光電流値の差(ΔI)が32.1mAと非常に大きくなる。
これらの結果から、単層カーボンナノチューブの結晶性が低いと電子励起の数が減少し、単層カーボンナノチューブの接触が少なくなるとIRドロップが生じて光電流が低下することがわかる。
本発明による単層カーボンナノチューブフィルムは、pnヘテロ接合型またはバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池の有機半導体薄膜として利用することができる。
10 試料
12 真空チャンバ
14 ビューポート
16 キセノンランプ
18 電流計

Claims (7)

  1. アーク放電により単層カーボンナノチューブを含む煤を生成する工程と、生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を精製する工程と、精製した単層カーボンナノチューブを含む煤を真空中で加熱して高結晶性の単層カーボンナノチューブを得る工程と、得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを含む単層カーボンナノチューブフィルムを形成する工程とを備えたことを特徴とする、単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法。
  2. 前記単層カーボンナノチューブフィルムの形成が、前記高結晶性の単層カーボンナノチューブを微細化して溶媒に分散させた後に溶媒を蒸発させることによって行われることを特徴とする、請求項1に記載の単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法。
  3. 前記精製が、前記生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を大気中で加熱して燃焼酸化した後に酸で処理することを特徴とする、請求項1または2に記載の単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法。
  4. 前記真空中で加熱する温度が1000℃以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の単層カーボンナノチューブフィルムの製造方法。
  5. アーク放電により生成した単層カーボンナノチューブを含む煤を精製した後に真空中で加熱して得られた高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、単層カーボンナノチューブフィルム。
  6. 吸着気体としてHまたはDを吹き付けて吸着させた後、昇温速度0.2K/sで昇温させて測定された昇温脱離スペクトルにおいて、温度19.0〜22.0Kに半値幅1.0K以下のピークを有する高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、単層カーボンナノチューブフィルム。
  7. 透過型電子顕微鏡(TEM)像において、100nm四方に1nm程度の欠陥が10個以下である高結晶性の単層カーボンナノチューブを含むことを特徴とする、単層カーボンナノチューブフィルム。
JP2009210370A 2009-09-11 2009-09-11 単層カーボンナノチューブフィルムおよびその製造方法 Pending JP2011057516A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005505481A (ja) * 2001-04-12 2005-02-24 ザ ペン ステート リサーチ ファウンデーション カーボンフィラメントの精製及び水素貯蔵におけるその使用
WO2008136347A1 (ja) * 2007-04-27 2008-11-13 Kuraray Co., Ltd. 単層カーボンナノチューブ分散液、及び単層カーボンナノチューブ分散液の製造方法

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