JP2011056593A - ボルト磨き装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 傷を付けずにネジ部の奥まで十分に磨くことができるボルト磨き装置を提供する。
【解決手段】 ボルトBを保持してこのボルトBをボルト軸周りに回転させるボルト回転機構4と、ブラシ軸50、およびこのブラシ軸50の周囲に設けられたブラシ材51を有し、上記ブラシ軸の中心軸線R周りに回転させられる回転ブラシ5Aと、上記回転ブラシ5Aを保持して回転させるブラシ回転機構6Aと、を備え、上記ブラシ材51を上記ボルトBに接触させて上記ボルトBを磨くボルト磨き装置であって、上記ブラシ回転機構6Aは、上記ボルト軸と上記ブラシ軸50とが重なる方向からみた場合、上記ボルト軸に対して上記ブラシ軸50の中心軸Rが所定の傾き角+αをなすように上記回転ブラシ5Aを傾けることができる。
【選択図】 図5
【解決手段】 ボルトBを保持してこのボルトBをボルト軸周りに回転させるボルト回転機構4と、ブラシ軸50、およびこのブラシ軸50の周囲に設けられたブラシ材51を有し、上記ブラシ軸の中心軸線R周りに回転させられる回転ブラシ5Aと、上記回転ブラシ5Aを保持して回転させるブラシ回転機構6Aと、を備え、上記ブラシ材51を上記ボルトBに接触させて上記ボルトBを磨くボルト磨き装置であって、上記ブラシ回転機構6Aは、上記ボルト軸と上記ブラシ軸50とが重なる方向からみた場合、上記ボルト軸に対して上記ブラシ軸50の中心軸Rが所定の傾き角+αをなすように上記回転ブラシ5Aを傾けることができる。
【選択図】 図5
Description
本発明は、ボルトのネジ部を回転ブラシで磨くボルト磨き装置に関する。
従来のボルト磨き装置としては、たとえば特許文献1に開示されたものがある。同文献に開示されたボルト磨き装置は、ボルトを鉛直方向に直立させた状態でボルト軸周りに回転させるとともに、そのボルトのネジ部に回転ブラシを接触させるように構成されている。回転ブラシは、外周全体に放射状に延びる多数のワイヤを有するものであり、この回転ブラシも、回転軸を鉛直方向に直立させた状態で回転させられる。
このようなボルト磨き装置は、たとえば発電用タービンに用いられる特殊ボルトを磨くことができる。この種の特殊ボルトは、ネジ部に付着した焼き付き防止剤などの付着物やゴミが超音波洗浄によっても十分に除去しにくい。ボルト磨き装置によれば、超音波洗浄でも除去が困難なネジ部の付着物やゴミを回転ブラシで除去するとともにネジ部を磨くことができ、こうして再生された特殊ボルトを再利用することができる。
しかしながら、上記従来のボルト磨き装置では、ボルトの軸と回転ブラシの回転軸が互いに平行であるため、ボルトのネジ部に磨き残しが生じることがある。ボルトのねじ部のネジ山とネジ溝は一定のリード角をもって螺旋状に延びるように形成されていることから、回転中の回転ブラシのワイヤの移動方向が、上記リード角に相当する角度分、ネジ山とネジ溝の延びる方向に対して傾斜する。そのため、回転ブラシのワイヤの先端がネジ山に阻まれてネジ溝の奥まで達しにくくなるのである。
このような問題を解消するには、ボルトに対して回転ブラシをより近づければよいものの、そうするとネジ山にワイヤが強く押し当たって傷が付くおそれがあり、また、ワイヤが早期に磨耗してしまうという問題を生じる。
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、ネジ部に傷をつけたり、ワイヤを早期に磨耗させたりすることなく、ボルトのネジ部をネジ溝の奥まで磨き残しを生じることなく磨くことができるボルト磨き装置を提供することをその課題としている。
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明により提供されるボルト磨き装置は、ボルトを保持してこのボルトをボルト軸周りに回転させるボルト回転機構と、ブラシ軸、およびこのブラシ軸の周囲に設けられたブラシ材を有し、上記ブラシ軸周りに回転させられる回転ブラシと、上記回転ブラシを保持して回転させるブラシ回転機構と、を備え、上記ブラシ材を上記ボルトに接触させて上記ボルトを磨くボルト磨き装置であって、上記ブラシ回転機構は、上記ボルト軸と上記ブラシ軸とが重なる方向からみた場合、上記ボルト軸に対して上記ブラシ軸が所定の傾き角をなすように上記回転ブラシを傾けることを特徴としている。
好ましい実施の形態においては、上記ブラシ回転機構は、上記ボルト軸に対する上記ブラシ軸の傾き角が上記ボルトのネジ部のリード角と同等となるように上記回転ブラシを傾ける。
好ましい実施の形態においては、上記ブラシ回転機構は、上記ボルト軸に対する上記ブラシ軸の傾き角を変化させ得るように構成されている。
好ましい実施の形態においては、上記ブラシ回転機構には、ブラシ回転用モータと、このブラシ回転用モータによって回転させられる駆動軸と、この駆動軸と上記ブラシ軸の一端部とを連結するユニバーサルジョイントと、上記ブラシ軸の他端部を回転可能に支持する回転軸受と、この回転軸受に一端が連結された伸縮機構と、この伸縮機構の他端を揺動可能に支持する移動部材と、この移動部材を直線移動させるリニアガイドとが含まれる。
好ましい実施の形態においては、上記ブラシ回転機構は、上記ボルトに対して上記回転ブラシを離接し得るように構成されている。
好ましい実施の形態においては、上記回転ブラシおよび上記ブラシ回転機構は、第1および第2の回転ブラシをそれぞれ保持する第1および第2のブラシ回転機構を有しており、上記第1および第2のブラシ回転機構は、上記ボルトに対してその両側から上記第1および第2の回転ブラシの各ブラシ材を接触させるように配置されている。
好ましい実施の形態においては、上記第1および第2のブラシ回転機構は、上記第1および第2の回転ブラシの各ブラシ軸が上記ボルトと重なる方向からみた場合、これら第1および第2の回転ブラシを互いに逆方向に傾ける。
好ましい実施の形態においては、上記ボルト回転機構ならびに上記第1および第2のブラシ回転機構は、上記ボルトならびに上記第1および第2の回転ブラシを同一方向に回転させる。
好ましい実施の形態においては、上記ボルト回転機構は、上記ボルトを回転させながらその軸方向に移動させ得るように構成されている。
本発明の構成では、ボルトに対して回転ブラシを傾けた状態とし、たとえばネジ部のネジ山(ネジ溝)が延びる方向に、回転中の回転ブラシのブラシ材の周回方向が沿うように、回転ブラシのブラシ軸の傾き角をネジ部のリード角と同等にすることができる。これにより、回転ブラシのブラシ材は、ネジ部のネジ山(ネジ溝)に沿って擦れる状態となり、そのネジ部のネジ溝の奥までブラシ材が入り込みやすくなる。したがって、本発明によれば、回転ブラシをそのブラシ材がボルトのネジ部に接触する程度に近づけた状態とするだけで、回転ブラシをボルトのネジ部に強く押し付けなくとも、ネジ部のネジ溝の奥まで十分に磨くことができる。また、ワイヤなどのブラシ材が早期に磨耗するということもない。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1〜6は、本発明に係るボルト磨き装置の一実施形態を示している。本実施形態のボルト磨き装置Aは、たとえば発電用タービンに用いられる比較的大きい特殊なボルトBのネジ部nを磨くためのものである。
図1に示すように、ボルト磨き装置Aは、フレーム構造体1、ボルト搬入部2、ボルト搬出部3、ボルト回転機構4、第1および第2の回転ブラシ5A,5B、第1および第2のブラシ回転機構6A,6B、制御ユニット7、およびボルト搬送機構(図示略)を備えている。
フレーム構造体1は、前台部10と後方空間部11を有する。前台部10の上面100上には、ボルト搬入部2、ボルト搬出部3、制御ユニット7、およびボルト搬送機構が設置され、後方空間部11には、ボルト回転機構4および第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bが設置される。ボルト回転機構4は、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bの間に設置される。ボルト回転機構4、第1および第2のブラシ回転機構6A,6B、およびボルト搬送機構は、制御ユニット7と電気的に接続される。なお、ボルト搬送機構としては、たとえばロボットハンドを用いたハンドリング動作によってボルトBを受け渡しする既知のものであるため、その図示説明については省略する。
ボルト搬入部2は、磨き処理される前の複数のボルトBを貯留しておく箇所である。このボルト搬入部2には、複数のボルトBをその頭部を引っ掛けるようにしてぶら下げた状態で水平移動可能に保持する水平ガイド20が設けられる。水平ガイド20の一端側からは、ボルト搬送機構のロボットハンドによって一つずつボルトBが掴み取られる。ロボットハンドは、そのボルトBをボルト回転機構4へと引き渡す。
ボルト搬出部3は、磨き処理されたボルトBを貯留しておく箇所である。このボルト搬出部3には、前台部10の手前側へとボルトBをその頭部を引っ掛けるようにしてぶら下げた状態で滑り移動可能に保持する傾斜ガイド30が設けられる。傾斜ガイド30の一端側には、磨き処理されたボルトBがロボットハンドによって引き渡される。傾斜ガイド30に載せられたボルトBは、その傾斜ガイド30にぶら下げられた状態で手前側へと滑りながら移動する。これにより、磨き処理されたボルトBは、傾斜ガイド30の手前側から装置外へと容易に取り出される。
ボルト回転機構4は、ボルトBを直立姿勢としてボルト軸周りに回転可能に保持した状態で回転させるためのものである。図4に示すように、ボルト回転機構4は、ボルトBの軸端部b1を回転可能に支持した状態で鉛直方向に昇降動作する下部昇降ユニット40と、ボルトBの頭部b2に接した状態でこのボルトBを回転させながら鉛直方向に昇降動作する上部回転ユニット41とを有する。
下部昇降ユニット40は、昇降用のアクチュエータ400、アクチュエータロッド401、キャリッジ402、ガイドレール403、旋回部材404、旋回用のアクチュエータ405、旋回用の軸受406、2つの回転ロッド407、ロッド回転用の軸受407a、および旋回時などの位置ずれを検出するセンサ408を有する。昇降用のアクチュエータ400は、その鉛直方向下方に突き出たアクチュエータロッド401を鉛直方向に沿って伸縮動作させる。アクチュエータロッド401の下端には、キャリッジ402が設けられる。キャリッジ402は、後方空間部11の後側のフレーム110に固定されたガイドレール403に沿って鉛直方向にスライド可能である。キャリッジ402の先端上部には、旋回用の軸受406を介して旋回部材404が支持されている。キャリッジ402の先端下部には、旋回用のアクチュエータ405が設けられている。旋回部材404の上面には、鉛直軸周りに回転自在の軸受407aを介して回転ロッド407が支持されている。旋回用のアクチュエータ405は、旋回部材404に連結されており、この旋回部材404を鉛直軸周りに旋回させる。キャリッジ402の適部には、旋回部材404の一部を検出可能にセンサ408が配置されている。一例として図4に示すように、比較的小さいボルトBの場合、細い方の回転ロッド407が所定位置に配置され、この回転ロッド407の上端にボルトBの軸端部b1が当接させられる。一方、より大きいボルトを対象とする場合には、図4に示す状態から旋回部材404が180°反転させられ、太い回転ロッド407が所定位置に配置される。その際、センサ408によって旋回部材404の位置ずれが検出される。センサ408は、旋回部材404の位置ずれを機械的、電気的、あるいは光学的に検出可能なものであり、その位置ずれを検出した際にはその旨を示す検出信号を制御ユニット7に送る。その場合、旋回用のアクチュエータ405が位置ずれを修正するように動作させられる。これにより、2つの回転ロッド407は、所定位置に対して正確に位置決めされ、ボルトBの大きさに応じて適宜切り替えられる。
上部回転ユニット41は、固定部材410、複数の固定ロッド411、スライドテーブル412、送りネジ機構413、ボルト回転用モータ414、ベルトプーリ機構415、回転駆動軸416、および回転部材417を有する。固定部材410は、後方空間部11の上側のフレーム110に固定ロッド411を介して固定される。固定部材410には、回転駆動軸416および回転部材417とともにボルトBを鉛直方向に通り抜け可能とするように開口410aが設けられる。この開口410aは、下部昇降ユニット40の所定位置に配置された一方の回転ロッド407(図4では細い回転ロッド407)の真上に位置する。固定ロッド411には、鉛直方向に沿って移動可能にスライドテーブル412が支持される。スライドテーブル412は、上側のフレーム110に固定された送りネジ機構413によって鉛直方向に移動させられる。このスライドテーブル412には、ボルト回転用モータ414、ベルトプーリ機構415、回転駆動軸416、および回転部材417が搭載される。ボルト回転用モータ414は、ベルトプーリ機構415を介して回転駆動軸416を鉛直軸周りに回転させる。回転駆動軸416の下端には、回転部材417が設けられる。回転駆動軸416および回転部材417は、固定部材410の開口410aを通り抜けて固定部材410の下方まで下げられ、スライドテーブル412と一体になってボルトBとともに鉛直方向に移動させられる。この回転部材417は、所定位置にある一方の回転ロッド407上に配置されたボルトBの頭部b2に当接した状態で鉛直軸周りに回転する。その回転速度は、後述する第1および第2の回転ブラシ5A,5Bの回転速度に比べて比較的低速とされる。
このような下部昇降ユニット40および上部回転ユニット41により、ボルトBは、鉛直方向上下側から回転ロッド407と回転部材417とで挟み込まれた状態で直立姿勢をとりつつ保持されるとともに、保持された状態で回転部材417との間に生じる回転摩擦力によって鉛直軸(ボルト軸)周りに回転させられる。このとき、回転ロッド407および回転部材417が互いに一定の間隔を保ちながら鉛直方向に移動すると、ボルトBが回転しながら直立姿勢のまま鉛直方向に沿って昇降させられる。
第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ボルトBのネジ部nを磨くためのものであり、図2および図3に示すように、ブラシ軸50の外周にブラシ材としての金属製のワイヤブラシ51を放射状に設けたものである。これら第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ボルト回転機構4に保持されたボルトBの両側方からそのネジ部nに対してワイヤブラシ51を接触させるように対向配置される。このような第1および第2の回転ブラシ5A,5Bの外側には、ボルトBの磨き処理に伴う粉塵の飛散を防ぐために防塵カバー(図示略)が設けられる。
第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bは、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bを回転可能に保持して回転させるものである。図2に示すように、第1のブラシ回転機構6Aは、ボルトBに対して回転ブラシ5Aを離接させるように開閉動作する開閉ユニット60、ボルトBに対して回転ブラシ5Aを傾けた状態で回転させるための回転ユニット61、および回転ブラシ5Aを傾けた状態で支持するためのスライドユニット62を有する。なお、第2のブラシ回転機構6Bも、第1のブラシ回転機構6Aと同一の部品によって構成される。
開閉ユニット60は、支柱600、回転ジョイント601、ベース部材602、上部支持部材603、下部支持部材604、連結部材605、開閉用エアシリンダ606、およびシリンダロッド連結具607を有する。支柱600は、鉛直方向に沿う姿勢で後方空間部11の後側のフレーム110に支持される。ベース部材602は、回転ジョイント601を介して支柱600に支持され、この支柱600を支軸として回動可能に設けられる。上部支持部材603および下部支持部材604は、手前側へと延びる姿勢でベース部材602に固定される。上部支持部材603には、回転ユニット61が設けられるとともに、下部支持部材604には、スライドユニット62が設けられる。連結部材605は、鉛直方向に沿って上部支持部材603および下部支持部材604を連結している。開閉用エアシリンダ606は、水平方向にシリンダロッド606aが伸縮可能となるようにフレーム110に支持される。シリンダロッド606aの先端は、シリンダロッド連結具607を介して連結部材605に連結される。
このような開閉ユニット60を備えた第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bによれば、図3に実線で示すように開閉用エアシリンダ606がシリンダロッド606aを押し出すと、上部支持部材603および下部支持部材604(同図において図示略)がボルトBに対して接近し、回転ユニット61およびスライドユニット62(同図において図示略)もボルトBに近づく。すなわち、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bが閉状態となり、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ワイヤブラシ51がボルトBのネジ部nに接触するまでボルトBに接近した状態となる。一方、同図に仮想線で示すように開閉用エアシリンダ606がシリンダロッド606aを引き入れると、上部支持部材603および下部支持部材604がボルトBから離れるように動き、回転ユニット61およびスライドユニット62もボルトBから離れる。すなわち、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bが開状態となり、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ボルトBから十分離れた状態となる。
回転ユニット61は、ブラシ回転用モータ610、駆動プーリ611、駆動ベルト612、従動プーリ613、駆動軸614、軸受615、およびユニバーサルジョイント616を有する。ブラシ回転用モータ610は、開閉ユニット60のベース部材602に固定される。ブラシ回転用モータ610の駆動力は、駆動プーリ611、駆動ベルト612、および従動プーリ613を介して駆動軸614に伝えられる。駆動軸614は、鉛直方向に沿う姿勢で開閉ユニット60の上部支持部材603の先端に軸受615を介して支持される。この駆動軸614は、ブラシ回転用モータ610の駆動力によって鉛直軸周りに回転させられる。ユニバーサルジョイント616は、駆動軸614の下端部とブラシ軸50の上端部とを連結するように設けられる。このようなユニバーサルジョイント616によれば、たとえば鉛直方向に沿う駆動軸614に対して第1の回転ブラシ5Aが傾いた状態で回転可能となる。第1の回転ブラシ5Aの回転軸(中心軸)Rは、ボルト回転機構4に保持された状態のボルトBに対してこの回転ブラシ5Aが重なる方向(図2に示す側面視の方向)からみた場合、たとえば鉛直軸Vに対して±5°程度の可変範囲内で傾き角±αをなすように設定される。傾き角が+αの場合は、第1の回転ブラシ5Aを、その下部が後方空間部11の奥側に寄るように傾いた状態とし、傾き角が−αの場合は、第1の回転ブラシ5Aを、その下部が後方空間部11の手前側に寄るように傾いた状態とする。第2の回転ブラシ5Bも同様に傾き角が可変調整可能である。
スライドユニット62は、回転軸受620、エアダンパ621、移動部材622、ガイドレール623、および傾き角調整用モータ624を有する。回転軸受620は、ブラシ軸50の下端部に設けられ、この下端部を回転軸R周りに回転可能に支持する。エアダンパ621は、回転軸受620を回転軸R方向に沿って弾性的に変位可能に支持する。移動部材622は、クレビス622aを介してエアダンパ621を揺動可能に支持しつつ、ガイドレール623に沿って直線的に移動可能である。このように回転軸受620とクレビス622aとの間にエアダンパ621が介在することにより、回転軸受け620とクレビス622aとの間の距離が弾性的に変位可能となる。ガイドレール623は、開閉ユニット60の下部支持部材604に一体化されており、この下部支持部材604の長手方向に水平に移動可能となるように移動部材622を案内する。スライド調整用モータ624は、下部支持部材604に取り付けられており、図示しない駆動機構を介して移動部材622を移動させることにより第1の回転ブラシ5Aの傾き角±αを調整する。このようなスライドユニット62によれば、ボルト回転機構4に保持された状態のボルトBに対して第1の回転ブラシ5Aが重なる方向(図2に示す側面視の方向)からみた場合、移動部材622を後方空間部11の奥側に移動させると、第1の回転ブラシ5Aの傾き角が+αとなるように調整され、移動部材622を後方空間部11の手前側に移動させると、第1の回転ブラシ5Aの傾き角が−αとなるように調整される。第2の回転ブラシ5Bも同様に傾き角が調整される。
上記回転ユニット61およびスライドユニット62を備えた第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bによれば、ボルトBに対して両側方から第1および第2の回転ブラシ5A,5Bを傾けた状態で接触させることができる。このとき、図5および図6に示すように、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bの回転軸Rの傾き角±αについては、ボルトBのネジ部nにおけるリード角βと同等程度とするのが望ましい。また、回転軸Rに対して垂直な方向、すなわちワイヤブラシ51の先端の回転移動方向Fは、ネジ部nのネジ山(ネジ溝)が延びる方向Tに沿うように設定される。そのため、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、それぞれ傾き角が+αと−αをなし、互いに逆方向に傾いた状態で回転させられる。
制御ユニット7は、表示器や操作ボタンを備え、マイクロコンピュータの制御によってボルト磨き装置Aの全体動作を制御するものである。このような制御ユニット7によれば、ボルト回転機構4によるボルトBの保持動作や回転動作、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bによる開閉動作およびブラシ回転動作、ならびに傾き調整動作、さらにはボルト搬送機構の動作といった全ての動作が自動制御される。たとえば、作業者は、制御ユニット7に対してネジ部nのリード角βを設定入力すると、それに応じた傾き角±αをなすように第1および第2の回転ブラシ5A,5Bの傾き調整動作が自動的に行われる。
次に、ボルト磨き装置Aの動作について説明する。
まず、ボルト搬入部2に貯留されたボルトBは、図示しないボルト搬送機構のロボットハンドによって直立姿勢のままボルト回転機構4の所定位置へと搬送される。これに先立ち、ボルト回転機構4においては、作業者の操作によって2つの回転ロッド407のうち所望とするものが所定位置に配置されるように切り替えられる。これにより、ボルト回転機構4の所定位置には、ボルトBの大きさに応じた適切な回転ロッド407が位置する。このとき、その所定位置にある回転ロッド407と上方の回転部材417との間隔は、ボルトBの長手方向寸法よりも大きく拡張されるため、これらの間にボルトBが支障なく配置される。また、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bは開状態とされるため、ロボットハンドは、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bなどに触れることなくボルトBをスムーズに搬送する。
ボルトBが所定位置の回転ロッド407上に配置されると、下部昇降ユニット40および上部回転ユニット41は、回転ロッド407と回転部材417を互いに近づく方向に移動させる。これにより、ボルトBは、回転ロッド407と回転部材417との間に挟み込まれた状態で直立姿勢のまま保持される。そうした後、回転部材417が回転し、それに伴いボルトBが回転する。
次に、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bは、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bを回転させつつ閉状態となる。これにより、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ボルトBの両側方からネジ部nに接触する。図3に示すように、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ボルトBの回転方向と同一の回転方向とされ、ボルトBの回転速度に比べて比較的速い回転速度で回転させられる。
このとき、図5および図6に示すように、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bは、ボルトBに対して傾いた状態で回転させられ、これらの回転軸Rの傾き角±αがボルトBのネジ部nにおけるリード角βと同等で、しかもワイヤブラシ51の先端の回転移動方向Fがネジ部nのネジ山(ネジ溝)が延びる方向Tに概ね一致している。そのため、回転ブラシ5A,5Bのワイヤブラシ51は、ネジ部nに対してネジ部nにおけるネジ山やネジ溝に概ね沿って擦れるように接触する。これにより、回転ブラシ5A,5Bをネジ部nに対して強く押し付けなくとも、ワイヤブラシ51の先端がネジ溝の奥まで入り込んで無理なく擦り付けられ、ネジ部nにおける焼き付き防止剤などの付着物やゴミが余すことなく磨き取られる。したがって、ボルトBのネジ部nは、ネジ山を傷付けない程度にワイヤブラシ51を接触させた状態できれいに磨かれる。
一方、たとえばボルトBのネジ部nがワイヤブラシ51の鉛直方向に沿う縦幅よりも長い場合、下部昇降ユニット40および上部回転ユニット41は、回転ロッド407と回転部材417との間にボルトBを挟んだ状態のままこれらを鉛直方向に変位させる。これにより、ボルトBを回転させながらネジ部nの全体にわたってワイヤブラシ51を接触させることができ、比較的長いネジ部nであっても磨き残しがないように完全に磨くことができる。
以上のようにしてボルトBの磨き処理が終わると、ボルトBの回転が停止させられ、第1および第2のブラシ回転機構6A,6Bが開状態となり、第1および第2の回転ブラシ5A,5BがボルトBから離される。
次に、ボルト搬送機構のロボットハンドは、回転ロッド407と回転部材417との間に保持された状態のボルトBを直立姿勢のまま左右両側から掴む。その後、下部昇降ユニット40および上部回転ユニット41は、回転ロッド407と回転部材417を互いに離れる方向に移動させる。これにより、ボルトBは、ロボットハンドに保持された状態となり、そのロボットハンドの動作によってボルト搬出部3へと搬送される。このとき同時に、ボルト搬送機構は、別のロボットハンドによってボルト搬入部2のボルトBを所定位置の回転ロッド407上へと搬送する。このような一連の動作を繰り返し行うことにより、ボルト搬入部2における複数のボルトBは、第1および第2の回転ブラシ5A,5Bによって1本ずつネジ部nがきれいに磨かれた後、効率よくボルト搬出部3へと自動的に搬送される。
したがって、本実施形態のボルト磨き装置Aでは、ボルトBのネジ部nにおけるリード角±αやネジ山(ネジ溝)が延びる方向Tに合わせて第1および第2の回転ブラシ5A,5Bを傾けた状態としてネジ部nに接触させることができる。これにより、回転ブラシ5A,5Bのワイヤブラシ51がネジ部nのネジ溝の奥まで入り込んで付着物やゴミなどを容易に磨き取りやすくなり、ワイヤブラシ51をネジ部nに強く押し当てる必要がない。そのため、ボルト磨き装置Aによれば、ネジ山などに傷を付けずに十分に磨くことができ、そうして磨いたボルトBを効率よく再利用することができる。また、ワイヤブラシ51が早期に磨耗するということもない。
図7は、本発明に係るボルト磨き装置Aの他の実施形態を示す。図7に示す構成では、先述した傾き角調整用モータ624に代え、手動操作ハンドル630を設けている。この手動操作ハンドル630は、図示しない例えば送りネジなどを用いた駆動機構を介して移動部材622をガイドレール623に沿って直線的に移動させるものである。このような構成によれば、手動で回転ブラシ5A(5B)の傾き角±αを可変調整することができる。
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態で示した構成は、あくまでも一例にすぎず、各請求項に記載した事項の範囲内での各部の変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
A ボルト磨き装置
B ボルト
n ネジ部
4 ボルト回転機構
5A 第1の回転ブラシ
5B 第2の回転ブラシ
50 ブラシ軸
51 ワイヤブラシ(ブラシ材)
R 回転軸
6A 第1のブラシ回転機構
6B 第2のブラシ回転機構
610 ブラシ回転用モータ
614 駆動軸
616 ユニバーサルジョイント
620 回転軸受
621 エアダンパ(伸縮機構)
622 移動部材
B ボルト
n ネジ部
4 ボルト回転機構
5A 第1の回転ブラシ
5B 第2の回転ブラシ
50 ブラシ軸
51 ワイヤブラシ(ブラシ材)
R 回転軸
6A 第1のブラシ回転機構
6B 第2のブラシ回転機構
610 ブラシ回転用モータ
614 駆動軸
616 ユニバーサルジョイント
620 回転軸受
621 エアダンパ(伸縮機構)
622 移動部材
Claims (9)
- ボルトを保持してこのボルトをボルト軸周りに回転させるボルト回転機構と、
ブラシ軸、およびこのブラシ軸の周囲に設けられたブラシ材を有し、上記ブラシ軸周りに回転させられる回転ブラシと、
上記回転ブラシを保持して回転させるブラシ回転機構と、
を備え、上記ブラシ材を上記ボルトに接触させて上記ボルトを磨くボルト磨き装置であって、
上記ブラシ回転機構は、上記ボルト軸と上記ブラシ軸とが重なる方向からみた場合、上記ボルト軸に対して上記ブラシ軸が所定の傾き角をなすように上記回転ブラシを傾けることを特徴とする、ボルト磨き装置。 - 上記ブラシ回転機構は、上記ボルト軸に対する上記ブラシ軸の傾き角が上記ボルトのネジ部のリード角と同等となるように上記回転ブラシを傾ける、請求項1に記載のボルト磨き装置。
- 上記ブラシ回転機構は、上記ボルト軸に対する上記ブラシ軸の傾き角を変化させ得るように構成されている、請求項1または2に記載のボルト磨き装置。
- 上記ブラシ回転機構には、ブラシ回転用モータと、このブラシ回転用モータによって回転させられる駆動軸と、この駆動軸と上記ブラシ軸の一端部とを連結するユニバーサルジョイントと、上記ブラシ軸の他端部を回転可能に支持する回転軸受と、この回転軸受に一端が連結された伸縮機構と、この伸縮機構の他端を揺動可能に支持する移動部材と、この移動部材を直線移動させるリニアガイドとが含まれる、請求項3に記載のボルト磨き装置。
- 上記ブラシ回転機構は、上記ボルトに対して上記回転ブラシを離接し得るように構成されている、請求項1ないし4のいずれかに記載のボルト磨き装置。
- 上記回転ブラシおよび上記ブラシ回転機構は、第1および第2の回転ブラシをそれぞれ保持する第1および第2のブラシ回転機構を有しており、上記第1および第2のブラシ回転機構は、上記ボルトに対してその両側から上記第1および第2の回転ブラシの各ブラシ材を接触させるように配置されている、請求項1ないし5のいずれかに記載のボルト磨き装置。
- 上記第1および第2のブラシ回転機構は、上記第1および第2の回転ブラシの各ブラシ軸が上記ボルトと重なる方向からみた場合、これら第1および第2の回転ブラシを互いに逆方向に傾ける、請求項6に記載のボルト磨き装置。
- 上記ボルト回転機構ならびに上記第1および第2のブラシ回転機構は、上記ボルトならびに上記第1および第2の回転ブラシを同一方向に回転させる、請求項7に記載のボルト磨き装置。
- 上記ボルト回転機構は、上記ボルトを回転させながらその軸方向に移動させ得るように構成されている、請求項1ないし8のいずれかに記載のボルト磨き装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2009205707A JP2011056593A (ja) | 2009-09-07 | 2009-09-07 | ボルト磨き装置 |
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JP (1) | JP2011056593A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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KR101509882B1 (ko) | 2013-03-21 | 2015-04-07 | 한국남부발전 주식회사 | 증기 터빈의 케이싱 볼트 클리닝 시스템 |
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KR102618338B1 (ko) * | 2022-11-08 | 2023-12-27 | 대영코어텍(주) | 피절삭물 리드각 자동맞춤장치 |
-
2009
- 2009-09-07 JP JP2009205707A patent/JP2011056593A/ja active Pending
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