JP2011056339A - 脱臭装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】畜舎等から発生する臭気ガス中に含まれる有機酸を効率的に、かつ低コストで除去できる脱臭装置を提供する。
【解決手段】臭気ガス中に含まれる有機酸を分解するための脱臭槽3を有する脱臭装置1であって、脱臭槽内部の下方域にはガス供給口5および貯水部11が設けられ、中間域には脱臭材4が充填され、上方域に散水装置10およびガス排出口6が設けられ、貯水部および散水装置は、循環手段12を介して連通し、脱臭材は、粒径が10〜30mmの粒状体からなる多孔質体であり、有機酸を分解する微生物を保持するとともに、散水装置からの散水によって湿潤状態が維持され、ガス供給口から供給された有機酸は、湿潤状態の脱臭材と接触して水に溶解すると同時に、少なくとも一部の有機酸は、微生物によって分解されて、ガス排出口から排出され、脱臭材から貯水部に落下した水は、循環手段によって貯水部から散水装置へ循環し、再び脱臭材へ散水される。
【選択図】図1

Description

本発明は、畜舎等の有機酸が臭気問題となる環境に設けられる脱臭装置に関するものである。
畜舎は、有機酸が発生する代表的な環境である。以下、畜舎について説明する。
一般に、家畜が生産する食品の量と排泄する糞の量は、乳牛では1日に食べるえさの量30kgに対し、1日に排泄する糞の量が40kgであり、その結果得られる食品の量は牛乳30kgである。豚では1日に食べるえさの量3kgに対し、1日に排泄する糞の量が2kgであり、その結果得られる食品の量は肉1kgである。鶏では1日に食べるえさの量100gに対し、1日に排泄する糞の量が100gであり、その結果得られる食品の量は卵1個(60g)である。
このように、畜舎では、毎日大量の糞尿が発生し、これを原因とする臭気が、換気装置を介して大風量で屋外へ排出されるのが一般的である。
そして、昨今、郊外への住宅地の進出によって、畜産現場と民家との距離が接近する傾向にあり、家禽、豚、牛そのほかの家畜の糞尿から発生する悪臭は、近隣住民とのトラブルの原因ともなり、近隣住民の生活に影響を及ぼす大きな問題となっている。
通常、掃除をこまめに行うことにより畜舎環境を正常に保つことは出来るが、畜舎の掃除には多くの人員を確保する必要があり、人件費がかかる。畜産場においては、少ない人員で多くの生産物を得ることが求められ、多くの人員を確保して掃除を徹底することは非現実的である。
また、畜舎の臭気を抑制するためには、例えば特許文献1のように、薬液の散布による脱臭方法も考えられる。しかしながら、畜舎のように、容積の大きい環境では効果が弱いばかりか、使用する薬液も大量に必要であることからコストアップが避けられない。
したがって、畜舎の臭気への対応としては、畜舎に脱臭装置を設けることが考慮される。
従来、脱臭装置としては、家畜の糞尿の堆肥化施設に設けられる脱臭装置として、特許文献2の装置が知られている。
この装置は、臭気ガスが脱臭槽内に充填されている脱臭材を通過する際、臭気ガスに含まれる臭気成分が上記脱臭材により除去される脱臭装置であって、上記脱臭材は、多孔性の軽量気泡コンクリートまたは軽石の粒状体からなり、臭気成分を溶解させる水分を保持し、上記溶解した臭気成分を少なくとも部分的に酸化する好気性菌を上記粒状体に付着固定化した微生物固定化用担体として機能するものであり、上記脱臭材に散水して、臭気成分を水に溶解させると共に、上記酸化によって生じた反応生成物を水と一緒に脱臭材の外部へ流し出す散水装置が設けられているものである。
しかしながら、畜舎から発生する臭気は、主に有機酸で、具体的には、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸などから構成され、アンモニア臭は弱い。実際、アンモニアは、5〜20ppm程度であるのに対し、有機酸は、ニオイセンサで測定し200〜400(レベル値)程度である。
さらに、上記のとおり、畜舎から排出される臭気ガスは大風量であるの対し、堆肥化施設では、嫌気状態とならない程度の低風量の送風で十分である。
すなわち、特許文献2では、実施例に記載されているように、脱臭材としての粒状体の粒径は、3〜10mmで構成されており、このような脱臭材の構成は、低風量かつ高濃度で発生するアンモニアを対象とした脱臭装置に特化した構成となっていることから、畜舎から発生する大風量の有機酸を分解・脱臭するための脱臭装置として利用することはできなかった。
さらに、非特許文献1には、特許文献2の脱臭装置の設計手法が記載してあるが、それにより計算すると軽石1mあたり毎分40mの臭気が処理できる。しかし有機酸を除去するためには処理風量を落とさなければならず、特許文献2の手法をそのまま用いることは出来ない。
特開平11−104222号公報 特開2006−81953号公報
群馬県畜産試験場 資源循環係ホームページ(http://www.pref.gunma.jp/cts/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=81094)
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、畜舎等から発生する臭気ガス中に含まれる有機酸を効率的に、かつ低コストで除去することができる脱臭装置を提供することを課題としている。
本発明は、上記の課題を解決するため、以下の特徴を有する脱臭装置および脱臭方法を提供する。
<1>臭気ガス中に含まれる有機酸を分解するための脱臭槽を有する脱臭装置であって、1)脱臭槽内部の下方域にはガス供給口および貯水部が設けられ、中間域には脱臭材が充填され、上方域に散水装置およびガス排出口が設けられ、2)貯水部および散水装置は、循環手段を介して連通し、3)脱臭材は、粒径が10〜30mmの粒状体からなる多孔質体であり、有機酸を分解する微生物を保持するとともに、散水装置からの散水によって湿潤状態が維持され、4)ガス供給口から供給された有機酸は、湿潤状態の脱臭材と接触して水に溶解すると同時に、少なくとも一部の有機酸は、微生物によって分解されて、ガス排出口から排出され、5)脱臭材から貯水部に落下した水は、循環手段によって貯水部から散水装置へ循環し、再び脱臭材へ散水される脱臭装置。
<2>畜舎からの有機酸を分解するための前記第1の脱臭装置。
<3>ガス排出口から排出されるガスを畜舎内に送風する手段を備えることを特徴とする前記第2の脱臭装置。
<4>脱臭装置は、有機酸をガス供給口から脱臭槽内へ供給可能とする送風機を有する前記第1から3のいずれかの脱臭装置。
<5>送風機は、送風量が制御可能とされていること前記第4の脱臭装置。
<6>脱臭材は、軽石または軽量気泡コンクリートである前記第1から5のいずれかの脱臭装置。
<7>循環手段によって循環する水のリン濃度は、1ppm以上である前記第1から6のいずれかの脱臭装置。
<8>前記第1から3の脱臭装置に臭気ガスを送風し、臭気ガス中の有機酸を分解する脱臭方法。
<9>前記第3の脱臭装置に臭気ガスを送風し、臭気ガス中の有機酸を分解し、ガス排出口からのガスを、再度、畜舎内に送風する脱臭方法。
<10>循環手段によって循環する水におけるリン濃度が1ppm以上になるようにリンを添加することを特徴とする前記第8または9の脱臭方法。
本発明は、有機酸の分解に優れた装置構成であるため、畜舎から発生する臭気ガス(有機酸)を効率的に、かつ低コストで除去することに寄与する。また、無臭化されたガスを畜舎に戻すことで、畜舎内の湿度を好適に維持することができ、畜舎内の悪臭を抑制することができ、畜舎内の温度を調節することも可能である。さらに、臭気ガスG1中の浮遊物質は、脱臭材に保持された水分と散水とによって捕捉されるため、脱臭効果に加えて除塵効果も発揮する。
本発明の脱臭装置の構成を例示する概要図である。 測定日(日)毎の脱臭装置からの排気中に含まれるニオイセンサレベル値を示す図である。 測定日における循環水の外部からの補給量の日平均を示す図である。 畜産臭気に関わる9物質をガスクロマトグラフ質量分析計により分析した結果を示す図である。 ガスクロマトグラフ質量分析計による分析結果でそれぞれの有機酸中の炭素濃度を合計した物とニオイセンサの相関を示す図である。 リン濃度と亜硝酸態窒素と硝酸態窒素の比を示す図である。亜硝酸より硝酸が多い場合、微生物脱臭装置である脱臭装置が順調に動いていることを示している。 亜硝酸と硝酸の比とニオイセンサレベル値を示すグラフである。
図1に例示するように、本発明の脱臭装置1は、臭気ガス中に含まれる有機酸、主に、畜舎2の家畜糞尿から発生する臭気ガス(有機酸)G1を脱臭する脱臭装置である。
具体的には、この脱臭装置1は、脱臭槽3内部の中間域に脱臭材4を堆積させて充填したものであり、さらに、脱臭槽3の下方域には、ガス供給口5が設けられ、脱臭槽3の上方域には、脱臭材4の堆積層を通過したガスG2を外部へ排出するガス排出口6が設けられている。畜舎2とガス供給口5とはガス供給管7で接続され、ガス供給管7には、臭気ガスG1を畜舎2からガス供給口5へ送る送風機8を設けることができる。脱臭材の高さHは、送風量等に応じて適宜決定することができるが、例えば、H=0.5〜1.5m程度とすることができる。また、送風機8は、畜舎2の内部に設けることもできる。
ここで、畜舎2から発生する臭気は、主に有機酸、具体的には、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸などから構成され、前記有機酸は空気よりも重いことから、前記ガス供給管7は、畜舎2の下方に接続されることが好ましい。これによって、畜舎2の下方に溜まっている有機酸を効率的に脱臭装置1へ送風することができる。
そして、脱臭材4は、軽石、軽量気泡コンクリートなどの微細孔隙を有する多孔性の粒状体からなる。脱臭材4の表面および内部には、臭気ガスG1に含まれる有機酸を吸着して溶解させる水分が保持される。さらに、脱臭材4の表面および内部には、上記溶解した有機酸を分解する微生物9が固定されている。微生物9は、自然界に存在する好気性微生物が例示される。具体的には、糸状菌,セルロース分解菌,放線菌,担子菌(キノコ)などの有用な微生物のうちの1種または2種以上であり、例えば、これらを含む土壌、堆肥などを利用することができる。もちろん、微生物を単離し、培養した菌体を添加してもよい。
また、図1に示すように、脱臭槽3内の上方域には、上方から脱臭材4に対し散水する散水装置10が設けられる。散水装置10は、脱臭槽3内に対して、ほぼ均一に水を供給できるものであればよく、例えば、スプレーノズルや、孔を施した塩化ビニール管などを例示することができる。また、散水装置10の配設高さ等も限定されない。散水装置10からの散水によって、脱臭材4に水が供給され、脱臭材4は湿潤状態が維持される。
さらに、脱臭槽3内の下方域には、散水装置10から脱臭材4の下方へ流れ落ちた水Wを貯留する貯水部11が形成されている。また、脱臭槽3には、貯水部11の水Wを排出し散水装置10へ戻して循環させる循環手段が設けられる。循環手段は、例えば、循環流路12と、この循環流路12に貯水部11の水Wを散水装置10へ圧送するポンプ13と、バルブ14などから構成される。
そして、本発明の脱臭装置においては、前記脱臭材4の粒状体は、10〜30mmの粒径のものとする。
このように、脱臭材4の粒径を、10〜30mmとすることで、粒子間に適度な空間が形成され、大風量の臭気ガス(有機酸)が装置内に導入されても、脱臭材4の送風抵抗が少なく、脱臭槽3内で循環水と臭気ガスが効率的に接触し、臭気ガス中の有機酸が循環水に溶解し、脱臭材4に固定された微生物9により分解され無臭になる。
以下、本発明の脱臭装置の作用についてさらに詳しく説明する。
図1に示すように、送風機8を駆動することにより、畜舎2から発生した臭気ガスG1は、ガス供給管7を通り、ガス供給口5から脱臭槽3内に供給され、軽石などの多孔質性の粒状体からなる脱臭材4中を下方から上方へ通過する。
この際、本発明の脱臭装置1においては、上記のとおり、脱臭材4が10〜30mmの粒径であるため、大風量の臭気ガス(有機酸)が装置内に導入されても、脱臭材4の送風抵抗が少ない。そして、散水装置10から循環水を間欠的に散水することによって、脱臭材4は、湿潤状態が維持されており、脱臭材4において、循環水と臭気ガスが効率的に接触し、臭気ガス中の有機酸を循環水に溶解させることができる。このように、臭気ガスG1に含まれる有機酸の少なくとも一部は、脱臭材4中に保持された水分に吸着されて溶解した後、脱臭材4の表面および内部に固定された微生物9によって分解される。これにより、臭気ガスG1が脱臭されて無臭化され、無臭化されたガスG2がガス排出口6から排出される。
なお、本発明の脱臭装置では、例えば、軽石1mあたり、毎分20m程度の臭気ガス(有機酸)を処理可能にしている。
このように、脱臭材4の表面および内部では、保持された水分に有機酸が溶け込む一方、溶解した有機酸が微生物9により分解されていくため、継続的な脱臭が可能である。また、上記散水装置10からの散水は微生物9への水分補給としても機能するため、乾燥による微生物9の活性低下を防止することもできる。
さらに、有機酸を含んだ水Wは、脱臭材4から落下して貯水部11に貯水され、循環流路12から、ポンプ13などによって散水装置10へ循環し、再び脱臭材4に散水される。これにより、有機酸は、脱臭材4の堆積層中に局所的に集中することなく、脱臭材4の堆積層内全体にほぼ均一に分散して行き渡るため、負荷が均一化され、脱臭効率が向上する。
このとき、無臭化されたガスG2には、散水された水に由来する水分が保持された状態で排出されるため、脱臭装置1の運転期間の経過と共に、装置を循環する水の量は減少する。したがって、脱臭装置1内の水量を確保するためには、外部から適宜、水を供給することが必要となる。
また、微生物9の活性を維持するため、循環水中にはリンを添加することが好ましい。リン濃度は、循環水中で1ppm以上になるように添加するのが好ましい。
臭気ガスG1が、上記有機酸以外に、アンモニア等を含んでいる場合にも、上記と同様に、散水された水への溶解、微生物(硝化細菌)による分解によって脱臭が可能である。
さらに、臭気ガスG1中の浮遊物質は、脱臭材4に保持された水分と散水Wとによって捕捉されるため、脱臭効果に加えて除塵効果も発揮する。
なお、堆肥化施設の中でも縦型密閉堆肥化装置などでは高濃度のアンモニアが発生するため、特許文献2の脱臭装置では、循環水中のイオン濃度が高くなり、微生物の分解能力が低下する場合があり、堆肥化施設などで脱臭装置の性能を維持するためには、循環水を抜き出して入れ替える必要があるが、畜舎から発生する臭気中のアンモニア量は多くないため、電気伝導度が40mS/cm以上になることはなく、微生物の能力が低下することがない。したがって、畜舎2に設けられる本発明の脱臭装置1は、装置内を循環する水を引き抜く必要がなく、連続してそのまま使用することができる。
そして、無臭化されたガスG2は、屋外へ排出することも可能であるが、ガス排出口6から連設するガス供給管(図示していない)を設け、畜舎2内に、無臭化されたガスG2を送風することが好ましい。すなわち、無臭化されたガスG2は、循環水に由来する水分を保持していることから、このガスG2を畜舎2に戻すことで、畜舎2内の湿度を好適に維持することに寄与でき、畜舎2内の悪臭を抑制することができる。さらに、脱臭材4を通過する際に水分を増すと共に数度温度が低下するので、ガスG2を送風することで畜舎2内の温度の調節も可能である。すなわち、ガスG2を畜舎2に送風することで、夏季は、冷却機能を発揮し、冬季は、外気を導入する場合に比べて気温の低下が少ないため保温機能を発揮することになる。また、無臭化されたガスG2の除菌を望む場合には、ガス排出口6から連設するガス供給管に、逆性石鹸水の塗布、塩素など薬剤との接触のための装置を適宜設けてもよい。
さらに、本発明の脱臭装置1を、畜舎2の内部に設けることもできる。気温が低温になる冬季は、屋外では微生物9の活性が弱く、必ずしも臭気成分の分解が十分でない場合があるが、畜舎2の中は比較的暖かいため、畜舎2の内部に脱臭装置1を設けることで、微生物9の活性を安定させることができる。
このように、本発明の脱臭装置1を作動させ、無臭化されたガスG2を畜舎2に送風することで、畜舎2から発生する臭気ガス中に含まれる有機酸を効率的に、かつ低コストで分解・除去することができるとともに、畜舎2内の空調を調整することが可能となり、畜舎2の空調維持によるコストも大幅に削減することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
以下、実験例により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
豚を飼育し、窓がある畜舎において、図1に示す脱臭装置1(幅3m、奥行き4m、高さ1.5m)を用いて、有機酸を含む臭気ガスを脱臭する試験を1年通して行った。畜舎は夏場窓を開け、冬は窓を閉めている状態で試験を行った。
具体的には、畜舎2の下方に設けられた除糞装置(糞を豚舎外部に掻き出すための装置)に、ガス供給管7、送風機8を設置し、畜舎2内の臭気を脱臭槽3に送風した。
このとき、脱臭材は、10〜30mm粒径の軽石を均一に50cm充填し、装置内の液相を25.3%、気相を52.7%、固相を22.0%とした。送風抵抗を岡野製作所製U字型マノメーターで測定したところ最大風量時で0.145kpaであった。また、散水装置10は、脱臭材4に均等に水をまくために、15cmの間隔で左右45度の傾きで5mmの穴を開けたφ40の塩ビ管を用いた。脱臭装置1底部にC型コンクリートを間隔あけておき、その上に根太と5mmの金網を敷いた。散水装置10から供給された水分(循環水)は、脱臭材4の下部から、循環流路12に移行し、再度、散水装置10に戻るようにポンプ13、バルブ14を設けた。
さらに、貯水部11に蓄えられる循環水は、常に貯水部11内の水量が一定水量を保つべく、貯水部11に連通する配管を設け、外部から水分を自動で補給できるようにした。
そして、脱臭装置1と送風機8は全体をビニールハウスで覆い、送風機の周囲は防音シートで囲った。脱臭後の排気はビニールハウスの隙間からそのまま外部へ排出した。
この実験では、脱臭装置1の散水装置10からの循環水の散布は、脱臭材4が十分に湿る水量として、ポンプの揚程が毎分200Lであり、これを三分の一程度に絞り30分に2分の間欠で行った。
また、脱臭材4に供給される臭気ガス量は、畜舎の管理を優先し、夏季で暖かいときは温度を下げるために送風機8の設定を最大50Hzで送風量が毎分120m、冬季で寒いときは畜舎の温度を保つため30Hzにて動作させた。すなわち、送風量は、毎分72mとした。
なお、臭気ガスの濃度は、脱臭装置1のガス供給口5およびガス排出口6の付近において、ニオイセンサ(新コスモス電機製XP−329IIIR)を用いてレベル値を測定した。ここで、「レベル値」とは、単位は無く、ニオイの強弱を0〜2000の数値で表示している。ニオイは通常、色々なニオイ物質が混ざり合った複合体で存在する。ひとつのニオイ(単一臭気)であれば、その濃度をppmやppb、%といった単位で表せるが、ニオイが混ざり合って存在(複合臭)する場合はこうした単位で表示することができない。公定法である嗅覚測定法で得られた臭気指数や臭気濃度にも単位はなく、「強さの度合い」という形で表される。こうした背景もあり、ニオイセンサはニオイの強弱を相対的に数値化するので、指示値は無単位であると定義される。そして、ニオイセンサを人がニオイを感じない室内において試験を行ったところ、レベル値30の数字を示したことから、人が臭気を感じないレベルとして、レベル値30を目安とした。
実験の結果を図2に示す。図2は、測定日(日)毎の脱臭装置からの排気中に含まれるニオイセンサレベル値を示すグラフである。
図2に示すとおり試験を行った畜舎が特に寒かったこともあり、厳寒期は若干脱臭後に臭気を感じたが、それ以外はほとんど脱臭できていた。尚、畜舎から有機酸と同時に発生するアンモニアに関しては完全に脱臭できており、図示しない。
単純に水に臭気を吸着させているだけでは、水中に取り込めなくなった分の臭気が発生し、脱臭できなくなるが、循環水の引き抜きによる入れ替えもせず、図2に示すとおり通年安定した性能が発揮されたことは、微生物の作用により臭気成分が分解されて循環水中に残っていないことを示している。
循環水が外部に漏れ出すことはないが、脱臭後の排気ガスに水分が奪われるため、外部から水を補給した。排気ガスを畜舎に再送風することで、畜舎内の湿度、温度を調整することができる。
図3は測定日における循環水の外部からの補給量の日平均を示している。夏で平均150L、冬で平均50Lである。
<実施例2>
次に、前記の脱臭装置1を使用して、脱臭前後の気体を畜産臭気に関わる9物質、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸 (アンモニアは除外)をガスクロマトグラフ質量分析計により臭気成分の分析を行った。装置は、ガスクロマト部分がパーキンエルマー製、ターボマトリックスAED、質量分析計部分がパーキンエルマー製クララス500を使用した。
その結果、上記の9物質のうち、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸は検出された。いずれも性能が落ちる厳寒期にて二日に分け測定を行った。
結果を図4に示す。図4は濃度の高い方から順にプロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸の測定結果を示している。脱臭率は97%であった。この結果から有機酸が脱臭できていることが確認された。
また、図5は、ガスクロマトグラフ質量分析計による分析結果でそれぞれの有機酸中の炭素濃度を合計した物とニオイセンサの相関を示すグラフである。図5に示すとおり、ニオイセンサの臭気指数と有機酸には相関が見られた。すなわち、ニオイセンサで測定した数値から、有機酸が除去されたか否か判断できることがわかった。
<実施例3>
脱臭装置設置前後の、防音効果を確認した。脱臭装置を用いる前の畜舎のファン吹き出し口における最大風量では108dBであり、脱臭装置では76dBに軽減された。つまり畜舎の騒音で主要な原因であるファンの音を軽減することが出来た。
<実施例4>
脱臭前後のホコリ量を把握するため、1年半稼働させた脱臭装置1のガス供給管7をはずし送風機8の手前70cm分に付着したホコリを採取し計測したところ、35.2gであった。一方、実施例1の脱臭装置1の脱臭槽3で同じ面積に付着したホコリ量を量ったところ検出限界以下であった。このことは脱臭材4がフィルターとして作用し除塵したことを示している。
また、ガス供給管7にホコリがたまると言うことは、ホコリがまとまり重力に耐えきれず付着していることになるが、実際には微細の物も含めれば、ガス供給管7中を大量のホコリが舞っていることになる。しかしながら、このような環境で脱臭装置1を使用しているが、循環水中にはホコリがたまっていなかった。これは微生物によってホコリが分解されたことを示しており、本発明の脱臭装置の除塵効果が確認された。
<実施例5>
鶏を飼育している畜舎において同様の試験を行った。送風機を用いて最大風量毎分1.3mで送風し、有機酸を含む臭気ガスの脱臭試験を行った。
脱臭装置の基本的な構成は上記と同様であるが、大きさが、幅1m奥行き1m高さ1mのものを用い、また、脱臭装置全体をグラスウールの断熱材で覆い、上部には風雨防止のためビニールで屋根をかけて行った。脱臭後の排気はビニールの隙間からそのまま外部へ排出した。
この実験では、脱臭装置の散水装置からの循環水の散布は、充填材が十分に湿る水量として、ポンプの揚程が毎分50Lであり、30分に1分の間欠で行った。
なお、臭気ガスの濃度は、実施例1と同様の測定箇所において1日に1回数日ニオイセンサを用いて測定した。
実験の結果、測定日においてニオイセンサの数値が脱臭前→脱臭後で、691→371、436→143、342→117、360→135、282→111、241→100、206→87、346→150、143→34、122→38となり、60〜80%の脱臭能が確認された。
実施例1、5に示されるように、臭気の違う畜舎においても高い脱臭効果が確認された。このことは畜種を問わず有機酸による臭気を脱臭できることを示している。
<実施例6>
前記実施例1(豚舎)、実施例5(鶏舎)で使用した脱臭装置においてリン濃度との相関を確認するための試験結果を図6に示す。図6はリン濃度と亜硝酸態窒素と硝酸態窒素の比を示すグラフである。亜硝酸より硝酸が多い場合、微生物脱臭装置である脱臭装置が順調に動いていることを示している。循環水を1週間に1度分析に必要な量だけ取りだし、リン濃度の測定はモリブデンブルー吸光光度法で光度計は島津製作所製UV−2450を用いて、亜硝酸態及び硝酸態窒素濃度はダイオネクス製イオンクロマトグラフIC-1000にて測定した。
図6の各装置は、作動後から、様子を見て1ヶ月に1、2回程度循環水中の濃度が所定の濃度になるようリン酸二水素カリウムを添加した。なお比較のために、実施例5(鶏舎)で使用した脱臭装置と全く同じ構造の装置を縦型密閉堆肥化装置の排気に取り付け、リンを添加しなかった。
結果からわかるように、リン添加を全くしなければ、亜硝酸の方が多くなる。一方、1ppm程度でも添加した脱臭装置では性能がとたんに上がっている。また、添加したのは最初の3〜4ヶ月程度であるから、一度立ち上がってしまえば、性能が安定することを示している。
このように本発明の脱臭装置の手法である微生物脱臭装置では装置立ち上げから3〜4ヶ月程度リンの補給源として生糞、堆肥または試薬により循環水中リン濃度で1ppm以上になるよう添加する必要がある。
なお、図7に示すように、亜硝酸が多く、硝酸が少ないときは、有機酸が脱臭後の排気に含まれている。したがって、微生物によるアンモニアの硝化能力と有機酸の処理能力は相関があり、図6と図7から、有機酸の処理においても同様にリンを添加する必要があることがわかる。脱臭装置に、リン添加手段を設けることもできる。
1 脱臭装置
2 畜舎
3 脱臭槽
4 脱臭材
5 ガス供給口
6 ガス排気口
7 ガス供給管
8 送風機
9 微生物
10 散水装置
11 貯水部
12 循環流路
13 ポンプ
14 バルブ

Claims (10)

  1. 臭気ガス中に含まれる有機酸を分解するための脱臭槽を有する脱臭装置であって、1)脱臭槽内部の下方域にはガス供給口および貯水部が設けられ、中間域には脱臭材が充填され、上方域に散水装置およびガス排出口が設けられ、2)貯水部および散水装置は、循環手段を介して連通し、3)脱臭材は、粒径が10〜30mmの粒状体からなる多孔質体であり、有機酸を分解する微生物を保持するとともに、散水装置からの散水によって湿潤状態が維持され、4)ガス供給口から供給された有機酸は、湿潤状態の脱臭材と接触して水に溶解すると同時に、少なくとも一部の有機酸は、微生物によって分解されて、ガス排出口から排出され、5)脱臭材から貯水部に落下した水は、循環手段によって貯水部から散水装置へ循環し、再び脱臭材へ散水される、ことを特徴とする脱臭装置。
  2. 畜舎からの有機酸を分解するための請求項1の脱臭装置。
  3. ガス排出口から排出されるガスを畜舎内に送風する手段を備えることを特徴とする請求項2の脱臭装置。
  4. 脱臭装置は、有機酸をガス供給口から脱臭槽内へ供給可能とする送風機を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかの脱臭装置。
  5. 送風機は、送風量が制御可能とされていることを特徴とする請求項4の脱臭装置。
  6. 脱臭材は、軽石または軽量気泡コンクリートであることを特徴とする請求項1から5のいずれかの脱臭装置。
  7. 循環手段によって循環する水のリン濃度は、1ppm以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれかの脱臭装置。
  8. 請求項1から3の脱臭装置に臭気ガスを送風し、臭気ガス中の有機酸を分解することを特徴とする脱臭方法。
  9. 請求項3の脱臭装置に臭気ガスを送風し、臭気ガス中の有機酸を分解し、ガス排出口からのガスを、再度、畜舎内に送風することを特徴とする脱臭方法。
  10. 循環手段によって循環する水におけるリン濃度が1ppm以上になるようにリンを添加することを特徴とする請求項8または9の脱臭方法。
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