JP2011054373A - 可変照明装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】広い光配向特性を得ることが可能な可変照明装置を提供すること。
【解決手段】可変照明装置2001は、第1の基板141と、第2の基板142と、周囲壁2143と、隔壁2148と、液体レンズ50と、光源と、を具備する。第2の基板は、第1の基板と所定の間隙をもって対向配置される。周囲壁は、第1の基板と第2の基板の間に配置され、対向する第1の開口2143aと第2の開口2143bを有し、第1の開口から第2の開口に向かって開口面積が広がるように内側面2143cがテーパー形状を有する。隔壁は、第1の基板、第2の基板及び周囲壁によって囲まれて形成される液室148を複数の領域に区分けし、第1の基板及び第2の基板に垂直である。液体レンズ50は、複数の領域それぞれに収容された屈折率の異なる2液の界面で形成され電気的に変形可能なレンズ面151を有する。光源は、第1の開口側から液体レンズに対して光を照射する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エレクトロウェッティング現象を利用した可変照明装置に関する。
出射する光の配向を可変させる可変照明装置として、例えばエレクトロウエッティング現象を利用して広範囲の被写体に対してフラッシュ照射できるフラッシュ装置がある。(例えば、特許文献1参照。)。このフラッシュ装置は、印加電圧を制御することにより形状が変化する2つの屈折率の異なる液体の界面(レンズ面)を備える液体レンズ素子と光源とを備えている。このようなフラッシュ装置において、フラッシュ装置の薄型化を実現するために、液体レンズ素子のレンズ面を複数設けることにより1つ1つのレンズ面の高さを低くし、1つのレンズ面を備える液体レンズ素子よりも薄い液体レンズ素子を構成することが考えられる。
特開2008−180919号公報(段落[0023])
しかしながら、上述のようなフラッシュ装置においては、広い光配向特性を持たせることが困難であった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、薄型を実現しつつ広い光配向特性を有するエレクトロウエッティング現象を利用した可変照明装置を提供することにある。
本発明の一形態に係る可変照明装置は、第1の基板と、第2の基板と、周囲壁と、液体レンズと、光源と、を具備する。前記第2の基板は、前記第1の基板と所定の間隙をもって対向配置される。前記周囲壁は、前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、対向する第1の開口と第2の開口を有し、前記第1の開口から前記第2の開口に向かって開口面積が広がるように内側面がテーパー形状を有する。前記隔壁は、前記第1の基板、前記第2の基板及び前記周囲壁によって囲まれて形成される液室を複数の領域に区分けし、前記第1の基板及び第2の基板に垂直である。前記液体レンズは、前記複数の領域それぞれに収容された屈折率の異なる2液の界面で形成され電気的に変形可能なレンズ面を有する。前記光源は、前記第1の開口側から前記液体レンズに対して光を照射する。
この構成によれば、周囲壁に光源からの光の進行方向に沿って開口面積が広がるように周囲壁にテーパー形状を設けられているので、液体レンズのレンズ面の光軸は、光源の光軸に対して斜めに外側に広がるように位置される。これにより、この可変照明装置は、周囲壁にテーパー形状を有さない可変照明装置と比較して、光の出射範囲が広い光配向特性を有する。また、複数のレンズ面を設けることにより、1つのレンズ面を設ける場合と比較して、薄型化が可能となる。
前記光源及び前記液体レンズは、それぞれの長手方向が互いに平行な線形状を有していてもよい。このように、線形状の光源を用いる場合、レンズ面も線形状とすることが望ましい。
前記光源を収容し、前記光源から出射される光を反射し平行光として前記液体レンズに入射させる反射板と、前記光源と前記液体レンズとの間に、隣り合う前記液体レンズ間に対応して配置され、前記光源から出射され前記平行光と平行でない光を平行光として出射するシリンドリカルレンズと、を更に具備していてもよい。
この構成によれば、シリンドリカルレンズを設けることにより、光源から出射される光のうち反射板で反射せず平行光と平行でない光を平行光とすることができる。従って、光源の光軸付近の光の光量を、光学部材を設けない場合と比較して、増加させることができ、液体レンズを透過した光に所望の光配向特性を持たせることができる。
前記可変照明装置は2つの前記液体レンズを有し、前記光源は1つであり、前記光源は、2つの前記液体レンズの境界に対応して配置されていてもよい。このように、レンズ面を2つ、光源を1つ設ける場合、2つのレンズ面の境界に光源からの光の光軸が位置するように配置され、更に、2つのレンズ面の境界に対応してシリンドリカルレンズを配置することができる。これにより、光源が1つであっても、液体レンズを透過する光に、2つのレンズ面それぞれに対応して光源が1つずつ計2つ配置されるのと同等な光配向特性を持たせることができる。
前記光源と前記液体レンズとの間に配置され、前記液体レンズに入射される光の光軸を、前記光源から出射される光の光軸に対して斜めに外側に広がるように変換する光学部材を更に具備していてもよい。
この構成によれば、光学部材が更に設けられているので、光の出射範囲のより広い光配向特性を有する可変照明装置を得ることができる。
本発明の別の形態に可変照明装置は、第1の基板と、第2の基板と、第3の基板と、液体レンズと、光源と、光学部材とを具備する。第2の基板は、前記第1の基板と所定の間隙をもって対向配置される。前記第3の基板は、前記第1、第2の基板の間に配置され液室を形成する。前記液体レンズは、前記液室内に収容された屈折率の異なる2液の界面で形成され電気的に変形可能な複数のレンズ面を有する。前記光源は、前記液体レンズに対して光を照射する。前記光学部材は、前記光源と前記液体レンズとの間に配置され、前記液体レンズに入射される光の光軸を、前記光源から出射される光の光軸に対して斜めに外側に広がるように変換する。
この構成によれば、光学部材が設けられているので、光学部材を具備しない可変照明装置と比較して光の出射範囲が広い光配向特性を有する可変照明装置を得ることができる。
以上のように、本発明によれば、広い光配向特性を得ることが可能な可変照明装置を提供することが可能である。
第1の実施形態に係るフラッシュ装置の概略断面図である。 図1のフラッシュ装置を構成する液体レンズ素子の概略平面図である。 第2の実施形態に係るフラッシュ装置の概略断面図である。 図3のフラッシュ装置の電圧無印加状態、電圧印加状態の概略断面図である。 図3のフラッシュ装置の電圧無印加状態、電圧印加状態における光学特性を示す図である。 第3の実施形態に係るフラッシュ装置の概略断面図である。 第4の実施形態に係るフラッシュ装置の概略断面図である。 第5の実施形態に係るフラッシュ装置の概略断面図である。 変形例に係る液体レンズ素子の概略平面図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態に係る可変照明装置としてのフラッシュ装置の概略断面図である。図2は、フラッシュ装置を構成する液体レンズ素子の概略平面図である。
図1及び図2に示すように、エレクトロウエッティング現象を利用したフラッシュ装置2001は、光源10と、反射板としてのリフレクタ20と、液体レンズ素子2140とを備える。
光源10は、線状の直径1〜2mmの円筒形の閃光放電管(キセノン管)である。キセノン管10は、後述する隣り合う2つのレンズ面151の境界に対応して配置され、キセノン管10から液体レンズ素子2140に出射される光の光軸11(z軸に平行)に2つのレンズ面151の境界が位置するように配置される。
リフレクタ20は、キセノン管10を収容し、キセノン管10から出射される光を反射させ絞って平行光として、液体レンズ素子2140に対して照射するものである。線状のリフレクタ10は、その断面が半楕円弧形状や放物線形状を有し、キセノン管10から出射される光を絞るように、例えば放物線の焦点にキセノン管10が位置するように配置される。リフレクタ20は、例えばアルミニウム等の高反射率を有する部材から形成される。リフレクタ20は、キセノン管10から出射される光を反射させ平行光として液体レンズ素子2140に対して出射するものである。
液体レンズ素子2140は、第1の基板141、第2の基板142、第3の基板としてのキャビティ基板143及び封止部材144を有し、その内部に第1の液体145及び第2の液体146からなる液体レンズ50が収容される。第1の基板141と第2の基板142とは、所定の間隙をもって対向配置される。キャビティ基板143は、第1の基板141と第2の基板142との間に配置される。
液体レンズ素子2140では、第1の基板141、キャビティ基板143、第2の基板142の順で積層される。キャビティ基板143に形成された貫通孔2147と、第1の基板141及び第2の基板142とで形成される空間が液室148となる。第1の液体145及び第2の液体146からなる液体レンズ50は液室148に収容される。封止部材144はその平面形状が環状で、第1の液体145及び第2の液体146を液体レンズ素子2140内に封止することが可能な位置に配置される。
キャビティ基板143は周囲壁2143と隔壁2148とからなる。周囲壁143は、対向する第1の開口2143aと第2の開口2143bを有する額縁状を有し、第1の開口2143aから第2の開口2143bに向かって開口面積が広がるように内側面2143cがテーパー形状を有する。テーパーは、第2の基板142に垂直な平面に対して5〜10°の角度のテーパー角θを有している。隔壁2148は、周囲壁2143によって囲まれて形成される液室148を複数、本実施形態においては2つの領域に区分けするものである。隔壁2148は第1の基板141及び第2の基板142に垂直に配置され、これにより2つの貫通孔2147が形成される。隔壁2148の側面2148aはテーパー形状を有さず、第1の基板141及び第2の基板142に垂直に配置される。また、隔壁2148は、光源10の光軸11(図面、z軸に平行)に沿って配置される。キャビティ基板143は、合成樹脂、金属、ガラス、セラミックス等の材料から形成される。キャビティ基板143の、液室148側の面には、第1の電極149が形成され、第1の電極149の上層には絶縁層150が形成される。第1の電極149は図示しない外部電源と接続されている。
キセノン管10は、液体レンズ素子2140の第1の開口2143a側に配置される。
本実施形態に係る液体レンズ素子2140は、エレクトロウェッティング効果による光学特性を発現することが可能に構成される。尚、液体レンズ素子2140の構成は以下に示すものに限定されない。
第1の基板141及び第2の基板142は、液室148を形成すると共に、液体レンズ素子2140への入射光あるいは液体レンズ素子2140からの出射光の経路となる。第1の基板141及び第2の基板142をガラス、アクリル樹脂等の透明度が高い素材で形成することにより、入射光あるいは出射光強度の損失を低減することが可能である。第2の基板142の液室148側の面には、第1の液体145と接触する第2の電極152が形成され、第2の電極152は図示しない外部電源と接続されている。
封止部材144は、キャビティ基板143と第2の基板142の間に配置される。封止部材144は、キャビティ基板143の貫通孔2147の周縁部あるいは、貫通孔2147と別に形成された封止部材用溝等に配置されてもよい。封止部材144は、第1の液体145及び第2の液体146を封止することが可能なように、エラストマー、金属、合成樹脂等の材料から形成される。封止部材144の断面形状は、円形、V字形、矩形等から適宜選択可能である。
第1の電極149はスパッタリング法等により形成された、酸化スズ、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明な薄膜である。絶縁層150は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成されたパリレン(パラキシリレン系樹脂)、無機材料等からなる撥水性を有する薄膜である。
第1の液体145は導電性あるいは有極性の液体である。有極性の液体材料としては、たとえば純水などを用いることができる。導電性の液体材料としては、塩を溶かした水溶液などを用いることができる。第1の液体145として、広い温度範囲で安定に液体として存在する液体を選定することが望ましく、本実施形態に係る第1の液体145として、塩化リチウム水溶液(20wt%)を用いた。
第2の液体146は絶縁性の液体又は無極性の液体である。無極性の液体材料としてはヘキサンなどを用いることができる。絶縁性の液体としては、例えばシリコーンオイルなどを用いることができる。本実施形態に係る第2の液体146として、第1の液体145との屈折率差を大きくするため、高屈折率材料であるシリコーンオイルを用いた。
第1の液体145と第2の液体146は、混和しない液体材料を選定する必要がある。また、安定な液体レンズ素子を提供するため、第1の液体145と第2の液体146の比重を同じにすることが望ましい。更に、第1の液体145及び第2の液体146は可変光学部材として使用するため、透明で粘度の小さな液体材料であることが望ましい。
本実施形態の液体レンズ50は、第1の液体145と第2の液体146の2液の界面で形成されたレンズ面151を有する。本実施形態における液体レンズ素子2140では、2つのレンズ面151を有する。2つの液体レンズ50は、線形状を有し、その長手方向はキセノン管10の長手方向と平行となっている。2つの液体レンズ50は、第2の基板142の面と平行な面内にその長手方向と直交する方向に配列されている。液体レンズ50のレンズ面151は、第1の電極149及び第2の電極152による電圧制御により電気的に変形可能となっている。
上述のように構成された液体レンズ素子2140は、次のように動作する。以下、図4を用いて説明する。
図4(a)、(b)は、後述する第2実施形態におけるフラッシュ装置2201の概略断面図であるが、電圧無印加時及び電圧印加時における液体レンズ素子2140の動作は同様であるため、図3を用いて第1実施形態におけるフラッシュ装置2001の動作について説明する。図4(a)は液体レンズ素子2140に電圧を印加していない状態、図4(b)は液体レンズ素子2140に電圧を印加した状態をしめす。また、図4において、図面を見やすくするために、第1の電極149、第2の電極152及び絶縁層150についてはそれらの図示を省略している。
図4(a)に示すように、電圧無印加状態では、第1の液体145及び第2の液体146は、2液間及びそれぞれと(撥水性である)絶縁層150の間の界面張力により、例えば曲面状の2液界面151(レンズ面)を形成する。第1の液体145と第2の液体146の絶対屈折率が異なるため、液体レンズ素子2140に入射した光は、当該2液界面151でのレンズ効果を受け屈折する。このような電圧無印加状態では、フラッシュ装置2001から出射される光は広い光配光特性を有する。
キャビティ基板143に形成された第1の電極149に、外部電源により電圧を印加することによって、第1の液体145及び第1の電極149に電荷が蓄積する。この電荷が引き合うことによって、第1の液体145と第1の電極149上に配置されている絶縁層150の間の界面張力が変化し、図4(b)に示すように、2液界面151の形状が変化する(エレクトロウェッティング効果)。このような電圧印加状態では、フラッシュ装置2001から出射される光は狭い配光特性を有する、言い換えれば、電圧印加により光を絞ることができる。このように、電圧印加により光配向特性が変化するレンズ面151を得ることができる。
本実施形態においては、キャビティ基板143の一部を構成する周囲壁2143にテーパー形状を設けることにより、電圧無印加状態で、液体レンズ50のレンズ面151の光軸30は、光源10の光軸11に対して斜めに外側に広がるように位置する。これにより、液体レンズ素子2140を透過する光は、周囲壁2143にテーパー形状を有さない液体レンズ素子と比較して、光の出射範囲が広い光配向特性を有する。尚、光源10の光軸11は、液体レンズ素子2140の第1の基板141及び第2の基板142に対して垂直に位置する。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
図3は、本実施形態に係るフラッシュ装置2201を示す断面図である。
本実施形態においては、第1の実施形態の構成に加え、キセノン管10と液体レンズ素子2140との間にシリンドリカルレンズ240が設けられる。
本実施形態におけるフラッシュ装置2201は、光源10と、反射板としてのリフレクタ20と、レンズ素子2040とを備える。
レンズ素子2040は、液体レンズ素子2140と、第1光学部材としてのシリンドリカルレンズ240とを備えている。
凸レンズであるシリンドリカルレンズ240は線形状を有し、その長手方向がキセノン管10及びレンズ面151それぞれの長手方向と平行となるように配置されている。シリンドリカルレンズ240は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明有機部材からなり、正の焦点距離を持つ。シリンドリカルレンズ240は、第2の基板142の液室148側の面と反対側の面上に、2つの隣り合うレンズ面151の境界に対応して、固定配置される。言い換えると、液室148内を複数の領域に区分けするキャビティ基板143の隔壁2148に対応して配置される。シリンドリカルレンズ240は、キセノン管10と2液体レンズ素子140との間に配置される。キセノン管10及びシリンドリカルレンズ240はそれぞれ2つのレンズ面151の境界に対応して配置される。
シリンドリカルレンズ240は、その断面の直径がキセノン管10の直径とほぼ同等かそれ以下であることが望ましい。これにより、キセノン管10から出射され、リフレクタ20を反射しない、平行光と平行でない光は、シリンドリカルレンズ240を透過することによって平行光となって出射し、液体レンズ素子2140に入射される。例えばシリンドリカルレンズ240の断面の直径が、キセノン管10の直径よりも大きいと、リフレクタ20に反射して平行光となった光がシリンドリカルレンズ240を透過し、平行光に対して斜めの光となってしまい、所望の光学特性が得られない。シリンドリカルレンズ240は、キセノン管10の光軸11に対応して配置される。
このようにシリンドリカルレンズ240を設けることにより、キセノン管10から出射されレンズ素子2040を通過する出射光のうち、出射角が0度付近の光の光量を十分に確保できる。すなわち、キセノン管10から出射され第2の基板142に入射される光にはリフレクタ20に反射せず平行光と平行でない光があるため、第2の基板142の基板面と垂直なz軸と平行な光軸11付近の光の光量が少なくなる。従って、シリンドリカルレンズ240を設けない場合、キセノン管10の光軸11に沿って配置される2つのレンズ面151の境界付近に入射される光が少なくなり、液体レンズ素子2140を通過した光のうち出射角が0度付近の光の光量が少なくなる。これに対し、本実施形態におけるレンズ素子2040では、シリンドリカルレンズ240を設けているので、キセノン管10から出射され、リフレクタ20に反射しない平行光と平行でない光は、シリンドリカルレンズ240によって平行光となる。これにより、キセノン管10から出射される光の光軸11付近の光量を十分に確保でき、所望の光配向特性を得ることができる。
このようにシリンドリカルレンズ240を配置することにより、キセノン管10が1つであっても、あたかも2つの液体レンズ50それぞれに対応してキセノン管10が1つずつ計2つ設けられた場合の光学特性とほぼ同等の光学特性を得ることができる。
上述のように構成された液体レンズ素子2140は、次のように動作する。以下、図4及び図5を用いて説明する。
図4(a)、(b)は、本実施形態におけるフラッシュ装置2201の概略断面図である。図4(a)は液体レンズ素子2140に電圧を印加していない状態、図4(b)は液体レンズ素子2140に電圧を印加した状態をしめす。また、図4において、図面を見やすくするために、第1の電極149、第2の電極152及び絶縁層150についてはそれらの図示を省略している。
図5は、図4(a)、図4(b)で示したフラッシュ装置の光配向特性を示し、図4(a)、(b)それぞれに示すフラッシュ装置2201の光配向特性は、それぞれ順に実線a、bとして示される。図5において、縦軸は、キセノン管10から出射されレンズ素子2040を通過した出射光の光量を示す。横軸は、キセノン管10から出射されレンズ素子2040を通過した出射光の第1の基板141に対する角度、すなわち出射角を示す。
図4(a)に示すように、電圧無印加状態では、第1の液体145及び第2の液体146は、2液間及びそれぞれと(撥水性である)絶縁層150の間の界面張力により、例えば曲面状の2液界面151(レンズ面)を形成する。第1の液体145と第2の液体146の絶対屈折率が異なるため、液体レンズ素子2140に入射した光は、液体レンズ50の2液界面151でのレンズ効果を受け屈折する。電圧無印加状態では、図5に示す実線aに示すように、フラッシュ装置2201から出射される光は広い光配光特性を有する。
キャビティ基板143に形成された第1の電極149に、外部電源により電圧を印加することによって、第1の液体145及び第1の電極149に電荷が蓄積する。この電荷が引き合うことによって、第1の液体145と第1の電極149上に配置されている絶縁層150の間の界面張力が変化し、図4(b)に示すように、2液界面151の形状が変化する(エレクトロウェッティング効果)。電圧印加状態では、図5の実線bに示すように、フラッシュ装置2201から出射される光は狭い配光特性を有する、言い換えれば、電圧印加により光を絞ることができる。このように、電圧印加により光配向特性が変化するレンズ面151を得ることができる。
本実施形態においても、キャビティ基板143の一部を構成する周囲壁2143がテーパー形状を有するので、電圧無印加状態で、液体レンズ50のレンズ面151の光軸30は、光源10の光軸11に対して斜めに外側に広がるように位置する。これにより、液体レンズ素子2140を透過する光は、周囲壁2143にテーパー形状を有さない液体レンズ素子と比較して、光の出射範囲が広い光配向特性を有する。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態を説明する。
以下、第3の実施形態について、第2の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
図6は、本実施形態に係るフラッシュ装置4001を示す断面図である。
本実施形態においては、第2の実施形態と比較して、キャビティ基板4143の形状が異なり、更にシリンドリカルレンズ240の両側にそれぞれプリズム3010を有する点で異なる。本実施形態においては、キャビティ基板4143を構成する周囲壁4144の内側面にテーパー形状を持たせず、プリズム3010を設けることによってフラッシュ装置4001から出射される光の出射範囲を広くしている。
本実施形態におけるフラッシュ装置4001は、光源10と、反射板としてのリフレクタ20と、レンズ素子40と、第2光学部材としてのプリズム3010を備える。
レンズ素子40は、液体レンズ素子140と、第1光学部材としてのシリンドリカルレンズ240とを備えている。
液体レンズ素子140は、第1の基板141、第2の基板142、第3の基板としてのキャビティ基板4143及び封止部材144を有し、その内部に第1の液体145及び第2の液体146からなる液体レンズ50が収容される。
キャビティ基板4143は周囲壁4144と隔壁4148とからなり、これらにより2つの貫通孔147が形成される。隔壁4148は、周囲壁4144によって囲まれて形成される液室148を複数、本実施形態においては2つの領域に区分けするものである。周囲壁4144の内側面及び隔壁4148aはそれぞれテーパー形状を有さず、第1の基板141及び第2の基板142に垂直に配置される。また、隔壁4148は、光源10の光軸(図面、z軸に平行)に沿って配置される。キャビティ基板4143の、液室148側の面には、第1の電極149が形成され、第1の電極149の上層には絶縁層150が形成される。第1の電極149は図示しない外部電源と接続されている。
液体レンズ素子140においては、第1の基板141、キャビティ基板4143、第2の基板142の順で積層される。キャビティ基板4143に形成された貫通孔147と、第1の基板141及び第2の基板142とで形成される空間が液室148となる。第1の液体145及び第2の液体146は液室148に収容される。
第2光学部材としてのプリズム3010は、第2の基板142の液室148側の面とは反対側の面上に、シリンドリカルレンズ240を挟んで、その両側に1つずつ配置される。プリズム3010は、キセノン管10と液体レンズ素子140との間に配置される。プリズム3010は、キセノン管10から出射され周囲壁4144に接する液体レンズ素子140に入射される光の光軸30を、キセノン管10からの光の光軸11に対して斜めに外側に広がるように変換するものである。これにより、キセノン管10から出射されリフレクタ20に反射されてなる平行光は、矢印4011の如く、プリズム3010によって光軸30に沿った方向に変換されて、液体レンズ素子140に入射される。
以上のように、第1及び第2の実施形態ではキャビティ基板の周囲壁にテーパー形状を持たせることによって広い出射範囲の光学特性を得ていたが、第3の実施形態のようにプリズムを設けて広い出射範囲の光学特性を得ることもできる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態を説明する。
以下、第4の実施形態について、第2の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
図7は、本実施形態に係るフラッシュ装置3201を示す断面図である。
本実施形態においては、第2の実施形態と比較して、シリンドリカルレンズ240の両側にそれぞれプリズム3010を有する点で異なる。また、本実施形態においては、第3の実施形態と比較して、キャビティ基板の周囲壁がテーパー形状を有している点で異なる。すなわち、第4の実施形態は、キャビティ基板の周囲壁にテーパー形状を持たせ、更にプリズムを設けることによって、より出射範囲の広い光学特性を有するフラッシュ装置を得るものである。
本実施形態におけるフラッシュ装置3201は、光源10と、反射板としてのリフレクタ20と、レンズ素子2040と、第2光学部材としてのプリズム3010を備える。
レンズ素子2040は、液体レンズ素子2140と、第1光学部材としてのシリンドリカルレンズ240とを備えている。
液体レンズ素子2140は、第1の基板141、第2の基板142、第3の基板としてのキャビティ基板143及び封止部材144を有し、その内部に第1の液体145及び第2の液体146からなる液体レンズ50が収容される。
第3の実施形態と同様、第2光学部材としてのプリズム3010は、第2の基板142の液室148側の面とは反対側の面上に、シリンドリカルレンズ240を挟んで、その両側に1つずつ配置される。プリズム3010は、キセノン管10と液体レンズ素子140との間に配置される。プリズム3010は、キセノン管10から出射され周囲壁3143に接する液体レンズ素子140に入射される光の光軸30を、キセノン管10からの光の光軸11に対して斜めに外側に広がるように変換するものである。これにより、キセノン管10から出射されリフレクタ20に反射されてなる平行光は、矢印4011の如く、プリズム3010によって光軸30に沿った方向に変換されて、液体レンズ素子140に入射される。
このように、キャビティ基板の周囲壁にテーパー形状を持たせ、かつ、プリズムを設けることにより、より出射範囲の広い光学特性を得ることができる。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態を説明する。
以下、第5の実施形態について、第1の実施形態と同様の構成については同様の符号を付し、その説明を簡略化または省略し、異なる点を中心に説明する。
図8は、本実施形態に係るフラッシュ装置3001を示す断面図である。
本実施形態においては、第1の実施形態とキャビティ基板3143の形状が異なる。第1の実施形態では液体レンズ50が2つあるのに対して、本実施形態では3つのレンズ面3151を有する点で第1の実施形態と異なる。
本実施形態におけるフラッシュ装置3001は、光源10と、反射板としてのリフレクタ20と、レンズ素子3040とを備える。
レンズ素子3040は、液体レンズ素子3140と、第1光学部材としてのシリンドリカルレンズ240とを備えている。
液体レンズ素子3140は、第1の基板141、第2の基板142、第3の基板としてのキャビティ基板3143及び封止部材144を有し、その内部に第1の液体145及び第2の液体146からなる液体レンズ50が収容される。
液体レンズ素子3140においては、第1の基板141、キャビティ基板3143、第2の基板142の順で積層される。キャビティ基板3143に形成された貫通孔3147と、第1の基板141及び第2の基板142とで形成される空間が液室148となる。第1の液体145及び第2の液体146は液室148に収容される。
キャビティ基板3143は周囲壁3144と隔壁3148とからなり、これらにより3つの貫通孔3147が形成される。周囲壁3144は、対向する第1の開口3144aと第2の開口3144bを有する額縁状を有し、第1の開口3144aから第2の開口3144bに向かって開口面積が広がるように内側面3144cがテーパー形状を有する。テーパーは、第2の基板142に垂直な平面に対して5〜10°の角度のテーパー角θを有している。隔壁3148は、周囲壁3144によって囲まれて形成される液室148を複数、本実施形態においては3つの領域に区分けするものであり、これにより3つの液体レンズ50が形成される。隔壁3148の側面3148aはテーパー形状を有さず、第1の基板141及び第2の基板142に垂直に配置される。キャビティ基板3143の、液室148側の面には、第1の電極149が形成され、第1の電極149の上層には絶縁層150が形成される。第1の電極149は図示しない外部電源と接続されている。
キャビティ基板3143の一部を構成する周囲壁3144にテーパー形状を設けることにより、周囲壁3144に接する液体レンズ50のレンズ面3151の光軸は、光源10の光軸11に対して斜めに外側に広がるようになっている。このため、キセノン管10から出射され液体レンズ素子3140を透過する光は、周囲壁3144にテーパー形状を持たせない液体レンズ素子と比較して、外側に広がるような光配向特性を有し、出射範囲の広い光配向特性を得ることができる。
このように液体レンズ50を3つ設ける場合においても、キセノン管11から出射される光の光軸11に対応してシリンドリカルレンズ240を配置してもよい。これにより、あたかも3つの液体レンズ50それぞれに対応してキセノン管10が1つずつ計3つ設けられた場合の光学特性とほぼ同等の光学特性を得ることができる。
(変形例)
上述の実施形態における液体レンズ素子は、図2に示すように、2つまたは3つの液体レンズが第1の基板141及び第2の基板142と平行な面内で上下に1つずつ配置された構成となっていた。これに対し、図9に示す液体レンズ素子4140に示すように、図面上、左右方向にも複数の液体レンズを設ける構成としてもよい。このような形態においては、上述の実施形態のように、第1の基板141と第2の基板142の間に配置される周囲壁の内側面にテーパー形状を設ければよい。図9は、液体レンズ素子4140の概略平面図であり、液体レンズ素子の配置を示すものである。上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付している。
上述の実施形態においては、光源として線形状のキセノン管を用いたが、点形状のLED(発光ダイオード)を用いても良い。
また、上述の実施形態においては、複数の各液体レンズ50を構成する第1の液体145が互いに連通可能にキャビティ基板143、3143、4143の隔壁が形成されている。しかし、複数のレンズ面151、3151を構成する液体が互いに連通しないように各液体レンズ50を区分けするようにキャビティ基板143、3143、4143の隔壁を形成してもよい。
10…キセノン管
11…キセノン管の光軸
20…リフレクタ
50…液体レンズ
141…第1の基板
142…第2の基板
143、3143、4143…キャビティ基板
145…第1の液体
146…第2の液体
148…液室
151、3151…レンズ面
240…シリンドリカルレンズ
2143、3144、4144…周囲壁
2143a、3144a…第1開口
2143b、3144b…第2開口
2143c、3144c…内側面
2148、3148、4148…隔壁
3010…プリズム

Claims (6)

  1. 第1の基板と、
    前記第1の基板と所定の間隙をもって対向配置された第2の基板と、
    前記第1の基板と前記第2の基板の間に配置され、対向する第1の開口と第2の開口を有し、前記第1の開口から前記第2の開口に向かって開口面積が広がるように内側面がテーパー形状を有する周囲壁と、
    前記第1の基板、前記第2の基板及び前記周囲壁によって囲まれて形成される液室を複数の領域に区分けする、前記第1の基板及び第2の基板に垂直な隔壁と、
    前記複数の領域それぞれに収容された屈折率の異なる2液の界面で形成され電気的に変形可能なレンズ面を有する液体レンズと、
    前記第1の開口側から前記液体レンズに対して光を照射する光源と
    を具備する可変照明装置。
  2. 請求項1に記載の可変照明装置であって、
    前記光源及び前記液体レンズは、それぞれの長手方向が互いに平行な線形状を有する可変照明装置。
  3. 請求項2に記載の可変照明装置であって、
    前記光源を収容し、前記光源から出射される光を反射し平行光として前記液体レンズに入射させる反射板と、
    前記光源と前記液体レンズとの間に、隣り合う前記液体レンズ間に対応して配置され、前記光源から出射され前記平行光と平行でない光を平行光として出射するシリンドリカルレンズと、
    を更に具備する可変照明装置。
  4. 請求項3に記載の可変照明装置であって、
    前記可変照明装置は2つの前記液体レンズを有し、
    前記光源は1つであり、
    前記光源は、2つの前記液体レンズの境界に対応して配置される可変照明装置。
  5. 請求項4に記載の可変照明装置であって、
    前記光源と前記液体レンズとの間に配置され、前記液体レンズに入射される光の光軸を、前記光源から出射される光の光軸に対して斜めに外側に広がるように変換する光学部材
    を更に具備する可変照明装置。
  6. 第1の基板と、
    前記第1の基板と所定の間隙をもって対向配置された第2の基板と、
    前記第1、第2の基板の間に配置され液室を形成する第3の基板と、
    前記液室内に収容された屈折率の異なる2液の界面で形成され電気的に変形可能な複数のレンズ面を有する液体レンズと、
    前記液体レンズに対して光を照射する光源と、
    前記光源と前記液体レンズ子との間に配置され、前記液体レンズに入射される光の光軸を、前記光源から出射される光の光軸に対して斜めに外側に広がるように変換する光学部材と、
    を具備する可変照明装置。
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