JP2011090054A - 可変光学素子、液体レンズアレイ素子、可変照明装置及び2次元/3次元画像切替表示装置 - Google Patents

可変光学素子、液体レンズアレイ素子、可変照明装置及び2次元/3次元画像切替表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エレクトロウェッティング現象を利用した可変光学素子において、例えば繰り返し動作の安定性、高温/低温保存の安定性、長期保存時の安定性等を向上させ、信頼性を向上させることである。
【解決手段】可変光学素子は、第1及び第2光透過性部材10,31と、それらの間に設けられた液体収容室41と、液体収容室41に収容された絶縁性の第1液体11と、液体収容室41に収容された導電性の第2液体12とを備える。さらに、可変光学素子は、第1電極22と、第2電極32と、第1絶縁膜23と、第2絶縁膜24とを備える構成とする。そして、第2絶縁膜24を、液体収容室41を画成する側壁21a,21bの第2光透過性部材31側の端面上に形成し、その表面を第1液体11より第2液体12に対して親和性を高くする。
【選択図】図2

Description

本発明は、エレクトロウェッティング現象を利用した可変光学素子、液体レンズアレイ素子、可変照明装置、及び、2次元/3次元画像切替表示装置に関する。
近年、エレクトロウェッティング現象(電気毛管現象)を用いた種々の光学素子及びそれを備えた光学装置が提案されている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。なお、エレクトロウェッティング現象は、例えば水等の導電性液体に電圧を印加すると、液体の界面張力が変化して、その界面が移動する現象である。
非特許文献1には、エレクトロウェッティング現象を利用した液体レンズが提案されている。非特許文献1に記載の液体レンズでは、液体に印加する電圧に応じて液体の界面形状を変化させ、レンズ効果をオン・オフ制御している。
また、特許文献1には、エレクトロウェッティング現象を利用した液体レンズを複数並べて(アレイ化して)構成したストロボ装置が提案されている。
特開2000−356708号公報
"Liquid Lens Technology: Principle of Electrowetting Based Lenses and Applications to Imaging" B.Berge, Proc. of IEEE Int’ 1 Conf. of MEMS 2005, pp.227-230
上述したエレクトロウェッティング現象を利用した光学素子は、一般に、導電性液体に電圧を印加するための一対の電極を備え、一方の電極の液体側には撥水性絶縁膜が形成され、他方の電極は直接、導電性液体に接触する構成となっている。そして、一対の電極間に電圧を印加することにより、撥水性絶縁膜の導電性液体に対する濡れ性(親和性)を変化させることにより、導電性液体の変形を促し、所望の特性を得る。
図15に、従来のエレクトロウェッティング現象を利用した光学素子をアレイ化して構成した照明装置の一般的な構成例を示す。照明装置300は、発光部2と、発光部2の光射出側に配置された液体レンズ部301とを備える。発光部2は、主に、光源4と、反射板5とで構成される。
また、図15には、液体レンズ部301内に、2つの液体レンズ3a及び3b(可変光学素子)を設ける例を示す。なお、各液体レンズは、第1液体11と、第1液体11と混和せず且つ第1液体と屈折率の異なる第2液体12とで構成され、両者の界面でレンズ効果を得る構成になっている。
ここで、液体レンズ部301の構成を、図16(a)及び(b)を参照しながら説明する。なお、図16(a)は、液体レンズ部301の発光部2側から見た側面図であり、図16(b)は、図16(a)中のC−C断面図である。
液体レンズ部301は、主に、光透過性を有する第1基材10と、液体収容部302と、第2基材部30と、封止部材40と、液体収容部302に封入された絶縁性の第1液体11及び導電性の第2液体12とで構成される。なお、本実施形態では、液体収容部302の一方の表面には、第1基材10が設けられ、他方の表面には、封止部材40を介して第2基材部30が設けられる。そして、液体レンズ部301内部には、2つの液体収容室41及び42が形成(画成)されており、各液体収容室には、第1液体11が第1基材10側に配置され、第2液体12が第2基材部30側に配置される。
液体収容部302は、2つの貫通穴が形成された液体収容部材21と、その貫通穴の壁面上に形成された第1電極22と、第1電極22上に形成された撥水性の絶縁膜23とを備える。なお、図16(b)に示す例では、液体収容室を分離する隔壁部21aと液体収容部302の側壁を形成する側壁部21bの第2基材部30側の端面上にも、絶縁膜23を形成する例を考える。
本発明者らが、上記構成の液体レンズ部301に対して種々の検証実験を行ったところ、例えば静置した状態で長期保存または高温下保存した場合や、振動を伴ったような状態で長期保存または高温下保存した場合、次のような問題が生じることが分かった。上記状況下に液体レンズ部301を置くと、液体収容室内の第1液体11に穴が開いたような状態なり、さらに、その穴が塞がらない現象が発生することが分かった。すなわち、液体レンズ部301を上記状況下に置くことにより、液体レンズ部301に不可逆的で且つ致命的なダメージが与えられることが分かった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、エレクトロウェッティング現象を利用した可変光学素子及びそれを用いた種々の光学装置において、上述した現象を防止し、例えば繰り返し動作の安定性、高温/低温保存の安定性、長期保存時の安定性等を向上させ、信頼性の向上を図ることである。
上記課題を解決するために、本発明の可変光学素子は、第1及び第2光透過性部材と、有底の液体収容室と、第1液体と、第2液体と、第1及び第2電極と、第1絶縁膜と、第2絶縁膜とを備える構成とし、各部の構成及び配置関係は次のようにする。液体収容室は、第1及び第2光透過性部材の間に設けられ、開口部が前記第2光透過性部材と対向する。第1液体は、液体収容室に収容され、光透過性を有し、且つ、絶縁性または無極性を有する。第2液体は、液体収容室に収容され、第1液体と混合せず、光透過性を有し、第1液体と異なる屈折率を有し、且つ、導電性または有極性を有する。第1及び第2電極は、液体収容室を画成する側壁の側面上、及び、第2光透過性部材の第2液体側にそれぞれ設けられ、第2液体に電圧を印加する。第1絶縁膜は、第1電極上に形成され、表面が第2液体より第1液体に対して高い親和性を有する。そして、第2絶縁膜は、液体収容室を画成する側壁の第2光透過性部材側の端面上に形成され、表面が第1液体より第2液体に対して高い親和性を有する。
また、本発明の液体レンズアレイ素子は、第1及び第2光透過性部材と、有底の複数の液体収容室と、第1液体と、第2液体と、第1及び第2電極と、第1絶縁膜と、第2絶縁膜とを備える構成とし、各部の構成及び配置関係は次のようにする。複数の液体収容室は、第1及び第2光透過性部材の間に並列配置して設けられ、開口部が第2光透過性部材と対向する。第1液体は、各液体収容室に収容され、光透過性を有し、且つ、絶縁性または無極性を有する。第2液体は、各液体収容室に収容され、第1液体と混合せず、光透過性を有し、第1液体と異なる屈折率を有し、且つ、導電性または有極性を有する。第1及び第2電極は、各液体収容室を画成する側壁の側面上、及び、第2光透過性部材の第2液体側にそれぞれ設けられ、第2液体に電圧を印加する。第1絶縁膜は、第1電極上に形成され、表面が第2液体より第1液体に対して高い親和性を有する。そして、第2絶縁膜は、各液体収容室を画成する側壁の第2光透過性部材側の端面上に形成され、表面が第1液体より第2液体に対して高い親和性を有する。
また、本発明の可変照明装置は、上記本発明の液体レンズアレイ素子と、液体レンズアレイ素子の第2液体側に配置され、液体レンズアレイ素子に光を出射する発光部とを備える構成とする。
さらに、本発明の2次元/3次元画像切替表示装置は、上記本発明の液体レンズアレイ素子と、液体レンズアレイ素子の第2液体側に配置された表示パネル表示パネルと、液体レンズアレイ素子の第1液体側に配置された固定レンズアレイ部とを備える構成とする。そして、固定レンズアレイ部は、複数の液体収容室とそれぞれ対向する位置に配置され、且つ、2次元画像表示時の第1液体及び第2液体間の界面における負の屈折力を相殺する正の屈折力を有する複数の固定焦点レンズで構成する。
上述のように、本発明では、液体収容室を画成する側壁部の第2光透過性部材側の端面に、第1液体より第2液体に対して高い親和性を有する第2絶縁膜を形成する。本発明によれば、この特徴により、エレクトロウェッティング現象を利用した可変光学素子及びそれを用いた種々の光学装置において、例えば繰り返し動作の安定性、高温/低温保存の安定性、長期保存時の安定性等を向上させ、信頼性の向上を図ることができる。なお、この効果が得られる原理については後で詳述する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る照明装置の概略構成図である。 図2(a)は、第1の実施形態の照明装置における液体レンズ部の発光部側から見た概略側面図であり、図2(b)は、図2(a)中のA−A断面図である。 図3は、第1の実施形態における液体レンズ部の親水化処理の手法を説明するための図である。 図4(a)は、第1の実施形態の液体収容部材の発光部側から見た概略側面図であり、図4(b)は、図4(a)中のB−B断面図である。 図5は、第1の実施形態の照明装置の動作を説明するための図である。 図6は、第1の実施形態の照明装置の動作を説明するための図である。 図7は、第1液体及び第2液体間の界面の接触角の定義を説明するための図である。 図8は、第1の実施形態の照明装置の配光特性を示す図である。 図9は、各種実施例における液体レンズ部の耐振性能を示す図である。 図10は、変形例1の液体レンズ部の概略構成図である。 図11は、従来の液体レンズを適用した2D/3D表示装置における2Dモード時の動作状態を示す図である。 図12は、従来の液体レンズを適用した2D/3D表示装置における3Dモード時の動作状態を示す図である。 図13は、本発明の第2の実施形態に係る2D/3D表示装置における2Dモード時の動作状態を示す図である。 図14は、第2の実施形態の2D/3D表示装置における3Dモード時の動作状態を示す図である。 図15は、従来の液体レンズを適用した照明装置の概略構成図である。 図16(a)は、従来の液体レンズを適用した照明装置における液体レンズ部の発光部側から見た概略側面図であり、図16(b)は、図16(a)中のC−C断面図である。 図17(a)及び(b)は、従来の液体レンズを適用した照明装置における課題を説明するための図である。
以下に、本発明の実施形態に係る可変光学素子を用いた光学装置の構成例を、図面を参照しながら以下の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.第1の実施形態:照明装置(ストロボ装置)の構成例
2.第2の実施形態:2次元/3次元画像切替表示装置の構成例
<1.第1の実施形態>
第1の実施形態では、本発明の実施形態に係る可変光学素子を用いた照明装置(可変照明装置)について説明する。ただし、その前に、上述した状況下(例えば静置した状態で長期保存または高温下保存した場合、振動状態で長期保存または高温下保存した場合)に、従来の液体レンズを置いた際に生じる問題について、より具体的に説明する。
通常、エレクトロウェッティング現象を用いた液体レンズでは、高温時に、液体の表面張力の温度依存性に伴って、絶縁膜面上での第1液体11及び第2液体12間の界面の角度が変化し、第1液体11に穴が空いた(第1液体11が分断された)現象が生じる。しかしながら、常温に戻ると、第1基材10の液体が触れる領域は撥水性を有する絶縁膜で被覆されていることが多いので、第2液体12が第1基材10に弾かれ、その結果、液体収容室内で分断された第1液体11は再度つながり(穴が塞がり)、元の状態に戻る。
しかしながら、本発明者らは、図16(a)及び(b)に示す液体レンズ部301を上述した状況下で置いた場合、液体収容室内で第1液体11に穴が開いたような状態なり、さらに、その穴が塞がらない現象が発生することが分かった。この状態を観察したところ、所期設計では液体収容部材21の第2液体12のみが接する領域、例えば、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上に第1液体11が漏れ出していることが確認された。
この現象は、長期保存や高温保存、さらには振動ストレスの増長等により、例えば次のような変化等が発生したことが原因であると考えられる。
(1)温度変化による液体の比重変化。
(2)絶縁膜23の濡れ性の経時変化。
(3)振動等により発生する第1液体11の動的な動きに伴う過渡挙動。
図17(a)及び(b)に、そのような状態の様子を示す。なお、図17(a)は、液体レンズ部301の発光部2側から見た側面図であり、図17(b)は、図17(a)中のD−D断面図である。なお、図17(a)及び(b)に示す例では、液体収容室41内の第1液体11の一部が漏れ出した例を示す。
液体収容室41から第1液体11b及び11cが、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面にそれぞれ漏れ出すと、その漏れ出た第1液体11b及び11cの量だけ、液体収容室41内の第1液体11の量が減少する。それゆえ、漏れ出した第1液体11b及び11cの量が多いと、図17(a)及び(b)に示すように、第2液体12が直接第1基材10に接してしまう。この結果、液体収容室41内では、第2液体12により第1液体11が分断された状態となり、第1液体11に穴12aが形成される。
また、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面は、撥水性を有する絶縁膜23が形成されており、且つ、その端面には電極が形成されていないので、この領域では、エレクトロウェッティング現象が発生しない。そのため、駆動電圧を印加しても、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの端面では、絶縁膜23の濡れ性が親油性(撥水性)から親水性に変化しないので、漏れ出した第1液体11b及び11cは、その場所で安定して存在することができる。
それゆえ、エレクトロウェッティング現象が生じない領域に第1液体11の一部11b及び11cが漏れ出すと、それらが液体収容室41に戻らなくなる。その結果、第1液体11に形成された穴12aは塞がらず、液体レンズ部301が正常動作しなくなる。
また、液体収容室41から漏れ出た第1液体11b及び11cの量がさらに多いと、隔壁部21aの第2基材部30側の端面を介して、2つの液体収容室41及び42内の第1液体11同士がつながり一体化した状態になる可能性もある。
そこで、本実施形態では、上述した液体収容室からの第1液体11の漏れ出しを抑制できる液体レンズ及びそれを用いた照明装置の構成例を説明する。
[照明装置の構成]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る照明装置(可変照明装置)の概略構成を示す。本実施形態の照明装置1は、発光部2と、液体レンズ部3(液体レンズアレイ素子)とを備える。
発光部2は、主に、光源4と、反射板5とで構成される。光源4は、例えばキセノン管やLED(Light-Emitting Diode)等で構成される。なお、光源4として、例えば一方向に延在した形状のキセノン管を用いた場合には、反射板5及び後述する液体レンズもそのキセノン管の形状に合わせてシリンドリカル形状にすることが好ましい。
反射板5は、例えばAl(アルミニウム)等で形成された高反射率の板状部材で構成される。反射板5の断面は、例えば放物線、楕円等の形状とし、光源4から発生された光を絞ることができる形状とする。また、反射板5は、光源4から出射された光を絞ることができる位置に配置される。例えば、反射板5の断面形状を放物線状とした場合には、光源4の位置が、放物線の焦点位置となるように反射板5を配置する。
液体レンズ部3は、発光部2の光射出側に配置される。なお、本実施形態では、液体レンズ部3内に、2つの液体レンズ3a及び3b(可変光学素子)を設ける。そして、本実施形態では、液体レンズ部3の中心に対して対称な位置に2つの液体レンズ3a及び3bを配置する。なお、液体レンズ部3内に設ける液体レンズの数は、この例(2個)に限定されず、例えば用途、必要とする配光特性等に応じて適宜設定できる。
また、各液体レンズは、第1液体11と、第1液体11と混和(混合)せず且つ第1液体と屈折率の異なる第2液体12とで構成され、両者の界面でレンズ効果を得る構成になっている。なお、本実施形態では、2つの液体レンズ3a及び3bは、同じ構成を有する。
第1液体11は、絶縁性または無極性の光透過性液体で構成される。無極性の液体材料としては例えばヘキサン等を用いることができる。また、絶縁性の液体材料としては、例えばシリコーンオイル等を用いることができる。本実施形態の照明装置1では、第1液体11及び第2液体12間の屈折率差を大きくすることによりレンズ効果が得るので、第1液体11としては、例えばシリコーンオイル等の高屈折率材料を用いることが好ましい。
第2液体12は、導電性または有極性の光透過性液体で構成される。有極性の液体材料としては、例えば純水等を用いることができる。また、導電性の液体材料としては、例えば塩を溶かした水溶液等を用いることができる。なお、照明装置1において高い信頼性を得るためには、第2液体12としては、広い温度範囲で安定して液体として存在する液体材料を選定する必要がある。それゆえ、第2液体12としては、例えば塩化リチウム水溶液(20wt%)等を用いることが好ましい。
なお、第1液体11及び第2液体12として、上述のように、互いに混和せず、屈折率の異なる液体材料を選択するが、さらに、液体レンズのより安定した動作を得るために、第1液体11の比重と第2液体12の比重を同じにすることが好ましい。ただし、液体レンズのサイズが小さい場合には、液体レンズへの重力の影響より、液体間の表面張力の影響が大きくなるので、両者の比重が互いに異なっていてもよい。また、第1液体11及び第2液体12はともに、可変光学部材として使用するので、透明で粘度の小さな液体材料であることが好ましい。
本実施形態の照明装置1では、第2液体12に駆動電圧を印加して、第1液体11及び第2液体12間の界面形状を変化させることにより、各液体レンズ3a,3bの焦点距離を変化させ、照明装置1から出射される光の配光性(光の広がり度)を変化させる。
なお、本実施形態の照明装置1では、発光部2と、液体レンズ部3とを接続する部分に光源4からの光に含まれる紫外線を遮断する光学フィルムを設けることが好ましい。この場合、液体レンズを構成する液体材料の劣化を抑制することができる。
[液体レンズ部の構成]
ここで、液体レンズ部3の構成を、図2(a)及び(b)を参照しながらより詳細に説明する。なお、図2(a)は、液体レンズ部3の発光部2側から見た側面図であり、図2(b)は、図2(a)中のA−A断面図である。ただし、図2(b)では、説明の便宜上、後述する第1電極22の電極端子22a及びその引出電極22bも示す。
液体レンズ部3は、主に、第1基材10(第1光透過性部材)と、液体収容部20と、第2基材部30と、封止部材40と、液体収容部20に封入された第1液体11及び第2液体12とで構成される。
なお、本実施形態では、液体収容部20の一方の表面には、第1基材10が設けられ、他方の表面には、封止部材40を介して第2基材部30が設けられる。そして、液体レンズ部3内部には、2つの液体収容室41及び42が形成(画成)されており、各液体収容室内では、第1液体11が第1基材10側に配置され、第2液体12が第2基材部30側に配置される。
第1基材10は、光透過性の板状部材であり、例えばガラス、樹脂等の光透過性材料(透明性材料)で形成される。なお、図2(b)に示すように、第1基材10は、第1液体11と接するので、第1液体11に対して腐食性の少ない材料(例えばガラス等)を用いることが好ましい。
なお、第1基材10の第1液体11と接する面は、第1液体11に対して親和性を有する面(撥水面)であることが好ましい。第1基材10の第1液体11と接する面を撥水面にするために、第1基材10の形成材料として、例えばPMMA(Polymethyl methacrylate)等の撥水性材料を用いてもよい。また、第1基材10の第1液体11と接する部分に撥水膜(例えばフッ素コート膜等)を形成してもよい。さらに、第1基材10には、例えば用途等に応じて、例えば反射防止フィルムやフレネルレンズ等の光学機能を適宜付加してもよい。
液体収容部20は、液体収容部材21と、第1電極22と、絶縁膜23(第1絶縁膜)と、親水化絶縁膜24(第2絶縁膜)とで構成される。
液体収容部材21は、第1基材10に比べて肉厚の透明性板状部材で構成される。なお、本実施形態では、後述するように、高アスペクト比の微細構造パターンが形成可能な例えばレジスト材料等で液体収容部材21を形成する。本実施形態では、液体レンズ部3内に2つの液体レンズ3a及び3bを構成するので、液体収容部材21に、その厚さ方向に沿って2つの貫通穴を設ける。
なお、本実施形態では、その貫通穴の開口形状を略矩形状とし、その短辺部の形状を円弧状とする(図2(a)参照)。そして、本実施形態では、その貫通穴を画成する液体収容部材21の側壁面上に第1電極22を形成し、さらに、第1電極22上に絶縁膜23を形成する。また、液体収容部材21の貫通穴の一方の開口端(第1液体11側の開口端)は、第1基材10により直接封止される。これにより、第1基材10の液体側に露出した表面、及び、絶縁膜23により、液体レンズ部3内に、2つの液体収容室41及び42が画成される。なお、2つの液体収容室41及び42の間隔、すなわち、2つの液体収容室41及び42間の隔壁部21aの厚さはできる限り薄くすることが好ましい。
本実施形態では、各液体収容室の開口部を略矩形状とするので、各液体収容室にはシリンドリカル状の液体レンズが形成される。すなわち、本実施形態では、2つのシリンドリカル状の液体レンズ3a及び3bを一方向に配列(並列配置)した構成となる。ただし、本発明はこれに限定されない。液体収容室の開口部を円形とし、液体収容室内に球面状の液体レンズを形成してもよい。この場合、複数の液体収容室(液体レンズ)が2次元状に配置される。このような構成では、各液体レンズの液体界面の変位を安定駆動することができる。なお、液体レンズに入射される光の利用効率という点では、本実施形態のように、液体レンズをシリンドリカル状にする方が有利である。
なお、本実施形態では、液体収容部材21の隔壁部21aの第1基材10側の端部近傍に、隔壁部21aの厚さ方向に沿って微小な貫通穴を形成し、2つの液体収容室41及び42間で第1液体11が流通する構成にしてもよい。このような構成にすると、第1液体11及び第2液体12間の界面の高さを全ての液体収容室で均一にすることができ、より安定した動作が可能になる。
第1電極22は、例えばITO(Indium-Tin-Oxide)等の透明電極材料で形成される。なお、第1電極22は、液体収容室41及び42の側面において、少なくとも、第1液体11と第2液体12との界面が接する部分に形成する。また、第1電極22は、その引出電極22b及び電極端子22aを介して、外部の駆動電源の一方の端子に接続される。
絶縁膜23は、例えばポリパラキシレン、酸化タンタル等で形成することができる。なお、エレクトロウェッティング現象を利用する液体レンズでは、液体収容室41及び42の側面において、少なくとも第1液体11と第2液体12との界面が接する部分は撥水面にする必要がある。それゆえ、絶縁膜23は、撥水性と絶縁性とを兼ね備えた例えばポリパラキシレン等の撥水性絶縁材料で形成することが好ましい。なお、本発明はこれに限定されず、絶縁膜23上に、別途、撥水膜(例えばフッ素コート膜等)を形成してもよい。本実施形態では、絶縁膜23を、撥水性及び絶縁性だけでなく光透過性も有するポリパラキシレンで形成する例を説明する。
なお、本実施形態のように、液体収容部材21、第1電極22及び絶縁膜23を透明性材料で形成した場合、より明るい光学特性が得られる。ただし、本発明はこれに限定されず、液体収容部材21を、例えば不透明材料で形成してもよい。この場合、第1電極22を例えばAlSi等の高反射率を有する材料で形成し、且つ、絶縁膜23を例えばポリパラキシレン等の透明性材料で形成すれば、より高い光学特性が得られる。
親水化絶縁膜24は、その表面が、第1液体11より第2液体12に対して親和性の高い性質(親水性)を有する絶縁膜である。本実施形態では、親水化絶縁膜24を、例えばポリパラキシレン等の撥水性絶縁材料で形成し、さらに、その表面を、例えば酸素プラズマ法、UV(Ultraviolet)オゾン法等の表面処理技術で親水化処理して、親水性表面を露出させることにより形成する。すなわち、本実施形態では、親水化絶縁膜24の第2液体12側の表面層のみが親水性を有する。なお、本発明はこれに限定されず、絶縁膜上に例えばポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂等の親水性材料をコーティングして親水化絶縁膜24を形成してもよい。
また、本実施形態では、親水化絶縁膜24を、2つの液体収容室41及び42を分離する隔壁部21aの第2基材部30側の端面上、並びに、液体収容部20の側壁を形成する側壁部21bの第2基材部30側の端面上に形成する。
第2基材部30は、第2基材31(第2光透過性部材)と、第2基材31の液体収容部20側に形成された第2電極32とで構成される。
第2基材31は、第1基材10と同様に、光透過性の板状部材であり、例えばガラス、樹脂等の光透過性材料(透明性材料)で形成される。なお、本実施形態では、第2基材31に、固定の光学機能(例えばレンズ機能等)を持たせてもよい。
本実施形態では、第2電極32を光源4から出射された光の光路上に配置されるので(図1参照)、第2電極32は、第1電極22と同様に、例えばITO等の透明電極材料で形成することが好ましい。また、第2電極32は、液体レンズ部3の外部に引き出された電極端子32aを介して、外部の駆動電源の他方の端子に接続される。
なお、図2(b)に示す例では、第2基材31の液体収容部20側の表面全面に渡って第2電極32を形成する例を示すが、本発明はこれに限定されない。第2電極32は、第2基材31の液体収容部20側の第2液体12と接する領域に形成されていればよい。第2電極32を光源4から出射された光の光路上以外の領域に形成した場合には、第2電極32を透明性材料以外の材料で形成してもよい。
封止部材40(ギャップ形成部材)は、例えば、所定膜厚の樹脂フィルムや、樹脂製またはシリカ製等のビーズなどで構成される。なお、本実施形態では、第1液体11の液体収容室からの漏れ出しをより一層抑制するために、封止部材40の表面を親水化処理、または、親水膜をコーティングすることが好ましい。
上述のように、本実施形態の液体レンズ部3では、親水化絶縁膜24を、2つの液体収容室41及び42を分離する隔壁部21a、並びに、液体収容部20の側壁を形成する側壁部21bの第2基材部30側の端面上にそれぞれ形成する。これにより、液体レンズ部3に例えば振動等が与えられても、親水化絶縁膜24の表面は第1液体11を弾く性質を有するので、各液体収容室内の第1液体11が液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上に漏れ難くなる。また、たとえ、第1液体11が液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上に漏れ出しても、第1液体11が安定して存在し得る領域がないので、第1液体11は再度、液体収容室に戻り易くなる。
それゆえ、本実施形態の照明装置1では、液体収容室からの第1液体11の漏れ出しを抑制することができ、例えば繰り返し動作の安定性、高温/低温保存の安定性、長期保存時の安定性等を向上させ、信頼性の向上を図ることができる。
[液体レンズ部の作製手法]
ここで、本実施形態の液体レンズ部3の作製手法を簡単に説明する。まず、第1基材10となる基板を用意し、その基板を洗浄する。具体的には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等のガラス基板の洗浄工程にも用いられる洗剤等を用いて、超音波基板洗浄機にて基板を洗浄する。次いで、脱イオン水にて十分に洗剤を除去する。そして、UVオゾンドライ処理装置において、ドライ洗浄を行う。
次いで、洗浄された基板(第1基材10)上に、スピンコート法により、レジスト材料を均一に成膜する。次いで、フォトリソ法により、2つの液体収容室41及び42の領域のレジスト材料のみを除去して、所望の形状を有する液体収容部材21を第1基材10上に形成する。なお、本実施形態では、レジスト材料として、高アスペクト比の微細構造パターンが形成可能な例えば化薬マイクロケム社製SU8等のレジスト材を用いる。また、例えば化薬マイクロケム社製SU8のドライフィルム等を用いることで、さらに厚膜で、アスペクト比の大きな微細構造を形成させることも可能である。
次いで、液体収容部材21が形成された第1基材10を真空チャンバー内に配置し、液体収容部材21の微細構造部(2つの液体収容室41及び42の側壁部)に、例えばスパッタ法等の手法により透明電極膜(ITO)を積層して第1電極22を形成する。なお、この際、2つの液体収容室41及び42の側壁部の深さ方向に第1電極22を均一に形成するために、液体収容部材21が形成された第1基材10を真空チャンバー内で自転及び公転させながらITO膜を成膜することが好ましい。
次いで、第1電極22上に、ポリパラキシレン誘導体の原料(Kisco株式会社製dixC)をCVD(Chemical Vapor Deposition)コーティングし、絶縁膜23を形成する。本実施形態では、この際、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上にもポリパラキシレンからなる絶縁膜を形成する。なお、絶縁膜23の厚みは約0.1〜5μm程度とする。また、CVDコーティングの条件は、ポリパラキシレン誘導体の原料の製造メーカが推奨する条件とする。
次いで、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上に形成された絶縁膜を親水化処理する。具体的には、まず、2つの液体収容室41及び42の開口部をマスキングテープで被覆する。
図3に、その様子を示す。なお、図3は、2つの液体収容室41及び42の開口部側から見た液体収容部材21の概略側面図である。上述したポリパラキシレン誘導体をCVDコーティングした後は、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上には、その全面に渡ってポリパラキシレンからなる絶縁膜25が形成される。そして、2枚のマスキングテープ80が、それぞれ2つの液体収容室41及び42の開口部を塞ぐように取り付けられる。ただし、マスキングテープ80の形状は液体収容室の開口部と同じであり、マスキングテープ80のサイズは液体収容室の開口部より若干大きくする。
次いで、親水化処理を施さない2つの液体収容室41及び42の開口部をマスキングテープで被覆した状態で、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの端面を、親水化処理して、隔壁部21a及び側壁部21bの端面に親水性表面を露出させる。この際、マスキングテープ80で被覆されていない領域が親水化処理される。なお、親水化処理の手法としては、例えばUVオゾン法や、さらに強度的に強い酸素プラズマ法等の表面処理技術を用いることができる。そして、所定時間、親水化処理を行ったあと、マスキングテープ80を剥離する。
図4(a)及び(b)に、上述した親水化処理後の、第1基材10及び液体収容部20からなる構成部材の概略構成を示す。なお、図4(a)は、2つの液体収容室41及び42の開口部側から見た第1基材10及び液体収容部20からなる構成部材の側面図であり、図4(b)は、図4(a)中のB−B断面図である。上述した親水化処理により、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面の全面に渡って形成されていた絶縁膜25は、親水化絶縁膜24に変わる。なお、本発明はこれに限定されず、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの端面に形成された絶縁膜25上に親水膜を、別途、コーティングしてもよい。
本実施形態では、上述のようにして、第1基材10及び液体収容部20を作製する。また、上記第1基材10及び液体収容部20の製造プロセスとは、別個に、液体レンズ部3の第2基材部30を次のようにして作製する。
まず、第2基材31となる基板を用意し、その基板を洗浄する。具体的には、例えばLCD等のガラス基板の洗浄工程にも用いられる洗剤等を用いて、超音波基板洗浄機にて基板を洗浄する。次いで、脱イオン水にて十分に洗剤を除去する。そして、UVオゾンドライ処理装置において、ドライ洗浄を行う。
次いで、洗浄された基板(第2基材31)を真空チャンバー内に配置し、第2基材31上に、例えばスパッタ法等の手法により透明電極膜(ITO)を積層して第2電極32を形成する。本実施形態では、このようにして、第2基材部30を作製する。
次に、上述のようにして作製された第1基材10及び液体収容部20からなる構成部材に形成された2つの液体収容室41及び42内に、第1液体11及び第2液体12を注入する。具体的には、まず、2つの液体収容室41及び42の側壁に形成された絶縁膜23(撥水膜)上に第1液体11となるオイル材料を塗布する。そして、2つの液体収容室41及び42の開口端部(上端)から、一定速度で、第2液体12となる水を2つの液体収容室41及び42内に流し入れる。これにより、2つの液体収容室41及び42内に第1液体11及び第2液体12を注入する。
次いで、第1基材10及び液体収容部20からなる構成部材の液体収容部材21側の表面と、第2基材部30の第2電極32側の表面との距離が、約10〜500μmとなるように、封止部材40を介して、両者を貼り合わせる。この際、封止部材40及び封止用接着剤を用いて、第1基材10及び液体収容部20からなる構成部材の液体収容部材21と第2基材部30とを接着固定する。
そして、最後に、第1電極22及び第2電極32と、外部駆動装置(外部電源)とを接続する。本実施形態では、このようにして、液体レンズ部3を作製する。
[照明装置の動作]
次に、本実施形態の照明装置1の動作について、図5及び6を参照しながら説明する。なお、図5は、液体レンズ部3に駆動電圧を印加しない場合の状態を示し、図6は、液体レンズ部3に所定の電圧値Vの駆動電圧を印加した際の状態を示す。なお、本実施形態では、液体レンズ部3に所定の電圧値Vの駆動電圧を印加した際、各液体レンズ内の第1液体11及び第2液体12間の界面と、絶縁膜23との間の接触角が90度になるように、各液体の形成材料(屈折率)及び所定の電圧値V等が調整される。
ただし、本発明はこれに限定されず、駆動電圧を印加した際における、第1液体11及び第2液体12間の界面と絶縁膜23との間の接触角θの値は90度以外の値であってもよい。駆動電圧印加時の接触角θの値は、例えば必要とする照明装置1の配光特性等に応じて適宜設定することができる。
ここで、本明細書における第1液体11及び第2液体12間の界面と絶縁膜23との間の接触角θの定義を、図7を参照しながら説明する。なお、図7は、第1液体11及び第2液体12間の界面と、絶縁膜23との間の接触角θの定義を示す図である。本実施形態では、接触角θは、第1液体11及び第2液体12間の界面と絶縁膜23との接点における界面の接線方向と、絶縁膜23との間の角度とする。そして、図7において、第1液体11及び第2液体12間の界面と絶縁膜23との接点における界面の接線方向に対して時計周り方向の角度を正の値とする。
液体レンズ部3に駆動電圧を印加しない場合(図5の場合)、第1液体11及び第2液体12間の界面が接する絶縁膜23は撥水性を有するので、絶縁膜23と親和性の高い第1液体11が絶縁膜23の表面上に広がろうとする。それゆえ、液体レンズ部3に駆動電圧を印加しない場合には、第1液体11及び第2液体12間の界面と、絶縁膜23との間の接触角θは、90度より小さくなり、第1液体11及び第2液体12間の界面形状は、光源4側から見て凹状となる。
この場合、光源4から入射される光に対して、2つの液体レンズ3a及び3bは凹レンズ(負の屈折力を有するレンズ)として作用する。それゆえ、液体レンズ部3に駆動電圧を印加しない場合には、光源4から2つの液体レンズ3a及び3bに入射された光は、その配光が広がるように、第1液体11及び第2液体12間の界面で屈折する。
一方、液体レンズ部3に所定の電圧値Vの駆動電圧を印加した場合(図6の場合)、エレクトロウェッティング現象により、第2液体12の絶縁膜23に対する濡れ性(親和性)が向上する。この結果、第2液体12が絶縁膜23の表面上に広がろうとするので、第1液体11及び第2液体12間の界面は、その接触角θが大きくなるように変形する。本実施形態では、この際、第1液体11及び第2液体12間の界面の接触角θが90度となり、両者の界面形状はフラットになる。
この場合、光源4から2つの液体レンズ3a及び3bに入射される光は、第1液体11及び第2液体12間の界面で屈折せず、直進する。すなわち、2つの液体レンズ3a及び3bは、光源4から入射される光に対して、レンズとして機能しない。それゆえ、この場合には、2つの液体レンズ3a及び3bに入射される光の指向性は変化せず、その配光は狭くなる。
図8に、本実施形態の照明装置1の配光特性を示す。図8中の横軸は、液体レンズ部3から出射される光の角度であり、縦軸は、出射光の露光量(光量)である。なお、図8の横軸に示す角度では、液体レンズ部3の厚さ方向を0度とする。
図8中の黒菱形印で示された特性61が、液体レンズ部3に駆動電圧を印加しない場合(図5の場合)の配光特性である。この特性61から明らかなように、液体レンズ部3に駆動電圧を印加しない場合には、約±30度の範囲で略均一の露光量が得られ、配光が広がることが分かる。
また、図8中の白抜き菱形印で示された特性62が、液体レンズ部3に駆動電圧を印加した場合(図6の場合)の配光特性である。この特性62から明らかなように、液体レンズ部3に駆動電圧を印加した場合には、0度の角度付近で光の露光量が最大となり、それ以外の角度では急激に露光量が低下する特性が得られ、配光が狭くなることが分かる。
[耐振性試験]
また、本実施形態では、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上にポリパラキシレンからなる絶縁膜25を形成し、その絶縁膜25の表面を親水化処理する時間を種々変えて液体レンズ部3を作製した。そして、その親水化処理時間の異なる種々の液体レンズ部3に対して耐振性試験を行った。なお、親水化処理には、UVオゾン法を用い、親水化処理時間以外は、全て同じ条件で液体レンズ部3を作製した。すなわち、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上に形成される親水化絶縁膜24の構成以外は、同じ構成とした。
具体的には、親水化処理時間を3分(実施例1)、5分(実施例2)、10分(実施例3)及び20分(実施例4)とした液体レンズ部3を用意した。また、比較のため、親水化処理を行わなかった液体レンズ部(比較例)も作製し、同様に耐振性試験を行った。なお、比較例の液体レンズ部の具体的な構成は、図16(a)及び(b)で説明した従来の液体レンズを用いた液体レンズ部301と同様の構成である。
ここで、上記実施例1〜4及び比較例における親水化処理時間と、水との接触角との関係について簡単に説明する。この関係を調べるために、上記実施例1〜4及び比較例の液体レンズ部3と同じ条件でポリパラキシレンをスライドガラス上に成膜し、次いで、親水化処理時間を上記実施例1〜4及び比較例に対応した時間で変化させた種々の接触角測定用サンプルを用意した。そして、各種接触角測定用サンプルの表面に水(第2液体11)を滴下し、その接触角を測定した。その結果を下記表に示す。
Figure 2011090054
上記表1の結果から明らかなように、親水化処理時間を10分程度以上行うと、接触角が飽和することが分かる。
次に、本実施形態で行った耐振性試験について説明する。この耐振性試験では、実施例1〜4及び比較例の液体レンズ部3のサンプルをそれぞれ10個用意した。
そして、各サンプルを、70℃の高温環境の下で、3次元(X、Y及びZ方向)の各方向に、2時間ずつ、全振幅幅1.5mm、掃引速度10Hzで振動させる。次いで、液体レンズ部3のサンプルを常温環境中に1時間放置する。その後、目視観測で正常品の数を測定する。耐振性試験では、このサイクルを繰り返す。
なお、目視観測では、液体収容室の第1基材10側の面、または、第1基材10側及び第2基材部30側の両面で、第1液体に穴(開口)が空いたような形状が見られた場合、そのサンプルを不良品と判定した。
図9に、耐振性試験の結果を示す。なお、図9中の特性の横軸は、耐振性試験の時間であり、対数表示で示す。一方、図9中の特性の縦軸は正常品の数である。
図9の特性から明らかなように、比較例(親水化未処理)では、48時間後に正常品が2個程度に減少し、100時間前に正常品が無くなる。それに対して、実施例1〜4では、100時間以上、振動させても正常動作品が得られた。
また、図9の特性から親水化処理時間が長くなると、正常品の残存時間が長くなることが分かる。具体的には、実施例1では、100時間後に2個は正常品として残り、実施例2では120時間後で2個は正常品として残る。さらに、実施例3及び4では、1000時間経過しても、約80〜90%のサンプルが正常品として残る結果が得られた。なお、正常品と判定されたサンプルに外部電源を接続して駆動したところ、所期の動作特性が得られた。
上記耐振性試験の結果から、本実施形態のように、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面に親水化絶縁膜24することにより、液体レンズ部3の耐振性が向上することが分かった。このことから、本実施形態の液体レンズ部3では、2つの液体収容室41及び42から第1液体11が漏れ難くなっていることが分かる。それゆえ、この耐振性試験の結果からも、本実施形態の照明装置1では、例えば繰り返し動作の安定性、高温/低温保存の安定性、長期保存時の安定性等を向上させ、信頼性の向上を図ることができることが確認された。
[変形例]
上記第1の実施形態では、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面に親水化絶縁膜24を形成する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面だけでなく、液体収容室内の第1液体11が常時接する側壁部にも親水化絶縁膜を形成してもよい。変形例では、その一構成例を説明する。
図10に、変形例の液体レンズ部の概略構成を示す。なお、図10において、上記第1の実施形態の液体レンズ部3(図2(b))と同じ構成には、同じ符号を付して示す。図10(変形例)と図2(b)(第1の実施形態)との比較から明らかなように、変形例の液体レンズ部50では、液体収容部51内の親水化絶縁膜52の構成が異なり、それ以外の構成は、上記第1の実施形態の液体レンズ部3と同様の構成である。
この例の液体レンズ部50では、親水化絶縁膜52を、液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面から各液体収容室の開口付近の側壁面に渡って形成する。このような構成にすると、2つの液体収容室41及び42内にも、第1液体11に対して親和性の低い領域、すなわち、第1液体11を弾く領域が形成されるので、第1液体11は、親水化絶縁膜52より第2基材部30側に一層移動し難くなる。それゆえ、この例では、液体収容室からの第1液体11の漏れ出しを一層抑制することができ、この例の液体レンズ部50を用いた照明装置では、その信頼性をより向上させることができる。
なお、この例の液体レンズ部50では、エレクトロウェッティング現象を利用するので、液体収容室41及び42の側面において、第1液体11と第2液体12との界面が接する部分は撥水面とする必要がある。それゆえ、親水化絶縁膜52を、この例のような構成にする場合、親水化絶縁膜52は、第1液体11と第2液体12との界面と、各液体収容室の側面との接触部分より、第2基材部30側に形成する。
具体的は、第1液体11と第2液体12との界面と各液体収容室の側面との接触部分は、駆動電圧を印加しない状態(図5の状態)で、最も第2基材部30側に位置することとなる。それゆえ、親水化絶縁膜52をこの例のような構成にする場合には、駆動電圧を印加しない状態(図5の状態)における液体間の界面と各液体収容室の側面との接触部分の位置より、第2基材部30側に親水化絶縁膜52を形成する必要がある。
<2.第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、本発明の可変光学素子(液体レンズ)を照明装置(ストロボ)に適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、様々な用途に適用可能である。第2の実施形態では、その一例として、本発明の可変光学素子を2次元/3次元画像切替表示装置(以下、2D(Dimension)/3D表示装置という)に適用した例を説明する。
従来、2次元表示モードと、3次元表示モードとを切り替え表示する2D/3D表示装置として、複数の液晶レンズからなる可変レンズアレイを用いたものが提案されている。例えば、「Dick K.G. de Boer, Martin G.H. Hiddink, Maarten Sluijter, Oscar H. Willemsen and Siebe T. de Zwart,“Switchable lenticular based 2D/3D displays”,SPIE Vol. 6490, 64900R(2007)」に、そのような構成が記載されている。
上述のような2D/3D表示装置では、2次元表示モード(以下、2Dモードという)時には、レンズアレイをレンズ効果の無い状態(屈折力の無い状態)に切り替え、2次元表示装置からの表示画像光をそのままの状態で通過させる。一方、3次元表示モード(以下、3Dモードという)時には、レンズアレイを、レンズ効果を発生させた状態(例えば正の屈折力を有する状態)に切り替え、2次元表示装置からの表示画像光を複数の視野角方向に偏向させることで立体視を実現する。
上述のように、3Dモード時には、正の屈折力を有するレンズアレイが必要となるが、エレクトロウェッティング現象を利用した液液体レンズは、上記第1の実施形態で説明したように、負の屈折力を有する。それゆえ、液体レンズを2D/3D表示装置に適用する場合には、負の屈折力を有し且つ焦点距離が可変の液体レンズアレイと、正の屈折力を有し且つ焦点距離が固定のシリンドリカルレンズアレイとを組み合わせて用いる。
図11及び12に、液体レンズを適用した2D/3D表示装置の一構成例を示す。なお、図11及び12には、従来の液体レンズを適用した構成例を示す。また、図11は、2Dモード時における2D/3D表示装置の動作状態を示す図である。一方、図12は、3Dモード時における2D/3D表示装置の動作状態を示す図である。
2D/3D表示装置200は、主に、表示パネル101と、液体レンズ部202と、固定レンズ部103とで構成される。
表示パネル101は、例えば液晶表示装置等で構成することができる。表示パネル101の表示面には、規則的に複数の表示画素が2次元配列される。
液体レンズ部202は、主に、第1基材110と、液体収容部120と、第2基材部230と、封止部材140と、第1液体111と、第1液体111と混和しない第2液体112とで構成される。なお、図11及び12では、説明を簡略化するため、液体収容部120内の液体収容部材121の表面に形成される第1電極及び絶縁膜は、まとめて一つの積層膜122として(図11及び12中の太実線)で示す。
液体レンズ部202内には、液体収容部120の複数の隔壁部121aを介して、複数の液体収容室141が形成されており、各液体収容室141内に、第1基材10側から第1液体111及び第2液体112がこの順で封入されている。すなわち、図12に示す液体レンズ部202では、隔壁部121aを挟んで、複数の液体レンズ102aが並列配置される。なお、2D/3D表示装置200では、各液体収容室141(液体レンズ102a)の幅は、例えば、約0.2〜0.3mm程度にすることができる。
ただし、液体レンズ部202は、従来の液体レンズをアレイ化した構造を有し、液体収容室141の数及び幅が異なること以外は、図16(a)及び(b)で説明した従来の液体レンズを用いた液体レンズ部301と同じ構成である。なお、液体レンズ102aもまた、図16(a)及び(b)に示す従来の液体レンズと同様に、シリンドリカル状のレンズである。
固定レンズ部103は、液体レンズ部202内の複数の液体レンズ102aに対応して並列配置された複数の固定レンズ103aを有する。各固定レンズ103aは、対応する液体レンズ102aと、第1基材110を挟んで対向する位置に配置される。
また、図11に示す例では、液体レンズ102aの形状に合わせて、固定レンズ103aにシリンドリカルレンズを用いる。各固定レンズ103aは、表示パネル101から入射される表示画像光に対して凸レンズとして作用するので正の屈折力を有する。なお、図11に示す例では、液体レンズ102aのレンズ効果がオン状態(印加電圧が0[V])であるとき、液体レンズ102aの負の屈折力と、固定レンズ103aの正の屈折力とが互いに相殺するように、固定レンズ103aのレンズ形状が設定されている。
次に、2D/3D表示装置200の動作を簡単に説明する。2D/3D表示装置200では、駆動電源190から液体レンズ部202に印加される電圧が0[V]の場合(図11の場合)に2Dモードとなり、印加電圧が所定値Vである場合(図12の場合)に3Dモードになる。なお、3Dモードでは、隔壁部121aに対する第1液体111及び第2液体112間の界面の接触角θが90度となるように、例えば印加電圧の値V等が設定されている。
2Dモードでは、図11に示すように、表示パネル101側から見て、各液体レンズ102aは凹レンズとなり、対応する各固定レンズ103aは凸レンズとなる。これにより、各液体レンズ102aでの負の屈折力が固定レンズ103aの正の屈折力により相殺される。この場合、液体レンズ部102及び固定レンズ部103からなる光学系は、実質、レンズ機能を果たさないので、表示パネル101から入射される表示画像光をそのままの状態で通過させる。
一方、3Dモードでは、図12に示すように、各液体レンズ102aにおいて、隔壁部121aに対する第1液体111及び第2液体112間の界面の接触角θが90度となる。この場合、各液体レンズ102aはレンズとして機能せず、液体レンズ部102及び固定レンズ部103からなる光学系は、実質、固定レンズ部103のみの構成と同等となる。この場合、表示パネル101からの表示画像光は、固定レンズ部103で複数の視野角方向に偏向され、立体視が実現される。
上述のような構成にすることにより、エレクトロウェッティング現象を利用した液体レンズを2D/3D表示装置に適用可能である。しかしながら、図11及び12に示す例では、従来の液体レンズを用いているので、上述した第1液体11の液体収容室からの漏れ出しの問題は残る。第2の実施形態では、この問題を解決するために、2D/3D表示装置に、本発明の液体レンズ(可変光学素子)を適用した構成例を説明する。
[2D/3D表示装置の構成]
図13及び14に、本実施形態の2D/3D表示装置の概略構成を示す。なお、図13は、2Dモード時の2D/3D表示装置の動作状態を示す図であり、図14は、3Dモード時の2D/3D表示装置の動作状態を示す図である。なお、図13及び14において、上述した図11及び12の例と同様の構成には同じ符号を付して示す。
2D/3D表示装置100は、表示パネル101と、液体レンズ部102(液体レンズアレイ素子)と、固定レンズ部103(固定レンズアレイ部)とを備える。
表示パネル101は、図11に示す例と同様に、例えば液晶表示装置等で構成することができる。なお、表示パネル101は、これに限定されず、任意の表示パネルを用いることができる。また、表示パネル101の表示面には、規則的に複数の表示画素が2次元配列される。
液体レンズ部102は、表示パネル101の光射出側に配置される。本実施形態では、液体レンズ部102内に、複数の液体収容室141を設ける。そして、各液体収容室141には、第1液体111と、第1液体111と混和しない第2液体112とを封入する。すなわち、本実施形態では、液体レンズ部102内に、複数の液体レンズ102aを、隔壁部121aを挟んで並列配置する。
なお、各液体収容室141(液体レンズ102a)は、全て同じ構成であり、その幅は、例えば、約0.2〜0.3mm程度にすることができる。また、液体レンズ102aもまたシリンドリカル状のレンズである。
なお、第1液体111は、絶縁性の液体または無極性の液体であり、上記第1の実施形態で説明した第1液体11の液体材料で構成することができる。また、第2液体112は、導電性の液体または有極性の液体であり、上記第1の実施形態で説明した第2液体12の液体材料で構成することができる。
固定レンズ部103は、液体レンズ部102の光射出側(第1基材110側)に配置される。また、固定レンズ部103は、液体レンズ部102内の複数の液体レンズ102aに対応してそれぞれ並列配置された複数の固定レンズ103aを有する。複数の固定レンズ103aはそれぞれ、対応する液体レンズ102aと、第1基材110を挟んで対向する位置に配置される。
また、本実施形態では、図11に示す例と同様に、固定レンズ103aとしてシリンドリカルレンズを用いる。各固定レンズ103aは、表示パネル101から入射される表示画像光に対して凸レンズとして作用するので正の屈折力を有する。なお、本実施形態においても、液体レンズ102aのレンズ効果がオン状態(印加電圧が0[V])であるとき、液体レンズ102aの負の屈折力と、固定レンズ103aの正の屈折力とが互いに相殺するように、固定レンズ103aのレンズ形状が設定されている。
なお、本実施形態の2D/3D表示装置100の動作は、上記図11及び12の例で説明した動作と同様である。
すなわち、2Dモード(図13)時には、表示パネル101側から見て、各液体レンズ102aは凹レンズとなり、対応する固定レンズ103aは凸レンズとなる。これにより、各液体レンズ102aでの負の屈折力が固定レンズ103aの正の屈折力が相殺される。この場合、液体レンズ部102及び固定レンズ部103からなる光学系は、実質、レンズ機能を果たさないので、表示パネル101からの表示画像光をそのままの状態で通過させる。
一方、3Dモード(図14)時には、各液体レンズ102aにおいて、隔壁部121aに対する第1液体111及び第2液体112間の界面の接触角θが90度となる。この場合、各液体レンズ102aはレンズとして機能せず、液体レンズ部102及び固定レンズ部103からなる光学系は、実質、固定レンズ部103のみの構成と同等となる。この場合、表示パネル101からの表示画像光は、固定レンズ部103で複数の視野角方向に偏向され、立体視が実現される。
[液体レンズ部の構成]
ここで、本実施形態の液体レンズ部102の構成を、図13を参照しながらより詳細に説明する。液体レンズ部102は、主に、第1基材110(第1光透過性部材)と、液体収容部120と、第2基材部130と、封止部材140と、液体収容部120に封入された第1液体111及び第2液体112とで構成される。なお、本実施形態では、液体収容部120の一方の表面には、第1基材110が設けられ、他方の表面には、封止部材140を介して第2基材部130が設けられる。そして、液体レンズ部102内部には、複数の液体収容室141が設けられ、それらは、等間隔で並列配置される。また、各液体収容室141には、第1液体111が第1基材110側に配置され、第2液体112が第2基材部130側に配置される。
第1基材110は、光透過性の板状部材であり、上記第1の実施形態で説明した第1基材10の形成材料と同様の材料で形成することができる。なお、第1基材110の第1液体111と接する面は、第1液体111に対して親和性を有する面(撥水面)であることが好ましい。第1基材110の第1液体111と接する面を撥水面にするために、第1基材110の形成材料として、例えばPMMA等の撥水性材料を用いてもよいし、第1基材110の第1液体111と接する部分に撥水膜(例えばフッ素コート膜等)を形成してもよい。
液体収容部120は、液体収容部材121と、第1電極及び絶縁膜(第1絶縁膜)とからなる積層膜122とで構成される。なお、図13では、説明を簡略化するため、液体収容部120内の液体収容部材121の表面に形成される第1電極及び絶縁膜を、まとめて一つの積層膜122として(図13中の太実線)で示す。
なお、本実施形態の第1電極及び絶縁膜は、それぞれ、上記第1の実施形態で説明した第1電極22及び絶縁膜23の形成材料と同様の材料で形成することができる。また、第1電極は、外部の駆動電源190の一方の端子に接続される。
液体収容部材121は、肉厚の板状部材であり、上記第1の実施形態で説明した液体収容部材21の形成材料と同様の材料で形成することができる。また、本実施形態では、液体収容部材121に、その厚さ方向に沿って複数の貫通穴を設ける。これにより、隣り合う貫通穴間に、隔壁部121aが形成される。なお、貫通穴の開口形状は略矩形状とし、その短辺の形状を円弧状とする。また、貫通穴の開口部の長辺方向は、固定レンズ103aの延在方向と一致させる。
そして、本実施形態では、その貫通穴を画成する液体収容部材121の側壁上に第1電極を形成し、さらに、第1電極上に絶縁膜を形成するとともに、液体収容部材121の第2基材部130側の端面に親水化絶縁膜123(第2絶縁膜)を形成する。なお、第1電極、絶縁膜及び親水化絶縁膜123は、上記第1の実施形態で説明した第1電極22、絶縁膜23及び親水化絶縁膜24と同様の構成であり、同様の手法で形成することができる。
また、液体収容部材121の貫通穴の一方の開口端は、第1基材110により直接封止される。これにより、第1基材110の液体側に露出した表面、及び、液体収容部材121内の隔壁部121a上に形成された積層膜122により、液体収容室141が画成される。
なお、本実施形態においても、液体収容部材121内の各隔壁部121aの第1基材10側の端部近傍に、隔壁部21aの厚さ方向に沿って微小な貫通穴を形成し、隣り合う液体収容室間で第1液体111が流通する構成にしてもよい。このような構成にすると、第1液体111及び第2液体112間の界面の高さを全ての液体収容室で均一にすることができ、より安定した動作が可能になる。
第2基材部130は、主に、第2基材131(第2光透過性部材)と、第2基材131の液体収容部120側に形成された第2電極132とで構成される。なお、本実施形態の第2基材131及び第2電極132は、それぞれ、上記第1の実施形態で説明した第2基材31及び第2電極32と同様の構成であり、同様の材料で形成することができる。
また、封止部材140(ギャップ形成部材)は、上記第1の実施形態と同様に、例えば、所定膜厚の樹脂フィルムや、樹脂製またはシリカ製等のビーズなどで構成される。
上述のように、本実施形態の液体レンズ部102の構成は、並列配置する液体収容室141(液体レンズ102a)の数及び幅が異なること以外は、上記第1の実施形態の液体レンズ部3(図2(a)及び(b))と同様の構成である。なお、本実施形態の液体レンズ部102は、上記第1の実施形態で説明した液体レンズ部3の作製手法と同様の手法で作製することができる。
以上説明したように、本実施形態の液体レンズ部102では、上記第1の実施形態と同様に、液体収容部材121の第2基材部130側の端面上に、親水化絶縁膜123を形成する。
それゆえ、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、各液体収容室内の第1液体11が液体収容部材21の隔壁部21a及び側壁部21bの第2基材部30側の端面上に移動し難くなる。その結果、本実施形態の2D/3D表示装置100では、例えば繰り返し動作の安定性、高温/低温保存の安定性、長期保存時の安定性等を向上させ、信頼性の向上を図ることができる。
上記第1及び第2の実施形態では、本発明の液体レンズ(可変光学素子)をアレイ化して、それぞれ照明装置及び2D/3D表示装置に適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。エレクトロウェッティング現象を用いる可変光学素子を用いる種々の用途の光学装置に適応化可能であり、同様の効果が得られる。また、本発明の可変光学素子を、例えば可変焦点レンズ等のように単体で用いても同様の効果が得られる。
1…照明装置、2…発光部、3,102…液体レンズ部、3a,3b,102a…液体レンズ、4…光源、5…反射板、10,110…第1基材、11,111…第1液体、12,112…第2液体、20,120…液体収容部、21,121…液体収容部材、21a,121a…隔壁部、21b…側壁部、22…第1電極、23…絶縁膜、24,123…親水化絶縁膜、30,130…第2基材部、31,131…第2基材、32,132…第2電極、40,140…封止部材、41,42,141…液体収容室、90,190…駆動電源、100…2D/3D表示装置、101…表示パネル、103…固定レンズ部、103a…固定レンズ

Claims (6)

  1. 第1及び第2光透過性部材と、
    前記第1及び第2光透過性部材の間に設けられ、開口部が前記第2光透過性部材と対向する有底の液体収容室と、
    前記液体収容室に収容され、光透過性を有し、且つ、絶縁性または無極性を有する第1液体と、
    前記液体収容室に収容され、前記第1液体と混合せず、光透過性を有し、前記第1液体と異なる屈折率を有し、且つ、導電性または有極性を有する第2液体と、
    前記液体収容室を画成する側壁の側面上、及び、前記第2光透過性部材の前記第2液体側にそれぞれ設けられ、前記第2液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、
    前記第1電極上に形成され、表面が前記第2液体より前記第1液体に対して高い親和性を有する第1絶縁膜と、
    前記液体収容室を画成する側壁の前記第2光透過性部材側の端面上に形成され、表面が前記第1液体より前記第2液体に対して高い親和性を有する第2絶縁膜と
    を備える可変光学素子。
  2. 前記第2絶縁膜の表面が、前記第1液体より前記第2液体に対して親和性が高くなるように表面処理されている
    請求項1に記載の可変光学素子。
  3. 前記第2絶縁膜が、ポリパラキシレンで形成されている
    請求項2に記載の可変光学素子。
  4. 第1及び第2光透過性部材と、
    前記第1及び第2光透過性部材の間に設けられ、開口部が前記第2光透過性部材と対向する有底の複数の液体収容室と、
    各液体収容室に収容され、光透過性を有し、且つ、絶縁性または無極性を有する第1液体と、
    各液体収容室に収容され、前記第1液体と混合せず、光透過性を有し、前記第1液体と異なる屈折率を有し、且つ、導電性または有極性を有する第2液体と、
    各液体収容室を画成する側壁の側面上、及び、前記第2光透過性部材の前記第2液体側にそれぞれ設けられ、前記第2液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、
    前記第1電極上に形成され、表面が前記第2液体より前記第1液体に対して高い親和性を有する第1絶縁膜と、
    各液体収容室を画成する側壁の前記第2光透過性部材側の端面上に形成され、表面が前記第1液体より前記第2液体に対して高い親和性を有する第2絶縁膜と
    を備える液体レンズアレイ素子。
  5. 第1及び第2光透過性部材と、前記第1及び第2光透過性部材の間に設けられ、開口部が前記第2光透過性部材と対向する有底の複数の液体収容室と、各液体収容室に収容され、光透過性を有し、且つ、絶縁性または無極性を有する第1液体と、各液体収容室に収容され、前記第1液体と混合せず、光透過性を有し、前記第1液体と異なる屈折率を有し、且つ、導電性または有極性を有する第2液体と、各液体収容室を画成する側壁の側面上、及び、前記第2光透過性部材の前記第2液体側にそれぞれ設けられ、前記第2液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極上に形成され、表面が前記第2液体より前記第1液体に対して高い親和性を有する第1絶縁膜と、各液体収容室を画成する側壁の前記第2光透過性部材側の端面上に形成され、表面が前記第1液体より前記第2液体に対して高い親和性を有する第2絶縁膜とを有する液体レンズアレイ素子と、
    前記液体レンズアレイ素子の前記第2液体側に配置され、前記液体レンズアレイ素子に光を出射する発光部と
    を備える可変照明装置。
  6. 第1及び第2光透過性部材と、前記第1及び第2光透過性部材の間に設けられ、開口部が前記第2光透過性部材と対向する有底の複数の液体収容室と、各液体収容室に収容され、光透過性を有し、且つ、絶縁性または無極性を有する第1液体と、各液体収容室に収容され、前記第1液体と混合せず、光透過性を有し、前記第1液体と異なる屈折率を有し、且つ、導電性または有極性を有する第2液体と、各液体収容室を画成する側壁の側面上、及び、前記第2光透過性部材の前記第2液体側にそれぞれ設けられ、前記第2液体に電圧を印加する第1及び第2電極と、前記第1電極上に形成され、表面が前記第2液体より前記第1液体に対して高い親和性を有する第1絶縁膜と、各液体収容室を画成する側壁の前記第2光透過性部材側の端面上に形成され、表面が前記第1液体より前記第2液体に対して高い親和性を有する第2絶縁膜とを有する液体レンズアレイ素子と、
    前記液体レンズアレイ素子の前記第2液体側に配置された表示パネルと、
    前記液体レンズアレイ素子の前記第1液体側に配置され、前記複数の液体収容室とそれぞれ対向する位置に配置され、且つ、2次元画像表示時の前記第1液体及び第2液体間の界面における負の屈折力を相殺する正の屈折力を有する複数の固定焦点レンズからなる固定レンズ部と
    を備える2次元/3次元画像切替表示装置。
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