JP2011052647A - 電気冷蔵庫 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷蔵庫本体に伝わる圧縮機からの振動を効率よく減衰して低振動化する。
【解決手段】圧縮機2が搭載設置されている防振装置は、コイルばね6と、そのコイルばね6の上下端部に装着した各上下部ゴム部材7,8を有し、上部ゴム部材7に円筒状の上リブ7aを、下部ゴム部材8に、上リブ7aの内径よりも小径な外径を有した円筒状の下リブ8aを設ける。上リブ7aに下リブ8aに接する凸部10を設ける。防振装置5は、その中心軸部にベース部材3に固定した支柱9が挿入されてベース部材3上に設置される。圧縮機2の搭載荷重とコイルばね6の力との釣り合い状態において、凸部10が下リブ8aの外周面に接触し、この状態で振動を受けると、凸部10が下リブ8aの外周面に対して上下方向に繰り返し滑り運動を行い、振動エネルギーが摩擦熱エネルギーに変換されて消散する。
【選択図】 図3

Description

本発明は圧縮機を搭載した電気冷蔵庫の低振動化および低騒音化の技術に関する。
電気冷蔵庫などに搭載される電動式の圧縮機は、圧縮機内部の電動機構の回転振動により振動や騒音を発する。この振動を低減する防振技術として、ゴムに代表されるような弾性素材からなる弾性部材を防振部材として用いたり、弾性部材とコイルばねを組み合わせた防振装置を用いる。
弾性部材とコイルばねを組み合わせた防振装置の従来例として特許文献1を挙げる。この従来例による防振装置は、コイルばねと、コイルばねの上下にそれぞれ嵌合した上部ゴム部材と下部ゴム部材を備えて概円筒形状となっている。
従来例による防振装置は、圧縮機を設置するベース部材と圧縮機支持足の間に設置されるものである。その防振装置の上部ゴム部材と下部ゴム部材の中心軸部にはコイルばねのコイル中心軸方向に貫通穴が形成されている。
その防振装置を設置する際には、その貫通穴にベース部材3に固定された支柱が挿入されベース部材上に下部ゴム部材の下面が接し、上部ゴム部材の上部に圧縮機支持足が搭載される。
このような従来例では、圧縮機で発生する振動をコイルばねと二つの各上下ゴム部材の弾性変形によって吸収することでベース部材への伝達を低減する効果を得ることができる。またこの従来例においては下部ゴム部材の下面に複数の突起を設けることで防振装置とベース部材との接触面積を縮小することによりベース部材への振動伝達を低減する構造を提案している。
特開平5−99143号公報
電気冷蔵庫においては、圧縮機の回転数を、従来は一定回転数制御とするのが主流であったが、近年ではインバータによる可変制御とすることで運転を効率化し、消費電力の低減などを図ることが一般的となっている。
ここで、防振装置には材料の物性や装置の形状によって決まる固有周波数が存在し、この固有周波数と圧縮機振動の周波数が一致または近接すると共振が生じ、振動低減効果が得られないか、むしろ悪化してしまう場合がある。
圧縮機の回転数が一定であれば、圧縮機振動の周波数も一定であるため、防振装置の設計時に振動周波数と防振装置の固有周波数が近い値とならないようにして共振を回避することが一般的な手段として用いられる。
しかし、圧縮機の回転数を可変制御とする場合は、生じる振動周波数もそれに応じて変化する。防振装置の固有周波数はそれら振動周波数を全て避けることが必要となるが、現実的には使用可能な材料や防振装置の寸法範囲などの制約により、固有周波数の細かく調整することは困難な場合が多い。
さらに言えば防振装置の固有周波数が複数存在することも多いため一部の回転数において振動周波数と防振装置の固有周波数が一致または近接することによっては振動増大が問題となる場合や、逆にその回転数を避けることによって運転の効率化において不利が生じるという問題点がある。
また、防振装置の上部ゴム部材と支柱の間には振動が伝わらないように隙間を設けるのが一般的であるが、前述した共振などの理由によって防振装置に水平方向、すなわちコイルばねのせん断方向の振動が生じて、振動周波数に応じて上部ゴム部材と支柱が繰り返し衝突する場合、異常音が発生する可能性があるという問題点もある。
従って、本発明の主目的とするところは、電気冷蔵庫の圧縮機の防振装置において、その防振装置が受ける振動周波数と防振装置の固有周波数が近接した場合でも振動のエネルギーを効率的に減衰させることによって振動が増大するのを抑える防振装置によって低振動な冷蔵庫を提供することである。
他の目的とするところは、前述の主目的に加えて、防振装置の構成部材が受ける水平方向の振動による支柱と上部ゴム部材の衝突を防ぐことが可能な防振装置によって低振動な冷蔵庫を提供することである。
本発明は、圧縮機とベース部材との間に、前記圧縮機を支持するように設けた防振装置を備え、前記防振装置は、コイルばねと、前記コイルばねの上下端部に装着した各上下部弾性部材とを備え、前記防振装置はその中心軸部に設定された貫通穴に、前記ベース部材に固定した支柱を通して設置されている電気冷蔵庫において、前記上部弾性部材は下方に突き出た円筒状の上リブを備え、前記下部弾性部材は上方に突き出た円筒状の下リブを備え、前記各上下リブは、前記防振装置が前記圧縮機の自重を受けた状態で振動を受けた際に相互の一部分が接触して滑りを生じる状態を維持する形状に成型されていることを特徴とした電気冷蔵庫であって、圧縮機から伝達されてきた振動はコイルばねと上下部弾性部材とにより減衰され、且つ各上下リブの一部分が接触して接触部にて滑り運動を起こして振動を摩擦熱エネルギーに変換して消散させるので、強力に振動の伝達阻止と振動減衰効果に加えて、共振点近傍での振動増幅を強力に抑制できる。
そして、好ましくは、前記各上下リブは、前記コイルばねが前記圧縮機の自重を受けないで自然長の状態あっては上下に離間して相互に接触せず、前記圧縮機の自重を受けて釣り合い状態においては接触する上下方向の長さに設定されている構成を有することが好ましく、この好ましい構成を採用することによって、圧縮機を防振装置に搭載した後には、各上下ゴム部材のリブ部分が接触して相互に水平方向の動きを拘束し、支柱と上部ゴム部材との衝撃的な当たり現象が解消乃至は緩和される。
本発明は、電気冷蔵庫の圧縮機側から防振装置が受ける振動周波数と防振装置の固有周波数が近接した場合でも、そうでない場合でも、その振動のエネルギーを防振装置で効率的に減衰させることによって振動が増大するのを抑えて、圧縮機の回転数を可変制御して運転する冷蔵庫であっても、低振動・低騒音な冷蔵庫に仕上げることができるという効果が得られる。
また、上記好ましい構成を採用した場合には、上記効果に加えて、防振装置の構成メンバーである上部ゴム部材が水平方向へ大きく加振されることを抑制できるので、水平方向の振動による支柱と上部ゴム部材の衝突を防いで、一層のこと低振動・低騒音な冷蔵庫に仕上げることができるという効果が得られる。
本発明の第1実施例による冷蔵庫の背面斜視図である。 本発明の第1実施例に採用される防振装置を示す図にして、(A)図は防振装置の立面図であり、(B)図は(A)図のA−A矢視断面図である。 図2に示した防振装置を図1の冷蔵庫に設置した状態を示す防振装置部の縦断面図である。 図3に示した防振装置の各上下リブの接触部の縦断面図である。 本発明の第2実施例による防振装置の縦断面図である。 図5に示した防振装置を図1の冷蔵庫に設置した状態を示す防振装置部の縦断面図である。 図5に示した防振装置の各上下リブの接触部の縦断面図である。 本発明の第3実施例による防振装置の縦断面図である。 本発明の第4実施例による防振装置を示す図にして、(A)図はその防振装置の縦断面図を示し、(B)図は(A)図のA−A矢視断面図である。
既述の発明が解決しようとする課題を解消するために本発明の実施例は以下のような内容を有する。即ち、コイルばねの上下部にそれぞれ例えばゴムのような弾性材料からなる各上下部弾性部材を嵌合させて概円筒形状の防振装置を構成してある。
その防振装置を、電気冷蔵庫の圧縮機の設置スペースのベース部材と、圧縮機支持脚と、の間に設置し、防振装置がその概円筒形状の中心軸部に有する貫通穴には設置時にベース部材に固定された支柱が挿入されることにより防振装置の位置を固定してある。防振装置のコイルばねの上部に装着した上部弾性部材と同じく下部に装着した下部弾性部材にそれぞれ概円筒状の各上下リブを設ける。
防振装置に圧縮機を搭載設置した時かつ運転停止時、すなわち防振装置に圧縮機の重量が静的に負荷される時、コイルばねは自然長から収縮し釣り合い状態に至って安定する。
そのコイルばねの収縮が始まってから釣り合いに至るまでのいずれかの段階において上部弾性部材に設けた上リブと下部弾性部材に設けた下リブの一部が接触し、最終的な釣り合い状態においてはリブ同士の接触部ではゴムの圧縮変形が生じるかまたは接触面同士で摩擦を伴う滑り運動を生じるような各上下リブあるいは防振装置各部の寸法構成とする。
このような防振装置が圧縮機側からの振動を受けた時にコイルばねに振幅に応じた引っ張り方向の変位が加わる場合でもその接触状態は保持され非接触状態となって分離することはなく、圧縮機の運転振動によるコイルばねや各上下弾性部材の変位に応じての弾性変形や各上下リブの接触面同士での滑り運動を繰り返す防振装置の構造としてある。
このような構造を採用したことにより、圧縮機の運転時の振動により鉛直方向、すなわちコイルばねの伸縮方向に弾性変形を繰り返す状況において上部弾性部材に設けた上リブと下部弾性部材に設けた下リブの接触部では各上下弾性部材の変形が生じると共に、その接触部での接触面同士で摩擦を伴う滑り運動が行われる。
このことにより、従来どおりにコイルばねやゴム部材の弾性変形による振動吸収効果を得ることができ、さらに加えて振動の運動エネルギーを摩擦によって生じる熱エネルギーに変換することによって減衰させる構造であるため、圧縮機の運転振動のベース部材から冷蔵庫本体への伝達を低減し、冷蔵庫を低振動化及び低騒音化することが可能である。
また、防振装置が振動を受けた時に各上下リブ同士が分離,接触を繰り返すと両者の間で衝突音が発生し異常音の原因となる可能性があるが、本実施例の構造では各上下リブ同士の接触部は、振動時に上方向の変位を受ける、つまりコイルばねの釣り合い長さから振幅の分だけ伸びても各上下リブ相互の接触部が分離せず接触状態を保持する寸法構成としているため、衝突音は生じない。
さらに、水平方向、すなわちコイルばねに対してせん断方向の振動が加わる場合にも、各上下リブは水平方向へは相互に拘束しあって、振動の方向に寄らず同様に各上下リブ相互の接触部におけるゴムの弾性変形または摩擦を伴う滑り運動が生じるため、振動により加わる力をコイルばねと各上下弾性部材や各上下リブによって分担して受け持つこととなり、従来のようにほぼコイルばねのみで水平せん断方向の力を受ける場合と比較すると防振装置全体としての水平方向への変形は低減され、上部弾性部材と支柱の衝突に起因する異常音発生を防止でき、電気冷蔵庫の一層の低振動化及び低騒音化が可能である。
次に、具体的な実施例を、以下、各図に基づいて説明する。まず第1実施例を図1,図2,図3および図4に基づいて説明すると、以下のとおりである。
図1のように電気冷蔵庫(以下、単に冷蔵庫ともいう。)の背面下部には、電動式の圧縮機2の設置スペースが確保されている。即ち、冷蔵庫本体1の下部には、圧縮機2を設置するスペースが設けられており、圧縮機2はそのスペースに設けられているベース部材3上に設置される。
圧縮機2の密閉容器に固定されている圧縮機支持脚4と、ベース部材3との間には、防振装置5が圧縮機支持脚4の四隅にそれぞれ設置される。このようにすることで、圧縮機支持脚4からベース部材3、さらに冷蔵庫本体1へと伝達されようとする圧縮機2からの振動は、防振装置5で減衰させられて低減する構成としている。
図2は、本実施例における防振装置5の外形図(A図)および縦断面図(B図)である。それらの図に見られるように、コイルばね6の上下端部には、それぞれ弾性材料であるゴム製の上部ゴム部材7および下部ゴム部材8が嵌合してある。
各上下ゴム部材7,8は概略円筒状の形状で、その円筒状の中心軸はコイルばね6の中心軸とほぼ一致しているので、防振装置5全体としても形状は概円筒形状を成している。その防振装置5の中心軸周りにはコイルばね6の中心軸方向に防振装置5の上面から下面まで通じる貫通穴が、各上下ゴム部材7,8とコイルばね6の各内側空間が連続することによって形成されることになる。
このような防振装置5は、具体的には図3のように設置される。即ち、防振装置5の貫通穴にはベース部材3に固定された支柱9が挿入され、防振装置5が大きく設置位置から外れる事の無いように位置を固定している。
上部ゴム部材7にはコイルばね6の直径よりも大きな内径を有する円筒状の上リブ7aが下向きに突き出るように形成されている。また、下部ゴム部材8には上リブ7aの内径よりも外形が小さいが、内径はコイルばね6の直径よりも大きい円筒状の下リブ8aが上向きに突き出て形成されている。上リブ7aの内壁面にはリング状の凸部10を内側に向けて突き出すように設けてある。
圧縮機2に固定されている圧縮機支持脚4が上部ゴム部材7の上面に載り、圧縮機2の自重を防振装置5が受けると、コイルばね6が収縮し始めて、自重との釣り合い状態までコイルばね6が収縮しきることになる。その収縮しきる前で、コイルばね6が収縮しきった長さよりもまだ多少長い状態で、この凸部10と下リブ8aの外壁面8bは接触し、さらに先述の釣り合い状態に至る時まで上下リブ7a,8aの相互の接触部において滑りを生じて図3の状態に落ち着くように上下リブ7a,8aの突き出し長さ、或いは防振装置5の各部位の寸法を決めてある。
このように防振装置5上に圧縮機2を搭載して冷蔵庫を組み立てた後に、圧縮機2を運転すると、圧縮機2の振動は、圧縮機支持脚4を介して防振装置5に伝達しコイルばね6は釣り合い長さを中心として繰り返し弾性的に変形するが、その振動が鉛直方向、すなわちコイルばね6の伸縮方向である場合、上リブ7aと下リブ8aの接触部は、図4中で両矢印で示した方向に接触部相互の滑り運動が生じる。
その接触部での滑りは、ゴム材料同士の滑りであるために大きな摩擦力が生じ、振動の運動エネルギーは摩擦による熱エネルギーへと変換され放熱されて消散する。その結果として振動を効果的に減衰低減することが可能である。
ここで、上述のように釣り合い状態よりもコイルばねが長い状態から滑り運動が生じはじめる事のできる防振装置5各部の寸法構成とすることによって、防振装置5の防振作用時におけるコイルばね6の伸縮運動で長さが最長となる振動の頂点においても、上リブ7aと下リブ8aの接触部は分離することなく接触状態を維持するため、分離,接触を繰り返すことによる上リブ7aと下リブ8aとの衝突音が発生することはない。
また、防振装置5が鉛直方向振動を受ける場合、防振装置5の各部には横方向の膨らみなど、水平方向の変形はほとんど生じず、凸部10と下リブ8aの外壁面8bとの接触状態もほとんど変化しないため、発生する摩擦力は一定に保たれ、得られるエネルギーの消散効果が安定するという利点がある上、他部品との緩衝も生じにくい。
防振装置5への振動が水平方向、すなわちコイルばね6のせん断方向である場合、コイルばね6のみではなく上部ゴム部材7と下部ゴム部材8の接触部に水平方向への拘束力が働き、拘束力の大きさに応じて上リブ7aと下リブ8aも変形して水平力を吸収するために防振装置5全体としての変形量を低減できる。このため、上部ゴム部材7と支柱9との衝突による異常音発生を防止することが可能である。
さらにまた、搭載する圧縮機2の重量や発生する振動の大きさによっては摩擦力やリブの変形量を調整することが必要になると考えられるが、凸部10の太さや形状を変え接触面積を増減したり、上リブ7aや下リブ8aの厚みを増減して強度を変えたりすることによって比較的容易に調整することが可能である。
なお、図3では上リブ7aの内径が下リブ8aの外径よりも大きく、凸部10を径が大きい上リブ7aの内壁面に設けているが、この関係に限らず、逆に上リブ7aの外径よりも下リブ8aの内径が大きい場合や、径の小さい側のリブ外壁面に凸部10を設ける場合など、同様の摩擦を伴う滑り運動を行う組み合わせであれば本発明に含まれる。
次に、本発明の第2実施例を、図5,図6及び図7に基づいて説明する。図5のように、コイルばね6の上下端部にそれぞれ上部ゴム部材7および下部ゴム部材8を嵌合することにより概円筒形状を成して上面から下面まで通じる貫通穴が防振装置5の中心軸周りに形成さている。
その防振装置5の上部ゴム部材7にはコイルばね6の直径よりも大きな内径を有する円筒状の上リブ7aを下向きに突き出して形成し、下部ゴム部材8には上リブと同半径の円筒状の下リブ8aを上向きに突き出して形成している。また、上リブ7aと下リブ8aの両突き出し先端部には隙間11を隔てて互いに平行となるように同方向へ傾斜した傾斜面12を設けている。
図6には冷蔵庫の圧縮機2を搭載した状態における防振装置の縦断面図が示されている。図6のように、防振装置5は圧縮機2と冷蔵庫のベース部材3の間に設置されており防振装置5の中心軸部の貫通穴にはベース部材3に固定された支柱9が挿入されることにより、防振装置5の位置が大きくずれないように固定される。
圧縮機2は、圧縮機2に固定された圧縮機支持脚4が上部ゴム部材7上に置かれることにより、防振装置5上に搭載される。このような搭載状態にあっては、上部ゴム部材7の上面に圧縮機支持脚4を介して圧縮機の自重が加わることによりコイルばね6は収縮して上リブ7aと下リブ8aとが上下方向に接近し始める。
その接近状態が進むと、搭載荷重とコイルばね6の力との釣り合い状態に至る前の段階でまず隙間11が消失して傾斜面12において上リブ7aと下リブ8aとの両突端の傾斜面が接触し、さらにコイルばね6が収縮し釣り合い状態となった時にはゴム部材が圧縮変形状態となるか、または図7に示すような接触面間での滑りが生じた状態で安定するように各上下リブ又は防振装置5各部の寸法が決められている。
このように防振装置5で支持した圧縮機2が運転されると、その圧縮機2の振動が圧縮機支持脚4を介して防振装置5に伝達される。防振装置5がその振動を受けると、その振動に応じて上リブ7aと下リブ8aとの接触面では図7中の矢印に示す方向へ各部が動く滑り運動が繰り返され、これにより振動による運動エネルギーが接触面での摩擦による熱エネルギーへと変換され、放熱されて消散されることにより効果的に振動を減衰させることが可能である。
また上述のごとくコイルばね6の釣り合い状態よりばね長が長い状態でも上リブ7aと下リブ8aが接触する寸法構成であるため、振動の頂点においてコイルばね6が伸びた状態でも接触状態は維持され、分離することはなく、接触と分離を繰り返すことによる衝突音が発生することはない。
本実施例を実施例1と比較すると、コイルばね6の変位に応じて傾斜面12における接触面積が変化し発生する摩擦力が変化するために得られる効果が一定とはならないが、細かい寸法調整を行わなくても確実に上リブ7aと下リブ8aの間に接触面を設けることが可能なため、設計が容易であるという利点がある。
また、水平方向、すなわちコイルばね6に対してせん断方向の振動が生じた場合は、上部ゴム部材7と下部ゴム部材8は上リブ7aと下リブ8aの傾斜面12でかみ合うようにして接触して、水平方向へ相互に拘束しあっているため、上部ゴム部材7と下部ゴム部材8は力を受けると上下一体となったまま主に各上下リブ部分で変形を生じる。
このようにコイルばね6と力を分担して受け持つことにより、防振装置5全体としてのせん断方向の変形量を低減できるため、上部ゴム部材7と支柱9との衝突による異常音発生を防止することが可能である。
なお、コイルばね6の自然長状態において隙間11を設けている理由は、コイルばね6に圧縮変位が生じ上部ゴム部材7と下部ゴム部材8が接触する際、コイルばね6の変位が大きい場合にゴムの変形や滑りが大きくなり過ぎ、ゴム部材と他部品の干渉や、上部ゴム部材7と下部ゴム部材8が嵌まり込んだまま形状が復元しなくなって防振性能が低下する、等の問題を防ぐためであり、製品によって用いるコイルばね6のバネ定数や搭載する圧縮機2の重量が異なる場合はリブの高さを変更することによって隙間11の寸法を調整することができる。
コイルばね6に生じる変位が十分に小さいことが予め分かっている場合には隙間11は設けず、コイルばね6の自然長状態において上部ゴム部材7と下部ゴム部材8が接触していても構わない。
本発明の第3実施例を図8に基づいて説明する。図8に見られるように、防振装置は、コイルばね6と、コイルばね6の上下両端部に装着した概略円筒状の上部ゴム部材7と下部ゴム部材8と、上部ゴム部材7の下端部を下方に突き出した円筒状の上リブ7aと、下部ゴム部材8の上端部を上方に突き出した円筒状の下リブ8aとを備えている。
その上リブ7aと下リブ8aとの突端部は相互に上下方向に対抗し合っていて、同方向への傾斜が付けられた傾斜面に形成されている。
上リブ7aと下リブ8aの外径はコイルばね6の直径より小さくして、コイルばね6の内側に設けられている構造である。
振動によるコイルばねの伸縮による接触部の摩擦による運動エネルギーから熱エネルギーへの変換、およびコイルばねのせん断方向の力をゴム部材が受け持つことによる変形抑制効果は第2実施例の説明において述べた内容と同様である。
上リブ7aと下リブ8aの弾性変形や接触面における滑り運動を、コイルばね6と支柱9の隙間で行わなければならないため部品間の緩衝が生じ易く、大きな変位を生じる場合には不向きであるが、変位が小さい場合には、防振装置の小型化、および使用材料の低減が可能であるというこの実施例特有な利点がある。
本発明の第4実施例を図9に基づいて説明する。本実施例は第2実施例の防振装置5に複数の切欠き13を設けたものであり、その他の構成は第2実施例と同じである。
即ち、本実施例では、図9に見られるように、下リブ8aに4本の切欠き13を付けて、その下リブ8aを周方向4分割に分割した構造である。
このように、切欠き13を下リブ8aに付けることによって、その下リブ8aの強度を下げて防振装置5の固有周波数を変えることができる。
また、下リブ8aに限らず、上リブ7aに切欠き13を付けて上リブ7aを周方向に分割してもよく、さらに言えば上リブ7aと下リブ8aの両方に切欠き13を付けてその両方を周方向に分割してもよい。
いずれの場合でも、防振装置5の固有周波数を変えたい場合に有効である。その他の内容は実施例2の説明内容と同じである。
以上の各実施例の解説からわかるように、本発明の実施例には、以下の技術的事項が提案されている。
本発明は、電気冷蔵庫の圧縮機と冷蔵庫本体との間の振動伝達経路途中に防振装置を採用している電気冷蔵庫に利用される可能性がある。
1 冷蔵庫本体
2 圧縮機
3 ベース部材
4 圧縮機支持脚
5 防振装置
6 コイルばね
7 上部ゴム部材
7a 上リブ
8 下部ゴム部材
8a 下リブ
8b 下リブ外壁面
9 支柱
10 凸部
11 隙間
12 傾斜面
13 切欠き

Claims (6)

  1. 圧縮機とベース部材との間に、前記圧縮機を支持するように設けた防振装置を備え、
    前記防振装置は、コイルばねと、前記コイルばねの上下端部に装着した各上下部弾性部材とを備え、
    前記防振装置はその中心軸部に設定された貫通穴に、前記ベース部材に固定した支柱を通して設置されている電気冷蔵庫において、
    前記上部弾性部材は下方に突き出た円筒状の上リブを備え、
    前記下部弾性部材は上方に突き出た円筒状の下リブを備え、
    前記各上下リブは、前記防振装置が前記圧縮機の自重を受けた状態で振動を受けた際に相互の一部分が接触して滑りを生じる状態を維持する形状に成型されていることを特徴とした電気冷蔵庫。
  2. 請求項1において、前記各上下リブは、前記コイルばねが前記圧縮機の自重を受けないで自然長の状態あっては上下に離間して相互に接触せず、前記圧縮機の自重を受けて釣り合い状態においては接触する上下方向の長さに設定されていることを特徴とした電気冷蔵庫。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記各上下リブの相互に接触しあう一部分のうち、一方の前記リブの前記一部分は、他方の前記リブに向けて突き出て前記他方のリブの前記一部分に接触する凸部を前記円筒状の円周方向に有する形状に成型されていることを特徴とする電気冷蔵庫。
  4. 請求項1又は請求項2において、前記各上下リブの相互に接触しあう一部分は、互いに対向しあう前記上下リブの端部を互いに同方向の傾斜をつけて整形された端面であることを特徴とする電気冷蔵庫。
  5. 請求項4において、前記各上下リブの端部は前記コイルばねの内側に内装されていることを特徴とする電気冷蔵庫。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項において、前記各上下リブの内の少なくともいずれか一方に、縦方向の切欠きを設けたことを特徴とする電気冷蔵庫。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104005933A (zh) * 2013-02-26 2014-08-27 上海日立电器有限公司 微型压缩机的弹性底脚
CN105485966A (zh) * 2015-10-23 2016-04-13 浙江金旗纤维有限公司 纤维生产用隔震式冷冻机

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