JP2011051936A - 有機化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 - Google Patents

有機化合物、電荷輸送材料、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機elディスプレイ及び有機el照明 Download PDF

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Abstract


【課題】
本発明は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、耐熱性を含めた駆動安定性に優れる有機電界発光素子に好適に用いられる電荷輸送材料として有用な化合物、さらに湿式成膜法に好適に用いられうるものであり、有機溶剤に対する溶解性が高い有機化合物を提供することを課題とする。
また、電流効率が高く、駆動寿命が長い有機電界発光素子、並びに該素子を備えた有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することを課題とする。
【解決手段】
一分子内に下記式(I)で表される部分構造と下記式(II)で表される部分構造とを有する化合物であることを特徴とする、有機化合物。
Figure 2011051936

(式(II)中、環A〜環Cは、各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。また、式(I)中のジベンゾフラン環は、置換基を有していてもよい。)
【選択図】なし

Description

本発明は、発光効率が高く、耐熱性を含めた駆動安定性に優れる有機電界発光素子に好適に用いられる電荷輸送材料として有用な化合物、さらに湿式成膜法に好適に用いられうるものであり、有機溶剤に対する溶解性が高い有機化合物に関するものである。
近年、有機薄膜を用いた電界発光素子(有機電界発光素子)の開発が行われている。有機薄膜の形成方法としては、真空蒸着法と湿式製膜法が挙げられる。このうち、湿式製膜法は真空プロセスが要らず、大面積化が容易で、1つの層(塗布液)に様々な機能をもった複数の材料を混合して入れることが容易である等の利点がある。
湿式製膜法によって形成された発光層の材料としては、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体やポリフルオレン誘導体等の高分子材料が主に用いられているが、高分子材料には以下のような問題がある。
・高分子材料は重合度や分子量分布を制御することが困難である。
・連続駆動時に末端残基による劣化が起こる。
・材料自体の高純度化が困難で、不純物を含む。
上記問題のために、湿式製膜法による有機電界発光素子は、真空蒸着法による有機電界発光素子に比べて駆動安定性に劣り、一部を除いて実用レベルに至っていないのが現状である。
以上のような問題を解決する試みとして、特許文献1には高分子化合物ではなく、複数の低分子材料(電荷輸送材料、発光材料)を混合して湿式製膜法により形成した有機薄膜を用いた有機電界発光素子が記載されており、正孔輸送性の電荷輸送材料としては、以下に示す、化合物H−1、H−2が用いられている。
Figure 2011051936
Figure 2011051936
また、湿式製膜法により形成された複数の低分子材料からなる有機薄膜を用いた有機電界発光素子において、非特許文献1、特許文献2では、有機電界発光素子の発光効率を高めるために、燐光発光を利用した素子が記載され、電荷輸送材料には、以下に示す化合物H−3、H−4、H−5が用いられている。
Figure 2011051936
特開平11−273859号公報 特開2007−110093号公報
Japanese Journal of Applied Physics Vol.44, No.1B, 2005, pp.626-629
しかしながら、上記化合物H−1、H−2、H−3、H−4及びH−5は溶剤に対する溶解性が必ずしも十分でない。このため、クロロホルム等のハロゲン系溶剤を塗布溶剤に用いる必要があるが、ハロゲン系溶剤は環境負荷が大きい。さらに、ハロゲン系溶剤中に含まれる不純物により材料を劣化させる可能性があり、またハロゲン系溶剤を用いた湿式製膜法による有機電界発光素子は駆動安定性が十分でないと考えられる。
また、上記化合物H−1、H−2、H−3及びH−4はガラス転移温度が低いため、特許文献1及び非特許文献1に開示されている有機電界発光素子は耐熱性につき改良の余地があると考えられる。さらに、上記化合物H−1、H−2、H−3、H−4及びH−5は非常に結晶化しやすく、湿式製膜法で均一な非晶質膜を得ることが容易ではない。
さらにまた、発光材料として燐光発光材料を用いる場合、化合物H−1は三重項励起準位が低いため、化合物H−1と燐光発光材料を含む組成物を用いて形成された有機電界発光素子は発光効率が低いと考えられる。
したがって、本発明は上記従来の実状に鑑みてなされたものであり、その課題は電気化学的に安定であり、溶剤に可溶な電荷輸送材料及びそれを含有する電荷輸送膜用組成物を提供することにある。本発明はまた、高い発光効率、高い駆動安定性を有する有機電界発光素子、並びにそれを具備する有機ELディスプレイ及び有機EL照明を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ある特定の部分構造を有する化合物において、さらにナフタレン環を2つ以上含むことによって上記課題を解決しうることを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は、一分子内に下記式(I)で表される部分構造と下記式(II)で表される部分構造とを有することを特徴とする有機化合物、電荷輸送材料、該化合物を含む有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、有機ELディスプレイ及び有機EL照明に存する。
Figure 2011051936
(式(II)中、環A〜環Cは、各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。また、式(I)中のジベンゾフラン環は、置換基を有していてもよい。)
本発明の上記式(I)で表される部分構造と上記式(II)で表される部分構造とを有する有機化合物は、三重項励起準位が高く、高い耐熱性を有する。このため、本発明の有機電界発光素子用組成物を使用することにより、湿式成膜法により、結晶化しにくく、熱安定性に優れ、発光特性にも優れた膜を形成することができる。
従って、このような本発明の有機化合物を含む層を有する有機電界発光素子は、発光効率が高く、駆動電圧が低く、耐熱性を含めた駆動安定性が高い有機電界発光素子である。
本発明による有機電界発光素子は、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)、車載表示素子、携帯電話表示や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯への応用が考えられ、その技術的価値は大きいものである。
本発明の有機電界発光素子の構造の一例を模式的に示す断面図である。
以下に本発明の有機化合物、有機電界発光素子用組成物、有機電界発光素子、並びに有機ELディスプレイ及び有機EL照明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定されない。
<有機化合物>
本発明の有機化合物は、一分子内に下記式(I)で表される部分構造(以下「部分構造(I)」と称す場合がある。)と下記式(II)で表される部分構造(以下「部分構造(II)」と称す場合がある。)とを有する化合物である。
Figure 2011051936
(式(II)中、環A〜環Cは、各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。また、式(I)中のジベンゾフラン環は、置換基を有していてもよい。)
[1]構造上の特徴
本発明の有機化合物は、部分構造として、1以上の部分構造(I)と、1以上の部分構造(II)を有する。
一分子内に部分構造(I)を1個 以上有することで、より高い耐熱性を、また一分子
内に部分構造(II)を1個以上有することでより優れた電荷(正孔)輸送能を有する。さらに部分構造(I)を1個以上有することで有機溶剤に対する高い溶解性を有する。
本発明の有機化合物は、電荷輸送能及び耐熱性の点から、一分子内の各部分構造の数の比が、部分構造(I):部分構造(II)=1:3〜3:1であることが好ましい。
尚、式(I)で表される部分構造として含むことによって、有機化合物の有機溶剤に対する溶解性が向上する理由を以下の通り推測する。
式(I)で表される部分構造は、平面性が高く、剛直であるため、分子内にねじれを生じさせやすい。その為、分子同士のパッキングが阻害され、結晶化しにくくなる。さらに、式(I)中の酸素原子が、分子内に分極を生じさせたり、式(I)中の酸素原子以外の部分に結合位置があることから化合物の対称性が低下したりすることにより、有機溶剤に対する溶解性が向上されるものと推測される。
[2]分子量範囲
本発明の有機化合物の分子量は、通常5000以下、好ましくは4000以下、より好ましくは3000以下であり、また通常400以上、好ましくは500以上、より好ましくは600以上である。
上記範囲内であると、精製が容易であり、またガラス転移温度、融点及び気化温度が比較的高く、耐熱性が良好であるため好ましい。
[3]物性
本発明の有機化合物は、通常50℃以上のガラス転移温度を有するが、耐熱性の観点から、ガラス転移温度は80℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがさら
に好ましい。ガラス転移温度の上限は通常400℃程度である。
本発明の有機化合物は、通常300℃以上、800℃以下の気化温度を有する。
本発明の有機化合物は、ガラス転移温度と気化温度の間に結晶化温度を有さないことが好ましい。
[4]環A 〜 環C
前記式(I)及び(II)における環A 〜 環Cは各々独立に、任意の置換基を有して
いてもよいベンゼン環を表す。環A 〜 環C のベンゼン環が有していてもよい任意の置換基として具体的には、次のようなものが挙げられる。
置換基を有していてもよいアルキル基(好ましくは、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、2−プロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルケニル基(好ましくは、炭素数2〜9のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、1−ブテニル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルキニル基(好ましくは、炭素数2〜9のアルキニル基であり、例えばエチニル、プロパルギル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアラルキル基(好ましくは、炭素数7〜15のアラルキル基であり、例えばベンジル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアミノ基[好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するアルキルアミノ基(例えばメチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するアリールアミノ基(例えばフェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい、5又は6員環の芳香族複素環を有するヘテロアリールアミノ基(例えばピリジルアミノ、チエニルアミノ、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい、炭素数2〜10のアシル基を有するアシルアミノ基(例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)]
置換基を有していてもよいアルコキシ基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を有するものであり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいヘテロアリールオキシ基(好ましくは、5又は6員環の芳香族複素環基を有するものであり、例えばピリジルオキシ、チエニルオキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアシル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアシル基であり、例えばホルミル、アセチル、ベンゾイル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、例えばフェノキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアルキルカルボニルオキシ基(好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基であり、例えばアセトキシ基などが挙げられる。)
ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子又は塩素原子が挙げられる。)
カルボキシ基
シアノ基
水酸基
メルカプト基
置換基を有していてもよいアルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいアリールチオ基(好ましくは、炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいスルホニル基(例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいシリル基(例えばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいボリル基(例えばジメシチルボリル基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよいホスフィノ基(例えばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基(例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオランテン環などの、5又は6員環の単環又は2〜5縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
置換基を有していてもよい芳香族複素環基(例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の1価の基が挙げられる。)
上記置換基がさらに置換基を有する場合、その置換基としては、上記例示置換基が挙げられる。
電気化学的耐久性を向上させる観点及び耐熱性を向上させる観点からは、環A〜環Cの
ベンゼン環の置換基としては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよいフェニルあるいはナフチル基であり、特に好ましくは無置換、1又は2置換のフェニル基、或いは、ナフチル基である(但し、この置換基の数には、式(I)及び(II)における環A〜環Cは置換基として含めていない。)
[5]特に好ましい部分構造
電気的な一電子酸化と中和の繰返しに対する耐久性を向上させるためには、式(II)で表されるトリフェニルアミン部分骨格における環A、B、及びCには、それぞれ、トリフェニルアミン部分骨格の中心にあるN原子に対してp−位に任意の置換基(好ましい置換基の例は、環A〜Cの好ましい置換基の例と同一である)を有しているのが好ましい。特に、該トリフェニルアミン部分骨格は、下記式(III)で表されるトリス(4−ビフ
ェニル)アミン骨格をなしていることが、最も好ましい。
Figure 2011051936
(式(III)中、環A〜環Fは、各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環を表
す。尚、該環D〜Fが有する置換基同士が結合して環を形成していていもよい。)
なお、式(III)において、環D〜環Fは置換基を有してもよく、該置換基としては、上記環A〜環Cの置換基として例示したものが挙げられる。ただし、環A〜環Fは、高い電荷輸送能を有する点では上記式(III)に示される以外の置換基を有していないことが好ましいが、有機溶剤に対する高い溶解性を有するという点では、置換基を有することが好ましい。さらに、式(III)中の、環D、環Eあるいは環Fは、それぞれが結合する環A、環Bあるいは環Cの結合位置に対して、メタ位にジゼンゾフラン環が結合していることが好ましい。特に、環D、環E、環Fのすべてが、該メタ位にジベンゾフラン環又はカルバゾール環が結合していることが好ましい。
また、有機溶剤への溶解性をさらに向上させるためには、本発明の有機化合物は、分子内に下記式(IV)で表されるm−フェニレン基を有することが好ましく、特に、m−フェニレン基の2,4,5,6−位は水素原子であること、つまり、このm−フェニレン基は無置換であることが、さらに好ましい。
Figure 2011051936
(式(IV)中、ベンゼン環は、置換基を有していてもよい。)
尚、式(III)にあっては、環D〜Fの少なくとも一つがm−フェニレン基であってもよく、有機溶剤への溶解性を向上させる点から、環D〜Fの全てが、上記式(IV)で表される、m−フェニレン基であることがより好ましい。
本発明の有機化合物は、特に、上記式(IV)で表されるm−フェニレン基を分子内に2以上有することが好ましく、3以上、10以下有することがさらに好ましい。
上記範囲内であると、耐熱性が良好であるため好ましい。
また、耐熱性と有機溶剤への溶解性とを、ともに向上させるためには、上記m−フェニレン基がジベンゾフラン環(部分構造(I))と結合していることが好ましく、特に、本発明の有機化合物は、分子内に下記式(IVa)で表される部分構造を有することが好ましい。尚、下記式(IVa)中のジベンゾフラン環及びベンゼン環は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
Figure 2011051936
(式(IVa)中、ベンゼン環及びジベンゾフラン環は、置換基を有していてもよい。)
また、耐熱性と有機溶剤への溶解性とを、ともに向上させるためには、上記m−フェニレン基がカルバゾール環と結合していることが好ましく、特に、本発明の有機化合物は、分子内に下記式(IVb)で表される3−(N−カルバゾリル)フェニル基を有することが
好ましい。前記3−(N−カルバゾリル)フェニル基は、置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
Figure 2011051936
(式(IVb)中、ベンゼン環及びカルバゾール環は、置換基を有していてもよい。)
[7]例示化合物
以下に、本発明の有機化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明の含窒素複素環化合物は以下の例示化合物に限定されるものではない。
Figure 2011051936
Figure 2011051936
<本発明の有機化合物の用途>
本発明の有機化合物は、発光材料、又は電荷輸送材料(電荷輸送性化合物)として用いられることが好ましく、また有機電界発素子における発光層の発光材料、電荷輸送材料として用いることが好ましく、特に電荷輸送材料として用いられることが好ましい。
また、製造方法を簡便にできることから、本発明の有機化合物は、湿式成膜法で形成される有機層に用いることが好ましい。
尚、本発明の有機化合物は、有機電界発光素子の他に、電子写真感光体、光電変換素子、有機太陽電池、有機整流素子などにも好適に用いることができる。
<有機化合物の合成方法>
本発明の有機化合物は、アリールアミン化合物に1個だけハロゲン化アリール化合物を反応させて、2級アリールアミン化合物を生成した後、さらにハロゲン化アリル化合物を
反応させる方法(方法1)や、ジハロゲノジアリールアミンにアリールボロン酸を反応させた後、ハロゲン化アリール化合物を反応させる方法(方法2)などがある。
アミンとハロゲン化化合物によりN−Ar結合を形成する反応としては、Pd錯体を用いたブッフバルトーハートビッヒ反応などのカップリング反応や銅を用いたウルマン反応などを用いることができるし、ハロゲン化アリル化合物とアリルボロン酸を反応させる方法としては、鈴木カップリングなどを用いることができる。尚、下記式中の、Halはハロゲンを表す。
Figure 2011051936
(式中のArは、任意のアリール基を表し、複数含まれるArは、各々互いに同じでもよく、また異なっていてもよい。)
<有機電界発光素子用組成物>
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の有機化合物及び溶剤を含有する。
該有機電界発光素子用組成物における本発明の有機化合物の、全固形分中の濃度は、下限が通常0.01重量%、好ましくは0.05重量%、より好ましくは0.1重量%、更に好ましくは0.5重量%、最も好ましくは1重量%であり、他方上限が通常100重量%、好ましくは95重量%、より好ましくは90重量%、更に好ましくは80重量%である。上記範囲内とすることにより、発光効率の向上及び素子の低電圧化の効果が得られる。尚、前記本発明の有機化合物は組成物中に、1種のみ含まれていてもよく、2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
[溶剤]
本発明の有機電界発光素子用組成物に含まれる溶剤としては、前記の本発明の有機化合物等の溶質が良好に溶解する溶剤であれば特に限定されないが、芳香族化合物及び脂肪族
ケトン化合物を用いることが、有機化合物を良好に溶解する点で好ましい。
芳香族化合物としては、例えば、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル;酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル;
脂肪族ケトンとしては、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、シクロペンタノン、トリメチルシクロヘキサノン等の脂環を有するケトン;メチルエチルケトン、ジブチルケトン等の脂肪族ケトン;メチルエチルケトン、等があげられる。
他に、シクロヘキサノール、シクロオクタノール等の脂環を有するアルコール;ブタノール、ヘキサノール等の脂肪族アルコール;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル等が利用できる。
これらのうち、水のへ溶解度が低い点、及び容易には変質しない点で、トルエン、キシレン、メチシレン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素が好ましい。
有機電界発光素子には、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、組成物中の水分の存在は、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられる。その為、組成物中の水分は、より低減させることが好ましい。
組成物中の水分量を低減する方法としては、例えば、蒸留や乾燥剤の使用などにより溶剤を予め脱水する、窒素ガスシール、水の溶解度が低い溶剤を使用する等が挙げられる。中でも、水の溶解度が低い溶剤を使用する場合は、湿式成膜工程中に、溶液膜が大気中の水分を吸収して白化する現象を防ぐことができるため好ましい。この様な観点からは、本実施の形態が適用される有機電界発光素子用組成物は、例えば、25℃における水の溶解度が1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下である溶剤を、組成物中10重量%以上含有することが好ましい。
また、湿式成膜時における組成物からの溶剤蒸発による、成膜安定性の低下を低減するためには、有機電界発光素子用組成物の溶剤として、沸点が100℃以上、好ましくは沸点が150℃以上、より好ましくは沸点が200℃以上の溶剤を用いることが効果的である。また、より均一な膜を得るためには、成膜直後の液膜から溶剤が適当な速度で蒸発することが必要で、このためには通常沸点80℃以上、好ましくは沸点100℃以上、より好ましくは沸点120℃以上で、通常沸点270℃未満、好ましくは沸点250℃未満、より好ましくは沸点230℃未満の溶剤を用いることが有効である。
上述の条件、即ち溶質の溶解性、蒸発速度、水の溶解度の条件を満足する溶剤を単独で用いてもよいが、すべての条件を満たす溶剤が選定できない場合は、2種類以上の溶剤を混合して用いることもできる。
[発光材料]
本発明の有機電界発光素子用組成物は、さらに発光材料を含有することが好ましい。
発光材料とは、本発明の有機電界発光素子用組成物において、主として発光する成分を指し、有機ELデバイスにおけるドーパント成分に当たる。該有機電界発光素子用組成物から発せられる光量(単位:cd/m)の内、通常10〜100%、好ましくは20〜100%、より好ましくは50〜100%、最も好ましくは80〜100%が、ある成分
材料からの発光と同定される場合、それを発光材料と定義する。
発光材料としては、任意の公知材料を適用可能であり、蛍光発光材料あるいは燐光発光材料を単独若しくは複数を混合して使用できるが、内部量子効率の観点から、好ましくは、燐光発光材料である。
尚、溶剤への溶解性を向上させる目的で、発光材料分子の対称性や剛性を低下させたり、あるいはアルキル基などの親油性置換基を導入したりすることも、重要である。
青色発光を与える蛍光色素としては、ペリレン、ピレン、アントラセン、クマリン、p−ビス(2−フェニルエテニル)ベンゼン及びそれらの誘導体等が挙げられる。緑色蛍光色素としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体等が挙げられる。黄色蛍光色素としては、ルブレン、ペリミドン誘導体等が挙げられる。赤色蛍光色素としては、DCM系化合物、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、アザベンゾチオキサンテン等が挙げられる。
燐光発光材料としては、例えば周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む有機金属錯体が挙げられる。
周期表7ないし11族から選ばれる金属を含む燐光性有機金属錯体における金属として好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金等が挙げられる。これらの有機金属錯体として、好ましくは下記式(V)又は下記式(VI)で表される化合物が挙げられる。
ML(q−j)L’ (V)
(式(V)中、Mは金属を表し、qは上記金属の価数を表す。また、L及びL’は二座配位子を表す。jは0、1又は2を表す。)
Figure 2011051936
(式(VI)中、Mは金属を表し、Tは炭素又は窒素を表す。R92〜R95は、それぞれ独立に置換基を表す。ただし、Tが窒素の場合は、R94及びR95は無い。)
以下、まず、式(V)で表される化合物について説明する。
式(V)中、Mは任意の金属を表し、好ましいものの具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。
また、式(V)中の二座配位子L及びL’は、それぞれ、以下の部分構造を有する配位
子を示す。
Figure 2011051936
Figure 2011051936
L’として、錯体の安定性の観点から、特に好ましくは、下記のものが挙げられる。
Figure 2011051936
上記L,L’の部分構造において、環A1は、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。また、環A2は、含窒素芳香族複素環基を表し、これらは置換基を有していてもよい。
環A1,A2が置換基を有する場合、好ましい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基;フェニル基、ナフチル基、フェナンチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
式(V)で表される化合物として、さらに好ましくは、下記式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2011051936
(式(Va)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2011051936
(式(Vb)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、環A1は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表し、環A2は置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
Figure 2011051936
(式(Vc)中、MはMと同様の金属を表し、wは上記金属の価数を表す。また、jは0、1又は2を表す。さらに、環A1及び環A1’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。また、環A2及び環A2’は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい含窒素芳香族複素環基を表す。)
上記式(Va)、(Vb)、(Vc)において、環A1及び環A1’の基としては、好ましくは、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、チエニル基、フリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフリル基、ピリジル基、キノリル基、イソキノリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。
また、環A2、環A2’の基としては、好ましくは、例えばピリジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、ベンゾチアゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、フェナントリジル基等が挙げられる。
さらに、式(Va)、(Vb)、(Vc)で表される化合物が有していてもよい置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基;カルバゾリル基;アセチル基等のアシル基
;トリフルオロメチル基等のハロアルキル基;シアノ基等が挙げられる。
上記置換基がアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。さらに、置換基がアルケニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。また、置換基がアルコキシカルボニル基である場合は、その炭素数は通常2以上6以下である。さらに、置換基がアルコキシ基である場合は、その炭素数は通常1以上6以下である。また、置換基がアリールオキシ基である場合は、その炭素数は通常6以上14以下である。さらに、置換基がジアルキルアミノ基である場合は、その炭素数は通常2以上24以下である。また、置換基がジアリールアミノ基である場合は、その炭素数は通常12以上28以下である。さらに、置換基がアシル基である場合は、その炭素数は通常1以上14以下である。また、置換基がハロアルキル基である場合は、その炭素数は通常1以上12以下である。
なお、これら置換基は互いに連結して環を形成してもよい。具体例としては、環A1が有する置換基と環A2が有する置換基とが結合するか、又は、環A1’が有する置換基と環A2’が有する置換基とが結合するかして、一つの縮合環を形成してもよい。このような縮合環基としては、7,8−ベンゾキノリン基等が挙げられる。
中でも、環A1、環A1’、環A2及び環A2’の置換基として、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、ジアリールアミノ基、カルバゾリル基が挙げられる。
また、式(Va)、(Vb)、(Vc)におけるM,M,Mとして好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられる。
上記式(V)、(Va)、(Vb)又は(Vc)で示される有機金属錯体の具体例を以下に示すが、下記の化合物に限定されるものではない(以下において、Phはフェニル基を表す。)。
Figure 2011051936
Figure 2011051936
Figure 2011051936
Figure 2011051936
Figure 2011051936
上記式(V)、(Va)、(Vb)、(Vc)で表される有機金属錯体の中でも、特に、配位子L及び/又はL’として2−アリールピリジン系配位子、即ち、2−アリールピリジン、これに任意の置換基が結合したもの、及び、これに任意の基が縮合してなるものを有する化合物が好ましい。
次に、前記式(VI)で表される化合物について説明する。
式(VI)中、Mは金属を表し、具体例としては、周期表7ないし11族から選ばれる金属として前述した金属が挙げられる。中でも好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金又は金が挙げられ、特に好ましくは、白金、パラジウム等の2価の金属が挙げられる。
また、式(VI)において、R92及びR93は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルアミノ基、アラルキルアミノ基、ハロアルキル基、水酸基、アリールオキシ基、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。
さらに、Tが炭素の場合、R94及びR95は、それぞれ独立に、R92及びR93と同様の例示物で表される置換基を表す。また、前述の如く、Tが窒素の場合はR94及びR95は無い。
また、R92〜R95はさらに置換基を有していてもよい。この場合のさらに有していてもよい置換基には特に制限はなく、任意の基を置換基とすることができる。
さらに、R92〜R95は互いに連結して環を形成してもよく、この環がさらに任意の
置換基を有していてもよい。
式(VI)で表される有機金属錯体の具体例(T−1,T−10〜T−15)を以下に示すが、下記の例示化合物に限定されるものではない。なお、以下において、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
Figure 2011051936
また、有機金属錯体としては、国際公開第2005/019373号パンフレットに記載の化合物も使用することができる。
[電荷輸送材料]
本発明の有機電界発光素子用組成物は、本発明の有機化合物を電荷輸送材として含むことが好ましいが、その他の電荷輸送材料を含んでいてもよい。
含んでいてもよい、その他の電荷輸送材料としては、前述の正孔注入層3における(低分子量の正孔輸送性化合物)として例示した各種の化合物のほか、例えば、4,4’−ビ
ス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルに代表される、2個以上の3級アミンを含み2個以上の縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族ジアミン(特開平5−234681号公報)、4,4’,4”−トリス(1−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン等のスターバースト構造を有する芳香族アミン化合物(Journal
of Luminescence,1997年,Vol.72−74,pp.985)、トリフェニルアミンの四量体から成る芳香族アミン化合物(Chemical Communications,1996年,pp.2175)、2,2’,7,7’−テトラキス−(ジフェニルアミノ)−9,9’−スピロビフルオレン等のスピロ化合物(Synthetic Metals,1997年, Vol.91,pp.209)等が挙げられる。
以下に、併用できる電荷輸送材料の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
併用する電荷輸送材料としては、正孔輸送能を有する化合物(以下、正孔輸送材料)と電子輸送能(電子輸送材料)を有する化合物とがあり、組成物中にこれらの材料を、重量比で、通常0:100以下、好ましくは2:98以下、また通常100:0以上、好ましくは98:2以上で混合することが好ましい。
上記範囲内であると、ホールや電子の移動バランスが改善し、駆動寿命が長く、電流効率が高い素子が得られる点で好ましい。
正孔輸送材料としては、例えばトリアリールアミンやカルバゾールを部分構造として有する化合物が挙げられる。以下に、正孔輸送材料の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
Figure 2011051936
Figure 2011051936
Figure 2011051936
電子輸送材料としては、芳香族複素環を部分構造として有する化合物が挙げられる。
芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、キノリン環、キノキサリン環、ピリミジン環、トリアジン環など挙げられる。以下に、電荷輸送材料の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2011051936
Figure 2011051936
Figure 2011051936
Figure 2011051936
本発明の有機化合物以外の電荷輸送材料を含む場合、該電荷輸送材料の組成物中の固形分濃度は、通常80質量%以下、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30重量%以下、最も好ましくは20質量%以下である。上記範囲内であると、厚膜を形成するのが容易である。
本発明の有機化合物以外の電荷輸送材料は含んでいなくてもよいため、下限値は通常0重量%以上である。
[その他の成分]
本発明の有機電界発光素子用組成物中には、前述した溶剤及び発光材料以外にも、必要に応じて、各種の他の溶剤を含んでいてもよい。このような他の溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
また、レベリング剤や消泡剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
また、2層以上の層を湿式成膜法により積層する際に、これらの層が相溶することを防ぐため、成膜後に硬化させて不溶化させる目的で光硬化性樹脂や、熱硬化性樹脂を含有させておくこともできる。
[有機電界発光素子用組成物中の材料濃度と配合比]
本発明の有機電界発光素子用組成物中の電荷輸送材料、発光材料及び必要に応じて添加可能な成分(レベリング剤など)などの固形分濃度は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、最も好ましくは1重量%以上であり、通常80重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下、最も好ま
しくは20重量%以下である。この濃度が下限を下回ると、薄膜を形成する場合、厚膜を形成するのが困難となり、上限を超えると、薄膜を形成するのが困難となる。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物において、発光材料/電荷輸送材料の重量混合比は、通常、0.1/99.9以上であり、より好ましくは0.5/99.5以上であり、さらに好ましくは1/99以上であり、最も好ましくは2/98以上で、通常、50/50以下であり、より好ましくは40/60以下であり、さらに好ましくは30/70以下であり、最も好ましくは20/80以下である。この比が下限を下回ったり、上限を超えたりすると、著しく発光効率が低下するおそれがある。
[有機電界発光素子用組成物の性状、物性等]
(水分濃度)
本発明の有機電界発光素子用組成物を用いた湿式成膜法により層形成して有機電界発光素子を製造する場合、用いる有機電界発光素子用組成物に水分が存在すると、形成された膜に水分が混入して膜の均一性が損なわれるため、本発明の有機電界発光素子用組成物中の水分含有量はできるだけ少ない方が好ましい。また一般に、有機電界発光素子は、陰極等の水分により著しく劣化する材料が多く使用されているため、有機電界発光素子用組成物中に水分が存在した場合、乾燥後の膜中に水分が残留し、素子の特性を低下させる可能性が考えられ好ましくない。
具体的には、本発明の有機電界発光素子用組成物中に含まれる水分量は、通常1重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.01重量%以下である。
有機電界発光素子用組成物中の水分濃度の測定方法としては、日本工業規格「化学製品の水分測定法」(JIS K0068:2001)に記載の方法が好ましく、例えば、カールフィッシャー試薬法(JIS K0211−1348)等により分析することができる。
(均一性)
本発明の有機電界発光素子用組成物は、湿式成膜プロセスでの安定性、例えば、インクジェット成膜法におけるノズルからの吐出安定性を高めるためには、常温で均一な液状であることが好ましい。常温で均一な液状とは、組成物が均一相からなる液体であり、かつ組成物中に粒径0.1μm以上の粒子成分を含有しないことをいう。
(物性)
本発明の有機電界発光素子用組成物の粘度については、極端に低粘度の場合は、例えば成膜工程における過度の液膜流動による塗面不均一、インクジェット成膜におけるノズル吐出不良等が起こりやすくなり、極端に高粘度の場合は、インクジェット成膜におけるノズル目詰まり等が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における粘度は、通常2mPa・s以上、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上であり、通常1000mPa・s以下、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下である。
また、本発明の有機電界発光素子用組成物の表面張力が高い場合は、基板に対する成膜用液の濡れ性が低下する、液膜のレベリング性が悪く、乾燥時の成膜面乱れが起こりやすくなる等の問題が発生するため、本発明の組成物の20℃における表面張力は、通常50mN/m未満、好ましくは40mN/m未満である。
さらに、本発明の有機電界発光素子用組成物の蒸気圧が高い場合は、溶剤の蒸発による溶質濃度の変化等の問題が起こりやすくなる。このため、本発明の組成物の25℃における蒸気圧は、通常50mmHg以下、好ましくは10mmHg以下、より好ましくは1mmHg以下である。
[有機電界発光素子用薄膜]
本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜法により形成された本発明の有機電界発光素子用薄膜は、結晶化しにくく、発光特性、耐熱性に優れた膜であり、通常有機電界発光素子の陰極と陽極との間の層として使用される。
ここで、湿式成膜法とは、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。これらの成膜方法の中でも、スピンコート法、スプレーコート法、インクジェット法が好ましい。これは、有機電界発光素子に用いられる塗布用組成物特有の液性に合うためである。
本発明の有機電界発光素子用薄膜の膜厚は用途に応じて適宜決定され、例えば、有機電界発光素子の発光層であれば、後述の如く、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下、或いは、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[有機電界発光素子]
本発明の有機電界発光素子は、基板上に少なくとも陽極、陰極及びこれらの両極間に設けられた発光層を有するものであって、本発明の有機電界発光素子用組成物を用いて湿式成膜法により形成された層を有することを特徴とする。該湿式成膜法により形成された層は、該発光層であることが好ましい。
図1は本発明の有機電界発光素子に好適な構造例を示す断面の模式図であり、図1において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入層、4は発光層、5は電子注入層、6は陰極を各々表す。
[1]基板
基板1は有機電界発光素子の支持体となるものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラスチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性に留意する必要がある。基板のガスバリア性が小さすぎると、基板を通過した外気により有機電界発光素子が劣化することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂基板の少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方法の一つである。
[2]陽極
基板1上には陽極2が設けられる。陽極2は発光層側の層(正孔注入層3又は発光層4など)への正孔注入の役割を果たすものである。
この陽極2は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロゲン化金属、カーボンブラック、或いは、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子などにより構成される。
陽極2の形成は通常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われることが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅などの微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒子、導電性高分子微粉末などを用いて陽極を形成する場合には、適当なバインダー樹脂溶液に分散させて、基板1上に塗布することにより陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子の場合は、電解重合により直接基板1上に薄膜を形成したり、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成することもできる(Appl.Phys.Lett.,60巻,2711頁,1992年)。
陽極2は通常は単層構造であるが、所望により複数の材料からなる積層構造とすることも可能である。
陽極2の厚みは、必要とする透明性により異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過率を、通常60%以上、好ましくは80%以上とすることが望ましい。この場合、陽極の厚みは通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常1000nm以下、好ましくは500nm以下程度である。不透明でよい場合は陽極2の厚みは任意であり、陽極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記の陽極2の上に異なる導電材料を積層することも可能である。
陽極に付着した不純物を除去し、イオン化ポテンシャルを調整して正孔注入性を向上させることを目的に、陽極表面を紫外線(UV)/オゾン処理したり、酸素プラズマ、アルゴンプラズマ処理したりすることは好ましい。
(正孔注入層)
正孔注入層3は、陽極2から発光層5へ正孔を輸送する層であり、通常、陽極2上に形成される。
本発明に係る正孔注入層3の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔注入層3を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔注入層3の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、また、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下の範囲である。
<湿式成膜法による正孔注入層の形成>
湿式成膜により正孔注入層3を形成する場合、通常は、正孔注入層3を構成する材料を適切な溶剤(正孔注入層用溶剤)と混合して成膜用の組成物(正孔注入層形成用組成物)を調製し、この正孔注入層形成用組成物を適切な手法により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極)上に塗布して成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
(正孔輸送性化合物)
正孔注入層形成用組成物は通常、正孔注入層の構成材料として正孔輸送性化合物及び溶剤を含有する。
正孔輸送性化合物は、通常、有機電界発光素子の正孔注入層に使用される、正孔輸送性を有する化合物であれば、重合体などの高分子化合物であっても、単量体などの低分子化合物であってもよいが、高分子化合物であることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、陽極2から正孔注入層3への電荷注入障壁の観点から4.5eV〜6.0eVのイオン化ポテンシャルを有する化合物が好ましい。正孔輸送性化合物の例としては、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ベンジルフェニル誘導体、フルオレン基で3級アミンを連結した化合物、ヒドラゾン誘導体、シラザン誘導体、シラナミン誘導体、ホスファミン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、カーボン等が挙げられる。
尚、本発明において誘導体とは、例えば、芳香族アミン誘導体を例にするならば、芳香族アミンそのもの及び芳香族アミンを主骨格とする化合物を含むものであり、重合体であっても、単量体であってもよい。
正孔注入層3の材料として用いられる正孔輸送性化合物は、このような化合物のうち何れか1種を単独で含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。2種以上の正孔
輸送性化合物を含有する場合、その組み合わせは任意であるが、芳香族三級アミン高分子化合物1種又は2種以上と、その他の正孔輸送性化合物1種又は2種以上とを併用することが好ましい。
上記例示した中でも非晶質性、可視光の透過率の点から、芳香族アミン化合物が好ましく、特に芳香族三級アミン化合物が好ましい。ここで、芳香族三級アミン化合物とは、芳香族三級アミン構造を有する化合物であって、芳香族三級アミン由来の基を有する化合物も含む。
芳香族三級アミン化合物の種類は特に制限されないが、表面平滑化効果による均一な発光の点から、重量平均分子量が1000以上、1000000以下の高分子化合物(繰り返し単位が連なる重合型化合物)がさらに好ましい。芳香族三級アミン高分子化合物の好ましい例として、下記式(I)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
Figure 2011051936
(式(I)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Ar〜Arは、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。Yは、下記の連結基群の中から選ばれる連結基を表す。また、Ar〜Arのうち、同一のN原子に結合する二つの基は互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 2011051936
(上記各式中、Ar〜Ar16は、各々独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭
化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。R及びRは、各々独立して、水素原子又は任意の置換基を表す。))
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基としては、高分子化合物の溶解性、耐熱性、正孔注入・輸送性の点から、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピリジン環由来の基が好ましく、ベンゼン環、ナフタレン環由来の基がさらに好ましい。
Ar〜Ar16の芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基の分子量としては、通常400以下、中でも250以下程度が好ましい。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが好ましい。
及びRが任意の置換基である場合、該置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、シリル基、シロキシ基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基などが挙げられる。
式(I)で表される繰り返し単位を有する芳香族三級アミン高分子化合物の具体例としては、国際公開第2005/089024号パンフレットに記載のものが挙げられる。
また、正孔輸送性化合物としては、ポリチオフェンの誘導体である3,4-ethylenedioxythiophene(3,4-エチレンジオキシチオフェン)を高分子量ポリスチレンスルホン酸中で重合してなる導電性ポリマー(PEDOT/PSS)もまた好ましい。また、このポリマーの末端を
メタクリレート等でキャップしたものであってもよい。
さらに、正孔輸送性化合物としては、後述の[正孔輸送層]の項に記載の架橋性化合物を用いてもよい。架橋性化合物を用いる場合、成膜方法なども同様である。
正孔注入層形成用組成物中の、正孔輸送性化合物の濃度は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、膜厚の均一性の点で通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは0.5重量%以上、また、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。この濃度が大きすぎると膜厚ムラが生じる可能性があり、また、小さすぎると成膜された正孔注入層に欠陥が生じる可能性がある。
(電子受容性化合物)
正孔注入層形成用組成物は正孔注入層の構成材料として、電子受容性化合物を含有していることが好ましい。
電子受容性化合物とは、酸化力を有し、上述の正孔輸送性化合物から一電子受容する能力を有する化合物が好ましく、具体的には、電子親和力が4eV以上である化合物が好ましく、5eV以上の化合物である化合物がさらに好ましい。
このような電子受容性化合物としては、例えば、トリアリールホウ素化合物、ハロゲン化金属、ルイス酸、有機酸、オニウム塩、アリールアミンとハロゲン化金属との塩、アリールアミンとルイス酸との塩よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物等が挙げられる。さらに具体的には、4−イソプロピル−4’−メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンダフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート等の有機基の置換したオニウム塩(国際公開2005/089024号パンフレット);塩化鉄(III)(特開平11−251067号公報)、ペルオキソ二硫酸アン
モニウム等の高原子価の無機化合物;テトラシアノエチレン等のシアノ化合物、トリス(ペンダフルオロフェニル)ボラン(特開2003−31365号公報)等の芳香族ホウ素化合物;フラーレン誘導体;ヨウ素;ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、ショウノウスルホン酸イオン等のスルホン酸イオン等が挙げられる。
これらの電子受容性化合物は、正孔輸送性化合物を酸化することにより正孔注入層の導電率を向上させることができる。
正孔注入層或いは正孔注入層形成用組成物中の電子受容性化合物の正孔輸送性化合物に対する含有量は、通常0.1モル%以上、好ましくは1モル%以上である。但し、通常100モル%以下、好ましくは40モル%以下である。
(その他の構成材料)
正孔注入層の材料としては、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述の正孔輸送性化合物や電子受容性化合物に加えて、さらに、その他の成分を含有させてもよい。その他の成分の例としては、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
(溶剤)
湿式成膜法に用いる正孔注入層形成用組成物の溶剤のうち少なくとも1種は、上述の正孔注入層の構成材料を溶解しうる化合物であることが好ましい。また、この溶剤の沸点は通常110℃以上、好ましくは140℃以上、中でも200℃以上、通常400℃以下、中でも300℃以下であることが好ましい。溶剤の沸点が低すぎると、乾燥速度が速すぎ、膜質が悪化する可能性がある。また、溶剤の沸点が高すぎると乾燥工程の温度を高くする必要があし、他の層や基板に悪影響を与える可能性がある。
溶剤として例えば、エーテル系溶剤、エステル系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アミド系溶剤などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート(PGMEA)等の脂肪族エーテル;1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキシルベンゼン、3−イロプロピルビフェニル、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,4−ジイソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、等が挙げられる。
その他、ジメチルスルホキシド、等も用いることができる。
これらの溶剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(成膜方法)
正孔注入層形成用組成物を調製後、この組成物を湿式成膜により、正孔注入層3の下層に該当する層(通常は、陽極2)上に塗布成膜し、乾燥することにより正孔注入層3を形成する。
塗布工程における温度は、組成物中に結晶が生じることによる膜の欠損を防ぐため、10℃以上が好ましく、50℃以下が好ましくい。
塗布工程における相対湿度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、
通常0.01ppm以上、通常80%以下である。
塗布後、通常加熱等により正孔注入層形成用組成物の膜を乾燥させる。加熱工程において使用する加熱手段の例を挙げると、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射などが挙げられる。中でも、膜全体に均等に熱を与えるためには、クリーンオーブン及びホットプレートが好ましい。
加熱工程における加熱温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り、正孔注入層形成用組成物に用いた溶剤の沸点以上の温度で加熱することが好ましい。また、正孔注入層に用いた溶剤が2種類以上含まれている混合溶剤の場合、少なくとも1種類がその溶剤の沸点以上の温度で加熱されるのが好ましい。溶剤の沸点上昇を考慮すると、加熱工程においては、好ましくは120℃以上、好ましくは410℃以下で加熱することが好ましい。
加熱工程において、加熱温度が正孔注入層形成用組成物の溶剤の沸点以上であり、かつ塗布膜の十分な不溶化が起こらなければ、加熱時間は限定されないが、好ましくは10秒以上、通常180分以下である。加熱時間が長すぎると他の層の成分が拡散する傾向があり、短すぎると正孔注入層が不均質になる傾向がある。加熱は2回に分けて行ってもよい。
<真空蒸着法による正孔注入層の形成>
真空蒸着により正孔注入層3を形成する場合には、正孔注入層3の構成材料(前述の正孔輸送性化合物、電子受容性化合物等)の1種又は2種以上を真空容器内に設置されたるつぼに入れ(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼに入れ)、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度まで排気した後、るつぼを加熱して(2種以上の材料を用いる場合は各々のるつぼを加熱して)、蒸発量を制御して蒸発させ(2種以上の材料を用いる場合は各々独立に蒸発量を制御して蒸発させ)、るつぼと向き合って置かれた基板の陽極2上に正孔注入層3を形成させる。なお、2種以上の材料を用いる場合は、それらの混合物をるつぼに入れ、加熱、蒸発させて正孔注入層3を形成することもできる。
蒸着時の真空度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、通常0.1×10−6Torr(0.13×10−4Pa)以上、通常9.0×10−6Torr(12.0×10−4Pa)以下である。 蒸着速度は、本発明の効果を著しく損なわない
限り限定されないが、通常0.1Å/秒以上、通常5.0Å/秒以下である。蒸着時の成膜温度は、本発明の効果を著しく損なわない限り限定されないが、好ましくは10℃以上で、好ましくは50℃以下で行われる。
[正孔輸送層]
本発明に係る正孔輸送層4の形成方法は真空蒸着法でも、湿式成膜法でもよく、特に制限はないが、ダークスポット低減の観点から正孔輸送層4を湿式成膜法により形成することが好ましい。
正孔輸送層4は、正孔注入層がある場合には正孔注入層3の上に、正孔注入層3が無い場合には陽極2の上に形成することができる。 また、本発明の有機電界発光素子は、正
孔輸送層を省いた構成であってもよい。
正孔輸送層4を形成する材料としては、正孔輸送性が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸送することができる材料であることが好ましい。そのために、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光に対して透明性が高く、正孔移動度が大きく、安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使用時に発生しにくいことが好ましい。また、多くの場合、発光層5に接するため、発光層5からの発光を消光したり、発光層5との間でエキサイプレックスを形成して効率を低下させたりしないことが好ましい。
このような正孔輸送層4の材料としては、従来、正孔輸送層の構成材料として用いられている材料であればよく、例えば、前述の正孔注入層3に使用される正孔輸送性化合物として例示したものが挙げられる。また、アリールアミン誘導体、フルオレン誘導体、スピロ誘導体、カルバゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
また、例えば、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリアリールアミン誘導体、ポリビニルトリフェニルアミン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリアリーレン誘導体、テトラフェニルベンジジンを含有するポリアリーレンエーテルサルホン誘導体、ポリアリーレンビニレン誘導体、ポリシロキサン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)誘導体等が挙げられる。これらは、交互共重合体、ランダム重合体、ブロック重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、主鎖に枝分かれがあり末端部が3つ以上ある高分子や、所謂デンドリマーであってもよい。
中でも、ポリアリールアミン誘導体やポリアリーレン誘導体が好ましい。
ポリアリールアミン誘導体としては、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む重合体であることが好ましい。特に、下記式(2)で表される繰り返し単位からなる重合体であることが好ましく、この場合、繰り返し単位それぞれにおいて、Ar又はArが異なっているものであってもよい。
Figure 2011051936
(式(2)中、Ar及びArは、各々独立して、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。)
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの、6員環の単環又は2〜5縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
置換基を有していてもよい芳香族複素環基としては、例えばフラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの、5又は6員環の単環又は2〜4縮合環由来の基及びこれらの環が2環以上直接結合で連結してなる基が挙げられる。
有機溶剤に対して溶解性、耐熱性の点から、Ar及びArは、各々独立に、ベンゼ
ン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、トリフェニレン環、ピレン環、チオフェン環、ピリジン環、フルオレン環からなる群より選ばれる環由来の基やベンゼン環が2環以上連結してなる基(例えば、ビフェニル基(ビフェニレン基)やターフェニル基(ターフェニレン基))が好ましい。
中でも、ベンゼン環由来の基(フェニル基)、ベンゼン環が2環連結してなる基(ビフェニル基)及びフルオレン環由来の基(フルオレニル基)が好ましい。
Ar及びArにおける芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、ジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、アシル基、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シリル基、シロキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基などが挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、前記式(2)におけるArやArとして例示した置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基などのアリーレン基をその繰り返し単位に有する重合体が挙げられる。
ポリアリーレン誘導体としては、下記式(III−1)及び/又は下記式(III−2)からなる繰り返し単位を有する重合体が好ましい。
Figure 2011051936
(式(III−1)中、Ra、Rb、R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニルアルキル基、フェニルアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルボキシ基を表す。t及びsは、各々独立に、0〜3の整数を表す。t又はsが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のRa又はRbは同一であっても異なっていてもよく、隣接するRa又はRb同士で環を形成していてもよい。)
Figure 2011051936
(式(III−2)中、R及びRは、各々独立に、上記式(III−1)におけるRa、Rb、R又はRと同義である。r及びuは、各々独立に、0〜3の整数を表す。r又はuが2以上の場合、一分子中に含まれる複数のR及びRは同一であっても異なっていてもよく、隣接するR又はR同士で環を形成していてもよい。Xは、5員環又は6員環を構成する原子又は原子群を表す。)
Xの具体例としては、―O―、―BR―、―NR―、―SiR―、―PR―、―SR―、―CR―又はこれらが結合してなる基である。尚、Rは、水素原子又は任意の有機基を表す。本発明における有機基とは、少なくとも一つの炭素原子を含む基である。
また、ポリアリーレン誘導体としては、前記式(III−1)及び/又は前記式(III−2)からなる繰り返し単位に加えて、さらに下記式(III−3)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 2011051936
(式(III−3)中、Ar〜Arは、各々独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を表す。v及びwは、各々独立に0又は1を表す。)
Ar〜Arの具体例としては、前記式(II)における、Ar及びArと同様である。
上記式(III−1)〜(III−3)の具体例及びポリアリーレン誘導体の具体例等は、特開2008-98619号公報に記載のものなどが挙げられる。
湿式成膜法で正孔輸送層4を形成する場合は、上記正孔注入層3の形成と同様にして、正孔輸送層形成用組成物を調製した後、湿式成膜後、加熱乾燥させる。
正孔輸送層形成用組成物には、上述の正孔輸送性化合物の他、溶剤を含有する。用いる溶剤は上記正孔注入層形成用組成物に用いたものと同様である。また、成膜条件、加熱乾燥条件等も正孔注入層3の形成の場合と同様である。
真空蒸着法により正孔輸送層を形成する場合もまた、その成膜条件等は上記正孔注入層3の形成の場合と同様である。
正孔輸送層4は、上記正孔輸送性化合物の他、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、塗布性改良剤などを含有していてもよい。
正孔輸送層4はまた、架橋性化合物を架橋して形成される層であってもよい。架橋性化合物は、架橋性基を有する化合物であって、架橋することにより網目状高分子化合物を形成する。
この架橋性基の例を挙げると、オキセタン、エポキシなどの環状エーテル由来の基;ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合由来の基;ベンゾシクロブテン由来の基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーのいずれであってもよい。 架橋性
化合物は1種のみを有していてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で有していてもよい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。
正孔輸送性化合物としては、上記の例示したものが挙げられ、これら正孔輸送性化合物に対して、架橋性基が主鎖又は側鎖に結合しているものが挙げられる。特に架橋性基は、アルキレン基等の連結基を介して、主鎖に結合していることが好ましい。また、特に正孔輸送性化合物としては、架橋性基を有する繰り返し単位を含む重合体であることが好ましく、上記式(II)や式(III−1)〜(III−3)に架橋性基が直接又は連結基を介して結合した繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物の例を挙げると、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の含窒素芳香族化合物誘導体;トリフェニルアミン誘導体;シロール誘導体;オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。その中でも、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体等の含窒素芳香族誘導体;トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが好ましく、特に、トリフェニルアミン誘導体がより好ましい。
架橋性化合物を架橋して正孔輸送層4を形成するには、通常、架橋性化合物を溶剤に溶解又は分散した正孔輸送層形成用組成物を調製して、湿式成膜により成膜して架橋させる。
正孔輸送層形成用組成物には、架橋性化合物の他、架橋反応を促進する添加物を含んでいてもよい。架橋反応を促進する添加物の例を挙げると、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシムエステル化合物、アゾ化合物、オニウム塩等の重合開始剤及び重合促進剤;縮合多環炭化水素、ポルフィリン化合物、ジアリールケトン化合物等の光増感剤;などが挙げられる。
また、さらに、レベリング剤、消泡剤等の塗布性改良剤;電子受容性化合物;バインダー樹脂;などを含有していてもよい。
正孔輸送層形成用組成物は、架橋性化合物を通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下含有する。
このような濃度で架橋性化合物を含む正孔輸送層形成用組成物を下層(通常は正孔注入層3)上に成膜後、加熱及び/又は光などの活性エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて網目状高分子化合物を形成する。
成膜時の温度、湿度などの条件は、前記正孔注入層3の湿式成膜時と同様である。
成膜後の加熱の手法は特に限定されない。加熱温度条件としては、通常120℃以上、好ましくは400℃以下である。
加熱時間としては、通常1分以上、好ましくは24時間以下である。加熱手段としては特に限定されないが、塗布膜された層を有する積層体をホットプレート上に載せたり、オーブン内で加熱するなどの手段が用いられる。例えば、ホットプレート上で120℃以上、1分間以上加熱する等の条件を用いることができる。
光などの活性エネルギー照射による場合には、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、赤外ランプ等の紫外・可視・赤外光源を直接用いて照射する方法、あるいは前述の光源を内蔵するマスクアライナ、コンベア型光照射装置を用いて照射する方法などが挙げられる。光以外の活性エネルギー照射では、例えばマグネトロンにより発生させたマイクロ波を照射する装置、いわゆる電子レンジを用いて照射する方法が挙げられる。照射時間としては、膜の溶解性を低下させるために必要な条件を設定することが好ましいが、通常、0.1秒以上、好ましくは10時間以下照射される。
加熱及び光などの活性エネルギー照射は、それぞれ単独、あるいは組み合わせて行ってもよい。組み合わせる場合、実施する順序は特に限定されない。
このようにして形成される正孔輸送層4の膜厚は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上であり、また通常300nm以下、好ましくは100nm以下である。
[4]発光層
正孔注入層3の上には通常発光層4が設けられる。発光層4は例えば前述の発光材料を含む層であり、電界を与えられた電極間において、陽極2から正孔注入層3を通じて注入された正孔と、陰極6から電子輸送層5を通じて注入された電子との再結合により励起されて、主たる発光源となる層である。発光層4は発光材料(ドーパント)と1種又は2種以上のホスト材料を含むことが好ましく、発光層4は本発明の有機化合物をホスト材料として含むことがさらに好ましく、真空蒸着法で形成してもよいが、本発明の有機電界発光素子用組成物を用い、湿式成膜法によって作製された層であることが特に好ましい。
ここで、湿式成膜法とは、前述の如く、溶剤を含む組成物を、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法等湿式で成膜される方法をいう。
なお、発光層4は、本発明の性能を損なわない範囲で、他の材料、成分を含んでいてもよい。
一般に有機電界発光素子において、同じ材料を用いた場合、電極間の膜厚が薄い方が、実効電界が大きくなる為、注入される電流が多くなるので、駆動電圧は低下する。その為、電極間の総膜厚は薄い方が、有機電界発光素子の駆動電圧は低下するが、あまりに薄いと、ITO等の電極に起因する突起により短絡が発生する為、ある程度の膜厚が必要となる。
本発明においては、発光層4以外に、正孔注入層3及び後述の電子輸送層5等の有機層を有する場合、発光層4と正孔注入層3や電子輸送層5等の他の有機層とを合わせた総膜厚は通常30nm以上、好ましくは50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上で、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、さらに好ましくは300nm以下である。また、発光層4以外の正孔注入層3や後述の電子注入層5の導電性が高い場合、発光層4に注入される電荷量が増加する為、例えば正孔注入層3の膜厚を厚くして発光層4の膜厚を薄くし、総膜厚をある程度の膜厚を維持したまま駆動電圧を下げることも可能である。
よって、発光層4の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは20nm以上で、通常300nm以下、好ましくは200nm以下である。なお、本発明の素子が、陽極及び陰極の両極間に、発光層4のみを有する場合の発光層4の膜厚は、通常30nm以上、好ましくは50nm以上、通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
[5]電子注入層
電子注入層5は陰極6から注入された電子を効率よく発光層4へ注入する役割を果たす。電子注入を効率よく行うには、電子注入層5を形成する材料は、仕事関数の低い金属が好ましく、ナトリウムやセシウム等のアルカリ金属、バリウムやカルシウムなどのアルカリ土類金属が用いられる。
電子注入層5の膜厚は0.1〜5nmが好ましい。
また、陰極6と発光層4又は後述の電子輸送層8との界面にLiF、MgF、LiO、CsCO等の極薄絶縁膜(0.1〜5nm)を挿入することも、素子の効率を向上させる有効な方法である(Appl.Phys.Lett.,70巻,152頁,1997年;特開平10−74
586号公報;IEEETrans.Electron.Devices,44巻,1245頁,1997年;SID 04 Digest ,154頁)。
さらに、後述するバソフェナントロリン等の含窒素複素環化合物や8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体に代表される有機電子輸送材料に、ナトリウム、カリウム、セシウム、リチウム、ルビジウム等のアルカリ金属をドープする(特開平10−270171号公報、特開2002−100478号公報、特開2002−100482号公報などに記載)ことにより、電子注入・輸送性が向上し優れた膜質を両立させることが可能となるため好ましい。この場合の膜厚は通常5nm以上、好ましくは10nm以上で、通常200nm以下、好ましくは100nm以下である。
電子注入層5は、発光層4と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。真空蒸着法の場合には、真空容器内に設置されたるつぼ又は金属ボートに蒸着源を入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、るつぼ又は金属ボートを加熱して蒸発させ、るつぼ又は金属ボートと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
アルカリ金属の蒸着は、クロム酸アルカリ金属と還元剤をニクロムに充填したアルカリ金属ディスペンサーを用いて行う。このディスペンサーを真空容器内で加熱することにより、クロム酸アルカリ金属が還元されてアルカリ金属が蒸発される。有機電子輸送材料とアルカリ金属とを共蒸着する場合は、有機電子輸送材料を真空容器内に設置されたるつぼに入れ、真空容器内を適当な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、各々のるつぼ及びディスペンサーを同時に加熱して蒸発させ、るつぼ及びディスペンサーと向き合って置かれた基板上に電子注入層を形成する。
このとき、電子注入層5の膜厚方向において均一に共蒸着されるが、膜厚方向において濃度分布があっても構わない。
なお、電子注入層5は、図5,6に示す如く、これを省略してもよい。
[6]陰極
陰極6は、発光層側の層(電子注入層5又は発光層4など)に電子を注入する役割を果たす。陰極6として用いられる材料は、前記陽極2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率よく電子注入を行うには、仕事関数の低い金属が好ましく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀等の適当な金属又はそれらの合金が用いられる。具体例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、アルミニウム−リチウム合金等の低仕事関数合金電極が挙げられる。
陰極6の膜厚は通常、陽極2と同様である。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、この上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のために、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金等の金属が使われる。
[7]その他の構成層
以上、図1に示す層構成の素子を中心に説明してきたが、本発明の有機電界発光素子における陽極2及び陰極6と発光層4との間には、その性能を損なわない限り、上記説明にある層の他にも、任意の層を有していてもよく、また発光層4以外の任意の層を省略してもよい。
有してもよい層としては例えば、電子輸送層7が挙げられる。電子輸送層7は素子の発光効率をさらに向上させることを目的として、図2に示す如く、発光層4と電子注入層5との間に設けられる。
電子輸送層7は、電界を与えられた電極間において陰極6から注入された電子を効率よ
く発光層4の方向に輸送することができる化合物より形成される。電子輸送層7に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極6又は電子注入層5からの電子注入効率が高く、かつ、高い電子移動度を有し注入された電子を効率よく輸送することができる化合物であることが必要である。
このような条件を満たす材料としては、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体、オキサジアゾール誘導体、ジスチリルビフェニル誘導体、シロール誘導体、3−又は5−ヒドロキシフラボン金属錯体、ベンズオキサゾール金属錯体、ベンゾチアゾール金属錯体、トリスベンズイミダゾリルベンゼン(米国特許第5,645,948号)、キノキサリン化合物(特開平6−207169号公報)、フェナントロリン誘導体(特開平5−331459号公報)、2−t−ブチル−9,10−N,N’−ジシアノアントラキノンジイミン、n型水素化非晶質炭化シリコン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛などが挙げられる。
電子輸送層7の膜厚は、通常下限は1nm、好ましくは5nm程度であり、上限は通常300nm、好ましくは100nm程度である。
電子輸送層7は、正孔注入層3と同様にして湿式成膜法、或いは真空蒸着法により発光層4上に積層することにより形成される。通常は、真空蒸着法が用いられる。
また、特に、発光物質として燐光材料を用いたり、青色発光材料を用いたりする場合、図3に示す如く、正孔阻止層8を設けることも効果的である。正孔阻止層8は正孔と電子を発光層4内に閉じこめて、発光効率を向上させる機能を有する。即ち、正孔阻止層8は、発光層4から移動してくる正孔が電子輸送層7に到達するのを阻止することで、発光層4内で電子との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、電子輸送層8から注入された電子を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
正孔阻止層8は、陽極2から移動してくる正孔を陰極6に到達するのを阻止する役割と、陰極6から注入された電子を率よく発光層4の方向に輸送することができる化合物により、発光層4の上に、発光層4の陰極6側の界面に接するように積層形成される。
正孔阻止層8を構成する材料に求められる物性としては、電子移動度が高く正孔移動度が低いこと、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。
このような条件を満たす正孔阻止層材料としては、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(フェノラト)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(トリフェニルシラノラト)アルミニウム等の混合配位子錯体、ビス(2−メチル−8−キノラト)アルミニウム−μ−オキソ−ビス−(2−メチル−8−キノリラト)アルミニウム二核金属錯体等の金属錯体、ジスチリルビフェニル誘導体等のスチリル化合物(特開平11−242996)、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール誘導体(特開平7−41759号公報)、バソクプロイン等のフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報)が挙げられる。
さらに、国際公開第2005/022962号パンフレットに記載の2,4,6位が置換されたピリジン環を少なくとも1個有する化合物も正孔阻止材料として好ましい。
正孔阻止層8の膜厚は、通常0.3nm以上、好ましくは0.5nm以上で、通常100nm以下、好ましくは50nm以下である。
正孔阻止層8も正孔注入層3と同様の方法で形成することができるが、通常は真空蒸着法が用いられる。
電子輸送層7及び正孔阻止層8は必要に応じて、適宜設ければよく、1)電子輸送層のみ、2)正孔阻止層のみ、3)正孔阻止層/電子輸送層の積層、4)用いない、等、用法がある。
正孔阻止層8と同様の目的で、図4に示す如く、正孔注入層3と発光層4の間に電子阻止層9を設けることも効果的である。電子阻止層9は、発光層4から移動してくる電子が正孔注入層3に到達するのを阻止することで、発光層4内で正孔との再結合確率を増やし、生成した励起子を発光層4内に閉じこめる役割と、正孔注入層3から注入された正孔を効率よく発光層4の方向に輸送する役割がある。
電子阻止層9に求められる特性としては、正孔輸送性が高く、エネルギーギャップ(HOMO、LUMOの差)が大きいこと、励起三重項準位(T1)が高いことが挙げられる。また、発光層4を湿式成膜法で形成する場合、電子阻止層9も湿式成膜法で形成することが、素子製造が容易となるため、好ましい。
このため、電子阻止層9も湿式成膜適合性を有することが好ましく、このような電子阻止層9に用いられる材料としては、本発明の有機化合物の他、F8−TFBに代表されるジオクチルフルオレンとトリフェニルアミンの共重合体(国際公開第2004/084260号パンフレット)等が挙げられる。
なお、図1とは逆の構造、即ち、基板1上に陰極6、電子注入層5、発光層4、正孔注入層3、陽極2の順に積層することも可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設けることも可能である。同様に、図2〜図6に示した前記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
さらには、図1に示す層構成を複数段重ねた構造(発光ユニットを複数積層させた構造)とすることも可能である。その際には段間(発光ユニット間)の界面層(陽極がITO、陰極がAlの場合はその2層)の代わりに、例えばV等を電荷発生層(CGL)として用いると段間の障壁が少なくなり、発光効率・駆動電圧の観点からより好ましい。
本発明は、有機電界発光素子が、単一の素子、アレイ状に配置された構造からなる素子、陽極と陰極がX−Yマトリックス状に配置された構造のいずれにおいても適用することができる。
<有機ELディスプレイ及び有機EL照明>
本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明は、上述のような本発明の有機電界発光素子を用いたものである。本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明の型式や構造については特に制限はなく、本発明の有機電界発光素子を用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「有機ELディスプレイ」(オーム社、平成16年8月20日発行、時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載されているような方法で、本発明の有機ELディスプレイ及び有機EL照明を形成することができる。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明はその要旨を逸脱しない限り任意に変更して実施できる。
[化合物Aの合成例]
(中間体1の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、トリス(4-ブロモフェニル)アミン(6.70g,15.67mmol)、MCPB(3g,10.45mmol)、トルエン(52ml)、エタノール(26ml)溶液に、室温でテトラキス(
トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.60g,0.522mmol)、2M炭酸ナトリウム水
溶液(13ml)を加え、2時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出
、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=5/1→3/1→2/1)にて精製し、トルエン/シクロヘキサンで再結晶することで中間体1(1.75g,収率26%)を得た。
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、3−ブロモ−1−ヨードベンゼン(22.0 g,77.8 mmol)、4−ジベン
ゾフランボロン酸(15.0 g,70.8 mmol)、トルエン(140 ml)、エタノール(140 ml)
溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.45 g,2.12 mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(70 ml)を加え、4時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレンの混合溶剤)にて精製し、塩化メチレンに溶かし、メタノールに再沈殿することで中間体2(22.4 g,収率98 %)を得た。
(中間体3の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体2(20 g,61.9 mmol)の無水THF(200 mL)溶液に、−78℃
でn−ブチルリチウム(1.65 M、45 mL)を滴下した。−78℃で3時間攪拌後、トリメト
キシボラン(19.3 g, 186 mmol)を30分かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌
させ、温度を徐々に室温まで上昇させさらに3時間攪拌した。反応終了後、1N塩酸でpH=1とし、酢酸エチルで抽出後、硫酸マグネシウム乾燥させ、減圧下で溶剤を留去し中間体
3(13.0 g,収率73 %)を得た。
(化合物Aの合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体1(3.72 g,5.78 mmol)、中間体3(4.00 g,13.87 mmol)、
トルエン(57.6 ml)、エタノール(28.8 ml)溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.33 g,0.29 mmol)、2M炭酸ナトリウム水溶液(14.4 ml)を加え、4時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレンの混合溶剤)にて精製し、塩化メチレンに溶かし、メタノールに再沈殿することで化合物A(4.78 g,収率85 %)を得た。
LDI-MS(m/z=970(M))により化合物Aであることを確認した。
このもののガラス転移温度は137℃、窒素気流下での重量減少開始温度は577℃であった。
[化合物Bの合成例]
(中間体4の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体2(14.7 g,45.3 mmol)、ビスピナコラートジボラン(13.8 g
,54.4 mmol)の脱水ジメチルスルホキシド(100 ml)懸濁液に対して30分間窒素バブリ
ングをおこなったのち、ジクロロ[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジ
ウム(II)ジクロロメタン付加物(1.13 g,1.38 mmol)及び酢酸カリウム(15.4 g,154 mmol)を順に加え、95 oCにて3時間攪拌した。室温まで放冷後、反応混合物に水を入れ、
析出した結晶を濾取し、酢酸エチルに溶解させ、硫酸マグネシウムを入れ、かき混ぜたのち濾過をし、濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン = 1:1→1:2)にて精製することで中間体4(12.6 g,収率75%)を得た。
(中間体5の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、トリス(4-ブロモフェニル)アミン(14.5 g, 30.1 mmol)、3-ビフェ
ニルボロン酸(3.00 g, 15.0 mmol)、トルエン(60 ml)、エタノール(30 ml)溶液に
対して30分間窒素バブリングをおこなったのち、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(347 mg,0.300 mmol)、2.0 M炭酸ナトリウム水溶液(19 ml)
を加え、6時間加熱還流させた。室温まで放冷後、反応混合物を塩化メチレンで抽出、有
機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=19:1→1:9→1:4)にて精製し、中間体5(3.60 g,収率43%)を得た。
(化合物Bの合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体5(3.60 g,6.48 mmol)、中間体4(5.65 g,15.3 mmol)、トルエン(60 ml)、エタノール(30 ml)溶液に対して30分間窒素バブリングをおこなったのち、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(240 mg,0.208 mmol)、2.0 M炭酸ナトリウム水溶液(16 ml)を加え、8時間加熱還流させた。室温まで放冷後、反応混合物を塩化メチレンで抽出、有機層を飽和食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン= 3/1→2/1→1/1)にて分離精製することで化合物B(3.87 g,収率68%)を得た。
DEI-MS(m/z=881(M))により化合物Bであることを確認した。
このもののガラス転移温度は114 ℃、窒素気流下での重量減少開始温度は565 ℃であった。
[化合物Cの合成例]
(中間体1及び中間体6の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、トリス(4-ブロモフェニル)アミン(2.63 g,6.15 mmol)、MCPB(1.76 g,6.15 mmol)、トルエン(30 ml)、エタノール(15 ml)溶液に、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.28 g,0.246 mmol)、2M炭酸ナトリウ
ム水溶液(7.5 ml)を加え、2時間半還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエ
ンで抽出、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=5/1→3/1)にて精製し、塩化メチレン/メタノールで再沈殿することで中間体1(1.27 g,収率32 %)、及
び中間体6(0.91 g,収率18 %)を得た。
(化合物Cの合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体6(3.2 g,4 mmol)、4-ジベンゾフランボロン酸(1.2 g,5.5 mmol)、トルエン(110 ml)、エタノール(80 ml)溶液、2M炭酸ナトリウム水溶液(56 ml)を加え60度で1時間窒素バブリングした。反応溶液にテトラキス(トリフェニルホス
フィン)パラジウム(0)(0.32 g,0.28 mol)を加え、3時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=4/1)、昇華生成にて精製し、化合物C(2.46g)を得た。LDI-MS(m/z=894)(M))
により化合物Cであることを確認した。このもののガラス転移温度は148℃、窒素気流下
での重量減少開始温度は570℃であった。
[化合物Dの合成例]
(中間体7の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体1(13.1 g,20 mmol)、3−ビフェニルボロン酸(3.6 g,18 mmol)、トルエン(250 ml)、エタノール(200 ml)溶液、2M炭酸ナトリウム水溶液(100
ml)を加え、60度で1時間窒素バブリングした。反応溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.82 g,0.7 mol)を加え、1時間還流させた。室温まで放
冷後、反応混合物をトルエンで抽出、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=4/1)にて精製し、中間体(5 6.3g)を得た。
(化合物Dの合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体7(3.2 g,4.5 mmol)、中間体3(1.8 g,0.62 mmol)、トル
エン(100 ml)、エタノール(75 ml)溶液、2M炭酸ナトリウム水溶液(50 ml)を加え、60度で1時間窒素バブリングした。反応溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(0)(0.18 g,0.15 mol)を加え、1時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=4/1→3/1)、昇華精製にて精製し、化合物D(2.8g)を得た。LDI-MS(m/z=880)(M))により
化合物Dであることを確認した。
[化合物Eの合成例]
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、中間体7(2.8 g,3.9 mmol)、4−ジベンゾフランボロン酸(1.2 g,0.54 mmol)、トルエン(100 ml)、エタノール(75 ml)溶液、2M炭酸ナトリウム水溶液(50 ml)を加え、60度で1時間窒素バブリングした。反応溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.16 g,0.14 mol)を加え、1時間還流させた。室温まで放冷後、反応混合物をトルエンで抽出、有機層を食塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/塩化メチレン=4/1→3/1)、昇華精製にて精製し、化合物E(2.3g)を得た。LDI-MS(m/z=804)(M))により化合物Eであることを確認した。
[参考例]
[化合物Fの合成例]
(中間体8の合成)
Figure 2011051936
500 mL四つ口フラスコに原料15.0g(37mmol)を加え、30分窒素置換した。反応器に無水THF200mLを加えたのち、溶液を-80℃まで冷却した。液温が上がらないように注意しながらn-BuLiヘキサン溶液(1.65M)24.0 mlを30分かけて滴下し、4時間反応した。トリトキシ
ボラン(11.8 g, 112 mmol)を10分かけて滴下した後2時間反応した。溶液を室温まで昇温
し、30分攪拌した。反応溶液に1N HCl水溶液を200 ml加え、さらに30分攪拌した。溶液に酢酸エチル500 mlを加え、目的物を有機層に抽出したのち、有機相を食塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、エバポレーターにて濃縮した。得られた黄色固体をヘキサンにて懸洗し、中間体8(15.2g)を得た。
(中間体9の合成)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、m−カルバゾリルフェニルボロン酸(13.1 g, 45.9 mmol)、ビス(4
−ブロモフェニル)アミン(15.0 g, 45.9 mmol)にトルエン(204 mL)、2M-炭酸ナト
リウム水溶液(102 mL)、エタノール(102 mL)を加え、10分間窒素を通して脱気を行った。混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(297 mg, 257 mmol)を添加し、還流させながら3時間攪拌した。反応終了後、混合物を水にあけ、トルエンで抽出した。有機層を精製水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体10(13.4 g)を得た。このものの質量分析値は488 (M+)であった。
(中間体10の合成)
Figure 2011051936
500 ml四つ口フラスコに中間体9 3.5g(7.1mmol)、中間体10 5.2g (14.3 mol, 2MR)、トルエン122 ml、エタノール88 ml、炭酸ナトリウム水溶液62 mlを加え、60度で1時間窒素バブリングした。反応溶液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) 580 mg(7 mol%)を加え、3時間還流した。反応終了後、混合物を水にあけ、トルエン
で抽出した。有機層を精製水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体10(5.11g) を
得た
(中間体11)
Figure 2011051936
窒素雰囲気下、3−ビフェニルボロン酸(18.3 g, 92.5 mmol)、4-ヨードブロモベン
ゼン(24.9 g, 87.9 mmol)にトルエン(176 mL)、2M-炭酸ナトリウム水溶液(88 mL)、エタノール(88 mL)を加え、10分間窒素を通して脱気を行った。混合物にテトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.5 g, 1.29 mmol)を添加し、還流させながら3時間攪拌した。反応終了後、混合物を水にあけ、トルエンで抽出した。有機層を精製水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、中間体11(22.6 g)を得た。このものの質量分析値は308 (M+)であった。
(化合物Fの合成)
Figure 2011051936
300 ml四つ口フラスコに中間体10(5.11g、7.0mmol)、中間体11(2.82g 、2.5 mmol)、NaOtBu 1.35g (8.8 mmol, 2MR)、トルエン100mlを加え、30分窒素バブリングした
(溶液A)。一方、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムクロロホルム錯体(
181mg)のトルエン溶液(5ml)に、トリ−t−ブチルホスフィン284mgを加え、65℃まで加温した(溶液B)。窒素気流中、溶液Aに溶液Bを添加し、4時間加熱還流反応した。有機層を精製水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶剤を減圧下に留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、昇華精製にて精製し、化合物F 2.1gを得た。
LDI-MS(m/z=955(M))により化合物Fであることを確認した。
このもののガラス転移温度は127℃、窒素気流下での重量減少開始温度は570℃であった。
[有機電界発光素子の作成]
図1に示す構造を有する有機電界発光素子を以下の方法で作製した。
ガラス基板1の上にインジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(スパッター成膜品;シート抵抗15Ω)を通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極2を形成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによる超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコールによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
次いで、正孔注入層3を以下のように湿式成膜法によって形成した。正孔注入層3の材料として、下記式(PB−1)の芳香族アミノ基を有する高分子化合物(重量平均分子量:52000,数平均分子量:32500))と下記に示す構造式の電子受容性化合物(A−2)とを用い、下記の条件でスピンコートした。
Figure 2011051936
<正孔注入層用組成物>
溶剤 安息香酸エチル
塗布液濃度 PB−1 2.0重量%
A−2 0.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数 2250rpm
スピナ回転時間 30秒
スピンコート雰囲気 大気下 25℃
乾燥条件 230℃×60分
上記のスピンコートにより膜厚30nmの均一な薄膜が形成された。
続いて、正孔輸送層を以下のように湿式製膜法によって形成した。正孔輸送層の材料として、下記に示す構造式の電荷輸送材料(PB−2)を、溶剤としてシクロヘキシルベンゼンを用いた有機電界発光素子用組成物を調製し、この有機電界発光素子用組成物を用いて下記の条件でスピンコートした。
Figure 2011051936
<正孔輸送層用組成物>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
塗布液濃度 PB−2 1.4重量%
<成膜条件>
スピナ回転数 1500rpm
スピナ回転時間 120秒
スピンコート雰囲気 乾燥窒素中 25℃
乾燥条件 230℃×60分 (乾燥窒素下)
上記のスピンコートにより膜厚20nmの均一な薄膜が形成された。
次に、発光層を形成するにあたり、電荷輸送材料として、以下に示す、有機化合物(HO−1)、及び本発明の有機化合物(HO−2)、並びに、発光材料として、以下に示す、有機化合物(DO−1)を用いて下記に示す有機電界発光素子組成物を調製し、以下に示す条件で正孔輸送層上にスピンコートして膜厚60nmで発光層を得た。
Figure 2011051936
<発光層用組成物>
溶剤 シクロヘキシルベンゼン
組成物中濃度 HO−1: 1.25重量%
HO−2: 3.75重量%
DO−1: 0.25重量%

<スピンコート条件>
スピナ回転数 2000rpm
スピナ回転時間 120秒
乾燥条件 130℃×60分(減圧下)
上記のスピンコートにより膜厚50nmの均一な薄膜が形成された。
次に、正孔阻止層として下記に示すピリジン誘導体(HB−1)をるつぼ温度251〜252℃として、蒸着速度0.08〜0.12nm/秒で10nmの膜厚で積層した。蒸着時の真空度は2.1〜2.4×10−4Pa(約1.6〜1.8×10−6Torr)
であった。
Figure 2011051936
次に、正孔阻止層の上に、電子輸送層として下記に示すアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体(ET−1)を同様にして蒸着した。この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体のるつぼ温度は222〜239℃の範囲で制御し、蒸着時の真空度は1.7〜2.0×10−4Pa(約1.3〜1.5×10−6Torr)、蒸着速度は0.1nm/秒で膜厚は30nmとした。
Figure 2011051936
上記の正孔阻止層及び電子輸送層を真空蒸着する時の基板温度は室温に保持した。
ここで、電子輸送層までの蒸着を行った素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出して、陰極蒸着用のマスクとして2mm幅のストライプ状シャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交するように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置して有機層と同様にして装置内の真空度が2.3×10−6Torr(約3.0×10−4Pa)以下になるまで排気した。
次に、電子輸送層の上に、電子注入層として、フッ化リチウム(LiF)を、モリブデンボートを用いて、蒸着速度0.015nm/秒、真空度2.5×10−6Torr(約3.3×10−4Pa)で、0.5nmの膜厚で電子輸送層の上に成膜した。
次に、電子注入層の上に、陰極として、アルミニウムをモリブデンボートにより加熱し
て、蒸着速度0.5〜3.0nm/秒、真空度3.3〜7.5×10−6Torr(約4.4〜10.0×10−4Pa)で成膜して膜厚80nmのアルミニウム層を形成して陰極を完成させた。
以上の電子注入層、陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
以上の様にして、2mm×2mmのサイズの発光面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:7.2[cd/A](@100cd/m
電圧:8.2[V](@100cd/m
発光効率:2.7[1m/W](@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は628nmであり、イリジウム錯体(DO−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.680,0.317)であった。
[比較例:電荷輸送材料(HO−3)を含む有機電界発光素子用組成物を用いた有機電解発光素子の製造・評価]
発光層の材料として、(HO−2)に代えて下記に示す構造式の化合物(HO−3)を用い、同様の条件でスピンコートした以外は、実施例と同様にして有機電界発光素子を作製した。
Figure 2011051936
上記のスピンコートにより膜厚50nmの均一な薄膜(発光層)が形成された。
この素子の発光特性は以下の通りである。
輝度/電流:6.7[cd/A](@100cd/m
電圧:8.1[V](@100cd/m
発光効率:2.6[1m/W](@100cd/m
素子の発光スペクトルの極大波長は628nmであり、イリジウム錯体(DO−2)からのものと同定された。色度はCIE(x,y)=(0.678,0.320)であった。
実施例1、及び比較例1において作製した有機電界発光素子の特性、及び初期輝度を2000cd/mとして直流駆動試験を行い、輝度が1000cd/mまで減少するまでの時間(輝度50%減衰寿命)を表1にまとめる。
Figure 2011051936
表1に示すが如く、本発明の有機化合物を用いた有機電界発光素子は、電流効率が高く、また駆動寿命が長いことがわかる。
本発明の有機化合物は、有機EL光素子が使用される各種の分野、例えば、フラットパネル・ディスプレイ(例えばOAコンピュータ用や壁掛けテレビ)や面発光体としての特徴を生かした光源(例えば、複写機の光源、液晶ディスプレイや計器類のバックライト光源)、表示板、標識灯等の分野において、好適に使用することが出来る。
また、本発明の有機化合物は、本質的に優れた耐酸化還元安定性を有することから、有機電界発光素子に限らず、電子写真感光体や有機太陽電池など有機デバイス全般に有用である。
1 基板
2 陽極
3 正孔注入層
4 正孔輸送層
5 発光層
6 正孔阻止層
7 電子輸送層
8 電子注入層
9 陰極

Claims (12)

  1. 一分子内に下記式(I)で表される部分構造と下記式(II)で表される部分構造とを有する化合物であることを特徴とする、有機化合物。
    Figure 2011051936
    (式(II)中、環A〜環Cは、各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環を表す。また、式(I)中のジベンゾフラン環は、置換基を有していてもよい。)
  2. 前記化合物が、下記式(III)で表される部分構造を有することを特徴とする、請求項
    1に記載の有機化合物。
    Figure 2011051936
    (式(III)中、環A〜環Fは、各々独立に、置換基を有していてもよいベンゼン環を表
    す。尚、該環D〜Fが有する置換基同士が結合して環を形成していていもよい。)
  3. 前記化合物が、下記式(IV)で表される部分構造を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機化合物。
    Figure 2011051936
    (式(IV)中、ベンゼン環は、置換基を有していてもよい。)
  4. 前記化合物が、下記式(IVa)で表される部分構造を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機化合物。
    Figure 2011051936
    (式(IVa)中、ベンゼン環及びジベンゾフラン環は、置換基を有していてもよい。)
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機化合物からなることを特徴とする、電荷輸送材料。
  6. 請求項1〜4のいずれか1以降に記載の有機化合物と、溶剤とを含有することを特徴とする、有機電界発光素子用組成物。
  7. 前記溶剤が、芳香族化合物又は脂肪族ケトン化合物である請求項6に記載の有機電界発光素子用組成物。
  8. さらに、燐光発光材料を含有することを特徴とする、請求項6又は7に記載の有機電界発光素子用組成物。
  9. 基板上に、陽極、陰極及びこれら両極間に設けられた発光層を有する有機電界発光素子であって、請求項6〜8のいずれか1項に記載の有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法により形成された層を有する有機電界発光素子。
  10. 前記有機電界発光素子用組成物を用いて、湿式成膜法により形成された層が、発光層であることを特徴とする、請求項9に記載の有機電界発光素子。
  11. 請求項9又は10に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機ELディスプレイ。
  12. 請求項9又は10に記載の有機電界発光素子を備えたことを特徴とする、有機EL照明。
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