JP2011051032A - ワイヤーソー用ローラー - Google Patents

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Toshiaki Osawa
俊明 大沢
Kenji Uemura
健二 植村
Tomoyuki Ogura
知之 小倉
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Taiheiyo Cement Corp
NTK Ceratec Co Ltd
Sanyo Ceratec Corp
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Nihon Ceratec Co Ltd
Taiheiyo Cement Corp
Sanyo Ceratec Corp
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Abstract

【課題】耐久性を高めるとともに、ローラーの変形を低減し、被加工物の精度を向上に寄与することができるワイヤーソー用ローラーを提供する。
【解決手段】ローラーの外周部に溝を備えるワイヤーソー用ローラーであって、少なくとも前記外周部の一部が窒化珪素粉末を含む樹脂からなることを特徴とするワイヤーソー用ローラー。窒化珪素粉末は、平均粒径が0.1〜20μmであり、樹脂はウレタン樹脂であり窒化珪素粉末の含有量が1〜50質量%である。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えばシリコン、各種光学結晶、磁性体、水晶等の切断や溝入れ加工を行うワイヤーソー用ローラーに関する。
シリコンウエハー、各種光学結晶、磁性体、水晶、セラミックス材料等の精密切断や溝入れ加工などにワイヤーソーが用いられている。このワイヤーソーは、図1に示すように、ワイヤーWが複数のローラー11の間に所定の張力を保って一方向もしくは往復動自在に支持されており、このワイヤーWをシリコンウエハー、磁性材料、水晶などの被加工物12に押し当て、遊離砥粒を含んだラッピングオイルの存在下で摺動して切断や溝入れの加工を行うものである。ローラーの外周面にはワイヤーを装入して案内する多数の溝が設けられており、被加工物は溝のピッチに応じて加工される。
従来のワイヤーソー用ローラーには、軟質の樹脂によって形成されたものや、逆に硬質のセラミックスによって形成されたものが用いられている。しかしながら、樹脂を用いたものはワイヤーの摺動による磨耗が激しく、また、その柔らかさに加え湿分や加工熱により長時間使用すると溝部が変形してしまう問題があった。溝部が変形すると被加工物の加工精度が悪化し、しばしば被加工面が波打つ状態になったり厚みがばらついたりする。一方、セラミックスを用いたものは、耐摩耗性に優れるが、滑りやすくワイヤーが隣の溝部に跨ってしまう「ワイヤー飛び」現象や局所の異常磨耗が発生する場合があった。
このような材質上の問題を克服するために、炭化珪素質砥粒(GC砥粒)、シリカ砥粒、アルミナ砥粒、ダイヤモンド砥粒を樹脂に含ませたワイヤーソー用ローラーが提案されている(特許文献1)。樹脂に砥粒を含ませることにより、ローラーのワイヤー溝の壁面を硬化することができ、ローラーの摩耗を低減することができる。
特開2006−102917号公報
しかしながら、特許文献1のように砥粒を添加したワイヤーソー用ローラーでも、耐久性及び加工精度は十分でなかった。最近では加工速度をあげるために遊離砥粒ではなく、ワイヤーに研磨材を固定化した固定砥粒ワイヤーの使用も増え、より耐久性の高いローラーの供給が期待されている。
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、耐久性を高めるとともに、ローラーの変形を低減し、被加工物の精度を向上に寄与することができるワイヤーソー用ローラーを提供するものである。
本発明は、このような課題を解決するため、以下の(1)〜(4)を提供する。
(1)ローラーの外周部に溝を備えるワイヤーソー用ローラーであって、少なくとも前記外周部の一部が窒化珪素粉末を含む樹脂からなることを特徴とするワイヤーソー用ローラー。
(2)前記窒化珪素粉末は、平均粒径が0.1〜20μmである(1)記載のワイヤーソー用ローラー。
(3)前記樹脂はウレタン樹脂であり、窒化珪素粉末の含有量が1〜50質量%である(1)または(2)記載のワイヤーソー用ローラー。
(4)固定砥粒ワイヤーの支持に用いられる(1)〜(3)記載のワイヤーソー用ローラー。
耐久性を高めるとともに、ローラーの変形を低減し、被加工物の精度を向上に寄与することができるワイヤーソー用ローラーを提供することができる。
ワイヤーソーの概略図である。 ワイヤーソー用ローラーの概略断面図である。
以下、本発明のワイヤーソー用ローラーについて詳細に説明する。
図2は、ワイヤーソー用ローラーの概略断面図である。ローラー20は、外周部21に複数の溝21aが形成されており、ワイヤーWが溝に支持される。そして、図1に示したように、このようなローラーを複数用いることによって、ワイヤーソーが構成される。
本発明のワイヤーソー用ローラーは、少なくともローラーの外周部の一部が窒化珪素粉末を含む樹脂からなる。本発明は、窒化珪素粉末を樹脂に含ませることでワイヤーソー用ローラーの耐久性が高まることを見出し発明に至ったものである。窒化珪素は、炭化珪素やダイヤモンドのような砥粒に用いられるよう材料と比べて硬さに劣るため、樹脂へ含ませて硬質化させるための材料としては用いられなかった。しかしながら、窒化珪素と樹脂とを複合化させることで、極めて高寿命化できることがわかった。この理由は定かではないが、窒化珪素は破壊靱性が高いことから、砥粒に用いられるのような高硬度の材料よりも欠けが生じ難く、さらに低熱膨張性を有しているため、樹脂と複合化させることで摩擦熱による変形を小さく抑えられることから、変形によるローラーへの負荷の増加を低減できることが寄与していると考えられる。加えてワイヤーに対する適当な「グリップ力」と「リジッド(rigid)性」を同時に有することができ、その結果ローラーは長寿命化し、被加工物の加工歩留まりが向上する。
ローラーの外周部とは、その表面に溝が形成された円筒形状の部分を言う。したがって、ローラーの内側に基材として金属やセラミックスを用い、その基材の外側に外周部が形成されても良いし、ローラーの全体が窒化珪素を含む樹脂によって形成されても良い。そして、少なくとも外周部の一部が窒化珪素粉末を含む樹脂からなる。これは、通常ローラーの中央部で加工がなされ、ローラーの両端部はワイヤーの導入部と送出部に該当することから、例えば、より強いグリップ力が期待されるローラーの外周部の両端部には窒化珪素を含まない樹脂を配置し、ローラーの外周部の中央部には窒化珪素を含む樹脂を配置した構成を採用できることを示す。
窒化珪素粉末は、平均粒径が0.1〜20μmであることが好ましい。粒径が上記範囲内であれば、樹脂への均一な分散が可能である。平均粒径のより好ましい範囲は、0.5〜10μm、さらに好ましい範囲は1〜10μmである。平均粒径が1μm以上の粗粉は焼結性に劣ることから、焼結体の原料粉末には用いられないため再粉砕等の処理を要する。しかしながら、再粉砕はコストがかかるうえ、粉砕時の不純物混入のおそれもあることから、粗粉は廃棄される場合が多かった。本発明では、従来使用されなかった上記のような平均粒径を有する窒化珪素の粗粉を有効に活用することができる。
外周部の樹脂には、ウレタン樹脂を用いることが好ましい。ウレタン樹脂と窒化珪素粉末とを複合化させることで、ワイヤーに対する適当なグリップ力とリジッド性を同時に有することができ、その結果ローラーは長寿命化し、被加工物の加工歩留まりが向上する。ウレタン樹脂としては、エーテル系エラストマーを好適に用いることができる。
外周部に含まれる窒化珪素粉末は、グリップ力とリジッド性とを両立させる観点から1〜50質量%が好ましい。添加量が1質量%よりも少ないとワイヤーと接した溝部が容易に磨耗し、50質量%よりも多くなると硬質になりすぎて充分なグリップ力を維持出来なくなる。窒化珪素粉末の量は、加工条件によって選定されるべきである。外周部に含まれる窒化珪素粉末のより好ましい範囲は、5〜40質量%である。
窒化珪素粉末は、α化率が50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。特に、直接窒化法により製造した窒化珪素粉末であって上記のようなα化率の粉末が、作製の容易性およびコスト面から好適に用いられる。
また、本発明のワイヤーソー用ローラーは、より耐久性の求められる固定砥粒ワイヤー用のローラーとして用いたときに、大きな効果を発揮する。固定砥粒ワイヤーを用いた高速加工に適したグリップ力とリジッド性を有しているためである。尚、ワイヤーをガイドするプーリーに関しても上記理由により適用可能である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。
[実施例1]
まずローラーを成形するための円筒形の型を用意し、高温の液状のウレタン樹脂(エーテル系硬度95°)60質量%に窒化珪素粉末40質量%を混合し撹拌した。窒化珪素粉末には直接窒化法により製造した平均粒径5μm、α化率95%のものを用いた。冷却後、硬化したウレタン樹脂素材を所定の肉厚になるように中心部をくり抜き、パイプ状になったローラーの外周部にピッチ0.4mm、溝角度70°の溝入れ加工を行った。なお、本明細書では、レーザー回折式粒度分布測定のメジアン径D50を以って平均粒径とした。
[実施例2]
上記と異なる窒化珪素粉末(α化率70%、平均粒径1μm)を用い、ウレタン樹脂90質量%、窒化珪素粉末10質量%とした以外は、実施例1と同様に作製した。
[比較例1]
炭化珪素粉末(平均粒径1μm)10質量%、ウレタン樹脂90質量%を用いた以外は実施例と同様に作製した。
これらのローラーを使用しサファイア素子のスライスを試みた。なお、ワイヤーには、ダイヤモンド砥粒が固定されたものを用いた。その結果、実施例1及び2のローラーでは、溝部の磨耗や変形が少なく、ソリの少ない厚みが均一な加工物を得ることができた。また、極めて長寿命であり、耐久性に優れていた。一方、比較例1のローラーを用いた場合は、実施例よりも溝部の磨耗や変形が多く、加工の均一性及びローラーの耐久性に劣っていた。
10 ワイヤーソー
11 ローラー
12 被加工物
20 ローラー
21 外周部
21a 溝
W ワイヤー

Claims (4)

  1. ローラーの外周部に溝を備えるワイヤーソー用ローラーであって、少なくとも前記外周部の一部が窒化珪素粉末を含む樹脂からなることを特徴とするワイヤーソー用ローラー。
  2. 前記窒化珪素粉末は、平均粒径が0.1〜20μmである請求項1記載のワイヤーソー用ローラー。
  3. 前記樹脂はウレタン樹脂であり、窒化珪素粉末の含有量が1〜50質量%である請求項1または2記載のワイヤーソー用ローラー。
  4. 固定砥粒ワイヤーの支持に用いられる請求項1〜3記載のワイヤーソー用ローラー。
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