JP5173519B2 - ローラ部材およびワイヤソー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被切断部材を切断するワイヤソー装置、およびワイヤソー装置に備えられて用いられるローラ部材に関する。
従来より、ブロック化されたインゴットを切断(スライス)して薄片化する用途に、ワイヤソー装置が用いられている。例えば、ワイヤソー装置を用いて、インゴットを所定の厚みとなるように複数枚に切断し、一度の切断で、シリコン基板などのウェハを複数形成している。
従来のワイヤソー装置では、複数のローラ部材が、各々の軸が互いに平行とされて配置され、各ローラ表面に設けられた溝にワイヤーが巻回されている。
かかるワイヤソー装置では、ローラ部材の外周面をワイヤが摺動するため、ローラ部材の耐摩耗性がなるべく高いことが要求されている。また、ローラ部材によって比較的高い力でワイヤが張り巡らされるので、ローラ部材自体の剛性が比較的高いことも要求される。
従来は、例えば下記特許文献1に記載されているような、ウレタン等の樹脂からなるローラ部材が主に使用されていた。また、例えば下記特許文献2には、表面層をアルミナ(Al)で構成したローラ部材も提案されている。
特開平7−117043号公報 特開平10−44140号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように、ローラ部材が例えばウレタン等の樹脂で形成されている場合、耐摩耗性が比較的低く、早い段階で摩耗してしまうといった課題があった。また、ローラ部材がウレタン等の樹脂で形成されている場合、剛性が比較的低いのでワイヤの張力によって曲がりやすく、この場合、切断した薄片(ウエハ等)の厚さや形状にバラツキが発生し易いといった課題もあった。また、特許文献2では、ローラ部材の表面をアルミナで構成することで、ウレタン等の樹脂よりも耐摩耗性を向上させている。しかし、近年のローラ部材の長尺化、ウエハ等の製造量の増加にともない、表面層をアルミナで構成したローラ部材に比して、より高い耐磨耗性および剛性が求められている。
上記課題を解決するため、本発明は、被切断部材を切断するためのワイヤが外周面に巻き回されるローラ部材であって、アルミナを60質量%以上含み、かつジルコニアを20
質量%以上30質量%以下含んでなるジルコニア強化アルミナから形成された、前記外周面を備える筒状部材を備えて構成されており、前記筒状部材の少なくとも外周面部分は、Si、TiおよびMgをそれぞれSiO 、TiO 換算およびMgO換算で0.6質量%以上かつ4.5質量%以下含有しており、前記アルミナの平均結晶粒径は、1μm以下であり、前記ジルコニアの平均結晶粒径は、0.9μm以下であることを特徴とするローラ部材を提供する。
なお、前記筒状部材には、前記ワイヤが配置される複数の溝部が外周面部分に設けられていることが好ましい。
また、前記筒状部材の内周面には、中央部から端部に向けて厚みが小さくなる段差部が設けられており、前記溝部が、前記段差部に対してより端部の側に少なくとも設けられていることが好ましい。
なお、前記溝部は、断面が略字形状であってもよい。
本発明は、また、上述のローラ部材と、前記ローラ部材に巻き回されたワイヤと、被切断部材を移送して前記ワイヤに被切断部材を当接させる移送機構と、を備えることを特徴とするワイヤソー装置を、併せて提供する。
本発明のローラ部材は、耐磨耗性および剛性の双方が比較的高く、また、熱伝導率も比較的高い。かかるローラ部材を備えて構成される本発明のワイヤソー装置は、切断時におけるローラ部材の湾曲も比較的少なく、ローラ部材の磨耗も少ない。本発明のワイヤソー装置では、切断した薄片の厚さや形状のばらつきが比較的少なく、比較的長い期間、安定した性能で使用を続けることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明に係るワイヤソー装置の一実施形態について説明する概略斜視図である。
このワイヤソー装置10は、3本のメインローラ1を備える、いわゆる三軸のワイヤソー装置である。メインローラ1は筒状の部材であって、図1に示すように、互いに所定間隔をおいて平行に配置されており、周面に等間隔で多数の溝2が形成されている。なお、図1では、溝2の間隔を誇張して(広めに)図示している。
ワイヤソー装置10では、巻き取りドラム4および5にそれぞれ端部が巻きかけられた一本のワイヤ15が、複数のメインローラ1を取り囲むように巻きかけられている。ワイヤ15は、メインローラ1の複数の溝2に、それぞれ配置するように巻きかけられている。
ワイヤソー装置10は、ワーク支持手段8を備えている。このワーク支持手段8は、切断終了時にワイヤ15を若干切り込ませるためのブロック13と、そのブロックを保持するホルダ14とからなる。このワーク支持手段8は図示しない移動機構に保持されて、上下に移動可能とされている。このワーク支持手段8はワークWを保持し、ワイヤ15にワークWを押し当てるものである。
本実施形態では、ワークWとして単結晶インゴットを用い、ワイヤソー装置10によってワーク10を切断して、複数のウエハを得る例について説明する。なお、ワーク押し当て部近くにはブレを防止するすブレ防止手段(不図示)が設けられている。ブレ防止手段は、ワークWが切断されて最も近づいた際、数mmの隙間ができるような位置に配置する。
ワイヤ15の始端側は、巻き取りドラム5に巻回されている。同様にワイヤ15の終端側は、巻取りドラム4に巻回されている。ワイヤ15の始端側及び終端側には、ワイヤ15の張力を調整自在な張力調整機構6、7が設けている。
ワイヤ15としては例えばピアノ線が用いられ、ワークWを切断する際には、ワークWの上方に設置された図示しない供給ノズルから、切削液が供給される構造となっている。切削液としては、例えば砥粒スラリーと呼ばれる油剤または水に、炭化珪素、アルミナ、CBN、ダイヤモンドなどの砥粒が混合された液を用いればよい。
ワイヤ装置10では、複数本のメインローラ1に張り巡らされたワイヤWを高速で移動走行させながら、一本または複数のワークWをワイヤWに向けて徐々に降下させる。ワークWの降下につれて、ワイヤ15の研削作用によってワークWが切断され、メインローラ1におけるワイヤWの間隔に応じた厚さをもった複数のウエハに切り分けられる。
ワイヤソー装置10を用いれば、結晶成長されて得た単結晶インゴットなどの1つのワークWを、一括して切断して複数のウエハに切り分けることができる。一方、かかる構成のワイヤソー装置では、ワークWの切断の開始から終了まで、各ウエハの厚さをモニタすることが困難である。このため、切断後の各ウエハの厚さや形状を、所定の範囲に制御するためるには、切断によってワイヤ間の間隔が変動しないこと等が重要となる。
ワイヤソー装置10では、ワイヤ15が巻き回されるメインローラ1の材質が、アルミナを主成分とするZTA(ジルコニア強化アルミナ)から形成されている。なお、アルミナを主成分とするとは、アルミナを例えば60質量%以上含有していることをいう。ZTAとは、主成分であるアルミナ中にジルコニア粒子を分散したセラミックスのことであり、一般的に、ジルコニア強化アルミナ(ZrO−toughened Al)、略してZ
TAと呼ばれる。なお、ZTAにおけるアルミナの含有割合(質量%)、およびジルコニアの含有割合(質量%)は、例えば簡易的には蛍光X線装置を用いて、FP法半定量分析を行えばよい。さらに詳細に定量分析する場合は、アルカリ溶融後、塩酸溶液にて溶解して、原子吸光分析装置もしくはICP(誘導結合プラズマ)分析装置等の装置を用いて定量分析すればよい。メインローラは、ワイヤが巻き回される外周面部分が、少なくともZTAで構成されていればよい。なお、外周面部分とは、例えば、メインローラの溝の底面部から、メインローラの厚さ方向に2mmの範囲のことをいう。
図2(a)〜(c)は、本発明のローラ部材の一実施形態について説明する概略断面図である。図2(a)は、ローラ部材11の全体の断面図であり、図2(b)は、図2(a)の一部(端部近傍)を拡大して示す断面図であり、図2(c)は、図2(a)および(b)の一部(表面近傍)を更に拡大して示す断面図である。
本発明のローラ部材11は、筒状のメインローラ1、フランジ部材22、支軸部材25を備えて構成されている。メインローラ1はZTAからなり、耐磨耗性が比較的高い。すなわち、メインローラ1では、ワイヤ15による表面の磨耗が比較的少ない。ワイヤソー装置10は、比較的多くのワークWを切断した後であっても、メインローラ1の特に溝部2等の磨耗が少なく、メインローラ1の表面に対する、ワイヤ15の位置変動や撓みも比較的少ない。このため、ワイヤソー装置10では、磨耗にともなうメインローラの交換の間隔が比較的長く、長期的な装置メンテナンスに係るコストが比較的小さくなっている。
また、ZTAからなるメインローラ1は、高い耐磨耗性を有しつつ、さらに剛性も比較的高い。このため、ワイヤソー装置10によるワークWの切断の際、メインローラ1に発生する撓みも比較的少なく、各溝2に巻き回されたワイヤ15の間隔の変動も、比較的少なくなっている。なお、本実施形態におけるローラ部材の剛性とは、例えば曲げ剛性のことをいう。具体的には、ローラ部材の軸方向に垂直な方向に働く曲げモーメントが加わった際の、ローラ部材の曲がり難さを表す。本実施形態のメインローラ1は、剛性が比較的高く、ワイヤ15が巻き回された状態における、メインローラ1の変形量は比較的小さい。
ワイヤソー装置10において、ワークWがワイヤ15に押し付けられると、メインローラ1には、メインローラ1が撓む方向の応力がかかる。メインローラ1が撓んだ場合、メインローラ1の長さ方向の中央部(図2(a)中のP1)と、メインローラ2の長さ方向における端部(図2(a)中のP2)とで、ワイヤ15の間隔に違いが生じる。ZTAで構成されたメインローラ1は、比較的剛性が高く、撓みの発生が比較的少ない。このため、中央部P1と端部P2とのワイヤ15の間隔の違いも少なく、ワーク15を切断して得られる各ウエハは、厚みのばらつきが比較的小さい。すなわち、ワイヤソー装置10によって切断されて得られたウエハは、端部P2近傍で切断したウエハも含めて、厚みのばらつきが比較的小さくなっている。
例えばアルミナなどは、硬度が比較的高い一方、粒界強度は比較的低い。このようなアルミナ等のセラミックスでは、ワイヤなどが比較的強く押し付けられて摺動された場合、主に、表面に現れている粒子が比較的容易に破壊される。アルミナ等のセラミックからなるローラの場合、ワイヤの摺動によって破壊された粒子が表面から離脱されていくことで、表面の磨耗が進行すると考えられる。一方、ジルコニアなどは、硬度は比較的低い一方、粒界強度は比較的高い。このようなジルコニア等のセラミックスでは、主に、摺動摩擦による結晶粒子の磨耗によって、表面の磨耗が進行すると考えられる。また、ジルコニアは熱伝導率が低く、仮に、ジルコニアのみでメインローラを構成した場合、ローラとワイヤとの間の摩擦によりワイヤ自体が損傷を受ける場合もある。
アルミナを主成分とし、このアルミナにジルコニアが添加されたZTAでは、アルミナの結晶粒界にジルコニアが分散されており、粒界強度が比較的高いジルコニアが表面に現れている。このため、ZTAでは、アルミナの粒界の破壊が比較的抑制され、結果、耐摩耗性が向上されると考えられる。このように、ZTAでは、アルミナをベースとする比較的高い硬度をもち、かつ、比較的高い耐摩耗性も有する。また、熱伝導率も比較的高くなっている。
また、メインローラ1としては、アルミナを主成分とし、かつジルコニアを3質量%以上含んでなるとともに、SiO、TiO、およびMgO原料粉末が添加されたものであってもよい。ZTAでは、アルミナの含有量が多いほど、ヤング率、硬度が高くなる反面、粒界強度は比較的低くなる。これは、アルミナの含有量が多いほど、ZTAを焼成して作製する際の焼成温度が高いので、焼成の際の粒界成長の速度が高く、粒界の大きさが比較的大きくなるからである。
ZTAにSiO、TiO、およびMgO原料粉末を添加して焼成すると、共晶点が1300℃以下と比較的低くなり、組織が微細に保たれながら緻密性の高い焼結体が得られるようになる。このように、SiO、TiO、およびMgO原料粉末が添加されたZTAでは、比較的小さな粒界が、比較的高い密度で配置されて構成されている。例えばアルミナとジルコニア原料にSiO、TiO及びMgO原料を添加し、焼成する際の共晶点を1300℃以下とするには、SiOの含有割合は、0.2質量%以上、好ましくは0.4質量%以上、TiOの含有割合は、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、及びMgOの含有割合は0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
SiのSiO換算での含有割合、TiのTiO換算での含有割合、MgのMgO換算での含有割合を、0.6〜4.5質量%、好ましくは、1.0〜2.0質量%とすることが好ましい。
また、その他の成分として、ジルコニアを安定化させる為の焼結助剤として、YやCaO、HfOを含有させてもよい。
また、メインローラ1の表面1Aには、ワイヤ15が嵌め入れられる複数の溝2が設けられている。本実施形態のメインローラ1では、表面1Aに設けられている複数の溝2の断面形状は、略V字形状となっている。溝2は、例えば研削加工によって形成すればよい。略V字形状の断面形状をもつ溝2は、研削加工によって比較的容易に形成することができる。メインローラ1では、メインローラ1Aの表面に沿った各溝2の開口幅A(図2(c)参照)に対して、上記表面に沿った各溝2の間隔B(図2(c)参照)を、より小さくしている。メインローラ1はZTAからなり、剛性および耐磨耗性の双方が比較的高い。このため、各溝2の間隔Bを開口幅Aに対してより小さくしても、ワイヤ15の力や摩擦によって生じる、この間隔Bに対応する部分(凸部24)の破損や磨耗が比較的少ない。このように、メインローラ1をZTAによって構成することで、各溝2の間隔Bを開口幅Aに対してより小さくすることが可能であり、これにより、メインローラ1の表面1Aに比較的多くの溝2を配置することができる。
なお、メインローラ1の複数の溝2の底部の角度θ(図2(c)参照)は、45°〜120°の範囲であることが好ましい。溝2の底部の角度θを45°〜120°とすることで、凸部24の幅C(図2(c)参照)の長さを幅Bに対して比較的大きく保ちつつ、幅Aの大きさを比較的小さくすることができる。なお、幅Cとは、メインローラ1の表面1Aから、溝2の底部までの深さをHとした際の、深さH/2の地点における、メインローラ1の表面1Aに沿った凸部24の幅の長さである。溝2の底部の角度θを45°〜120°とすることで、幅Aの1つ1つを比較的小さくし、溝2を比較的多くの数だけ配置することを可能とする。これとともに、幅Cの長さを比較的長くし、凸部24の破損や磨耗を比較的少なくしている。溝2の配置数と、凸部24の耐破損性および耐磨耗性とのバランスを良好にするには、溝2の底部の角度θを60°〜90°とすることが、さらに好ましい。なお、研削加工によって溝2を形成する場合、溝2の底部の角度θを60°〜90°とすれば、研削加工を比較的容易に実施することができる。
なお、溝2の形状は、図3に示すように断面が略U字形状に形成されていてもよく、溝の断面形状は特に限定されない。
なお、メインローラ1の内周面の端部には、中央部P1から端部P2に近づくにつれて厚みが小さくなる段差部23が設けられている。この段差部23は、例えば金属からなるフランジ部材22が嵌め入れられるために設けられている。メインローラ1は、例えばこのフランジ部材22を介して、図示しない固定手段に固定されている。また、メインローラ1の内周には、フランジ部材22を所定位置に固定するための支軸部材25が配置されている。メインローラ1をワイヤソー装置10に確実に固定するためには、メインローラ1の端部にフランジ部材22を嵌め入れることが好ましい。また、フランジ部材22をメインローラ1に嵌め入れて固定する為には、メインローラ1の内周面の端部には、中央部P1から端部P2に近づくにつれて厚みが小さくなる段差部23が設けられていることが好ましい。
一方、メインローラ1の端部が薄肉化されることで、この端部の近傍において、メインローラ1の剛性は比較的小さくされている。メインローラ1では、溝2が、段差部23に対してより端に設けられている。ここで、段差部23とは、メインローラ1の肉厚部のうち最も端に近い位置(図2(b)に示すXの位置)のことをいう。メインローラ1はZTAから構成されており、剛性が比較的強いので、段差部23に対してより端に設けられた溝2にワイヤ15が配置されても、この端部近傍におけるメインローラ1の変形は比較的少ない。すなわち、この厚みが比較的薄い部分に、ワイヤ15によって比較的大きな応力がかかっても、メインローラ1の変形は比較的少なくされている。溝2は、段差部23に対してより端に設けられていることで、溝2に位置決めされるワイヤ15の数を比較的多くし、一度の切断で比較的多くのウエハを同時に切り出すことを可能としている。
尚、溝の形状としては、一例をあげると、φ0.10〜0.25mm程度のピアノ線の時、溝ピッチ0.5〜1.5mm、溝深さ0.2〜0.5mmの範囲とすればよい。
なお、ZTAのジルコニア含有量を3質量%以上40質量%以下の範囲とすることで、耐摩耗性を比較的高くするとともに、熱伝導率も比較的低く抑えることができる。例えば、ZTAにおけるジルコニア含有量を3質量%以上とすることで、アルミナの粒界の間にジルコニアを充分に分布させて、強度を比較的高くすることができる。また、ZTAにおけるジルコニア含有量を40質量%未満とすることで、熱伝導率を比較的高くすることができる。ジルコニア含有量は、3質量%以上40質量%以下の範囲であることが好ましく、耐磨耗性をさらに高くするには、ジルコニア含有量は20質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
メインローラ1は、アルミナを主成分として含んでおり、そのアルミナの平均結晶粒径は、5μm以下の範囲にある。さらに好ましくは1μm以下の範囲であることがよい。一方、ジルコニアの平均結晶粒径は、1.5μm以下の範囲にあることがよく、さらに好ましくは0.9μm以下の範囲にあることがよい。各平均結晶粒径の大きさが、これらの範囲にあることで、比較的高い耐磨耗性が得られる。なお、平均結晶粒径は、10000倍に拡大して撮影した反射SEM写真に、長さ70mmの線を任意に10本引き、各線の長さをその線上にあるアルミナの個数で割り、これらの平均値をアルミナの平均結晶粒子径とし、同様に各線上にある全ジルコニアの長さをその線上にあるジルコニアの個数で割り、これらの平均値を用いればよい。ところで、走査型電子顕微鏡(SEM)による反射電子像を画像解析すると、アルミナ質焼結体中のジルコニア粒子と、アルミナ粒子とは明確に相違して観察できる(各粒子間のコントラストが高い状態で観察される)、このことを利用すれば、アルミナとジルコニアの粒子を特定することは容易である。
次に本実施形態のメインローラ1の製造方法について説明する。
メインローラ1は、ZTA単体で形成してもよいが、内周に金属の基体等を備えて構成されていてもよい。本発明では、筒状部材の外周面が少なくともZTAで形成されていればよい。
また、ZTAとしては、公知の製造方法で得られるものでよく、粉末をCIPなどの成形方法にて、0.8〜1.5ton/cmの成形圧にて成形し、所望の形状に切削加工した後、1350〜1600℃にて焼成し、所望の形状に研削加工し、金属シャフトに、接着機械的締結によって、組み付けた後、溝加工を行えばよい。
また、上述のように、メインローラ1としては、アルミナを主成分とし、かつジルコニアを3質量%以上含んでなるとともに、SiO、TiO、およびMgO原料粉末が添加されたものであってもよい。この場合、例えばアルミナとジルコニア原料にSiO、TiO及びMgO原料を添加し、1350〜1600℃にて焼成して、所望の形状に研削加工すればよい。
なお、本発明では、図1に示すように3軸の(3つのローラ部材を備えた)ワイヤソー装置10を示しているが、3軸以外に、2軸や4軸のワイヤソー装置であってもよい。
尚、本発明は上記実施例で示す構造に限られるものではなく、メインローラ1の構造や駆動系統、張力制御機構、速度同調手段の構造及び回路構成等は適宜変更して設計される。
次に、本発明のワイヤソー装置の実施例について説明する。
(実施例1)
それぞれ異なる組成からなる複数のローラ部材(実験例サンプルNo.1〜5)を、図1に示すワイヤソー装置10に取り付け、シリコン単結晶インゴットを切断した。いずれの材質を用いたローラ部材(実験例サンプルNo.1〜5)も、外径165mm、全長500mmとし、表面にV溝形状の溝を複数形成した。溝の間隔は、ピッチ1mm、溝深さ0.368mm、角度90度、溝数451個の加工とした。
複数の溝それぞれにはピアノ線(ワイヤ)を巻き回し、このワイヤによってインゴットを切断することで、各溝の間隔に応じた厚さのウエハを複数毎切り分けた。
各実験例サンプル毎に、切断した450枚の各ウエハの厚みを測定し、各実験例サンプル毎の厚みバラツキの大きさを求めた。厚みバラツキの大きさが50μm未満の場合、合格とした。なお、バラツキとは、測定した各ウエハの厚みの、最大値と最小値との差の大きさである。なお、各ウエハの厚みは、例えば公知のマイクロメータ等を用いて行えばよい。
(実験例2)
また、各実験例サンプルNo.1〜5のぞれぞれと同一の組成の板材を用い、各組成の耐磨耗性を測定した。上述の材質毎に、湿式耐摩耗試験を行った。具体的には、ニッカトー製HDアルミナビーズφ1mmを2kgに対し、水4kgが入った容器中で、10mm×20mm×6mmの板材を回転させて8時間攪拌した。磨耗試験前の質量に対する、磨耗試験後に質量の差分の、磨耗試験前の質量に対する割合の大きさを、重量減少率として求めた。
実験例1および実験例2で得られた情報をまとめた結果を、下記表1に示す。
Figure 0005173519
このように、実験サンプルNo.1〜4では、剛性が比較的高く、厚みのバラツキは比較的小さいものであった。また、実験サンプルNo.2〜5に対応する組成では、耐磨耗性が比較的高く、磨耗試験における磨耗量が比較的小さい。一方、ZTAからなる実験サンプルNo.2〜4では、耐摩耗性および剛性の双方とも比較的高く維持されている。ZTAからなるローラ部材を用いることで、切断した薄片の厚さや形状のばらつきを比較的小さくし、比較的長い期間、安定した性能で使用を続けることができることがわかる。
本発明に係るワイヤソー装置の一実施形態について説明する概略斜視図である。 (a)〜(c)は、本発明のローラ部材の一実施形態について説明する概略断面図であり、(a)は全体の断面図であり、(b)は端部近傍を拡大して示す断面図であり、(c)は表面近傍を更に拡大して示す断面図である。 本発明のローラ部材の他の実施形態について説明する概略断面図である
符号の説明
1 メインローラ
2 溝
4、5 巻き取りドラム
8 ワーク支持手段
10 ワイヤソー装置
15 ワイヤ
22 フランジ部材
23 段差部
25 支軸部材

Claims (5)

  1. 被切断部材を切断するためのワイヤが外周面に巻き回されるローラ部材であって、
    アルミナを60質量%以上含み、かつジルコニアを20質量%以上30質量%以下含んでなるジルコニア強化アルミナから形成された、前記外周面を備える筒状部材を備えて構成されており、
    前記筒状部材の少なくとも外周面部分は、Si、TiおよびMgをそれぞれSiO 、TiO 換算およびMgO換算で0.6質量%以上かつ4.5質量%以下含有しており、
    前記アルミナの平均結晶粒径は、1μm以下であり、
    前記ジルコニアの平均結晶粒径は、0.9μm以下であることを特徴とするローラ部材。
  2. 前記筒状部材には、前記ワイヤが配置される複数の溝部が前記外周面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のローラ部材。
  3. 前記筒状部材の内周面には、中央部から端部に向けて厚みが小さくなる段差部が設けられており、
    前記溝部が、前記段差部に対してより端部の側に少なくとも設けられていることを特徴とする請求項2記載のローラ部材。
  4. 前記溝部は、断面が略字形状であることを特徴とする請求項2または3記載のローラ部材。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載のローラ部材と、
    前記筒状部材の前記外周面に巻き回されたワイヤと、
    被切断部材を移送して前記ワイヤに前記被切断部材を当接させる移送機構と、
    を備えることを特徴とするワイヤソー装置。
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