JP2011048266A - マイクロレンズアレイおよびその金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロレンズアレイは、輪郭形状が円形のマイクロレンズ3を複数備える。マイクロレンズ3のレンズ面3Aの中心を通り直交する2本の中心線のうち、一方の中心線B−Bに垂直な断面におけるレンズ面3A形状が円弧に形成され、他方の中心線A−Aに垂直な断面におけるレンズ面3A形状が式(1)の非球面断面形状数式で定義される非球面曲線で、かつ、円錐定数kの値が−1.3≦k<0の範囲で定義される非球面曲線で構成されている。
Z(X)=(1/R)×X2/[1+{1-(k+1)×(1/R)2×X2}(1/2)]+Σ(An×Xn)…式(1)
ただし、Z:光軸からの距離Xの非球面曲線上の点の非球面曲線頂点における接平面からの距離、X:光軸からの距離、R:中心曲率半径、k:円錐定数、An:高次係数。
【選択図】図2
Description
マイクロレンズアレイは、外径が概ね10〜300μm程のほぼ円形状、深さが0.6〜50μmの凹レンズまたは凸レンズなどの微小単位レンズを面状に配列したもので、通常、微小単位レンズ(マイクロレンズ)は、中心を軸対称とした球面形状で設計されることが多い。
また、図12に示すような円形口径形状(基準円)に対する口径輪郭形状誤差も発生し、その最大誤差値(P−V値)は、0.445μmである(図13参照)。これらの誤差はマイクロレンズアレイの光学性能を低下させる要因となる。
式(1):
Z(X)=(1/R)×X2/[1+{1-(k+1)×(1/R)2×X2}(1/2)]+Σ(An×Xn)
ただし、Z:光軸からの距離Xの非球面曲線上の点の非球面曲線頂点における接平面からの距離
X:光軸からの距離
R:中心曲率半径
k:円錐定数
An:高次係数
これによって、切削工具を移動させて円形ディンプル形状を切削加工する方法の適用可能範囲を拡大することができる。
このような構成によれば、金型基材を一方の中心線に沿った方向へ直線移動させるとともに、これに並行して、切削工具をレンズ成形面に垂直な方向に微小往復移動させればよいから、これらの移動制御を容易に行える。
このような構成によれば、切削工具の微小往復移動が圧電素子を用いた圧電素子駆動ステージにより行われるから、微小なマイクロレンズを高精度に切削加工することができる。
本実施形態のマイクロレンズアレイ1は、図1に示すように、一般的なレンズ材料により平板状に形成された基板2の表面に、輪郭形状が円形で凸球面状の複数のマイクロレンズ3が格子状に配列されて構成されている。なお、マイクロレンズ3の配列は、格子状に限らず、千鳥状でもよく、その他の配列でもよい。
マイクロレンズ3は、図2に示すように、マイクロレンズ3の凸球面状のレンズ面3Aの中心を通り直交する2本の中心線A−A,B−Bのうち、一方の中心線B−Bに垂直な断面(A−A断面)におけるレンズ面3Aの形状が円弧に形成され、他方の中心線A−Aに垂直な断面(B−B断面)におけるレンズ面3Aの形状が非球面曲線で構成されている。
ここで、非球面曲線は、図3に示すように、式(1)の非球面断面形状数式で定義される非球面曲線で、かつ、円錐定数kの値が−1.3≦k<0の範囲で定義される非球面曲線で構成されている。
Z(X)=(1/R)×X2/[1+{1-(k+1)×(1/R)2×X2}(1/2)]+Σ(An×Xn)
ただし、Z:光軸からの距離Xの非球面曲線上の点の非球面曲線頂点における接平面からの距離
X:光軸からの距離
R:中心曲率半径
k:円錐定数
An:高次係数(非球面係数)
である。
一方の中心線B−Bに垂直な断面(A−A断面)におけるレンズ面3Aの形状を、曲率半径50μmの円弧とし、他方の中心線A−Aに垂直な断面(B−B断面)におけるレンズ面3Aの形状を、式(1)の非球面断面形状数式において、
円錐定数k=−0.65
高次係数An=0
中心曲率半径R=19.129μm
で定義される非球面曲線とする。
なお、中心曲率半径Rの値(47.823μm)は、円錐定数k=−0.65、高次係数An=0、中心線A−A,B−Bの距離=50μmから、一義的に決定される値である。
これらの値は、半径50μmの円弧切刃を有する切削工具を用いて、半径50μmの円弧の移動軌跡で部分球形状を模したディンプルを切削加工した場合に比べて、最大誤差値(P−V値)は有意な差は発生しないが、光学性能に与える影響の大小と相関がある二乗平均値(RMS値)について約23%誤差量が低減される。
また、本マイクロレンズ3の形状では、図5に示すように、円形口径形状に対する口径輪郭形状の最大誤差量は0.301μmであり、図13に示した口径輪郭形状の最大誤差量に比べて約32%誤差量が低減される。
この図から、円錐定数kを−1.3≦k<0の範囲に設定した場合において、形状誤差が低減されることが分かる。
この図から、円錐定数kをk<0の範囲に設定した場合において、輪郭形状の誤差が低減されることが分かる。
これによって、切削工具を移動させて円形ディンプル形状を切削加工する方法の適用可能範囲を拡大することができる。
図8は、マイクロレンズ3のレンズ面3Aを形成するための凹球面状のレンズ成形面13を金型基材12の表面に形成したマイクロレンズアレイ金型11を製造するための加工装置14を示す図である。
同加工装置14は、加工機本体20と、加工機NCコントローラ31と、PC(Personal Computer)32と、アナログ信号ユニット33と、圧電素子ステージコントローラ34とから構成されている。
圧電素子駆動ステージ28は、図9に示すように、アナログ信号ユニット33および圧電素子ステージコントローラ34を介してPC32からの動作指令信号が伝達されるとともに、圧電素子駆動ステージ28内に組み込まれた位置センサ(図示省略)との間でクローズドループの制御が行われて微小往復駆動される。
マイクロレンズアレイ金型11の製造にあたって、金型基材12の表面に、マイクロレンズ3のレンズ面3Aを形成するためのレンズ成形面13を形成するには、まず、切削工具29の切刃29Aを切削方向、つまり、図10に示すように、レンズ成形面13の中心を通り直交する2本の中心線A−A,B−Bのうち一方の中心線B−Bに対して直交させた状態に設定する。
この状態で切削工具29を、金型基材12に対して、レンズ成形面13の中心を通り直交する2本の中心線のうち一方の中心線(図10のB−B線)方向へ、式(1)の非球面断面形状数式で定義される非球面曲線で、かつ、円錐定数kの値が−1.3≦k<0の範囲で定義される非球面曲線軌跡で相対移動させて、金型基材12の表面を切削する。
なお、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
前記実施形態において、マイクロレンズアレイ金型11は、平板状の金型基材12の表面に、複数のマイクロレンズ3のレンズ面3Aを成形するためのレンズ成形面13を切削加工した構成であったが、金型基材12は平板状でなくてもよい。例えば、ロール状の金型基材12の外周面にマイクロレンズ3のレンズ面3Aを成形するためのレンズ成形面13を切削加工した構成であってもよい。つまり、切削工具29の動作方向とロール状の金型基材の回転軸が直交した位置関係にあれば、実施可能である。
2…基板、
3…マイクロレンズ、
3A…レンズ面、
11…マイクロレンズ金型、
12…金型基材、
13…レンズ成形面、
14…加工装置、
28…圧電素子駆動ステージ、
29…切削工具、
29A…切刃。
Claims (4)
- 輪郭形状が円形のマイクロレンズを複数備えたマイクロレンズアレイであって、
前記マイクロレンズのレンズ面中心を通り直交する2本の中心線のうち、一方の中心線に垂直な断面におけるレンズ面形状が円弧に形成され、
前記2本の中心線のうち、他方の中心線に垂直な断面におけるレンズ面形状が式(1)の非球面断面形状数式で定義される非球面曲線で、かつ、円錐定数kの値が−1.3≦k<0の範囲で定義される非球面曲線で構成されている、ことを特徴とするマイクロレンズアレイ。
式(1):
Z(X)=(1/R)×X2/[1+{1-(k+1)×(1/R)2×X2}(1/2)]+Σ(An×Xn)
ただし、Z:光軸からの距離Xの非球面曲線上の点の非球面曲線頂点における接平面からの距離
X:光軸からの距離
R:中心曲率半径
k:円錐定数
An:高次係数 - 請求項1に記載のマイクロレンズアレイのレンズ面を形成するためのレンズ成形面を金型基材の表面に形成するマイクロレンズアレイ金型の製造方法であって、
前記レンズ成形面の中心を通り直交する2本の中心線のうち、一方の中心線に垂直な断面におけるレンズ成形面形状と同値の円弧状の切刃輪郭形状を有する切削工具を、前記金型基材に対して、前記一方の中心線方向へ、前記非球面断面形状数式で定義される非球面曲線で、かつ、円錐定数kの値が−1.3≦k<0の範囲で定義される非球面曲線軌跡で相対移動させて、前記金型基材の表面を切削し、この切削面を前記レンズ成形面とする、ことを特徴とするマイクロレンズアレイ金型の製造方法。 - 請求項2に記載のマイクロレンズアレイ金型の製造方法において、
前記金型基材は、前記一方の中心線に沿った方向に直線移動され、
前記切削工具は、前記金型基材の直線移動に並行して前記レンズ成形面に垂直な方向に微小往復移動される、ことを特徴とするマイクロレンズアレイ金型の製造方法。 - 請求項3に記載のマイクロレンズアレイ金型の製造方法において、
前記切削工具の微小往復移動は、圧電素子を用いた圧電素子駆動ステージにより行われる、ことを特徴とするマイクロレンズアレイ金型の製造方法。
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