JP2011046763A - 塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法 - Google Patents

塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法 Download PDF

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【課題】高度に安定化された塩化ビニル系樹脂組成物を、赤スジを生じることなく成形可能な塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法を提供する。
【解決手段】ダイスを用いる塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工に際し、塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)カルシウムアセチルアセトネート0.05〜3質量部及び(b)(a)以外のβ−ジケトン化合物0〜0.1質量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を使用することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法に関し、詳しくは、ダイスを用いる塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工に際し、赤スジの発生を防止された成形加工方法に関するものである。
塩化ビニル系樹脂を押出成形すると製品の表面に樹脂の流れ方向に平行して太さ0.1〜1mm程度の黄色〜赤褐色のすじ(赤スジ)が発生して製品外観が損なわれ、不良品となってしまうことがある。この赤スジは、同一の塩化ビニル系樹脂組成物配合で同一の成形温度においても生じる場合と生じない場合があり、一度発生すると継続して発生する傾向があった。また、樹脂組成物に配合する安定剤を変更すると赤スジが発生しなくなる場合があるが、安定剤は、それぞれの製品ごとに要求される安定性を満足する為に適宜選択して配合されており、赤スジを生じない配合のみで全ての製品を製造するにはコストを無視した配合を選択する以外になかった。
そこで本発明の目的は、高度に安定化された塩化ビニル系樹脂組成物を、赤スジを生じることなく成形可能な塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、先ず赤スジの発生原因につき検討を行ったところ、赤スジの発生はジベンゾイルメタンやステアロイルベンゾイルメタンなどのβ−ジケトン化合物を用いた場合に発生することが見出された。また、β−ジケトン化合物を用いた安定剤を配合しても新品の加工機においては赤スジが発生しないこと、および、加工機の構成要素の中でも特に長時間使用したダイスを用いた場合に赤スジが発生しやすいことが見出された。
しかしながら、β−ジケトン化合物は少量で優れた熱安定性、着色性を付与することができる安定剤成分であり、β−ジケトン化合物を用いずに優れた物性を有する塩化ビニル系樹脂成形品を成形することは困難である。また、加工機は高価な設備であり、安易に更新できない為、古い加工機、特に、長期の使用により劣化したダイスを用いた場合でも赤スジを生じることなく高度に安定化された塩化ビニル樹脂組成物を提供できる方法が望まれた。そこでさらに鋭意検討を重ねた結果、β−ジケトン化合物として、カルシウムアセチルアセトネートを使用することによって、長時間の使用を経たダイスを用いても赤スジを生じることなく、熱安定性、着色性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物を提供しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法は、ダイスを用いる塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工に際し、塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)カルシウムアセチルアセトネート0.05〜3質量部及び(b)(a)以外のβ−ジケトン化合物0〜0.1質量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を使用することを特徴とするものである。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法は、前記ダイスが、成形加工に累計3000時間以上使用したダイスであることが好ましく、前記ダイスが、160〜220℃で累計3000時間以上使用したものであることが好ましい。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物成形加工時の赤スジ発生防止方法は、ダイスを用いての塩化ビニル系樹脂組成物成形加工時の赤スジ発生防止方法であって、成形加工前の塩化ビニル系樹脂100質量部にカルシウムアセチルアセトネート0.05〜3質量部を配合することを特徴とするものであり、前記ダイスが、成形加工に累計3000時間以上使用したダイスであることが好ましい。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法によれば、長時間の使用により劣化したダイスを用いても赤スジが生じることなく、熱安定性、着色性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができる。なお、熱安定性は、耐熱性とも称し、着色性に優れるとは、着色が生じにくいことをいう。
以下、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法について詳細に説明する。
ダイスとは、溶融(ゲル化)コンパウンドが接触する加工機の金属面であり、本発明においては長時間使用したダイスが好ましい。本発明の効果の観点から、この場合の長時間とは、累計で1500時間以上が好ましく、特には3000時間以上が好ましい。また、ダイスの製品寿命の観点からは、累計使用時間は、6000時間未満が好ましい。
本発明に使用される塩化ビニル系樹脂としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などその重合方法には特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリテン、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体などの塩化ビニル系樹脂、およびそれら相互のブレンド品あるいは他の塩素を含まない合成樹脂、例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート共重合体、ポリエステルなどとのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体などをあげることができる。
本発明の(a)成分であるカルシウムアセチルアセトネートは、通常市販のカルシウムアセチルアセトネートを使用することができる。
カルシウムアセチルアセトネートの使用量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、0.05〜3質量部、好ましくは0.1〜1質量部であり、0.05質量部未満の使用では、耐熱性、着色性への改善効果がほとんど見られず、3質量部を越えて使用した場合にはむしろ耐熱性が低下するなどの欠点を有する。
本発明の(b)成分であるカルシウムアセチルアセトネート以外のβ−ジケトン化合物としては、例えば、デヒドロ酢酸、ジベンゾイルメタン、パルミトイルベンゾイルメタン、ステアロイルベンゾイルメタンなど、あるいはこれらの金属塩である。
カルシウムアセチルアセトネート以外のβ−ジケトン化合物の使用量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、0〜0.1質量部であり、好ましくは、0質量部である。0.1質量部を越えて使用すると樹脂表面に赤スジを生じるおそれがあるため好ましくない。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、通常塩化ビニル系樹脂に使用される可塑剤を使用することができるが、該可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ブチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジラウリルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルテレフタレートなどのフタレート系可塑剤;ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(ブチルジグリコール)アジペートなどのアジペート系可塑剤;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリ(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリ(ブトキシエチル)ホスフェート、オクチルジフェニルホスフェートなどのホスフェート系可塑剤;多価アルコールとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどを用い、二塩基酸としてシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸などを用い、必要により一価アルコール、モノカルボン酸をストッパーに使用したポリエステル系可塑剤;その他、トリメリット酸系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、テトラヒドロフタール酸系可塑剤、アゼライン酸系可塑剤、セバチン酸系可塑剤、ステアリン酸系可塑剤、クエン酸系可塑剤、ビフェニルテトラカルボン酸エステル系可塑剤、塩素系可塑剤などがあげられる。
上記可塑剤の含有量は、必要に応じて決められるものであるが、通常、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、0〜200質量部、好ましくは、10〜80質量部使用される。
また、本発明の塩化ビニル系樹組成物には、通常塩化ビニル系樹脂組成物に用いられる他の添加剤、例えば、有機カルボン酸、フェノール類および有機リン酸類の金属塩、ゼオライト化合物、ハイドロタルサイト化合物、エポキシ化合物、多価アルコール、過塩素酸金属塩、リン系、フェノール系および硫黄系などの酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、その他の無機金属化合物などを添加することができる。
上記の有機カルボン酸、フェノール類および有機リン酸類の金属塩を構成する金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、アルミニウム、亜鉛、ニッケルなどがあげられる。
また、上記有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキシル酸、ネオデカン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p−第三ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N−ジメチルアミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p−第三オクチルサリチル酸、エライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸などの一価カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタール酸、イソフタール酸、テレフタール酸、ヒドロキシフタール酸、クロルフタール酸、アミノフタール酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸などの二価カルボン酸あるいはこれらのモノエステルまたはモノアマイド化合物;ブタントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、メロファン酸、ピロメリット酸などの三価または四価カルボン酸のジまたはトリエステル化合物があげられる。
また、上記フェノール類としては、例えば、第三ブチルフェノール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール、シクロヘキシルフェノール、フェニルフェノール、オクチルフェノール、フェノール、クレゾール、キシレノール、n−ブチルフェノール、イソアミルフェノール、エチルフェノール、イソプロピルフェノール、イソオクチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、第三ノニルフェノール、デシルフェノール、第三オクチルフェノール、イソヘキシルフェノール、オクタデシルフェノール、ジイソブチルフェノール、メチルプロピルフェノール、ジアミルフェノール、メチルイソヘキシルフェノール、メチル第三オクチルフェノールなどがあげられる。
また、上記有機リン酸類としては、例えば、モノまたはジオクチルリン酸、モノまたはジドデシルリン酸、モノまたはジオクタデシルリン酸、モノまたはジ−(ノニルフェニル)リン酸、ホスホン酸ノニルフェニルエステル、ホスホン酸ステアリルエステル、モノまたはジオクチル亜リン酸、モノまたはジオクタデシル亜リン酸などがあげられる。
また、上記の有機カルボン酸、フェノール類および有機リン酸類の金属塩は、酸性塩、中性塩、塩基性塩あるいは塩基性塩の塩基の一部または全部を炭酸で中和した過塩基性錯体であってもよい。
上記ゼオライト化合物は、独特の三次元のゼオライト結晶構造を有するアルカリまたはアルカリ土類金属のアルミノケイ酸塩であり、その代表例としては、A型、X型、Y型およびP型ゼオライト、モノデナイト、アナルサイト、ソーダライト族アルミノケイ酸塩、クリノブチロライト、エリオナイトおよびチャバサイトなどをあげることができ、これらのゼオライト化合物の結晶水(いわゆるゼオライト水)を有する含水物または結晶水を除去した無水物のいずれでもよく、またその粒径が0.1〜50μmのものを用いることができ、特に、0.5〜10μmのものが好ましい。
上記ハイドロタルサイト化合物とは、マグネシウムおよび/または亜鉛とアルミニウムとの炭酸複塩化合物であり、好ましくは下記一般式(I)で表される化合物である。
[化1]
Mgx1Znx2Al(OH)2(X1+X2)+4・CO・mHO (I)
(式中、x1およびx2は各々下記式で表される条件を満たす数を示し、mは実数を示す。0≦x2/x1<10,2≦x1+x2<20)
また、上記ハイドロタルサイト化合物は、天然物であってもよく、また合成品であってもよい。上記合成品の合成方法としては、特公昭46−2280号公報、特公昭50−30039号公報、特公昭51−29129号公報、特開昭61−174270号公報などに記載の公知の方法を例示することができる。また、本発明においては、上記ハイドロタルサイト化合物の結晶構造、結晶粒子系あるいは結晶水の有無およびその量などに制限されることなく使用することできる。
また、上記ハイドロタルサイトは、その表面をステアリン酸のごとき高級脂肪酸、オレイン酸アルカリ金属塩のごとき高級脂肪酸金属塩、ドデシルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩のごとき有機スルホン酸金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステルまたはワックスなどで被覆したものも使用できる。
上記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノール型およびノボラック型のエポキシ樹脂、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化桐油、エポキシ化魚油、エポキシ化牛脂油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポキシ化トール油脂肪酸オクチル、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチル、エポキシステアリン酸メチル,−ブチル,−2−エチルヘキシルまたは−ステアリル、トリス(エポキシプロピル)イソシアヌレート、3−(2−キセノキシ)−1,2−エポキシプロパン、エポキシ化ポリブタジエン、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンジエポキサイド、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシル−6−メチルエポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペートなどがあげられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールのステアリン酸部分エステル、ビス(ジペンタエリスリトール)アジペート、グリセリン、ジグリセリン、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどがあげられる。
上記過塩素酸金属塩を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛、アルミニウムなどが例示できる。上記過塩素酸金属塩は、無水物でも含水塩でもよく、また、ブチルジグリコール、ブチルジグリコールアジペート等のアルコール系およびエステル系の溶剤に溶かしたものおよびその脱水物でもよい。
上記リン系酸化防止剤としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2−第三ブチル−4,6−ジメチルフェニル)・エチルホスファイト、ジフェニルアシッドホスファイト、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジブチルアシッドホスファイト、ジラウリルアシッドホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)・1,4−シクロヘキサンジメチルジホスファイト、ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ第三ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(C12−15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルホスファイト、ビス[2,2’−メチレンビス(4,6−ジアミルフェニル)]・イソプロピリデンジフェニルホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−第三ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、ヘキサ(トリデシル)・1,1,3−トリス(2−メチル−5−第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン・トリホスホナイト、9,10−ジハイドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール・2,4,6−トリ第三ブチルフェノールモノホスファイトなどがあげられる。
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ第三ブチル−p−クレゾール、2,6−ジフェニル−4−オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、ジステアリル(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサメチレンビス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド〕、4,4’−チオビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、ビス〔3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4’−ブチリデンビス(6−第三ブチル−m−クレゾール)、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ第三ブチルフェノール)、2,2’−エチリデンビス(4−第二ブチル−6−第三ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−第三ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−ヒドロキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−第三ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリス〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2−第三ブチル−4−メチル−6−(2−アクリロイルオキシ−3−第三ブチル−5−メチルベンジル)フェノール、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、トリエチレングリコールビス〔(3−第三ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕などがあげられる。
上記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸ジラウリル、ジミリスチル、ジステアリル等のジアルキルチオジプロピオネート類及びペンタエリスリトールテトラ(β−ドデシルメルカプトプロピオネート)等のポリオールのβ−アルキルメルカプトプロピオン酸エステル類があげられる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、5,5’−メチレンビス(2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン)等の2−ヒドロキシベンゾフェノン類;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ第三ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−第三ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−第三オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−第三オクチル−6−ベンゾトリアゾリル)フェノール等の2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類;フェニルサリシレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジ第三ブチルフェニル−3’,5’−ジ第三ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル−3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート類;2−エチル−2’−エトキシオキザニリド、2−エトキシ−4’−ドデシルオキザニリド等の置換オキザニリド類;エチル−α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート等のシアノアクリレート類があげられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルステアレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルステアレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ドデシルコハク酸イミド、1−〔(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−2−ブチル−2−(3,5−ジ第三ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロネート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン、テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、テトラ(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)・ジ(トリデシル)ブタンテトラカルボキシレート、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−{トリス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルオキシカルボニルオキシ)ブチルカルボニルオキシ}エチル〕−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,5,8,12−テトラキス〔4,6−ビス{N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−1,5,8,12−テトラアザドデカン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール/コハク酸ジメチル縮合物、2−第三オクチルアミノ−4,6−ジクロロ−s−トリアジン/N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミン/ジブロモエタン縮合物などがあげられる。
上記無機金属化合物としては、前記有機カルボン酸等の金属塩を構成する金属として例示した金属種の、例えば、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、過塩素酸塩、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、珪酸塩、リン酸塩等の無機酸塩及びその塩基性塩などがあげられる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、クレー、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリ、PMF、石膏繊維、ゾノトライト、MOS、ホスフェートファイバー、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維などの充填剤;酸化チタン、弁柄、黄鉛、群青、カーボンブラック、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン顔料などの顔料を使用することができる。
さらに、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物には、必要に応じて、耐衝撃性改善剤、架橋剤、発泡剤、帯電防止剤、防曇剤、プレートアウト防止剤、表面処理剤、滑剤、難燃剤、螢光剤、防黴剤、殺菌剤、金属不活性剤、離型剤、加工助剤などを配合することができる。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法は、好ましくは製造から長期間経過した、より好ましくは3000時間以上、特に好ましくは160〜220℃で3000時間以上使用したダイスを用いて成形加工する場合に赤スジを生じることなく、熱安定性、着色性に優れた塩化ビニル系樹脂組成物を提供するものであるが、塩化ビニル系樹脂の加工方法には無関係に使用することが可能であり、例えば、カレンダー加工、ロール加工、押出成形加工、射出成形加工、ペースト加工、粉体成形加工、発泡成形加工等に好適に使用することができる。
本発明の成形加工方法により得られる製品としては、壁材、床材、窓枠、波板、雨樋等の建材;自動車用内外装材;トレイ等の魚食品包装材;パッキン、ガスケット、ホース、パイプ、継ぎ手、シート、玩具等の雑貨などがあげられる。
以下実施例を示して本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1および2比較例1〜3
東洋精機(株)製押出加工機(型番30C−150)を用い、下記配合の塩化ビニル樹脂組成物に、β−ジケトン化合物をそれぞれ下記表1に記載の通り配合(質量部)した。その後、樹脂組成物をシリンダー温度160〜180℃、ダイス温度190℃で10時間連続で押出成形して赤スジの発生の有無を確認した。また、得られたペレットを用いて190℃、15MPaでプレス成形して1mm厚のシートを作製し、黄色度を測定した。また、190℃ギヤーオーブンに入れて黒化時間(分)を測定した。結果を〔表1〕に示す。用いたダイスは購入から10年経過し、160〜220℃で3000時間以上使用したものである。
塩化ビニル樹脂組成物配合
(配合) 質量部
塩化ビニル樹脂 100
重質炭酸カルシウム 5
酸化チタン 0.4
エステルワックス 0.5
カルシウム−亜鉛系粉末安定剤 2.9
試験化合物(β−ジケトン化合物) [表1]に記載
Figure 2011046763
*1:カルシウムアセチルアセトネート
*2:ジベンゾイルメタン
*3:ステアロイルベンゾイルメタン
参考例1〜5
購入から2年経過したダイスを用いた以外は実施例1と同様の配合(質量部)の組成物を同様に加工した。その結果を〔表2〕に示す。購入から2年経過したダイスは、160〜220℃で600時間程度しか使用していないものである。
Figure 2011046763
*1:カルシウムアセチルアセトネート
*2:ジベンゾイルメタン
*3:ステアロイルベンゾイルメタン
上記実施例から明らかなように、ダイスを用いて、β−ジケトン化合物としてカルシウムアセチルアセトネートを配合して塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工を行っても赤スジを生じることがなかった。なおかつ、本発明の方法により製造された塩化ビニル樹脂は、優れた着色性、耐熱性を示した。また、比較例2および3の結果から、カルシウムアセチルアセトネート以外のβ−ジケトン化合物を配合した塩化ビニル樹脂組成物をダイスを用いて成形加工すると赤スジが発生した。従って、本発明の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法を用いることで、累計使用時間が長時間になった加工機を用いても赤スジの発生を懸念せずに優れた着色性、耐熱性を有した成形品が安定的に得られることが分かった。

Claims (5)

  1. ダイスを用いる塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工に際し、塩化ビニル系樹脂100質量部に、(a)カルシウムアセチルアセトネート0.05〜3質量部及び(b)(a)以外のβ−ジケトン化合物0〜0.1質量部を含有する塩化ビニル系樹脂組成物を使用することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法。
  2. 前記ダイスが、成形加工に累計3000時間以上使用したダイスである請求項1記載の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法。
  3. 前記ダイスが、160〜220℃で累計3000時間以上使用したものである請求項2記載の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法。
  4. ダイスを用いての塩化ビニル系樹脂組成物成形加工時の赤スジ発生防止方法であって、成形加工前の塩化ビニル系樹脂100質量部にカルシウムアセチルアセトネート0.05〜3質量部を配合することを特徴とする塩化ビニル系樹脂組成物成形加工時の赤スジ発生防止方法。
  5. 前記ダイスが、成形加工に累計3000時間以上使用したダイスである請求項4記載の塩化ビニル系樹脂組成物の成形加工方法。
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