JP2011045191A - 電流抑制装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体を小型化できる電流抑制装置を提供する。
【解決手段】インバータ10(電力変換器)と電動機30(対象物)との間に接続され、インバータ10に備えるスイッチング素子の作動に起因する電流の変化を抑制する電流抑制装置20において、インバータ10と電動機30とを接続する線路Kuの途中に介在させるインダクタLuと、線路Kvの途中に介在させてインダクタLuと磁気結合するインダクタLvと、一方端に直流電源E1を接続してインダクタLu,Lvの双方と磁気結合するインダクタLzと、インダクタLzの他方端と基準点Psとの間に接続してコモンインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器24とを有する。この構成では、電動機30に流れる電流の一部はインダクタLzを経てインピーダンス整合器24に流れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電源と対象物との間に接続される電力変換器に備えるスイッチング素子の作動に起因する電流の変化を抑制する電流抑制装置に関する。
回転機(例えば電動機や発電機等)の駆動に電力変換器(例えば電圧形PWMインバータ等)を使用すると、スイッチング素子の作動時に生じる電圧(いわゆるコモンモード電圧)が電圧源となり、回転機及び電力変換器の浮遊容量を経路とした電流(いわゆるコモンモード電流)が流れる。高周波であるコモンモード電流は電磁障害の原因となるため、規格(例えばCISPR)で抑制が義務付けられている。
高周波電流を抑制する従来技術として、コモンチョークを線路の途中に挿入する方式がある。この方式は、コモンチョークの励磁インダクタを高周波電流経路に直列に挿入することと等価である。高周波数に対して励磁インダクタは高インピーダンスとなるため、コモンチョークを挿入することでコモンモード電流を抑制することが可能である。
また、スイッチング素子の作動に起因し発生するコモンモード電圧(零相電圧)を相殺する技術の一例が開示されている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に記載されたアクティブコモンモードキャンセラは、三相コモンチョークに追加巻線を設け、コモンモードトランスとして機能させる。スイッチング素子の作動時に変化するコモンモード電圧をインバータの交流出力端にスター結線したコンデンサ(Co)で検出し、これと同じ大きさで逆位相の電圧をコモンモードトランス(11)を介してインバータ出力に印加する。浮遊容量に印加されるコモンモード電圧が相殺されるため、コモンモード電流が流れなくなる。
特開平10−094244号公報
しかし、上記の従来技術(特許文献1)では、キャンセル効果がみられる周波数帯域は数百[KHz]までと限定的である。これは、インバータ出力にコモンモード電圧と逆位相で同じ大きさの電圧を印加することが困難であり、完全にコモンモード電圧をキャンセルすることが出来ないことに起因する。
また、アクティブコモンモードキャンセラに用いるコモンモードトランスにはコモンモード電圧を印加するため、高電圧のアプリケーションではコモンモードトランスを飽和をさせないために断面積や巻数が大きくなる傾向がある。
本発明はこのような点に鑑みてなしたものであり、キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体(上記した例ではコモンモードトランス)を小型化できる電流抑制装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、電力変換器と対象物との間に接続され、前記電力変換器に備えるスイッチング素子の作動に起因するコモンモード電流を抑制する電流抑制装置において、前記電力変換器と前記対象物とを接続する第1線路の途中に介在させる第1インダクタと、前記電力変換器と前記対象物とを接続する第2線路の途中に介在させ、前記第1インダクタと磁気結合する第2インダクタと、一方端を前記電力変換器に接続し、前記第1インダクタおよび前記第2インダクタの双方と磁気結合する第3インダクタと、前記第3インダクタの他方端と基準点との間に接続し、前記対象物と前記基準点との間のコモンインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器と、を有することを特徴とする。
なお、「電力変換器」は、スイッチング素子によって電力を変換する機能を有するものが該当する。「対象物」には、電力変換器から出力される電力を受けて作動(単に供給を含む)可能な任意の機器を適用できる。例えば、回転機(例えば電動機,発電機,発電電動機等)、負荷、電源、制御装置(例えばECU等),計測装置などが該当する。「コモンインピーダンス」は、対象物と基準点(例えば共通電位を示す部位)との間に生じるインピーダンスである。「第1インダクタ」,「第2インダクタ」および「第3インダクタ」には、磁気結合が可能な回路素子(例えば巻線,コイル,トランス等)を適用できる。
この構成によれば、第1インダクタ、第2インダクタおよび第3インダクタはそれぞれ相互に磁気結合する。インピーダンス整合器は、第3インダクタと基準点との間に接続し、コモンインピーダンスと整合する。この接続によって、第1線路および第2線路から対象物に流れる電流の一部は、第1インダクタおよび第2インダクタと磁気結合する第3インダクタを経てインピーダンス整合器に流れる。特に、コモンインピーダンスとインピーダンス整合器との位相特性を合致させ、インピーダンスの大きさの比を調整することにより、対象物に流す電流の大きさを抑制することができる。すなわち、コモンインピーダンスとインピーダンス整合器との位相特性が合致している周波数帯域においては、コモンチョークのみと同等に電流を抑制するのに必要なインダクタのインダクタンスは小さくて済む。よって、巻数が減るためにインダクタは小型化でき、線間容量が減少するため抑制効果の向上が実現できる。また、インピーダンスに用いるキャパシタは、特許文献1の図1(A)に示すキャパシタ(C1)より小さく、コモンモードトランスにかかる電圧時間積ETは小さくなり、巻数と断面積を減らすことができるため、コモンモードトランス22を小型化することが可能となる。したがって、キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体を小型化することができる。
請求項2に記載の発明は、前記基準点は、前記コモンインピーダンスを特定する際に基準となる接続点であることを特徴とする。この構成によれば、基準点を基準としてコモンインピーダンスが特定され、当該特定されたインピーダンスと整合するインピーダンス整合器を接続することができる。したがって、対象物に流れる電流の大きさを確実に抑制することができるので、キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体を小型化することができる。
請求項3に記載の発明は、前記電力変換器と前記第3インダクタの一方端との間に介在させ、前記対象物に印加される電圧値を検出する電圧検出器を有することを特徴とする。この構成によれば、インピーダンス整合器に流す電流の基準となる電圧値を電圧検出器によって検出する。電圧検出器は対象物に印加される電圧値(すなわち第1線路および第2線路の電圧値)を検出するので、第3インダクタを経てインピーダンス整合器に流す電流の大きさを適切に設定できる。なお、「電圧検出器」は第1線路および第2線路の電圧値を検出できれば任意であり、例えばキャパシタをスター結線する回路等が該当する。
請求項4に記載の発明は、前記電圧検出器は、前記第1線路に一方端を接続する第1回路素子と、前記第2線路に一方端を接続する第2回路素子とを有し、前記第1回路素子および前記第2回路素子の各他方端を接続してスター結線することを特徴とする。この構成によれば、第1回路素子および第2回路素子の一方端を線路に接続し、他方端をスター結線すればよい。したがって、簡単な回路で電圧検出器を実現できるので、コストを低く抑えることができる。
請求項5に記載の発明は、前記第1回路素子および前記第2回路素子には、キャパシタまたは抵抗器を用いることを特徴とする。この構成によれば、第1回路素子および第2回路素子としてキャパシタまたは抵抗器を用いるので、低コストで簡易に構成できる。なお、抵抗器は電圧検出を可能とするだけの高い抵抗値を必要とする。
請求項6に記載の発明は、前記インピーダンス整合器は、前記コモンインピーダンスに対して、周波数特性が同位相で大きさが1/a(aは任意の数字)となるようにインピーダンスを設定することを特徴とする。この構成によれば、対象物を流れる電流は、インピーダンス整合器に流れる電流の1/aになる。
請求項7に記載の発明は、前記インピーダンス整合器は、前記対象物のコモンインピーダンスがインダクタ、キャパシタおよび抵抗器の組み合わせからなる等価回路で表されるとき、前記インダクタのインダクタンスを1/a倍し、前記キャパシタのキャパシタンスをa倍し、前記抵抗器の抵抗値を1/a倍にした回路で構成することを特徴とする。この構成によれば、電流経路と同位相で大きさが1/aの周波数特性が得られる。
請求項8に記載の発明は、前記第1インダクタ、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタは、一のコアを共用することにより磁気結合することを特徴とする。この構成によれば、一のコアを共用するので、コストを低く抑えることができる。なお磁気結合するにあたっては、第1インダクタ、第2インダクタおよび第3インダクタを新たに一のコアに巻き付ける構成としてもよく、既に第1インダクタおよび第2インダクタが巻き付けられた一のコアに対して第3インダクタを追加して巻き付ける構成としてもよい。
請求項9に記載の発明は、対象物と負荷との間に接続され、前記負荷に起因するコモンモード電流を抑制する電流抑制装置において、前記対象物と前記負荷とを接続する第1線路の途中に介在させる第1インダクタと、前記対象物と前記負荷とを接続する第2線路の途中に介在させ、前記第1インダクタと磁気結合する第2インダクタと、一方端を前記負荷に接続し、前記第1インダクタおよび前記第2インダクタの双方と磁気結合する第3インダクタと、前記第3インダクタの他方端と基準点との間に接続し、前記対象物と前記基準点との間のコモンインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器と、を有することを特徴とする。請求項9は請求項1と比較すると、請求項1の電力変換器に代えて負荷を適用した点が異なるのみである。負荷の中には電力変換器と同様にスイッチング素子(あるいは同等の素子)の作動に起因するコモンモード電流を生じるものがあり、このような負荷を対象とする。この構成によれば、請求項1と同様の作用効果が得られる。すなわち、コモンインピーダンスとインピーダンス整合器との位相特性を合致させ、インピーダンスの大きさの比を調整することにより、対象物に流す電流の大きさを抑制することができる。また、キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体を小型化することができる。
電流抑制装置の第1構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の原理を説明する図である。 電流抑制装置の原理を説明する図である。 インピーダンス整合器の等価回路を示す回路図である。 大きさと位相の周波数特性を示すグラフ図である。 対象物(電動機)の等価回路を示す回路図である。 モータコモン電流の周波数スペクトラムのグラフ図である。 電流抑制装置の第2構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第3構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第4構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第5構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第6構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第7構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第8構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第9構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第10構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第11構成例を模式的に示す接続図である。 電流抑制装置の第12構成例を模式的に示す接続図である。 複数の電流抑制装置を組み合わせる例を示す接続図である。
以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は、インバータと電動機(モータ)との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図1〜図8を参照しながら説明する。図1および図8には、電流抑制装置の構成例を模式的に示す。具体的には、接続図を図1(A)に示し、コモンモードトランスの構成例を図1(B)に示す。図2,図3には、電流抑制装置の原理を図示する。図4には、インピーダンス整合器の等価回路を回路図で示す。図5には、大きさと位相の周波数特性をグラフ図で示す。図6には、対象物(電動機)の等価回路を回路図で示す。図7には、モータコモン電流の周波数スペクトラムのグラフ図を示す。
図1(A)に示す電流抑制装置20は、二相の電動機30に対応して構成され、インバータ10と電動機30との間を接続する線路Ku,Kvの途中に介在させる。線路Ku,Kvにはコモンモード電流が流れる。電流抑制装置20の具体的な構成例については後述する。インバータ10は、直流電源E1(バッテリ)の直流電圧を入力し、電動機30の回転制御を行うための電圧波形(例えばパルス幅変調波形等)に変換して出力する。ここで、直流電源E1は「電源」に相当し、インバータ10は「電力変換器」に相当し、電動機30は「対象物」に相当する。
図1(A)では、インバータ10内に備えるスイッチング素子(例えばIGBTやパワートランジスタ等の半導体素子を含む。)の作動を制御する制御装置は図示を省略している。制御装置の図示省略は、実施の形態2以降も同様とする。
インバータ10は、浮遊容量Cxおよびヒートシンク40を通じて接地する(基準点Ps)。浮遊容量Cxは、インバータ10内に備えるスイッチング素子の例えばIGBTモジュールの絶縁基板容量である。ヒートシンク40はインバータ10を冷却する機能を有する。
電動機30は二相電動機であって、インダクタLum,Lvmおよび浮遊容量Cmを有しており、その筐体を接地する(基準点Ps)。インダクタLum,Lvmについて、各一方端はそれぞれ線路Ku,Kvに接続し、各他方端は浮遊容量Cmの一方端とともにスター結線する。浮遊容量Cmは、電動機30の筐体と巻線間の容量である。
電流抑制装置20は、電圧検出器21,コモンモードトランス22,電流増幅器23,インピーダンス整合器24などを有する。電圧検出器21は線路Ku,Kvの電圧を検出する機能を有し、具体的にはキャパシタCu,Cvを有する。キャパシタCu,Cvについて、各一方端はそれぞれ線路Ku,Kvに接続し、各他方端はスター結線したうえで電流増幅器23の入力端に接続する。当該電流増幅器23の入力端と基準点Ps(あるいは接地)との電位差を「Vi」とする。電流増幅器23は電流を増幅し、インダクタLzを通じてインピーダンス整合器24に流す。
コモンモードトランス22は線路Ku,Kvの途中に介在され、図1(A)および図1(B)に示すようにインダクタLu,Lv,Lzを有する。インダクタLu,LvとインダクタLzとは磁気結合されている。言い換えれば、インダクタLu,Lv,Lzはそれぞれ相互に磁気結合する。図1(B)に示す例は、一のコアXcを共用することにより磁気結合する例である。インダクタLu、インダクタLvおよびインダクタLzを新たにコアXcに巻き付ける構成としてもよく、既にインダクタLuおよびインダクタLvが巻き付けられたコアXcに対してインダクタLzを追加して巻き付ける構成としてもよい。
図1(A)に戻り、インダクタLzは、電流増幅器23(出力端)とインピーダンス整合器24との間に接続される。電流増幅器23の出力端と基準点Ps(あるいは接地)との電位差を「Vo」とする。インピーダンス整合器24は、電動機30と基準点Psとの間に生じるコモンインピーダンスと整合するように構成される。なお、インピーダンス整合器24の具体的な構成例については後述する。
ここで、図1(A)の接続図における等価回路について、図2,図3を参照しながら説明する。まず、図1(A)の接続図にかかる等価回路は図2(A)のようになる。この等価回路は、コモンモード電圧源50,絶縁基板容量インピーダンス51,電流増幅器52,コモンモードトランス53,インピーダンス整合器54,電流経路インピーダンス55などを有する。コモンモードトランス53はコモンモードトランス22に相当し、磁気結合するインダクタLa,Lbを有する。インピーダンス整合器54はインピーダンス整合器24に相当する。電流経路インピーダンス55は、電流が流れる経路、すなわち電動機30および線路Ku,Kv等(以下では単に「コモンモード電流経路」と呼ぶ。)のインピーダンスである。
上述した図2(A)の等価回路において、電流増幅器52の増幅率が十分大きければ当該電流増幅器52を無視できるので、図2(B)に示す等価回路になる。また、コモンモードトランス53を構成するインダクタLaとインダクタLbとについて、励磁インダクタンスLcと漏れインダクタンスLd,Leとに分離すると、図2(C)に示す等価回路になる。さらに、漏れインダクタンスLd,Leが小さければ当該漏れインダクタンスLd,Leを無視できるので、図2(D)に示す等価回路のように簡略化できる。
ここで、インピーダンス整合器54のインピーダンス「Z」と、電流経路インピーダンス55のインピーダンス「Zm」との位相が合致している場合は、図2(D)に示す等価回路から電動機30に流れる電流Icom_Zは次の式(1)で表される。当該式(1)によれば、励磁インダクタンスLcによって回路インピーダンスが増加し、電流経路の分流によって電動機30に流れるコモンモード電流を抑制していることが分かる。なお、電圧検出器21によって検出される電圧を「Vcom」とし、絶縁基板容量インピーダンス51のインピーダンスを「Zc」とし、コモンモードトランスの励磁インダクタのインピーダンスを「Zch」とする。
Figure 2011045191
また、抑制要素のない場合の等価回路を図3に示す。この等価回路は、コモンモード電圧源50,絶縁基板容量インピーダンス51,電流経路インピーダンス55などを有する。図2(D)と比べると、抑制要素としての電流増幅器52,コモンモードトランス53,インピーダンス整合器54が無い。図3に示す等価回路から電動機30に流れる電流Icomは次の式(2)で表される。
Figure 2011045191
上述した式(1)および式(2)によれば、電動機30に流れる電流の抑制効果は、次の式(3)で表される。
Figure 2011045191
次に、図1(A)に示すインピーダンス整合器24の構成例について、図4を参照しながら説明する。図4に示す回路例は、抵抗器R10,R11,R12、インダクタL10,L11、キャパシタC10,C11を有する。両端子間には、インダクタL10,抵抗器R11,キャパシタC10を直列接続する。抵抗器R11およびキャパシタC10の直列接続に対して、インダクタL11,抵抗器R12,キャパシタC11の直列接続を並列に接続する。さらに、インダクタL11に対して抵抗器R10を並列に接続する。各素子の設定例を括弧内に図示する。括弧内の数値は後述する図6の各素子の値に対して1/10の値である。この1/10は、請求項6,7に示す「1/a」のaに10を当てはめた例である。aはインダクタ,抵抗器,キャパシタを用いて回路構成できる回路に対し、任意の数値を適用できるので、1/10に限らず、1/2、1/5、1/100等に対応した数値を設定できる。
図5には、電流経路インピーダンス55とインピーダンス整合器54の周波数特性を示す。具体的には、大きさの周波数特性を図5(A)に示し、位相の周波数特性を図5(B)に示す。図中には、電流経路インピーダンス55の特性を実線で示し、インピーダンス整合器54の特性を破線で示す。電流経路インピーダンス55は、線路Ku,Kv等の配線を含むインピーダンスである。よって低周波領域では、電動機30の浮遊容量Cmが支配的であるためにキャパシタと同様な特性が表れる。また高周波領域では、巻線インダクタおよび配線インダクタと直列・並列共振を起こし、4.5[MHz]付近で極小になる特性が表れる。
図6には、電流経路インピーダンス55の周波数特性を実現するための等価回路を示す。図6に示す等価回路は、抵抗器R20,R21,R22、インダクタL20,L21、キャパシタC20,C21を有する。この等価回路は周波数特性を同位相とするため、図4に示した等価回路と同様である。言い換えれば、図4に示した等価回路を設定する際の基準となる。具体的には、両端子間にインダクタL20,抵抗器R21,キャパシタC20を直列接続する。抵抗器R21およびキャパシタC20の直列接続に対して、インダクタL21,抵抗器R22,キャパシタC21の直列接続を並列に接続する。さらに、インダクタL21に対して抵抗器R20を並列に接続する。なお、等価回路を同定するにあたって、直列・並列共振周波数及びインピーダンス値を用いた。各素子について、符号とともに、同定した数値の一例を括弧内に図示する。
図1(A)において、上述した電流経路インピーダンス55の等価回路と同等の特性を有する電動機30と、インピーダンス整合器54の等価回路と同等の回路構成を有するインピーダンス整合器24とを用いると仮定する。この仮定の下で電動機30を作動させたとき、線路Ku,Kvを流れる電流(コモンモード電流)の周波数特性(スペクトラム波形)は図7に実線で示すように変化する。なお図7では、高周波電流を抑制する要素を有しない場合の周波数特性(一点鎖線)、特許文献1に記載されたアクティブコモンモードキャンセラを用いた場合の周波数特性(破線)を併せて示す。
図7に示す周波数特性によれば、500[KHz]の周波数帯域で抑制効果が高くなっている。この抑制効果は、コモンモード電流経路とインピーダンス整合器24の位相を高周波域まで合致させたことで、電流の分流効果を得たことに起因する。なお、2[MHz]以上の周波数帯域で抑制効果が低くなっているのは、電流増幅器23の周波数特性が要因である。したがって、電流増幅器23の周波数特性を高周波帯域に拡大するように改善すれば、2[MHz]以上の周波数帯域でも抑制効果が得られる。
次に、コモンモードトランス22の断面積について説明する。コモンモードトランス22は磁気飽和が生じないようにするには、電圧時間積ETが式{ET≦nsB}を満足する必要がある。ただし、コモンモードトランス22に印加する電圧を「E」、印加する時間を「T」、巻数を「n」、断面積を「S」、飽和磁束密度を「B」とする。
特許文献1に記載されたアクティブコモンモードキャンセラでは、コモンモード電圧をスイッチング周期の期間中は保持するため、当該特許文献1の図1(A)に示すキャパシタ(C1)に大きなキャパシタンスのものを用いている。そのため、特許文献1のコモンモードトランス(11)にかかる電圧時間積ETは大きくなる。このように電圧時間積ETが大きくなると、上記の式を満足させるために巻数と断面積を増やす必要がある。コモンモードトランスを小型化するには、断面積を小さくし、巻数を増加する必要がある。ところが、負荷電流が大きいアプリケーションでは線径を大きくしなければならず、かえって大型化するだけでなく、巻線間容量が増加するためにコモンチョークの高周波特性が悪化する。したがって、コモンモード電流の抑制効果が低下するという問題がある。
これに対して、インピーダンス整合器24に用いるキャパシタ(すなわち図4に示すキャパシタC10,C11)は、コモンモード電流経路の等価回路(すなわち図6に示すキャパシタC20,C21)の10倍程度に過ぎず、特許文献1の図1(A)に示すキャパシタ(C1)よりは小さい。よって、インピーダンス整合器24とコモンモード電流経路とに流れる電流により、それぞれの経路のキャパシタが充電される。電圧を保持するためコモンモードトランス22に印加される電圧は、コモン電圧からキャパシタの電圧を引いた電圧となる。よって、従来技術(特許文献1)と比較してコモンモードトランス22にかかる電圧時間積ETは小さくなり、巻数と断面積を減らすことができるため、コモンモードトランス22を小型化することが可能となる。
上述した形態では、二相(例えばU相,V相)の電動機30に対応して二相の電流抑制装置20を構成したが(図1を参照)、三相以上の電動機30に対応する相数の電流抑制装置20を構成してもよい。例えば、三相(例えばU相,V相,W相)の電動機30に対応して三相で構成した電流抑制装置20の構成例を図8に示す。具体的には、接続図を図8(A)に示し、コモンモードトランスの構成例を図8(B)に示す。なお、インバータ10もまた当然に電動機30に対応する相数となる。
図8(A)に示す電流抑制装置20は、図1に示す電流抑制装置20と比べて、W相に関する要素が増えている。具体的には、線路Kw、電圧検出器21内のキャパシタCw、コモンモードトランス22内のインダクタLw、電動機30内のインダクタLwmである。線路Kwには線路Ku,Kvと同様にコモンモード電流が流れる。キャパシタCwはキャパシタCu,Cvと同様に構成され、一方端を線路Kwに接続し、他方端をキャパシタCu,Cvとスター結線したうえで電流増幅器23の入力端に接続する。インダクタLwは線路Kwの途中に介在され、インダクタLu,Lv,Lzと相互に磁気結合されている。インダクタLwmは、一方端を線路Kwに接続し、他方端をインダクタLum,Lvmおよび浮遊容量Cmの一方端とともにスター結線する。
図8(B)に示す例は、一のコアXcを共用することにより磁気結合する例である。インダクタLu,Lv,LwおよびインダクタLzを新たにコアXcに巻き付ける構成としてもよく、既にインダクタLu,Lv,Lwが巻き付けられたコアXcに対してインダクタLzを追加して巻き付ける構成としてもよい。
図8のように構成した電流抑制装置20は、W相の要素が増えたに過ぎないので、図1のように構成した電流抑制装置20と同様の作用効果を得ることができる。四相以上の電動機30に対応する相数の電流抑制装置20を構成する場合も同様である。
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各効果を得ることができる。
請求項1に対応し、直流電源E1と電動機30とを接続する線路Ku(第1線路)の途中に介在させるインダクタLu(第1インダクタ)と、直流電源E1と電動機30とを接続する線路Kv(第2線路)の途中に介在させてインダクタLuと磁気結合するインダクタLv(第2インダクタ)と、一方端に直流電源E1を接続し、インダクタLuおよびインダクタLvの双方と磁気結合するインダクタLz(第3インダクタ)と、インダクタLzの他方端と基準点Psとの間に接続し、電動機30のインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器24とを備える構成とした(図1(A),図2,図8(A)を参照)。
この構成によれば、インバータ10から線路Kuおよび線路Kvを経て電動機30に流れる電流(コモンモード電流)の一部は、インダクタLuおよびインダクタLvと磁気結合するインダクタLzを経てインピーダンス整合器24に流れる。特に、電動機30とインピーダンス整合器24とのインピーダンス比(例えば1:1等)を調整することにより、電動機30に流す電流の大きさを抑制することができる。すなわち、コモンインピーダンスとインピーダンス整合器との位相特性が合致している周波数帯域においては、コモンチョークのみと同等に電流を抑制するのに必要なインダクタLzのインダクタンスは小さくて済む。よって、巻数が減るためにインダクタLzは小型化でき、線間容量が減少するため抑制効果の向上が実現できる。また、インピーダンスに用いるキャパシタは、特許文献1の図1(A)に示すキャパシタ(C1)より小さく、コモンモードトランスにかかる電圧時間積ETは小さくなり、巻数と断面積を減らすことができるため、コモンモードトランス22を小型化することが可能となる。
請求項2に対応し、基準点Psは電動機30のインピーダンスを特定する際に基準となる接続点とした(図1(A),図8(A)を参照)。この構成によれば、基準点Psと電動機30との間のインピーダンス「Zm」が特定され(図5を参照)、当該特定されたインピーダンス「Zm」と整合するインピーダンス整合器24を接続することができる(図4を参照)。したがって、電動機30に流れる電流の大きさを確実に抑制することができるので、キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体を小型化することができる。
請求項3に対応し、直流電源E1とインダクタLzの一方端との間に介在させ、電動機30に印加される電圧値(コモンモード電圧)を検出する電圧検出器21を備える構成とした(図1(A),図8(A)を参照)。この構成によれば、インダクタLzを経てインピーダンス整合器24に流す電流の大きさを適切に設定できる。
請求項4,5に対応し、電圧検出器21は、線路Kuに一方端を接続するキャパシタCu(第1回路素子)と、線路Kvに一方端を接続するキャパシタCv(第2回路素子)とを有し、キャパシタCu(第1回路素子)およびキャパシタCv(第2回路素子)の各他方端を接続してスター結線する構成とした(図1(A),図8(A)を参照)。この構成によれば、簡単な回路で電圧検出器21を実現できるので、コストを低く抑えることができる。なお、上記の例では、キャパシタCuを第1回路素子とし、キャパシタCvを第2回路素子としたが、キャパシタCu,Cvのうちで一のキャパシタを第1回路素子とし、他の一のキャパシタを第2回路素子としても同様である。
請求項6に対応し、インピーダンス整合器24は、電動機30のインピーダンスに対して、周波数特性が同位相で大きさが1/aとなるようにインピーダンスZを設定する構成とした(図4,図6を参照)。この構成によれば、電動機30を流れる電流はインピーダンス整合器24に流れる電流の1/aになるので、キャンセル効果の周波数帯域を確実に広げられ、磁気結合する媒体を小型化することができる。
請求項7に対応し、インピーダンス整合器24は、電動機30のインピーダンスがインダクタL20,L21、キャパシタC20,C21および抵抗器(抵抗器R20,R21,R22)の組み合わせからなる等価回路で表されるので(図6を参照)、インダクタのインダクタンスを1/a倍し、キャパシタのキャパシタンスをa倍し、抵抗器の抵抗値を1/a倍にした回路で構成した(図4を参照)。この構成によれば、電流経路と同位相で大きさが1/aの周波数特性が得られる。aの数値を大きく設定することで、キャンセル効果の周波数帯域を広げることができる。
請求項8に対応し、インダクタLu、インダクタLvおよびインダクタLzは、一のコアXcを共用することにより磁気結合する構成とした(図1(B)を参照)。この構成によれば、必要なコアの数を抑えて、コストを低く抑えることができる。
コモンモード電流を抑制するためにコモンチョークを用いるアプリケーションにおいては、コモンチョークに追加巻線(上述したインダクタLzに対応する巻線)を配置し、追加巻線の一方端にコモンモード電圧を入力し、他方端にインピーダンス整合器24の一方端を接続し、インピーダンス整合器24の他方端を基準点Ps(コモンモード電流を抑制する経路に並列接続として作用する箇所)に接続することで、同じコモンチョークを用いた場合においてコモンモード電流の抑制効果を向上させることができる。したがって、コモンチョークのみと同等のコモンモード電流の抑制効果を得るのに励磁インダクタンスは小さくてすむ。よって、巻数が減るためコモンチョークは小型化、線間容量が減少するため抑制効果の向上が実現できる。
〔実施の形態2〕
実施の形態2は、実施の形態1と同様にインバータと電動機との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図9を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態2では実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図9には、図1に示すインバータ10に代えて、ハーフブリッジインバータ10aを用いたモータ駆動回路を示す。
ハーフブリッジインバータ10aは、キャパシタCau,Cav、スイッチング素子Qau,Qavなどを有する。キャパシタCau,Cavの直列接続は、直流電源E1のプラス極とマイナス極に接続する。スイッチング素子Qauのコレクタ端子を直流電源E1のプラス極に接続し、スイッチング素子Qauのエミッタ端子をスイッチング素子Qavコレクタ端子に接続し、スイッチング素子Qavのエミッタ端子を直流電源E1のマイナス極に接続する。キャパシタCau,Cav間の接続点は線路Kuに接続し、スイッチング素子Qauのエミッタ端子とスイッチング素子Qavコレクタ端子との間の接続点は線路Kvに接続する。なお、スイッチング素子Qau,Qavには、それぞれ還流ダイオードが並列接続される。スイッチング素子Qauのコレクタ端子と接地との間には絶縁基板容量Cx1が生じ、スイッチング素子Qavのエミッタ端子と接地との間には絶縁基板容量Cx2が生じている。
電動機30aに流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22aにインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21aによって検出するコモンモード電圧を電流増幅器23を介して入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、実施の形態1で示す三相のインバータ10と同様に、コモンモード電流が浮遊容量Cmとインピーダンス整合器24のインピーダンス比で分流するため、電動機30aに流れるコモンモード電流が抑制される。したがって、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態3〕
実施の形態3は、実施の形態1,2と同様にインバータと電動機との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図10を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態3では実施の形態1,2と異なる点について説明し、実施の形態1,2で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図10には、フルブリッジインバータを用いたモータ駆動回路の構成例を示す。実施の形態3では、図9に示すハーフブリッジインバータ10aに代えて、フルブリッジインバータ10bを用いたモータ駆動回路を示す。その他は、実施の形態2と同様の構成である。フルブリッジインバータ10bは、U相のスイッチング素子Qua,Qub、V相のスイッチング素子Qva,Qvbなどを有する。スイッチング素子Qua,Qvaは上アームに相当し、スイッチング素子Qub,Qvbは下アームに相当する。各スイッチング素子にはそれぞれ還流ダイオードが並列接続される。U相のスイッチング素子Qua,Qubと、V相のスイッチング素子Qva,Qvbとは、いずれも実施の形態2に示すハーフブリッジインバータ10aのスイッチング素子Qau,Qavと同様に接続する。スイッチング素子Quaのエミッタ端子とスイッチング素子Qubのコレクタ端子との間の接続点は線路Kuに接続し、スイッチング素子Qvaのエミッタ端子とスイッチング素子Qvbのコレクタ端子との間の接続点は線路Kvに接続する。スイッチング素子Qua,Qvaのコレクタ端子と接地との間には絶縁基板容量Cx4が生じ、スイッチング素子Qub,Qvbのエミッタ端子と接地との間には絶縁基板容量Cx3が生じている。
電動機30aに流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22aにインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21aによって検出するコモンモード電圧を電流増幅器23を介して入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、実施の形態2で示す単相のハーフブリッジインバータ10aと同様に、コモンモード電流が浮遊容量Cmとインピーダンス整合器24のインピーダンス比で分流するため、電動機30aに流れるコモンモード電流が抑制される。したがって、実施の形態1,2と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態4〕
実施の形態4は、電源とインバータとの間に電流抑制装置を介在させる例であって、図11を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態4では実施の形態1〜3と異なる点について説明し、実施の形態1〜3で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図11には、フルブリッジインバータを用いたモータ駆動回路の構成例を示す。実施の形態4では、実施の形態3で備えた電流抑制装置20aに代えて、電流抑制装置20bを備える。この電流抑制装置20bは、直流電源E1とフルブリッジインバータ10bとの間に接続する。電流抑制装置20bは、電圧検出器21b,コモンモードトランス22b,電流増幅器23,インピーダンス整合器24などを有する。電圧検出器21bは、実施の形態2,3に示す電圧検出器21aと同様の構成である。コモンモードトランス22bは、実施の形態2,3に示すコモンモードトランス22aと同様の構成である。
実施の形態4が実施の形態2,3と異なるのは、電圧検出器21bとコモンモードトランス22bとの接続位置を入れ替えた点である。すなわち、電圧検出器21bをフルブリッジインバータ10bに近い側(図面右側)に接続し、コモンモードトランス22bを直流電源E1に近い側(図面左側)に接続する。よって、実施の形態4では直流電源E1が「対象物」となる。なお、直流電源E1のプラス極と接地との間にはバッテリ浮遊容量Cx5が生じ、直流電源E1のマイナス極と接地との間にはバッテリ浮遊容量Cx6が生じている。
例えば電動機30aとフルブリッジインバータ10bとを一体化する等のように、電動機30aとフルブリッジインバータ10bとの距離が近い場合は、電動機30aに流れるコモンモード電流から放射される電磁界は少なくなる。このため、相対的に直流電源E1とフルブリッジインバータ10bとの間を流れるコモンモード電流が問題となる可能性がある。そこで、上述した構成とすれば、コモンモード電流は浮遊容量Cmとインピーダンス整合器24のインピーダンス比で分流される。このため、例えば電動機30aの回生時に直流電源E1に流れ込むコモンモード電流が抑制される。したがって、実施の形態1〜3と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態5〕
実施の形態5は、実施の形態1と同様にインバータと電動機との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図12を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態5では実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図12には、三相系統を電源とした三相インバータを用いたモータ駆動回路の構成例を示す。実施の形態5では、電力の供給を受ける電源として交流電源E2(三相電力系統)を用いる。供給される交流電力を直流電力に変換する必要があるために整流平滑回路60を備え、三相(U相,V相,W相)の電動機30に対応するために三相のインバータ10cを備える。整流平滑回路60は、U相のダイオードDua,Dub、V相のダイオードDva,Dvb、W相のダイオードDwa,Dwb、平滑用のキャパシタCdなどを有する。インバータ10cは、U相のスイッチング素子Qua,Qub、V相のスイッチング素子Qva,Qvb、W相のスイッチング素子Qwa,Qwbなどを有する。
これらのスイッチング素子は、実施の形態3に示すフルブリッジインバータ10bと同様に構成する。スイッチング素子Qua,Qva,Qwaは上アームに相当し、スイッチング素子Qub,Qvb,Qwbは下アームに相当する。各スイッチング素子にはそれぞれ還流ダイオードが並列接続される。スイッチング素子Quaのエミッタ端子とスイッチング素子Qubのコレクタ端子との間の接続点は線路Kuに接続し、スイッチング素子Qvaのエミッタ端子とスイッチング素子Qvbのコレクタ端子との間の接続点は線路Kvに接続し、スイッチング素子Qwaのエミッタ端子とスイッチング素子Qwbのコレクタ端子との間の接続点は線路Kwに接続する。
電動機30に流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22aにインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21aによって検出するコモンモード電圧を電流増幅器23を介して入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、実施の形態1で示す三相のインバータ10と同様に、コモンモード電流が浮遊容量Cmとインピーダンス整合器24のインピーダンス比で分流するため、電動機30aに流れるコモンモード電流が抑制される。したがって、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態6〕
実施の形態6は、インバータと系統との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図13を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態6では実施の形態3と異なる点について説明し、実施の形態3で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図13には系統連系インバータの構成例を示す。実施の形態6では、電力の供給を受ける電源として直流電源E3を用いる点は実施の形態1と同じであるが、太陽光発電装置や燃料電池等を用いる点で異なる。昇圧回路61(コンバータ)は、トランジスタTr3,Tr4、インダクタL5、ダイオードD5、平滑用のキャパシタCeなどを有する。この昇圧回路61は、フルブリッジインバータ10bからみれば「電源」に相当する。言い換えれば、直流電源E3と昇圧回路61とを合わせて「電源」とみることができる。
また、電動機30aに代えて、「対象物」として交流電源E4(単相電力系統)を適用する。交流電源E4との系統連系を行うため、電流抑制装置20aと交流電源E4との間に、Yコンデンサ62およびローパスフィルタ63を介在させる。Yコンデンサ62は、キャパシタC4,C5を有する。キャパシタC4は線路Kuと基準点Psとの間に接続し、キャパシタC5は線路Kvと基準点Psとの間に接続する。ローパスフィルタ63は、インダクタL6とキャパシタC6とを有するLC回路である。
上述した構成におけるフルブリッジインバータ10bの出力線(すなわち線路Ku,Kv)を流れるコモンモード電流は、通常ではコモンチョークおよびYコンデンサ62を用いて高周波を抑制する。こうした抑制効果を向上させるにはYコンデンサ62を大きくすればよいが、ノーマル電流が増えてしまう背反がある。そこで、コモンチョークに追加巻線(すなわちインダクタLz)を配置したコモンモードトランス22aを用いる。
インダクタLzの一方端には電圧検出器21aによって検出するコモンモード電圧を電流増幅器23を介して入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、線路Ku,Kvを流れるコモンモード電流は、交流電源E4側のコモン電流インピーダンス(Yコンデンサ62含む)と、インピーダンス整合器24のインピーダンスとの比で分流する。こうして交流電源E4に流れるコモンモード電流を抑制することができるので、実施の形態3と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態7〕
実施の形態7は、系統の相互間に電流抑制装置を介在させる例であって、図14を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態7では実施の形態5と異なる点について説明し、実施の形態5で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図14には無停電電源装置の構成例を示す。実施の形態7では、実施の形態5の交流電源E2(三相電力系統)に代えて、電力の供給を受ける電源として交流電源E5(単相電力系統)を用いる。そのため、整流平滑回路60aでは、整流平滑回路60に備えるW相のダイオードDwa,Dwbが無くなっている。なお、この構成では交流電源E4が「対象物」に相当する。
線路Ku,Kvから交流電源E4に向かって流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22aにインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21aによって検出するコモンモード電圧を電流増幅器23を介して入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、コモンモード電流が交流電源E4側のコモン電流インピーダンスと、インピーダンス整合器24のインピーダンスとの比で分流する。こうして交流電源E4に流れるコモンモード電流を抑制することができるので、実施の形態5と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態8〕
実施の形態8は、インバータと電動機との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図15を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態8では実施の形態5と異なる点について説明し、実施の形態5で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図15にはマトリクスコンバータを用いたモータ駆動回路の構成例を示す。実施の形態8では、交流電源E2と電流抑制装置20との間にローパスフィルタ64およびマトリクスコンバータ10u,10v,10wを接続した点で実施の形態5と異なる。ローパスフィルタ64は、インダクタL7u,L7v,L7wとキャパシタC7u,C7v,C7wとを有するLC回路である。マトリクスコンバータ10uは、交流電源E2からローパスフィルタ64を介して供給される三相(U相,V相,W相)の電力を受けて、電動機30の回転制御を行うためのU相電圧波形(例えばパルス幅変調波形等)に変換して線路Kuに出力する。同様にして、マトリクスコンバータ10v,10wはそれぞれ交流電源E2からローパスフィルタ64を介して供給される三相の電力を受けて、電動機30の回転制御を行うためのV相電圧波形,W相電圧波形に変換して線路Kv,Kwに出力する。
電動機30に流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22にインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21によって検出するコモンモード電圧を電流増幅器23を介して入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、実施の形態1で示す三相のインバータ10と同様に、コモンモード電流が浮遊容量Cmとインピーダンス整合器24のインピーダンス比で分流するため、電動機30aに流れるコモンモード電流が抑制される。したがって、実施の形態5と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態9〕
実施の形態9は、インバータと負荷との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図16を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態9では実施の形態1と異なる点について説明し、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図16には差動通信回路の構成例を示す。実施の形態9では差動通信を行うために、実施の形態1〜8で示したインバータ10,ハーフブリッジインバータ10a,フルブリッジインバータ10b等のインバータ(図示せず)と、電流抑制装置20cとの間にNOT回路70を備える。電流抑制装置20cは、実施の形態4に示す電流抑制装置20bと比べて電流増幅器23が無い点で相違するのみである。よって、電圧検出器21c(キャパシタCu,Cv)をスター結線した接続点(すなわち線路Ku,Kvの検出電圧)を、コモンモードトランス22c(インダクタLz)の一方端に接続する。なお、負荷31と接地との間には浮遊容量Czが生じている。
NOT回路70を経て線路Ku,Kvから負荷31に向かって流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22cにインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21cによって検出するコモンモード電圧を入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、コモンモード電流が負荷31側のコモン電流インピーダンス(浮遊容量Czを含む)と、インピーダンス整合器24のインピーダンスとの比で分流する。こうして負荷31に流れるコモンモード電流を抑制することができるので、実施の形態1と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態10〕
実施の形態10は、電源と負荷との間に電流抑制装置を介在させる例であって、図17,図18を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするために、実施の形態10では実施の形態4と異なる点について説明し、実施の形態4で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。
図17には電源に直流電源E1を用いたアプリケーションを示し、図18は電源に交流電源E2を用いたアプリケーションを示す。実施の形態10では、実施の形態4と比べて、フルブリッジインバータ10bを無くした点と、電動機30aに代えて負荷32,33を接続した点とが相違する。図17,図18に示すアプリケーションでは、負荷32,33から電源(図17では直流電源E1であり、図18では交流電源E2である。以下この形態において同じ。)に向かって電流(コモンモード電流)が恒常的(一時的であってもよい)に流れる状態を仮定する。したがって、電源は「対象物」に相当する。
線路Ku,Kvから電源に向かって流れるコモンモード電流を抑制するため、コモンモードトランス22bにインダクタLzを備える。インダクタLzの一方端には電圧検出器21bによって検出するコモンモード電圧を入力し、他方端にはインピーダンス整合器24の一方端を接続する。インピーダンス整合器24の他方端を基準点Psに接続する。この構成によれば、コモンモード電流が電源側のコモン電流インピーダンスと、インピーダンス整合器24のインピーダンスとの比で分流する。こうして電源に流れるコモンモード電流を抑制することができる。
上述した実施の形態10によれば、請求項9に対応し、負荷32,33と電源(直流電源E1または交流電源E2;対象物)とを接続する線路Ku(第1線路)の途中に介在させるインダクタLu(第1インダクタ)と、負荷32,33と電源とを接続する線路Kv(第2線路)の途中に介在させてインダクタLuと磁気結合するインダクタLv(第2インダクタ)と、一方端を負荷32,33に接続し、インダクタLuおよびインダクタLvの双方と磁気結合するインダクタLz(第3インダクタ)と、インダクタLzの他方端と基準点Psとの間に接続し、電動機30のインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器24とを備える構成とした(図17,図18を参照)。この構成によれば、負荷32,33からコモンモード電流が流れても、コモンインピーダンスとインピーダンス整合器24との位相特性を合致させ、インピーダンスの大きさの比を調整することにより、直流電源E1または交流電源E2に流す電流の大きさを抑制することができる。また、キャンセル効果の周波数帯域を広げながらも、磁気結合する媒体を小型化することができる。なお、本形態では負荷32,33に起因してコモンモード電流が発生する例を示したが、当該コモンモード電流の発生源となる他の要素(例えば電力変換器や、系統などの電力源等)についても同様に適用することができる。
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜10に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
実施の形態1〜10では、電力変換回路としてスイッチング素子を備えたインバータを適用した(図1,図9〜図15を参照)。この形態に代えて、スイッチング素子を備えたコンバータを適用してもよく、スイッチング素子を備えた他の回路や装置を適用してもよい。いずれを適用するにせよ、スイッチング素子の作動時に生じる電圧によって対象物等の浮遊容量を経路としたコモンモード電流が対象物に流れるのを抑えることができる。従って、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1〜10では、対象物として電動機,負荷,電源を適用した(図1,図9〜図15を参照)。この形態に代えて、電力変換器によって制御される電力(特に電圧)によって作動(単に供給を含む)する他の対象物を適用してもよい。他の対象物としては、電動機を除く回転機(例えば発電機や発電電動機等),制御装置(例えばECU等),計測装置などが該当する。いずれの対象物にせよ、コモンモード電流の一部をインピーダンス整合器に分流することによって対象物に流れるのを抑えることができる。従って、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1〜10では、第1インダクタ,第2インダクタおよび第3インダクタとして、インダクタからなるインダクタLu,Lv,Lw,Lzを適用した(図1,図8〜図18を参照)。この形態に代えて、磁気結合が可能な他の回路素子(例えば巻線やトランス等)を適用してもよい。巻線やトランス等でも確実に磁気結合できるので、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1〜10では、第1回路素子および第2回路素子として、キャパシタCu,Cv,Cwを適用した(図1,図8〜図18を参照)。この形態に代えて、電圧検出を可能とするだけの高い抵抗値(例えば数[MΩ]以上)を有する抵抗器を適用してもよい。抵抗器を適用しても線路Ku,Kv,Kwの電圧を検出できるので、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1〜10では、線路の相数(本数)として三相または単相を適用した(図1,図9〜図15を参照)。この形態に代えて、接続しようとする対象物の相数(例えば四相や六相等)に合わせた相数を適用してもよい。単に相数が相違するだけであるので、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1では、インピーダンス整合器24の回路例を図4に示し、対象物(電動機30)にかかる等価回路の回路例を図6に示した。これらの回路例は実施の形態2〜10にも適用するが、他の回路で構成してもよい。ただし、インピーダンス整合器24は対象物のインピーダンスと整合する必要がある。回路素子は、図4,図6に示した抵抗器,インダクタ,キャパシタに示した回路素子に限られず、他の回路素子のみで構成してもよく、これらを混在して構成してもよい。他の回路素子としては、トランス,オペアンプ,水晶振動子,半導体素子(トランジスタやIC等)などが該当する。他の回路素子を用いた場合でも、コモンモード電流の一部をインピーダンス整合器に分流することによって対象物に流れるのを抑えることができる。従って、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
実施の形態1,2,3,5,8はインバータと電動機との間に電流抑制装置を介在させる構成とし(図1,図9,図10,図12,図15を参照)、実施の形態4は電源とインバータとの間に電流抑制装置を介在させる構成とし(図11を参照)、実施の形態6はインバータと系統との間に電流抑制装置を介在させる構成とし(図13を参照)、実施の形態7は系統の相互間に電流抑制装置を介在させる構成とし(図14を参照)、実施の形態9はインバータと負荷との間に電流抑制装置を介在させる構成とし(図16を参照)、実施の形態10は電源と負荷との間に電流抑制装置を介在させる構成とした(図17,図18を参照)。これらうち二以上の形態を任意に選択して組み合わせる構成としてもよい。例えば図19に示す接続例では、直流電源E1と発電電動機30bとの間に電流抑制装置20aおよび電流抑制装置20bを介在させている。電流抑制装置20aと電流抑制装置20bとの間にはフルブリッジインバータ10bを接続している。この構成によれば、発電電動機30bを「対象物」とした場合でも、直流電源E1を「対象物」とした場合でも、いずれもコモンモード電流の一部をインピーダンス整合器24に分流することによって対象物に流れるのを抑えることができる。他の組み合わせでも同様である。従って、実施の形態1〜10と同様の作用効果を得ることができる。
10,10a,10b,10c インバータ(電力変換回路)
20,20a,20b 電流抑制装置
21,21a,21b 電圧検出器
22,22a,22b,53 コモンモードトランス(インダクタ)
23,52 電流増幅器
24,54 インピーダンス整合器
30,30a 電動機(対象物)
30b 発電電動機(対象物)
31,32,33 負荷
40 ヒートシンク
50 コモンモード電圧源
51 絶縁基板容量インピーダンス
55 電流経路インピーダンス
60,60a 整流平滑回路
61 昇圧回路(コンバータ)
Cu,Cv,Cw キャパシタ(回路素子)
E1,E3 直流電源(対象物)
E2,E4 交流電源(対象物)
Ku,Kv,Kw 線路
Lu,Lv,Lw,Lz インダクタ

Claims (9)

  1. 電力変換器と対象物との間に接続され、前記電力変換器に備えるスイッチング素子の作動に起因するコモンモード電流を抑制する電流抑制装置において、
    前記電力変換器と前記対象物とを接続する第1線路の途中に介在させる第1インダクタと、
    前記電力変換器と前記対象物とを接続する第2線路の途中に介在させ、前記第1インダクタと磁気結合する第2インダクタと、
    一方端を前記電力変換器に接続し、前記第1インダクタおよび前記第2インダクタの双方と磁気結合する第3インダクタと、
    前記第3インダクタの他方端と基準点との間に接続し、前記対象物と前記基準点との間のコモンインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器と、
    を有することを特徴とする電流抑制装置。
  2. 前記基準点は、前記コモンインピーダンスを特定する際に基準となる接続点であることを特徴とする請求項1に記載の電流抑制装置。
  3. 前記電力変換器と前記第3インダクタの一方端との間に介在させ、前記対象物に印加される電圧値を検出する電圧検出器を有することを特徴とする請求項1または2に記載の電流抑制装置。
  4. 前記電圧検出器は、前記第1線路に一方端を接続する第1回路素子と、前記第2線路に一方端を接続する第2回路素子とを有し、
    前記第1回路素子および前記第2回路素子の各他方端を接続してスター結線することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電流抑制装置。
  5. 前記第1回路素子および前記第2回路素子には、キャパシタまたは抵抗器を用いることを特徴とする請求項4に記載の電流抑制装置。
  6. 前記インピーダンス整合器は、前記コモンインピーダンスに対して、周波数特性が同位相で大きさが1/a(aは任意の数字)となるようにインピーダンスを設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電流抑制装置。
  7. 前記インピーダンス整合器は、前記対象物のコモンインピーダンスがインダクタ、キャパシタおよび抵抗器の組み合わせからなる等価回路で表されるとき、前記インダクタのインダクタンスを1/a倍し、前記キャパシタのキャパシタンスをa倍し、前記抵抗器の抵抗値を1/a倍にした回路で構成することを特徴とする請求項6に記載の電流抑制装置。
  8. 前記第1インダクタ、前記第2インダクタおよび前記第3インダクタは、一のコアを共用することにより磁気結合することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電流抑制装置。
  9. 対象物と負荷との間に接続され、前記負荷に起因するコモンモード電流を抑制する電流抑制装置において、
    前記対象物と前記負荷とを接続する第1線路の途中に介在させる第1インダクタと、
    前記対象物と前記負荷とを接続する第2線路の途中に介在させ、前記第1インダクタと磁気結合する第2インダクタと、
    一方端を前記負荷に接続し、前記第1インダクタおよび前記第2インダクタの双方と磁気結合する第3インダクタと、
    前記第3インダクタの他方端と基準点との間に接続し、前記対象物と前記基準点との間のコモンインピーダンスと整合させるインピーダンス整合器と、
    を有することを特徴とする電流抑制装置。
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