JP2011044744A - 炭化珪素半導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物窒素が高い精度で面内に均一にドーピングされた、しかも広い面積の炭化珪素半導体を提供する。
【解決手段】エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造方法であって、窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱ステップを有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法。前記予備加熱ステップは、前記窒素化合物のガスを、1300℃以上の部屋内を流すステップであることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は炭化珪素半導体に関し、特に広い基板面内で窒素のドーピング濃度が均一な炭化珪素半導体に関し、さらに前記炭化珪素半導体の製造方法および製造装置に関する。
炭化珪素(実施例では炭化珪素を成長させる基板も炭化珪素である。このため、主にエピタキシャル成長していく結晶についての記載では、原則としてSiCを使用する)を用いた半導体デバイス(素子)は、広禁制帯幅、高絶縁破壊電界、高飽和電子速度および高熱伝導度等の優れた特性から、高耐圧低損失、高温動作可能なデバイスとして期待されている。また、近年は、SiCの単結晶基板の供給体制が整いつつある(非特許文献1)。さらに、デバイスの作製に必要なSiCの薄膜結晶成長技術では、結晶欠陥密度の低い高品質単結晶を成長させる技術、具体的には例えば適切な温度条件や原料ガスの供給比等の技術が確立されてきている(特許文献1、非特許文献2)。
このような状況の下、広い基板上に形成されているSiC結晶中に窒素等の不純物をドーピングする際に、高い精度で均一な濃度分布が得られる技術の開発が求められている(特許文献2)。
不純物のドーピングには、拡散法、イオン注入法、エピタキシャル成長を利用する方法が挙げられる。しかし、SiCの場合には、結晶中の不純物原子の拡散係数が小さいため拡散法は適当でない。また、イオン注入法も、イオン注入により生じる結晶欠陥の回復が困難であることや、不純物の活性化等を目的とした熱アニールにより結晶表面に荒れが発生することなどのため適当でない(非特許文献3)。
このため、SiCにおいては、エピタキシャル成長を利用する方法が用いられる。この方法は、例えばCVD法(化学気相成長法)により水素をキャリヤガスとして導かれてきたシランとプロパンを1300℃以上、通常は1500℃〜1600℃程度で反応させて炭化珪素基板上にSiCをエピタキシャル成長させながら、ドナーまたはアクセプタとなる不純物原子を含有する物質を原料ガス中に添加し、エピタキシャル成長しつつあるSiC結晶内に不純物原子をドーピングする方法である。
特開平11−162850号公報 特開平8−139048号公報
H.McD.Hobgood,et al.,Mater.Sci.Forum,vols.457−460(2004)p.3. T.Kimoto,et al.,Mater.Sci.Forum,vols.389−393(2002)p.165. M.A.Capano,J.Electron.Mater.,vol.28(1999)p.214
CVDにおけるエピタキシャル成長を利用して窒素をドーピングする際の窒素源としては、通常は可燃性、支燃性、毒性が無く使いやすい窒素ガス(N)が用いられている。しかし、窒素ガスは、窒素の3重結合のエネルギーが大きいため熱分解による熱分解反応過程の制御が難しく、このためドーピングに寄与する活性種として基板上に供給する際に分圧を基板面上で均一に分布するように制御することが難しい。
さらに、CVD法における炉の構造的特徴として、基板だけが加熱されるいわゆるコールドウォール型の成長炉を使用した場合には、ガスが基板の直上に来て始めて分解され始めるため、窒素ガスはもとより窒素化合物を含有するガスを用いた場合にも、基板面上で窒素のドーピング濃度の均一性を得ることが困難であった。
またコールドウォール型の成長炉の場合、基板温度を基板面全体に均一にすることが難しく、この点からも基板面上で窒素のドーピング濃度の均一性を得ることが困難であった。
このため、広い基板上にCVD法によりSiCのエピタキシャル成長をさせつつSiC結晶内に不純物原子をドーピングする際に、ドーピング濃度の面内分布の高い均一性が得られる技術の開発が望まれていた。
特に、エピタキシャル成長法により窒素をドーピングする技術の開発が望まれていた。
本発明は、以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、SiC結晶をエピタキシャル成長させ併せてその内部に窒素をドーピングする際に、窒素源の窒素化合物のガスを予備加熱することにより、予め熱分解させておくものである。
以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、
エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造方法であって、
窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱ステップを有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
本請求項の発明では、窒素源のガスを基板上に導入する前に、予備加熱ステップにて熱分解させておくため、エピタキシャル成長がなされつつある広い基板面内での窒素の分布が均一になり、その結果成長しつつあるSiC結晶内へドーピングされる窒素の濃度分布も均一になる。
また、本請求項の発明では、窒素をドーピングするガスとして窒素ガスではなく、窒素ガスよりも熱分解性に富んだ窒素化合物のガスを用いている。窒素ガスは、結合エネルギーの大きい3重結合を有するが、窒素化合物はこのような結合を含まないため、窒素ガスの場合に比べてより低温から熱分解が生じる。このため、基板上にガスが到達した時点で充分熱分解させておくことが容易にでき、基板面での濃度分布がより均一になる。
なおここで、「半導体」とは、通常は金属等の導電体と絶縁物との中間の電気抵抗を有する材料(セミコンダクター)という意味と前記材料としての半導体を使用して製造された電気素子(デバイス、例えばトランジスター)という意味があるが、本明細書では、「半導体素子」等と特に限定しないかぎり、いずれをも指す。即ち、いずれも本発明に含まれる。
請求項2に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造方法であって、
前記予備加熱ステップは、前記窒素化合物のガスを、1300℃以上の部屋内を流すステップであることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
本請求項の発明では、予備加熱ステップにて壁面が1300℃以上の部屋を流すため、ガスの流れに大きな乱れ等を発生させることなく窒素化合物を予め充分に熱分解できる。
ここに「部屋」とは、流れていくガスを加熱するための空間という意味であり、外部から加熱される細長い管、内部に伝熱コイルが設置された部屋、内壁面にフィン等が形成された広い空間等も含む。
なお、部屋の壁面の温度の上限は、部屋の長さが多少短くても確実な熱分解を行うためには1350℃以上が好ましく、また熱効率の面からは1600℃以下が好ましい。
請求項3に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造方法であって、
前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給するバブリング供給ステップを有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
本請求項の発明では、液体状の窒素化合物が満たされた容器の底部からキャリアガスを液面に泡立たせる、いわゆるバブリングによりキャリアガス内に窒素化合物を混入させる。このため、キャリアガス内に窒素化合物が適切な濃度で含まれることとなる。
請求項4に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造方法であって、
前記バブリング供給ステップは、バブリングさせる気体として水素ガス、不活性ガスのいずれかを使用するステップであることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
バブリングさせる気体として前記のガスを用いる場合、SiC結晶中への窒素以外の元素の意図しないドーピングを抑制することが可能である。水素ガスは水素ガス精製機を用いることにより高純度化が可能であり、またエピタキシャル成長における原料ガスの希釈用のキャリアガスでもあるため、バブリングさせる気体として容易に採用することができる。なお、不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。
請求項5に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造方法であって、
前記窒素化合物は、窒素、珪素、炭素、水素以外の原子を有していない化合物であることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
本請求項の発明では、製品の性能を悪化させる他の元素が炭化珪素の結晶に混入する恐れがなくなる。
請求項6に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造方法であって、
前記窒素化合物は、アンモニアまたはアンモニアとアンモニア以外の窒素化合物との混合物であることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
ドーパントとして使用するアンモニアは、窒素に比較して低い温度で熱分解するため、予備加熱が容易になる。またこの際、熱分解で生じる水素や水素ガスは、キャリアガスや原料ガスの希釈用のガスとして広く用いられているガスであり、炭化珪素のエピタキシャル成長に悪影響を及ぼさない。
なお、「アンモニア以外の窒素化合物」としては、メチルアミン等が挙げられる。
請求項7に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造方法であって、
前記炭化珪素の結晶が形成される基板は、炭化珪素であることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法である。
本請求項の発明では、炭化珪素の基板上にSiCの結晶を成長させつつ、SiCの結晶内に窒素をドーピングすることとなる。これにより、基板とエピタキシャル成長層の結晶構造を同一としながら、窒素をドーピングさせることが容易となる。
請求項8に記載の発明は、
エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造装置であって、
窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱装置を有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置である。
本請求項の発明は、製造方法の発明である請求項1の発明を、製造装置から捉えたものである。
なお、予備加熱装置は、エピタキシャル成長がなされる基板上にドーパントガス(窒素化合物のガス)が到着するまでにドーパントガスが充分に、かつ流れを乱すことなく熱分解しておればよく、このため反応容器と別体であるか、一体であるかを問わない。
請求項9に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造装置であって、
前記予備加熱装置は、内部を流れる前記窒素化合物のガスを熱分解させるために1300℃以上の部屋を有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置である。
本請求項の発明は、製造方法の発明である請求項2の発明を、製造装置から捉えたものである。なお、1300℃以上の部屋とは、内部を流れるガスを、その流れを乱すことなく充分に熱分解させる限り、部屋全体でなく部分的に1300℃であってもよい。
請求項10に記載の発明は、前記の炭化珪素半導体の製造装置であって、
前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給するバブリング供給装置を有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置である。
本請求項の発明では、製造方法の発明である請求項3の発明を、製造装置から捉えたものである。なお、窒素化合物、特にアンモニアやメチルアミンは常温では気体であるため、加圧して液化させる装置、冷却して液化させる装置等をも有することがある。
請求項11に記載の発明は、
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法により製造されたことを特徴とする炭化珪素半導体である。
本請求項の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法の発明を、それらの方法により製造された製品面から捉えたものである。SiC結晶をエピタキシャル成長させ併せてその内部に窒素をドーピングする際に、窒素化合物のガスを予め熱分解させておくことにより、広い基板上に面方向(2次元的)に均一に、そしてもちろん基板面に垂直な方向にも均一に窒素がドーピングされているため、優れた炭化珪素半導体、炭化珪素半導体素子、炭化珪素半導体を使用した電気、電子装置を得ることが可能となる。
なお、ドーピングされた窒素の濃度は、炭化珪素の成長速度や窒素化合物のガスの分圧等にもよるが、一般的には1×1015〜1×1017個/cm程度となる。
請求項12に記載の発明は、
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造装置により製造されたことを特徴とする炭化珪素半導体である。
請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造装置を用いて製造されているため、優れた炭化珪素半導体が得られる。
本発明によれば、SiCのエピタキシャル成長を利用して、広い基板面に対して均一な窒素のドーピングが可能になる。またこれにより、優れた炭化珪素半導体が得られる。
本発明の第1の実施の形態の製造装置の全体構成を示す図である。
以下、本発明をその実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の製造装置の全体構成を示す図である。本図において、10は原料供給設備である。20は、予備加熱装置である。30は、反応容器である。40は、排気ガス清浄化装置である。50は、制御装置である。70は、炭化珪素の結晶からなる基板である。また、矢印および矢印を含む実線はガスの流れあるいはガスの配管系統を示す。制御装置50と弁等に付した破線状の線分は、制御装置50と弁等が制御線で接続されていることを示す。
原料供給設備10は、アンモニアのボンベ11、水素ガスのボンベ12、シランのボンベ13、プロパンのボンベ14、その他圧力計、流量調整弁等を有している。また、水素ガスのボンベ12には、水素ガス精製機(図示せず)が取付けられている。そして、制御装置50による各弁の開閉の制御の下で、これらのボンベ11、12、13、14から所定の圧力、流量の各ガスを予備加熱装置20に送り出す。
予備加熱装置20は、原料供給設備10から送られてきたアンモニアガス、水素ガス、シランガス、プロパンガスを1300℃以上に加熱する。またこのため、その外周壁には加熱用のコイル21が巻かれ、さらにかなりの高温となるため、外周のみならず必要箇所には図示はしていないが断熱が施され、温度計等も装着されている。
そして、原料供給設備10から送られてきたアンモニアガスは、この加熱された予備加熱装置の壁の内面に接触して1300℃以上の温度で熱分解されることとなる。
反応容器30は、その内部に炭化珪素の結晶からなる基板70が所定の微傾斜をして設置可能な様になされており、この基板70の表面にSiCがエピタキシャル成長し、この際SiC結晶内に窒素がドーピングされる。またこのため、基板70表面をSiC結晶の成長温度である1600℃に保持するため、サセプタ31の外周に高周波電流を流すことによって誘導加熱させる誘導加熱用のコイル32が巻かれており、さらにサセプタ31の内部に石英管33を介して加熱体34が配置されている。これにより、反応容器30内へ導入されてきたガスはさらに加熱され、基板70表面では1600℃になっている。
なお、サセプタ31の外周面、石英管33の内外面等必要箇所には断熱が施され、温度計や圧力計等も装着されているのは、予備加熱装置20と同じである。
排気ガス清浄化装置40は、反応容器30から送られてくるガスを排気可能なように清浄化する装置である。またこのため、クーラー、各種の中和剤タンク、フィルター、排気ファン等を装備している。
制御装置50は、原料のシランガスとプロパンガス、キャリアガスの水素ガス、ドーパントのアンモニアガスを、所定の流量、圧力、温度で原料供給設備10から予備加熱装置20に導入し、予備加熱装置20から反応容器30へ導入し、反応容器30から排気ガス清浄化装置40へ導入し、さらに排気ガス清浄化装置40では排気可能とすることを制御する装置である。このため、前記各装置類に取付けられた各種のセンサ類(図示せず)からの信号を監視し、必要に応じて弁の開閉やコイルの電流を制御する。
なお、本実施の形態では、水素ガスは流量が5slm(standard litter per minute)であり、分圧は46663Paとし、シランの分圧は54Paであり、プロパンの分圧はC/Siが1.2となるようにした。
また、水素ガス内のアンモニアガスの濃度は、おおよそ1ppmであった。
また、予備加熱装置20内は1300℃以上に、反応容器30内の基板70表面は1600℃に制御した。
以上の条件下で、基板70上のSiC結晶のホモエピタキシャル成長速度はおおよそ5μm/hrであった。また、窒素のドーピング量は、おおよそ5×1015個/cmであった。
基板70は、口径2インチ(50.8mm)の4H−SiC製であり、基板面方位は(0001)Si面8°オフに微傾斜させた状態で、4H―SiCのホモエピタキシャル成長を行った。
ドーパントガスであるアンモニアは、基板70に到達した段階では、1300℃以上の予備加熱装置20内壁に接触して充分に熱分解されている。このため、基板面上に窒素が均一にドーピングされたSiC薄膜が得られた。特に、サセプタ31に対向して加熱体34を配置するホットウォール型の成長炉とされているため、熱の分布、ガスの流れとも安定している。このため、ガスの流れ方向およびガスの流れに垂直な方向のいずれにも、即ち基板面上どこをとってもより均一な濃度に窒素がドーピングされたSiC薄膜が得られた。
(面方向の均一性の検査)
以上の装置、方法で得られたSiC薄膜の不純物濃度の均一性の検査を、ショットキーダイオードのCV測定を用いて行った。具体的には、SiC結晶がエピタキシャル成長した炭化珪素の基板を用いて、直径が1mm、厚みが20nmの電極を当該基板に蒸着してショットキーダイオードを作製した。均一性を示す指標としては、標準偏差σを平均値mで除した値を用いた。
σ/mは、ガスの流れ方向では5%以内であり、ガスの流れに直交する方向では3%程度と非常に均一であり、再現性も充分満足させることができた。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態として、ドーパントとして、アンモニアに換えてメチルアミン(CHNH)を使用する外は第1の実施の形態と同じ条件で、エピタキシャル成長を利用したSiCへの窒素のドーピングを行い、また同じ方法で面内の均一性の検査を行った。
検査結果は、σ/mが、ガスの流れ方向では6%以内であり、ガスの流れに直交する方向では4%程度と非常に均一であり、再現性も充分満足させることができた。
(比較例1)
予備加熱装置20を使用しない他は第1の実施の形態と同じ条件で、エピタキシャル成長を利用したSiCへの窒素のドーピングを行い、また同じ方法で面内の均一性の検査を行った。
検査結果は、σ/mが、ガスの流れ方向では20%程度であり、ガスの流れに直交する方向では10%程度であった。
(比較例2)
ドーパントガスとして、アンモニアに換えて窒素ガス(N)を使用する外は第1の実施の形態と同じ条件で、エピタキシャル成長を利用したSiCへの窒素のドーピングを行い、また同じ方法で面内の均一性の検査を行った。
検査結果は、σ/mが、ガスの流れ方向では15%程度であり、ガスの流れに直交する方向では6%程度であった。
σ/mが高い理由は、窒素ガスは3重結合のエネルギーが大きいため予備加熱を行っても充分に熱分解せず、反応容器30内で徐々に熱分解することとなるため、特にガスの流れ方向に沿って熱分解した窒素の濃度が高くなり、ひいてはドーピングされる窒素の濃度も高くなったためと思われる。
なお、コールドウォール型の成長炉を用いて窒素ガスをドーパントとした場合の基板面内での窒素濃度の均一性は、窒素の分解が適切になされないため、ホットウォール型の成長炉を用いる場合よりも悪くなる。
10 原料供給設備
11 アンモニアのボンベ
12 水素ガスのボンベ
13 シランのボンベ
14 プロパンのボンベ
20 予備加熱装置
21 加熱用のコイル
30 反応容器
31 サセプタ
32 誘導加熱用のコイル
33 石英管
34 加熱体
40 排気ガス清浄化装置
50 制御装置
70 基板

Claims (12)

  1. エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造方法であって、
    窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱ステップを有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造方法。
  2. 前記予備加熱ステップは、前記窒素化合物のガスを、1300℃以上の部屋内を流すステップであることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素半導体の製造方法。
  3. 前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給するバブリング供給ステップを有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化珪素半導体の製造方法。
  4. 前記バブリング供給ステップは、バブリングさせる気体として水素ガス、不活性ガスのいずれかを使用するステップであることを特徴とする請求項3に記載の炭化珪素半導体の製造方法。
  5. 前記窒素化合物は、窒素、珪素、炭素、水素以外の原子を有していない化合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法。
  6. 前記窒素化合物は、アンモニアまたはアンモニアとアンモニア以外の窒素化合物との混合物であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法。
  7. 前記炭化珪素の結晶が形成される基板は、炭化珪素であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法。
  8. エピタキシャル成長を利用して炭化珪素の結晶を成長させつつその内部に窒素をドーピングする炭化珪素半導体の製造装置であって、
    窒素源として供給する窒素化合物のガスを炭化珪素の結晶が形成される基板上に導入する前に、予め熱分解させておくための予備加熱装置を有していることを特徴とする炭化珪素半導体の製造装置。
  9. 前記予備加熱装置は、内部を流れる前記窒素化合物のガスを熱分解させるために1300℃以上の部屋を有していることを特徴とする請求項8に記載の炭化珪素半導体の製造装置。
  10. 前記窒素化合物のガスを、該窒素化合物の液体内をバブリングした気体に含ませて供給するバブリング供給装置を有していることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の炭化珪素半導体の製造装置。
  11. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造方法により製造されたことを特徴とする炭化珪素半導体。
  12. 請求項8ないし請求項10のいずれかに記載の炭化珪素半導体の製造装置により製造されたことを特徴とする炭化珪素半導体。
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