JP2011044611A - 有機半導体トランジスタ - Google Patents

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Abstract

【課題】13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタを提供すること。
【解決手段】複数の電極と、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有する有機半導体層と、を備える有機半導体トランジスタ。一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。

Figure 2011044611

【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体トランジスタに関する。
薄膜トランジスタは、液晶表示素子等の表示用スイッチング素子として幅広く用いられている。従来、薄膜トランジスタは、アモルファスや多結晶のシリコンを用いて作製されている。
一方、近年有機EL(Electro-Luminescence)素子等に代表される有機半導体の研究が盛んに行なわれている。それとともに有機物をシリコン材料に代えて軽量、柔軟性の特徴を生かして回路に組み込もうとする研究が報告されるようになってきた。
このような薄膜トランジスタに用いる有機物としては、低分子化合物又は高分子化合物が用いられる。低分子化合物としては、ペンタセン、テトラセン等のポリアセン化合物(例えば、特許文献1〜3参照。)、銅フタロシアニン等のフタロシアニン化合物(例えば、特許文献4、5参照。)が提案されている。
また、高分子化合物としては、セクシチオフェン等の芳香族オリゴマー(例えば、特許文献6参照)、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)等の高分子化合物(例えば、特許文献7〜10及び非特許文献1参照。)が提案されている。
特開平5−55568号公報 特開平10−270712号公報 特開2001−94107号公報 特開平5−190877号公報 特開2000−174277号公報 特開平8−264805号公報 特開平8−228034号公報 特開平8−228035号公報 特開平10−125924号公報 特開平10−190001号公報
Appl.Phys.Lett., 73,108(1998)
本発明の課題は、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタを提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
複数の電極と、
下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有する有機半導体層と、
を備える有機半導体トランジスタである。
Figure 2011044611
一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
請求項2に係る発明は、
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物である請求項1に記載の有機半導体トランジスタである。
Figure 2011044611
一般式(III)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリール基、又は置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリールオキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
請求項3に係る発明は、
前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1に記載の有機半導体トランジスタである。
Figure 2011044611
一般式(II)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
請求項4に係る発明は、
前記Rが未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルキル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機半導体トランジスタである。
請求項5に係る発明は、
前記複数の電極が、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極であり、
更に絶縁層を備え、
前記ゲート電極は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方から離間して設けられ、
前記有機半導体層は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方に接して設けられ、
前記絶縁層は、前記有機半導体層と前記ゲート電極とに挟まれて設けられ、
かつ電界効果型である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機半導体トランジスタである。
請求項6に係る発明は、
前記複数の電極が、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極であり、
前記ゲート電極は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方から離間して設けられ、
前記有機半導体層は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方に接して設けられ、
かつ静電誘導型である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機半導体トランジスタである。
請求項1に係る発明によれば、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタが提供される。
請求項2に係る発明によれば、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタが提供される。
請求項3に係る発明によれば、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタが提供される。
請求項4に係る発明によれば、一般式(I)のRが未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルキル基でない化合物に比べ、より電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタが提供される。
請求項5に係る発明によれば、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタが提供される。
請求項6に係る発明によれば、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンに比べ、電荷移動度の低下が少ない有機半導体トランジスタが提供される。
本実施形態の有機半導体トランジスタの層構成の一例を示した概略構成図である。 他の実施形態の有機半導体トランジスタの層構成の一例を示した概略構成図である。 他の実施形態の有機半導体トランジスタの層構成の一例を示した概略構成図である。 他の実施形態の有機半導体トランジスタの層構成の一例を示した概略構成図である。
本実施形態の有機半導体トランジスタは、複数の電極と、下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有する有機半導体層と、を備える。まず、一般式(I)で表される化合物について説明し、次いで、本実施形態の有機半導体トランジスタについて説明する。
<一般式(I)で表される化合物>
Figure 2011044611
一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
一般式(I)で表される含窒素複素環化合物を有機半導体層に含有してなる有機半導体トランジスタは、製造容易で、電荷輸送能及び成膜性に優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記一般式(I)におけるRは具体的には、下記の基が挙げられる。
一般式(I)において、Rで表されるアルキル基は、炭素数が1以上20以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルキル基の炭素数は、1以上12以下であることがより好ましく、4以上8以下であることが更に好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点からは直鎖アルキル基であることが好ましい。
で表されるアルキル基は置換基を有していてもよいが、正孔輸送能を有し且つ溶解性を高める観点からは、未置換アルキル基であることが好適である。
一般式(I)において、Rで表されるアルコキシ基は、炭素数が1以上20以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、1以上12以下であることがより好ましく、4以上8以下であることが更に好ましい。
で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点から、直鎖アルコキシ基であることが好ましい。
で表されるアルコキシ基は、置換基を有していてもよいが、未置換アルコキシ基であることが、溶解性、結晶性、正孔輸送性等の観点から好適である。
これらのなかでも、一般式(I)におけるRは、水素原子、未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基であることが好ましく、未置換の炭素数1以上12以下のアルキル基又は未置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基であることがより好ましく、未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルキル基又は未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルコキシ基であることが更に好ましく、未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルキル基であることが更に好ましい。
一般式(I)で表される化合物では電荷移動度の低下が抑えられ、更に、一般式(I)におけるRがアルキル基の場合には、電荷移動により有利になると考えられる。また、一般式(I)におけるRがアルコキシ基の場合には、イオン化ポテンシャルが下がり、電極からの電荷注入が向上すると考えられる。
一般式(I)におけるRの置換位置は、ベンゼン環上、チオフェン環(1位)に対して、3位又は4位であることが正孔輸送能の観点で好ましく、4位であることが分子の配向性が向上し電荷移動度の低下が抑えられる観点からより好ましい。
一般式(I)において、nは1以上3以下の整数を表し、1又は2であることが好ましい。
一般式(I)において、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表す。Aによって形成される芳香族複素六員環は、トリアジン、トリアジン誘導体、ピラジン、又はピラジン誘導体であることが、電荷輸送能の発揮の観点から好適である。
したがって、一般式(I)で表される化合物は、特に下記一般式(II)で表されるピラジン誘導体及び下記一般式(III)で表されるトリアジン誘導体の少なくとも1種であることが好ましい。
Figure 2011044611
一般式(II)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、nは各々独立に、1〜3の整数を表す。
一般式(II)におけるR及びnは、一般式(I)におけるR及びnとそれぞれ同義であり、好適な範囲も同様である。
一般式(II)で表されるピラジン誘導体は、ピラジン環の2位と6位にチオフェン基が導入されている。このような構造の一般式(II)で表されるピラジン誘導体は、有機溶媒に対する溶解性に優れ、成膜性が向上する。そのなかでもRが炭素数1以上12以下のアルキル基の場合には有機溶媒に対する溶解性が更に優れ、また未置換のアルキル基の場合には正孔輸送材料として好適である。
また、ピラジン環の2位と6位にチオフェン基が導入された一般式(II)で表されるピラジン誘導体は、薄膜化したときの分子配向性の点でも優れている。
一般式(III)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリール基、又は置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリールオキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。
一般式(III)におけるR及びnは、一般式(I)におけるR及びnとそれぞれ同義であり、好適な範囲も同様である。
一般式(III)において、Rで表されるアルキル基は、炭素数が1以上10以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルキル基の炭素数は、1以上4以下であることがより好ましい。
で表されるアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点からは直鎖アルキル基であることが好ましい。
で表されるアルキル基は、置換基を有していてもよいが、未置換アルキル基であることが有機溶媒への溶解性の観点から好適である。
一般式(III)において、Rで表されるアルコキシ基は、炭素数が1以上20以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアルコキシ基の炭素数は、炭素数が1以上10以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、メトキシ基が更に好ましい。
で表されるアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、有機溶媒への溶解性の観点からは直鎖アルコキシ基であることが好ましい。
で表されるアルコキシ基は、置換基を有していてもよいが、未置換アルコキシ基であることが有機溶媒への溶解性の観点から好適である。
一般式(III)において、Rで表されるアリール基は、炭素数が6以上10以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアリール基は、フェニル基であることがより好ましい。
で表されるアリール基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられ、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましい。
一般式(III)において、Rで表されるアリールオキシ基は、炭素数が6以上10以下である。有機溶媒への溶解性の観点から、Rで表されるアリールオキシ基は、フェノキシ基であることがより好ましい。
で表されるアリールオキシ基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子などが挙げられ、炭素数1以上10以下のアルキル基が好ましい。
これらのなかでも、一般式(III)におけるRは、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基であることが好ましく、未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基であることがより好ましく、未置換の炭素数1以上10以下のアルコキシ基であることが更に好ましく、未置換の炭素数1以上4以下の直鎖アルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基であることが更に好ましい。
一般式(III)で表されるトリアジン誘導体は、トリアジン環の2位と6位にチオフェン基が導入されている。このような構造の一般式(III)で表される化合物は、トリアジン環の2位、4位、6位にチオフェン基が導入された化合物に比べて、有機溶媒に対する溶解性に優れ、塗布法などによる電子部材の製造において有益である。
一般式(III)で表されるトリアジン誘導体のなかでも、Rが炭素数1以上12以下のアルキル基の場合には、更に有機溶媒に対する溶解性に優れる。
また、一般式(III)で表されるトリアジン誘導体は、チオフェン環にフェニル基が置換している。このような構造とすることで、正孔輸送性に優れる。
一般式(I)で表される含窒素複素環化合物の具体例として、一般式(II)で表されるピラジン誘導体の具体例を下記表1に、一般式(III)で示されるトリアジジン誘導体の具体例を下記表2示す。なお、本発明は下記具体例に限定されない。
Figure 2011044611
Figure 2011044611
<有機半導体トランジスタ>
本実施形態の有機半導体トランジスタは、複数の電極と、前記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有する有機半導体層と、を備える。この構成に該当するものであれば、その他の構成は特に限定されない。
以下、図を参照しつつ、より詳細に説明するが、これに限定されない。
図1、図2、図3及び図4は、本実施形態の有機半導体トランジスタの一例の構成を説明する断面図である。ここで、図1、図2及び図3は、電界効果型(Field Effect Transistor)の有機半導体トランジスタについて示したものである。また、図4は、静電誘導型(Static Induction Transitor)の有機半導体トランジスタについて示したものである。
図1、図2及び図3に示す電界効果型の有機半導体トランジスタは、離間して設けられたソース電極2及びドレイン電極3と、ソース電極2及びドレイン電極3の双方に接する有機半導体層4と、ソース電極2及びドレイン電極3の双方から離間したゲート電極5と、有機半導体層4とゲート電極5とに挟まれて設けた絶縁層6と、を備える。
電界効果型の有機半導体トランジスタは、現在広く用いられているトランジスタの一形態であり、高速なスイッチング動作、製造方法の簡易性、高集積化への適性、が利点として挙げられる。
図1、図2及び図3に示す電界効果型の有機半導体トランジスタは、ゲート電極5に印加される電圧によってソース電極2からドレイン電極3に流れる電流を制御する。
図1に示す有機半導体トランジスタは、基板1上にゲート電極5を備え、ゲート電極5の上に更に絶縁層6を備える。絶縁層6上には、離間して形成したソース電極2とドレイン電極3とを備える。ソース電極2及びドレイン電極3から露出する絶縁層6は、有機半導体層4で覆われる。
図2に示す有機半導体トランジスタは、絶縁層6上にソース電極2又はドレイン電極3のどちらか一方が形成され、絶縁層6上に形成されたソース電極2又はドレイン電極3及び絶縁層6を覆うように有機半導体層4が形成され、有機半導体層4を挟むようにして、形成されていないソース電極2又はドレイン電極3のいずれか一方が有機半導体層4上に形成される。
図3に示す有機半導体トランジスタは、絶縁層6の上に有機半導体層4が形成され、有機半導体層上にソース電極2及びドレイン電極3が離間して形成される。
図4に示す静電誘導型のトランジスタ(Static Induction Transitor)は、対向して設けられたソース電極2及びドレイン電極3と、ソース電極2およびドレイン電極3の双方に接する有機半導体層4と、ソース電極2及びドレイン電極3の双方から離間したゲート電極5と、を有している。すなわち、基板1上にソース電極2と有機半導体層4とドレイン電極3とをこの順に有し、有機半導体層4内に複数のゲート電極5を有している。ゲート電極5は、紙面の手前から奥への方向に、ソース電極2及びドレイン電極3の双方と平行になるように配置され、各々のゲート電極5同士も相互に平行となるように設けられている。
図1、図2、図3及び図4に示す有機半導体トランジスタ素子においては、ゲート電極5に印加される電圧によってソース電極2からドレイン電極3に流れる電流が制御される。
各電極に用いられる材料としては、効率よく電荷注入するための材料であり、金属、金属酸化物、導電性高分子、炭素およびグラファイト等が使用される。
電極に用いる金属としてはマグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、白金、クロム、タンタル、インジウム、パラジウム、リチウム、カルシウムおよびこれらの合金が挙げられる。金属酸化物としては、酸化リチウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化スズインジウム(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、亜鉛酸化スズインジウム、酸化スズ(NESA)等の金属酸化膜が挙げられる。
電極に用いる導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール、ポリピリジン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等があげられる。
なお、本実施の形態において、導電性とは、体積抵抗率が10Ωcm以下の範囲であることを意味する。一方、絶縁性とは、体積抵抗率が1014Ωcm以上の範囲であることを意味する。半導体とは、体積抵抗率が10Ωcmを超えて1014Ωcm未満の範囲であるものを意味する。
また、体積抵抗率の測定は、JIS−K−6911(1995)に準じて、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極の外径Φ16mm、リング状電極部の内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧100V印加し、印加後5sec後の電流値をアドバンテスト製、微小電流計R8340Aを用いることにより測定し、その電流値により、体積抵抗から、体積抵抗率を求める。
ドレイン電極3およびソース電極2に用いる材料のイオン化ポテンシャルと、有機半導体層4に用いる一般式(I)で表される化合物のイオン化ポテンシャルの差は、電荷注入特性の観点から、1.0eV以内であることが好ましく、特に0.5ev以内であることがさらに好ましい。
これら電極と一般式(I)で表される化合物のイオン化ポテンシャルの差を考慮すると、電極材料としては、Auを用いることが好ましい。
なお、導電性を有する基板を用いた場合、例えば、高濃度にドープされたシリコン基板は、その基板をゲート電極として兼ねてもよい。
電極の形成方法としては、上記原料を蒸着法やスパッタ等の方法によって薄膜を形成し、この薄膜を公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法によって成形する方法、アルミニウムなどを熱転写する方法、インクジット等によりレジスト層を形成し、このレジスト層をエッチングする方法がある。また導電性高分子を溶媒に溶解し、この溶液をインクジット等によりパターニングしてもよい。
ソース電極2及びドレイン電極3の膜厚としては、特に限定するものではないが、一般に数nm以上数百μm以下の範囲であることが好ましく、より好適には1nm以上100μm以下であり、さらに好適には10nm以上10μm以下である。
ソース電極2からドレイン電極3までの距離(チャンネル長)は、一般には数百nm以上数mm以下の範囲が好ましく、さらに好適には1μm以上1mm以下である。
絶縁層6としては、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム等の無機物、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂等の有機絶縁高分子等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
無機物の絶縁層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギービーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセス、さらには、スプレー塗布法、スピン塗布法、ブレード塗布法、浸漬塗布法、キャスト法、ロール塗布法、バー塗布法、ダイ塗布法、エアーナイフ法、インクジェット法などの塗布方法のウェットプロセスが挙げられ、使用する材料および素子の特性に応じて選択して採用される。
有機絶縁高分子を用いた絶縁層の形成方法は、上記ウェットプロセスを用いることが好ましい。
絶縁層6の膜厚としては、特に限定するものではないが、一般に数nm以上数百μm以下の範囲であることが好ましく、より好適には、1nm以上100μm以下であり、さらに好適には10nm以上10μm以下である。
また、絶縁層6の有機半導体層4と接する界面は、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン等のシラン化合物で処理されてもよく、有機絶縁層の場合は、ラビング処理されていてもよい。
基板1としては、リン等を高濃度にドープしたシリコン単結晶やガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリススチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレンブタジエン共重合体、塩化ビニルデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂等のプラスチック基板等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
特に、電子ペーパーまたはデジタルペーパーや携帯電子機器に用いられる電子回路に本実施形態の有機半導体トランジスタを用いる場合、基板1としては、可撓性がある基板を用いることが望ましい。特に曲げ弾性率が1000MPa以上である基板を用いることにより可撓性がある表示素子の駆動回路や電子回路が作製される。
有機半導体層4を形成する方法としては、スピン塗布法、キャステング法、浸漬塗布法、ダイ塗布法、ロール塗布法、バー塗布法、インクジェット法など、ウェットプロセスによる各印刷手法が用いられる。
上述の通り、一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物は、有機溶媒に対して優れた溶解性を示すため、これらを溶解した溶液を用いて有機半導体層4を形成するウェットプロセスは、一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物を含有する有機半導体の形成方法として好適である。
塗布液の溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサンノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、工面などの炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、グルタロジニトリル、ベンソニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルスルフォキサイド、スルフォラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられるが、これに限定するものではない。また、これら溶媒を単独でも複数種併用してもよい。
有機半導体層4の膜厚としては、特に限定するものではないが、一般に数nm以上数百μm以下の範囲が好ましく、より好適には1nm以上100μm以下であり、さらに好適には5nm以上10μm以下である。
また、有機半導体層4はドーピング処理されてもよい。なお、ドーパトントとしてドナー性ドーパント、アクセプター性ドーパントのいずれも使用され得る。
ドナー性ドーパントとしては、有機半導体層4の有機化合物に電子を供与する機能を有する化合物であれば好ましく用いられる。ドナー性ドーパントとしては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等のアルカリ金属、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属、Y、La、Ce、Pr,Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Ybなどの希土類金属、アンモニウムイオンなどが挙げられる。
アクセプター性ドーパントとしては、有機半導体層4の有機化合物に電子を取り去る機能を有する化合物であれば好ましく用いられる。アクセプター性ドーパントとしては、例えば、Cl、Br、I、ICl、ICl、IBrなどのハロゲン化合物、PF、AsF、SbF、BF、SOなどのルイス酸、HF、HCl、HNO、HSOなどのプロトン酸、酢酸、ギ酸、アミノ酸などの有機酸、FeCl、TiCl、HfClなどの遷移金属化合物、Cl、Br、I、ClO−、スルホン酸アニオンなどの電解質アニオン、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、11,11,12,12−テトラシアノナフト−2,6−キノジメタン、2,5−ジフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、テトラフルオロテトラシアノキノジメタンなども有機化合物などが挙げられる。
さらに水分や酸素による有機半導体トランジスタの劣化を防ぐために保護層を設けてもよい。具体的な保護層の材料としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al等の金属、MgO、SiO、TiO等の金属酸化物、ポリエチレン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂が挙げられる、保護層の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法、CVD法、コーティング法が適用される。
本実施形態の有機半導体トランジスタは、一般式(I)で表される化合物を有機半導体層に用いる。この一般式(I)で表される化合物は、電子デバイスの作製で一般に用いられる有機溶媒に対して優れた溶解性を示す。よって、一般式(I)で表される化合物を有機半導体層に適用すると、ウェットプロセスによる有機半導体層の製造を可能とする。これにより、スパッタリングなどの層形成方法に比べて安価な装置で有機半導体層が形成され、またデバイスの大面積化も容易となる。
更に、一般式(I)を含む有機半導体層は、電荷輸送能に優れ、電荷移動度の低下が抑えられる有機半導体トランジスタが提供される。
なお、本実施形態の有機半導体トランジスタを用いた電子デバイスを作製する場合には、基板上に、1個以上の本実施形態の有機半導体トランジスタを搭載した構成(半導体装置)として利用することができ、この半導体装置に、さらに他の素子や回路等を組み合わせることにより所望の電子デバイスが作製される。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、目的物の同定には、H−NMRスペクトル(H−NMR、溶媒:CDCl、VARIAN株式会社製、UNITY−300、300MHz)と、IRスペクトル(KBr錠剤法にてフーリェ変換赤外分光光度計(株式会社 堀場製作所、FT−730、分解能4cm−1))を用いた。
[合成例1]
(化合物(II−6)の合成)
2,6−ジクロロピラジン(東京化成工業(株)製)4.0g(27mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)7.5g(59mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(以下、Pd(PPhと記載する場合がある)(東京化成工業(株)製)0.43g(0.37mmol)をテトラヒドロフラン150mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)14.5gを水60mlに溶解した溶液を加え、窒素気流下、60℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水500ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により不純物を除去、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(2’−チエニル)ピラジン3.3g(理論収量の50%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,6−ビス(2’−チエニル)ピラジン3.0g(12mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド80mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(以下NBSと記載する場合がある)(和光純薬工業(株)製)5.5g(31mmol)を加え、窒素気流下、80℃で5時間攪拌した。
放冷後、混合物を水500ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(5’−ブロモ−2’−チエニル)ピラジン2.45g(理論収量の49%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,6−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)ピラジン0.52g(1.3mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(和光純薬工業(株)製)0.51g(2.9mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.017g(0.015mmol)をN−メチルピロリドン25mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.80g(6.8mmol)を水5mlに溶解した溶液を加え、6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、化合物(II−6)0.45g(理論収量の69%)を得た。
得られた化合物(II−6)の融点は、152℃〜152.5℃であった。
また、得られた化合物(II−6)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
Figure 2011044611
[合成例2]
(化合物(II−11)の合成)
化合物(II−6)と同様にして得られた2,6−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)ピラジン3.8g(9.4mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)2.7g(21mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.18g(0.16mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド200mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)5.7g(48mmol)を水30mlに溶解した溶液を加え、90〜100℃で4時間攪拌した。
放冷後、混合物を水700ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(2' ,2''−ビチエニル)ピラジン1.8g(理論収量の47%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,6−ビス(2',2''−ビチオフェン−5'−イル)ピラジン1.36g(12mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド80mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)1.33g(31mmol)を加え、窒素気流下、70℃で5時間攪拌した。放冷後、混合物を水500ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,6−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)ピラジン1.43g(理論収量の76%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,6−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)ピラジン1.0g(0.18mmol)、4−n−オクチルベンゼンボロン酸(東京化成工業(株)製)1.0g(0.44mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.076g(0.066mmol)をN−メチルピロリドン200mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)1.4g(1.2mmol)を水5mlに溶解した溶液を加え、窒素気流中、100℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水800ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエンより再結晶して、化合物(II−11)0.23g(理論収量の16%)を得た。得られた化合物(II−11)の融点は、197.5℃〜199℃であった。
得られた化合物(II−11)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
Figure 2011044611
[合成例3]
(化合物(III−7)の合成)
2,4−ジクロロ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン(シグマ‐アルドリッチ社製)4.0g(22mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)6.2g(48mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.10g(0.09mmol)をテトラヒドロフラン160mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)12.3gを水50mlに溶解した溶液を加え、窒素気流下、60℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水800ml中に注ぎ、油溶分を酢酸エチルで抽出した。これを減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により不純物を除去し、更にトルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン4.55g(理論収量の74%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,4−ビス(2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン4.0g(9.6mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド50mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)6.2g(35mmol)を加え、窒素気流下、80℃で5時間攪拌した。
放冷後、混合物を水800ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン2.45g(理論収量の49%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,4−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン1.03g(1.3mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(和光純薬工業(株)製)1.0g、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.021g(0.018mmol)をN−メチルピロリドン60mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.0g(6.8mmol)を水15mlに溶解した溶液を加え、窒素気流中、90℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、化合物(III−7)0.80g(理論収量の62%)を得た。得られた化合物(III−7)の融点は、140℃〜141℃であった。
得られた化合物(III−7)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
Figure 2011044611
[合成例4]
(化合物(III−11)の合成)
化合物(III−7)で得られた2,4−ビス(5'−ブロモ−2'−チエニル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン1.1g(2.6mmol)、2−チオフェンボロン酸(東京化成工業(株)製)1.0g(8.0mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.04g(0.035mmol)をN−メチルピロリドン40mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)3.0g(6.8mmol)を水15mlに溶解した溶液を加え、窒素気流中、80℃で4時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.78g(理論収量の71%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,4−ビス(2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.76g(1.8mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド35mlに溶解し、N−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業(株)製)0.68g(3.8mmol)を加え、窒素気流下、70℃で3時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、2,4−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.71g(理論収量の68%)を得た。
Figure 2011044611
上記で得られた2,4−ビス(5''−ブロモ−2',2''−ビチオフェン−5'−イル)−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン0.65g(1.1mmol)、4−n−ブチルベンゼンボロン酸(和光純薬工業(株)製)0.45g(2.5mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.014g(0.012mmol)をN−メチルピロリドン80mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.61g(5.2mmol)を水4mlに溶解した溶液を加え、90℃で6時間攪拌した。
放冷後、混合物を500ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄し、減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエンより再結晶して、化合物(III−11)0.22g(理論収量の30%)を得た。得られた化合物(III−11)の融点は、171℃〜173℃であった。
得られた化合物(III−11)は、赤外吸収スペクトル測定、H−NMRスペクトルにて同定した。
Figure 2011044611
[合成例5]
(化合物(II−17)の合成)
化合物(II−6)で得られた2,6−ビス(5’−ブロモ−2’−チエニル)ピラジン0.52g(1.3mmol)、4−エトキシフェニルボロン酸(Aldrich製)0.48g(2.9mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(東京化成工業(株)製)0.017g(0.015mmol)をN−メチルピロリドン25mlに溶解し、炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)0.80g(6.8mmol)を水5mlに溶解した溶液を加え、8時間攪拌した。
放冷後、混合物を水400ml中に注ぎ、析出した沈殿物を濾取、水で洗浄した。これを減圧乾燥後、トルエンに溶解して、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製し、トルエン/メタノール混合溶媒より再結晶して、化合物(II−17)0.38g(理論収量の60%)を得た。
得られた化合物(II−17)の融点は、165℃〜167℃であった。
また、得られた化合物(II−17)は、赤外吸収測定、H−NMRにて同定した。
Figure 2011044611
[実施例1]
電気抵抗率0.007Ω・cmのシリコン基板をゲート電極として兼ね、その上に、厚さ200nmの熱SiO膜を形成し絶縁膜とした。
次に、電子工業用アセトン中で5分間超音波洗浄、電子工業用2−プロパノール中で5分間超音波洗浄し、乾燥窒素で乾燥させた後、UV−オゾン照射を15分間行い、洗浄した。その後、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン(Aldrich製)に1時間浸漬させた後、電子工業トルエンで2分間超音波洗浄し、乾燥窒素で乾燥させた。
電子工業用トルエンに、化合物(II−6)を0.6質量%で溶解させ、この溶液を上記洗浄したシリコン基上にスピンコート法(2000rpmで20秒)で塗布し、自然乾燥した後、窒素雰囲気下、100℃で1分間加熱し有機半導体層を形成した。
その上にメタルマスクを用い、真空蒸着(真空度;2×10−4Pa)にて、Auを60nmの厚さで蒸着してソース電極およびドレイン電極を形成し有機半導体トランジスタを作製した。チャンネル幅は1.5mm、チャンネル長は50μmとした。
以上のように作製した有機半導体トランジスタは、p型トランジスタとして特性を示した。
<電荷移動度の測定>
得られた有機半導体トランジスタは、電流−電圧特性の飽和領域から電荷移動度を求めた。更に、25℃で保存し、1ヶ月経過後に再度、トランジスタ特性を評価し、電荷移動度を評価した。結果を表3に示す。
[実施例2〜5]
実施例1において、有機半導体層の形成する際、化合物(II−6)の代わりに、化合物(II−11)、(III−7)、(III−11)、又は(II−17)を使用した以外は実施例1と同様にして有機半導体トランジスタを作製した。得られた有機半導体トランジスタを実施例1と同様の方法で評価した。
[比較例1,2]
実施例1において化合物(II−6)の代わりに、13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセン(Aldrich社製)を用い、加熱温度を160℃とした以外は実施例1と同様に操作して有機半導体トランジスタを作製し、比較例1とした。
また、比較例1において用いた13,6−N−サルフィニルアセトアミドペンタセンの代わりにポリ(3−ヘキシルチオフェン)(Aldrich社製)を用い、溶媒をクロロホルムに代えた以外は比較例1と同様に操作し、有機半導体トランジスタを作製し、比較例2とした。
比較例1及び2の有機半導体トランジスタは、実施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表3に示す。
Figure 2011044611
上記表3から、実施例1〜5の有機半導体トランジスタは、比較例1及び2の有機半導体トランジスタに比べて、作製直後における電荷移動度が大きく、また作製1ヵ月後においても安定した電荷移動度を示すことがわかる。
1 基板
2 ソース電極
3 ドレイン電極
4 有機半導体層
5 ゲート電極
6 絶縁層

Claims (6)

  1. 複数の電極と、
    下記一般式(I)で表される化合物を少なくとも1種含有する有機半導体層と、
    を備える有機半導体トランジスタ。
    Figure 2011044611


    〔一般式(I)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Aは芳香族複素六員環を形成するための少なくとも1個の窒素原子を含む複素環残基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。〕
  2. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(III)で表される化合物である請求項1に記載の有機半導体トランジスタ。
    Figure 2011044611

    〔一般式(III)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、Rは水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上10以下のアルキル基、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリール基、又は置換若しくは未置換の炭素数6以上10以下のアリールオキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。〕
  3. 前記一般式(I)で表される化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である請求項1に記載の有機半導体トランジスタ。
    Figure 2011044611

    〔一般式(II)中、Rは、水素原子、置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の炭素数1以上20以下のアルコキシ基を表し、nは1以上3以下の整数を表す。〕
  4. 前記Rが未置換の炭素数4以上8以下の直鎖アルキル基である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機半導体トランジスタ。
  5. 前記複数の電極が、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極であり、
    更に絶縁層を備え、
    前記ゲート電極は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方から離間して設けられ、
    前記有機半導体層は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方に接して設けられ、
    前記絶縁層は、前記有機半導体層と前記ゲート電極とに挟まれて設けられ、
    かつ電界効果型である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機半導体トランジスタ。
  6. 前記複数の電極が、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極であり、
    前記ゲート電極は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方から離間して設けられ、
    前記有機半導体層は、前記ソース電極及びドレイン電極の双方に接して設けられ、
    かつ静電誘導型である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機半導体トランジスタ。
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