JP2011044556A - プログラマブルアクチュエータ及びそのプログラミング方法 - Google Patents

プログラマブルアクチュエータ及びそのプログラミング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プログラム機能を有する静電型MEMSアクチュエータを実現する。
【解決手段】本発明の例に係るプログラマブルアクチュエータは、第1駆動電極3Aを含む可動部1と、第1駆動電極3Aに対向し、第1及び第2部分5a,5bから構成される第2駆動電極3Bと、第2駆動電極3Bの第1部分5aと第1駆動電極3Aとの間に第1電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させない状態で可動部1を複数回動作可能にする第1駆動回路6aと、第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとの間に第2電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させた状態で可動部1を固定可能にする第2駆動回路6bとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、プログラマブルアクチュエータ及びそのプログラミング方法に関する。
MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)アクチュエータは、可変容量素子、スイッチ素子などに使用される。この場合、MEMSアクチュエータには、出荷後に、可動部(moving part)の安定した繰り返し動作が要求される。
これに対し、MEMSアクチュエータを、出荷前の容量値や抵抗値などのトリミングに使用する用途も検討されている。この場合、MEMSアクチュエータには、可動部の安定した繰り返し動作と、容量値や抵抗値などを記憶する機能とが要求される。
以下、容量値をトリミングするトリマーコンデンサについて説明する。
トリマーコンデンサは、水晶発振器やキーレスエントリーシステムなどにおいて、出荷前に出力周波数を規定の範囲内に収めるために使用される。
トリマーコンデンサの第一例は、半円状の電極を駆動回路などで回転させることにより容量値を可変かつ記憶する(例えば、特許文献1を参照)。しかし、このタイプは、サイズが大きく、かつ、振動や熱などにより容量値が変化し易い。
トリマーコンデンサの第二例は、レーザーにより電極の一部を除去することにより容量値を可変かつ記憶する(例えば、特許文献2を参照)。これは、レーザートリマブルコンデンサと呼ばれる。しかし、このタイプは、レーザー光源を含む大掛かりなシステムが必要になる。また、レーザーによる電極の除去は、不可逆工程であるため、電極を削り過ぎたときは二度と元の容量値に戻せない。
このような状況の下、静電力により可動部を駆動する静電型MEMSアクチュエータ(例えば、非特許文献1を参照)を出荷前の容量値や抵抗値などのトリミングに使用することが検討されている。
この場合、静電型MEMSアクチュエータには、静電力(引力/斥力)による可動部の安定した繰り返し動作と共に、その後、静電力により可動部を所定の位置に動かすことにより容量値を記憶する、という機能が要求される。
しかし、静電力により可動部を所定の位置に動かし、その位置を維持するためには、静電力を与え続けなければならない。
そこで、静電力を用いずに、その状態(例えば、容量値、スイッチのオン/オフなど)を記憶できるプログラム機能を有する静電型MEMSアクチュエータの開発が望まれている。
特開2001−185450号公報 特開平10−83936号公報
High-Power High-Reliability High-Q Switched RF MEMS Capacitors, Grichener.A, Merrier.D and Rebeiz.G.M., 2006 IEEE MTT-S International Microwave Symposium Digest, pp31-34
本発明は、プログラム機能を有する静電型MEMSアクチュエータを提案する。
(1) 本発明の例に係るプログラマブルアクチュエータは、第1駆動電極を含む可動部と、前記第1駆動電極に対向し、第1及び第2部分から構成される第2駆動電極と、前記第2駆動電極の前記第1部分と前記第1駆動電極との間に第1電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させない状態で前記可動部を複数回動作可能にする第1駆動回路と、前記第2駆動電極の前記第2部分と前記第1駆動電極との間に第2電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させた状態で前記可動部を固定可能にする第2駆動回路とを備える。
本発明の例に係わるプログラミング方法は、前記第2駆動電極の前記第2部分と前記第1駆動電極とを電気的に接触させた状態で両電極の間に電流を流し、前記第2駆動電極の前記第2部分と前記第1駆動電極とを電気的に接触させた状態で前記可動部を固定する。
(2) 本発明の例に係るプログラマブルアクチュエータは、第1駆動電極を含む可動部と、前記第1駆動電極に対向する第2駆動電極と、前記第2駆動電極の前記第1駆動電極側の面上に部分的に配置される絶縁層と、前記第1及び第2駆動電極間に第1電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させない状態で前記可動部を複数回動作可能にし、前記第1及び第2駆動電極間に前記第1電位差よりも大きい第2電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させた状態で前記可動部を固定可能にする駆動回路とを備える。
本発明によれば、プログラム機能を有する静電型MEMSアクチュエータを実現できる。
基本構成を示す図。 プログラミング方法を示す図。 第1実施形態を示す平面図。 図3のIV−IV線に沿う断面図。 図3のV−V線に沿う断面図。 下部駆動電極を示す図。 下部駆動電極を示す図。 通常動作を示す図。 プログラミング動作を示す図。 第2実施形態を示す図。 容量バンクを示す図。 バンクのバイアス関係を示す図。 共通化されたバイアス線を示す図。 第3実施形態を示す図。 通常動作を示す図。 プログラミング動作を示す図。 第4実施形態を示す図。 下部駆動電極を示す図。 下部駆動電極を示す図。 通常動作を示す図。 プログラミング動作を示す図。 第5実施形態を示す図。 プログラマブルインダクタを示す図。 プログラマブルレジスタを示す図。 第6実施形態を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の例を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
1. 基本構成
本発明は、例えば、出荷前に容量値や抵抗値などのトリミングを行うために、プログラム機能を有する静電型MEMSアクチュエータを提案する。
プログラム機能を有する、とは、可動部を永久的に固定することができることを意味する。通常の静電型MEMSアクチュエータは、可動部を永久的に固定するということはないため、本発明に係わる静電型MEMSアクチュエータは、これと区別する意味で、プログラマブルアクチュエータと称することにする。
永久的な固定とは、一度固定したら、その後、静電力などの力をなくしたり又は与えたりしても元に戻らない不可逆的動作を意味する。従って、例えば、MEMSの通常動作時の静電力などによる一時的な固定は、永久的な固定とは言わない。また、永久的な固定は、通常動作時以外に非常に大きな力が与えられた場合に固定が解除されることを排除するものではない。
本発明に係わるプログラマブルアクチュエータの基本構成について説明する。
図1は、プログラマブルアクチュエータの基本構成を示している。
可動部1は、第1信号電極2A、第1駆動電極3A及びこれらを結合する絶縁体4から構成される。第2信号電極2Bは、第1信号電極2Aに対向し、第2駆動電極3Bは、第1駆動電極3Aに対向する。
第2駆動電極3Bは、第1及び第2部分5a,5bから構成される。
第1駆動回路6aは、第2駆動電極3Bの第1部分5aに接続され、第2駆動回路6bは、第2駆動電極3Bの第2部分5bに接続される。
第1駆動回路6aは、第2駆動電極3Bの第1部分5aと第1駆動電極3Aとの間に第1電位差(静電力)を発生させることにより、両者を接触させない状態で可動部1を複数回動作させる。
また、第2駆動回路6bは、第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとの間に第2電位差(静電力)を発生させることにより、両者を接触させた状態で可動部1を固定する。
このような構成によれば、出荷前のトリミング時に、第1駆動回路6aにより可動部1を複数回動作させることができると共に、第2駆動回路6bにより第1駆動電極3Aを第2部分5bに接触させた状態で可動部1を固定することもできる。
従って、静電型MEMSアクチュエータにプログラム機能を持たせることができ、例えば、出荷前のトリミングが可能になる。また、静電型MEMSアクチュエータを基本とするため、小型化、低コスト化も可能である。
尚、図1の基本構成においては、上下/左右の位置関係に制限はない。例えば、電極2A,3Aと電極2B,3Bとは、上下の関係にあってもよく、左右の関係にあってもよい。この場合、どちらが上(又は左)でも、下(又は右)でもよい。
図2は、図1のプログラマブルアクチュエータのプログラミング方法を示している。
まず、第1駆動回路6aにより可動部1を複数回動作させる(ステップST1)。
ここで、例えば、出荷前に容量値のトリミングを行う際には、複数のプログラマブルアクチュエータをグループ化し、バンクを構成する。そして、バンク内の各アクチュエータを駆動させ、様々な容量値を作成し、そのなかから最適値を選択する。
この様々な容量値を作成するために可動部1の複数回動作が必要になる。
次に、第2駆動回路6bにより第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとを接触させた状態で両者の間に電流を流す(ステップST2)。
第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとを接触させる方法は、以下の通りである。
例えば、第1駆動回路6aを用いて第2駆動電極3Bの第1部分5aと第1駆動電極3Aとの間に電位差(静電力)を発生させてもよいし、第2駆動回路6bを用いて第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとの間に電位差(静電力)を発生させてもよい。また、両者を併用してもよい。
次に、第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとを接触させた状態で可動部1を固定する(ステップST3)。
この固定は、第1駆動電極3Aを第2部分5bに固定することで実現する。例えば、第2駆動電極3Bの第2部分5bと第1駆動電極3Aとの間に流す電流の値を、両者が発熱により部分的に溶解する程度にすればよい。
また、可動部1の固定は、ファンデルワールス力やカシミア力などにより実現させてもよい。
このような方法によれば、簡単かつ低コストで、プログラマブルアクチュエータに対するプログラミングを実行することができる。
2. 実施形態
(1) 第1実施形態
A. デバイス構造
図3は、プログラマブルアクチュエータの平面図を示している。図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図、図5は、図3のV−V線に沿う断面図である。
半導体基板11は、例えば、シリコン基板である。半導体基板11上には、絶縁層12が配置される。絶縁層12は、例えば、酸化シリコンから構成される。
絶縁層12上には、下部信号電極(lower signal electrode)13、下部駆動電極(lower drive electrode)14a,14b、及び、導電層20a,20b,22が配置される。
下部信号電極13は、絶縁層15により覆われる。
下部駆動電極14a,14bは、第1部分23及び第2部分24から構成される。第1部分23及び第2部分24は、交互に配置され、第1部分23は、絶縁層15により覆われる。
下部駆動電極14aの平面形状は、例えば、図6に示すようになり、下部駆動電極14bの平面形状は、例えば、図7に示すようになる。
下部信号電極13の上部には、下部信号電極13に対向する上部信号電極(upper signal electrode)16が配置される。
下部駆動電極14a,14bの上部には、下部駆動電極14a,14bに対向する上部駆動電極(upper drive electrode)17a,17bが配置される。
上部信号電極16及び上部駆動電極17a,17bは、絶縁体18により互いに結合される。可動部25は、上部信号電極16、上部駆動電極17a,17b及びこれらを結合する絶縁体18により構成される。
上部信号電極16は、アンカー21を介して、導電層22に接続される。
上部駆動電極17aの一端は、アンカー19aを介して導電層20aに接続される。上部駆動電極17bの一端は、アンカー19bを介して導電層20bに接続される。
ここで、NAは、第1駆動回路(図1の第1駆動回路6aに相当)により生成される電位であり、NBは、第2駆動回路(図1の第2駆動回路6bに相当)により生成される電位である。
また、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と第2部分24とに対しては、独立に電位をバイアスすることができる。
ところで、この構造は、プログラマブルアクチュエータをプログラマブルコンデンサとして使用する場合に相当する。例えば、プログラマブルアクチュエータをプログラマブルスイッチとして使用する場合には、図3乃至図7の構造において、下部信号電極13を覆う絶縁層15を取り除けばよい。
B. 通常動作
図8は、プログラマブルアクチュエータの通常動作を示している。
通常動作とは、可動部が固定されていない状態での動作のことである。
初期状態では、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、0Vに設定される。
この時、下部信号電極と上部信号電極との距離は最大になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最小値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オフ状態になる。
可動部を駆動する駆動状態では、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、Vact又はフローティング、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、20Vに設定される。
この時、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極14a,14bの第1部分23に引き寄せられる。
その結果、下部信号電極と上部信号電極との距離は最小又は零(接触状態)になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最大値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オン状態になる。
以上の動作は、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と上部駆動電極17a,17bとを接触させない状態で行われるため、NA、NB及びVactの値を制御することにより、安定して、複数回行うことができる。
尚、可動部を駆動する駆動状態では、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAを、20Vとし、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NB及び上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vにしてもよい。
C. プログラミング動作
図9は、プログラマブルアクチュエータのプログラミング動作を示している。
プログラミング動作とは、可動部を固定する動作のことである。
第1ステップでは、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、0Vに設定される。
この時、下部信号電極と上部信号電極との距離は最大になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最小値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オフ状態になる。
第2ステップでは、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、Vact又はフローティング、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、20Vに設定される。
この時、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極14a,14bの第1部分23に引き寄せられる。
その結果、下部信号電極と上部信号電極との距離は最小又は零(接触状態)になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最大値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オン状態になる。
第3ステップでは、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、20Vに設定される。
この時、上部駆動電極17a,17bが下部駆動電極14a,14bの第1部分23に引き寄せられている状態で、さらに、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極14a,14bの第2部分24に接触する。
この状態で、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの間に、両者が発熱により部分的に溶解する程度の電流を流す。また、この電流を止めれば、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが冷却され、両者は、永久的に固定される。
結果として、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量が最大値の状態、また、プログラマブルスイッチとしての状態がオン状態で、可動部は、固定される。
尚、第2ステップにおいて、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAを、20Vとし、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NB及び上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vとし、第3ステップにおいて、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NA及び第2部分24の電位NBを、20Vとし、上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vとしてもよい。
また、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの永久的な固定は、電流による発熱ではなく、ファンデルワールス力やカシミア力などにより実現させてもよい。
この方法では、第2ステップで可動部を引き寄せた後、第3ステップで、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとを固定する。
この時、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの間に発生させる電圧は、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と上部駆動電極17a,17bとの間に発生させる電圧よりも小さくてよい。
なぜなら、第2ステップにおいて、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの距離は、十分に小さくなっているからである。
D. まとめ
第1実施形態によれば、プログラマブルアクチュエータに対するプログラミングを容易に行うことができるため、これを用いて、例えば、出荷前に容量値や抵抗値などのトリミングを行うことができる。
(2) 第2実施形態
第2実施形態は、第1実施形態のプログラマブルアクチュエータを用いたバンク構成に関する。
A. バンク構成
図10は、バンク構成の例を示している。
1つのバンクは、グループ化された複数のプログラマブルアクチュエータから構成される。ここでは、4つのプログラマブルアクチュエータA1,A2,A3,A4により1つのバンクが構成される例を説明する。
プログラマブルアクチュエータA1,A2,A3,A4の各々の構成は、例えば、図3乃至図7と同じである。
このようなバンク構成を採用すると、1つのアクチュエータは、例えば、2値しか実現できなくても、バンク全体としては、(n×m)値を実現できる。但し、nは、アクチュエータの数、mは、1つのアクチュエータにプログラム可能な値である。
特に、プログラマブルアクチュエータをプログラマブルコンデンサとして使用するときは、各々のアクチュエータにより生成される容量値を異ならせれば、バンク全体として、さらに多くの容量値を実現できる。
例えば、1つのプログラマブルコンデンサは、2値を生成し、n個のプログラマブルコンデンサの容量値を、Cmin/Cmax、2Cmin/2Cmax、4Cmin/4Cmax、8Cmin/8Cmax、…のように、バイナリ的に変化させれば、2通りの容量値を実現することができる。
図11は、4個のプログラマブルコンデンサの容量値をバイナリ的に変化させるときのバンク構成の例を示している。
容量値のバイナリ的な変化は、下部信号電極13と上部信号電極16−1,16−2,16−3,16−4とのオーバーラップ面積をバイナリ的に変化させることにより実現する。
例えば、プログラマブルコンデンサC1の下部信号電極13と上部信号電極16−1とのオーバーラップ面積を「1」とすると、プログラマブルコンデンサC2の下部信号電極13と上部信号電極16−2とのオーバーラップ面積は、「2」となり、プログラマブルコンデンサC3の下部信号電極13と上部信号電極16−3とのオーバーラップ面積は、「4」となり、プログラマブルコンデンサC4の下部信号電極13と上部信号電極16−4とのオーバーラップ面積は、「8」となる。
図12は、図10のバンク構成において下部駆動電極に対するバイアス線をさらに追加した図である。
プログラマブルアクチュエータA1において、下部駆動電極14a,14bの第1部分23は、NA1にバイアスされ、下部駆動電極14a,14bの第2部分24は、NB1にバイアスされる。上部駆動電極17a,17bは、Vact1にバイアスされる。
プログラマブルアクチュエータA2において、下部駆動電極14a,14bの第1部分23は、NA2にバイアスされ、下部駆動電極14a,14bの第2部分24は、NB2にバイアスされる。上部駆動電極17a,17bは、Vact2にバイアスされる。
プログラマブルアクチュエータA3において、下部駆動電極14a,14bの第1部分23は、NA3にバイアスされ、下部駆動電極14a,14bの第2部分24は、NB3にバイアスされる。上部駆動電極17a,17bは、Vact3にバイアスされる。
プログラマブルアクチュエータA4において、下部駆動電極14a,14bの第1部分23は、NA4にバイアスされ、下部駆動電極14a,14bの第2部分24は、NB4にバイアスされる。上部駆動電極17a,17bは、Vact4にバイアスされる。
このようなバンク構成において、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとのオーバーラップ面積は、十分に小さい。このため、例えば、電位NB1,NB2,NB3,NB4のみをバイアスした状態で、上部駆動電極17a,17bが引き寄せられることはない。
従って、例えば、容量値のトリミングを行うときは、まず、電位NA1,NA2,NA3,NA4と電位Vactとの間の電位差を制御することにより可動部を駆動し、容量値の最適値を決定する。
この後、電位NB1,NB2,NB3,NB4と電位Vactとの間の電位差を制御することにより、プログラマブルアクチュエータA1,A2,A3,A4に対するプログラミングを行う、といった手順を採用する。
B. 変形例
図13は、バンク構成の変形例を示している。
この変形例は、下部駆動電極14a,14bの第2部分24に対するバイアス線25を共通化した点に特徴を有する。
下部駆動電極14a,14bの第2部分24に対するバイアス線25を共通化することにより配線の複雑化を防止し、配線レイアウトを容易化できる。
この構成では、例えば、容量値のトリミングを行うときは、まず、電位NA1,NA2,NA3,NA4と電位Vactとの間の電位差を制御することにより可動部を駆動し、容量値の最適値を決定する。
この後、バンクが容量値の最適値を維持した状態で、さらに、電位NBと電位Vactとの間に電位差を発生させることにより、プログラマブルアクチュエータA1,A2,A3,A4に対するプログラミングを行う。
例えば、プログラマブルアクチュエータA1,A3の下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが接触し、プログラマブルアクチュエータA2,A4の下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが接触していない状態が、容量値の最適値であると仮定する。
この時、この状態を維持しつつ、電位NBと電位Vactとの間に電位差を発生させると、プログラマブルアクチュエータA1,A3のみに対してプログラミングを行うことができる。なぜなら、プログラマブルアクチュエータA1,A3は、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが接触した状態にあるからである。
ところで、この変形例では、1つのバンク内の複数のプログラマブルアクチュエータに対して同時にプログラミングを行う場合に、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとのショートによる電圧降下の問題が発生する。
そこで、共通化されたバイアス線25と下部駆動電極14a,14bの第2部分24との間に抵抗素子26を接続する。
この抵抗素子26は、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとをショートさせたときの電圧降下を防ぐ役割を果たす。
例えば、2個のプログラマブルアクチュエータA1,A3に対してプログラミングを行う場合を考える。
この場合、先に、プログラマブルアクチュエータA1の下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが接触すると、プログラマブルアクチュエータA3の下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電圧降下が発生するため、プログラマブルアクチュエータA3の下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの接触が不可能になる。
このような事態を防ぐため、先に、プログラマブルアクチュエータA1の下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが接触しても、抵抗素子26により、プログラマブルアクチュエータA3の下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電圧降下を防ぐ。
これにより、1つのバンク内の複数のプログラマブルアクチュエータに対して同時にプログラミングを行う場合に、下部駆動電極の第2部分と上部駆動電極との接触タイミングがずれても、プログラム対象となる全てのプログラマブルアクチュエータに対してプログラミングを行うことができる。
C. まとめ
第2実施形態では、バンク構成を採用することにより、2値を超える多値をプログラミングすることができる。また、例えば、容量値については、これをデジタル的に記憶させることができるため、容量値の経時変化が発生し難い。
(3) 第3実施形態
第3実施形態は、下部駆動電極の構造に関する。
A. 構造
図14は、下部/上部駆動電極を示している。
半導体基板11は、例えば、シリコン基板である。半導体基板11上には、絶縁層12が配置される。絶縁層12は、例えば、酸化シリコンから構成される。絶縁層12上には、下部駆動電極14a,14bが配置される。
下部駆動電極14a,14bは、第1部分23及び第2部分24から構成される。第1部分23及び第2部分24は、交互に配置され、第1部分23は、第2部分24よりも低い。
下部駆動電極14aの平面形状は、例えば、図6に示すようになり、下部駆動電極14bの平面形状は、例えば、図7に示すようになる。
下部駆動電極14a,14bの上部には、下部駆動電極14a,14bに対向する上部駆動電極17a,17bが配置される。
その他の構成については、第1実施形態(図3及び図4を参照)と同じである。
尚、この実施形態では、下部駆動電極14a,14bの第1部分23は、絶縁層に覆われていないが、自然酸化膜などの極薄の絶縁層に覆われていてもよいし、また、積極的に絶縁層で覆ってもよい。
B. 通常動作
図15は、プログラマブルアクチュエータの通常動作を示している。
初期状態では、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、0Vに設定される。
この時、下部信号電極と上部信号電極との距離は最大になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最小値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オフ状態になる。
可動部を駆動する駆動状態では、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、Vact又はフローティング、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、20Vに設定される。
この時、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極14a,14bの第1部分23に引き寄せられる。
また、下部駆動電極14a,14bの第2部分24がストッパになるため、上部駆動電極17a,17bが下部駆動電極14a,14bの第1部分23に接触することはない。
その結果、下部信号電極と上部信号電極との距離は最小又は零(接触状態)になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最大値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オン状態になる。
以上の動作は、NA、NB及びVactの値を制御することにより、安定して、複数回行うことができる。
尚、可動部を駆動する駆動状態では、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAを、20Vとし、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NB及び上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vにしてもよい。
C. プログラミング動作
図16は、プログラマブルアクチュエータのプログラミング動作を示している。
第1ステップでは、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、0V、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、0Vに設定される。
この時、下部信号電極と上部信号電極との距離は最大になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最小値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オフ状態になる。
第2ステップでは、例えば、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NAは、Vact又はフローティング、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、20Vに設定される。
この時、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極14a,14bの第2部分24に引き寄せられ、これに接触する。
この状態で、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの間に、両者が発熱により部分的に溶解する程度の電流を流す。また、この電流を止めれば、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとが冷却され、両者は、永久的に固定される。
結果として、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量が最大値の状態、また、プログラマブルスイッチとしての状態がオン状態で、可動部は、固定される。
尚、第2ステップにおいて、下部駆動電極14a,14bの第2部分24の電位NBを、20Vとし、下部駆動電極14a,14bの第1部分23の電位NA及び上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vとしてもよい。
また、第2ステップにおいて、下部駆動電極14a,14bの第1部分23と上部駆動電極17a,17bとの間に電位差を与えてもよい。
さらに、下部駆動電極14a,14bの第2部分24と上部駆動電極17a,17bとの永久的な固定は、電流による発熱ではなく、ファンデルワールス力やカシミア力などにより実現させてもよい。
D. まとめ
第3実施形態によれば、下部駆動電極の第1部分及び第2部分を絶縁層により覆う必要がないため、ステップ数の削減による製造コストの低下を図ることができる。
(4) 第4実施形態
第4実施形態も、下部駆動電極の構造に関する。
A. 構造
図17は、下部/上部駆動電極を示している。
半導体基板11は、例えば、シリコン基板である。半導体基板11上には、絶縁層12が配置される。絶縁層12は、例えば、酸化シリコンから構成される。絶縁層12上には、下部駆動電極31(14a,14b)が配置される。
下部駆動電極31上には、絶縁層32が部分的に配置される。
下部駆動電極31の平面形状は、例えば、図18及び図19に示すように、四角形になり、絶縁層32の平面形状は、例えば、図18に示すように、2本のラインが並んだ形、又は、例えば、図19に示すように、リング形になる。
下部駆動電極31の上部には、下部駆動電極31に対向する上部駆動電極17a,17bが配置される。
その他の構成については、第1実施形態(図3及び図4を参照)と同じである。
B. 通常動作
図20は、プログラマブルアクチュエータの通常動作を示している。
初期状態では、下部駆動電極31(14a,14b)の電位NCは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、0Vに設定される。
この時、下部信号電極と上部信号電極との距離は最大になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最小値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オフ状態になる。
可動部を駆動する駆動状態では、例えば、下部駆動電極31の電位NCは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、20Vに設定される。
この時、下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極31に引き寄せられる。
また、下部駆動電極31上の絶縁層32がストッパになるため、上部駆動電極17a,17bが下部駆動電極31に接触することはない。
その結果、下部信号電極と上部信号電極との距離は最小又は零(接触状態)になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最大値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オン状態になる。
以上の動作は、NC及びVactの値を制御することにより、安定して、複数回行うことができる。
尚、可動部を駆動する駆動状態では、例えば、下部駆動電極31の電位NCを、20Vとし、上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vにしてもよい。
C. プログラミング動作
図21は、プログラマブルアクチュエータのプログラミング動作を示している。
第1ステップでは、下部駆動電極31(14a,14b)の電位NCは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、0Vに設定される。
この時、下部信号電極と上部信号電極との距離は最大になるため、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量は、最小値となり、また、プログラマブルスイッチとしての状態は、オフ状態になる。
第2ステップでは、例えば、下部駆動電極31の電位NCは、0V、上部駆動電極17a,17bの電位Vactは、30Vに設定される。
この時、下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとの間に静電引力が発生するため、上部駆動電極17a,17bは、下部駆動電極31に引き寄せられる。
また、第2ステップにおいて下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとの間に発生する電位差は、第1ステップにおいて下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとの間に発生する電位差よりも大きいため、上部駆動電極17a,17bは、湾曲し、下部駆動電極31に接触する。
この状態で、下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとの間に、両者が発熱により部分的に溶解する程度の電流を流す。また、この電流を止めれば、下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとが冷却され、両者は、永久的に固定される。
結果として、例えば、プログラマブルコンデンサとしての容量が最大値の状態、また、プログラマブルスイッチとしての状態がオン状態で、可動部は、固定される。
尚、第2ステップにおいて、下部駆動電極31の電位NCを、30Vとし、上部駆動電極17a,17bの電位Vactを、0Vとしてもよい。
また、下部駆動電極31と上部駆動電極17a,17bとの永久的な固定は、電流による発熱ではなく、ファンデルワールス力やカシミア力などにより実現させてもよい。
D. まとめ
第4実施形態によれば、下部駆動電極が第1及び第2部分に分割されていない。また、通常動作とプログラミング動作との区別は、下部電極に与える電位の大きさにより行う。このため、配線の複雑化を回避できる。
(5) 第5実施形態
第5実施形態は、プログラマブルスイッチに関する。
図22は、プログラマブルスイッチを示している。
半導体基板11は、例えば、シリコン基板である。半導体基板11上には、絶縁層12が配置される。絶縁層12は、例えば、酸化シリコンから構成される。
絶縁層12上には、下部信号電極13、下部駆動電極14a,14b、及び、導電層20a,20bが配置される。
下部駆動電極14a,14bは、第1実施形態と同様に、第1部分及び第2部分から構成される。下部駆動電極14aの平面形状は、例えば、図6に示すようになり、下部駆動電極14bの平面形状は、例えば、図7に示すようになる。
下部信号電極13の上部には、下部信号電極13に対向する上部信号電極16が配置される。下部駆動電極14a,14bの上部には、下部駆動電極14a,14bに対向する上部駆動電極17a,17bが配置される。
上部信号電極16及び上部駆動電極17a,17bは、絶縁体18により互いに結合される。可動部25は、上部信号電極16、上部駆動電極17a,17b及びこれらを結合する絶縁体18により構成される。
その他の構成については、第1実施形態(図3乃至図5を参照)と同じである。
第5実施形態が第1実施形態と異なる点は、下部信号電極13上に絶縁層15が存在しないことにある。
図23は、プログラマブルスイッチを用いたシステムの第1例を示している。
このシステムは、インダクタンスのプログラミングを行うプログラマブルインダクタを実現する。
プログラマブルスイッチSW1,SW2は、例えば、図22に示す構造を有する。
このシステムでは、プログラマブルスイッチSW1,SW2のオン/オフをプログラミングすることにより、L1、L1+L2、L1+L3、L1+L2+L3の4つのインダクタンスのうちの1つを選択できる。
図24は、プログラマブルスイッチを用いたシステムの第2例を示している。
このシステムは、レジスタンスのプログラミングを行うプログラマブルレジスタを実現する。
プログラマブルスイッチSW1,SW2は、例えば、図22に示す構造を有する。
このシステムでは、プログラマブルスイッチSW1,SW2のオン/オフをプログラミングすることにより、R1、R1+R2、R1+R3、R1+R2+R3の4つのレジスタンスのうちの1つを選択できる。
(6) 第6実施形態
第6実施形態は、容量バンク内の複数のプログラマブルコンデンサの一部を出荷後に可変容量として使用し、他の一部をトリマーコンデンサとして使用する用途に関する。
図25は、容量バンクの例を示している。
例えば、4つのプログラマブルコンデンサC1,C2,C3,C4のうちの1つを、容量値のばらつきをトリミングするトリマーコンデンサとして使用する。残りの3つは、出荷後に可変容量として使用する。
3. その他
本発明の例に係わるプログラマブルアクチュエータにおいて、可動部を駆動させるのは主に出荷前(例えば、ウェハ状態)であるため、これを駆動するための電源は、チップ(半導体基板)の外部(例えば、テスタ)から与えることができる。
また、プログラマブルアクチュエータを駆動する駆動回路は、チップの内部に設けてもよいし、チップの外部(例えば、テスタ)に設けてもよい。駆動回路をチップの外部に設ければ、チップの内部に、プログラマブルアクチュエータを駆動する駆動回路が不要になるため、製造コストを削減できる。
4. 適用例
本発明の例に係わるプログラマブルアクチュエータは、出荷前に容量値や抵抗値などのトリミングを行う素子、例えば、トリマーコンデンサに適用可能である。
例えば、水晶発振器やキーレスエントリーシステムなどにおける周波数のトリミングでは、様々な容量値を生成し、このなかから最適値を決定した後、その最適値をプログラミングすることができる。
また、本発明の例に係わるプログラマブルアクチュエータは、無線通信カードの規格に合わせるための周波数のトリミングに応用することもできる。
さらに、本発明は、トリミングに限らず、キャパシタンスのプログラミングを行うプログラマブルコンデンサ、レジスタンスのプログラミングを行うプログラマブルレジスタ、インダクタンスのプログラミングを行うプログラマブルインダクタ、スイッチのオン/オフのプログラミングを行うプログラマブルスイッチなどに適用できる。
5. むすび
本発明によれば、プログラム機能を有する静電型MEMSアクチュエータを実現できる。
本発明の例は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、各構成要素を変形して具体化できる。また、上述の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を構成できる。例えば、上述の実施形態に開示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよいし、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
1: 可動部、 2A: 第1信号電極、2B: 第2信号電極、 3A: 第1駆動電極、 3B: 第2駆動電極、 4,18: 絶縁体、 5a,23: 第1部分、 5b,24: 第2部分、 6a: 第1駆動回路、 6b: 第2駆動回路、 11: 半導体基板、 12,15,32: 絶縁層、 13: 下部信号電極、 14a,14b,31: 下部駆動電極、 16: 上部信号電極、 17a,17b: 上部駆動電極、 19a,19b,21: アンカー、 20a,20b,22: 導電層、 25: バイアス線、 26: 抵抗素子。

Claims (5)

  1. 第1駆動電極を含む可動部と、
    前記第1駆動電極に対向し、第1及び第2部分から構成される第2駆動電極と、
    前記第2駆動電極の前記第1部分と前記第1駆動電極との間に第1電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させない状態で前記可動部を複数回動作可能にする第1駆動回路と、
    前記第2駆動電極の前記第2部分と前記第1駆動電極との間に第2電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させた状態で前記可動部を固定可能にする第2駆動回路と
    を具備することを特徴とするプログラマブルアクチュエータ。
  2. 前記第2駆動電極の前記第1部分は、絶縁層により覆われることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルアクチュエータ。
  3. 前記第1部分は、前記第2部分よりも低い位置にあることを特徴とする請求項1に記載のプログラマブルアクチュエータ。
  4. 第1駆動電極を含む可動部と、
    前記第1駆動電極に対向する第2駆動電極と、
    前記第2駆動電極の前記第1駆動電極側の面上に部分的に配置される絶縁層と、
    前記第1及び第2駆動電極間に第1電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させない状態で前記可動部を複数回動作可能にし、前記第1及び第2駆動電極間に前記第1電位差よりも大きい第2電位差を発生させることにより両電極を電気的に接触させた状態で前記可動部を固定可能にする駆動回路と
    を具備することを特徴とするプログラマブルアクチュエータ。
  5. 請求項1に記載のプログラマブルアクチュエータを用い、
    前記第2駆動電極の前記第2部分と前記第1駆動電極とを電気的に接触させた状態で両電極の間に電流を流し、
    前記第2駆動電極の前記第2部分と前記第1駆動電極とを電気的に接触させた状態で前記可動部を固定する
    ことを特徴とするプログラミング方法。
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