JP2011044346A - 二次電池の制御装置、二次電池の制御方法および制御マップの作成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両に搭載された二次電池の劣化状態に応じて二次電池を有効に活用可能な技術を提供する。
【解決手段】マップ記憶部43は、マップ44を記憶する。マップ44は、バッテリの使用可能期間および車両の走行可能距離を確保するために最低限必要なバッテリの性能を示す許容性能指数ωを、バッテリの使用期間および車両の走行距離の各々の平方根に基づいて規定する。電池性能推定部46は、バッテリの現在の性能を示す電池性能指数γbatを推定する。許容性能推定部45は、バッテリの使用期間と、車両の走行距離と、マップ44とを用いて、許容性能指数ωを取得する。充放電制御部47は電池性能指数γbatが許容性能指数ωより小さい場合には、バッテリの充放電のための制御を、現在の制御から、バッテリの劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更する。
【選択図】図2
【解決手段】マップ記憶部43は、マップ44を記憶する。マップ44は、バッテリの使用可能期間および車両の走行可能距離を確保するために最低限必要なバッテリの性能を示す許容性能指数ωを、バッテリの使用期間および車両の走行距離の各々の平方根に基づいて規定する。電池性能推定部46は、バッテリの現在の性能を示す電池性能指数γbatを推定する。許容性能推定部45は、バッテリの使用期間と、車両の走行距離と、マップ44とを用いて、許容性能指数ωを取得する。充放電制御部47は電池性能指数γbatが許容性能指数ωより小さい場合には、バッテリの充放電のための制御を、現在の制御から、バッテリの劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更する。
【選択図】図2
Description
本発明は、二次電池の制御装置、二次電池の制御方法および制御マップの作成方法に関する。本発明は特に、二次電池の性能指数が規定されたマップを用いて二次電池を制御するための制御装置および制御方法ならびに、そのマップを作成するための方法に関する。
モータにより発生された駆動力を用いて走行するハイブリッド自動車、燃料電池車、および電気自動車が公知である。これらの車両には、一般に、モータに電力を供給するための二次電池(以下では単に「電池」と呼ぶこともある)が搭載される。
電池の使用に伴い、電池の性能は次第に低下する。使用電池の劣化状態を把握するための技術あるいは電池の劣化状態を考慮して電池の充放電を制御するための技術がこれまでに提案されている。
たとえば特開2007−323999号公報(特許文献1)は、電池の寿命が車両ごとにばらつくことを防止可能な制御装置を開示する。この制御装置は、電池の劣化速度を演算するとともに、その演算された劣化速度が基準劣化速度よりも大きい状態が所定時間継続した場合に電池の劣化抑制制御を実行する。
たとえば特開2007−74981号公報(特許文献2)は、電池の使用履歴に基づいて電池の余寿命を予測するとともに、パワートレインの運転操作者にその推定値を通知する技術を開示する。
たとえば特開2006−197765号公報(特許文献3)は、電池の使用履歴に応じて電池の劣化状態余寿命を予測するとともに、その推定された劣化状態あるいは余寿命に基づいて電池が搭載された車両の評価価格を算定する技術を開示する。
たとえば特開2009−17752号公報(特許文献4)は、目標とする使用期間まで電池の寿命を維持させつつバッテリを有効に使用可能な制御装置を開示する。この制御装置は、電池が目標使用期間で寿命となるための電池の使用期間に応じた劣化状態を表わす目標劣化量を算出するとともに電池の現時点の劣化状態を表わす全体劣化量を算出する。制御装置は全体劣化量が目標劣化量に近づくように電池の充放電を制御する。
たとえば特開2003−199211号公報(特許文献5)は、操作者の操作によって、駆動性を重視した充放電制御と、電池への負担の軽減を考慮した充放電制御とを切換えることによって電池の寿命を向上させることを可能にする制御装置を開示する。さらに上記の特許文献5は、充放電制御手段の実行履歴および充放電制限制御手段の実行履歴に基づいて電池の劣化を判定する技術を開示する。
上記特許文献1から特許文献5のいずれの技術についても、電池の劣化を抑制しつつ電池を有効に活用する点において改善の余地がある。電池を有効に活用できなければ、たとえば、電池が劣化するにつれて車両の走行性能を十分に発揮できなくなる可能性が考えられる。
特許文献1の技術によれば、電池の劣化速度をできるだけ正確に推定することが要求される。さらに電池の制御の変化に伴って車両の挙動が変化する可能性があるので、ユーザが電池の劣化抑制制御の開始に気付かないように劣化抑制制御を実行することが望まれる。これに対し、特許文献2および特許文献3には、電池の性能の低下にともなう車両の駆動性能の変化については特に開示されていない。
特許文献4によれば、電池の使用期間のみに基づいて電池寿命が保障される。車両に搭載された電池の場合、電池の寿命は車両の走行にも影響される。しかし特許文献4には電池の寿命への車両の走行の影響は説明されていない。さらに特許文献4に記載の技術によれば、目標劣化量から全体劣化量を引いた許容劣化量が0未満の場合に放電が停止されるので、車両の走行性能が急激に変化する可能性がある。
特許文献5によれば、操作者の操作によって電池の寿命および電池の有効な活用の度合いが定まる。したがって電池の使用期間が目標期間よりも短くなる可能性、および車両の走行距離が目標距離よりも短くなる可能性がある。逆に操作者が電池の寿命を延ばすことを優先した場合には電池を有効に活用できないために車両の走行性能を十分に発揮することができない。
本発明は上述の課題を解決するためのものであって、その目的は、車両に搭載された二次電池の劣化状態に応じて二次電池を有効に活用可能な技術を提供することである。
本発明のある局面に従う二次電池の制御装置は、車両を走行させる電動機に電力を供給するための二次電池の制御装置である。制御装置は、記憶部と、検出部と、電池性能推定部と、許容性能推定部と、制御部とを備える。記憶部は、マップを記憶する。マップは、二次電池の使用可能期間および車両の走行可能距離を確保するために最低限必要な二次電池の性能を示す許容性能指数を、二次電池の使用期間および車両の走行距離の各々の平方根に基づいて規定する。検出部は、二次電池の充電時および放電時における二次電池の状態を検出する。電池性能推定部は、検出部の検出結果から、二次電池の現在の性能を示す電池性能指数を推定する。許容性能推定部は、二次電池の使用期間と、車両の走行距離と、記憶部に記憶されたマップとを用いて、許容性能指数を取得する。制御部は、電池性能推定部からの電池性能指数と許容性能推定部からの許容性能指数とを比較する。制御部は、その比較結果に基づいて二次電池の充放電を制御する。制御部は、電池性能指数が許容性能指数以上である場合には、二次電池の充放電に関する現在の制御を維持する。一方、制御部は、電池性能指数が許容性能指数より小さい場合には、二次電池の充放電のための制御を、現在の制御から、二次電池の劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更する。
好ましくは、制御部は、二次電池の充放電制御のためのパラメータを用いて、二次電池の劣化状態を示す劣化係数を算出する。制御部は、電池性能指数が許容性能指数より小さい場合には、走行距離を用いて劣化係数を低下させる。制御部は、低下した劣化係数から得られるパラメータに基づいて劣化抑制制御を実行する。
好ましくは、制御部は、二次電池の充電状態を示す状態値を制御することによって二次電池の充放電を制御する。パラメータは、状態値の制御範囲の中心値である。劣化抑制制御の実行時に用いられる中心値は、現在の制御の実行時に用いられる中心値よりも小さい。
好ましくは、パラメータは、二次電池の温度の目標値である。劣化抑制制御の実行時に用いられる目標値は、現在の制御の実行時に用いられる目標値よりも小さい。
好ましくは、パラメータは、二次電池の許容入力電力量および許容出力電力量を含む。劣化抑制制御の実行時に用いられる許容入力電力量は、現在の制御の実行時に用いられる許容入力電力量よりも小さい。劣化抑制制御の実行時に用いられる許容出力電力量は、現在の制御の実行時に用いられる許容出力電力量よりも小さい。
好ましくは、パラメータは、二次電池の電圧の上限値である。劣化抑制制御の実行時に用いられる上限値は、現在の制御の実行時に用いられる上限値よりも小さい。
本発明の他の局面に従う二次電池の制御方法は、車両を走行させる電動機に電力を供給するための二次電池の制御方法である。制御方法は、二次電池の充電時および放電時における二次電池の状態に基づいて、二次電池の現在の性能を示す電池性能指数を推定するステップと、マップと、二次電池の使用期間と、車両の走行距離とを用いることにより、許容性能指数を取得するステップと、電池性能指数と許容性能指数とを比較することによって、二次電池の充放電を制御するステップとを備える。マップは、二次電池の使用可能期間および車両の走行可能距離を確保するために最低限必要な二次電池の性能を示す許容性能指数を、二次電池の使用期間および車両の走行距離の各々の平方根に基づいて規定する。制御するステップは、電池性能指数が許容性能指数以上である場合には、二次電池の充放電に関する現在の制御を維持するステップと、電池性能指数が許容性能指数より小さい場合には、二次電池の充放電のための制御を、現在の制御から、二次電池の劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更するステップとを含む。
本発明のさらに他の局面に従う制御マップの作成方法は、車両を走行させる電動機に電力を供給するための二次電池を制御する制御装置に用いられる制御マップの作成方法である。制御マップの作成方法は、二次電池の初期性能を示す初期性能指数を受け付けるステップと、二次電池の寿命時の性能を示す寿命性能指数を受け付けるステップと、車両が二次電池を使用して走行可能な保障走行距離を受け付けるステップと、二次電池の保障使用期間を受け付けるステップと、初期性能指数と寿命性能指数と車両の走行距離とに基づいて、保障使用期間および保障走行距離を確保するために最低限必要な二次電池の性能を示す許容性能指数が走行距離の平方根に対して線形的に変化するように、許容性能指数を算出するステップと、初期性能指数と寿命性能指数と二次電池の使用期間とに基づいて、許容性能指数が二次電池の使用期間の平方根に対して線形的に変化するように、許容性能指数を算出するステップとを備える。
本発明によれば、車両に搭載された二次電池の劣化状態に応じて二次電池を有効に活用することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施の形態に係る制御装置を搭載した車両の構成例を示す図である。図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置は、内燃機関と電動機と二次電池とを備えるハイブリッド車両100に搭載される。
ハイブリッド車両100は、バッテリ10と、PCU(Power Control Unit)12と、電動機(モータ)14と、エンジン16と、動力分割機構18と、発電機(ジェネレータ)20と、減速機22と、前輪24,26と、車輪速センサ27,28と、ECU(Electronic Control Unit)30と、電流センサ31と、電圧センサ32と、温度センサ33とを含む。
バッテリ10は、再充電可能な二次電池であり、たとえばニッケル水素電池、あるいはリチウムイオン電池等である。電流センサ31は、バッテリ10に入力されあるいはバッテリ10から出力される電流Ibを検出するとともに、その電流Ibの値をECU30に送信する。電圧センサ32は、バッテリ10の電圧Vbを検出するとともに、その電圧Vbの値をECU30に送信する。温度センサ33は、バッテリ10の温度Tbを検出するとともに、その温度Tbの値をECU30に送信する。
PCU12は、バッテリ10から供給された直流電圧を、モータ14を駆動するための交流電圧に変換するインバータ(図示せず)を含む。このインバータは双方向の電力変換が可能なように構成され、モータ14の回生制動によって発電された電力(交流電圧)およびジェネレータ20によって発電された電力(交流電圧)を、バッテリ10の充電用の直流電圧に変換する機能を有する。
PCU12は、直流電圧のレベル変換を行なうコンバータ(図示せず)をさらに含んでもよい。このようなコンバータを配置することによって、バッテリ10の供給電圧よりも高い電圧を振幅とする交流電圧によってモータ14を駆動することができるので、モータ14の駆動効率を向上することができる。
エンジン16は、ガソリン等を燃料とする内燃機関であり、燃料の燃焼によって動力を発生させる。動力分割機構18は、エンジン16からの出力を、減速機22を介して前輪24,26へ伝達する経路と、ジェネレータ20へ伝達する経路とに分割可能である。
ジェネレータ20は、動力分割機構18を介して伝達されたエンジン16からの出力によって回転される。ジェネレータ20の回転によって発電された電力は、PCU12によって、バッテリ10および/またはモータ14に供給される。
モータ14は、PCU12から供給された交流電圧によって駆動される。モータ14の出力は減速機22および車軸を介して前輪24,26へ伝達される。また、モータ14が前輪24,26の減速に伴って回転される回生制動時には、モータ14は発電機として動作する。モータ14によって発電された電力は、PCU12によってバッテリ10に供給される。
車輪速センサ27は、前輪24の速度SFRを検出して、その検出値をECU30に送信する。車輪速センサ28は、前輪26の速度SFLを検出して、その検出値をECU30に送信する。
ECU30は、モータ14およびジェネレータ20を制御するためにPCU12を制御する。ECU30により制御されたモータ14およびジェネレータ20によってバッテリ10が充電または放電される。すなわちECU30は、PCU12を制御することによってバッテリ10の充電および放電を制御する。さらにECU30は、エンジン16を制御する。
ハイブリッド車両100の発進時あるいは軽負荷時には、ハイブリッド車両100はエンジン16の出力を用いることなくモータ14の出力のみによって走行する。この場合には、バッテリ10からモータ14に電力が供給される。通常走行時には、エンジン16が始動され、エンジン16からの出力は、動力分割機構18によって、前輪24,26の駆動力と、ジェネレータ20の発電用の駆動力とに分割される。ジェネレータ20が発電した電力は、モータ14の駆動に用いられる。加速時には、エンジン16の出力が上昇するとともに、ジェネレータ20が発電した電力が、モータ14の駆動に用いられる。
減速時には、モータ14が前輪24,26によって回転される。これによりモータ14が発電機として動作する。モータ14の回生発電によって回収された交流電力は、PCU12によって直流電圧に変換されてバッテリ10の充電に用いられる。
ECU30は、バッテリ10が充電および放電された時間を計測するとともに、計測された充電時間および放電時間を電池の使用期間として積算する。さらにECU30は、車輪速センサ27,28によって検出された車輪速に基づいて、ハイブリッド車両100の走行距離を算出するとともに、その算出された走行距離を積算する。後に詳細に説明するが、ECU30は、バッテリ10の使用期間とハイブリッド車両100の走行距離とに基づいて、バッテリ10の劣化を抑制し、かつハイブリッド車両100の駆動性の急激な低下を抑制するようにバッテリ10の充放電を制御する。
図2は、図1に示したECU30の構成を説明するための機能ブロック図である。図2に示した構成は、ハードウェアおよびソフトウェアのいずれによっても実現可能である。
図2を参照して、ECU30は、走行距離算出部41と、電池使用期間計測部42と、マップ44を記憶するマップ記憶部43と、許容性能推定部45と、電池性能推定部46と、充放電制御部47とを備える。
走行距離算出部41は、車輪速センサ27,28によってそれぞれ検出された車輪速SFRおよびSFLに基づいてハイブリッド車両100の走行距離を算出するとともに、その走行距離を積算する。走行距離算出部41は、積算された走行距離を許容性能推定部45に送信する。
電池使用期間計測部42は、電流センサ31によって検出されたバッテリ10の電流Ibに基づいて、バッテリ10の使用期間を計測するとともに、その使用期間を積算する。たとえばバッテリ10の放電時に電流センサ31によって検出された電流値が正であり、バッテリ10の充電時に電流センサ31によって検出された電流値が負であるとする。電池使用期間計測部42は、Ib>0またはIb<0である時間を計測するとともに、その計測された時間を積算する。走行距離算出部41は、積算された使用期間を許容性能推定部45に送信する。
マップ記憶部43は、マップ44を記憶する定義する。マップ44は充放電制御部47によるバッテリ10の充放電制御に使用される制御マップである。
バッテリ10の使用にともない、バッテリ10の性能は次第に低下する。マップ44は、バッテリ10の使用可能期間およびハイブリッド車両100の走行可能距離を確保するために最低限必要なバッテリ10の性能を示す許容性能指数を規定する。本実施の形態では、バッテリ10の使用可能期間はバッテリ10の保障使用期間に対応するとともに、ハイブリッド車両100の走行可能距離は、バッテリ10を使用したハイブリッド車両100の保障走行距離に対応する。
許容性能推定部45は、走行距離算出部41により算出された走行距離、電池使用期間計測部42により計測されたバッテリ10の使用期間を用いて、マップ記憶部43に記憶されたマップ44を参照する。許容性能推定部45はバッテリ10の現在の許容性能指数ωをマップ記憶部43から取得する。
電池性能推定部46は、電流センサ31によって検出されたバッテリ10の電流Ib、電圧センサ32によって検出されたバッテリ10の電圧Vb、および温度センサ33によって検出されたバッテリ10の温度Tbに基づいて、バッテリ10の劣化状態(SOH;State of Health)を推定するとともに、その推定された劣化状態に基づいてバッテリ10の現在の性能を示す電池性能指数γbatを推定する。
電池性能推定部46によるSOHの推定方法は特に限定されず、種々の公知の方法を適用することができる。したがって電池性能推定部46によるSOHの推定方法については詳細な説明を繰返さない。
たとえば電池性能推定部46は放電電流Ibに対するSOC(バッテリの充電状態を示す値)の変化率を求めるとともに、予め定義されたSOCの変化率とSOHとの間の相関関係に基づいて、SOHを推定する。放電電流の積算値が同じでも、バッテリが劣化するほどSOCの低下量が大きくなる。したがって放電電流Ibに対するSOCの変化率に基づいてSOHを推定することができる。
さらに電池性能推定部46は、SOHと電池性能指数γbatとを対応付けるマップ(図示せず)を予め記憶するとともに、推定されたSOHとマップとに基づいて電池性能指数γbatを推定する。マップに規定されたSOHと電池性能指数γbatとの間の相関関係は、たとえば電池の充放電の繰り返しにともなう電池の性能の低下の度合いを実験することによって予め定められる。
充放電制御部47は、PCU12に対してバッテリ10を充放電するための制御指令を出力する。ジェネレータ20によりバッテリ10を充電する場合、充放電制御部47は、PCU12に対する制御指令を出力するだけでなく、エンジン16にも制御指令を出力する。
充放電制御部47は、電池性能指数γbatと許容性能指数ωとを比較するとともに、その比較結果に基づいてバッテリ10の充放電を制御する。電池性能指数γbatが許容性能指数ω以上である場合、現在の充放電制御を継続しても保障使用期間あるいは保障走行距離を確保できる。この場合には、充放電制御部47は、バッテリ10の充放電に関する現在の制御を維持する。一方、電池性能指数γbatが許容性能指数ωより小さい場合には、現在の充放電制御を継続すると、保障使用期間あるいは保障走行距離を確保できない可能性がある。この場合には、充放電制御部47は、バッテリ10の充放電のための制御を、現在の制御から、バッテリ10の劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更する。
図3は、図2に示したマップ記憶部43に記憶されるマップ44を説明するための図である。図3を参照して、マップでは、経過年数(電池使用期間)の平方根と、走行距離の平方根とによって、許容性能指数が定義される。
γ0は許容性能指数ωの初期値であり、バッテリ10の初期性能を示す指数である。許容性能指数ωは、バッテリの使用期間(経過年数)およびハイブリッド車両100の走行距離のうちの少なくとも一方が長くなるにつれて初期値γ0から低下する。
γaは、バッテリが寿命に達したときのバッテリの性能指数である。本実施の形態では、マップでは、経過年数がn(n;自然数)であるか、または走行距離がm(mは自然数)である場合に、許容性能指数ωが寿命性能指数γaに等しくなるよう定義される。nは保障年数に対応し、mは保障走行距離に対応する。マップでの走行距離の単位は特に限定されるものではなく、たとえば「万マイル」あるいは「万km」等である。
本実施の形態に係るマップの理解を容易とするため、図3では、具体的に、n=10(年)、m=15(万マイル)と設定されたマップを示している。ただしこれらの数値によって本実施の形態に係る充放電制御が限定されるものではない。
初期性能指数γ0と寿命性能指数γaとの間にはγ0>γaとの関係が成立する。許容性能指数ωは、経過年数が1年増えるごとに低下するとともに走行距離が1.5(万マイル)増えるごとに低下する。
許容性能指数ωは、経過年数の平方根に対して線形的に変化するとともに、走行距離の平方根に対して線形的に変化するように定義される。初期性能指数γ0および寿命性能指数γaを実験等によって予め求めることにより、経過年数および走行距離に応じた許容性能指数ωを定義できる。
図3に示したマップは、図示されないコンピュータが所定の処理を実行することにより作成される。図4は、図3に示したマップの作成方法を説明するためのフローチャートである。なお以下では、図3のマップにおいて走行距離の平方根が並べられた方向および経過年数の平方根が並べられた方向をそれぞれ「行方向」および「列方向」とも呼ぶ。
図4を参照して、ステップS1において、コンピュータは、ユーザ等によって入力された初期性能指数γ0を受付ける。ステップS2において、コンピュータは、寿命性能指数γaを受付ける。初期性能指数γ0および寿命性能指数γaは、たとえばバッテリ10の充電および放電に関する実験の結果に基づいて予め定められる。
ステップS3において、コンピュータは、ユーザによって入力された保障走行距離を受付ける。ステップS4において、コンピュータは、ユーザによって入力された保障年数を受付ける。ステップS1〜S4の処理は、上記の順序に従って実行されるよう限定されるものではなく、任意の順序で実行されてもよいし、複数のステップの処理が統合されてもよい。
ステップS5において、コンピュータは、経過年数が0であり、かつ走行距離が変化する場合における許容性能指数ωを算出する。コンピュータは、初期性能指数γ0および寿命性能指数γaを用いて、許容性能指数ωが走行距離の平方根に比例するように許容性能指数ωを算出する。より具体的には、ω=γ0−{(γ0−γa)/√(保障走行距離)×√(走行距離)}の式に従ってコンピュータは許容性能指数ωを算出する。これにより図3のマップの最上行の許容性能指数ωが算出される。
ステップS6において、コンピュータは、走行距離が0であり、かつ経過年数が変化する場合の許容性能指数ωを算出する。コンピュータは、初期性能指数γ0および寿命性能指数γaを用いて、許容性能指数ωが経過年数の平方根に比例するように許容性能指数ωを算出する。より具体的には、ω=γ0−{(γ0−γa)/√(保障年数)×√(経過年数)}の式に従ってコンピュータは許容性能指数ωを算出する。これにより、図3のマップの最も左側の列の許容性能指数ωが算出される。なおステップS5の処理とステップS6の処理とは、上記の順序と逆の順で実行されてもよい。
ステップS7において、コンピュータは、経過年数≠0かつ走行距離≠0の場合の許容性能指数ωを算出する。ステップS7の処理が終了すると、マップを作成するための処理は終了する。この処理結果は、たとえば、コンピュータの内部あるいは外部の記憶媒体によって記憶される。
図4の処理について、理解を容易にするために数値を用いて説明する。ただし本発明の実施の形態は、以下に説明する値(特に、nおよびmの値)によって限定されるものではない。
たとえばステップS1〜S4の処理によって、コンピュータに、γ0=130、γa=60、n=10(年)、m=15(万マイル)との値が入力される。ステップS5においてコンピュータは、走行距離が√1.5,√3,・・・√(万マイル)と変化する場合における許容性能指数ω(=γ1,γ2,γ3,・・・γ9)を算出する。たとえば、γ1=130−(130−60)/√(10/1)=107.9であり、γ2=130−(130−60)/√(10/2)=98.7である。
ステップS6においてコンピュータは、経過年数が√1,√2,√3,・・・√13.5(万マイル)と変化する場合における許容性能指数ω(=γ1,γ2,・・・,γ9)を算出する。γ1,γ2等の算出方法は上記の方法と同様であるので以後の説明は繰返さない。
ステップS7において、コンピュータは、図3に示すマップ中の各欄に対応する許容性能指数ωを算出する。図3を参照して、コンピュータは、i行j列(2≦i≦9,1≦j≦i)目の許容性能指数ωとして、i行l列目の許容性能指数を設定する。たとえば、3行2列目および3行3列目の許容性能指数は、3行1列目の許容性能指数と同じγ2である。またコンピュータは、最下行および最右列の許容性能指数として寿命性能指数γaを設定する。
図5は、図3に示したマップを用いたバッテリの充放電制御を説明するためのモデル図である。図5を参照して、電池性能の寿命保障は、バッテリの使用期間とハイブリッド車の走行距離との両方で成立させる必要がある。そこで、図5に示すように、使用期間の平方根、走行距離の平方根、および電池性能をそれぞれ軸とした3次元空間を設定する。電池性能の軸上に初期性能指数γ0に対応する点をとる。3軸の交点に対応する電池性能指数は、寿命性能指数γaである。
初期性能指数γ0に対応する電池性能軸上の点を頂点とし、その頂点から、保障年数の平方根√nに対応する軸上の点、保障走行距離の平方根√mに対応する軸上の点、ならびに、座標(√n,√m)に対応する点の各々へ線を引くことに3次元空間内に四角錐が形成される。四角錐の外表面に対応する電池性能指数は許容性能指数ωである。すなわち図3に示したマップは、図5に示した四角錐の表面上の電池性能指数を示す。
図5では、ある使用期間(x)と走行距離(y)とに基づくバッテリのSOHから推定された電池性能指数γbatに対応する点が示される。この点は、上記の四角錐の外側に位置する。この状態は電池性能指数γbatが許容性能指数ωより大きい状態である。よって、この場合には、現在の充放電制御が維持される。一方、電池性能指数γbatに対応する点が四角錐の内部に位置する場合、すなわち電池性能指数γbatが許容性能指数ωよりも小さい場合には、バッテリの劣化を抑制するための劣化抑制制御が実行される。
図6は、バッテリの劣化を抑制するための制御を説明するためのモデル図である。図6を参照して、劣化抑制制御を実行することにより、保障走行距離が√mから√(m+σ)に変更される。このことは、四角錐の底面が、√(走行距離)の軸の方向に広がることを意味する。ただし、四角錐の底面は、√(経過年数)の軸の方向には広がらない。
図7は、ユーザによるバッテリの使用ラインを説明するための図である。図7を参照して、電池性能指数γbatに対応する点Pが四角錐の内部に位置する場合、四角錐の底面を√(走行距離)の軸の方向に広げるとともに、点Pを限界点P1の位置まで移動させる。限界点P1は、点Pと、電池性能γbatおよび経過年数が等しく、かつ走行距離をyからy+σに移動させた点である。上記のように点Pを移動させることによって、点Pと電池性能の軸との間の間隔は、√(x+y)から√(x+y+σ)に変更される。
四角錐の底面が広がる前には、ユーザのバッテリ10の使用に伴う電池性能指数の変化は、初期性能指数γ0に対応する点P0から点Pへ向かう矢印A1によって表わされる。四角錐の底面が広がった後には、ユーザのバッテリ10の使用に伴う電池性能指数の変化は、ユーザによるバッテリ10の使用は、点P0と限界点P1とを結ぶ直線の方向を示す矢印A2によって表わされる。√(走行距離+経過年数)の軸に対する矢印A1の傾きに比べて矢印A2の傾きは小さくなる。つまり、走行距離および経過年数の少なくとも一方に対する電池性能の低下の度合いが小さくなるように電池の使用(充放電制御)が変更される。したがってバッテリの劣化を抑制することが可能になる。
電池性能指数γbatを示す点Pは、バッテリの使用に伴い、矢印A2の方向に沿って移動し、かつ、√(走行距離)の軸と√(経過年数)の軸とにより規定される平面に達する。この平面は、保障走行距離および保障年数により定められた寿命性能指数γaを示す。したがって、保障走行距離および保障年数を満足することができる。以上の理由により、本実施の形態によれば、バッテリの劣化を抑制しつつバッテリの性能が寿命性能に達するまでバッテリを使用できるので、バッテリを有効に活用することができる。
次に、充放電制御部47による劣化抑制制御について、具体的に説明する。充放電制御部47は、バッテリ10の充放電制御のためのパラメータを用いて、バッテリ10の劣化状態を示す劣化係数Kbを算出する。電池性能指数γbatが許容性能指数ωより小さい場合には、充放電制御部47は、劣化係数Kbを低下させるとともに、低下した劣化係数Kbから得られるパラメータに基づいて劣化抑制制御を実行する。
変更前の劣化係数をKb1とし、変更後の劣化係数をKb2とする。yを走行距離とすると、充放電制御部47は、Kb2=Kb1×y/(y+σ)を満たすように、バッテリの充放電制御を変更する。
充放電制御部47は、以下の式に従って劣化係数Kb1,Kb2およびσを算出する。
まず、性能指数の低下量、すなわち劣化量は以下の式(1)に従って表わされる。
まず、性能指数の低下量、すなわち劣化量は以下の式(1)に従って表わされる。
γ0−γbat=√(α+β) …(1)
√αは、バッテリ10を放置した場合の劣化量であり、√βは、ハイブリッド車両の走行(バッテリの使用)に伴う劣化量である。αは、使用期間xを用いて以下の式(2)に従って表わされる。
√αは、バッテリ10を放置した場合の劣化量であり、√βは、ハイブリッド車両の走行(バッテリの使用)に伴う劣化量である。αは、使用期間xを用いて以下の式(2)に従って表わされる。
α=Ka×x …(2)
バッテリの劣化前のβをβ1と示し、バッテリの劣化後のβをβ2と示す。β1は以下の式(3)に従って表わされる。
バッテリの劣化前のβをβ1と示し、バッテリの劣化後のβをβ2と示す。β1は以下の式(3)に従って表わされる。
β1=Kb1×y …(3)
β2は以下の式(4)に従って表わされる。
β2は以下の式(4)に従って表わされる。
β2=Kb2×(y+σ) …(4)
式(1)〜式(4)により、以下の式(5)が導かれる。
式(1)〜式(4)により、以下の式(5)が導かれる。
(γ0−γbat)2=α+β1=α+Kb1×y=α+β2=α+Kb2×(y+σ) …(5)
式(5)よりKb2=Kb1×y/(y+σ)となる。
式(5)よりKb2=Kb1×y/(y+σ)となる。
σは以下の式(6)に従って表わされる。mは保障走行距離である。
σ=(m×κ2−y)/(1−κ2) …(6)
ここで、κは以下の式(7)に従って表わされる。
σ=(m×κ2−y)/(1−κ2) …(6)
ここで、κは以下の式(7)に従って表わされる。
κ=(γ0−γbat)/(γ0−γa) …(7)
図8は、本実施の形態に係る充放電制御を説明するためのフローチャートである。
図8は、本実施の形態に係る充放電制御を説明するためのフローチャートである。
図8を参照して、ステップS11において、電池性能推定部46は、バッテリの電流Ib、電圧Vbおよび温度Tbに基づいて、バッテリ10の現在のSOHを推定し、その推定されたSOHに基づいて電池性能指数γbatを推定する。充放電制御部47は、電池性能推定部46から電池性能指数γbatを取得する。
ステップS12において、許容性能推定部45は、走行距離算出部41により算出された走行距離(積算値)および電池使用期間計測部42により計測された使用期間(積算値)を取得するとともに、マップ記憶部43に記憶されたマップ44を参照する。これにより許容性能推定部45は、許容性能指数ωをマップ44から取得する。たとえば許容性能推定部45は、マップ44中の走行距離のうち走行距離算出部41により算出された積算値に最も近い走行距離、マップ44中の経過年数のうち電池使用期間計測部42により計測された使用期間に最も近い経過年数に基づいて、許容性能指数ωを特定する。許容性能推定部45は、許容性能指数ωを充放電制御部47に出力する。
ステップS13において、充放電制御部47は、電池性能指数γbatが許容性能指数ω以上であるか否かを判定する。γbat≧ωであると判定された場合(ステップS13においてYES)、処理はステップS14に進む。ステップS14において、充放電制御部47は、現在の充放電制御を維持すると判定する。この場合には充放電制御は変更されない。
一方、γbat<ωであると充放電制御部47により判定された場合(ステップS13においてNO)、処理はステップS15に進む。ステップS15において、充放電制御部47は、上記の式(6)および式(7)に従ってσを算出する。ステップS16において、充放電制御部47は、マップ記憶部43に記憶されたマップ44を更新する。
図9は、充放電制御部によって変更されたマップを示した図である。図9および図3を参照して、y以上の走行距離は+σシフトする。たとえば走行距離yは(y+σ)にシフトする。
図8に戻り、ステップS17において、充放電制御部47は、Kb2=Kb1×y/(y+σ)との関係に従い、劣化係数Kb1、走行距離yおよびσから劣化係数Kb2を算出する。劣化係数Kb1は、前回のルーチンでのステップS17の処理により算出された劣化係数である。
ステップS18において、充放電制御部47は、バッテリ10の充放電制御を、現在の制御からバッテリの劣化を抑制するための制御へと変更する。具体的には、充放電制御部47は劣化係数Kb2から得られるパラメータに基づいて、バッテリ10の充放電制御を変更する。ステップS18の処理が終了すると処理はメインルーチンに戻され、以後、充放電制御部47は、ステップS18の処理によって設定された充放電制御を実行する。
続いて充放電制御部47により実行されるバッテリの劣化抑制制御を説明する。以下に説明する複数の制御は、単独で実行されてもよく、組み合わせてもよい。
(第1の制御)
充放電制御部47は、バッテリ10のSOCに基づいてバッテリの充放電を制御する。充放電制御部47は、以下の式(8)に従って劣化係数Kbを算出する。
充放電制御部47は、バッテリ10のSOCに基づいてバッテリの充放電を制御する。充放電制御部47は、以下の式(8)に従って劣化係数Kbを算出する。
Kb=a×T+b×SV+c …(8)
a,b,cは係数であり、Tはバッテリ温度Tbの目標値であり、SVはSOCの制御範囲の中心値である。
a,b,cは係数であり、Tはバッテリ温度Tbの目標値であり、SVはSOCの制御範囲の中心値である。
充放電制御部47は、現在のバッテリ温度TbおよびSOCの制御範囲の中心値SVに基づき劣化係数Kb1を算出する。次に充放電制御部47は、現在の走行距離y、式(6)および式(7)に基づいて、劣化係数Kb2を算出する。
充放電制御部47は、バッテリ温度の目標値Tを維持し、劣化係数Kb2から中心値SVを算出する。以後、充放電制御部47は、SOCが中心値SVの付近で推移するようにバッテリ10の充放電を制御する。SOCの制御範囲の中心値SVを低下させることにより、バッテリに蓄えられる電力量を少なくすることができる。これによりバッテリの劣化を抑制することができる。
充放電制御部47は、SOCの制御範囲の中心値SVを維持し、バッテリ温度の目標値Tを低下させることもできる。この場合、たとえばバッテリ10に入出力される電力量が小さくなるようにバッテリ10が充放電される。これによりバッテリの劣化を抑制することができる。
なお、バッテリ温度の目標値TおよびSOCの制御範囲の中心値SVの両方を変化させてもよい。また、充放電制御部47は、以下の式(9)に従って、劣化係数Kbを算出してもよい。
Kb=a×exp[−(b−c×V)/T] …(9)
ただし上記の式(8)に劣化係数を算出することにより、SOCの制御範囲の中心値SV、バッテリ温度の目標値Tを容易に算出できる。
ただし上記の式(8)に劣化係数を算出することにより、SOCの制御範囲の中心値SV、バッテリ温度の目標値Tを容易に算出できる。
(第2の制御)
充放電制御部47は、バッテリ10に入力される電力量が許容入力電力量Winを超えないようにバッテリ10の充電を制御する。同様に、充放電制御部47は、バッテリ10から出力される電力量が許容出力電力量Woutを超えないようにバッテリ10の放電を制御する。
充放電制御部47は、バッテリ10に入力される電力量が許容入力電力量Winを超えないようにバッテリ10の充電を制御する。同様に、充放電制御部47は、バッテリ10から出力される電力量が許容出力電力量Woutを超えないようにバッテリ10の放電を制御する。
充放電制御部47は、以下の式(10)および式(11)に式に従ってKb1_in,Kb1_outを算出する。a,bは定数である。
Kb1_in=a×Win …(10)
Kb1_out=b×Wout …(11)
次に、充放電制御部47は、Kb2_in=Kb1_in×y/(y+σ),Kb2_out=Kb1_out×y/(y+σ)との式、現在の走行距離y、式(6)および式(7)に基づいて、劣化係数Kb2_inおよびKb2_outを算出する。
Kb1_out=b×Wout …(11)
次に、充放電制御部47は、Kb2_in=Kb1_in×y/(y+σ),Kb2_out=Kb1_out×y/(y+σ)との式、現在の走行距離y、式(6)および式(7)に基づいて、劣化係数Kb2_inおよびKb2_outを算出する。
次に充放電制御部47は、Kb2_inをaで割ることにより許容入力電力量Winを算出するとともに、Kb2_outをbで割ることにより許容出力電力量Woutを算出する。充放電制御部47は、新たに算出されたWin,Woutに従ってバッテリの充放電を制御する。
第2の制御によれば、Win,Woutが小さくなるので、バッテリに入出力される電力量を小さくすることができる。これによりバッテリの劣化を抑制することができる。
(第3の制御)
充放電制御部47は、バッテリ電圧Vbが上限電圧Vupを超えないようにバッテリの充放電を制御する。充放電制御部47は、以下の式(12)に従って劣化係数Kbを算出する。aは定数である。
充放電制御部47は、バッテリ電圧Vbが上限電圧Vupを超えないようにバッテリの充放電を制御する。充放電制御部47は、以下の式(12)に従って劣化係数Kbを算出する。aは定数である。
Kb=a×Vup …(12)
充放電制御部47は、現在の上限電圧Vupに基づき劣化係数Kb1を算出する。次に充放電制御部47は、現在の走行距離y、式(6)および式(7)に基づいて、劣化係数Kb2を算出する。充放電制御部47は、劣化係数Kb2からバッテリの上限電圧Vupを算出して、その上限電圧Vupに基づいてバッテリ10の充放電を制御する。
充放電制御部47は、現在の上限電圧Vupに基づき劣化係数Kb1を算出する。次に充放電制御部47は、現在の走行距離y、式(6)および式(7)に基づいて、劣化係数Kb2を算出する。充放電制御部47は、劣化係数Kb2からバッテリの上限電圧Vupを算出して、その上限電圧Vupに基づいてバッテリ10の充放電を制御する。
第3の制御によれば、上限電圧Vupは変更前の値より小さくなる。これにより、たとえばバッテリに入力される電力量を小さくすることができるので、バッテリの劣化を抑制することが可能になる。
(寿命レベルの判定)
図10は、図1に示したECU30の他の構成を示したブロック図である。図10を参照して、マップ記憶部43は、マップ44に加えてマップ48を記憶する。マップ48は経過年数の平方根と走行距離の平方根とに基づいてバッテリの寿命レベルを定義する。充放電制御部47は、マップ48から、バッテリ10の寿命レベルを取得する。なお充放電制御部47は、上述した劣化抑制制御を実行する。このため、劣化抑制制御については以後の説明を繰り返さない。
図10は、図1に示したECU30の他の構成を示したブロック図である。図10を参照して、マップ記憶部43は、マップ44に加えてマップ48を記憶する。マップ48は経過年数の平方根と走行距離の平方根とに基づいてバッテリの寿命レベルを定義する。充放電制御部47は、マップ48から、バッテリ10の寿命レベルを取得する。なお充放電制御部47は、上述した劣化抑制制御を実行する。このため、劣化抑制制御については以後の説明を繰り返さない。
図11は、図10に示したマップ記憶部43に記憶されるマップ48を説明するための図である。図11および図3を参照して、走行距離が0でありかつ経過年数が0である場合には、寿命レベルは100(%)である。走行距離および経過年数の少なくとも一方が増加するにしたがって寿命レベルは低下する。寿命レベルは、許容性能指数に対応して設定される。経過年数が保障年数(この例では10年)に達した場合、あるいは、走行距離が保障走行距離(この例では15万マイル)に達した場合には、寿命レベルは0(%)になる。
充放電制御部47は、電池性能指数γbatを図3に示したマップ44と照合することにより、電池性能指数γbatと最も近い許容性能指数ωを取得するとともに、その許容性能指数ωに対応する走行距離および使用年数を推定する。なお、図3のマップでは、同じ許容性能指数に対して走行距離および使用年数の組み合わせが複数存在するので、充放電制御部47は、たとえば、その複数の組み合わせの中で、走行距離および使用年数の両方が最大となる組み合わせを選択する。
充放電制御部47は、その推定された走行距離および使用年数と、図11に示したマップとに基づいて、バッテリ10の現在の状態に対応する寿命レベルを推定する。充放電制御部47は、その寿命レベルに基づいて、バッテリの残寿命を推定する。推定結果は充放電制御部47の内部に記憶されてもよく、また、図示しない表示装置に表示されてもよい。
以上のように本実施の形態によれば、走行距離と使用期間との両方からバッテリの性能を保障することができる。さらに本実施の形態によれば、SOHから推定された電池性能がマップによって定められた許容性能を下回る場合には、劣化係数が変更されるとともにその劣化係数に従って充放電が制御される。
劣化係数が変更されることによってバッテリの劣化を抑制できるだけでなく、バッテリの充放電の抑制の度合いを調節できる。これにより、本実施の形態によれば、車両の駆動性を急激に低下させることなく、保障走行距離および保障年数の少なくとも一方に達するまでバッテリを使用することができる。したがってバッテリを有効に活用することができる。
さらに本実施の形態によれば、バッテリの寿命レベルを判定できるので、バッテリの残寿命を推定できる。これにより、たとえば中古車市場において、購入対象のハイブリッド車両(中古車)のバッテリの寿命を判定できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 バッテリ、14 モータ、16 エンジン、18 動力分割機構、20 ジェネレータ、22 減速機、24,26 前輪、27,28 車輪速センサ、31 電流センサ、32 電圧センサ、33 温度センサ、41 走行距離算出部、42 電池使用期間計測部、43 マップ記憶部、44,48 マップ、45 許容性能推定部、46 電池性能推定部、47 充放電制御部、100 ハイブリッド車両、A1,A2 矢印、P,P0 点、P1 限界点。
Claims (8)
- 車両を走行させる電動機に電力を供給するための二次電池の制御装置であって、
前記二次電池の使用可能期間および前記車両の走行可能距離を確保するために最低限必要な前記二次電池の性能を示す許容性能指数を、前記二次電池の使用期間および前記車両の走行距離の各々の平方根に基づいて規定するマップを記憶する記憶部と、
前記二次電池の充電時および放電時における前記二次電池の状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果から、前記二次電池の現在の性能を示す電池性能指数を推定する電池性能推定部と、
前記二次電池の前記使用期間と、前記車両の前記走行距離と、前記記憶部に記憶された前記マップとを用いて、前記許容性能指数を取得する許容性能推定部と、
前記電池性能推定部からの前記電池性能指数と前記許容性能推定部からの前記許容性能指数とを比較するとともに、その比較結果に基づいて前記二次電池の充放電を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電池性能指数が前記許容性能指数以上である場合には、前記二次電池の充放電に関する現在の制御を維持する一方で、前記電池性能指数が前記許容性能指数より小さい場合には、前記二次電池の充放電のための制御を、前記現在の制御から、前記二次電池の劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更する、二次電池の制御装置。 - 前記制御部は、前記二次電池の充放電制御のためのパラメータを用いて、前記二次電池の劣化状態を示す劣化係数を算出し、前記電池性能指数が前記許容性能指数より小さい場合には、前記走行距離を用いて前記劣化係数を低下させるとともに、低下した劣化係数から得られる前記パラメータに基づいて前記劣化抑制制御を実行する、請求項1に記載の二次電池の制御装置。
- 前記制御部は、前記二次電池の充電状態を示す状態値を制御することによって前記二次電池の充放電を制御し、
前記パラメータは、前記状態値の制御範囲の中心値であり、
前記劣化抑制制御の実行時に用いられる前記中心値は、前記現在の制御の実行時に用いられる前記中心値よりも小さい、請求項2に記載の二次電池の制御装置。 - 前記パラメータは、前記二次電池の温度の目標値であり、
前記劣化抑制制御の実行時に用いられる前記目標値は、前記現在の制御の実行時に用いられる前記目標値よりも小さい、請求項2に記載の二次電池の制御装置。 - 前記パラメータは、前記二次電池の許容入力電力量および許容出力電力量を含み、
前記劣化抑制制御の実行時に用いられる前記許容入力電力量は、前記現在の制御の実行時に用いられる前記許容入力電力量よりも小さく、
前記劣化抑制制御の実行時に用いられる前記許容出力電力量は、前記現在の制御の実行時に用いられる前記許容出力電力量よりも小さい、請求項2に記載の二次電池の制御装置。 - 前記パラメータは、前記二次電池の電圧の上限値であり、
前記劣化抑制制御の実行時に用いられる前記上限値は、前記現在の制御の実行時に用いられる前記上限値よりも小さい、請求項2に記載の二次電池の制御装置。 - 車両を走行させる電動機に電力を供給するための二次電池の制御方法であって、
前記二次電池の充電時および放電時における前記二次電池の状態に基づいて、前記二次電池の現在の性能を示す電池性能指数を推定するステップと、
前記二次電池の使用可能期間および前記車両の走行可能距離を確保するために最低限必要な前記二次電池の性能を示す許容性能指数を、前記二次電池の使用期間および前記車両の走行距離の各々の平方根に基づいて規定するマップと、前記二次電池の前記使用期間と、前記車両の前記走行距離とを用いることにより、前記許容性能指数を取得するステップと、
前記電池性能指数と前記許容性能指数とを比較することによって、前記二次電池の充放電を制御するステップとを備え、
前記制御するステップは、
前記電池性能指数が前記許容性能指数以上である場合には、前記二次電池の充放電に関する現在の制御を維持するステップと、
前記電池性能指数が前記許容性能指数より小さい場合には、前記二次電池の充放電のための制御を、前記現在の制御から、前記二次電池の劣化を抑制するための劣化抑制制御に変更するステップとを含む、二次電池の制御方法。 - 車両を走行させる電動機に電力を供給するための二次電池を制御する制御装置に用いられる制御マップの作成方法であって、
前記二次電池の初期性能を示す初期性能指数を受け付けるステップと、
前記二次電池の寿命時の性能を示す寿命性能指数を受け付けるステップと、
前記車両が前記二次電池を使用して走行可能な保障走行距離を受け付けるステップと、
前記二次電池の保障使用期間を受け付けるステップと、
前記初期性能指数と前記寿命性能指数と前記車両の走行距離とに基づいて、前記保障使用期間および前記保障走行距離を確保するために最低限必要な前記二次電池の性能を示す許容性能指数が前記走行距離の平方根に対して線形的に変化するように、前記許容性能指数を算出するステップと、
前記初期性能指数と前記寿命性能指数と前記二次電池の使用期間とに基づいて、前記許容性能指数が前記二次電池の前記使用期間の平方根に対して線形的に変化するように、前記許容性能指数を算出するステップとを備える、制御マップの作成方法。
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