JP2011043103A - 蒸気タービン車室、これを備えた蒸気タービンおよびこれを備えた原子力発電プラントならびに蒸気タービン車室の組立方法 - Google Patents

蒸気タービン車室、これを備えた蒸気タービンおよびこれを備えた原子力発電プラントならびに蒸気タービン車室の組立方法 Download PDF

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Abstract

【課題】内車室下半部側の合わせ面の変形を抑制し内車室の組立を精度良く行うことができる蒸気タービン車室を提供することを目的とする。
【解決手段】タービンロータを収容するとともに、内車室上半部及び内車室下半部16を有する内車室と、内車室を収容するとともに、外車室上半部及び外車室下半部4を有する外車室と、を備え、外車室下半部4は、両側部に設けられた外車室固定部22が基礎50上に設置されることによって自重が支持され、内車室下半部16は、両側部に設けられた内車室固定部21が外車室固定部22上に設置されることによって自重が支持される、蒸気タービン車室において、外車室固定部22と、外車室固定部22上に設けられた内車室固定部21との間には、内車室固定部21が外車室固定部22に対して内車室の内側へ変位することを抑制する変位抑制機構21a,22aが設けられていることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、蒸気タービン車室、これを備えた蒸気タービンおよびこれを備えた原子力発電プラントならびに蒸気タービン車室の組立方法に関し、特に、低圧蒸気タービン車室の支持構造に関するものである。
一般に、火力や原子力発電プラントにおいて使用されている蒸気タービンは、タービンロータを収容する内車室と、この内車室を収容する外車室とを備えている。内車室は、上下に分割された内車室上半部および内車室下半部を有し、外車室は、上下に分割された外車室上半部および外車室下半部を有している。
このような構造とされた蒸気タービン車室の組立方法については、下記特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特開2002−364309号公報 特開平11−93616号公報
建設現場にプラントを搬入した後に蒸気タービン車室を組立てる場合、先ず、図5(A)に示すように、基礎50の上方に設けられている台板51上に外車室下半部4の両側部を設置する。この際、外車室下半部4の両側部に設けられているフート底面9と台板51とが接合することによって、外車室下半部4の自重が支持される。
次に、内車室下半部16がクレーン60によって吊り下げられて、台板51上に設置されている外車室下半部4内に搭載される。搭載された内車室下半部16は、内車室下半部16の両側部の外側に突出している内車室支持板19の下方に設けられている内車室固定部(図示せず)を介して、外車室下半部4のフート底面9の上方に設けられている外車室側支持部22により支持される。内車室下半部16は、両側部に設けられている内車室固定部によって、その自重が支持されている。内車室下半部16が外車室下半部4内に設置された後、内車室下半部16には、タービンロータ(図示せず)が収容される。
タービンロータが内車室下半部16内に収容された後、図5(B)に示すように、内車室下半部16には、内車室上半部15がクレーン60によって搭載される。この際、内車室下半部16の両側部に設けられている内車室固定部は、内車室下半部16の自重によって内側へと移動してしまう。内車室下半部16の内車室固定部が内側へと移動することにより、内車室下半部16の中央部が下方へと撓む。内車室下半部16の中央部が下方に撓むことにより内車室下半部16が変形し、内車室下半部16と内車室上半部15との分割合わせ面のうち内車室下半部側のフランジ18の合わせ面の水平度が低下する。
内車室下半部側フランジ18の合わせ面の水平度を維持するために、図5(C)に示すように、内車室下半部16の中央部をジャッキアップする。ジャッキアップ作業は、外車室下半部4の下方より足場61を架設し、外車室下半部4の内側中央部と内車室下半部16の外側中央部との間にジャッキ62を設けて内車室下半部16の中央部を上方へとジャッキアップする。これにより、内車室下半部側フランジ18の合わせ面の水平度が改善され、内車室上半部側フランジ17と内車室下半部側フランジ18とをボルト(図示せず)によって締め付けたときの内車室5の組立精度を向上させることができる。
内車室上半部側フランジ17と内車室下半部側フランジ18とをボルトによって締め付けた後は、図5(D)に示すように、内車室5を覆うように外車室上半部3をクレーン(図示せず)によって外車室下半部4へと搭載する。外車室下半部4のフート底面9の上方から外車室側壁(図示せず)およびリブ12によって支持されている外車室下半部側フランジ10と外車室上半部側フランジ13とをボルト(図示せず)によって締め付けることによって外車室2が接合され、蒸気タービン車室1の組立作業が完了する。
しかし、上述の組立方法では、内車室下半部の中央部を上方へとジャッキアップするためには、ジャッキアップ作業用の足場の架設が必要となる。そのため、足場の架設に時間を要し、蒸気タービン車室の組立作業の工期が長期化するという問題があった。
なお、特許文献1には、予め工場において組立を行い静止部と回転部との間隙確認や調整を行った後、組立状態にして工場からプラントへと出荷することが開示されているが、建設現場に蒸気タービン車室を搬入した後の組立作業については開示されていない。
特許文献2には、回転部と内車室壁との接触を防止する内車室の支持構造が開示されているものの、内車室下半部の自重を起因として内車室下半部が変形した場合における、内車室下半部側フランジの合わせ面の水平度の維持方法については開示されていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内車室下半部側の合わせ面の変形を抑制し内車室の組立を精度良く行うことができる蒸気タービン車室、これを備えた蒸気タービンおよびこれを備えた原子力発電プラントならびに蒸気タービン車室の組立方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の蒸気タービン車室、これを備えた蒸気タービンおよびこれを備えた原子力発電プラントならびに蒸気タービン車室の組立方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる蒸気タービン車室は、タービンロータを収容するとともに、上下に分割された内車室上半部および内車室下半部を有する内車室と、該内車室を収容するとともに、上下に分割された外車室上半部および外車室下半部を有する外車室と、を備え、該外車室下半部は、両側部に設けられた外車室固定部が基礎上に設置されることによって自重が支持され、前記内車室下半部は、両側部に設けられた内車室固定部が前記外車室固定部上に設置されることによって自重が支持される、蒸気タービン車室において、前記外車室固定部と、該外車室固定部上に設けられた前記内車室固定部との間には、前記内車室固定部が前記外車室固定部に対して前記内車室の内側へ変位することを抑制する変位抑制機構が設けられていることを特徴とする。
内車室下半部は、両側部に設けられた内車室固定部によってその自重が支持されるので、内車室下半部の中央部は自重によって下方へと撓んで変形しようとする。しかし、本発明では、外車室固定部と内車室固定部との間に設けられた変位抑制機構によって内車室固定部が外車室固定部に対して内車室の内側へ変位しようとすることが抑制される。すなわち、両側部の内車室固定部に加わる内車室の内側方向の力は、対応する外車室固定部を介して外車室下半部全体の剛性によって受け止められることになる。これにより、内車室下半部の中央部が下方に撓んでしまうことが抑制される。そのため、内車室下半部の中央部をジャッキアップすることなく内車室下半部と内車室上半部との組立を精度良く行うことができる。ジャッキアップする必要がないため、ジャッキアップ作業用の足場の架設作業が不要となる。したがって、蒸気タービン車室の組立工期の短縮と作業の容易化を図ることができる。
本発明にかかる蒸気タービン車室によれば、前記変位抑制機構は、前記外車室固定部に設けられ、前記内車室固定部側に突出する外車室側凸部と、前記内車室固定部に設けられ、前記外車室固定部側に突出する内車室側凸部とを備え、前記外車室側凸部は、前記内車室側凸部の内側への変位を規制するとともに、前記内車室の外側への変位を許容するように、前記内車室側凸部の外側に位置されていることを特徴とする。
内車室は、蒸気タービン運転時には外車室の温度に比べて高温となるので、外側へ膨張し熱伸びを生じようとする。しかし、本発明では、内車室に設けられる内車室側凸部が外車室に設けられる外車室側凸部の外側に設けられるので、内車室の外側への変位を許容することが可能となる。そのため、内車室の水平方向の熱伸びが拘束されない。したがって、内車室における熱応力の発生を抑制することができる。
本発明にかかる蒸気タービン車室によれば、前記外車室側凸部と前記内車室側凸部との間には、これら凸部間の間隔を調整することができる間隔調整機構が設けられていることを特徴とする。
本発明では、間隔調整機構によって外車室側凸部と内車室側凸部との間隔を調整することができる。そのため、内車室下半部は、外車室下半部に対する水平方向の位置を調整することが可能となる。したがって、蒸気タービン車室の組立工期の短縮と施工の容易化を図ることができる。
また、本発明にかかる蒸気タービンによれば、上記のいずれかに記載の蒸気タービン車室を有することを特徴とする。
ジャッキアップを行うことなく内車室下半部と内車室上半部との組立が精度良く行われるので、蒸気タービン車室の組立工期の短縮や施工の容易化につながる。したがって、蒸気タービンの組立工期の短縮や施工の容易化を図ることができる。
また、本発明にかかる原子力発電プラントによれば、上記のいずれかに記載の蒸気タービン車室を有する蒸気タービンを備えたことを特徴とする。
原子力発電プラントには、大型の蒸気タービンが用いられている。そのため、蒸気タービン車室の組立工期の短縮と施工の容易化を図ることにより、原子力発電プラントに占める蒸気タービンの組立工期が短縮される。したがって、原子力発電プラント全体の施工工期を効果的に短縮することができる。
また、本発明にかかる蒸気タービン車室の組立方法は、タービンロータを収容するとともに、上下に分割された内車室上半部および内車室下半部を有する内車室と、該内車室を収容するとともに、上下に分割された外車室上半部および外車室下半部を有する外車室と、を備え、前記外車室下半部は、両側部に設けられた外車室固定部が基礎上に設置されることによって自重が支持され、前記内車室下半部は、両側部に設けられた内車室固定部が前記外車室固定部上に設置されることによって自重が支持される、蒸気タービン車室の組立方法において、該外車室固定部とその上に設置された前記内車室固定部との間に設けられた前記変位抑制機構設によって、前記外車室固定部に対して前記内車室の内側への変位を抑制することを特徴とする。
内車室下半部が内車室固定部と外車室固定部とを介して外車室下半部に収容された際には、内車室下半部の自重により内車室下半部の中央部が下方へと撓み内車室下半部が変形する。しかし、本発明によると変位抑制機構によって内車室下半部の下方への撓みを抑制することができるので、ジャッキアップ作業を行うことなく内車室下半部の合わせ面の水平度を維持することができる。したがって、精度良く蒸気タービン車室を組立てることができる。
本発明によると、変位抑制機構によって内車室の自重を起因とし内車室固定部が外車室固定部に対して内車室の内側へ変位することが抑制され、内車室下半部の中央部下方への撓みが抑制される。そのため、内車室下半部の合わせ面の水平度を維持することが可能となる。したがって、ジャッキアップ作業用の足場の架設作業が不要となり、蒸気タービン車室の組立工期の短縮と作業の容易化を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る原子力発電プラントにおける低圧蒸気タービンの低圧蒸気タービン車室の斜視図である。 図1に示した低圧蒸気タービン車室のA−A部の横断面図である。 図1に示した低圧蒸気タービン車室の内車室下半部が外車室下半部に支持されていることを示すB部の部分拡大断面図である。 第2実施形態に係る変位抑制機構であり、(A)はその部分拡大図であり、(B)は(A)に示した変位抑制機構のC−C部の上面図である。 従来の蒸気タービン車室の組立手順を示し、(A)は外車室下半部内への内車室下半部の吊りこみを示し、(B)は内車室下半部の中央部がその自重により下方へと撓むことを示し、(C)はジャッキアップ作業用の足場の架設状態を示し、(D)は蒸気タービン組立作業完了状態を示す図である。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る原子力発電プラントに設けられている低圧蒸気タービンが有している低圧蒸気タービン車室の一実施形態について図1から図3に基づいて説明する。
図1には、原子力発電プラントに設けられている低圧蒸気タービンが有している低圧蒸気タービン車室が示されている。
低圧蒸気タービン車室1は、内車室(図示せず)と、内車室を収容している外車室2と、内車室の内部に収容されているタービンロータ(図示せず)とを備えている。
外車室2は、上下に2分割されており、外車室上半部3と外車室下半部4とを備えている。また、外車室2のタービン軸(図示せず)方向には、タービンロータ用穴7が前後に開口している。
外車室上半部3の上部には、蒸気導入口6が開口している。
外車室下半部4は、水平面を有しているフート底板9と、水平面を有している外車室下半部側フランジ10と、外車室下半部側フランジ10に接合する外車室上半部側フランジ13とを備えている。
外車室下半部側フランジ10は、フート底板9の上方に設けられている外車室側壁11およびリブ12によって下方から支持されている。外車室下半部側フランジ10は、台板51(図2参照)の上面に対して平行する面を有している。外車室下半部側フランジ10は、外車室上半部3と外車室下半部4との合わせ面となる分割面であり、外車室上半部3が有している外車室上半部側フランジ13と接合している。外車室上半部側フランジ13と外車室下半部側フランジ10とは、ボルト(図示せず)により結合されている。
フート底板9は、基礎50(図2参照)の周囲に設けられている台板51(図2参照)の上面に対して平行する面を有している。フート底板9は、外車室2が熱膨張し熱伸びを生じた際には、台板51(図2参照)に対して水平方向に移動することができる構造とされている。台板51の上面とフート底板9の下面とが接合することによって、外車室下半部4は、基礎50(図2参照)上に支持される。
外車室側壁11は、複数のリブ12の間を繋ぐように基礎50(図2参照)の周囲を囲んでいる。外車室側壁11およびリブ12の下方には、フート底板9が設けられている。タービン軸方向のフート底板9の上面両側には、水平方向に外車室側壁11を外側に突出させた外車室支持部14が2箇所ずつ設けられている。各外車室支持部14には、外車室固定部22(図2参照)が設けられている。
図2には、図1に示した低圧蒸気タービン車室のA−A部の横断面図が示されている。
内車室5は、上下に2分割されており、内車室上半部15と内車室下半部16とを備えている。
内車室上半部15は、その下方に水平面を有している内車室上半部側フランジ17を備えている。
内車室下半部16は、その上方に水平面を有している内車室下半部側フランジ18と、半径方向の外側左右に水平に突出している内車室支持板19とを備えている。
内車室下半部側フランジ18は、内車室上半部15と内車室下半部16との合わせ面となる分割面であり、内車室上半部側フランジ17と接合している。内車室上半部側フランジ17と内車室下半部側フランジ18とは、ボルト(図示せず)により結合されている。
内車室支持板19は、内車室下半部16のタービン軸方向に対して水平に左右に突出している。内車室支持板19は、その先端の下方に設けられている内車室固定部21を介して外車室下半部4内に支持されている。
図3には、図1に示した低圧蒸気タービン車室の内車室下半部が変位抑制機構を介して外車室下半部に支持されているB部の部分拡大断面図が示されている。
内車室固定部21は、水平面とその水平面に直角をなす垂直面との2面を有しタービン軸方向に断面L字形状となっている。内車室固定部21には、断面L字形状の一部であり外車室固定部22側に突出する内車室側凸部(変位抑制機構)21aが設けられている。内車室側凸部21aは、後述する外車室側凸部22aに対して外側の位置に設けられている。
外車室固定部22は、水平面とその水平面に直角をなす垂直面との2面を有しタービン軸方向に断面逆L字形状となっている。外車室固定部22には、断面逆L字形状の一部であり内車室固定部21側に突出する外車室側凸部(変位抑制機構)22aが設けられている。外車室側凸部22aは、内車室側凸部21aに対して内側の位置に設けられている。
外車室固定部22と内車室固定部21とは、各々の断面がタービン軸方向にL字形状同士が連結するように成型されている。そのため、外車室固定部22の断面逆L字形状の凹部は、内車室固定部21の内車室側凸部21aが連結される幅と大きさとを有している。また、同様に、内車室固定部21の断面L字形状の凹部は、外車室固定部22の外車室側凸部22aが連結される幅と大きさとを有している。
次に、低圧蒸気タービン車室の組立方法について図2および図3に基づいて説明する。
原子力発電プラントに搬入された組立状態の低圧蒸気タービン車室1は、外車室下半部4が基礎50の周囲に固定されている台板51上にフート底部9を介して設置される。台板51上に設置された外車室下半部4には、内車室下半部16が収容される。内車室下半部16は、図3に示すように、内車室固定部21の内車室側凸部21aと外車室固定部22の外車室側凸部22aとが連結することにより、外車室下半部4内に支持される。
内車室側凸部21aと外車室側凸部22aとによって両側が支持されている内車室下半部16には、タービン軸方向に対して鉛直下方へと内車室下半部16の自重が作用する。作用している内車室下半部16の自重によって、内車室固定部21には、内車室下半部16の内側方向に力が加わる。そのため、内車室側凸部21aは、内車室下半部16の内側へと移動しようとする。しかし、内側へ移動しようとする内車室側凸部21aには、外車室側凸部22aが連結している。そのため、内車室側凸部21aの内車室下半部16の内側へと移動しようとする力は、連結している外車室側凸部22aを介して外車室下半部4の剛性によって抑制される。
内車室下半部16が外車室下半部4内に収容された後、タービンロータが内車室下半部16内部に設置される。タービンロータ設置後、内車室下半部16には、図2に示すように、内車室上半部15がタービンローラを覆うように被せられる。内車室上半部15と内車室下半部16とは、内車室上半部側フランジ17と内車室下半部側フランジ18とがボルト(図示せず)により締め付けられることによって結合されている。
内車室上半部15と内車室下半部16とが結合された後、外車室上半部3が内車室5を収容するように外車室下半部4に載せられる。載せられた外車室上半部3と外車室下半部4とは、外車室上半部側フランジ13と外車室下半部側フランジ10とがボルト(図示せず)により締め付けられことによって結合される。これによって低圧蒸気タービン車室1の組立作業が終了する。
以上の通り、本実施形態に係る低圧蒸気タービン車室を有する低圧蒸気タービンを備えた原子力発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
内車室下半部16は、内車室支持板19(両側部)に設けられている内車室固定部21によって内車室下半部16の自重が支持されている。そのため、内車室下半部16の中央部は、内車室下半部16の自重によって下方へと撓んで変形しようとする。しかし、本発明では、外車室固定部22に設けられている外車室側凸部22a(変位抑制機構)と内車室固定部21に設けられている内車室側凸部21a(変位抑制機構)とによって内車室固定部21が外車室固定部22に対して内車室5の内側へ変位しようとすることが抑制されている。すなわち、内車室支持板19に設けられている内車室固定部21の内車室側凸部21aに加わる内車室下半部16の内側方向の力は、対応する外車室固定部22の外車室側凸部22aを介して外車室下半部4全体の剛性によって受け止められることになる。これにより、内車室下半部16の中央部が下方に撓んでしまうことが抑制される。そのため、内車室下半部16の中央部をジャッキアップすることなく内車室下半部16と内車室上半部15との組立を精度良く行うことができる。ジャッキアップする必要がないため、ジャッキアップ作業用の足場の架設作業が不要となる。したがって、低圧蒸気タービン車室1の組立工期の短縮と作業の容易化を図ることができる。
内車室5は、低圧蒸気タービン運転時には外車室2の温度に比べて高温となるので、外側へと膨張し熱伸びを生じようとする。しかし、本発明では、内車室下半部16に設けられている内車室側凸部21aが外車室下半部4に設けられている外車室側凸部22aの外側に設けられているので、内車室5の外側への変位を許容することが可能となる。そのため、内車室5の水平方向の熱伸びが拘束されない。したがって、内車室5における熱応力の発生を抑制することができる。
ジャッキアップを行うことなく内車室下半部16と内車室上半部15との組立が精度良く行われるので、低圧蒸気タービン車室1の組立工期の短縮や施工の容易化につながる。したがって、低圧蒸気タービンの組立工期の短縮や施工の容易化を図ることができる。
原子力発電プラントには、大型の低圧蒸気タービンが用いられている。そのため、低圧蒸気タービン車室1の組立工期の短縮と施工の容易化を図ることにより、原子力発電プラントに占める低圧蒸気タービンの組立工期が短縮される。したがって、原子力発電プラント全体の施工工期を効果的に短縮することができる。
内車室下半部16が内車室固定部21と外車室固定部22とを介して外車室下半部4に収容された際には、内車室下半部16の自重により内車室下半部15の中央部が下方へと撓み内車室下半部16が変形する。しかし、本発明によると外車室側凸部22a(変位抑制機構)と内車室側凸部21a(変位抑制機構)とによって内車室下半部16の下方への撓みを抑制することができるので、ジャッキアップ作業を行うことなく内車室下半部側フランジ(内車室下半部の合わせ面)18面の水平度を維持することができる。したがって、精度良く低圧蒸気タービン車室1を組立てることができる。
なお、本実施形態では、低圧蒸気タービン車室1を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、高圧蒸気タービン車室であっても良い。
また、本実施形態では、原子力発電プラントを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、蒸気タービンを用いて発電を行うプラントであれば良い。
また、本実施形態では、内車室側凸部21aを備えている内車室固定部21は、内車室支持板19に設けられるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく内車室支持板19と一体に形成されてもよい。また、外車室側凸部22aを備えている外車室固定部22は、外車室支持部14に設けられているとして説明したが、外車室支持部14と一体に形成されてもよい。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について図4に基づいて説明する。本実施形態の低圧蒸気タービン車室の構成および組立方法は、外車室側凸部と内車室側凸部との間に間隔調整機構を有している点において第1実施形態と相違し、その他は同様である。したがって、同一の構成および組立方法については、同一の符号を付してその説明を省略する。
図4(A)には、外車室側凸部22a(位置抑制機構)と内車室側凸部21a(位置抑制機構)との間に外車室スライド板22b(間隔調整機構)と内車室スライド板21b(間隔調整機構)とが設けられていることが示されている。また、図4(B)には、図4(A)の外車室側凸部22aおよび内車室側凸部21aのC−C部の上面図が示されている。
外車室側凸部22aの基礎50に対して直角をなす垂直面には、外車室スライド板22bが設けられている。また、内車室側凸部21aの基礎50に対して直角をなす垂直面には、外車室スライド板22bに対応するように内車室スライド板21bが設けられている。
外車室スライド板22bは、傾斜面を有している。外車室スライド板22bの傾斜面は、その勾配がタービン軸の延在する方向に向かって下降している。内車室スライド板21bは、傾斜面を有している。内車室スライド板21bの傾斜面は、その勾配がタービン軸の延在する方向に向かって上昇している。内車室スライド板21bは、内車室固定部21のタービン軸方向の端部に調整ねじ21cを有している。この調節ねじ21cによって、外車室側凸部22aと内車室側凸部21aとの間の間隔が調整される。
以上の通り、本実施形態に係る低圧蒸気タービン車室を有する低圧蒸気タービンを備えた原子力発電プラントによれば、以下の作用効果を奏する。
本発明では、外車室スライド板22b(間隔調整機構)および内車室スライド板21b(間隔調整機構)によって外車室側凸部22aと内車室側凸部21aとの間隔を調整することができる。そのため、内車室下半部16は、外車室下半部4に対して水平方向の位置を調整することが可能となる。したがって、低圧蒸気タービン車室1の組立工期の短縮と施工の容易化を図ることができる。
4 外車室下半部
16 内車室下半部
21 内車室固定部
21a 内車室側凸部(変位抑制機構)
22 外車室固定部
22a 外車室側凸部(変位抑制機構)
50 基礎

Claims (6)

  1. タービンロータを収容するとともに、上下に分割された内車室上半部および内車室下半部を有する内車室と、
    該内車室を収容するとともに、上下に分割された外車室上半部および外車室下半部を有する外車室と、を備え、
    前記外車室下半部は、両側部に設けられた外車室固定部が基礎上に設置されることによって自重が支持され、
    前記内車室下半部は、両側部に設けられた内車室固定部が前記外車室固定部上に設置されることによって自重が支持される、蒸気タービン車室において、
    前記外車室固定部と、該外車室固定部上に設けられた前記内車室固定部との間には、該内車室固定部が前記外車室固定部に対して前記内車室の内側へ変位することを抑制する変位抑制機構が設けられていることを特徴とする蒸気タービン車室。
  2. 前記変位抑制機構は、前記外車室固定部に設けられ、前記内車室固定部に突出する外車室側凸部と、前記内車室固定部に設けられ、前記外車室固定部側に突出する内車室側凸部とを備え、
    前記外車室側凸部は、前記内車室側凸部の内側への変位を規制するとともに、前記内車室の外側への変位を許容するように、前記内車室側凸部の外側に位置されていることを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン車室。
  3. 前記外車室側凸部と前記内車室側凸部との間には、これら凸部間の間隔を調整することができる間隔調整機構が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の蒸気タービン車室。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の蒸気タービン車室を有することを特徴とする蒸気タービン。
  5. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の蒸気タービン車室を有する蒸気タービンを備えたことを特徴とする原子力発電プラント。
  6. タービンロータを収容するとともに、上下に分割された内車室上半部および内車室下半部を有する内車室と、
    該内車室を収容するとともに、上下に分割された外車室上半部および外車室下半部を有する外車室と、を備え、
    前記外車室下半部は、両側部に設けられた外車室固定部が基礎上に設置されることによって自重が支持され、
    前記内車室下半部は、両側部に設けられた内車室固定部が前記外車室固定部上に設置されることによって自重が支持される、蒸気タービン車室の組立方法において、
    該外車室固定部とその上に設置された前記内車室固定部との間に設けられた前記変位抑制機構設によって、前記外車室固定部に対して前記内車室の内側への変位を抑制することを特徴とする蒸気タービン車室の組立方法。
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