JP2011042834A - 化成処理液および化成処理鋼板の製造方法 - Google Patents

化成処理液および化成処理鋼板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タンニン酸および硝酸を含む化成処理液であって、亜鉛原子が化成処理液に溶解可能な条件下においても、タンニン酸が分解されず、耐食性、基材への密着性、塗膜密着性に優れた化成処理液を形成できる化成処理液を提供すること。
【解決手段】本発明の化成処理液は、バルブメタル化合物と、硝酸または硝酸塩と、タンニン酸と、酸化防止剤とを含む。本発明の化成処理液では、酸化防止剤が化成処理液中に含まれる亜硝酸イオンを分解するため、タンニン酸がフェノールカルボン酸と多糖類に加水分解される反応を抑制することができる。したがって、本発明の化成処理液は、亜鉛原子が化成処理液に溶解可能な条件下においても、耐食性、基材への密着性、塗膜密着性に優れた化成処理液を形成することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、化成処理液および化成処理鋼板の製造方法に関する。
耐食性の良好な鋼材として、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板および合金化亜鉛めっき鋼板が多用されている。しかしながら、耐食性に優れたこれらの鋼板であっても、湿潤雰囲気や排ガス雰囲気、海塩粒子飛散雰囲気などに長期間放置すると、鋼板の表面に白錆が発生し、外観が劣化してしまう。この白錆の発生は、鋼板の表面をクロメート処理して鋼板の表面に耐食性の保護皮膜を形成することで防止されうる。しかしながら、クロメート処理には、クロム系化合物が毒性を有するという問題、特に6価クロムは人体の健康に被害を及ぼすという問題がある。そこで、近年、クロム系化合物を含まない化成処理液を用いて鋼板の表面に保護皮膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、4価チタン化合物、リン酸およびタンニン酸を含む亜鉛めっき鋼板用化成処理液が記載されている。4価チタン化合物とタンニン酸とが反応して形成される安定な化合物は、化成処理皮膜を不溶化し、化成処理皮膜のバリア機能を向上させる。また、リン酸は、亜鉛めっき層の表面をエッチングして、化成処理皮膜の亜鉛めっき層への密着性を向上させる。特許文献1の化成処理液を用いることで、亜鉛めっき鋼板の表面に耐食性および密着性に優れた化成処理皮膜を形成することができる。
特開2002−60959号公報
前述の通り、化成処理皮膜のめっき鋼板への密着性を向上させる一つの方法として、めっき層の表面をエッチングすることが挙げられる。そこで、本発明者は、エッチング性をより向上させるため、化成処理液にさらに硝酸を加えることを試みた。その結果、タンニン酸を含む化成処理液に硝酸を加えると、化成処理皮膜のバリア機能(耐食性)が低下してしまった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、タンニン酸および硝酸を含む化成処理液であって、より耐食性、めっき鋼板への密着性に優れた化成処理皮膜を形成できる化成処理液、および前記化成処理液を用いて化成処理鋼板を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、硝酸由来の亜硝酸イオンが触媒として作用して、タンニン酸が加水分解されてしまうことを見出した(後述)。そして、本発明者は、化成処理液に酸化防止剤を加えて亜硝酸イオンを分解することで、タンニン酸の加水分解を抑制して上記課題を解決しうることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第一は、以下の化成処理液に関する。
[1]亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板または合金化亜鉛めっき鋼板用の化成処理液であって;バルブメタル化合物と、硝酸または硝酸塩と、タンニン酸と、酸化防止剤とを含み;前記タンニン酸の濃度は0.2〜50g/Lの範囲内であり;前記タンニン酸に対する前記酸化防止剤の重量比は0.05〜5の範囲内であり;前記酸化防止剤はアスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールもしくはエチレンジアミン四酢酸またはこれらの組み合わせである、化成処理液。
[2]前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Mo、Nb、TaもしくはWまたはこれらの組み合わせである、[1]に記載の化成処理液。
また、本発明の第二は、以下の化成処理鋼板の製造方法に関する。
[3][1]または[2]に記載の化成処理液を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板または合金化亜鉛めっき鋼板の表面に塗布するステップと、前記鋼板の表面に塗布された前記化成処理液を50〜220℃で加熱して、前記鋼板の表面に化成処理皮膜を形成するステップとを含む、化成処理鋼板の製造方法。
本発明によれば、より耐食性およびめっき鋼板への密着性に優れた化成処理皮膜を形成することができるため、耐食性に優れた化成処理鋼板を提供することができる。
従来の化成処理液について、亜鉛を溶解させる前と亜鉛を200ppm溶解させた後のタンニン酸の分析結果を示すグラフ 従来の化成処理液について、亜鉛を溶解させる前と亜鉛を500ppm溶解させた後のタンニン酸の分析結果を示すグラフ 本発明の化成処理液について、亜鉛を溶解させる前と亜鉛を500ppm溶解させた後のタンニン酸およびアスコルビン酸の分析結果を示すグラフ
1.化成処理皮膜のバリア機能が低下する原因について
本発明者は、タンニン酸を含む化成処理液に硝酸を加えると化成処理皮膜のバリア機能が低下する原因について調査したところ、以下の事実を見出した。
1)タンニン酸および硝酸を含む化成処理液を用いて亜鉛原子を含むめっき層上に化成処理皮膜を形成した場合に化成処理皮膜のバリア機能が低下した。
2)ロールコーターを連続稼動して化成処理皮膜を形成する場合、時間が経過するほど、形成される化成処理皮膜のバリア機能が低下した。
3)ロールコーターを連続稼動して化成処理皮膜を形成する場合、時間が経過するほどi)亜鉛元素の濃度が上昇し、ii)硝酸イオンの濃度が減少し、iii)亜硝酸イオンの濃度が上昇し、iv)タンニン酸の濃度が減少した。
そして、上記1)〜3)の事実から、以下のフローにより化成処理皮膜のバリア機能が低下することが推測された(これに限定されるものではない)。
1)亜鉛原子を含むめっき層から化成処理液に亜鉛原子が溶出する。
2)化成処理液中において、亜鉛原子と硝酸とが反応して亜硝酸イオンが発生する(式1参照)。
Figure 2011042834
3)化成処理液中において、亜硝酸イオンが触媒として作用してタンニン酸が加水分解され、フェノールカルボン酸および多糖類(ブドウ糖など)が生成される(式2参照;式2ではタンニン酸の化学構造式を簡略化している)。
Figure 2011042834
このように、亜鉛原子が化成処理液に溶解可能な条件下において、タンニン酸および硝酸を含む化成処理液を用いて化成処理鋼板を製造すると、亜鉛原子、硝酸およびタンニン酸の反応によりタンニン酸が分解されてしまう。前述の通り、タンニン酸と他の化合物との反応生成物が化成処理皮膜のバリア機能などを担っているため、化成処理液中のタンニン酸が分解されてしまうと、化成処理皮膜のバリア機能が低下してしまうことになる。
そして、本発明者は、上記知見に基づき化成処理皮膜のバリア機能の低下を抑制する手段を検討したところ、亜鉛原子が化成処理液に溶解可能な条件下において、タンニン酸および硝酸を含む化成処理液を用いて化成処理鋼板を製造する場合であっても、化成処理液に酸化防止剤を加えることでタンニン酸の分解およびそれに伴う化成処理皮膜のバリア機能の低下を抑制できることを見出したのである。
以下、上記知見に基づいてなされた本発明の化成処理液、化成処理鋼板の製造方法について説明する。
2.本発明の化成処理液、化成処理鋼板の製造方法について
本発明の化成処理液は、バルブメタル化合物と、硝酸または硝酸塩と、タンニン酸と、酸化防止剤とを含む。本発明の化成処理液は、硝酸(または硝酸塩)とタンニン酸とを含む化成処理液であって、酸化防止剤を含むことを主たる特徴とする。
バルブメタルは、酸化物が高い絶縁抵抗を示す金属である。バルブメタルの例には、Ti、Zr、Hf、V、Mo、Nb、TaおよびWが含まれる。本発明の化成処理液は、これらのバルブメタルを1または2種類以上含む。化成処理液に添加されるバルブメタル化合物の種類は、水に溶解しうるものであれば特に限定されない。バルブメタル化合物の例には、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、酸化物、水素酸塩、酸素酸塩、水酸化物、リン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、有機酸塩が含まれる。この中では、酸化物、酸素酸塩、リン酸塩が好適である。バルブメタル化合物は、バルブメタルに換算して0.05〜200g/Lの割合で化成処理液中に添加されることが好ましい。
化成処理液中のバルブメタルは、化成処理皮膜を形成する際に基材と化成処理皮膜との界面近傍にて濃化する。その結果、バルブメタルの酸化物または水酸化物からなる皮膜が、基材と化成処理皮膜との界面近傍に形成される。バルブメタルの酸化物または水酸化物は、電子の移動に対する抵抗体として機能し、雰囲気中の水分に含まれる溶存酸素と下地鋼との酸化還元反応を抑制することで下地鋼からの金属成分の溶出(腐食)を防止する。また、バルブメタルの水溶性の塩は、化成処理皮膜から溶出し、化成処理皮膜の欠陥部において酸化物または水酸化物となって析出する。これにより、化成処理皮膜に自己修復機能を持たせることができる。
硝酸は、基材(めっき鋼板)のめっき層の表面をエッチングする作用があり、エッチングによって活性化しためっき層と化成処理皮膜との反応を促進させる。これにより、化成処理皮膜のめっき層への密着性を向上させることができる。化成処理液に添加される硝酸化合物の種類は、水に溶解しうるものであれば特に限定されない。硝酸化合物の例には、硝酸および硝酸塩(硝酸コバルト、硝酸ニッケル、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸銅、硝酸ナトリウムなど)が含まれる。硝酸化合物は、0.05〜100g/Lの割合で化成処理液中に添加されることが好ましい。硝酸化合物の量が0.05g/Lよりも少ないと、十分にエッチングを行うことができない。一方、硝酸化合物の量が100g/Lよりも多いと、エッチング作用が強くなりすぎ、かつ化成処理液の安定性が低下してしまう。
タンニン酸は、バルブメタルと安定な化合物を形成して化成処理皮膜を不溶化し、バリア機能を向上させる。タンニン酸は、0.2〜50g/Lの割合で化成処理液中に添加されることが好ましい。タンニン酸の量が0.2g/Lよりも少ないと、十分な耐食性を得ることができない。一方、タンニン酸の量が50g/Lよりも多いと、化成処理液の安定性が低下してしまう。
酸化防止剤は、化成処理液中に生成された亜硝酸イオン(触媒)を分解して、タンニン酸の加水分解を抑制する。有効な酸化防止剤の例には、アスコルビン酸(L−アスコルビン酸)、トコフェロール、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、エチレンジアミン四酢酸が含まれる。この中では、アスコルビン酸(L−アスコルビン酸)が最も有効であり、特に好ましい。これは、アスコルビン酸は生成された亜硝酸イオンを早期にアンモニアに分解する作用が最も大きいためと考えられる(式3参照)。
Figure 2011042834
酸化防止剤は、タンニン酸に対する重量比として0.05〜5の割合で添加されることが好ましい。酸化防止剤の量がこれよりも少ない場合、タンニン酸の分解を十分に抑制することができない。一方、酸化防止剤の量がこれよりも多いと、酸化防止剤の効果が飽和するため、これ以上の増加に伴う性能向上が期待できず、経済的ではない。
このように、本発明の化成処理液では、酸化防止剤が化成処理液中に含まれる亜硝酸イオンを分解するため、化成処理液中に亜鉛原子、硝酸イオンおよびタンニン酸が共存する場合であっても、タンニン酸が加水分解される反応を抑制することができる。したがって、本発明の化成処理液は、亜鉛原子が化成処理液に溶解可能な条件下においても、タンニン酸の分解を抑制することができ、化成処理皮膜のバリア機能の低下を抑制することができる。
なお、本発明者の実験によれば、所定量の酸化防止剤(上記において例示した化合物)を化成処理液に添加しても、製品の品質(耐食性、耐黒変性、後塗装性、耐結露錆性)への影響は観察されなかった。
本発明の化成処理液は、上記化合物の他にも、フッ化物イオンを含んでいることが好ましい。この場合、本発明の化成処理液は、フッ化物であるバルブメタル塩としてフッ化物イオンを含んでいることが好ましい。フッ化物であるバルブメタル塩の例には、KTiF(K:アルカリ金属又はアルカリ土類金属,n:1又は2),(NHTiF,などが含まれる。また、本発明の化成処理液は、上記化合物の他にも、反応促進剤としてリン酸や硫酸、塩酸、フッ化水素酸、これらの酸の塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)などを含んでいてもよい。たとえば、本発明の化成処理液がリン酸を含む場合、リン酸化合物の種類は水に溶解しうるものであれば特に限定されない。このようなリン酸化合物の種類の例には、正リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、金属リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カリウム、リン酸マンガン、リン酸亜鉛)、リン酸アンモニウムが含まれる。
化成処理皮膜を形成する基材の種類は特に限定されないが、本発明の化成処理液は、亜鉛原子を含むめっき層が形成されためっき鋼板に化成処理皮膜を形成する際に特に有用である。前述の通り、めっき層から亜鉛元素が化成処理液に溶出する条件下において、化成処理皮膜のバリア機能の低下(タンニン酸の分解)という課題が生じるからである。好ましい基材(めっき鋼板)の例には、亜鉛めっき鋼板(電気Znめっき、溶融Znめっき)、合金化亜鉛めっき鋼板(溶融Znめっき後に合金化処理した合金化溶融Znめっき)、亜鉛合金めっき鋼板(溶融Zn−Mgめっき、溶融Zn−Al−Mgめっき、溶融Zn−Alめっき)が含まれる。
本発明の化成処理液を用いて化成処理を行うには、例えば、1)本発明の化成処理液を基材(好ましくは、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板または合金化亜鉛めっき鋼板)の表面に塗布し、2)基材の表面に塗布された化成処理液を水洗いすることなく乾燥して化成処理皮膜を形成すればよい。これにより、バルブメタルと、硝酸または硝酸塩と、タンニン酸と、酸化防止剤とを含む化成処理皮膜を基材の表面に有する化成処理鋼板を製造することができる。
本発明の化成処理液を塗布する方法は、特に限定されず、ロールコート法やスピンコート法、スプレー法などであればよい。ただし、生産性の観点からはロールコート法により連続して化成処理鋼板を製造することが好ましい。前述の通り、化成処理液を循環使用するロールコーターを用いて、亜鉛元素を含むめっき鋼板の表面に化成処理皮膜を形成すると、めっき層から亜鉛元素が化成処理液に溶出し、タンニン酸が分解されるという問題が生じる。本発明の化成処理液を使用することで、この問題を解決することができ、耐食性に優れた化成処理皮膜を有する化成処理鋼板を連続して製造することができる。
化成処理液の塗布量は、十分な耐食性および後塗装性を確保する観点から、バルブメタル付着量が1mg/m以上となるように調整されることが好ましい。化成処理液を乾燥する際の乾燥温度は、常温であってもよいが、乾燥時間を短縮する観点からは50℃以上が好ましい。一方、乾燥温度が220℃を超えると、化成処理皮膜に含まれる有機成分が熱分解してしまい、有機成分で付与された特性が損なわれる可能性がある。したがって、化成処理液を乾燥する際の乾燥温度は、50〜220℃が好ましい。
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[実施例1]
実施例1では、本発明の化成処理液では、めっき層に含まれる亜鉛原子がタンニン酸および硝酸を含む化成処理液に溶出しても、タンニン酸が分解されないことを示す。
実験に用いた本発明の化成処理液(実施例;酸化防止剤としてアスコルビン酸を含む)と従来の化成処理液(比較例;酸化防止剤を含まない)の組成を表1に示す。また、実施例の化成処理液および比較例の化成処理液のそれぞれについて、亜鉛めっき鋼板を浸漬して亜鉛を200ppm溶解させた処理液(劣化液)と、亜鉛を500ppm溶解させた処理液(劣化液)を調製した。
Figure 2011042834
図1および図2は、比較例の化成処理液の高速液体クロマトグラフィーの分析結果を示すグラフである。図1は、調製直後の化成処理液(新液)と亜鉛を200ppm溶解させた化成処理液(劣化液)とを比較した結果であり、図2は、調製直後の化成処理液(新液)と亜鉛を500ppm溶解させた化成処理液(劣化液)とを比較した結果である。いずれのグラフにおいても、破線は新液の分析結果を示し、実線は劣化液の分析結果を示している。
図1および図2において、新液(破線)と劣化液(実線)とを比較すると、劣化液(実線)ではタンニン酸の量が減少しており、かつフェノールカルボン酸の量が増加していることがわかる。また、亜鉛を200ppm溶解させた劣化液(図1の実線)と亜鉛を500ppm溶解させた劣化液(図2の実線)とを比較すると、化成処理液中の亜鉛原子の量が増加すると、タンニン酸がより減少することがわかる。
以上の結果から、タンニン酸および硝酸を含む化成処理液に亜鉛原子が溶解すると、タンニン酸がフェノールカルボン酸と多糖類に加水分解されることが示唆される(式2参照)。
一方、図3は、実施例の化成処理液の高速液体クロマトグラフィーの分析結果を示すグラフである。ここでは、調製直後の化成処理液(新液)と亜鉛を500ppm溶解させた化成処理液(劣化液)とを比較した結果を示す。破線は新液の分析結果を示し、実線は劣化液の分析結果を示している。
図3において、新液(破線)と劣化液(実線)とを比較すると、劣化液(実線)ではタンニン酸の量はほとんど変化していないが、アスコルビン酸の量が減少していることがわかる。また、アスコルビン酸分解物の量が増加していることがわかる。
以上の結果から、タンニン酸および硝酸を含む化成処理液に所定量の酸化防止剤を添加すると、亜鉛原子が500ppm溶解しても、タンニン酸がフェノールカルボン酸と多糖類に加水分解されることを抑制できることが示唆される(式3参照)。
以上のように、本発明の化成処理液では、めっき層から亜鉛元素が化成処理液に溶出しうる条件下においてもタンニン酸の加水分解が抑制される。
[実施例2]
実施例2では、本発明の化成処理液を用いて製造された化成処理鋼板の耐食性および塗膜密着性を調べた結果を示す。
1.化成処理鋼板の準備
表2に示す組成の化成処理液を調製した。処理液No.1〜12の化成処理液は、バルブメタル、硝酸塩、タンニン酸(0.2〜50g/L)および酸化防止剤(タンニン酸に対する重量比が0.05〜5)を含む(実施例)。一方、処理液No.13〜18の化成処理液は、酸化防止剤を含まないか、またはタンニン酸に対する酸化防止剤の重量比が0.05〜5の範囲外である(比較例)。
Figure 2011042834
また、表2の各化成処理液(処理液No.1〜18)について、亜鉛めっき鋼板を浸漬して亜鉛を200ppm溶解させた処理液(劣化液1)と、亜鉛を500ppm溶解させた処理液(劣化液2)を調製した。
化成処理用原板(基材)として、板厚0.8mm、片面めっき付着量60g/mの亜鉛めっき鋼板(原板A)と、板厚0.8mm、片面めっき付着量90g/mのZn−6質量%Al−3質量%Mg合金めっき鋼板(原板B)とを準備した。化成処理用原板(原板Aまたは原板B)にバーコーターで化成処理液(新液、劣化液1または劣化液2)を塗布し、水洗せずに乾燥炉内で板温140℃で加熱乾燥して化成処理皮膜を形成した。
2.耐食性試験
各化成処理鋼板から試験片を切り出し、平坦部の腐食試験に供した。腐食試験では、各試験片の端面をシールした後、JIS Z2371に準拠して35℃の5%塩化ナトリウム水溶液を各試験片に噴霧した。塩化ナトリウム水溶液を120時間噴霧した後、試験片の表面を観察し、試験片の表面に発生している白錆の面積率を測定した。
3.後塗装性試験
各試験片をメラミンアルキッド塗装し、その表面に膜厚30μmの塗膜を形成した。塗装後の各試験片を沸騰水に2時間浸漬した後、塗膜を碁盤目状にカットした。塗膜に接着テープを貼り付けた後、瞬時にテープを剥離して、剥離部の面積率を測定した(テープ剥離試験)。
4.実験結果
表3は、耐食性試験および後塗装性試験の結果を示す表である。この表に示されるように、実施例の化成処理液(処理液No.1〜12)を用いた場合は、調製直後の化成処理液(新液)だけでなく亜鉛を含む化成処理液(劣化液1,2)であっても、耐食性試験の結果はすべて10%以下であり、後塗装性試験の結果もすべて10%以下であった。一方、比較例の化成処理液(処理液No.13〜18)を用いた場合、特に亜鉛を含む化成処理液(劣化液1,2)を用いたときは、耐食性試験の結果はほとんどが10%以上であり、後塗装性試験の結果はすべて20%以上であった。
Figure 2011042834
以上の結果から、本発明の化成処理液は、耐食性および塗膜密着性に優れた化成処理皮膜を形成できることがわかる。
本発明の化成処理液および化成処理鋼板は、従来の化成処理液および化成処理鋼板に代わる材料として広範な分野で使用されうる。

Claims (3)

  1. 亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板または合金化亜鉛めっき鋼板用の化成処理液であって、
    バルブメタル化合物と、硝酸または硝酸塩と、タンニン酸と、酸化防止剤とを含み、
    前記タンニン酸の濃度は、0.2〜50g/Lの範囲内であり、
    前記タンニン酸に対する前記酸化防止剤の重量比は、0.05〜5の範囲内であり、
    前記酸化防止剤は、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールもしくはエチレンジアミン四酢酸またはこれらの組み合わせである、化成処理液。
  2. 前記バルブメタルは、Ti、Zr、Hf、V、Mo、Nb、TaもしくはWまたはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の化成処理液。
  3. 請求項1に記載の化成処理液を、亜鉛めっき鋼板、亜鉛合金めっき鋼板または合金化亜鉛めっき鋼板の表面に塗布するステップと、
    前記鋼板の表面に塗布された前記化成処理液を50〜220℃で加熱して、前記鋼板の表面に化成処理皮膜を形成するステップと、
    を含む、化成処理鋼板の製造方法。
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