JP2011041500A - 酵母Cyniclomycesguttulatusの分離・同定方法およびそれに用いるキット - Google Patents

酵母Cyniclomycesguttulatusの分離・同定方法およびそれに用いるキット Download PDF

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【課題】真菌である酵母 Cyniclomyces
guttulatusは、その培養に特殊培地と通常ではない培養条件が必要なため、一般の真菌検査では分離培養が出来ない事情があった。本酵母はイヌの出血性下痢の原因菌とされ、その同定が急がれていた。しかしながら、1)培養のための準備が煩雑で小動物臨床現場(動物病院)で簡便に出来る検査ではなく、2)外注検査に真菌分離と指定して検体を提出しても炭酸ガス培養が必要なため、培養結果は陰性と判断される可能性があり、しかも3)本菌種の分離同定を取り扱っている検査業者がないため簡便な検査培地を入手することが出来ない、などの問題があった。
【解決手段】これらの問題を解決すべく、本発明のキットを開発した。このキットを用いる真菌の検査方法では、簡便で、炭酸ガス培養装置を必要とせず、かつ培地がキットに含まれている。
【選択図】なし

Description

本発明は、真菌である酵母Cyniclomyces guttulatusの分離・同定方法に関し、更にはそれに用いるキットに関わる。
真菌である酵母 Cyniclomyces guttulatus(以下、C. guttulatus)はウサギの消化管の常在菌で、糞便中にみられる菌種である。(非特許文献1)。更に、本酵母は、その培養に特殊培地と通常ではない培養条件が必要なため、一般の真菌検査では分離培養が出来ない事情がある。つまり、従来の培養方法は,pHを調節した培地を用い、更に、嫌気的条件下の培養を行うため、炭酸ガス培養装置が必要であった。(非特許文献1)。
本酵母は獣医科領域、特に小動物臨床領域では、近年、イヌの出血性下痢の原因菌であることが示唆されている。(非特許文献2)。しかし、例えばイヌの糞便中に酵母様菌体を顕微鏡的に検出できる場合にも、外部検査会社等に真菌検査を依頼しても、上記のような事情で、往々にして陰性とされてきた。
本発明は、培地、その形状、培養容器,付属する検体採集道具の工夫、更には、新たな培養方法により,小動物臨床領域での出血性下痢症原因真菌である酵母C.guttulatusの分離・培養を簡便に行えるように作製した分離用特殊培地キットに関わり、更には、該酵母の同定法に関わる。本発明の特徴を挙げると、1)従来のような液体培地を必要としない、2)従来のようなpH調節も特に必要としない、更に、3)従来のような炭酸ガス培養設備を必要としない、点が挙げられる。
より、具体的には、ガラス製小型密閉容器に入れられた固形培地に付属の先端鋭利な串状物を患者の検体、例えばイヌの糞便の一部にその先端を挿入し,少量の糞便を付着させたものを固形培地中心部に穿刺し,35℃の孵卵器にて培養する方式である。この方法は、検査業者から動物病院に配布し、回収、検査することが可能であり、孵卵器の設備が有れば臨床現場で簡単に診断することも可能であり、更に、一般の検査業者でもすぐに導入できる方法である、と考えられ、有用性がある。
Charles H.Zierdt ら、「Cyniclomyces guttulatus (Saccharomycopsis guttulata ) - culture,ultrastructure and physiology 」、Antonie van Leeuwenhoekvol.54, p357-366, (1988)。 斉藤 邦史ら、「犬の糞便中に認められた酵母様真菌Cyniclomyces guttulatus」。 Kunifumi Saitoら、「Cyniclomyces guttulatus : it can now be clearly observed in caninefeces. 」。(以上の文献は、斉藤動物病院のウェブアドレス: http://www33.ocn.ne.jp/~saitoahohp/Cyniclomyces.hmlより入手可能である。)
上記の従来技術の欠点や問題点を挙げると以下のようである。
1)培養のための準備が煩雑で小動物臨床現場(動物病院)で簡便に出来る検査ではなく、2)外注検査に真菌分離と指定して検体を提出しても炭酸ガス培養が必要なため、培養結果は陰性と判断される可能性があり、しかも3)本菌種の分離同定を取り扱っている検査業者がないため簡便な検査培地を入手することが出来ない、などが挙げられる。
これらの問題を解決すべく、本発明のキット等を開発した。このキットを用いる真菌の検査方法では、簡便で、炭酸ガス培養装置を必要とせず、かつ培地がキットに含まれている。
即ち、本発明は以下に関する:
1)滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地〔〔YPGAの組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕中に、検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって採取し、更に穿刺および塗布し、35℃から37℃の条件下で培養を行い、該高層寒天培地中の独立なコロニーを採取することを特徴とする、真菌Cyniclomyces guttulatusの分離方法、に関する。
2)検体から真菌Cyniclomyces
guttulatusを分離する方法であって、以下の手段を含む分離方法に関する。
(1)滅菌密封したガラス容器の高層YPGA寒天培地〔YPGAの組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕を高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)操作により作製する手段。
(2)検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって採取する手段。
(3)検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって、滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地に穿刺および塗布する手段。
(4)35℃の条件下で培養を行う手段。
(5)高層YPGA寒天培中の独立なコロニーを採取する手段。
(6)採取した独立なコロニーが単一コロニーであることを確認する手段。
3)更に、上記1)又は2)にある検体が、イヌの糞便又はウサギの糞便であることを特徴とする、真菌Cyniclomyces guttulatusの分離方法に関する。
4)また、真菌Cyniclomyces
guttulatusの同定方法であって、イヌの糞便に該真菌が存在するか否かの決定方法であって、下記工程を含む同定方法に関する。
(1)滅菌密封したガラス容器の高層YPGA寒天培地〔YPGAの組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕を高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)により作製する工程。
(2)検体であるイヌの糞便を、滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって採取する工程。
(3)該検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって、滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地に穿刺および塗布する工程。
(4)35℃の条件下で培養を行う工程。
(5)高層YPGA寒天培地中の独立なコロニーを採取する工程。
(6)採取した独立なコロニーが単一コロニーであることを確認し、光学顕微鏡でそのコロニーを形成する菌形状を観察する工程。
(7)観察した菌形状が真菌Cyniclomyces
guttulatusか否かを判定する工程。
5)更に、上記真菌Cyniclomyces
guttulatusの同定方法に用いるキットに関する。
6)また、以下の手段を具備する、真菌Cyniclomyces guttulatusの同定方法に用いるキットに関する。
(1)滅菌密封したガラス容器の高層YPGA寒天培地〔YPGAの組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕
(2)滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具
7)上記6)に記載の検体が、イヌの糞便であることを特徴とする、真菌Cyniclomyces guttulatusの同定方法に用いるキットに関する。
8)更に、炭酸ガス培養装置を用いず、35℃から37℃の条件下で培養することを特徴とする上記6)又は7)に記載の真菌Cyniclomyces guttulatusの同定方法に用いるキットの使用に関する。
本発明によれば、炭酸ガス培養装置を使用し、かつpHを下げたりして、酵母C.
guttulatus以外の菌類の発育を阻止して、コロニー純化を繰り返し、単一の酵母C. guttulatusコロニーを得ていた従来技術に対し、簡便にかつ炭酸ガス培養装置を用いずに該酵母の分離ができるようになった。
さらに本発明によれば、キットとして、その培地と摂取器具等が提供されることのより、今まで以上の簡便さをもって、獣医科領域の各種検体中の酵母C. guttulatusの存在を判定することができ、治療方針を立てる上での情報を提供できる。
YPGA培地に塗布後、好気的条件下(O培養)および嫌気的条件下(CO培養)で酵母C.guttulatusの集落を示した図である。好気的条件下では、丸で囲んだ集落が相当する。(試験例1) 酵母C.guttulatusの分離・培養の集落を示す図である。(実施例1) 図2に示したものの高倍率の酵母C.guttulatusの分離・培養の集落を示す図である。丸で囲んだ集落が相当する。(実施例1) 酵母C.guttulatusの同定に係わる顕微鏡像である。Y字状や竹とんぼ状の形態を示すのが、酵母C. guttulatusである。(ラクトフェノールコルトンブルー固定染色像) 酵母C.guttulatusの同定に係わる顕微鏡像である。Y字状や竹とんぼ状の形態を示すのが、酵母C. guttulatusである。(ラクトフェノール固定) 本発明のキットの一例を示した図である。本例は滅菌した高層YPGA寒天培地、滅菌した竹串よりなる分離・培養用キットである。(実施例2)
本発明は、獣医科領域で病原性を有する酵母C.guttulatusの分離および同定法に関わる。Cyniclomyces guttulatusは、サッカロミセス亜科、シニクロミセス属に属する子嚢菌類である。従来、Saccharomyces guttulatus、 Saccharomycopsis guttulatusなどと呼ばれていたが、現在C.guttulatusとして分類されている。この酵母はウサギやモルモットの胃、腸内に存在する酵母様真菌として考えられていたが、上述したように最近、慢性下痢を呈するイヌの糞便中にも存在することが知られている。イヌの疾病に関し、この菌種に関する相談が増加しており、飼育家族、臨床関係者の間で知られるようになった菌種である。
本酵母の培養は10%程度の炭酸ガス条件下での培養が必要であり、かつ培地も特殊なイーストエキストラクトを加えたサブロー寒天培地も必要で,疾病の原因菌として、本酵母については、分離培養による確定診断が臨床現場や一般の検査室では出来ずにいた、という現状があった。
更に、本酵母は5-FC以外、ほとんど抗真菌薬に耐性を示し、よって治療は難渋し、小動物患者のQOLに大きく関わることとなっている。現在、ヒト感染例は知られていないが、感染動物の飼育者への不安は大きく、疾病の原因菌としての同定を行い、更に他の細菌性、ウイルス性、原虫性下痢症との鑑別が必須となっている。
表1に、我が国における 獣医科領域のCyniclomyces guttulatus 感染症の一例を示す。表中、「斉藤動物病院web」は、非特許文献2として挙げたwebのホームページからアクセス可能である。また、「佐野個人情報」は、本特許出願の発明者である佐野文子が個人的に得た情報に基づいている。
本発明の分離法等に関わる、滅菌密封容器は滅菌状態が保たれればその種類を問わないが、ガラス製、ポリエチレン製、ポリプロピレン製等をあげることができ、好ましくはガラスの滅菌密封容器が挙げられる。更に、ガラス製でその蓋が高圧蒸気滅菌可能なスクリュー栓であるものが、検体の摂取等に好適に適用で好ましい。なお、ガラス製の容器部分は、アルミホイルにて開口部を塞ぐことで、乾熱滅菌操作で滅菌することもできる。
本発明の滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地の製作には、通常の方法で作製すればよく、各組成を蒸留水に加温して一様に溶かし、容器に分注し、高圧蒸気滅菌操作(例えば、121℃、1気圧で15分)をし、寒天が固まるまで、静置すればよい。
高層寒天培地は、高層であればよく、斜面の形状でもかまわない。なお、YPGA寒天培地のpHを低く調製する必要はない。更に、クロラムフェにコール等の抗生物質等を一般的には添加し、目的の菌以外の発育を抑えることが考えられるが、本発明では抗生物質等の添加を行わずに実施が可能である。
検体の摂取と高層寒天培地中への穿刺および塗布可能な器具は、例えば、白金線、滅菌された竹串、滅菌されたゼムクリップを一部又は全部を延ばしたものなどが挙げられる。白金線など、火炎滅菌可能なものは何度でも滅菌後使用可能であるが、現実的には、現場での一回の使用が主となるので、高圧蒸気滅菌等で滅菌されたアルミホイルに包まれた竹串や伸ばされたゼムクリップ等が好適である。
検体の採取と高層寒天培地中への穿刺および塗布可能という機能が具備されていれば、ある一定の長さを持ち、先が先鋭であれば(例えば、針金状であれば)、本発明の要件として十分である。
検体が高層寒天培地中へ穿刺および塗布された、容器の培養は、炭酸ガス培養装置(例えば10%炭酸ガス条件下)を用いず、普通の恒温インキュベーター(一般の孵卵器等)であればよく、その温度は30℃から37℃が好ましく、他の菌種との生育の差などを考慮すると、35℃から37℃、更には35℃が好ましい。培養は、1日から7日もあればよく、高層寒天培地中の独立のコロニーが観察できる3から7日が好ましく、更にはコロニーがある程度の大きさで確実に確認できる大きさとなる3日から5日が好適である。
検体は種類を限らないが、イヌやウサギが挙げられ、それらの糞便は、排泄直後のものでも、直腸内に滞留中のものを採取しても良い。先に述べた、イヌの慢性下痢の病因菌との観点から、イヌの糞便が検体として挙げられる。
高層寒天培地中のコロニーは、摂取後、何回かの純化操作があれば、酵母C.guttulatusの分離方法としては好ましい。同定するだけであるなら、1回の独立コロニー摂取でもよい。
コロニーを形成する菌体の形状は、光学的顕微鏡で観察すればよく、形成されたクリーム白色コロニーを直針型白金耳でとり、ラクトフェノール固定もしくはラクトフェノールコルトンブルー固定染色などを行い観察すればよい。酵母C.guttulatusは、長楕円型の酵母細胞が竹とんぼ状もしくはY字状の集団となって現れる。なお、真菌用蛍光染色液ファンギローラY(日本商事)などを使用することもできる。
キットとしては、図6にその一例を示したが、上記機能を具備する、組合せであればよく、大量生産可能なものが商業的には好ましい。この場合、エチレンオキサイド滅菌器具として、上記機能を具備する使い捨てのプラスチック製品と高層寒天培地の組合せが考えられ、観察用のガラスプレートやコロニー採取用の採取器具がキットの中に含まれていてもよい。
本特許出願に至る発明者の実験並びに考え方は、1)先ず、試験例1で示されるように、従来行われていた条件とは異なり、培地の低pH調整や抗生物質の添加なしで、嫌気的条件下で酵母C.guttulatusのコロニーが形成されることを見出し、2)更に、嫌気的条件である10%炭酸ガス雰囲気下という条件を考え、高層YPGA寒天培地に穿刺および塗布することにより、実施例1で示されるように、滅菌密封した容器の35℃から37℃の孵卵器中で、酵母C.guttulatusのコロニーが形成できることを確認し、更に最適な条件を研究し、ここに炭酸ガス培養装置を用いないでも酵母C.guttulatusが分離できることを見出し発明を完成した、ということとなる。
本発明は、酵母C.guttulatusの分離方法に留まらず、例えばイヌの疾病原因菌の酵母C.guttulatusの同定や確定という方法に使用可能で、かつ商業的に用いられキットの構成および使用まで含まれる。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって何ら限定されるものではない。
(試験例1)
平板YPGA寒天培地に検体(イヌの糞便)を播種し、好気的条件下と嫌気的条件下(10%炭酸ガス)にて7日間培養した結果である。図1にその結果を示す。好気的条件下で培養したコロニー(集落)のうち酵母C.guttulatusのコロニーを丸印で示す。また、嫌気的条件下で培養したバクテリア上のコロニー(集落)が酵母C.guttulatusであった。
つまり、本試験により、pHを酸性条件とせず、クロラムフェニコール等の抗生物質を添加しないYPGA培地において、嫌気的条件とすることで酵母C.guttulatusのコロニーを形成することが明らかとなった。
(実施例1)
(材料および方法)
(培地)YPGA培地(1%酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%ブドウ糖(デキストロース)、1%ペプトン及び1.5%寒天を含む)を調製した。
調製後、培地成分を加温により溶解し、直接培地容器に入れたのち、高圧蒸気滅菌した。なお、培地形状は、約5センチ程度の高層斜面培地とした。
(培養方法)35℃で一般の孵卵器を使用した。
(検体採材用用具)先の尖った針金状の滅菌直針型白金耳や滅菌竹串を用いた。
(検体採取並びに培養)イヌの糞便(排泄直後のもの)の内部に火炎滅菌,冷却した直針型白金耳をさし、そのまま高層(斜面)寒天培地に穿刺培養した。(図2および3)
(コロニーの判定)培地中に観察されるクリーム白色の集落を直針型白金耳でとり、ラクトフェノール固定もしくはラクトフェノールコトンブルーで固定染色し、光学顕微鏡下で観察した。(図5および4)
(結果)
図2および図3に培養結果を示した。図3が高拡大の図で、穿刺した近傍の培地中にコロニーが形成された。
本コロニーの光学顕微鏡像が図4と図5である。図4はラクトフェノールコトンブルーで固定染色したもの、図5がラクトフェノール固定したものである。長楕円型の細胞が竹とんぼ状もしくはY字状の集団として観察され、酵母C.guttulatusの形態の特徴と一致し、本酵母と同定できた。
(実施例2)
図6に示される、高層YPGA寒天培地(本寒天培地は斜面としていない)を保持した滅菌密封したスクリューキャップ付きガラス容器と滅菌した竹串からなるキットを作製した。
このキットをもって、真菌検査を希望した獣医師の方に送付し、イヌの糞便を検体として採取し実施例1に準じて、酵母C.guttulatusの同定を行った。表1にある症例16から22については、本実施例に基づき酵母C.guttulatusが同定された例である。


Claims (8)

  1. 滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地〔YPGA寒天培地の組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕中に、検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって採取し、更に穿刺および塗布し、35℃から37℃の条件下で培養を行い、該高層寒天培地中の独立なコロニーを採取することを特徴とする、真菌Cyniclomyces guttulatusの分離方法。
  2. 検体から真菌Cyniclomyces
    guttulatusを分離する方法であって、以下の手段を含む分離方法。
    1)滅菌密封したガラス容器の高層YPGA寒天培地〔YPGA寒天培地の組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕を高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)操作により作製する手段。
    2)検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって採取する手段。
    3)検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって、滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地に穿刺および塗布する手段。
    4)35℃の条件下で培養を行う手段。
    5)高層YPGA寒天培地中の独立なコロニーを採取する手段。
    6)採取した独立なコロニーが単一コロニーであることを確認する手段。
  3. 請求項1又は2に記載の検体が、イヌの糞便又はウサギの糞便であることを特徴とする、真菌Cyniclomyces guttulatusの分離方法。
  4. 真菌Cyniclomyces
    guttulatusの同定方法であって、イヌの糞便に該真菌が存在するか否かの決定方法であって、下記工程を含む同定方法。
    1)滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地〔YPGA寒天培地の組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕を高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)により作製する工程。
    2)検体であるイヌの糞便を、滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって採取する工程。
    3)該検体を滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具をもって、滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地に穿刺および塗布する工程。
    4)35℃の条件下で培養を行う工程。
    5)高層YPGA寒天培地中の独立なコロニーを採取する工程。
    6)採取した独立なコロニーが単一コロニーであることを確認し、光学顕微鏡でそのコロニーを形成する菌形状を観察する工程。
    7)観察した菌形状が真菌Cyniclomyces guttulatusか否かを判定する工程。
  5. 請求項4に記載の真菌Cyniclomyces guttulatusの同定方法に用いるキット。
  6. 以下の手段を具備する、検体の真菌Cyniclomyces guttulatusの同定方法に用いるキット。
    1)滅菌密封した容器の高層YPGA寒天培地〔YPGA寒天培地の組成は、1%(w/v)酵母エキス(イーストエキストラクト)、2%(w/v)ブドウ糖、1%(w/v)ペプトン、および1.5%(w/v)寒天〕
    2)滅菌した先鋭な形状の検体採取並びに該高層寒天培地中に穿刺および塗布可能な器具
  7. 請求項6に記載の検体が、イヌの糞便であることを特徴とする、真菌Cyniclomyces
    guttulatusの同定方法に用いるキット。
  8. 炭酸ガス培養装置を用いず、35℃から37℃の条件下で培養することを特徴とする請求項6又は7に記載の真菌Cyniclomyces guttulatusの同定方法に用いるキットの使用。



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