JP2011040530A - プリント配線板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板表面に高精度且つ極細密な銅回路パターンが形成された高密度プリント配線板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プリント配線板の製造方法は、(a)基板表面に形成された感光性レジスト膜に選択的露光及び現像を行って、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっき可能なレジストパターン(5)を形成する工程、(b)前記溝パターン部分の基板の露出表面及びパターン化されたレジスト膜表面の全体に無電解銅めっきを行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジストパターンを覆う銅めっき層(7)を形成する工程、(c)前記レジスト膜の表面が露出するまで、銅めっき層を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより均一に減少させ、表面に銅回路パターン(8)を露出させる工程を含む。好適には、パターン形成後のレジスト膜に紫外線照射、加熱処理及び/又はプラズマ処理を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、細密回路パターンを有する高密度プリント配線板及びその製造方法に関する。
電子機器に用いられる半導体部品等の電子部品を実装するためプリント配線板は、半導体回路の超高密度化と相俟って、その回路導体幅と回路間絶縁スペースはより極細線化(ファインパターン化)することが要求されつつある。
従来、プリント配線板の回路パターン形成方法としては、銅箔又は銅合金箔(本明細書においては、銅箔と総称する)を絶縁用樹脂と接着した形の銅張積層板を用い、銅箔表面に感光性レジスト膜を形成した後、選択的露光、現像によりレジスト膜を除去し、次いで、銅箔の露出部分をエッチングで除去する方法、所謂、エッチング法や、5μmより薄い銅膜を形成した絶縁用樹脂の表面に、感光性レジスト膜を形成した後、選択的露光、現像により回路形成する部分のレジスト膜を除去し、次いで、露出した薄い銅膜をめっき電極として、電気銅めっきにより、レジスト膜除去部分に銅を埋め込み、次いで、レジスト膜を除去した後、全表面を均一にエッチングすることにより、絶縁用樹脂表面の薄い銅膜を完全に除去し、電気銅めっきにより形成された部分からなる回路を形成する、所謂、セミサブトラクティブ法又はセミアディティブ法や、絶縁用樹脂表面に無電解めっき触媒を付与した後、感光性レジスト膜を形成し、次いで、選択的露光、現像により回路形成する部分のレジスト膜を除去した後、無電解銅めっきのみによりレジスト膜除去部に銅回路を形成する、所謂、フルアディティブ法や、さらには、めっき電極として用いる金属板の表面に、選択的にめっきレジスト膜を形成し、次いで、電気めっきにより、レジスト膜が形成されていない部分に銅めっき層を形成し、レジスト膜を除去するかもしくはレジスト膜を除去せずに、半硬化性樹脂と共に積層成形し、次いで金属板を取り除くことにより、樹脂に銅回路が埋め込まれた形の回路を形成する方法などが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
しかしながら、前記した従来のいずれの方法も、制限された領域の選択的なエッチング又は選択的なめっきにより銅回路パターンを形成するため、回路の幅精度、経済性、量産性などに制限があり、より高密度の銅回路パターンを、より経済的に、且つ、より合理的な方法により製造可能な技術が要望されている。
特開2003−249751公報(実施例、図1) 特開2003−298243公報(実施例、図1) 特開2004−193458公報(実施例、図1) 特開2007−242975公報(実施例、図1〜6)
本発明は、前記したような従来技術に鑑みなされたものであり、その目的は、各種の熱硬化性樹脂組成物積層板や熱硬化性樹脂組成物フィルム等の基板の表面に、極細線の銅回路パターンを、高精度で且つ経済的に製造することができるプリント配線板の製造方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、このような方法により製造された高精度且つ極細密な銅回路パターンを有する高密度プリント配線板を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によれば、
(a)基板表面に形成された感光性レジスト膜に選択的露光及び現像を行って、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できるパターン化されたレジスト膜を形成する工程、
(b)前記溝パターン部分の基板の露出表面及びパターン化されたレジスト膜表面の全体に無電解銅めっきを行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジスト膜を覆う銅めっき層を形成する工程、
(c)前記レジスト膜の表面が露出するまで、銅めっき層を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより均一に減少させ、表面に銅回路パターンを露出させる工程
を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法が提供される。
別の態様においては、前記工程(c)の後に、さらに(d)表面層部分が銅回路パターンのみとなるように前記レジスト膜を除去する工程を含む。この工程(d)において、好適には、前記レジスト膜をアルカリ水溶液で剥離し、又はデスミヤ処理して取り除く。
好適な態様においては、前記基板は、銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去し、銅箔の凹凸面が転写された表面を有するものである。
別の好適な態様においては、前記レジスト膜は、パターン形成後に紫外線照射、加熱処理及びプラズマ処理よりなる群から選ばれたいずれか少なくとも1種の処理を行って、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できるレジスト膜としたものである。
他の好適な態様においては、前記工程(a)において、基板表面に形成された感光性レジスト膜に紫外線のパターン露光又は紫外線の直接描画により選択的露光を行い、次いで現像を行って、回路形成する部分の溝パターンを形成する。また、前記工程(a)に付される基板は、必要に応じてスルーホールを有する。
さらに多層のプリント配線板を作製する場合には、前記工程(c)の後、さらに層間樹脂絶縁層を形成した後に感光性レジスト膜を形成し、次いで前記工程(a)、(b)及び(c)を繰り返す。あるいは、前記工程(d)の後、さらに層間樹脂絶縁層を形成した後に感光性レジスト膜を形成し、次いで前記工程(a)、(b)及び(c)を繰り返し、多層プリント配線板を作製する。この場合、前記前記工程(a)、(b)及び(c)を繰り返した後、さらに表面層部分が銅回路パターンのみとなるように前記(d)のレジスト膜除去工程を行うこともできる。
さらに本発明によれば、前記いずれかの方法により作製された、表面層部分に銅回路パターンと該パターン間に埋め込まれた樹脂絶縁層とを有し、これら銅回路パターンと樹脂絶縁層とから平坦な表面が形成されていることを特徴とするプリント配線板が提供される。
本発明のプリント配線板の製造方法は、従来の制限された領域の選択的なエッチング又は選択的なめっきにより銅回路を形成する方法とは異なり、基板表面に形成された感光性レジスト膜に選択的露光及び現像を行って、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できるパターン化されたレジスト膜に対して、溝パターン部分の基板の露出表面及びパターン化されたレジスト膜表面の全体に無電解銅めっき層を行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジスト膜を覆う銅めっき層を形成した後、上記レジスト膜の表面が露出するまで、銅めっき層を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより全体的に均一に減少させ、表面に銅回路パターンを露出させるものであるため、全ての工程において特別な工程や材料を必要とせず、高精度な細密回路パターンを生産性よく形成することができる。このような方法によれば、5μm幅程度までの極細銅回路を容易に形成が可能であり、また、上記溝パターンが形成されたレジスト膜形成工程、無電解銅めっき−電解銅めっき工程、及び全体的研磨もしくはエッチング工程を繰り返して多層プリント配線板を作製する場合にも、回路パターン領域の規制に感光性レジストを使用するため、上下層の銅回路パターンの位置合わせ精度も良いものとなる。また、得られたプリント配線板は、回路の幅精度や信頼性に優れており、半導体チップ実装用のサブストレートや、超高密度プリント配線板製造に好適に使用できる。
基板表面に感光性レジスト膜を形成するまでの工程の好適な実施態様を示す部分断面図である。 基板表面に形成された感光性レジスト膜に対する溝パターン形成工程、無電解銅めっき−電解銅めっき工程、全体的研磨もしくはエッチング工程及びレジスト膜剥離工程を含む本発明のプリント配線板製造方法の一実施態様を示す部分断面図である。 図2に示すプリント配線板に、さらに本発明に従って樹脂絶縁層形成から銅回路パターン形成までの工程を含むプリント配線板製造方法の一実施態様を示す部分断面図である。
前記したように、本発明のプリント配線板の製造方法は、従来の制限された領域の選択的なエッチング又は選択的なめっきにより銅回路を形成する方法とは異なり、基板表面に形成された感光性レジスト膜に選択的露光及び現像を行って、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっき可能な、即ち無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できる、パターン化されたレジスト膜に対して、溝パターン部分の基板の露出表面及びパターン化されたレジスト膜表面の全体に無電解銅めっきを行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジスト膜を覆う銅めっき層を形成した後、上記レジスト膜の表面が露出するまで、銅めっき層を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより全体的に均一に減少させ、表面に銅回路パターンを露出させるものである。
一般に、従来の銅回路パターンの形成方法では、市販のめっきレジストから形成されたレジスト膜表面にはめっき(触媒)が付着しないことを前提としており、レジスト膜が存在しない部分にめっきが形成されるように設計されている。このような従来の先入観に対して、本発明者らは、レジスト膜も含めて基材の樹脂表面にもめっき層を形成するために鋭意検討した結果、適切な処理により無電解銅めっき可能であること、特に露光時よりも強い紫外線の照射、もしくはレジスト膜のガラス転移温度(Tg)以上の温度での加熱、又はアルゴン、酸素等のプラズマ処理などの前処理が有効であることを見出した。このような前処理を行うことにより、レジスト膜上に無電解銅めっきが析出するだけでなく、溶出などが減少し、めっき液の汚染が抑えられ、めっき表面の変色、光沢不良、ピンホールがないめっきの析出も可能になった。さらに、耐アルカリ性やレジスト膜の膨潤も抑えられ、形成された回路の形状も安定することが明らかとなった。このことは予想だにしない驚くべき効果であった。
以下、本発明のプリント配線基板の製造方法について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
まず、図1(C)に示されるような、表面に感光性レジスト膜4が形成された基板1を準備する。尚、図1(C)には、両表面に感光性レジスト膜4が形成された基板1が示されているが、片面に感光性レジスト膜4が形成された基板であってもよい。基板1としては、プリント配線板に使用される公知の基板であれば、特に限定されない。具体的には、JISに規定されるE、NE、D、S、Tガラス等の一般に公知のガラス繊維の不織布、織布等に、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、二重結合付加ポリフェニレンエーテル樹脂、これらの樹脂の臭素やリン含有化合物等の樹脂組成物などの1種又は2種以上と、必要に応じて、公知の触媒、硬化剤、硬化促進剤等を配合した熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、硬化させた基板が挙げられる。また、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、フッ素樹脂基板などの樹脂基板や、ポリイミドフィルム、PETフィルム、セラミック基板、ウエハ板などを用いることもできる。これらの基板は、その表面に微細な凹凸状の平坦面を形成して感光性レジスト膜との密着性を向上させるために、公知の粗化処理、例えば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ溶液による膨潤、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、オゾン、過酸化水素/硫酸、硝酸等の酸化剤を含有する液による処理、及び硫酸水溶液、塩酸水溶液等による酸処理の一連の化学的処理(酸化剤処理)を施すこともできる。粗化処理には、市販のデスミヤ液(粗化剤)を用いることもできる。
しかしながら、特に、図1(A)に示されるような基板1の両面に銅箔2が張り合わされた銅張積層板3を用い、銅箔2を全てエッチング除去し、図1(B)に示されるような銅箔の凹凸面が転写された表面を有する基板1を使用することが好ましい。この場合、前記した粗化処理が不要となり、銅箔2を全てエッチング除去した基板1の表面にそのまま感光性レジスト膜4を密着性良く形成することができ、配線板として十分な信頼性が得られる。このような銅張積層板3としては、従来公知の全ての銅張積層板を用いることができるが、銅箔もしくは樹脂複合銅箔、例えば特開2007−242975号公報に記載されているような銅箔の片面にブロック共重合ポリイミド樹脂とポリマレイミド化合物を含有する樹脂層を形成した樹脂複合銅箔の樹脂層面に、Bステージ樹脂組成物層を重ね、積層成形した銅張積層板を好適に用いることができる。樹脂複合銅箔に使用される銅箔は、プリント配線板に使用される公知の銅箔であれば特に限定されないが、好適には電解銅箔、圧延銅箔、これらの銅合金等が使用される。これらの銅箔に、例えばニッケル、コバルト処理、シラン処理剤などの公知の表面処理が施されたものも使用可能である。銅箔の厚さは特に限定されないが、好適には35μm以下である。樹脂層を形成する銅箔面の表面粗さ(Rz)は、4μm以下が好適であり、2μm以下がより好適である。ここで、「Rz」とは、JIS B0601で規定される十点平均粗さである。また、銅箔には公知の接着層が形成されていてもよい。
銅張積層板3の銅箔2を全てエッチング除去する方法は、公知の方法で行うことができる。エッチング液としては、特に制限はないが、硫酸一過酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液などを好適に用いることができる。
前記したように微細な凹凸状の平坦面が形成された基板1の表面には、感光性レジスト膜4が形成される。感光性レジスト膜4の形成に用いられる感光性樹脂組成物は、キャリアフィルム上に乾燥塗膜を形成したドライフィルムの形態でもよいし、溶剤に希釈した液状の状態でもよい。ドライフィルムの場合には、約40〜130℃の温度範囲で熱ロール式のラミネーターや真空ラミネーターで基板上にラミネートし、液状の場合には、スクリーン印刷、スプレーコーター、ダイコーター、スリットコーター、カーテンコーター、ロールコーター等でコーティングし、約60〜150℃の温度の熱風循環式乾燥炉若しくは遠赤外線乾燥炉で約1〜30分乾燥し、溶剤を揮発(仮乾燥)させることにより、タックフリーの感光性レジスト膜4を形成できる。このとき形成する感光性レジスト膜4の膜厚は約3〜30μmの範囲が好ましく、さらに好ましいのはめっきで形成する回路の最小ライン幅の2倍以下、さらに好ましくは等倍以下が好ましい。尚、感光性レジスト膜4は、後の無電解銅めっき工程において無電解銅めっき触媒が定着するに十分な耐アルカリ性及び密着性を有することが好ましい。
ドライフィルム作成に使用するフィルムはポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂フィルムが好ましく、厚みは10〜50μmの範囲が使用できるが、ハンドリングを良くするためには25〜50μmの膜厚が好ましく、良好な解像性を得るためには10〜25μmの膜厚が好ましい。この差を無くすために、感光性レジスト膜の屈折率が、好ましくは1.50以上、さらに好ましくは1.55〜1.60の範囲になるように設計されたドライフィルムが、キャリアフィルムを厚くしても良好な解像性が得られるので好ましい。
感光性レジスト膜4の形成に用いられる感光性樹脂組成物としては、露光部(活性エネルギー線が照射された部分)が硬化し、未露光部が現像により除去されるネガ型感光性樹脂組成物や、未露光部は架橋構造を有することにより現像液に不溶であるが、露光部が活性エネルギー線照射により酸を発生する化合物から発生した酸により分解され、現像により除去されるポジ型感光性樹脂組成物のいずれも使用可能である。これらの感光性樹脂組成物としては、環境問題への配慮から、現像液としてアルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型の感光性樹脂組成物が望ましく、そのためカルボキシル基を有する樹脂を含有することが好ましい。
例えば、ポジ型感光性樹脂組成物としては、特開平6−295064号公報に記載されているような、皮膜形成性のカルボキシル基含有樹脂、例えば、カルボキシル基を含有する重合体不飽和単量体の単独重合体、該カルボキシル基含有単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、分子鎖中又は分子末端にカルボキシル基を有するポリエステル系、ポリウレタン系、ポリアミド系などのカルボキシル基含有樹脂と、一分子中に2個以上のビニルエーテル基を含む化合物と、活性エネルギー線照射により酸を発生する化合物(光酸発生剤)とを必須成分として含有する感光性樹脂組成物、特開平10−72923号公報に記載されているような、ポリカルボン酸樹脂にモノビニルエーテル化合物を反応せしめて得られる樹脂及び光酸発生剤を必須成分として含有する感光性樹脂組成物、特許第4031593号公報に記載されているような、ジカルボン酸とジビニルエーテル化合物との重付加反応から得られるポリヘミアセタールエステル及び光酸発生剤を必須成分として含有する感光性樹脂組成物、国際公開WO 99−15935Aに記載されているような、フェノール性水酸基又はカルボキシル基を有するアルカリ可溶性重合体と、ビニルエーテル化合物と、光酸発生剤とを必須成分として含有する感光性樹脂組成物などを用いることができる。しかしながら、活性エネルギー線が照射されて硬化した露光部が残存するネガ型感光性樹脂組成物の方が、用いるカルボキシル基含有樹脂によっては、後述するような前処理プロセスを行わなくても無電解銅めっき可能であることから、特に好ましい。
このようなネガ型の感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有樹脂、(B)光重合開始剤、(C)感光性モノマーを含有し、銅回路間に存在する感光性レジスト膜を剥離しないで絶縁層として残す場合には、さらに(D)熱硬化性樹脂や(E)フィラーを加えたものが好ましい。
前記カルボキシル基含有樹脂(A)としては、アルカリ現像性を付与する目的で分子中にカルボキシル基を有している従来公知の各種カルボキシル基含有樹脂を使用できる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂(A−1)が、光硬化性や耐現像性の面からより好ましい。そして、その不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタアクリル酸又はそれらの誘導体由来のものが好ましい。尚、エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂(A−2)のみを用いる場合、組成物を光硬化性とするためには、後述する分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)、即ち感光性モノマーを併用する必要がある。
また、分子内に芳香環を有している構造のカルボキシル基含有樹脂(A)が、屈折率が1.50〜1.60にするために好ましく、先に述べたキャリアフィルムとの屈折率が近くなることから解像性が良好になる。芳香環を有するカルボキシル基含有樹脂としては、スチレン及びその誘導体、インデン構造、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレートと各種(メタ)アクリレートの共重合物、各種酸変性エポキシ(メタ)アクリレート、各種フェノール樹脂のアルキレンオキサイド変性物に酸無水物を付加させたものなどが使用できる。
カルボキシル基含有樹脂(A)の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α−メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物及びポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基及びアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物及びジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(5)上記(2)又は(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(6)上記(2)又は(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)後述するような2官能又はそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(8)後述するような2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(9)ノボラックのごとき多官能フェノール化合物にエチレンオキサイドのごとき環状エーテル、プロピレンカーボネートのごとき環状カーボネートを付加させ、得られた水酸基を(メタ)アクリル酸で部分エステル化し、残りの水酸基に多塩基酸無水物を反応させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)上記(1)〜(9)の樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
これらカルボキシル基含有樹脂(A)は、前記列挙したものに限らず使用することができ、1種類でも複数種混合しても使用することができる
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語であり、他の類似の表現についても同様である。
上記のようなカルボキシル基含有樹脂(A)は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数の遊離のカルボキシル基を有するため、アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、前記カルボキシル基含有樹脂(A)の酸価は、30〜150mgKOH/gの範囲が望ましく、より好ましくは40〜110mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が30mgKOH/gよりも低い場合には、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下し、形成した塗膜の現像が困難になる。一方、150mgKOH/gよりも高くなると、現像液による露光部の溶解が進むために、必要以上にラインが痩せたり、露光部と未露光部の区別なく現像液で溶解剥離してしまい、正常なレジストパターンの形成が困難となる場合がある。
また、上記カルボキシル基含有樹脂(A)の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000〜150,000、好ましくは5,000〜100,000の範囲にあることが望ましい。重量平均分子量が2,000未満であると、タックフリー性能が劣ることがあり、露光後の塗膜の耐湿性が悪く、現像時に膜減りが生じ、解像度が大きく劣ることがある。一方、重量平均分子量が150,000を超えると、現像性が著しく悪くなることがあり、貯蔵安定性が劣ることがある。
このようなカルボキシル基含有樹脂(A)の配合量は、全組成物中に、20〜80質量%、好ましくは30〜60質量%の範囲が適当である。カルボキシル基含有樹脂(B)の配合量が上記範囲より少ない場合、皮膜強度が低下したりするので好ましくない。一方、上記範囲より多い場合、組成物の粘性が高くなったり、塗布性等が低下するので好ましくない。
光重合開始剤(B)としては、慣用公知のものが使用でき、また慣用公知の光開始助剤、増感剤も使用することができる。具体的な光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤の例としては、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アントラキノン化合物、チオキサントン化合物、ケタール化合物、ベンゾフェノン化合物、キサントン化合物、3級アミン化合物等を挙げることができる。
ベンゾイン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルである。
アセトフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノンである。
アントラキノン化合物の具体例を挙げると、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノンである。
チオキサントン化合物の具体例を挙げると、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントンである。
ケタール化合物の具体例を挙げると、例えば、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールである。
ベンゾフェノン化合物の具体例を挙げると、例えば、ベンゾフェノン、4−ベンゾイルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−エチルジフェニルスルフィド、4−ベンゾイル−4’−プロピルジフェニルスルフィドである。
3級アミン化合物の具体例を挙げると、例えば、エタノールアミン化合物、ジアルキルアミノベンゼン構造を有する化合物、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(日本曹達社製ニッソキュアーMABP)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)などのジアルキルアミノベンゾフェノン、7−(ジエチルアミノ)−4−メチル−2H−1−ベンゾピラン−2−オン(7−(ジエチルアミノ)−4−メチルクマリン)等のジアルキルアミノ基含有クマリン化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製カヤキュアーEPA)、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure DMB)、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル(インターナショナルバイオ−シンセエティックス社製Quantacure BEA)、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエチルエステル(日本化薬社製カヤキュアーDMBI)、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(Van Dyk社製Esolol 507)、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン(保土ヶ谷化学社製EAB)である。
前記光重合開始剤の他にも、α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、オキシムエステル系光重合開始剤などを用いることができる。α−アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー907、イルガキュアー369、イルガキュアー379などが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられ、市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュアー819などが挙げられる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば2−(アセチルオキシイミノメチル)チオキサンテン−9−オンなどが挙げられ、市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のCGI−325、イルガキュアーOXE01、イルガキュアーOXE02、アデカ社製のN−1919等が挙げられる。
上記に代表的な光重合開始剤類を列挙したが、光照射によりラジカル活性種を発生するもの、またその成長種の働きを助けるものであればよく、前記したものに限定されない。また、それ自身はラジカル発生を起こさないが、前記光重合開始剤に対して増感効果のある慣用公知の増感剤も使用することができる。前記光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、光重合開始剤、光開始助剤及び増感剤の配合量は、通常の量的割合で充分であり、一般にカルボキシル基含有樹脂(A)100質量部(カルボキシル基含有樹脂の2種以上を使用する場合には合計量、以下同様)に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.5〜15質量部の範囲が適当である。光重合開始剤(B)の配合量が0.01質量部未満であると、光硬化性が不足し、塗膜が剥離したり、耐薬品性等の塗膜特性が低下するので好ましくない。一方、30質量部を超えると、光重合開始剤(B)の塗膜表面での光吸収が激しくなり、深部硬化性が低下する傾向があるために好ましくない。
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)は、活性エネルギー線照射により、光硬化して、前記カルボキシル基含有樹脂(A)を、アルカリ水溶液に不溶化、又は不溶化を助けるものである。このような化合物としては、エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコール又はこれらのエチレオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、及びこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;及びメラミンアクリレート、及び/又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類などが挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂に、アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート樹脂や、さらにそのエポキシアクリレート樹脂の水酸基に、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどのヒドロキシアクリレートとイソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネートのハーフウレタン化合物を反応させたエポキシウレタンアクリレート化合物などが挙げられる。このようなエポキシアクリレート系樹脂は、指触乾燥性を低下させることなく、光硬化性を向上させることができる
このような分子中に2個以上のエチレン性不飽和基を有する化合物(C)の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂(A)100質量部に対して、5〜100質量部、より好ましくは、1〜70質量部の割合が適当である。前記配合量が、5質量部未満の場合、光硬化性が低下し、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像により、パターン形成が困難となるので、好ましくない。一方、100質量部を超えた場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が低下して、塗膜が脆くなるので、好ましくない。
さらに本発明で用いる感光性樹脂組成物には、耐熱性を付与するために、熱硬化性成分(D)を加えることができる。熱硬化成分(D)としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂などのアミノ樹脂、ビスマレイミド化合物、ベンゾオキサジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド樹脂、ブロックイソシアネート化合物、シクロカーボネート化合物、多官能エポキシ化合物、多官能オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂、メラミン誘導体などの公知慣用の熱硬化性樹脂が使用できる。これらの中でも、特に好ましい熱硬化成分(D)は、1分子中に2個以上の環状エーテル基及び/又は環状チオエーテル基(以下、環状(チオ)エーテル基と略称する)を有する熱硬化性成分であり、例えば、分子中に2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物、分子中に2つ以上のオキセタニル基を有する多官能オキセタン化合物、分子中に2つ以上のチオエーテル基を有するエピスルフィド樹脂である。熱硬化性成分(D)の配合量は、前記カルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基1当量に対して、好ましくは0.6〜2.5当量、より好ましくは、0.8〜2.0当量となる範囲である。
感光性樹脂組成物が前記したような熱硬化性成分(D)を含有する場合、さらに熱硬化触媒を含有することが好ましい。そのような熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン等のリン化合物などが挙げられる。また、市販されているものとしては、例えば四国化成工業社製の2MZ−A、2MZ−OK、2PHZ、2P4BHZ、2P4MHZ(いずれもイミダゾール系化合物の商品名)、サンアプロ社製のU−CAT(登録商標)3503N、U−CAT3502T(いずれもジメチルアミンのブロックイソシアネート化合物の商品名)、DBU、DBN、U−CATSA102、U−CAT5002(いずれも二環式アミジン化合物及びその塩)などが挙げられる。特に、これらに限られるものではなく、エポキシ樹脂やオキセタン化合物の熱硬化触媒、もしくはエポキシ基及び/又はオキセタニル基とカルボキシル基の反応を促進するものであればよく、単独で又は2種以上を混合して使用してもかまわない。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS−トリアジン誘導体を用いることもでき、好ましくはこれら密着性付与剤としても機能する化合物を前記熱硬化触媒と併用する。これら熱硬化触媒の配合量は、通常の量的割合で充分であり、例えばカルボキシル基含有樹脂(A)又は分子中に2つ以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(D)100質量部に対して、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜15.0質量部である。
本発明で用いる感光性樹脂組成物には、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラー(E)を配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましく用いられる。さらに、白色の外観や難燃性を得るために酸化チタンや金属酸化物、水酸化アルミなどの金属水酸化物を体質顔料フィラーとしても使用することができる。フィラーの配合量は、好ましくは組成物全体量の75質量%以下、より好ましくは0.1〜60質量%の割合である。フィラーの配合量が、組成物全体量の75質量%を超えた場合、絶縁組成物の粘度が高くなり、塗布、成形性が低下したり、硬化物が脆くなるので好ましくない。
本発明で用いる感光性樹脂組成物は、組成物の調製のため、又は基板やキャリアフィルムに塗布するための粘度調整のため、ケトン類、芳香族炭化水素類、グリコールエーテル類、グリコールエーテルアセテート類、エステル類、アルコール類、脂肪族炭化水素、石油系溶剤などの各種有機溶剤を配合することができる。さらに必要に応じて、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、フェノチアジンなどの公知慣用の重合禁止剤、微粉シリカ、有機ベントナイト、モンモリロナイトなどの公知慣用の増粘剤、顔料、染料、シリコーン系、フッ素系、高分子系などの消泡剤及び/又はレベリング剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、酸化防止剤、防錆剤などのような公知慣用の添加剤類を配合することができる。
(1)パターン化されたレジスト膜形成工程
前記図1(C)に示されるように表面に感光性レジスト膜4が形成された基板1に、必要に応じて穴あけしてスルーホール6を形成した後、選択的露光及び現像を行って、図2(A)に示されるように、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できるパターン化されたレジスト膜(以下、単にレジスト膜又はレジストパターンという)5を形成する。感光性レジスト膜4の形成にネガ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、未露光部が現像により除去され、ポジ型感光性樹脂組成物を用いた場合には、露光部が現像により除去される。選択的露光は、接触式(又は非接触方式)により、パターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光することもできるし、あるいはレーザーダイレクト露光機により直接パターン露光することもできる。また、感光性レジスト膜の形成に用いられる感光性樹脂組成物が熱硬化性成分(D)を含有する場合には、さらに加熱して硬化させることにより、レジスト膜の耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性を向上させることができる。
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、直接描画装置(例えばコンピューターからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)、メタルハライドランプを搭載した露光機、(超)高圧水銀ランプを搭載した露光機、水銀ショートアークランプを搭載した露光機、もしくは(超)高圧水銀ランプなどの紫外線ランプを使用した直接描画装置を用いることができる。活性エネルギー線としては、最大波長が350〜410nmの範囲にあるレーザー光を用いていればガスレーザー、固体レーザーどちらでもよい。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、一般には5〜200mJ/cm、好ましくは5〜100mJ/cm、さらに好ましくは5〜50mJ/cmの範囲内とすることができる。上記直接描画装置としては、例えば日本オルボテック社製、ペンタックス社製等のものを使用することができ、最大波長が350〜410nmのレーザー光を発振する装置であればいずれの装置を用いてもよい。
前記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができる。現像は、溶剤現像も可能ではあるが、好ましくは、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類などのアルカリ水溶液を用いて行う。
(2)無電解銅めっき−電解銅めっき工程
前記溝パターン部分の基板1の露出表面及びレジストパターン5の表面の全体に、公知の方法に従って、図2(B)に示されるように、無電解銅めっきを行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジストパターン5を覆う銅めっき層7を形成する。
この際、無電解銅めっきに先立って、レジストパターン5の表面に無電解銅めっきを形成するための前処理として、現像後のレジストパターン5に対してさらに、露光時よりも強い紫外線の照射、もしくはレジスト膜のガラス転移温度(Tg)以上の温度での加熱、又はアルゴン、酸素等のプラズマ処理を行うことが好ましい。このような前処理を行うことにより、レジストパターン5上に無電解銅めっきが析出するだけでなく、溶出などが減少し、めっき液の汚染が抑えられ、めっき表面の変色、光沢不良、ピンホールがないめっきの析出も可能になる。さらに、耐アルカリ性やレジスト膜の膨潤も抑えられ、形成された回路の形状も安定する。
無電解銅めっきは、一般には、パラヂウム触媒を基板の露出表面及びパターン化されたレジスト膜表面の全体に付与し、続いて、無電解銅めっき液中に浸漬して、銅層を形成する。無電解銅めっき層の厚さは、一般に約0.5〜2μmの範囲が適当である。また、必要に応じて、無電解銅めっき層を形成後に100℃〜200℃で加熱処理をする。加熱時間は特に制限はないが、好適には30分〜5時間が選択される。銅箔を酸化させないために、真空中や、不活性ガス中での加熱が好ましい。次いで、電解銅めっき液中に浸漬して、図2(B)に示されるようにレジストパターン5を覆い、且つ銅めっき層7の表面がほぼ平滑になるまで、電解銅めっき層を形成する。電解銅めっき層の厚さは、任意に選択できる。
(3)エッチング工程
図2(B)に示されるように銅めっき層7を形成した後、図2(C)に示されるように、前記レジストパターン5の表面が露出するまで、銅めっき層7を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより均一に減少させ、表面に銅回路パターン8を露出させる。これにより、上下の銅回路パターン8はめっきスルーホール9により接続された状態となる。機械的研磨及び/又は化学的研磨には従来公知の方法を用いることができ、またエッチング液としては、特に制限はないが、硫酸一過酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液などを好適に用いることができる。
(4)レジスト膜剥離工程
銅回路パターン8間に埋め込まれた状態で存在するレジストパターン5は、剥離しないで絶縁層としてそのまま残すこともできるが、必要に応じて、レジストパターン5のみをアルカリ水溶液、溶剤などで膨潤剥離し、及び/又は過マンガン酸アルカリ塩等による所謂デスミヤ処理を行って取り除き、図2(D)に示されるように、基板1上に銅回路パターン8だけが形成された配線板とすることができる。
(5)層間樹脂絶縁層形成工程
さらに多層のプリント配線板を作製する場合には、前記図2(C)に示されるようにレジストパターン5と銅回路パターン8を有する基板又は図2(D)に示されるように銅回路パターン8のみを有する基板の表面に、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、マレイミド樹脂、二重結合付加ポリフェニレンエーテル樹脂、これらの樹脂の臭素やリン含有化合物等の樹脂組成物などの1種又は2種以上と、必要に応じて、公知の触媒、硬化剤、硬化促進剤等を配合した熱硬化性樹脂組成物を塗布し、加熱硬化させ、あるいはガラス繊維の不織布、織布等に熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、半硬化させた半固形のブリブレグをラミネートし、又はフィルム状の樹脂を熱圧着してラミネートして、図3(A)に示されるように層間樹脂絶縁層10を形成し、必要に応じてその表面に前記したような粗化処理を行う。この場合にも、好ましくは、銅箔もしくは樹脂複合銅箔、例えば特開2007−242975号公報に記載されているような銅箔の片面にブロック共重合ポリイミド樹脂とポリマレイミド化合物を含有する樹脂層を形成した樹脂複合銅箔の樹脂層面に、Bステージ樹脂組成物層を重ね、積層成形した銅張積層板をラミネートし、次いで銅箔を全てエッチング除去することにより、銅箔の微細な凹凸面が転写された表面を有する層間樹脂絶縁層10を形成する。この場合、前記した粗化処理が不要となり、後の工程で層間樹脂絶縁層10の表面に感光性レジスト膜を密着性良く形成することができ、配線板として十分な信頼性が得られる。このような銅張積層板としては、従来公知の全ての銅張積層板を用いることができる。あるいはまた、上記基板の表面に、前記した熱硬化性成分(D)及びフィラー(E)を含有する感光性樹脂組成物を塗布し、またはそのドライフィルムをラミネートし、全体的に活性エネルギー線を照射して光硬化させた後、さらに加熱して熱硬化させることにより、層間樹脂絶縁層10を形成することもできる。
Bステージ樹脂組成物層に使用する樹脂組成物には、組成物本来の特性が損なわれない範囲で、所望に応じて種々の添加物を配合することができる。これらの添加物としては、不飽和ポリエステル等の重合性二重結合含有モノマー類及びそのプレポリマー類;ポリブタジエン、マレイン化ブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリイソプレン、ブチルゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等の低分子量液状〜高分子量の弾性なゴム類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、スチレン−イソプレンゴム、アクリルゴム、これらのコアシェルゴム、ポリエチレン−プロピレン共重合体、4−フッ化エチレン−6−フッ化エチレン共重合体類;ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等の高分子量プレポリマー若しくはオリゴマー;ポリウレタン等が例示され、適宜使用される。その他、公知の有機もしくは無機の充填剤、染料、顔料、増粘剤、滑剤、消泡剤、分散剤、レベリング剤、光増感剤、難燃剤、光沢剤、重合禁止剤、チキソ性付与剤等の各種添加剤が、所望に応じて適宜組み合わせて用いられる。特に炭酸ガスレーザーで孔あけする場合、孔形状を良好にするためは無機の充填剤が好適に添加される。例えば、シリカ、球状シリカ、アルミナ、タルク、焼成タルク、ウォラストナイト、合成雲母、酸化チタン、水酸化アルミニウム等の一般に公知のものが使用される。これらのフィラーの形状は、針状、球状等、任意の形状でよい。
(6)レジストパターン形成工程
前記図3(A)に示されるように層間樹脂絶縁層10が形成された基板1に、前記したように感光性レジスト膜を形成し、必要に応じてバイアホール11を形成した後、前記工程(1)と同様にして感光性レジスト膜に対して選択的露光及び現像を行い、図3(B)に示されるように、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できる外層のレジストパターン12を形成する。感光性レジスト膜の形成に用いられる感光性樹脂組成物が熱硬化性成分(D)を含有する場合には、さらに例えば約140〜180℃の温度に加熱して熱硬化させることにより、前記カルボキシル基含有樹脂(A)のカルボキシル基と、分子中に2個以上の環状(チオ)エーテル基を有する熱硬化性成分(D)が反応し、耐熱性、耐薬品性、耐吸湿性、密着性、電気特性などの諸特性に優れた硬化皮膜を形成することができる。尚、熱硬化性成分(D)を含有していない場合でも、熱処理することにより、露光時に未反応の状態で残った光硬化性成分のエチレン性不飽和結合が熱ラジカル重合し、皮膜特性が向上するため、目的・用途により、熱処理(熱硬化)してもよい。
(7)無電解銅めっき−電解銅めっき工程
その後、前記層間樹脂絶縁層10の露出表面及びレジストパターン12の表面の全体に、前記工程(2)と同様にして、図3(C)に示されるように、無電解銅めっきを行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジストパターン12を覆う外層の銅めっき層13を形成する。この場合にも、前記工程(2)と同様に、無電解銅めっきに先立って、レジストパターン12の表面に無電解銅めっきを形成するための前処理として、現像後のレジストパターン12に対してさらに、露光時よりも強い紫外線の照射、もしくはレジスト膜のガラス転移温度(Tg)以上の温度での加熱、又はアルゴン、酸素等のプラズマ処理を行うことが好ましい。
(8)エッチング工程
図3(C)に示されるように外層の銅めっき層13を形成した後、前記工程(3)と同様にして、前記レジストパターン12の表面が露出するまで、銅めっき層13を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより均一に減少させ、図3(D)に示されるように、表面に外層の銅回路パターン14を露出させる。銅回路パターン14間に埋め込まれた状態で存在するレジストパターン12は、剥離しないで絶縁層としてそのまま残すこともでき、必要に応じて、レジストパターン12のみをアルカリ水溶液、溶剤などで膨潤剥離し、及び/又は所謂デスミヤ処理を行って取り除き、表層部には外層の銅回路パターン14だけが形成された配線板とすることもできる。
さらに多層のプリント配線板は、前記した工程(5)〜(8)を繰り返すことによって生産性良く作製することができる。
前記したような本発明の方法により形成された回路パターンは、ライン・アンド・スペースが5μmよりも細い場合であっても、回路パターン間に導電体が存在し得ないので、絶縁信頼性に優れた回路になる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではないことはもとよりである。尚、以下において「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
感光性レジスト組成物の調製:
下記表1に示す種々の成分を表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルで混練し、感光性レジスト組成物を調製した。
Figure 2011040530
ドライフィルムの作製:
得られたそれぞれの感光性レジスト組成物をプロピレングリコールメチルエーテルアセテートでさらに希釈し、10dPa・sのレジスト溶液とした。それをフィルムコーターにて16μmの厚さのポリエチレンテレフタレートフィルムに塗布し、50℃から80℃まで徐々に温度を上げて乾燥し、レジスト厚み10μmのドライフィルムを得た。得られたドライフィルムを、それぞれドライフィルムA及びドライフィルムBとする。
実施例1
銅張積層板として絶縁層厚さ0.2mm、12μm両面銅箔(銅箔のプロファイル3.3μm)のBTレジン銅張積層板(三菱瓦斯化学(株)製、商品名:CCL−HL830)を金属ドリルで孔径75μmの貫通孔を形成し、デスミア処理(過マンガン酸カリウム系デスミア溶液(奥野製薬(株)製)で膨潤、デスミア(溶解)、中和、水洗した後に、表面の銅箔層を全てエッチングし、次いでドライフィルムAをニチゴーモートン社製真空ラミネーターで70℃、0.5MPa、30秒の条件でラミネートした。その後、レーザーダイレクト露光装置(オルボテック社製、Paragon)を用いて355nmの紫外線を100mJ/cmの条件で最小ライン・アンド・スペースが10μmであるパターンを描画した。その後、30℃の1wt%炭酸ソーダ水溶液を用いて2気圧のスプレー圧で現像し、水洗を2回繰り返し、感光性レジストパターンが形成された基板を得た。
これを、高圧水銀灯が搭載されたUVコンベア装置で300mJ/cmの条件でUV硬化した後、酸素プラズマで500W、250mTorr、60秒の条件でプラズマ処理を行った。
次いで、無電解銅めっき液(奥野製薬(株)製、ATSアドカッパーCT)を用いて無電解銅めっきを行い、厚さ1μmの銅層を全面に形成して、130℃の加熱炉で2時間加熱した後、硫酸銅めっき液を用いて1.5アンペア/dmで70分間の電解めっきを行い、約10μm厚さの銅層を形成した。この銅層を形成した基板を、エッチング液(三菱瓦斯化学(株)製、SE−07)を用いてドライフィルムの表面が見えるまで平坦に銅箔をエッチングした。回路が形成された基板をアルカリ剥離液(三菱瓦斯化学(株)製、R−200)で50℃、3分の条件で剥離し、さらにデスミヤ工程で感光性レジストを完全に除去して、最小ライン・アンド・スペースが10μmの回路基板を得た。
実施例2
実施例1で得られた回路基板をメック社のCZ処理を施した後、銅箔(銅箔のプロファイル3.3μm)付きBステージ樹脂組成物シート(三菱瓦斯化学(株)製、CRS−401)を両面に張り合わせ、加熱条件:110℃×30分+180℃×90分、加圧条件:5kgf/cm×15分+20kgf/cmで最後までの条件で、真空度30mmHg以下で2時間の条件で積層成形した。得られた4層板の表面の銅箔をエッチングし、炭酸ガスレーザー(出力13mJ)で1ショット照射して孔径60μmのブラインドビア孔をあけた。次いで、ドライフィルムAを前記条件でラミネートし、以降は実施例1と同様に回路形成を行い、最小ライン・アンド・スペースが10μmの4層回路基板を得た。
実施例3
実施例1において、ドライフィルムAに代えてドライフィルムBを同様に表面の銅箔層を全てエッチングした銅張積層板にラミネートし、その後同様に、レーザーダイレクト露光装置(オルボテック社製、Paragon)を用いて355nmの紫外線を200mJ/cmの条件で最小ライン・アンド・スペースが20μmであるパターンを描画した。その後、30℃の1wt%炭酸ソーダ水溶液を用いて2気圧のスプレー圧で現像し、水洗を2回繰り返し感光性レジストパターンが形成された基板を得た。
これを、熱風乾燥炉にて150℃で1時間硬化した後、酸素プラズマで500w、250mTorr、60秒の条件でプラズマ処理を行った。
次いで、無電解銅めっき液(奥野製薬(株)製、ATSアドカッパーCT)を用いて無電解銅めっきを行い、厚さ1μmの銅層を形成して、130℃の加熱炉で2時間加熱した後、硫酸銅めっき液を用いて1.5アンペア/dmで70分間の電解銅めっきを行い、約10μm厚さの銅層を形成した。この銅層を形成した基板を、エッチング液(三菱瓦斯化学(株)製、SE−07)を用いて、ドライフィルムの表面が見えるまで平坦に銅箔をエッチングして、最小ライン・アンド・スペースが20μmの回路基板を得た。
実施例4
実施例3で得られた回路基板をメック社のCZ処理を行い、密着性処理を施した後、その上にドライフィルムBを実施例1と同様にラミネートし、ソルダーレジストパターンを露光、現像した後、熱風乾燥炉で150℃で1時間熱硬化して、ソルダーレジストが形成された回路基板を得た。
実施例5
実施例2で得られた4層回路基板をメック社のCZ処理を施した後、ドライフィルムソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製、AUS410、膜厚20μm品)を実施例1と同様にラミネートし、高圧水銀灯で600mJ/cmの条件でソルダーレジストパターンを露光、現像した後、熱風乾燥炉で150℃で1時間熱硬化して、ソルダーレジストが形成された回路基板を得た。
比較例1
銅張り積層板として絶縁層厚さ0.2mm、12μm両面銅箔(銅箔のプロファイル3.3μm)のBTレジン銅張積層板(三菱瓦斯化学(株)製、商品名:CCL−HL830)を金属ドリルで孔径75μmの貫通孔を形成し、次いで表面の銅箔層をエッチング液(三菱瓦斯化学(株)製、SE−07)で平坦に2.0μmになるまでエッチングし、デスミア処理(過マンガン酸カリウム系デスミア溶液(奥野製薬(株)製)で膨潤、デスミア(溶解)、中和、水洗した後に、無電解銅めっきを行って約1μmの銅層を形成し、その後、130℃で2時間加熱処理を施し、そして、セミアディティブ用ドライフィルム(日立化成(株)製、RY−3515)をニチゴーモートン社製真空ラミネーターで70℃、0.5MPa、30秒の条件でラミネートを行った。その後、紫外線露光装置(伯東(株)製、HAP−5020)を用いて紫外線を100mJ/cmの条件で最小ライン・アンド・スペースが10μmであるパターンを描画した。その後、30℃の1wt%炭酸ソーダ水溶液を用いて2気圧のスプレー圧で現像し、水洗を2回繰り返し、感光性レジストパターンが形成された基板を得た。次いで、硫酸銅めっき液を用いて1.5アンペア/dmで70分間の電解銅めっきを行い、レジストが形成されていない部分に約10μm厚さの銅パターンを形成した。次いで、基板をアルカリ剥離液(三菱瓦斯化学(株)製、R−200)で50℃、3分の条件でセミアディティブ用ドライフィルムを剥離した後、この銅パターンを形成した基板のセミアディティブ用ドライフィルムが形成されていた部分がなくなるまで、エッチング液(三菱瓦斯化学(株)製、SE−07)を用いて銅回路をエッチングし、最小ライン・アンド・スペースが10μmの回路基板を得た。
比較例2
比較例1で作成した回路板をメック社のCZ処理を施した後、熱硬化性ドライフィルム(味の素ファインテクノ(株)製、ABF−GX13)を両面に張り合わせ、ニチゴーモートン社製真空ラミネーターで70℃、0.5Mpa、30秒の条件でラミネートした後、熱風乾燥炉にて170℃で60分間熱硬化し、積層成形した。得られた基板に、炭酸ガスレーザー(出力13mJ)で1ショット照射して孔径60μmのブラインドビア孔をあけた。次いで、デスミア処理(過マンガン酸カリウム系デスミア溶液(日本マクダーミッド(株)製)で膨潤、デスミア(溶解)、中和してブラインドビア孔のスミヤの除去と熱硬化ドライフィルムの硬化面の凹凸処理を行った。このときの樹脂表面の凹凸はRz5.3μmであった。この基板に対して、無電解銅めっき液(奥野製薬(株)製、ATSアドカッパーCT)を用いて無電解銅めっきを行い、厚さ1μmの銅層を形成して、130℃の加熱炉で2時間加熱した後、セミアディティブ用ドライフィルムをニチゴーモートン社製真空ラミネーターで70℃、0.5Mpa、30秒の条件でラミネートした。その後、紫外線露光装置(ORC社製)を用いて紫外線を100mJ/cmの条件で最小ライン・アンド・スペースが10μmであるパターンを描画した。その後、30℃の1wt%炭酸ソーダ水溶液を用いて2気圧のスプレー圧で現像し、水洗を2回繰り返し、感光性レジストパターンが形成された基板を得た。そして、この基板に対して、硫酸銅めっき液を用いて1.5アンペア/dmで70分間の電解銅めっきを行い、レジストが形成されていない部分に約10μm厚さの銅パターンを形成した。次いで、アルカリ剥離液(三菱瓦斯化学(株)製、R−200)を用いて50℃、3分の条件でセミアディティブ用ドライフィルムを剥離した後、この銅パターンを形成した基板のセミアディティブ用ドライフィルムが形成されていた銅部分がなくなるまで、エッチング液(三菱瓦斯化学(株)製、SE−07)を用いて銅回路をエッチングし、最小ライン・アンド・スペースが10μmの多層回路基板を得た。
さらに、この基板に、実施例5と同様に、ドライフィルムソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製、AUS410)のソルダーレジストパターンを形成して、ソルダーレジストが形成された基板を得た。
前記各実施例及び比較例で作成した回路基板に対して、後述するような特性試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2011040530
(1)ピール強度:
JIS C6481に準じて、3回測定したピール強度の平均値で示した。
(2)はんだ耐熱性:
121℃、203kPaで4時間処理後に260℃のはんだ液中に30秒間浸漬してから回路の剥がれ、樹脂の剥離等の異常の有無を観察し、以下の基準で評価した。
○:異常なし
×:一部に膨れ有り
(3)細線形成性:
形成したL/S(ライン/スペース)=10/10μm又はL/S=20/20μmの細線が形成できているかどうかを顕微鏡で確認し、以下の基準で評価した。
○:問題なく形成されている。
△:ごく一部に剥離が見られる。
×:剥離が見られる。
(4)無電解金めっき適性:
各配線板に無電解ニッケルめっきを行い、さらに無電解金めっきを行い、回路形成時のエッチング残渣によるめっきの異常析出の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○:異常析出なし。
×:配線がない樹脂上までめっきが析出している。
表2に示される結果の通り、実施例1〜5の場合、配線板は銅箔を全てエッチングして銅箔のプロファイルの表面粗さを有したまま回路形成しているためにピール強度が高い結果が得られた。また、基材と感光性レジスト膜の表面全体に電解銅めっきのシード層(導通層)を無電解銅めっきで形成し、次いで電解銅めっき層を全面に形成した後、感光性レジスト膜表面が露出するまで平坦にエッチングして形成した配線板は高精細であり、完成した回路間に導電層形成の履歴がないため、エッチング不良によるニッケル及び金めっきに異常析出の可能性がないものであった。
また、実施例3及び実施例4で得られた配線板は、回路と絶縁層が平坦であり、ソルダーレジスト層も均一膜厚で形成することができる高精度な形成方法であった。
一方、比較例1の場合、実施例と同様に配線板の銅箔を全てエッチングして銅箔のプロファイルの表面粗さを有したまま回路形成しているために比較的ピール強度が高い結果であった。しかしながら、基材樹脂上のプロファイルが大きいため、銅箔層を剥離するときのオーバーエッチによると思われる細線の剥離が見られた。一方、比較例2では、銅箔のプロファイルを用いないでデスミヤ工程により樹脂上に凹凸形成したため、完成した回路のピール強度は実施例よりも低いものであった。さらに、配線板の後処理である無電解ニッケル、無電解金めっきを形成した際、配線以外の樹脂上にもめっきが異常析出してしまった。これは細線間(感光性レジスト膜の下)に無電解銅めっきを形成していたため、エッチングしても無電解銅めっきの触媒であるパラジウムがエッチングされずに残っていたためと思われる。
1:基板
2:銅箔
3:銅張積層板
4:感光性レジスト膜
5:レジストパターン
6:スルーホール
7:銅めっき層
8:銅回路パターン
9:めっきスルーホール
10:層間樹脂絶縁層
11:バイアホール
12:外層のレジストパターン
13:外層の銅めっき層
14:外層の銅回路パターン

Claims (11)

  1. (a)基板表面に形成された感光性レジスト膜に選択的露光及び現像を行って、回路形成する部分の溝パターンが形成された、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できるパターン化されたレジスト膜を形成する工程、
    (b)前記溝パターン部分の基板の露出表面及びパターン化されたレジスト膜表面の全体に無電解銅めっきを行い、次いで表面がほぼ平滑になるまで電解銅めっきを行って、上記レジスト膜を覆う銅めっき層を形成する工程、
    (c)前記レジスト膜の表面が露出するまで、銅めっき層を機械的研磨及び/又は化学的研磨又はエッチングにより均一に減少させ、表面に銅回路パターンを露出させる工程
    を含むことを特徴とするプリント配線板の製造方法。
  2. 前記工程(c)の後に、さらに(d)表面層部分が銅回路パターンのみとなるように前記レジスト膜を除去する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記基板が、銅張積層板の銅箔を全てエッチング除去し、銅箔の凹凸面が転写された表面を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記レジスト膜が、パターン形成後に紫外線照射、加熱処理及びプラズマ処理よりなる群から選ばれたいずれか少なくとも1種の処理を行って、無電解銅めっきにより銅めっき層を形成できるレジスト膜としたものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記工程(a)において、基板表面に形成された感光性レジスト膜に紫外線のパターン露光又は紫外線の直接描画により選択的露光を行い、次いで現像を行って、回路形成する部分の溝パターンを形成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記工程(d)において、前記レジスト膜をアルカリ水溶液で剥離し、又はデスミヤ処理して取り除くことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記工程(a)に付される基板がスルーホールを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記工程(c)の後、さらに層間樹脂絶縁層を形成した後に感光性レジスト膜を形成し、次いで前記工程(a)、(b)及び(c)を繰り返し、多層プリント配線板を作製することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記工程(d)の後、さらに層間樹脂絶縁層を形成した後に感光性レジスト膜を形成し、次いで前記工程(a)、(b)及び(c)を繰り返し、多層プリント配線板を作製することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記前記工程(a)、(b)及び(c)を繰り返した後、さらに表面層部分が銅回路パターンのみとなるように前記(d)のレジスト膜除去工程を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
  11. 前記請求項1又は3乃至9のいずれか一項に記載の方法により作製された、表面層部分に銅回路パターンと該パターン間に埋め込まれた樹脂絶縁層とを有し、これら銅回路パターンと樹脂絶縁層とから平坦な表面が形成されていることを特徴とするプリント配線板。
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