JP2011039382A - 静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】結着樹脂と着色剤と無機粒子とを少なくとも含むトナー粒子と、外添剤と、を含有し、前記トナー粒子中における前記着色剤の分散径の平均が0.02μm以上0.2μm以下であり、前記トナー粒子中における前記無機粒子の含有量が0.05質量%以上2質量%以下であり、形状係数SF1が115以上145以下である静電荷像現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては帯電、露光工程により感光体上に静電荷像を形成し、トナーを含む現像剤で静電荷像を現像し、転写、定着工程を経てトナー像が可視化される。
ここで用いられる現像剤としては、トナー及びキャリアを含む2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られている。
ところで、どのような素材に対しても、高品位な画像記録、印字が可能であり、かつ高い信頼性と保存安定性を両立する記録剤として有用な着色ポリエステル水系分散体の提供をするために、染料および/または顔料により着色されたポリエステル樹脂の微粒子を主成分とする分散質と、水を主成分とする分散媒とを含む着色水分散体であって、該分散体の分散質濃度と分散体粘度とが特定の関係にあることを特徴とする着色ポリエステル水分散体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、分散安定性に優れた着色樹脂粒子水分散液を提供するために、活性エネルギー線処理および/または活性ガス処理された顔料を樹脂で被覆して着色樹脂粒子を下記の工程によって得る,着色樹脂粒子水分散液製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
(1)顔料を活性エネルギー線および/または活性ガスで表面処理する工程。
(2)酸価を有する樹脂に,(1)の工程で表面処理された顔料を分散して着色樹脂を得る樹脂着色工程。
(3)着色樹脂から乳化手段によって着色樹脂粒子水分散液を得る工程。
また、乳化分散法によって、トナーを製造する際、トナー粒子内に離型剤の粒子が均一に分散し、表面に露出することがなく、かつ粒度分布が狭く、シャープなトナー粒子を得るために、離型剤とカルボキシル基を有するバインダー樹脂を有機溶剤中に予備微分散して予備微分散液とし、この予備微分散液を高圧ホモジナイザーで処理して離型剤安定微分散液とし、この離型剤安定微分散液にカルボキシル基を有するバインダー樹脂と有機顔料を加え溶解または分散させて着色樹脂溶液とし、この着色樹脂溶液に塩基性化合物を加えてこの着色樹脂溶液を水性媒体中に乳化させ、この水性媒体中に着色樹脂溶液の微粒子を形成させ、ついで、分散安定剤および電解質を順次添加することで該微粒子の合一体を形成させ、さらにこの合一体中の有機溶剤を除去したのち、この合一体を水性媒体から分離し、乾燥させることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
また、トナー主樹脂との混合時には、低シェア力でトナー主樹脂中に分散することが可能であり、着色剤の分散性に優れたマスターバッチの製造方法を提供するために、有機溶剤中において顔料粒子表面を被覆化する樹脂を溶解させ樹脂溶液を作成する工程(1)と、前記樹脂溶液中に顔料粒子を混合し、当該顔料粒子が樹脂溶液中で微細化する工程(2)と、前記樹脂溶液を水性媒体中に微粒子の液滴とした後、脱有機溶剤化する工程(3)と、前記水性媒体中に分散している顔料粒子を内包している樹脂微粒子を水性媒体から分離乾燥する工程(4)と、を有することを特徴とするマスターバッチの製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、微小粒子や粗大粒子の発生を極力抑え、粒度分布が狭いトナーを製造することができる静電荷像現像用トナーの製造方法を提供するため、カルボキシル基を有するバインダー樹脂と着色剤を含有する混合物を、有機溶剤中に溶解又は分散させて着色剤が分散する樹脂溶液を製造し、次いで、該樹脂溶液を塩基性化合物の存在下で水性媒体中に乳化させることにより該樹脂溶液の微粒子を形成し、その後、分散安定剤及び電解質を順次添加することで該微粒子の合一体を形成させ、更に、該合一体中の有機溶剤を除去後、該合一体を該水性媒体から分離し乾燥する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、前記バインダー樹脂として酸価が異なる2種以上のバインダー樹脂を使用し、該酸価が異なる2種以上のバインダー樹脂の中で、高い酸価を有するバインダー樹脂Aの酸価と低い酸価を有するバインダー樹脂Bの酸価の差が10乃至30であり、該バインダー樹脂Aのバインダー樹脂全体に対する使用量が1乃至20質量%であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
特開平9−100396号公報 特開平10−265710号公報 特開2005−49394号公報 特開2006−3705号公報 特開2006−178054号公報
本発明は、低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
即ち、請求項1に係る発明は、結着樹脂と着色剤と無機粒子とを少なくとも含むトナー粒子と、外添剤と、を含有し、前記トナー粒子中における前記着色剤の分散径の平均が0.02μm以上0.2μm以下であり、前記トナー粒子中における前記無機粒子の含有量が0.05質量%以上2質量%以下であり、形状係数SF1が115以上145以下である静電荷像現像用トナーである。
請求項2に係る発明は、前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項3に係る発明は、第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子と有機溶剤と塩基性化合物とを含む混合液に水系媒体を添加して転相乳化を行った後に前記有機溶剤を除去することで前記第一の結着樹脂と前記着色剤と前記無機粒子とを含む着色樹脂を分散した着色樹脂分散液を準備する着色樹脂分散液準備工程と、前記着色樹脂分散液と、第二の結着樹脂を分散した結着樹脂分散液とを混合して前記着色樹脂と前記第二の結着樹脂とを含む凝集粒子の分散液を調製する凝集粒子分散液調製工程と、加熱により前記凝集粒子を融合する融合工程と、を含む請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法である。
請求項4に係る発明は、前記着色樹脂分散液を少なくとも二種用い、前記着色樹脂分散液の少なくとも一種に分散された前記着色樹脂に含まれる前記第一の結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂である請求項3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法である。
請求項5に係る発明は、前記着色剤が、平均一次粒子径が20nm以上35nm以下のカーボンブラックである請求項3又は請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法である。
請求項6に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
請求項7に係る発明は、トナーが少なくとも収容され、前記トナーが請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジである。
請求項8に係る発明は、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジである。
請求項9に係る発明は、感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記感光体上に形成された前記静電荷像を請求項6に記載の静電荷像現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有する画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項2に係る発明によれば、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂と非晶性ポリエステル樹脂とを用いない場合に比べて、低温定着性に優れる。
請求項3に係る発明によれば、低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像用トナーが製造される。
請求項4に係る発明によれば、第一の結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いない場合に比較して、着色剤の分散性を高められる。
請求項5に係る発明によれば、平均一次粒子径が20nm以上35nm以下のカーボンブラックを用いない場合に比較して、高濃度な黒画像が形成されるトナーが製造される。
請求項6に係る発明によれば、低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像剤が提供される。
請求項7に係る発明によれば、低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像用トナーの供給を容易にするトナーカートリッジが提供される。
請求項8に係る発明によれば、低光沢な画像で剥離性に優れる静電荷像現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高められる。
請求項9に係る発明によれば、低光沢な画像で剥離性に優れる画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の静電荷像現像用トナー及びその製造方法、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ並びに画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーと称することがある。)は、結着樹脂と着色剤と無機粒子とを少なくとも含むトナー粒子と、外添剤と、を含有し、前記トナー粒子中における前記着色剤の分散径の平均が0.02μm以上0.2μm以下であり、前記トナー粒子中における前記無機粒子の含有量が0.05質量%以上2質量%以下であり、形状係数SF1が115以上145以下である静電荷像現像用トナーである。
本実施形態に係るトナーを用いることにより、低光沢で剥離性に優れる画像が形成される。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子中に無機粒子を0.05質量%以上2質量%以下含有する。これにより、トナーの弾性が向上する。そのため、定着された画像の表面が平滑になりにくくなる。その結果として、画像の剥離性が向上し、且つ、低光沢な画像が得られるようになるものと推察される。
また、トナーの弾性が向上することで高温オフセットの発生が抑制されるため、定着ラチチュードが拡大する。
本実施形態において、トナー粒子中における無機粒子の含有量が0.05質量%未満であると十分な剥離性を得る事ができず高温オフセットの問題を生ずることがある。また、含有量が2質量%を超えると、十分な低温定着性を得ることができず、定着画像剥がれ・荒れ・低温オフセットの問題を生ずることがある。本実施形態においては、トナー粒子中における無機粒子の含有量は0.05質量%以上1.5質量%以下が望ましい。
なお、本実施形態において「トナー粒子中における無機粒子の含有量」は、トナー粒子に添加された外添剤を無機粒子として含まないことを意味する。
本実施形態において、トナー粒子中における着色剤の分散径の平均は0.02μm以上0.2μm以下であることが必要である。分散径の平均が0.02μm未満であると十分な着色力を得る事ができず低濃度の問題を生ずることがある。また、分散径の平均が0.2μmを超えると十分な着色力を得る事ができないばかりか、黒トナーとして用いる場合は、電気特性が悪くなり高温高湿環境における電荷注入かぶりや転写不良が生じ、また黒以外で使用の場合は重ね合わせ画像における下層色の透過性を阻害し発色性や狭色域の問題を生ずることがある。分散径の平均は0.05μm以上0.15μm以下が望ましい。
なお、トナー粒子中における着色剤の分散径の平均とは、下記方法により測定された値をいう。
電子顕微鏡で撮影された5万倍以上(10万倍が良)の写真について画像処理装置を用い顔料分散部分の分散径を測定し平均を求めた値を着色剤の分散径とする(n数は500以上となる様に写真枚数で調整)。
本実施形態において、トナーの形状係数SF1は115以上145以下であることが必要である。形状係数SF1が145を超えると十分な現像性・転写性を得る事ができず低画質の問題を生ずることがある。また、形状係数SF1を115未満とすることは事実上困難である。形状係数SF1は125以上140以下が望ましい。なお、混練粉砕法により製造されるトナーの形状係数SF1は、通常、145を超えるものである。
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナー粒子の絶対最大長、Aはトナー粒子の投影面積を各々示す。
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂と着色剤と無機粒子とを少なくとも含むトナー粒子と、外添剤と、を含有し、必要に応じてその他の成分を含む。以下、トナーに含有される各成分について詳細に説明する。
(結着樹脂)
本実施形態に係るトナー粒子は結着樹脂を含む。結着樹脂の種類は特に限定されるものではなく、公知の結晶性樹脂や非晶性樹脂を用いてもよい。結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用してもよい。
−結晶性樹脂−
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられるが、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
なお、本実施形態において低温定着とは、トナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう。
ここで、前記結晶性樹脂における『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10(℃)以内であることを意味する。一方、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性樹脂(無定形高分子)を意味する。
また、結晶性樹脂を構成する重合性単量体成分としては、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体が望ましい。さらに結晶性を損なわないために、構成される重合性単量体由来成分は、重合体中で単一種で各々30mol%以上であることが望ましい。特にポリエステル樹脂などにおいて2種以上の重合性単量体類が必須で構成される際には、各必須構成重合性単量体種において同上の構成であることが望ましい。
以下、結晶性樹脂を代表して結晶性ポリエステル樹脂を中心に説明する。
本実施形態で用いる結晶性ポリエステル樹脂の融点は保管性と低温定着性から、50℃以上100℃以下の範囲にあることが望ましく、55℃以上90℃以下の範囲にあることがより望ましく、60℃以上85℃以下の範囲にあることがさらに望ましい。融点が50℃を下回ると、保管トナーにブロックキングが生じるなどのトナー保管性や、定着後の定着画像の保管性が困難となることがある。また、融点が100℃を超える場合では十分な低温定着性が得られないことがある。
なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融点は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
本実施形態において「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
本実施形態に係るトナー粒子に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の特定の芳香族カルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより望ましい。脂肪族ジオールが分岐型では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が降下してしまう場合がある。また、主鎖部分の炭素数が7未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融解温度が高くなり、低温定着が困難となることがある。一方、主鎖部分の炭素数が20を超えると実用上の材料の入手が困難となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより望ましい。
本実施形態に係るトナー粒子に用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より望ましくは90モル%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融解温度が降下する為、耐トナーブロッキング性、画像保存性及び、低温定着性が悪化してしまう場合がある。
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の一分子中に少なくとも3つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸等が挙げられる。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類等が挙げられる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度を180℃以上230℃以下として行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
重合性単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
本実施形態に用いる結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するのに必要なKOHのmg数)は、3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下の範囲であることが望ましく、6.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下の範囲にあることがより望ましく、8.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲にあることがさらに望ましい。なお、本実施形態において、酸価の測定は、JIS K−0070−1992に準ずる。
酸価が3.0mgKOH/gよりも低いと水中への分散性が低下するため、湿式製法での乳化粒子の作製が非常に困難となる場合がある。また凝集の際における乳化粒子としての安定性が著しく低下するため、効率的なトナーの作製が困難になる場合がある。一方、酸価が30.0mgKOH/gを超えると、トナーとしての吸湿性が増してしまい、トナーとしての環境影響を受けやすくなることがある。
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下であることが望ましい。分子量(Mw)が、6,000未満であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下する場合がある。また、重量平均分子量(Mw)が35,000を超えると、溶融時の粘度が高くなりすぎて定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがあり、結果として低温定着性が損なわれる場合がある。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行った。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量は、3質量%以上40質量%以下の範囲であることが望ましく、より望ましく4質量%以上35質量%以下の範囲であり、さらに望ましくは5質量%以上30質量%以下の範囲である。
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とすることが望ましい。さらにこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが望ましく、90mol%以上であることがより望ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類が好適に用いられる。
(非晶性樹脂)
本実施形態における非晶性樹脂としては、スチレン/アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、等公知の樹脂材料を用いてもよいが、非晶性ポリエステル樹脂が特に望ましい。
非晶性ポリエステル樹脂を用いることで、前記結晶性ポリエステル樹脂との相溶性が向上するため、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度における低粘度化に伴い、非晶性ポリエステル樹脂も低粘度化し、トナーとしてのシャープメルト性(鋭敏な溶融特性)が得られるために、低温定着性に有利である。また結晶性ポリエステル樹脂との濡れ性が良好なことから、結晶性ポリエステル樹脂のトナー内部への分散性が向上し、結晶性ポリエステル樹脂のトナー表面への露出を抑制するため、帯電性への悪影響が抑制される。またこの理由により、トナーの強度や定着画像の強度向上の観点でも望ましい。
以下、本実施形態における非晶性樹脂を代表して非晶性ポリエステル樹脂を中心に説明する。
本実施形態において望ましく用いられる非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いてもよい。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが望ましく、また良好なる定着性を確保するためには架橋構造あるいは分岐構造をとることが望ましく、そのためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
前記非晶性ポリエステル樹脂における多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールを1種又は2種以上用いてもよい。これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより望ましい。また、より良好なる定着性を確保するためには架橋構造あるいは分岐構造をとることが望ましく、そのためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
本実施形態においては、非晶性ポリエステル樹脂の構成成分としてアルケニルコハク酸又はその無水物を含むことが望ましい。構成成分としてアルケニルコハク酸又はその無水物を含む非晶性ポリエステル樹脂を用いることにより、結晶性樹脂との相溶性が向上し、良好な低温定着性が得られる。アルケニルコハク酸としては、ドデセニルコハク酸やオクチルコハク酸等が用いられる。
前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上80℃以下の範囲であることが望ましい。Tgが50℃より低いと、トナーの保存性や定着画像の保存性の観点で問題が生じてしまう場合がある。また80℃より高いと、従来に比べ低温で定着することができなくなる場合がある。
非晶性ポリエステル樹脂のTgは50℃以上65℃以下であることがより望ましい。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
トナー粒子中の非晶性樹脂の含有量は、40質量%以上95質量%以下の範囲であることが望ましく、より望ましく50質量%以上90質量%以下の範囲であり、さらに望ましくは60質量%以上85質量%以下の範囲である。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造は、前記結晶性ポリエステル樹脂の場合に準じて行ってもよい。
以上、本実施形態における結晶性樹脂、非晶性樹脂について、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂により説明したが、前記のポリエステル樹脂の製造以外の内容は、本実施形態における他の結晶性樹脂、非晶性樹脂について適用されてもよい。
また、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000以上80,000以下であることが望ましい。分子量(Mw)が、30,000以上80,000以下であれば、トナーの形状が制御され、形状のポテト化が実現される。更に、高温オフセット耐性が得られる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、35,000以上80,000以下がさらに望ましく、40,000以上80,000以下が特に望ましい。
本実施形態においては、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を併用することが望ましい。
(着色剤)
本実施形態に係るトナー粒子は着色剤を含む。本実施形態で用いられる着色剤としては、染料であっても顔料であってもかまわないが、耐光性や耐水性の観点から顔料が望ましい。
望ましい着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料を使用してもよい。
本実施形態に係るトナー粒子における前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲が望ましい。また、必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用したりすることも有効である。前記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
(無機粒子)
本実施形態に係るトナー粒子は無機粒子を含む。
無機粒子は、種々の目的のために添加されるが、本実施形態ではトナーにおける粘弾性調整のために添加される。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みが調整される。無機粒子としては、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用されてもよいが、発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が小さいシリカ粒子が望ましい。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものを用いてもよい。
(その他の添加剤)
本実施形態に係るトナー粒子には、上記成分以外にも、更に必要に応じて離型剤、内添剤、帯電制御剤、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融点は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。離型剤のトナー中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%より少ないと、特にオイルレス定着において剥離不良となるおそれがある。離型剤の含有量が15質量%より多いと、トナーの流動性が悪化する等、画質および画像形成の信頼性を低下させるおそれがある。
帯電制御剤としては、公知のものを使用してもよいが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いてもよい。
本実施形態に係るトナーは、外添剤を含有する。
前記外添剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、塩化セリウム、ベンガラ、酸化クロム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げられる。これらの中でも、シリカ粒子及び/又はチタニア粒子が好ましく、特に疎水化処理されたシリカ粒子、チタニア粒子が好ましい。
前記外添剤は、一般にトナーの流動性を向上させる目的で使用される。外添剤の中でも、メタチタン酸TiO(OH)を用いることにより、透明性に優れ、良好な帯電性、環境安定性、流動性、耐ケーキング性、安定した負帯電性、安定した画質維持性を示すトナーが得られる。また、メタチタン酸の疎水化処理化合物は、1010Ω・cm以上の電気抵抗を有することが、転写電界を上げても逆極性に帯電したトナーが発生することなしに高転写性が得られるため好ましい。流動性付与を目的とした外添剤の体積平均粒子径は、1次粒子径で1nm以上40nm以下の範囲であることが好ましく、5nm以上20nm以下の範囲であることがより好ましい。また転写性向上を目的とした外添剤の体積平均粒子径は50nm以上500nm以下が好ましい。これらの外添剤粒子は、疎水化等の表面改質を行うことが帯電性、現像性を安定させる点で好ましい。
前記表面改質の手段としては従来公知の方法が用いられる。具体的にはシラン、チタネート、アルミネート等の各カップリング処理が挙げられる。カップリング処理に用いるカップリング剤としては特に制限はないが、例えばメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェエルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ブロモプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、フルオロアルキルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等のシランカップリング剤;チタネートカップリング剤;アルミネートカップリング剤;等が好適な例として挙げられる。
更に、必要に応じて種々の添加剤を添加してもよく、これらの添加剤としては、他の流動化剤やポリスチレン粒子、ポリメチルメタクリレート粒子、ポリフッ化ビニリデン粒子等のクリーニング助剤やジンクステアリルアミド、チタン酸ストロンチウム等の感光体付着物除去を目的とした研磨剤等があげられる。
前記外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下の範囲が好ましく、0.3質量部以上2質量部以下の範囲がより好ましい。添加量が0.1質量部より少ないと、トナーの流動性が悪化する場合があり、更に帯電性が悪化する、電荷交換性が悪化するなどの不具合があり、宜しくないことがある。一方、該添加量が5質量部より多いと、過剰被覆状態となり、過剰無機酸化物が接触部材に移行し、二次障害を引き起こす場合がある。
(トナーの特性)
本実施形態におけるトナーの体積平均粒子径は3μm以上9μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは4μm以上8μm以下の範囲であり、さらに望ましくは4.5μm以上7.5μm以下の範囲である。体積平均粒子径が3μmより小さいと、トナー流動性が低下し、各粒子の帯電性が低下しやすい。また、帯電分布が広がるため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じやすくなる。また3μmより小さいと、格段にクリーニング性が困難となる場合がある。体積平均粒子径が9μmより大きいと、解像度が低下するため、十分な画質が得られなくなり、近年の高画質要求を満たすことが困難となる場合がある。
なお、上記体積平均粒子径の測定は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行われる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
<静電潜像現像用トナーの製造方法>
本実施形態に係るトナーの製造方法は特に限定されず、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製されてもよい。これらの方法の中でも、コアシェル構造のトナーを作成容易な乳化凝集法が好ましい。以下、乳化凝集法による本実施形態に係るトナーの製造方法について詳しく説明する。
乳化凝集法による本実施形態に係るトナーの製造方法は、第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子と有機溶剤と塩基性化合物とを含む混合液に水系媒体を添加して転相乳化を行った後に前記有機溶剤を除去することで前記第一の結着樹脂と前記着色剤と前記無機粒子とを含む着色樹脂を分散した着色樹脂分散液を準備する着色樹脂分散液準備工程と、前記着色樹脂分散液と、第二の結着樹脂を分散した結着樹脂分散液とを混合して前記着色樹脂と前記第二の結着樹脂とを含む凝集粒子の分散液を調製する凝集粒子分散液調製工程と、加熱により前記凝集粒子を融合する融合工程と、を含むものであってもよい。凝集粒子分散液調製工程においては、必要に応じて離型剤を分散した離型剤分散液をさらに混合し、凝集粒子中に離型剤を含ませてもよい。
(着色樹脂分散液準備工程)
着色樹脂分散液準備工程では、第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子と有機溶剤と塩基性化合物とを含む混合液が準備される。第一の結着樹脂としては上述の結晶性樹脂又は非晶性樹脂が用いられる。第一の結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いると、着色剤の分散性が向上する。従来、平均一次粒子径が20nm以上35nm以下のカーボンブラックをトナー粒子中に分散径の平均が0.02μm以上0.2μ以下の範囲となるように分散させることは困難な場合があった。しかし、第一の結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を用いてカーボンブラックを予め着色樹脂中に分散させることにより、平均一次粒子径が20nm以上35nm以下のカーボンブラックが、トナー粒子中に分散径の平均が0.02μm以上0.2μ以下の範囲となるように分散される。その結果として、トナーの着色力が向上する。
塩基性化合物としては、第一の結着樹脂中のカルボキシル基、スルホン酸基等の酸性基が中和される塩基性化合物であればよいが、樹脂の加水分解を防ぐため、弱塩基であるアミン類であることが望ましく、アンモニアがより望ましい。また、前記アンモニアは、アンモニア水溶液の状態で混合液中に添加されることが特に望ましい。
塩基性化合物の使用量は、使用する結着樹脂の酸価に対して、0.4モル当量以上2.5モル当量以下であることが望ましく、0.5モル当量以上2.0モル当量以下であることがより望ましく、0.6当量モル以上1.5モル当量以下であることがさらに望ましい。塩基性化合物の使用量が0.4モル当量以上であると、界面張力が十分に下げられる。また、塩基性化合物の使用量が2.5モル当量以下であると、界面張力が下がりすぎず、粗大粒子の発生が抑制でき、良好な粒度分布の着色樹脂が得られる。
混合液に含まれる有機溶剤としては、結着樹脂を溶解するものであることが望ましい。有機溶剤としては、水への親和性が高い点から、ヘテロ原子(酸素原子、窒素原子等)を有する有機溶剤であることが望ましい。具体的には、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール系溶剤、メチルエチルケトン、3−ヘキサノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸セロソルブ等のエステル系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が例示される。
これら有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。
有機溶剤は、エステル系溶剤、エーテル系溶剤又はケトン系溶剤とアルコール系溶剤とを併用することが望ましく、ケトン系溶剤とアルコール系溶剤とを併用することがより望ましく、メチルエチルケトンと2−プロパノールとを併用することがさらに望ましい。上記のように有機溶剤を併用することにより、樹脂を膨潤させることにより溶解粘度を低下させる溶剤と、樹脂溶解液の水への親和性を与える溶剤という機能分離がなされ、それぞれの機能について独立で制御が容易であるため望ましい。
また、これら有機溶剤は、取り扱いや除去の容易性から、常圧における沸点が20℃以上150℃以下である有機溶剤が望ましく、30℃以上100℃以下である有機溶剤がより望ましい。
着色樹脂分散液準備工程では、第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子と有機溶剤と塩基性化合物と必要に応じてその他の成分とを含む混合液が準備される。該混合液は、回転せん断型ホモジナイザーやボールミル、サンドミル、アトライター等のメディア式分散機、高圧対向衝突式の分散機等を用いて調製される。
混合液に含まれる各成分の添加タイミングは特に限定されるものではないが、結着樹脂を有機溶剤に分散又は溶解させた後に塩基性化合物を添加することが望ましい。
着色樹脂分散液準備工程では、第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子と有機溶剤と塩基性化合物とを含む混合液に水系媒体を添加して転相乳化が行われる。
着色樹脂分散液準備工程に使用される水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水や、エタノール、メタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、エタノールや水であることが望ましく、蒸留水及びイオン交換水等の水が特に望ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、水系媒体には、水混和性の有機溶剤を含んでいてもよい。水混和性の有機溶剤としては、例えば、アセトンや酢酸等が挙げられる。
着色樹脂分散液準備工程における水相に対する油相の総質量は、水相と油相との合計量に対して、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
また、油相に滴下する水相の滴下速度は、樹脂100質量部に対し、水相1質量部/分以上3質量部/分以下であることが好ましく、水相1.5質量部/分以上2.5質量部/分以下であることがより好ましい。
攪拌速度一定の場合は、水相の滴下速度は油相と水相の混合性に対する要因となり、滴下速度が大きいときは、攪拌混合性が十分でないまま転相してしまうため、出来上がった着色樹脂分散液中の着色樹脂粒子の粒度分布が悪化し、分散安定性が不足する原因となることがある。滴下速度が上記範囲よりも小さい場合は、生産性が劣る他、加熱温度条件下で中和に使用した塩基性化合物と溶剤の反応時間が大きくなることになり、溶剤酸化物の生成量が多くなるため、分散液の分散安定性が悪化する原因となることがある。
着色樹脂分散液準備工程において、混合液を水性媒体中へ安定して分散させることを目的として界面活性剤を用いてもよい。
上記界面活性剤としては、例えば硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でもイオン性界面活性剤が望ましく、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤がより望ましい。
界面活性剤の乳化液中における含有量としては、一般的には少量であり、具体的には0.01質量%以上3質量%以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは0.05質量%以上2質量%以下の範囲であり、更に望ましくは0.1質量%以上1質量%以下の範囲である。含有量が上記範囲内であると、混合液が水系媒体中で安定に分散する。
着色樹脂分散液準備工程においては、分散安定剤を界面活性剤と共に併用してもよい。分散安定剤としては、難水溶性で親水性の無機微粉末が用いられる。使用される無機微粉末としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウム(ヒドロキシアパタイト)、クレイ、ケイソウ土、ベントナイト等が挙げられる。これらの中でも炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム等は粒子の粒度形成の容易さと、除去の容易さの点で望ましい。
また、20℃で固体の水性ポリマー等も分散安定剤として用いてもよい。具体的には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系化合物、ポリビニルアルコール、ゼラチン、デンプン、アラビアゴム等が挙げられる。
着色樹脂分散液準備工程においては、転相乳化を行った後に有機溶剤が除去されることで、第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子とを含む着色樹脂を分散した着色樹脂分散液が得られる。
有機溶剤を除去する具体的方法としては、転相乳化した後、乳化液を撹拌しながら空気、あるいは窒素等の不活性ガスを送り込み、気液界面での有機溶剤の乾燥を行う方法(排風乾燥法)、又は、減圧下に保持し必要に応じて不活性ガスをバブリングしながら乾燥を行う方法(減圧トッピング法)、更には、転相乳化した乳化液を細孔からシャワー状に放出し、例えば、皿状の受けに落としこれを繰り返しながら乾燥させる方法(シャワー式脱溶剤法)などが例示される。使用する有機溶剤の蒸発速度、水への溶解度などからこれらの方式を適時選択、あるいは組み合わせて脱溶剤を行うのが望ましい。
(凝集粒子分散液調製工程)
凝集粒子分散液調製工程では、着色樹脂と第二の結着樹脂とを含む凝集粒子の分散液が調製される。第二の結着樹脂としては上述の結晶性樹脂又は非晶性樹脂が用いられる。必要に応じて凝集粒子中に離型剤を含ませてもよい。
凝集粒子分散液調製工程において着色樹脂を用いることにより、着色剤がトナー粒子中に均一に分散され、且つ、効率よくトナー粒子中に着色剤が取り込まれるため、発色性、色域及び帯電性に優れるトナーが得られる。その結果として、高濃度の画像が形成されるトナーが得られる。
凝集粒子分散液調製工程に用いる原料分散液を準備するために、トナーを構成する材料を、水系媒体中に分散させた乳化分散液を調製する。以下、結着樹脂分散液や、離型剤分散液等について説明する。
結着樹脂分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒子径は、1μm以下であってもよく、0.01μm以上1μm以下であってもよく、0.03μm以上0.8μm以下であってもよく、0.03μm以上0.6μmであってもよい。
第二の結着樹脂粒子の体積平均粒子径が1μmを越えると、最終的に得られるトナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招き易くなる場合がある。一方、体積平均粒子径が上記範囲内であれば前記欠点がない上、トナー間の組成偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。
なお、第二の結着樹脂粒子等、原料分散液中に含まれる粒子の体積平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定される。
結着樹脂分散液やその他の分散液に用いられる分散媒としては、水系媒体であってもよい。
前記水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本実施形態においては、前記水系媒体に界面活性剤を添加混合しておいてもよい。
第二の結着樹脂粒子が、ポリエステル樹脂である場合、中和によりアニオン型となり得る官能基を含有しているため自己水分散性をもっており、親水性となり得る官能基の一部又は全部が塩基で中和された、水性媒体の作用下で安定した水分散体を形成する。
ポリエステル樹脂において中和により親水性基と成り得る官能基はカルボキシル基やスルホン酸基等の酸性基である為、中和剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アンモニア等の無機塩基や、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミンなどの有機塩基が挙げられる。
ポリエステル樹脂を用いて結着樹脂分散液を調整する場合は、転相乳化法を利用してもよい。なお、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂を用いて結着樹脂分散液を調整する場合にも転相乳化法を利用してもよい。
この転相乳化に用いられる有機溶剤としては例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−sec−ブチル、酢酸−3−メトキシブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸ジメチル等のエステル類、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール誘導体、さらには、3−メトキシ−3−メチルブタノール、3−メトキシブタノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、アセト酢酸エチル等が例示される。これらの溶剤は単一でも、また2種以上を併用して使用してもよい。
転相乳化に用いる有機溶媒の溶媒量に関しては、樹脂の物性により所望の分散粒径を得るための溶媒量が異なるため、一概に決定することは困難である。溶媒量が少ない場合には乳化性が不十分となり、樹脂粒子の粒径の大径化や粒度分布のブロード化等が発生する場合がある。
結着樹脂を水系媒体に分散させる場合、必要に応じて樹脂中のカルボキシル基の一部または全部を中和剤によって中和してもよい。中和剤としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノ−nプロピルアミン、ジメチルn−プロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−アミノエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン等のアミン類等が挙げられ、これらから選ばれるところの1種または2種以上を使用してもよい。これらの中和剤を添加することによって、乳化の際のpHを中性に調節し、得られるポリエステル樹脂分散液の加水分解が防止される。
また、この転相乳化の際に分散粒子の安定化や水系媒体の増粘防止を目的として、分散剤を添加してもよい。該分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウムの等の水溶性高分子、リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機化合物等が挙げられる。これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用してもよい。分散剤は、第二の結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下添加してもよい。
転相乳化の際の乳化温度は、有機溶剤の沸点以下でかつ、第二の結着樹脂の溶融温度あるいはガラス転移温度以上であればよい。乳化温度が第二の結着樹脂の溶融温度あるいはガラス転移温度未満の場合、結着樹脂分散液を調整することが困難となる。なお、有機溶剤の沸点以上で乳化する場合は、加圧密閉された装置で乳化を行えば良い。
結着樹脂分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は通常、5質量%以上50質量%以下であってもよく、10質量%以上40質量%以下であってもよい。含有量が前記範囲外にあると、樹脂粒子の粒度分布が広がり、特性が悪化する場合がある。
離型剤分散液は、離型剤を水中にイオン性界面活性剤等と共に分散し、離型剤の溶融温度以上に加熱し、ホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて強い剪断力を印加することにより調製される。これにより、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を分散させる。また、離型剤分散液における分散媒としては、第二の結着樹脂に用いる分散媒と同様のものを用いてもよい。
凝集粒子分散液調製工程においては、まず得られた着色樹脂分散液と結着樹脂分散液と必要に応じて用いられる離型剤分散液等とを混合して、例えば第二の結着樹脂のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、2.2以上6以下の範囲がより望ましく、2.4以上5以下の範囲がさらに望ましい。この際、凝集剤を使用することも有効である。
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
前記無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが狭い粒度分布を得る点から望ましい。
また、凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いることが望ましい。非水溶性のキレート剤では、原料分散液中への分散性に乏しく、トナー中において凝集剤に起因する金属イオンの捕捉が充分になされなくなる場合がある。
キレート剤としては、公知の水溶性キレート剤であれば特に限定されないが、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸などのオキシカルボン酸、イミノジ酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などを用いてもよい。
キレート剤を用いることで、凝集剤の金属イオンの働きを封鎖し、結果的にトナー中の金属イオンが少なくなり、高光沢の画像、高色域が得られるようになる。また、キレート剤を用いることでポリエステル樹脂の加水分解の生じにくい低pHでのトナー粒径の制御がなされる。
本実施形態においては、着色樹脂分散液を少なくとも二種用い、着色樹脂分散液の少なくとも一種に分散された着色樹脂に含まれる第一の結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。
トナー粒子中の結晶性ポリエステル樹脂の含有量には望ましい範囲があるため、着色樹脂に含まれる第一の結着樹脂を結晶性ポリエステル樹脂とした場合、結晶性ポリエステル樹脂を含む着色樹脂の使用量にも望ましい範囲があることとなる。ここで、本実施形態に係るトナー粒子中に含有される着色剤は着色樹脂に含まれる着色剤を起源とする。そのため、結晶性ポリエステル樹脂を含む着色樹脂を用いるのみではトナー粒子中における着色剤の含有量が足りない場合が起こりうる。この場合には、結晶性ポリエステル樹脂を含む着色樹脂の他に、結晶性ポリエステル樹脂以外の第一の結着樹脂を用いた着色粒子を併用することで、着色剤の不足分を補ってもよい。
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで非晶性樹脂粒子を追添加することで、凝集粒子の表面を非晶性樹脂で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、結晶性樹脂、ワックス、色材等がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。非晶性樹脂としては、非晶性ポリエステル樹脂であってもよい。
(融合工程)
融合工程においては、凝集粒子分散液調製工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合し凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
得られたトナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等を外添剤として添加付着される。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させてもよい。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
また、上述した外添剤以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を添加させてもよい。
帯電制御剤としては、特に制限はないが、無色または淡色のものが好ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用される。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
−静電荷像現像剤−
本実施形態に係る静電荷像現像剤(以下、単に「現像剤」と称することがある。)は、本実施形態に係るトナーを含むものであれば特に限定されず一成分現像剤あるいは二成分現像剤のいずれであってもよい。二成分現像剤として用いる場合にはトナーと、キャリアとを混合して使用される。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であってもよい。
キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10μm以上500μm以下であり、30μm以上100μm以下であってもよい。
またキャリアの芯材の表面を樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法が挙げられる。
前記二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲であってもよく、3:100乃至20:100程度の範囲であってもよい。
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係るトナーを用いた本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記感光体上に形成された前記静電荷像を本実施形態に係る静電荷像現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有するものである。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容する本実施形態に係るプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。
現像効率、画像粒状性、階調再現性等の観点から、直流成分に交流成分を重畳させたバイアス電位(現像バイアス)を現像剤保持体に付与してもよい。具体的には、現像剤保持体直流印加電圧Vdcを−300乃至−700Vとしたとき、現像剤保持体交流電圧ピーク幅Vp−pを0.5乃至2.0kVの範囲としてもよい。
イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
トナー像を転写する被転写体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、現像装置111とともに、感光体107、帯電ローラ108、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図2で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態に係るプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。本実施形態に係るトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態に係る電子写真用トナーとしたものである。なお、本実施形態に係るトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
従って、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本実施形態に係る電子写真用トナーを収めたトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態に係る電子写真用トナーが容易に現像装置に供給される。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
−結晶性ポリエステル樹脂の合成−
・1,10ドデカン二酸 :250部
・1,9ノナンジオール :175部
加熱乾燥した三口フラスコに、上記成分と、触媒としてTi(OC)(酸成分に対し、0.014重量%)と、を入れた後、減圧操作により容器内の空気を減圧し、さらに窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械攪拌にて180℃で5時間還流を行った。その後、減圧蒸留を行い、200℃まで徐々に昇温を行い3時間攪拌し、粘稠な状態となったところでGPCにて分子量を確認し、重量平均分子量が18000になったところで、減圧蒸留を停止し、空冷し結晶性ポリエステル樹脂を得た。
−非晶性ポリエステル樹脂の合成−
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(平均付加モル数2.2):150部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(平均付加モル数2):160部
・イソフタル酸:20部
・テレフタル酸ジメチル:100部
・無水ドデセニルコハク酸:90部
以上の成分を混合した溶液にジブチルスズオキシド0.15部を加え、窒素雰囲気下で、180℃で6時間攪拌した。その後減圧しながら220℃で5時間攪拌し、分子量31000になったところで、無水トリメリット酸7部を加え更に3時間攪拌し、重量平均分子量が64100、ガラス転移温度が55.6℃である非晶性ポリエステル樹脂を得た。
[実施例1]
−トナーの作成−
(乳化液の作製)
非晶性ポリエステル樹脂100部と疎水性シリカ(R972、日本アエロジル社製)2.3部とカーボンブラック(R330、キャボット社製、平均一次粒子径:22nm)10部とをメチルエチルケトン75部とイソプロピルアルコール25部との混合溶剤に溶解させ、その後10%アンモニア水3.5部を添加し、40℃で攪拌しながらイオン交換水を2.5部/分の速度で250部滴下し転相乳化を実施した。その後、攪拌しながら減圧する方法(発泡の状況によって減圧度及び減圧速度を変更)で脱溶剤し固形分濃度31%の乳化液Aを得た。
乳化液Aの作製において、カーボンブラックを入れない以外は同様な方法で転相乳化を実施し、固形分濃度29%の乳化液Eを得た。
また、シリカを添加しない以外は乳化液Aの作製と同様な方法で転相乳化を実施し、固形分濃度30%の乳化液Fを得た。
結晶性ポリエステル樹脂100部と疎水性シリカ(R972)2.3部とカーボンブラック(R330)10部とをメチルエチルケトン70部とイソプロピルアルコール20部との混合溶剤に溶解させ、その後10%アンモニア水5部を添加し、60℃で攪拌しながらイオン交換水を2.5部/分の速度で250部滴下し転送乳化を実施した。その後、攪拌しながら減圧する方法で脱溶剤を行い固形分濃度31%の乳化液Bを得た。
カーボンブラック(R330)を20部にした以外は乳化液Bと同様な方法で乳化液Fを得た。
また、離型剤としてFNP92(日本精蝋製)30部と界面活性剤(テイカパワーBN2060、テイカ(株)社製)1部と水70部とをゴーリン(ゴーリン社製)にて温度130℃圧力40MPaの条件で溶融分散し粒径240nmのワックス分散液Cを得た。
また、疎水性シリカ及びカーボンブラックを加えない以外は乳化液Aと同様にして非晶性ポリエステル樹脂を含む乳化液Dを得た。
乳化液A60部と乳化液B8部とワックス分散液C9部と界面活性剤(DOWFAX2A1、ダウケミカル(株)社製)2部とを混合し、その後、硫酸アルミニウム0.5部を添加し、45℃まで昇温して凝集粒子を形成させた。その後、乳化液Eを23部添加して凝集粒子に非晶性ポリエステル樹脂を被覆させ、EDTA1.5部を添加し、更に系内のpHが7.5になる様に水酸化ナトリウムを添加した。その後、85℃まで昇温し3時間加熱して凝集粒子の平均円形度が0.965になったところで冷却し、その後洗浄・乾燥を行い、トナー粒子1を得た。トナー粒子1のシリカの含有量は1.91質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.100μm、形状係数SF1は135であった。
なお、凝集粒子の円形度はフロー式粒子像分析装置として、FPIA−3000(シスメックス社製)を用いることにより計測した。具体的な測定方法としては、予め不純固形物を除去した水100ml以上150ml以下の中に、分散剤として界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1ml以上0.5ml以下加え、更に測定試料を0.1g以上0.5g以下加えた。測定試料を分散した懸濁液は超音波分散器で1分以上3分以下分散処理を行ない、分散液濃度を3000個/μl以上1万個/μl以下として前記装置によりトナーの円形度を測定した。ここで円形度は下式によって求められる。
円形度=円相当径周囲長/周囲長=[2×(Aπ)1/2]/PM
(上式においてAは投影面積、PMは周囲長を表す。)
上記式により円形度を求め、それらを平均した値を平均円形度とした。
上記作製したトナー粒子1:100部に対し、体積平均粒子径30nmのデシルトリメトキシシラン処理されたチタニアを0.8部、及び体積平均粒子径100nmのヘキサメチルジシラザン処理したシリカ1.2部を添加し、5Lヘンシェルミキサー攪拌混合機(三井三池加工機(株)製)にて外添し、更に風力篩分機ハイボルターNR300(東京機械製)にて篩分(網目目開き45μm)しトナー1を得た。トナー1のSF1はトナー粒子1と同じであった。
粒径35μmのフェライトコア100部に対して固形分で0.85部のシリコーン樹脂(東レダウコーエングシリコーン社製:SR2411)をニーダー装置を用い80℃でコーティングした後、150℃で1時間硬化し、その後冷却してキャリア1を得た。
キャリア1を92部そしてトナー1を8部とを、V型ブレンダーにて混合し現像剤1を得た。
<評価>
(画像光沢の測定)
DocuCentre Color 500改造機に現像剤1を充填し、J紙(富士ゼロックス製)上に画像濃度が100%の画像を形成し、温度140℃で定着を行った。得られた画像について、偏角光沢計にて、60°光沢度を測定し、下記基準に基づいて評価した。得られた結果を表に示す。
◎: 10%未満
○: 10%以上、20%未満
△: 20%以上、30%未満
×: 30%以上
(剥離性評価)
剥離性は、画像光沢の評価に用いた画像の定着温度を変えた場合の巻きつきの発生温度を測定し、その結果に基づいて評価した。具体的には、先端余白4mmの画像密度100%サンプルを定着しヒートロールへの巻きつきを確認した。なお、定着機にはより剥離しやすいように剥離部材が取り付けられているが、この剥離部材により剥がれた後、用紙にそりが生じたものも、ヒートロールへの巻きつきは発生したものと見なした。
◎:巻きつき発生温度が230℃以上
○:巻きつき発生温度が220℃以上230℃未満
△:巻きつき発生温度が210℃以上220℃未満
×:巻きつき発生温度が200℃以上210℃未満
××:巻きつき発生温度が200℃未満
なお、230℃で巻きつきが発生しないものについては、ヒートロールの温度は230℃より高温にはしなかった。
(定着性評価)
定着性は、画像光沢の評価に用いた画像の定着温度を変えた場合のオフセットが起こらなかった最も低い定着温度(最低定着温度)及びオフセット発生する最も高い定着温度(高温オフセット)を測定し、以下の基準で評価した。
−最低定着温度−
◎:最低定着温度が110℃未満
○:最低定着温度が110℃以上120℃未満
△:最低定着温度が120℃以上130℃未満
×:最低定着温度が130℃以上140℃未満
××:最低定着温度が140℃以上
−高温オフセット−
◎:オフセット発生定着温度が230℃以上
○:オフセット発生定着温度が220℃以上230℃未満
△:オフセット発生定着温度が210℃以上220℃未満
×:オフセット発生定着温度が200℃以上210℃未満
××:オフセット発生定着温度が200℃未満
なお、230℃でオフセットが発生しないものについてはヒートロールの温度は230℃より高温にはしなかった。
(かぶり評価)
得られた現像剤1をDocuCentre Color 500改造機に充填し、高温高湿環境(30℃、90%RH)にて現像のクリーニングフィールドをノミナル+50V条件としてかぶり評価を行った。
感光体上のかぶり部分をテープ転写にて白紙(J紙)部に貼り付け、トナー重量を測定し、以下の基準で評価した。
◎: トナー重量<0.005g
○: トナー重量<0.01g
△: トナー重量<0.02g
×: トナー重量≧0.02g
評価結果を表に示す。
[実施例2]
乳化液Bを用いず、乳化液Aを68部とした以外は実施例1と同様にしてトナー粒子2を作成た。トナー粒子2のシリカの含有量は1.91質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.190μm、形状係数SF1は134であった。
トナー粒子2を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー2を得た。トナー2のSF1はトナー粒子2と同じであった。さらに、トナー2を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤2を得た。現像剤2を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
[実施例3]
EDTA1.5部を用いない以外は実施例1と同様にしてトナー粒子3を作製した。トナー粒子3のシリカの含有量は1.91質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.105μm、形状係数SF1は135であった。
トナー粒子3を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー3を得た。トナー3のSF1はトナー粒子3と同じであった。さらに、トナー3を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤3を得た。現像剤3を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
[実施例4]
乳化液F65部と乳化液B3部とワックス分散液C9部と界面活性剤(DOWFAX2A1、ダウケミカル(株)社製)2部とを混合し、その後、硫酸アルミニウム0.5部を添加し、45℃まで昇温して凝集粒子を形成させた。その後、乳化液Dを23部添加して凝集粒子に非晶性ポリエステル樹脂を被覆させ、EDTA1.5部を添加し、更に系内のpHが7.5になる様に水酸化ナトリウムを添加した。その後、85℃まで昇温し3時間加熱して凝集粒子の平均円形度が0.965になったところで冷却し、その後洗浄・乾燥を行い、トナー粒子4を得た。トナー粒子4のシリカの含有量は0.06質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.100μm、形状係数SF1は135であった。
トナー粒子4を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー4を得た。トナー4のSF1はトナー粒子4と同じであった。さらに、トナー4を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤4を得た。現像剤4を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
[実施例5]
乳化液E31部と乳化液F37部とワックス分散液C9部と界面活性剤(DOWFAX2A1、ダウケミカル(株)社製)2部とを混合し、その後、硫酸アルミニウム0.5部を添加し、45℃まで昇温して凝集粒子を形成させた。その後、乳化液Dを23部添加して凝集粒子に非晶性ポリエステル樹脂を被覆させ、EDTA1.5部を添加し、更に系内のpHが7.5になる様に水酸化ナトリウムを添加した。その後、85℃まで昇温し3時間加熱して凝集粒子の平均円形度が0.965になったところで冷却し、その後洗浄・乾燥を行い、トナー粒子5を得た。トナー粒子5のシリカの含有量は1.39質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.025μm、形状係数SF1は135であった。
トナー粒子5を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー5を得た。トナー5のSF1はトナー粒子5と同じであった。さらに、トナー5を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤5を得た。現像剤5を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
[比較例1]
疎水性シリカ(R972)100部と界面活性剤(テイカパワーBN2060、テイカ(株)社製)10部とをイオン交換水233部に加え、超音波分散機にて分散し分散液Xを得た。
カーボンブラック(R330)100部と界面活性剤(テイカパワーBN2060、テイカ(株)社製)7部とをイオン交換水233部に加え、超音波分散機にて分散し分散液Yを得た。
疎水性シリカとカーボンブラックを加えない以外は乳化液Bを得る方法と同様にして結晶性ポリエステル樹脂を含む乳化液Gを得た。
初期の混合(乳化液A60部と乳化液B8部とワックス分散液C9部と界面活性剤2部)を、乳化液D50部と乳化液E8部とワックス分散液C9部と分散液X2部と分散液Y6部とを用いて行った以外はトナー粒子1の作成と同様にしてトナー粒子6を得た。トナー粒子6のシリカの含有量は0.04質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.25μm、形状係数SF1は134であった。
トナー粒子6を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー6を得た。トナー6のSF1はトナー粒子6と同じであった。さらに、トナー6を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤6を得た。現像剤6を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
[比較例2]
分散液Xを用いない以外は比較例1と同様にしてトナー粒子7を得た。トナー粒子7のシリカの含有量は0質量%、カーボンブラックの分散径の平均は0.35μm、形状係数SF1は132であった。
トナー粒子7を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー7を得た。トナー7のSF1はトナー粒子7と同じであった。さらに、トナー7を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤7を得た。現像剤7を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
[比較例3]
分散液Xを0.04部にした以外は比較例1と同様にトナー粒子8を得た。トナー粒子8のシリカの含有量は0.04質量%、カーボンブラックの分散径の平均は、0.35μm、形状係数SF1は134であった。
トナー粒子1の代わりにトナー粒子8を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー8を得た。トナー8のSF1はトナー粒子8と同じであった。更にトナー1の代わりにトナー8を用いた以外は実施例1と同様にして現像剤8を得た。現像剤8を用いた以外は実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表に示す。
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)

Claims (9)

  1. 結着樹脂と着色剤と無機粒子とを少なくとも含むトナー粒子と、外添剤と、を含有し、
    前記トナー粒子中における前記着色剤の分散径の平均が0.02μm以上0.2μm以下であり、前記トナー粒子中における前記無機粒子の含有量が0.05質量%以上2質量%以下であり、形状係数SF1が115以上145以下である静電荷像現像用トナー。
  2. 前記結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 第一の結着樹脂と着色剤と無機粒子と有機溶剤と塩基性化合物とを含む混合液に水系媒体を添加して転相乳化を行った後に前記有機溶剤を除去することで前記第一の結着樹脂と前記着色剤と前記無機粒子とを含む着色樹脂を分散した着色樹脂分散液を準備する着色樹脂分散液準備工程と、
    前記着色樹脂分散液と、第二の結着樹脂を分散した結着樹脂分散液とを混合して前記着色樹脂と前記第二の結着樹脂とを含む凝集粒子の分散液を調製する凝集粒子分散液調製工程と、
    加熱により前記凝集粒子を融合する融合工程と、を含む請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  4. 前記着色樹脂分散液を少なくとも二種用い、前記着色樹脂分散液の少なくとも一種に分散された前記着色樹脂に含まれる前記第一の結着樹脂が結晶性ポリエステル樹脂である請求項3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  5. 前記着色剤が、平均一次粒子径が20nm以上35nm以下のカーボンブラックである請求項3又は請求項4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
  7. トナーが少なくとも収容され、前記トナーが請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジ。
  8. 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項6に記載の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジ。
  9. 感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記感光体上に形成された前記静電荷像を請求項6に記載の静電荷像現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有する画像形成装置。
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