JP2011039226A - 電子写真用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水系媒体中に分散された樹脂粒子を凝集、合一して得られるトナーであって、前記樹脂粒子を構成する樹脂がポリエステルを90重量%以上含有し、前記ポリエステルの酸価が20〜80mgKOH/gであり、前記ポリエステルを構成するアルコール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位と、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位とを、総量で90モル%以上、且つモル比[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位/2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位]で95/5〜70/30含有し、カルボン酸成分が、3価以上のカルボン酸由来の構成単位を4〜10モル%含有する電子写真用トナー。
【選択図】なし
Description
一方、近年の高速、高画質化に伴い、小粒径で高帯電性を有するトナーが求められており、従来の溶融混練法に代わり、重合法や乳化凝集法などのケミカル法により得られる、いわゆるケミカルトナーが開示されている。
本発明は、乳化凝集法などのケミカル法によりトナーを製造する際においても環境変動による帯電変化率が少なく、帯電量の高い電子写真用トナー、及び該電子写真用トナーの製造方法、を提供する。
[1]水系媒体中に分散された樹脂粒子を凝集、合一して得られるトナーであって、前記樹脂粒子を構成する樹脂がポリエステルを90重量%以上含有し、前記ポリエステルの酸価が20〜80mgKOH/gであり、前記ポリエステルを構成するアルコール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位と、下記式(1)
に関する。
本発明の電子写真用トナーは、水系媒体中に分散された樹脂粒子を凝集、合一して得られ、前記樹脂粒子を構成する樹脂がポリエステルを90重量%以上含有し、その酸価が20〜80mgKOH/gである。
本発明の電子写真用トナーに用いられるポリエステルは、該ポリエステルを構成するアルコール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位と、前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位とを、総量で90モル%以上、且つモル比[2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位/2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位]で95/5〜70/30含有し、カルボン酸成分が、3価以上のカルボン酸由来の構成単位を4〜10モル%含有するものである。なお、本明細書において、「2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体」とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及びそのプロピレンオキサイド付加物の両方を含むことを意味するものとし、また、「2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体」とは、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、及びそのプロピレンオキサイド付加物の両方を含むことを意味するものとする。
アルコール成分は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位と前記式(1)で表される2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位とを含有する。
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位を形成するための原料モノマーである2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体のうち2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物としては、プロピレンオキサイドの平均付加モル数が、トナーの帯電量の環境安定性の観点から0〜5モルであるものが好ましく、0〜4モルのものがより好ましく、0〜3モルのものが更に好ましい。
プロピレンオキサイド付加物は、本発明の効果を損しない範囲で、プロピレンオキサイド付加物の一部が他のオキシアルキレン基で置換されていてもよい。他のオキシアルキレン基としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基が好ましい。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンのプロピレンオキサイド付加物としては、具体的には、ポリオキシプロピレン−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく挙げられる。
2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体のプロピレンオキサイドの平均付加モル数は、環境安定性の観点から、0〜5モルであることが好ましく、0〜3モルであることがより好ましく、0〜2モルであることが更に好ましく、0〜1モルであることが更により好ましく、実質0モルであることが最も好ましい。
本発明において、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位あるいは前記2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位のポリエステル中の含有量は、原料モノマーとしての2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体あるいは2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体の全原料アルコールモノマー成分中の含有量として表すことができる。
なお、本発明においては、前記2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位と2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体由来の構成単位の含有量も、それぞれ、原料モノマー中における全アルコール成分に対する2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体と2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン誘導体の含有量に対応するが、各構成単位が2種以上のポリエステルの組み合わせに由来するものである場合、組み合わせられるポリエステルの比率に応じて算出されるものとする。
本発明におけるポリエステルは、カルボン酸成分として、3価以上のカルボン酸由来の構成単位を4〜10モル%含有する。3価以上のカルボン酸由来の構成単位を形成するための3価以上の多価カルボン酸としては、トナーの帯電量、定着性及び保存安定性の観点から、トリメリット酸、無水トリメリット酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、それらの酸無水物及びそれらのアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられ、トリメリット酸あるいは無水トリメリット酸が好ましい。
なお、本発明において、「3価以上のカルボン酸由来の構成単位」のポリエステル中の含有量は、アルコール成分の場合と同様、原料モノマーとしての3価以上のカルボン酸の全原料カルボン酸モノマー成分中の含有量として表すことができる。また、各構成単位が2種以上のポリエステルの組み合わせに由来するものである場合、組み合わせられるポリエステルの比率に応じて算出されるものとする。
本発明におけるポリエステルは、例えば、原料成分である前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じエステル化触媒を用いて、180〜250℃程度の温度で縮重合することにより製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、ジオクチル酸錫等の錫化合物やチタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等のエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の使用量は、原料であるアルコール成分とカルボン酸成分の総量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、0.1〜0.6重量部がより好ましい。
トナーの耐久性の観点から、ポリエステルの数平均分子量は1,000〜50,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましく、2,000〜8,000が更に好ましい。なお、ポリエステルの酸価、軟化点、ガラス転移点、数平均分子量は後述の方法で測定することができる。
これらのポリエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子を構成する樹脂は、前記ポリエステルを90重量%以上含有する。樹脂中のポリエステルの含有量は、トナーの帯電性、その環境安定性の観点から好ましくは95重量%以上、より好ましくは98重量%以上であり、実質100重量%であることが更に好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂に含まれるポリエステル以外の樹脂としては、トナーに用いられる公知の樹脂、例えば、スチレン−アクリル共重合体、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン等が挙げられる。
すなわち、1種のポリエステルを用いる場合はポリエステルを形成するモノマー由来の構成単位の組成が前記本発明の範囲内にあることが必要である。また、複数のポリエステルを用いる場合は、ポリエステル全量中におけるアルコールモノマー由来の構成単位及びカルボン酸モノマー由来の構成単位の含有量を算出し、その値が前記本発明の範囲内にあることが必要である。
本発明において、前記ポリエステルを含有する樹脂(以下、「ポリエステル含有樹脂」ということがある)から構成される樹脂粒子は、水系媒体中に分散されてなるものである。
前記樹脂粒子は、水系媒体中でポリエステル含有樹脂を分散させることにより得ることができる。樹脂を分散させる水系媒体は水を主成分とするものである。ポリエステル含有樹脂の乳化性、及び環境への影響を低減する観点から、水系媒体中の水の含有量は80重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、実質100重量%がさらに好ましい。
水以外の成分としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系有機溶媒の他、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等の水に溶解する有機溶媒が挙げられる。これらのなかでは、トナーへの混入を防止する観点から、樹脂を溶解しない有機溶媒である、前記アルコール系有機溶媒が好ましい。本発明では、実質的に有機溶剤を用いることなく、水のみを用いて樹脂を微粒化させることが好ましい。
前記水系媒体中でポリエステル含有樹脂を分散させて得られる樹脂粒子には、前記ポリエステル含有樹脂とともに、必要に応じて、更に、着色剤、荷電制御剤、離型剤等の添加剤を含有させることができる。
着色剤の含有量は、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、0.1〜10重量部がより好ましい。
荷電制御剤の含有量は、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して、10重量部以下が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。
離型剤の含有量は、添加効果及びトナーの帯電性への悪影響を考慮して、ポリエステル含有樹脂100重量部に対して、通常1〜20重量部程度、好ましくは2〜15重量部である。
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン性界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン性界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等のイオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤又はカチオン性界面活性剤と併用されるのが好ましい。前記界面活性剤は、1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記カチオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。
前記アルカリ水溶液は1〜20重量%の濃度のものが好ましく、1〜10重量%の濃度のものがより好ましく、1.5〜7.5重量%の濃度のものが更に好ましい。用いるアルカリについては、ポリエステルが塩になったときその界面活性能を高めるようなアルカリを用いることが好ましい。具体的には、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどの1価のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。
分散後、ポリエステル含有樹脂のガラス転移点以上の温度で中和させた後、ガラス転移点以上の温度で水系媒体を添加することによって、乳化させることにより、ポリエステル含有樹脂の樹脂粒子を得ることができる。
当該ポリエステル含有樹脂の製造に用いる水系媒体としては、前述の水系媒体と同じものを挙げることができ、好ましくは、脱イオン水又は蒸留水である。
このようにして得られた樹脂粒子の体積中位粒径(D50)は、後の凝集工程での均一な粒径を有する凝集粒子を得るために、好ましくは0.02〜2μm、より好ましくは0.05〜1μm、さらに好ましくは0.05〜0.6μmである。ここで「体積中位粒径(D50)」とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
通常、重縮合樹脂は重合時に脱水を伴うために原理的に水系媒体中では進行しない。しかしながら、例えば、水系媒体中にミセルを形成せしめるような界面活性剤とともに重縮合性単量体を水系媒体中に乳化せしめた場合、単量体がミセル中のミクロな疎水場に置かれることによって、脱水作用が生じ、生成した水はミセル外の水系媒体中に排出せしめ重合を進行させることができる。このようにして、低エネルギーで、水系媒体に重縮合樹脂粒子が乳化分散した分散液が得られる。
本発明の電子写真用トナーは、前記樹脂粒子を凝集、合一して得られる。すなわち、本発明においては、前述のポリエステル含有樹脂から構成される樹脂粒子を凝集させて(凝集工程)凝集粒子を得る。
凝集の際には、凝集を効果的に行うために凝集剤を添加することが好ましい。本発明においては、凝集剤として、有機系の凝集剤では、ポリエチレンイミン等、無機系の凝集剤では、無機金属塩、無機アンモニウム塩、2価以上の金属錯体等が用いられる。無機金属塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及びポリ塩化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体が挙げられる。無機アンモニウム塩としては、例えば硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記凝集剤のうち、高精度のトナーの粒径制御及びシャープな粒度分布を達成する観点から、1価の塩を用いることが好ましい。ここで1価の塩とは、該塩を構成する金属イオン又は陽イオンの価数が1であることを意味する。1価の塩としては、4級塩のカチオン性界面活性剤等の有機系凝集剤、無機金属塩、アンモニウム塩等の無機系凝集剤が用いられるが、本発明においては、分子量350以下の水溶性含窒素化合物が好ましく用いられる。
凝集剤は水系媒体溶液にして添加することができる。凝集剤は一時に添加しても良いし、断続的あるいは連続的に添加してもよい。さらに、1価の塩の添加時及び添加終了後には十分な攪拌をすることが好ましい。
この凝集粒子は、小粒径化の観点から、その体積中位粒径(D50)が好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜9μm、更に好ましくは2〜6μmの範囲にある。
前記界面活性剤の添加量は、凝集停止性およびトナーへの残留性の観点から、凝集粒子を構成する樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜15重量部、より好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.1〜8重量部である。
他の樹脂微粒子としては、本発明における樹脂粒子と同じものであってもよく、異なるものであってもよいが、トナーの低温定着性及び保存安定性の観点から、本発明における樹脂粒子とは異なる樹脂粒子が好ましい。
本発明においては、凝集粒子へ他の樹脂微粒子を添加する時期に特に制限はないが、生産性の観点から、凝集剤の添加終了後から後述の合一開始までの間が好ましい。
凝集粒子に他の樹脂微粒子を添加する際の温度は、粒度分布がシャープなカプセル化凝集粒子を得る観点から、添加する他の樹脂微粒子のガラス転移温度以下の温度が好ましい。粒子同士の凝集および融着を防止する観点から、前記温度は添加する他の樹脂微粒子のガラス転移温度以下の温度が好ましく、「ガラス転移温度−3℃」以下がより好ましく、「ガラス転移温度−5℃」以下であることが好ましく、良好な分散状態を維持する観点から10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。
本発明における樹脂粒子と他の樹脂微粒子の配合比(重量比)(本発明における樹脂粒子/他の樹脂微粒子)は、トナーの低温定着性と保存安定性を両立させる観点から、好ましくは0.1〜2、より好ましくは0.2〜1.5、さらに好ましくは0.3〜1である。
本発明においては、得られた凝集粒子を合一させ(合一工程)合一粒子を得る。
本発明においては、得られた凝集粒子の合一は、凝集粒子を加熱して行う。合一工程においては、系内の温度は凝集工程の系内の温度と同じかそれ以上であることが好ましいが,目的とするトナーの粒径、粒度分布、形状制御、及び粒子の融着性の観点から、ポリエステル含有樹脂のガラス転移点以上が好ましく、(軟化点+20℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+5℃)以上で(軟化点+15℃)以下がより好ましく、(ガラス転移点+10℃)以上で(軟化点+10℃)以下が更に好ましい。また、攪拌速度は凝集粒子が沈降しない速度であることが好ましい。
本発明において、合一は、例えば昇温を連続的に行うことにより、あるいは凝集かつ合一が可能な温度まで昇温後、その温度で攪拌を続けることにより、凝集と同時に行うこともできる。
高画質化の観点から、合一粒子の体積中位粒径(D50)は1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmがより好ましく、3〜8μmが更に好ましい。
本発明の電子写真用トナーは、以上の構成を有するものであるが、。
本発明の電子写真用トナーの軟化点は、定着温度幅を拡大させる観点から、105〜200℃であることが好ましく、より好ましくは105〜180℃、さらに好ましくは105〜160℃である。また、ガラス転移点は、トナーの低温定着性と保存安定性の向上の観点から、30〜80℃が好ましく、40〜70℃がより好ましい。なお、トナーの軟化点及びガラス転移点の測定方法は、樹脂におけるこれらの測定方法に準ずる。
また、前述の凝集粒子、合一粒子及びトナー粒子のCV値は、いずれも45%以下が好ましく、より好ましくは35%以下、更に好ましくは30%以下である。体積基準の粒度分布の変動係数(CV値)は、式
CV値(%)=[体積基準の粒度分布の標準偏差(μm)/体積中位粒径(μm)]×100
で表される値であり、粒度分布のシャープさを示す指標であり、値が小さいほど粒度分布がシャープになり、画像特性に優れる結果となる。
外添剤の配合量は、外添剤による処理前のトナー100重量部に対して、1〜8重量部が好ましく、1.5〜6重量部がより好ましい。
本発明により得られる電子写真用トナーは、一成分系現像剤として、又はキャリアと混合して二成分系現像剤として使用することができる。
本発明の電子写真用トナーとしては、以下の電子写真用トナーの製造方法により得られるものが好ましい。
本発明の電子写真用トナーの製造方法は、(1)ポリエステルを含む樹脂を水系媒体中で分散させて樹脂粒子を得る工程、(2)工程(1)で得られた樹脂粒子を凝集させて凝集粒子を得る工程、及び(3)凝集粒子を合一させる工程、を有するトナーの製造方法であって、前記樹脂粒子を構成する樹脂がポリエステルを90重量%以上含有し、前記ポリエステルの酸価が20〜80mgKOH/gであり、前記ポリエステルが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体と、下記式(1)
上記製造方法において、工程(1)、(2)及び(3)樹脂粒子を構成する樹脂、及び電子写真用トナーについては、その詳細は前述の「樹脂粒子」、「樹脂粒子の凝集」、「凝集粒子の合一」、「電子写真用トナー」等の欄で述べた通りである。
[樹脂の酸価]
JIS K0070に従って測定する。但し、測定溶媒をアセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))とした。
(1)軟化点
フローテスター(島津製作所社製、「CFT−500D」)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのブランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
(2)ガラス転移点
示差走査熱量計(Parkin Elmer社製、「Pyris6 DSC」)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却した試料を昇温速度10℃/分で測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線と、該ピークの立ち上がり部分からピークの頂点まで最大傾斜を示す接線との交点温度をガラス転移点として読み取る。
以下の方法により、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより分子量分布を測定し、数平均分子量を算出する。
(1)試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、樹脂をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター[住友電気工業社製、「FP−200」]を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2)分子量分布測定
下記装置を用いて、クロロホルムを毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製の2.63×103、2.06×104、1.02×105、ジーエルサイエンス社製の2.10×103、7.00×103、5.04×104)を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:CO−8010(東ソー社製)
分析カラム:GMHLX+G3000HXL(東ソー社製)
(1)測定装置:レーザー散乱型粒径測定機(堀場製作所製、LA−920)
(2)測定条件:測定用セルに蒸留水を加え、吸光度を適正範囲になる温度で体積中位粒径(D50)を測定する。
赤外線水分計(ケツト科学研究所社製:FD−230)を用いて、分散液5gを乾燥温度150℃,測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)にて、ウェットベースの水分%を測定する。固形分は下記の式に従って算出した。
固形分(%)=100−M
M:ウェットベース水分(%)=[(W−W0)/W]×100
W:測定前の試料重量(初期試料重量)
W0:測定後の試料重量(絶対乾燥重量)
・測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
・アパチャー径:50μm
・解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプバージョン1.19(ベックマンコールター社製)
・電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
・分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5重量%濃度となるように前記電解液に溶解させて分散液を得る。
・分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を作製する。
・測定条件:前記試料分散液を前記電解液100mLに加えることにより、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度に調整した後、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
NN環境(25℃、50%RH)下にてトナー2.1gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業社製、平均粒子径:40μm)27.9gとを50ccの円筒形ポリプロピレン製ボトル(ニッコー社製)に入れ、ボールミルを用いて250r/minにおいて混合し、混合時間が600秒における帯電量を、q/mメーター(EPPING社製)を用いて測定し、NN環境下での帯電量を得た。
測定機器:EPPING社製 q/m−meter
設定:
メッシュ サイズ:635メッシュ(目開き:24μm、ステンレス製)
ソフトブロー
ブロー圧(600V)
吸引時間:90秒
帯電量(μC/g)=90秒後の総電気量(μC)/吸引されたトナー量(g)
測定終了後の上記現像剤をHH環境(30℃、85%RH)下に入れて、12時間保持する。その後、HH環境から取り出した現像剤の帯電量を同様に測定して、HH環境下での帯電量を得た。
各環境下での帯電量を用いて、帯電量の保持率を下記式にしたがって算出した。
帯電量保持率 =( HH環境下での帯電量/NN環境下での帯電量)× 100
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 2100g、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン 960g、イソフタル酸1428g、及びジオクチル酸スズ 24gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧(101.3kPa)で220℃で5時間反応させ、更に減圧下でジエステル化反応を行った。その後、常圧に戻し210℃に降温し、トリメリット酸無水物を230g添加し、215℃で1時間反応させた。その後、減圧を行い、ASTM D36−86に従って測定した軟化点(Tm)が131℃に達するまで反応させて、ポリエステルAを得た。得られたそれぞれのポリエステルの物性を表1に示す。
原料モノマーの添加量を表1に示すように変更した以外は製造例1と同様にしてポリエステルB、C及びDをそれぞれ得た。得られたそれぞれのポリエステルの物性を表1に示す。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 1750g、ポリオキシエチレン(2.0)−2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロン 1625g、テレフタル酸1145g、ドデセニルコハク酸無水物161g、トリメリット酸無水物480g及びジオクチル酸スズ(エステル化触媒)26gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、220℃で攪拌し、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が120℃に達するまで反応させて、ポリエステルEを得た。得られたポリエステルEの各物性を表1に示す。
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 3374g、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン 33g、テレフタル酸672g及びジオクチル酸スズ(エステル化触媒)26gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、常圧下230℃で5時間反応させ、さらに減圧下で反応させた。210℃に冷却し、フマル酸696g、tert−ブチルカテコール0.49gを加え、5時間反応させた後に、さらに減圧下で反応させて、ポリエステルFを得た。得られたポリエステルFの各物性を表1に示す。
原料モノマーを表1に示すように変更した以外は製造例1と同様にしてポリエステルG及びHを得た。得られたそれぞれのポリエステルの物性を表1に示す。
原料モノマーを表1に示すように変更した以外は製造例5と同様にしてポリエステルIを得た。得られたポリエステルIの各物性を表1に示す。
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステルF 390g、ポリエステルA 210g、及び、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(固形分:15重量%)40g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製):ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB 16.2)」6g、及び5重量%水酸化カリウム水溶液379gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。内容物を95℃に加熱し該温度で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで1040gを添加した。また、脱イオン水を滴下する間、系内の温度は95℃に保持した。その後、25℃に冷却して150メッシュの金網に通し、樹脂粒子を分散させたポリエステル粒子分散液Aを得た。得られたポリエステル粒子分散液A中のポリエステル粒子の体積中位粒径(D50)は176nm、固形分濃度は30.2重量%であった。
使用する原料を表2に記載のように変更した以外は製造例10と同様にしてポリエステル粒子分散液Bを得た。ポリエステル粒子分散液Bの物性を表2に示す。
5リットル容のステンレス釜で、ポリエステルF 390g、及びポリエステルC 210gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で混合させた。内容物を180℃に加熱し該温度で安定させ、カイ型の攪拌機で300r/minの攪拌下で10分間保持した。続いて、溶解した樹脂をカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、110℃になるまで冷却した。その後、攪拌を停止させ内容物を取り出し、2mmφのスクリーンを有するミル(ロートプレックス)にて粗粉砕し、ポリエステル混合物の粗粉砕物を得た。
5リットル容のステンレス釜に得られたポリエステル混合物の粗粉砕物600g、アニオン性界面活性剤「ネオペレックス G−15(花王社製):ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(固形分:15重量%)40g、非イオン性界面活性剤「エマルゲン 430(花王社製):ポリオキシエチレン(26mol)オレイルエーテル(HLB 16.2)」6g、及び20重量%水酸化カリウム水溶液101gをカイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、25℃で分散させた。
内容物を95℃で安定させ、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下で2時間保持した。続いて、カイ型の攪拌機で200r/minの攪拌下、脱イオン水を6g/minで1249gを添加した。また、脱イオン水を滴下する間、系内の温度は95℃に保持した。その後、25℃に冷却して150メッシュの金網に通し、樹脂粒子を分散させたポリエステル粒子分散液Cを得た。得られたポリエステル粒子分散液Cの物性を表2に示す。
使用する原料を表2に示すように変更した以外は製造例10と同様にしてポリエステル粒子分散液D〜Jをそれぞれ得た。ポリエステル粒子分散液D〜Jの物性を表2に示す。
ポリエステル粒子分散液A 400g、及び脱イオン水91gを脱水管、カイ型の攪拌器及び熱電対を装備した2リットル容四つ口フラスコに入れ、室温下混合した。次に、攪拌機で攪拌下、この混合物に硫酸アンモニウム(シグマアルドリッチジャパン社製 特級)24gを453gの脱イオン水に溶解させた水溶液を室温で10分かけて滴下した。その後、得られた混合分散液を80℃まで2時間かけて昇温し、引き続き80℃で保持し続け、凝集粒子の体積中位粒径が5.4μmになった段階で、ポリオキシエチレン(2モル)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム水溶液(花王社製 エマールE−27C、固形分:28重量%)8.5g及びアルキルベンゼン硫酸ナトリウム水溶液(花王社製 ネオペレックスG−15、固形分:15重量%)15.8gを脱イオン水1190gで希釈した水溶液を添加後、85℃まで昇温した。85℃で2時間保持した後、室温(25℃)まで冷却した。この間で、トナー形状が凝集粒子から合一粒子へ変化した。合一粒子の体積中位粒径(D50)は5.4μmであった。こうして得られた合一粒子を冷却し、吸引ろか工程、洗浄工程及び乾燥工程を経てトナー粒子を得た。このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、「RY50」、個数平均粒径:0.04μm)2.5重量部、疎水性シリカ(キャボット社製、「キャボシールTS720」、個数平均粒径:0.012μm)1.6重量部をヘンシェルミキサーで外添処理し、150メッシュのふるいを通過した微粒子をシアントナー(トナーA)とした。
得られたトナーAについてその帯電量を測定し、保持率を下記の基準で評価した。結果を表3に示す。
ポリエステル粒子分散液、脱イオン水、及び凝集剤の量や凝集条件を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーB〜Dをそれぞれ得た。得られたトナーについてその帯電量を測定し、その保持率を下記の基準で評価した。結果を表3に示す。
ポリエステル粒子分散液、脱イオン水、及び凝集剤の量や凝集条件を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてトナーE〜Jをそれぞれ得た。
得られたトナーについてその帯電量を測定し、その保持率を算出した。帯電量、保持率共に数値が高いほど良好な結果であることを示す。
Claims (5)
- 水系媒体中に分散された樹脂粒子を凝集、合一して得られるトナーであって、前記樹脂粒子を構成する樹脂がポリエステルを90重量%以上含有し、前記ポリエステルの酸価が20〜80mgKOH/gであり、前記ポリエステルを構成するアルコール成分が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体由来の構成単位と、下記式(1)
- カルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸由来の構成単位を含有する、請求項1記載の電子写真用トナー。
- ポリエステルのガラス転移点が55℃以上80℃未満である、請求項1または2に記載の電子写真用トナー。
- (1)ポリエステルを含む樹脂を水系媒体中で分散させて樹脂粒子を得る工程、(2)工程(1)で得られた樹脂粒子を凝集させて凝集粒子を得る工程、及び(3)凝集粒子を合一させる工程、を有するトナーの製造方法であって、前記樹脂粒子を構成する樹脂がポリエステルを90重量%以上含有し、前記ポリエステルの酸価が20〜80mgKOH/gであり、前記ポリエステルが、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン誘導体と、下記式(1)
- 請求項4記載の製造方法で得られる電子写真用トナー。
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