JP2011039010A - 変形計測システムおよび変形計測方法 - Google Patents

変形計測システムおよび変形計測方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電率の影響を考慮して2以上の三軸センサの相対位置を計測することにより、盛立構造物の変形を高精度に計測することが可能な変形計測システム等を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明にかかる変形計測システムの代表的な構成は、盛立構造物102に埋設される移動用三軸センサ110と、盛立構造物の表面近傍に配置される基準用三軸センサ112と、較正用三軸センサ114と、三軸センサから出力された信号を受信する信号受信部116と、導電率を入力する入力部118と、第1の磁場解析を行い磁場強度Hを導出する較正用磁場導出部122と、換算比率を導出する換算比率導出部124と、三軸センサが検出した誘起電圧Eと前記換算比率とから磁場強度Hを求める磁場強度換算部126と、第2の磁場解析を行い前記誘起電圧Eを誘起させる磁場を励磁させた三軸センサの位置を同定する位置同定部128とを備えることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、2以上の三軸センサの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測する変形計測システムおよび変形計測方法に関するものである。
フィルダムや堤防の堤体に代表される盛立構造物においては、安全上の理由から(崩壊の危険性を把握するために)施工中および完成後その変形を監視する必要がある。そのため、従来、基礎岩盤に固定された支柱やワイヤ等によって連結された沈下計などの埋設型センサを埋設して、それらの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測していた。
しかし、支柱やワイヤは盛立構造物にとっては異物であり、強度等の性質低下を招きかねない。また、かかる手法では、支柱やワイヤと埋設型センサとの相対変位、すなわち1次元の変位しか計測することができない。その上、従来の埋設型センサは、信号を入出力するためにケーブルを要するので、工事中におけるケーブルの養生やメンテナンスの労力といった課題を生じることとなる。さらに、これらのケーブルが水路(みずみち:水の通り路)を形成するおそれもある。
そこで、このような課題を解決する技術が求められている。これに関連する従来技術としては、特許文献1に、三軸センサを2点に配置して一方の三軸センサを励磁した場合に他方の三軸センサに誘起される電圧(E)の真空中における距離減衰特性を利用して、2点間の相対的な距離(r)を以下の式(式1)より算出する技術が開示されている。かかる技術は、地中や水中であっても適用可能とされている。
={(E/E1/3}・r (式1)
ここで、r:既知の距離
:2点間の距離がrの場合に三軸センサに誘起される電圧
:2点間の距離(算出対象)
:算出対象時において三軸センサに誘起される電圧
特開2003−4409号公報
しかしながら、特許文献1の技術は、真空中すなわち導電率の影響を排除できる環境を対象としている。現実的には、盛立構造物の地中においては、その構成要素である岩石、砂利、水等の導電率(例えばロックフィルダム堤体の導電率は0.001から0.1S/m)により磁場の分布に歪みを生じるので、当然ながらその影響を考慮する必要がある。
よって、導電率の影響を排除し得ない盛立構造物に対し、特許文献1の技術を適用した場合には、測定に無視できない誤差を生じることとなる。すなわち、この技術は精度の点に課題がある。その上、特にフィルダムでは中央から外側に行くにつれて土質(岩石、砂利、土等)を異ならせるため、箇所によって導電率が異なり、また三軸センサの送信側と受信側の間に土質の境界が存在する場合もあるため、既定のデータ等から一律に導電率を定めることに対して難がある。
そこで、本発明は、盛立構造物の導電率の影響を考慮して2以上の三軸センサの相対位置を計測することにより、盛立構造物の変形を高精度に計測することが可能な変形計測システムおよび変形計測方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の代表的な構成は、軸方向が異なる3つのコイルを備え、コイルを励磁することによって磁場を生じ、またはコイルが磁場を受けて発生した誘起電圧を検出して信号として出力する三軸センサを用いて、2以上の三軸センサの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測する変形計測システムであって、盛立構造物に埋設される移動用三軸センサと、盛立構造物の表面近傍に配置される基準用三軸センサと、移動用三軸センサから所定の基準距離に配置される較正用三軸センサと、移動用三軸センサまたは基準用三軸センサ、もしくは較正用三軸センサから出力された信号を受信する信号受信部と、盛立構造物の導電率を入力する入力部と、移動用三軸センサから出力された磁場について基準距離および導電率を用いて第1の磁場解析を行い、較正用三軸センサの位置における磁場強度Hを導出する較正用磁場導出部と、較正用三軸センサの位置における磁場強度Hとこの較正用三軸センサが検出した誘起電圧Eとから、盛立構造物において磁場強度と誘起電圧とを換算する換算比率を導出する換算比率導出部と、移動用三軸センサまたは基準用三軸センサの一方が検出した誘起電圧Eと換算比率とから、誘起電圧Eを検出した三軸センサの位置における磁場強度Hを求める磁場強度換算部と、導電率を反映した第2の磁場解析を行い、移動用三軸センサまたは基準用三軸センサのうち、誘起電圧Eを検出した一方の三軸センサの位置における磁場強度が磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとなるように、他方の三軸センサの現在位置を同定する位置同定部と、を備えることを特徴とする。
かかる構成によれば、盛立構造物の導電率の影響を考慮して2以上の三軸センサの相対位置を計測することが可能となり、盛立構造物の変形を高精度に計測することができる。特に、磁場解析による磁場強度と較正用に実測した誘起電圧によって求めた換算比率を用いることにより、その盛立構造物における磁場の強度と誘起電圧の関係を求めることができ、埋設された三軸センサの位置を同定することができる。
上記導電率は、盛立構造物を測定した実測値であるとよい。上述したように、盛立構造物は、地点によって構成要素(岩石、砂利、水等)が異なるため、既定のデータ等から一律に導電率を定めることが困難である。一方、盛立構造物の実測によれば、現場に則した値を取得できるため最適な導電率を設定することができる。
上記移動用三軸センサは発信機、基準用三軸センサは受信機であって、位置同定部は、移動用三軸センサが埋設された初期位置の周囲に複数の仮想発信点を設定し、それぞれの仮想発信点に移動用三軸センサがあると仮定した場合に、この移動用三軸センサから出力された磁場について第2の磁場解析を行うことにより磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとなる複数の仮想受信点を求め、複数の仮想受信点と基準用三軸センサの位置関係と、複数の仮想発信点の設定位置とから、比例配分により移動用三軸センサの現在位置を同定するとよい。これにより、簡潔かつ容易に移動用三軸センサの現在位置を同定することができる。
上記移動用三軸センサは発信機、基準用三軸センサは受信機であって、位置同定部は、移動用三軸センサが埋設された初期位置の周囲に複数の仮想発信点を設定し、それぞれの仮想発信点に移動用三軸センサがあると仮定した場合に、この移動用三軸センサから出力された磁場について第2の磁場解析を行うことにより基準用三軸センサの位置における複数の磁場強度を求め、複数の磁場強度および磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとの大小関係と、複数の仮想発信点の設定位置とから、比例配分により移動用三軸センサの現在位置を同定してもよい。これにより、簡潔かつ容易に移動用三軸センサの現在位置を同定することができる。
上記位置同定部は、空間をメッシュ状に分割する3次元解析によって第2の磁場解析を行い、メッシュの1辺の長さは、移動用三軸センサが備えるコイルの直径の1/4以上1/2以下に設定するとともに、初期位置から少なくとも20mの範囲内の空間は他の範囲よりも細かく分割するとよい。これにより、高精度に移動用三軸センサの現在位置の同定を行うことができる。
上記盛立構造物は、土砂や岩石を盛り立てて構成されるフィルダムの堤体であるとよい。すなわち、当該変形計測システムは、フィルダムを主な適用対象とする。
上記課題を解決するために本発明の他の代表的な構成は、軸方向が異なる3つのコイルを備え、コイルを励磁することによって磁場を生じ、またはコイルが磁場を受けて発生した誘起電圧を検出して信号として出力する三軸センサを用いて、2以上の三軸センサの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測する変形計測方法であって、盛立構造物の初期位置に移動用三軸センサを埋設し、盛立構造物の導電率を測定し、移動用三軸センサから所定の基準距離の位置に較正用三軸センサを配置し、較正用三軸センサを用いて誘起電圧Eを測定し、移動用三軸センサから出力される磁場について基準距離および導電率を用いて第1の磁場解析を行い、較正用三軸センサの位置における磁場強度Hを導出し、較正用三軸センサの位置における磁場強度Hとこの較正用三軸センサが検出した誘起電圧Eとから、盛立構造物において磁場強度と誘起電圧とを換算する換算比率を導出し、盛立構造物の表面近傍に基準用三軸センサを配置し、移動用三軸センサまたは基準用三軸センサの一方によって誘起電圧Eを測定し、誘起電圧Eと換算比率とから、誘起電圧Eを検出した三軸センサの位置における磁場強度Hを導出し、導電率を反映した第2の磁場解析を行い、移動用三軸センサまたは基準用三軸センサのうち、誘起電圧Eを検出した一方の三軸センサの位置における磁場強度が磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとなるように、他方の三軸センサの位置を同定するとよい。
上述した変形計測システムにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該変形計測方法にも適用可能である。
本発明によれば、盛立構造物の導電率の影響を考慮して2以上の三軸センサの相対位置を計測することにより、盛立構造物の変形を高精度に計測することが可能な変形計測システムおよび変形計測方法を提供することができる。
三軸センサについて説明する図である。 本実施形態にかかる変形計測システムの構成を示すブロック図である。 変形計測システムが盛立構造物の変形を計測する一連の動作を説明するフローチャートである。 盛立構造物の盛立途中および盛立完了後を示す図である。 盛立構造物の導電率の実測手法の一例を示す図である。 移動用三軸センサの現在位置を同定する手法について説明する図である。 移動用三軸センサの現在位置を同定する手法について説明する図である。 実施例および比較例の解析モデルを示す図である。 実施例および比較例における発信点からの距離と磁場強度の解析誤差の相関を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態、実施例について詳細に説明する。かかる実施形態、実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(三軸センサ)
図1は、三軸センサ108a、108bについて説明する図である。特に、図1(a)は発信機である三軸センサ108aについて説明する図、図1(b)は受信機である三軸センサ108bについて説明する図である。以下、三軸センサ108a、108bについて説明するが、その詳細については特許文献1(特開2003−4409号公報)に開示されているため以下簡略化して説明する。
図1(a)に示すように、三軸センサ108a(発信機)は、発信回路212、増幅器214、励磁コイル216、切替回路218を包含する。
発信回路212は、所定の周波数の交流信号を発生させて、増幅器214へと出力する。このときの周波数は、高くなると盛立構造物に吸収されやすくなってしまい、低すぎると検波しにくくなるため、可聴帯域(20Hz〜15kHz程度)を用いることができ、さらに好適には10kHz程度を用いることができる。増幅器214は、発信回路212から出力された交流信号の電流量を増幅して、励磁コイル216へと出力する。
励磁コイル216は、軸方向が互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に配置された3つコイル(x,y,z)を備えており、それぞれのコイルは増幅器214から与えられた交流信号により励磁され磁場を生じる。切替回路218は、交流信号の出力対象とされるコイル(x,y,z)を順次切り替える。
図1(b)に示すように、三軸センサ108b(受信機)は、検出コイル222、切替回路224、検波回路226、電圧計228、誘起電圧演算部230、信号発信部232を包含する。
検出コイル222は、軸方向が互いに直交する三軸座標系のそれぞれの軸に配置された3つのコイル(u,v,w)であって、励磁コイル216(x,y,z)が発生する磁場に伴い誘起電圧を発生する。それぞれのコイル(u,v,w)に発生した誘起電圧は、検波回路226を介して電圧計228により測定される。切替回路224は、電圧計228の測定対象とされるコイル(u,v,w)を順次切り替える。
よって、発信機の励磁コイル216(x,y,z)をそれぞれ励磁した場合、受信機ではコイルxの励磁に起因するそれぞれのコイル(u,v,w)の誘起電圧Exu、Exv、Exw、コイルyの励磁に起因するそれぞれのコイル(u,v,w)の誘起電圧Eyu、Eyv、Eyw、コイルzの励磁に起因するそれぞれのコイル(u,v,w)の誘起電圧Ezu、Ezv、Ezwの合計9種類の電圧が測定される。
誘起電圧演算部230は、これら9つのパラメータ(誘起電圧)を用いて、受信機が配置される位置における誘起電圧のx成分Ex、y成分Ey、z成分Ezを以下の式(式2から式4)に基づき算出する。
x=(Exu+Exv+Exw1/2 (式2)
=(Eyu+Eyv+Eyw1/2 (式3)
=(Ezu+Ezv+Ezw1/2 (式4)
信号発信部232は、誘起電圧演算部230が算出した誘起電圧を、後述する信号受信部116へと発信する。なお、発信側の三軸センサ108aにも不図示の信号受信部を備えて、算出した誘起電圧を発信側の三軸センサ108aを介して信号受信部116へと発信してもよい。本実施形態では、この誘起電圧E(Ex、Ey、Ez)を用いて、発信機が配置される位置と、受信機が配置される位置の間の距離(相対位置)を磁場解析により求める。
なお上記説明では三軸センサ108a、108bの構成を送信機と受信機として説明したが、コイルを共用として両方の構成を備えることにより、送受信のいずれも可能な三軸センサとすることができる。
(変形計測システムおよび変形計測方法)
図2は、本実施形態にかかる変形計測システム100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、変形計測システム100は、移動用三軸センサ110、基準用三軸センサ112、較正用三軸センサ114、信号受信部116、入力部118、記憶部120、較正用磁場導出部122、換算比率導出部124、磁場強度換算部126、位置同定部128、変形計測部130、報知部132を包含する。移動用三軸センサ110、基準用三軸センサ112、較正用三軸センサ114は、いずれも装置としては図1を用いて説明した三軸センサ108a(発信機)または三軸センサ108b(受信機)であるが、目的が異なるために、説明の便宜上名称を変えて示している。本実施形態では、移動用三軸センサ110を発信機、基準用三軸センサ112および較正用三軸センサ114を受信機とする。以下、各部の構成をその動作と併せて説明する。
図3は、変形計測システム100が盛立構造物102の変形を計測する一連の動作を説明するフローチャートである。また、図4は、盛立構造物102の盛立途中および盛立完了後を示す図である。特に、図4(a)は盛立構造物102の盛立途中を示す図、図4(b)は盛立構造物102の盛立完了後を示す図である。なお、図4では、理解を容易にするために移動用三軸センサ110、基準用三軸センサ112を1つとして図示しているが、実際にはこれらは複数設けられ得る。
変形計測システム100の導入に当たっては、まず変形を計測する盛立構造物102が所定の高さまで盛り立てられる(S150)。本実施形態において、盛立構造物102とは、段階的に盛立てられて構築される構造物のことであり、フィルダムや堤防の堤体、盛土等が例示される。さらに、掘削された後に段階的に埋め戻される廃棄物処分場なども包含される。
次に、図4(a)に示すように、移動用三軸センサ110が初期位置に配置される(S152)。移動用三軸センサ110は、盛立構造物102に埋設され、完成後にその位置(変位)を検知することによって盛立構造物102の変形を検知するためのセンサである。
次に、移動用三軸センサ110から所定の基準距離Lに較正用三軸センサ114が配置される(S154)。較正用三軸センサ114は、次に述べる換算比率を求めるために較正(キャリブレーション)を行うためのセンサである。
基準距離Lは任意に設定することができるが、盛立完成時における移動用三軸センサ110と基準用三軸センサ112の距離(予定された距離)とすることが好ましい。このように、運用時の位置関係に近い条件で較正を行うことにより、位置測定精度を向上させることができる。また基準距離Lは、盛立構造物102の変形によって移動した移動用三軸センサ110と基準用三軸センサ112の距離(予測される距離)としてもよい。特に大変形時には、発信機の予測される位置を基準とすることで、さらに位置測定精度を向上させることができる。
なお、較正用三軸センサ114を設置する位置は、移動用三軸センサ110と同じ盛立高さであってもよいが、移動用三軸センサ110の位置が明確である限りにおいて、盛立が進んだ位置(高さ)であってもよい。また較正用三軸センサ114を設置する位置の土質は、移動用三軸センサ110と連続する同じ土質であってもよいが、異なる土質の位置であってもよい。その場合は、それぞれの土質についての導電率を境界条件として入力すればよい。
そして、移動用三軸センサ110を励磁して、較正用三軸センサ114に誘起電圧E1(Ex1、Ey1、Ez1)を発生させる。較正用三軸センサ114に生じた誘起電圧E1は、信号発信部232から発信された信号を受信する信号受信部116が取得する(S156)。
次に、オペレータ(使用者)が、入力部118から、盛立構造物102の導電率σを入力する(S158)。導電率σは、既定のデータ(設計条件、文献調査等)から設定してもよいが、盛立構造物102を測定した実測値であるのが好ましい。これは、現場に則した導電率を設定できるからである。また、三軸センサが配置される周辺の値を取得するのがさらに好ましい。
地盤の電導率を測定する方法としては古くから様々な手法が知られているが、本実施形態では一例としてウェンナ法について説明する。図5は、盛立構造物102の導電率の実測手法の一例を示す図である。図5に示すように、盛立構造物102の導電率を実測するには、その測定対象域に直線上に4本の電極140、142、144、146を距離aの等間隔で配置し、交流電源148によって両端の電極140、146に交流電圧を印加する。そして、電流計150が計測した電流i(電極140、146間を流れる電流)と、電圧計152が計測した電圧v(電極142、144間に生じる電圧)から、以下の式(式5)より導電率が算出される。
σ=i/(2×π×a×v) (式5)
図3に戻って、次に、較正用磁場導出部122が、移動用三軸センサ110から出力された磁場について、基準距離Lおよび導電率σを用いて第1の磁場解析を行い、較正用三軸センサ114の位置における磁場強度H(Hx1、Hy1、Hz1)を導出する(S160)。
較正用磁場導出部122は、有限要素法解析(FEM)や境界要素法解析(BEM)などの数値解析を用いて、磁場強度Hを求めることができる。移動用三軸センサ110が出力する磁場強度Hは励磁コイル216をリング状のコイル要素でモデル化して流れる電流を入力することで理論的に求めることができるから、盛立構造物102の形状、材質、移動用三軸センサ110から較正用三軸センサ114までの基準距離、および入力された導電率を境界条件として設定することにより、磁場強度Hを求めることができる。このように、盛立構造物102の導電率σを反映した第1の磁場解析を行うことで、導電率σが大きい場合や変化する場合にも影響を適切に考慮することができる。なお、励磁コイル216から生じる磁場の解析においては、渦電流の影響を考慮した定常渦電流解析を行うことが好ましい。
第1の磁場解析における解析モデル(盛立構造物102の形状)は、図4(a)に示すように盛立途中の形状としてもよく、または図4(b)に示すように盛立完了後の形状としてもよい。盛立途中の形状では、三軸センサ(移動用三軸センサ110、較正用三軸センサ114)の上側が気中になっている条件を反映して、より実際の条件に近い磁場強度を求めることができる。しかし、完了後の形状で磁場解析しても磁場強度への影響は大差なく、十分な精度で磁場強度が求められることが分かっている。さらに、完了後の形状で解析モデルを作成しておけば、後述の第2の磁場解析にもその解析モデルを流用できる利点も有する。
次に、換算比率導出部124が、磁場強度Hと誘起電圧Eとから、換算比率K(K=Hx1/Ex1、K=Hy1/Ey1、K=Hz1/Ez1)を導出する(S162)。換算比率Kは、土質の導電率が変化しなければ、距離にかかわらず一定となる。したがって較正によって地盤の導電率σに対応した磁場強度Hと誘起電圧Eとの換算比率Kを求めておけば、運用時に誘起電圧Eを測定した場合に、これに対応する磁場強度Hを求めることができる。
なお、導電率σや換算比率Kは、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等からなる記憶部120に記憶される。
次に、複数(多数)の移動用三軸センサ110が埋設された状態で、盛立構造物102の盛立完了まで盛立が実施される(S164)。なお、較正用三軸センサ114に関しては、S156で誘起電圧E1を取得した後に盛立構造物102から撤去してよく、基準位置に設置して基準用三軸センサ112として利用してもよい。校正時と本計測時とで同じセンサを用いることで、センサ特性を反映した校正ができ、さらに位置測定精度を向上させることができる。また受信機能だけでなく送信機能も備えているのであれば、較正後にそのまま埋設して移動用三軸センサ110として利用することもできる。
そして、図4(b)に示すように、盛立構造物102の表面近傍(基準位置)に基準用三軸センサ112が配置される(S166)。基準用三軸センサ112は1つであってもよいが、移動用三軸センサ110からの磁場の到達距離と盛立構造物102の規模を勘案して、移動用三軸センサ110をグルーピングし、それぞれのグループを担当する複数の基準用三軸センサ112を設けてもよい。さらに、同じ移動用三軸センサ110に対して異なる位置に配置した2以上の基準用三軸センサ112から位置の同定を行うことにより、それぞれが同定した位置座標の平均処理を行うことで、測定精度をさらに向上させることができる。
本実施形態では、移動用三軸センサ110すなわち発信機を埋設し、基準用三軸センサすなわち受信機を表面近傍に配置している。よって、発信機に電源を内蔵し、リモート制御とすれば盛立構造物102内へのケーブル配線の設置を回避できる。一方、受信機を埋設する場合には、信号発信部232が誘起電圧の計測値を信号受信部116へと発信する必要がある。そのため、電源を内蔵するには、消費電力の点で課題があり、信号受信部116へと信号を伝達するケーブル配線を敷設しなければならない可能性が高い。その上、複数の発信機を埋設する場合には1つの受信機で複数の発信機からの磁場強度を測定することができるため、受信機の数が少なくて済み、データ処理も容易となるため、システム構成を簡略化することができる。
基準用三軸センサ112を設置する基準位置は、その3次元座標(絶対座標:地球座標とも言う)が明確であればよく、盛立構造物102の表面近傍ばかりではなく、ある程度埋設された位置であってもよい。また基準位置は、例えばGPSを用いたり、路面上の印を基準として測量したりして、随時更新(確認)することが好ましい。
運用時においては、信号受信部116が、移動用三軸センサ110を励磁した際に基準用三軸センサ112に生じる誘起電圧E(Ex2、Ey2、Ez2)を取得する(S168)。そして、磁場強度換算部126が、誘起電圧Eと記憶部120に記憶された換算比率K(K、K、K)を用いて、以下の式(式6)より基準用三軸センサ112の位置における磁場強度H(Hx2、Hy2、Hz2)を求める(S170)
=K・E=(H/E)・E (式6)
なお、これを、x成分、y成分、z成分別にすると、以下の式(式7〜式9)に表される。
x2=K・Ex2=(Hx1/Ex1)・Ex2 (式7)
y2=K・Ey2=(Hy1/Ey1)・Ey2 (式8)
z2=K・Ez2=(Hz1/Ez1)・Ez2 (式9)
次に、位置同定部128が、導電率σを反映した第2の磁場解析によって、基準用三軸センサ112の位置における磁場強度が算出した磁場強度Hとなるように、移動用三軸センサ110の現在位置を同定する(S172)。第2の磁場解析における解析モデル(盛立構造物102の形状)は、図4(b)に示すように盛立完了後の形状とする。詳細には後述するが、本実施形態では移動用三軸センサ110が発信機であるため、位置同定部128は、逆解析的手法に基づき移動用三軸センサ110の現在位置を同定する。なお、移動用三軸センサ110が受信機である場合には、通常の磁場解析によって、その現在位置を同定することができる。そして位置同定部128は、基準用三軸センサ112の基準位置に対する移動用三軸センサ110の現在位置の位置関係と、基準位置の絶対座標とから、移動用三軸センサ110の現在位置を絶対位置として同定することができる。
次に、変形計測部130が、盛立構造物102の変形を計測する。具体的には、移動用三軸センサ110の現在位置の初期位置からの変位を計算することにより、移動用三軸センサ110の移動量、すなわち盛立構造物102のその箇所の変形量を計測することができる。このような計測によって、盛立構造物102の変形が所定以上であると判断された場合(S174のYes)には、報知部132がオペレータに対して警告を発する(S176)。また所定未満であった場合には(S174のNo)、引き続き盛立構造物102の変形の計測が継続される。
(移動用三軸センサ110の現在位置の同定)
以下、位置同定部128による移動用三軸センサ110の現在位置の同定手法について説明する。ここで、上述したように、磁場強度換算部126が導出した磁場強度H(Hx2、Hy2、Hz2)および基準用三軸センサ112の基準位置は既知である。
有限要素法解析(FEM)や境界要素法解析(BEM)などの数値解析は、空間をメッシュ状に細かく分割し、その1つの要素(区画)ごとに順に計算を行う。詳細については、後述する実施例に記載するが、このメッシュの1辺の長さを移動用三軸センサ110が備えるコイルの直径の1/4以上1/2以下とし、移動用三軸センサ110の初期位置から少なくとも20mの範囲内の空間を他の範囲よりも細かく分割するとよい。これにより、移動用三軸センサ110の位置の同定精度を実用的なレベルまで向上できる。
現在位置を同定する1つ目の手法としては、繰り返し計算によって正解に漸近する方法が挙げられる。すなわち、盛立構造物102のモデルのなかで移動用三軸センサ110を仮想発信点に設定し、仮想発信点の位置を変えながら基準用三軸センサ112の基準位置における磁場強度H’(Hx’、Hy’、Hz’)を算出し、算出した磁場強度H’と先に導出された磁場強度H2(Hx2、Hy2、Hz2)との残差が最小となるような発信機(移動用三軸センサ110)の位置を現在位置を同定する。残差は、次の式(式10)によって表される。
(Hx2−Hx’)+(Hy2−Hy’)+(Hz2−Hz’)=min (式10)
ここで、あらかじめ複数の仮想発信点について磁場強度H’を算出して残差が最小となる仮想発信点を選択してもよいが、残差が少なくなる方向に仮想発信点をずらしながら残差が十分に小さくなるまで計算を繰り返すことが好ましい。
図6は、移動用三軸センサ110の現在位置を同定する手法について説明する図である。以下、図6を参照しながら、現在位置を同定する2つ目の手法について説明する。
図6に示すように、まず移動用三軸センサ110が埋設された初期位置の周囲に複数の仮想発信点180a、182a、184a、186aを設定する(実際には立体であるため8点をとるべきであるが、図では説明の便宜上4点をとって図示および説明をする。)。この仮想発信点180a、182a、184a、186aは、移動用三軸センサ110の初期位置からの変位を想定した上で移動用三軸センサ110の現在位置を囲うように設定される。移動後の現在位置は未知であるが、移動範囲は想定可能である。
そして、それぞれの仮想発信点180a、182a、184a、186a(図6の白丸)に移動用三軸センサ110があると仮定した場合に、導出された磁場強度H2となる複数の仮想受信点180b、182b、184b、186b(図6の黒丸)を、導電率σの影響を考慮した第2の磁場解析によって導出する。なお、第2の磁場解析を行うにあたり、仮想発信点で囲まれた範囲内の分割幅は細かくすることが好ましく、例えば1m以下とすることができる。
4つの仮想発信点180a、182a、184a、186aで囲まれた領域の形状は、4つの仮想受信点180b、182b、184b、186bで囲まれた領域の形状とは一致しない。これは、導電率σによって磁場が歪みを生じるためである。しかし、仮想発信点同士と仮想受信点同士の相対位置関係は比例関係にあると考えることができる。そこで、仮想発信点同士と仮想受信点同士によって囲まれる空間を同じ数で分割する。そして、仮想受信点180b、182b、184b、186bに対する基準用三軸センサ112の位置関係を、仮想発信点180a、182a、184a、186aに当てはめることによって、比例配分により移動用三軸センサ110の現在位置を同定することができる。
すなわち、図6では、仮想受信点180b、182b、184b、186bで囲まれた領域の右から2つ目、上から3つ目のマス目に基準用三軸センサ112が配置されているので、移動用三軸センサ110の現在位置も仮想発信点180a、182a、184a、186aで囲まれた領域の右から2つ目、上から3つ目のマス目であると同定することができる。故に、1つ目の手法のように繰り返し計算を行うよりも、簡潔かつ高速に移動用三軸センサ110の現在位置を同定することができる。
図7は、移動用三軸センサ110の現在位置を同定する手法について説明する図である。以下、図7を参照しながら、現在位置を同定する3つ目の手法について説明する。
図7に示すように、まず、移動用三軸センサ110が埋設された初期位置の周囲に複数の仮想発信点180a、182a、184a、186aを設定する。上記と同様に、移動用三軸センサの現在位置を囲うように仮想発信点180a、182a、184a、186aは設定される。そして、それぞれの仮想発信点180a、182a、184a、186aに移動用三軸センサ110があると仮定した場合に、基準用三軸センサ112の基準位置での磁場強度を、導電率σの影響を考慮した第2の磁場解析によって導出する。すると、仮想発信点ごとに異なる値の磁場強度が得られる(基本的には、遠いものほど弱くなる)。
ここで、図7に示すように、仮想発信点180aからの磁場強度が100、仮想発信点182aからの磁場強度が100、仮想発信点184aからの磁場強度が80、仮想発信点186aからの磁場強度が80、そして磁場強度換算部126が導出した磁場強度Hが90であったとする。このとき、それぞれの仮想発信点180a、182a、184a、186aに対応する磁場強度と導出された磁場強度H2の大小関係を定めることができるので、その大小関係に対応する比例配分により移動用三軸センサ110の現在位置を同定することができる。この場合においても、1つ目の手法のように繰り返し計算を行うよりも、簡潔かつ高速に移動用三軸センサ110の現在位置を同定することができる。
以上、本実施形態にかかる変形計測システム100および変形計測方法によれば、盛立構造物102の導電率の影響を考慮して移動用三軸センサ110と基準用三軸センサ112の相対位置を計測することにより、導電率が大きい場合や、発信機と受信機の間で導電率が変化する(土質をまたぐ)場合であっても、盛立構造物102の変形を高精度に計測することができる。なお、この変形計測システム100および変形計測方法は、地中、水中問わず適用することができ、光学計測機器では測定不可能な盛立構造物102の堤体内部や水中における測定も可能である。そのため、崩壊に至る前兆を確実に高精度に検出することができ、ひずみ発生段階での警報を行うことも可能になる。
なお、本実施形態では、移動用三軸センサ110を発信機、基準用三軸センサ112、および較正用三軸センサを受信機として説明した。しかし、移動用三軸センサ110を受信機、基準用三軸センサ112および較正用三軸センサを発信機としてもよい。このような場合には、埋設される移動用三軸センサ110の現在位置を逆解析的手法により求める必要がないので、数値解析の回数を削減でき、また同定精度のさらなる向上を図り得る。
(磁場解析方法の詳細)
次に、磁場解析方法の詳細について説明する。
(1)Maxwellの方程式
磁場解析における電磁気の現象を記述する構成則として、Maxwellの方程式を採用した。この方程式は、次の4式から構成される。
Figure 2011039010
また、物質の構成式は、次のように表される。
Figure 2011039010
(2)解析手法の検討
送信アンテナから発せられる交流の周波数は約10kHzであるとすると、電磁波の進行速度は概ね光速(約30万km/s)であることから、伝搬する電磁波の1波長は約30kmとなる。これに対して、計測対象範囲は送受信間距離が高々数十mであることから、電磁波の一波長に比べると非常に短い区間が対象となる。このため、送信アンテナから発せられる磁場の振幅と受信側のアンテナで計測される磁場の振幅の低下(振動としての振幅の減少)を捉えることが容易である。このような視点から見た電磁波は、波動として捉える動的問題から、ポテンシャルが低下する静的問題に置き換えることが可能である。
電磁波の問題を動的問題から静的問題へ転換した場合、電場の変化に伴う変位電流(過渡的な電流)を考慮しないことから、式11〜式14に示したMaxwellの方程式の内、式11から式13を連立して解くこととなる。また、同様の理由により、式12の右辺第三項は恒等的に0として取り扱うこととなる。所謂、定常渦電流解析を実施することとなる。
(3)定常渦電流解析による導電率σを考慮した真の磁場強さHの算出方法
磁場が時間的に変化すると電磁誘導により電界が生じる。電界の中に導体が置かれていると、その中には渦電流が発生する、と同時に渦電流により磁場が発生する。本解析では、この渦電流の影響を考慮した。
任意のベクトルをAと書き、Aの回転を取った式16のベクトル▽×Aを考えると、任意のベクトルに回転を取ったベクトル▽×Aは、常に式13を満たすことが分かっている。
Figure 2011039010
電磁気学の世界では、このベクトルAをベクトルポテンシャルと呼ぶ。▽×Aが式13を満足することから、逆に、式17に示すように、これを磁束密度Bとおくことができる。
B=▽×A (式17)
電界の強さとベクトルポテンシャルA、電位φ(一般に言われる電圧)との間には、式18に示す関係があることが分かっている。
Figure 2011039010
式17と式18を式12に代入すると、定常渦電流の基礎式19を得る。
Figure 2011039010
式17、式18を仮定することにより、式11は数学的に自動的に満足されることから、具体的には、式19を解くことによりMaxwellの方程式の解に帰着することとなる。
式19はφとAを未知数とする方程式であり、解を得るためには、A、φに関する他の関係式が必要となる。これについては、式20に示す電流に対するガウスの法則(定常電流では、導体の閉曲面に出入りする電流の総和は常に0となる)を用いる。
Figure 2011039010
上記2式が渦電流解析で満足すべき方程式となり、解析的には両式を連立させて、境界を貫く磁束密度が0となる境界条件の下で、2つの未知数Aとφを求めることとなる。μ、σ、Jは与条件であるため、Aが得られれば、導電率σに応じた任意点の磁場の強度Hが、式21として解析から求められることとなる。
Figure 2011039010
発信器は互いに直交する三方向のコイルに順に励磁するため、解析も発信器と同じ三方向のコイル(仮にコイルx、コイルy、コイルzとする)に対して実施すれば、コイルxによる磁場の強さHx、コイルyによる磁場の強さHy、コイルzによる磁場の強さHzがそれぞれ求められることになる。
(コイル直径Dとメッシュの1辺の長さΔxとの比に起因する解析精度)
数値解析において移動用三軸センサ110の現在位置を同定する際のメッシュの大きさとコイル寸法の関係を把握するため、コイル近傍のコイル理論値と解析結果を比較した。
表1に示すように、コイル直径D=1.0m(半径r=0.5m)として、D/Δx(メッシュの1辺の長さ)=1.0〜4.2となるようにΔxを変化させた。解析モデルとしては、一辺5mの立方体を用い、コイル中心位置を解析領域の中心とした。コイル電流は1000Aとした。
表1に示すように、D/Δxが大きくなるほど誤差が小さくなり、磁場強度の解析値(表1の値は解析モデル中の代表点)が理論値に近づくことが分かる。また、D/Δxが2以上であれば十分な解析精度は得られると判断し得る。D/Δxが4以下であれば、実用的な解析時間に収まることから、D/Δxは2〜4とするのが好ましいと判断される。なお、ここでの誤差は以下の式(式22)より算出される。
誤差={解析値−理論値}/理論値 (式22)
Figure 2011039010
(メッシュの細分化領域)
メッシュの細分化領域(1〜2m間隔でメッシュを細かく分割する領域)の大きさと解析精度との関係を把握するため、細分化領域の大きさを変化させて解析結果と理論値とを比較した。
図8は、実施例および比較例の解析モデルを示すである。図8に示すように、実施例では、送信コイルから10mまでは1m間隔でメッシュを細分割し、送信コイルから10m〜20m間を2m間隔でメッシュを細分割し、それ以降は分割領域を増加させた。比較例では送信コイルから10mまでは1m間隔でメッシュを細分割したが、それ以降は分割間隔を増加させた。コイル直径D=3.0mとし、コイル軸と解析モデルのx軸の角度を45°とした。
図9は、実施例および比較例における発信点からの距離と磁場強度の解析誤差の相関を示す図である。図9に示すように、実施例では発信点からの距離に関わらず、磁場強度の解析誤差を殆ど0%とすることができる。しかし、比較例では、メッシュ分割が粗くなる発信点から10mを境界として解析誤差が急増しており、その誤差は60%程度にも達し得る。よって、解析精度を維持するためには、発信点(励磁コイル216)の位置から少なくとも20mの範囲は空間を細かく分割する必要があると判断できる。
以上、本発明の好適な実施形態、実施例について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態、実施例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、2以上の三軸センサの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測する変形計測システムおよび変形計測方法に利用することができる。
100…変形計測システム、102…盛立構造物、108a…三軸センサ(発信機)、108b…三軸センサ(受信機)、110…移動用三軸センサ、112…基準用三軸センサ、114…較正用三軸センサ、116…信号受信部、118…入力部、120…記憶部、122…較正用磁場導出部、124…換算比率導出部、126…磁場強度換算部、128…位置同定部、130…変形計測部、132…報知部、140、142、144、146…電極、148…交流電源、150…電流計、152…電圧計、180a、182a、184a、186a…仮想発信点、180b、182b、184b、186b…仮想受信点、212…発信回路、214…増幅器、216…励磁コイル、218…切替回路、222…検出コイル、224…切替回路、226…検波回路、228…電圧計、230…誘起電圧演算部、232…信号発信部

Claims (7)

  1. 軸方向が異なる3つのコイルを備え、前記コイルを励磁することによって磁場を生じ、または前記コイルが磁場を受けて発生した誘起電圧を検出して信号として出力する三軸センサを用いて、2以上の前記三軸センサの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測する変形計測システムであって、
    盛立構造物に埋設される移動用三軸センサと、
    前記盛立構造物の表面近傍に配置される基準用三軸センサと、
    前記移動用三軸センサから所定の基準距離に配置される較正用三軸センサと、
    前記移動用三軸センサまたは前記基準用三軸センサ、もしくは前記較正用三軸センサから出力された信号を受信する信号受信部と、
    前記盛立構造物の導電率を入力する入力部と、
    前記移動用三軸センサから出力された磁場について前記基準距離および前記導電率を用いて第1の磁場解析を行い、前記較正用三軸センサの位置における磁場強度Hを導出する較正用磁場導出部と、
    前記較正用三軸センサの位置における磁場強度Hと該較正用三軸センサが検出した誘起電圧Eとから、前記盛立構造物において磁場強度と誘起電圧とを換算する換算比率を導出する換算比率導出部と、
    前記移動用三軸センサまたは基準用三軸センサの一方が検出した誘起電圧Eと前記換算比率とから、前記誘起電圧Eを検出した三軸センサの位置における磁場強度Hを求める磁場強度換算部と、
    前記導電率を反映した第2の磁場解析を行い、前記移動用三軸センサまたは基準用三軸センサのうち、前記誘起電圧Eを検出した一方の三軸センサの位置における磁場強度が前記磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとなるように、他方の三軸センサの現在位置を同定する位置同定部と、
    を備えることを特徴とする変形計測システム。
  2. 前記導電率は、前記盛立構造物を測定した実測値であることを特徴とする請求項1に記載の変形計測システム。
  3. 前記移動用三軸センサは発信機、前記基準用三軸センサは受信機であって、
    前記位置同定部は、
    前記移動用三軸センサが埋設された初期位置の周囲に複数の仮想発信点を設定し、
    それぞれの前記仮想発信点に前記移動用三軸センサがあると仮定した場合に、該移動用三軸センサから出力された磁場について前記第2の磁場解析を行うことにより前記磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとなる複数の仮想受信点を求め、
    前記複数の仮想受信点と前記基準用三軸センサの位置関係と、前記複数の仮想発信点の設定位置とから、比例配分により前記移動用三軸センサの現在位置を同定することを特徴とする請求項1に記載の変形計測システム。
  4. 前記移動用三軸センサは発信機、前記基準用三軸センサは受信機であって、
    前記位置同定部は、
    前記移動用三軸センサが埋設された初期位置の周囲に複数の仮想発信点を設定し、
    それぞれの前記仮想発信点に前記移動用三軸センサがあると仮定した場合に、該移動用三軸センサから出力された磁場について前記第2の磁場解析を行うことにより前記基準用三軸センサの位置における複数の磁場強度を求め、
    前記複数の磁場強度および前記磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとの大小関係と、前記複数の仮想発信点の設定位置とから、比例配分により前記移動用三軸センサの現在位置を同定することを特徴とする請求項1に記載の変形計測システム。
  5. 前記位置同定部は、空間をメッシュ状に分割する3次元解析によって第2の磁場解析を行い、
    前記メッシュの1辺の長さは、前記移動用三軸センサが備えるコイルの直径の1/4以上1/2以下に設定するとともに、前記初期位置から少なくとも20mの範囲内の空間は他の範囲よりも細かく分割することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の変形計測システム。
  6. 前記盛立構造物は、土砂や岩石を盛り立てて構成されるフィルダムの堤体であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の変形計測システム。
  7. 軸方向が異なる3つのコイルを備え、前記コイルを励磁することによって磁場を生じ、または前記コイルが磁場を受けて発生した誘起電圧を検出して信号として出力する三軸センサを用いて、2以上の前記三軸センサの相対位置を計測することによって盛立構造物の変形を計測する変形計測方法であって、
    盛立構造物の初期位置に移動用三軸センサを埋設し、
    前記盛立構造物の導電率を測定し、
    前記移動用三軸センサから所定の基準距離の位置に較正用三軸センサを配置し、
    前記較正用三軸センサを用いて誘起電圧Eを測定し、
    前記移動用三軸センサから出力される磁場について前記基準距離および前記導電率を用いて第1の磁場解析を行い、前記較正用三軸センサの位置における磁場強度Hを導出し、
    前記較正用三軸センサの位置における磁場強度Hと該較正用三軸センサが検出した誘起電圧Eとから、前記盛立構造物において磁場強度と誘起電圧とを換算する換算比率を導出し、
    前記盛立構造物の表面近傍に基準用三軸センサを配置し、
    前記移動用三軸センサまたは基準用三軸センサの一方によって誘起電圧Eを測定し、
    前記誘起電圧Eと前記換算比率とから、前記誘起電圧Eを検出した三軸センサの位置における磁場強度Hを導出し、
    前記導電率を反映した第2の磁場解析を行い、前記移動用三軸センサまたは基準用三軸センサのうち、前記誘起電圧Eを検出した一方の三軸センサの位置における磁場強度が前記磁場強度換算部が求めた磁場強度Hとなるように、他方の三軸センサの位置を同定することを特徴とする変形計測方法。
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