JP2011037657A - ガラスレンズ製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】機械加工によるガラスレンズ製造方法において、亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができるようにする。
【解決手段】ガラス製の被加工体に研磨加工を施すことによりレンズ面の面形状を形成する研磨工程S5、S10を有するガラスレンズ製造方法であって、研磨工程S5(S10)を行う前に、研磨工程S5(S10)よりも相対的に粗い加工を施して被加工体を段階的に加工し、且つ研磨工程S5(S10)のための被研磨面を形成する複数の先行加工工程からなる先行加工工程群を1群以上行う加工工程と、被加工体をそのガラス転移点の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程S3、S8とを備え、加熱工程S3、S8は、前記加工工程で最後に行われる先行加工工程である研削工程S9よりも前に行われる。
【選択図】図2
【解決手段】ガラス製の被加工体に研磨加工を施すことによりレンズ面の面形状を形成する研磨工程S5、S10を有するガラスレンズ製造方法であって、研磨工程S5(S10)を行う前に、研磨工程S5(S10)よりも相対的に粗い加工を施して被加工体を段階的に加工し、且つ研磨工程S5(S10)のための被研磨面を形成する複数の先行加工工程からなる先行加工工程群を1群以上行う加工工程と、被加工体をそのガラス転移点の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程S3、S8とを備え、加熱工程S3、S8は、前記加工工程で最後に行われる先行加工工程である研削工程S9よりも前に行われる。
【選択図】図2
Description
本発明は、ガラスレンズ製造方法に関する。
従来、ガラスレンズの製造方法としては、原料のガラスブロック等を機械加工する製造方法や、ガラスモールド成形による製造方法などが知られている。
このうち機械加工による製造方法では、最終的に高精度のレンズ面の面形状を形成するために被加工体の表面の粗さを段階的に小さくしていく複数の機械加工が施される。機械加工の例としては、例えば切断加工、切削加工、研削加工、研磨加工などが挙げられる。
このような機械加工では、工具や砥粒などがガラス表面に接触し、ガラス表面にダメージを与えながら面形状を加工していくため、ガラス表面に微細なクラックが形成される。
これらの微細なクラックは、ガラス表面からの深さが十分小さく、かつ大きさが揃っていると、残存するクラックの深さの範囲を見込んだ研磨代を設定した研磨工程を行うことで最終的に除去される。しかしながら、研磨加工の前に何らかの原因でクラックが伸長すると、研磨工程で除去しきれないクラックが残る。このため、ガラスレンズに例えば「カン」と呼ばれる亀裂欠陥が発生したり、ワレや欠けなどが発生したりする。これらの欠陥は光学性能に影響を及ぼす外観不良となる可能性がある。また、残存するクラックは、ハンドリング時や使用時の外力等の影響により、レンズのワレ、欠けなどを引き起こしたりする原因ともなる。
また、研磨加工後の外観検査では、検出されないものの、洗浄工程でエッチングされて長さが伸長する「潜傷」となることも知られている。
一方、ガラスレンズ製造方法とは異なるものの、ガラスの研磨加工時の微小クラックの発生を低減して微小クラックに異物が埋まることによる研磨工程における凹凸ムラを低減する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1には、ポリッシングを除く機械加工を終えた後の穴あき円板状の情報記録媒体用ガラス基板を加熱するアニール工程を備え、このアニール工程によってそれまでの機械加工により発生したガラス基板の内部の応力歪みをアニール処理した後に、情報記録媒体用ガラス基板を研磨するポリッシング工程を行う情報記録媒体用ガラス基板の製造方法が記載されている。
このうち機械加工による製造方法では、最終的に高精度のレンズ面の面形状を形成するために被加工体の表面の粗さを段階的に小さくしていく複数の機械加工が施される。機械加工の例としては、例えば切断加工、切削加工、研削加工、研磨加工などが挙げられる。
このような機械加工では、工具や砥粒などがガラス表面に接触し、ガラス表面にダメージを与えながら面形状を加工していくため、ガラス表面に微細なクラックが形成される。
これらの微細なクラックは、ガラス表面からの深さが十分小さく、かつ大きさが揃っていると、残存するクラックの深さの範囲を見込んだ研磨代を設定した研磨工程を行うことで最終的に除去される。しかしながら、研磨加工の前に何らかの原因でクラックが伸長すると、研磨工程で除去しきれないクラックが残る。このため、ガラスレンズに例えば「カン」と呼ばれる亀裂欠陥が発生したり、ワレや欠けなどが発生したりする。これらの欠陥は光学性能に影響を及ぼす外観不良となる可能性がある。また、残存するクラックは、ハンドリング時や使用時の外力等の影響により、レンズのワレ、欠けなどを引き起こしたりする原因ともなる。
また、研磨加工後の外観検査では、検出されないものの、洗浄工程でエッチングされて長さが伸長する「潜傷」となることも知られている。
一方、ガラスレンズ製造方法とは異なるものの、ガラスの研磨加工時の微小クラックの発生を低減して微小クラックに異物が埋まることによる研磨工程における凹凸ムラを低減する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1には、ポリッシングを除く機械加工を終えた後の穴あき円板状の情報記録媒体用ガラス基板を加熱するアニール工程を備え、このアニール工程によってそれまでの機械加工により発生したガラス基板の内部の応力歪みをアニール処理した後に、情報記録媒体用ガラス基板を研磨するポリッシング工程を行う情報記録媒体用ガラス基板の製造方法が記載されている。
しかしながら、上記のような従来のガラスレンズ製造方法には、以下のような問題があった。
機械加工による従来のガラスレンズ製造方法では、本質的にガラス表面にきわめて微細な傷やクラックを作りながらレンズ面の面形状を形成している。また、これらの微細な傷やクラックがどのようにして伸長し、「カン」や、レンズのワレ、欠けなどを起こすクラックになるメカニズムも十分には解明されておらず、ランダムに発生するこれらの欠陥による不良率を必ずしも十分に低減することはできなかった。
このため、機械加工によるガラスレンズ製造方法において、クラックもしくはクラックに起因する欠陥を一層低減する技術が強く求められている。
特許文献1に記載の技術では、ポリッシング(研磨加工)の直前にアニール工程を行うことで、ガラスの研磨加工におけるクラックの発生、伸長を抑制しており、被研磨面の傷やクラックは、ポリッシング工程に先立つラッピング工程などで、予め除去されているものである。
ところが、発明者が鋭意研究したところ、ガラスレンズの製造工程におけるガラス表面のクラックの長さは、研磨工程を開始する前の段階で、かなりのばらつきを有しており、研磨加工によって新たに発生、伸長するクラックよりも、研磨工程の前に行われる研磨加工よりも粗い機械加工によって発生したクラックが研磨工程後に残存する場合が多いことが明らかとなった。
したがって、特許文献1に記載の技術をガラスレンズ製造方法に適用して、研磨工程の直前にアニール工程を行っても、研磨工程を行う前に発生し、伸長したクラックに起因する欠陥を除去することはできないという問題がある。
機械加工による従来のガラスレンズ製造方法では、本質的にガラス表面にきわめて微細な傷やクラックを作りながらレンズ面の面形状を形成している。また、これらの微細な傷やクラックがどのようにして伸長し、「カン」や、レンズのワレ、欠けなどを起こすクラックになるメカニズムも十分には解明されておらず、ランダムに発生するこれらの欠陥による不良率を必ずしも十分に低減することはできなかった。
このため、機械加工によるガラスレンズ製造方法において、クラックもしくはクラックに起因する欠陥を一層低減する技術が強く求められている。
特許文献1に記載の技術では、ポリッシング(研磨加工)の直前にアニール工程を行うことで、ガラスの研磨加工におけるクラックの発生、伸長を抑制しており、被研磨面の傷やクラックは、ポリッシング工程に先立つラッピング工程などで、予め除去されているものである。
ところが、発明者が鋭意研究したところ、ガラスレンズの製造工程におけるガラス表面のクラックの長さは、研磨工程を開始する前の段階で、かなりのばらつきを有しており、研磨加工によって新たに発生、伸長するクラックよりも、研磨工程の前に行われる研磨加工よりも粗い機械加工によって発生したクラックが研磨工程後に残存する場合が多いことが明らかとなった。
したがって、特許文献1に記載の技術をガラスレンズ製造方法に適用して、研磨工程の直前にアニール工程を行っても、研磨工程を行う前に発生し、伸長したクラックに起因する欠陥を除去することはできないという問題がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、機械加工によるガラスレンズ製造方法において、亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができるガラスレンズ製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のガラスレンズ製造方法は、ガラス製の被加工体に研磨加工を施すことによりレンズ面の面形状を形成する研磨工程を有するガラスレンズ製造方法であって、前記研磨工程を行う前に、該研磨工程よりも相対的に粗い加工を施して前記被加工体を段階的に加工し、且つ前記研磨工程のための被研磨面を形成する複数の先行加工工程からなる先行加工工程群を1群以上行う加工工程と、前記被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程と、を備え、前記加熱工程は、前記加工工程で最後に行われる先行加工工程よりも前に行われる方法とする。
また、本発明のガラスレンズ製造方法では、前記先行加工工程群は、前記被加工体の表面を切削加工する切削工程と、該切削工程で切削された被加工体の表面を研削加工する研削工程と、を含み、前記加熱工程は、前記切削工程と前記研削工程との間に行われる方法とすることが可能である。
また、本発明のガラスレンズ製造方法では、前記加工工程によって加工するための被加工体を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程を備え、前記加熱工程は、前記被加工体形成工程と、前記加工工程のうちの最初に行われる先行加工工程との間に行われる方法とすることが可能である。
また、本発明のガラスレンズ製造方法では、ブロック状のガラス母材から棒状の中間被加工体を切り出して形成する中間被加工体形成工程と、前記中間被加工体を切断して、前記加工工程によって加工するための被加工体を形成する被加工体形成工程と、備え、前記加熱工程は、前記中間被加工体形成工程と、前記被加工体形成工程との間に行われるとすることが可能である。
また、本発明のガラスレンズ製造方法では、前記加工工程によって加工するための被加工体を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程を備え、前記加工工程は、前記被加工体形成工程で形成された被加工体を、バレル加工で丸めるバレル加工工程と、バレル加工された被加工体を研削する研削工程と、を含む1群の先行加工工程群からなり、前記加熱工程は、前記被加工体形成工程と前記バレル加工工程との間に行われる方法とすることが可能である。
本発明のガラスレンズ製造方法は、ガラス製の被加工体に研磨加工を施すことによりレンズ面の面形状を形成する1又は複数の研磨工程を有するガラスレンズ製造方法であって、前記研磨工程をすべて行った後に、レンズの心取りを行う心取り工程と、前記被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程と、を備え、前記加熱工程は、前記心取り工程の後に行われる方法とする。
本発明のガラスレンズ製造方法によれば、加熱工程を加工負荷が大きい機械加工の後に配置するため、機械加工によるガラスレンズ製造方法において、亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができるという効果を奏する。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。また、すべての図面は模式図であり、見易さのため、寸法や形状は誇張されている。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図1(a)、(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法によって製造されたガラスレンズの例を示す光軸方向に沿う模式的な断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。図3は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法に用いる被加工体の一例を示す模式的な斜視図である。図4(a)、(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の被加工体形成工程の一例を示す工程説明図である。図5(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の被加工体形成工程、切削工程、研削工程、研磨工程をそれぞれ示す工程説明図である。図6(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の加熱工程、洗浄工程をそれぞれ示す工程説明図である。
本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図1(a)、(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法によって製造されたガラスレンズの例を示す光軸方向に沿う模式的な断面図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。図3は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法に用いる被加工体の一例を示す模式的な斜視図である。図4(a)、(b)は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の被加工体形成工程の一例を示す工程説明図である。図5(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の被加工体形成工程、切削工程、研削工程、研磨工程をそれぞれ示す工程説明図である。図6(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の加熱工程、洗浄工程をそれぞれ示す工程説明図である。
本実施形態のガラスレンズ製造方法は、ガラス製の被加工体を研磨加工してレンズ面の面形状を形成するガラスレンズ製造方法である。
本実施形態のガラスレンズ製造方法では、適宜のタイプのガラスレンズを製造することができる。例えば、図1(a)、(b)に示すようなレンズ1、1Aなどを製造することができる。
レンズ1は、レンズ本体1cの表面に、それぞれ凸球面の面形状を有するレンズ面1a、1bと、これらの光軸を中心とする円筒面状に形成されたレンズ側面1dとを有する両凸レンズである。レンズ面1a、1b上のレンズ有効面には、それぞれ、設計波長の光を良好に透過させ表面反射を抑制するための光学薄膜2a、2bが成膜されている。
また、レンズ1Aは、レンズ本体1cの表面に、それぞれ凹球面の面形状を有するレンズ面1e、1fと、これらの光軸を中心とする円筒面状に形成されたレンズ側面1dとを有する両凹レンズである。レンズ面1e、1f上のレンズ有効面には、それぞれ、光学薄膜2a、2bが成膜されている。
このようなガラスレンズは、一例であって、平凸レンズ、平凹レンズ、正または負のメニスカスレンズなど適宜のレンズタイプを製造することができる。
以下では、一例として、レンズ1を製造する場合の例で説明する。
本実施形態のガラスレンズ製造方法では、適宜のタイプのガラスレンズを製造することができる。例えば、図1(a)、(b)に示すようなレンズ1、1Aなどを製造することができる。
レンズ1は、レンズ本体1cの表面に、それぞれ凸球面の面形状を有するレンズ面1a、1bと、これらの光軸を中心とする円筒面状に形成されたレンズ側面1dとを有する両凸レンズである。レンズ面1a、1b上のレンズ有効面には、それぞれ、設計波長の光を良好に透過させ表面反射を抑制するための光学薄膜2a、2bが成膜されている。
また、レンズ1Aは、レンズ本体1cの表面に、それぞれ凹球面の面形状を有するレンズ面1e、1fと、これらの光軸を中心とする円筒面状に形成されたレンズ側面1dとを有する両凹レンズである。レンズ面1e、1f上のレンズ有効面には、それぞれ、光学薄膜2a、2bが成膜されている。
このようなガラスレンズは、一例であって、平凸レンズ、平凹レンズ、正または負のメニスカスレンズなど適宜のレンズタイプを製造することができる。
以下では、一例として、レンズ1を製造する場合の例で説明する。
本実施形態のガラスレンズ製造方法では、図2に示す工程フローに示すように、ステップS1〜S16の各工程を順次行うことによって、レンズ1が製造される。
まず、ステップS1では、ステップS2以降の工程群で加工する被加工体を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程を行う。以下では、ステップS1で行う被加工体形成工程を被加工体形成工程S1と称する(以下同様に、ステップSN(Nは自然数)で行う「××工程」を、他のステップで行う「××工程」と区別するため「××工程SN」と称する)。
被加工体形成工程S1では、図3、図5(a)に示すような円板状の被加工体10をブロック状のガラス母材から切り出す。被加工体10は、板厚方向の表裏に平面10a、10bが形成され、側面には円筒外周面10dが形成されている。
被加工体10の大きさは、円筒外周面10dの直径がレンズ1のレンズ外径より大きく、板厚がレンズ1より厚くなっており、レンズ1の外形に対して適宜の加工取り代を確保することができる大きさとされる。
被加工体形成工程S1では、図3、図5(a)に示すような円板状の被加工体10をブロック状のガラス母材から切り出す。被加工体10は、板厚方向の表裏に平面10a、10bが形成され、側面には円筒外周面10dが形成されている。
被加工体10の大きさは、円筒外周面10dの直径がレンズ1のレンズ外径より大きく、板厚がレンズ1より厚くなっており、レンズ1の外形に対して適宜の加工取り代を確保することができる大きさとされる。
被加工体10を切り出すガラス母材としては、例えば、図4(a)に示すように、外形が、被加工体10の外径よりも大きく、被加工体10と同じ厚さを有する平面視矩形状のガラスブロック8を採用することができる。
また、例えば、図4(b)に示すように、プレス成形、あるいは切削、研削加工などの冷間加工などによって、被加工体10の円筒外周面10dの外径と同径の円柱状に成形された棒状ガラスブロック9を採用することができる。
ガラスブロック8から被加工体10を切り出すには、ガラスブロック8の外形を円筒状に切り出す加工を行う。
また、棒状ガラスブロック9から被加工体10を切り出すには、棒状ガラスブロック9の中心軸に直交する方向に棒状ガラスブロック9を切断する加工を行う。
また、例えば、図4(b)に示すように、プレス成形、あるいは切削、研削加工などの冷間加工などによって、被加工体10の円筒外周面10dの外径と同径の円柱状に成形された棒状ガラスブロック9を採用することができる。
ガラスブロック8から被加工体10を切り出すには、ガラスブロック8の外形を円筒状に切り出す加工を行う。
また、棒状ガラスブロック9から被加工体10を切り出すには、棒状ガラスブロック9の中心軸に直交する方向に棒状ガラスブロック9を切断する加工を行う。
ガラスブロック8から切り出された被加工体10は、切り出しの加工によって円筒外周面10dに大きな加工負荷がかかるため、円筒外周面10dにダメージを受ける。このため、円筒外周面10dには微細なクラックが入り、円筒外周面10dの近傍では内部歪みが大きくなっている。
また、棒状ガラスブロック9から切り出された被加工体10は、切り出し時の切断加工によって平面10a、10bに大きな加工負荷がかかるため、平面10a、10bにダメージを受ける。このため、平面10a、10bには微細なクラックが入り、平面10a、10bの近傍では内部歪みが大きくなっている。
また、棒状ガラスブロック9が冷間加工で形成される場合には、円筒外周面10dの近傍の内部歪みも大きくなっている。
また、棒状ガラスブロック9から切り出された被加工体10は、切り出し時の切断加工によって平面10a、10bに大きな加工負荷がかかるため、平面10a、10bにダメージを受ける。このため、平面10a、10bには微細なクラックが入り、平面10a、10bの近傍では内部歪みが大きくなっている。
また、棒状ガラスブロック9が冷間加工で形成される場合には、円筒外周面10dの近傍の内部歪みも大きくなっている。
このガラス母材の材質としては、レンズ1に必要な光学特性(屈折率、アッベ数)に応じて適宜の光学ガラスの硝材を選択する。以下では、このガラス母材のガラス転移点をTgで表すことにする。
本実施形態では、レンズ1のレンズ面1a、1bをこの順に形成していく。そこで、以下では、レンズ面1a、1bを、それぞれ第1面、第2面と称する。
ステップS2〜S5は、レンズ1のレンズ面1aを形成する第1面形成工程P1を構成している。
ステップS2〜S5は、レンズ1のレンズ面1aを形成する第1面形成工程P1を構成している。
ステップS2では、図5(b)に示すように、被加工体10の平面10aを切削加工する切削工程を行う。この切削工程S2では、平面10aを切削加工してレンズ面1aに近似した面形状の切削面11aを形成する。これにより被加工体10から被加工体11Aが形成される。
切削加工は研削加工や研磨加工に比べて相対的に粗い加工である。このため切削加工後に形成された切削面11aは、研削加工や研磨加工によって加工された面に比べて大きなダメージを受けている。すなわち、切削面11aは、多数の切削条痕が形成されてなり、その面精度は研削面や研磨面に比べて相対的に粗くなっている。これらの切削条痕は、微視的には被加工体11Aの表面に形成された断面V字状の溝であり、溝底には切削時の機械的、熱的な衝撃などにより微細なクラックが生じていることが多い。
また、切削面11aの近傍の被加工体11A内部は、切削加工時の機械的な負荷や熱的な負荷などによって内部歪みが蓄積されている。このような内部歪みは、表面に機械的、熱的、化学的な負荷がかかった場合に、表面に存在する微細なクラックを伸長させる原因となる。
切削加工は研削加工や研磨加工に比べて相対的に粗い加工である。このため切削加工後に形成された切削面11aは、研削加工や研磨加工によって加工された面に比べて大きなダメージを受けている。すなわち、切削面11aは、多数の切削条痕が形成されてなり、その面精度は研削面や研磨面に比べて相対的に粗くなっている。これらの切削条痕は、微視的には被加工体11Aの表面に形成された断面V字状の溝であり、溝底には切削時の機械的、熱的な衝撃などにより微細なクラックが生じていることが多い。
また、切削面11aの近傍の被加工体11A内部は、切削加工時の機械的な負荷や熱的な負荷などによって内部歪みが蓄積されている。このような内部歪みは、表面に機械的、熱的、化学的な負荷がかかった場合に、表面に存在する微細なクラックを伸長させる原因となる。
次にステップS3では、被加工体11Aを処理温度Tで加熱処理する加熱工程を行う。
この加熱工程S3では、まず、図6(a)に示すように、被加工体11Aを耐熱性のレンズホルダー4に保持させる。次に、例えば、電気炉などからなる加熱装置3によって、被加工体11Aを、常温から昇温速度V1で処理温度Tまで加熱し、保持時間tの間、処理温度Tを保持してから、降温速度V2で降温させる。
以上で、加熱工程S3が終了する。
この加熱工程S3では、まず、図6(a)に示すように、被加工体11Aを耐熱性のレンズホルダー4に保持させる。次に、例えば、電気炉などからなる加熱装置3によって、被加工体11Aを、常温から昇温速度V1で処理温度Tまで加熱し、保持時間tの間、処理温度Tを保持してから、降温速度V2で降温させる。
以上で、加熱工程S3が終了する。
ここで、処理温度Tは、被加工体11Aのガラス母材のガラス転移点Tg以下で、かつガラス転移点Tgに近い温度とする。処理温度T(K)は、例えば、ガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度であることが好ましい。
処理温度T(K)が、ガラス転移点Tg(K)の0.7倍より低いと、温度が低すぎて、被加工体表面に十分な熱エネルギーを供給できないため、内部歪みが十分には緩和されず、表面の微細なクラックの伸長を抑制することができない。
また、処理温度T(K)が、ガラス転移点Tg(K)の1倍より高いと、ガラスが変形しやすくなるため、面精度が悪化したり、屈折率が変化したりしやすくなる。このため安定した光学特性が得られない。
処理温度T(K)が、ガラス転移点Tg(K)の0.7倍より低いと、温度が低すぎて、被加工体表面に十分な熱エネルギーを供給できないため、内部歪みが十分には緩和されず、表面の微細なクラックの伸長を抑制することができない。
また、処理温度T(K)が、ガラス転移点Tg(K)の1倍より高いと、ガラスが変形しやすくなるため、面精度が悪化したり、屈折率が変化したりしやすくなる。このため安定した光学特性が得られない。
また、昇温速度V1、降温速度V2は、被加工体11Aの直径、厚み等の形状や、被加工体11Aへの熱伝達の方法や、硝材の熱線膨張率等を考慮し、被加工体11A内の温度分布によってワレが生じないような範囲で適宜に設定することができる。
昇温速度V1、降温速度V2の好ましい範囲としては、1℃/min以上、30℃/min以下の範囲を挙げることができる。
また、保持時間tは、少なくとも10分以上であることが好ましく、30分以上10時間以下であることがより好ましい。
昇温速度V1、降温速度V2の好ましい範囲としては、1℃/min以上、30℃/min以下の範囲を挙げることができる。
また、保持時間tは、少なくとも10分以上であることが好ましく、30分以上10時間以下であることがより好ましい。
なお、加熱装置3は、上記のような加熱処理を行うことができれば、電気炉には限定されない。例えば、ガス炉やレーザーアニール炉など種々の加熱装置を用いることができる。
また、加熱雰囲気は、例えば、大気雰囲気や不活性ガス雰囲気など、硝材の種類の応じて適宜の雰囲気を選択することができる。
また、加熱雰囲気は、例えば、大気雰囲気や不活性ガス雰囲気など、硝材の種類の応じて適宜の雰囲気を選択することができる。
ガラスレンズにおける亀裂、ワレ、および欠けなどの欠陥は、ガラスレンズの表面に残存するクラックが、その後の加工工程やハンドリングなどにおける機械的、熱的、化学的な負荷によって伸長する結果、発生することが多い。
ガラス母材を機械加工し最終的に研磨加工によって面形状を形成することにより、ガラスレンズを製造する場合、研磨加工を行う研磨工程に先行して、切断、切削、研削などの加工の粗さが異なる機械加工を行う複数の先行加工工程が行われる。
これら先行加工工程は、1つのレンズ面に対応して研磨工程の被研磨面を形成するために、加工の粗さを段階的に細かくしていく1群の先行加工工程群を構成している。また、例えば、切削、研削、研磨などの同種の加工においても、例えば、加工送り速度、工具の種類、砥粒の種類などを段階的に変更して、粗い加工(粗加工)から細かい加工(精加工)まで多段階の粗さを有する面を創生する加工を順次行っていくのが一般的である。
このような先行加工工程群において、加工取り代は次第に狭められ、より先行する加工工程での加工表面は後行する加工工程によって除去されていく。
ガラス母材を機械加工し最終的に研磨加工によって面形状を形成することにより、ガラスレンズを製造する場合、研磨加工を行う研磨工程に先行して、切断、切削、研削などの加工の粗さが異なる機械加工を行う複数の先行加工工程が行われる。
これら先行加工工程は、1つのレンズ面に対応して研磨工程の被研磨面を形成するために、加工の粗さを段階的に細かくしていく1群の先行加工工程群を構成している。また、例えば、切削、研削、研磨などの同種の加工においても、例えば、加工送り速度、工具の種類、砥粒の種類などを段階的に変更して、粗い加工(粗加工)から細かい加工(精加工)まで多段階の粗さを有する面を創生する加工を順次行っていくのが一般的である。
このような先行加工工程群において、加工取り代は次第に狭められ、より先行する加工工程での加工表面は後行する加工工程によって除去されていく。
しかしながら、本発明者が鋭意研究したところによれば、粗い加工ほど、微細なクラックが内部側に伸びやすく、またクラック近傍の内部歪みも大きくなりやすい。また、これらのクラックの長さ(深さ)や内部歪みの大きさは、加工状況によってバラツキも多くなるため、粗い加工のものほど後工程まで残存しやすいことが判明した。このような後工程に大きな内部歪みとともに残存するクラックは、機械的、熱的、化学的な負荷、例えば、後加工やハンドリング時の機械的な衝撃や振動、加工発熱、洗浄によるエッチング作用や振動などによって伸長することがあるため、後加工時あるいは研磨加工後の被加工体やガラスレンズに、許容できない亀裂、ワレ、および欠けなどの欠陥を発生させる可能性がある。
そこで、本発明者は、先行加工工程群においてより先行する先行加工工程で生じた内部歪みを緩和もしくは除去する工程を設けることに想到した。
そこで、本実施形態では、切削工程S2と後述する研削工程S4との間に加熱工程S3を行うようにしている。
そこで、本発明者は、先行加工工程群においてより先行する先行加工工程で生じた内部歪みを緩和もしくは除去する工程を設けることに想到した。
そこで、本実施形態では、切削工程S2と後述する研削工程S4との間に加熱工程S3を行うようにしている。
被加工体11Aは、加熱工程S3により硝材のガラス転移点Tgに近い処理温度Tで加熱処理されることで、切削面11aの近傍に生じた内部歪みが緩和もしくは除去される。このため、後工程によって、切削面11aに負荷がかかってもクラックの伸長が抑制される。
次にステップS4では、被加工体11Aの切削面11aを研削加工する研削工程を行う。
この研削工程S4では、加熱装置3から取り出した被加工体11Aを不図示の研削装置に移動し、図5(c)に示すように切削面11aを研削加工して研削面12aを形成する。これにより被加工体11Aから被加工体12Bが形成される。
以上で、研削工程S4が終了する。
研削工程S4では、切削工程S2に比べて細かい加工が行われるので、研削面12aのダメージは相対的に小さく、研削加工によって、研削面12aには、新たに細かい研削条痕が形成される。被加工体11Aは、加熱工程S3によって内部歪みが緩和もしくは除去されているため、切削工程S2で形成されたクラックが、研削加工取り代を超えて残るとしても、研削工程S4によるさらなる伸長は抑制される。また、研削加工によって新たに多数の研削条痕が発生するが、硝材の内部歪みが緩和もしくは除去されているため研削条痕から微細なクラックが新たに発生する程度も軽減することができる。
なお、研削工程S4は、1回で研削面12aを形成しても良いが、研削粗さが粗い方から段階的に細かくなる複数の研削工程を行うようにしてもよい。研削加工での加工取り代は、研削加工工程全体で5μm〜200μm程度である。
この研削工程S4では、加熱装置3から取り出した被加工体11Aを不図示の研削装置に移動し、図5(c)に示すように切削面11aを研削加工して研削面12aを形成する。これにより被加工体11Aから被加工体12Bが形成される。
以上で、研削工程S4が終了する。
研削工程S4では、切削工程S2に比べて細かい加工が行われるので、研削面12aのダメージは相対的に小さく、研削加工によって、研削面12aには、新たに細かい研削条痕が形成される。被加工体11Aは、加熱工程S3によって内部歪みが緩和もしくは除去されているため、切削工程S2で形成されたクラックが、研削加工取り代を超えて残るとしても、研削工程S4によるさらなる伸長は抑制される。また、研削加工によって新たに多数の研削条痕が発生するが、硝材の内部歪みが緩和もしくは除去されているため研削条痕から微細なクラックが新たに発生する程度も軽減することができる。
なお、研削工程S4は、1回で研削面12aを形成しても良いが、研削粗さが粗い方から段階的に細かくなる複数の研削工程を行うようにしてもよい。研削加工での加工取り代は、研削加工工程全体で5μm〜200μm程度である。
次にステップS5では、被加工体12Aの研削面12aに研磨加工を施すことによりレンズ面1aの面形状を形成する研磨工程を行う。
この研磨工程S5では、研削加工が終了した被加工体12Aを不図示の研磨装置に保持させ、図5(d)に示すように研削面12aを研磨加工してレンズ面1aを形成する。これにより被加工体12Aから被加工体13Aが形成される。研磨加工での加工取り代は、1μm〜20μm程度である。
以上で、研磨工程S5が終了する。
研磨工程S5は、流動砥粒によって固定砥粒による研削工程S4に比べて細かい加工が行われるので、レンズ面1aのダメージは格段に小さく、研削工程S4におけるダメージも抑制されていることから、良好な面精度のレンズ面1aが形成される。仮に、切削工程S2で形成され、光学特性に影響しない微細なクラックが残存していたとしても、それらのクラックが伸長することは防止される。
以上で、第1面形成工程P1が終了する。
このように第1面形成工程P1では、加熱工程S3を行うことによって、切削工程S2の影響によるレンズ面1aにおける亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができる。
この研磨工程S5では、研削加工が終了した被加工体12Aを不図示の研磨装置に保持させ、図5(d)に示すように研削面12aを研磨加工してレンズ面1aを形成する。これにより被加工体12Aから被加工体13Aが形成される。研磨加工での加工取り代は、1μm〜20μm程度である。
以上で、研磨工程S5が終了する。
研磨工程S5は、流動砥粒によって固定砥粒による研削工程S4に比べて細かい加工が行われるので、レンズ面1aのダメージは格段に小さく、研削工程S4におけるダメージも抑制されていることから、良好な面精度のレンズ面1aが形成される。仮に、切削工程S2で形成され、光学特性に影響しない微細なクラックが残存していたとしても、それらのクラックが伸長することは防止される。
以上で、第1面形成工程P1が終了する。
このように第1面形成工程P1では、加熱工程S3を行うことによって、切削工程S2の影響によるレンズ面1aにおける亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができる。
次にステップS6では、被加工体13Aを洗浄する洗浄工程を行う。
この洗浄工程S6では、図6(b)に示すように、超音波振動子7が設けられた洗浄槽5の内部に洗浄液6を満たし、洗浄液6に被加工体13Aを浸漬して、一定時間をかけて、超音波洗浄することにより行う。これにより、被加工体13Aに付着したスラッジや研磨液などが除去される。
洗浄工程S6に用いる洗浄液6としては、例えば、炭化水素系の有機溶剤などを採用することができる。
また、洗浄工程S6は、必要に応じて、洗浄液6の種類を変えて複数段階で行うことができる。
また、研磨工程S5を行う際に、被加工体12Aを、例えばワックスなどによって貼り付けて保持する場合には、剥離されたワックスを除去するために、溶剤系の洗浄液6などによる洗浄工程を設けることができる。
この洗浄工程S6では、図6(b)に示すように、超音波振動子7が設けられた洗浄槽5の内部に洗浄液6を満たし、洗浄液6に被加工体13Aを浸漬して、一定時間をかけて、超音波洗浄することにより行う。これにより、被加工体13Aに付着したスラッジや研磨液などが除去される。
洗浄工程S6に用いる洗浄液6としては、例えば、炭化水素系の有機溶剤などを採用することができる。
また、洗浄工程S6は、必要に応じて、洗浄液6の種類を変えて複数段階で行うことができる。
また、研磨工程S5を行う際に、被加工体12Aを、例えばワックスなどによって貼り付けて保持する場合には、剥離されたワックスを除去するために、溶剤系の洗浄液6などによる洗浄工程を設けることができる。
ステップS7〜S10は、レンズ1のレンズ面1bを形成する第2面形成工程P2を構成している。
ステップS7は、被加工体13Aの平面10bを切削加工する切削工程である。この切削工程S7は、平面10bに対して、レンズ面1bに近似した面形状の切削面11bを形成する点を除いて上記切削工程S2と同様の切削加工を行う。これにより被加工体13Aから被加工体11Bが形成される(図5(b)参照)。
次に行うステップS8は、被加工体11Bを処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S8の加熱処理の条件は、加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。
次に行うステップS9は、被加工体11Bの切削面11bを研削加工する研削工程である。この研削工程S9は、切削面11bに対して、レンズ面1bに近似した面形状の研削面12bを形成する点を除いて上記研削工程S4と同様の研削加工を行う。これにより被加工体11Bから被加工体12Bが形成される(図5(c)参照)。
次に行うステップS10は、被加工体12Bの研削面12bに研磨加工を施すことによりレンズ面1bの面形状を形成する研磨工程である。この研磨工程S10により被加工体12Bから被加工体13Bが形成される(図5(d)参照)。
以上で、第2面形成工程P2が終了する。
第2面形成工程P2では、加熱工程S8を行うことによって、第1面形成工程P1と同様に、切削工程S7の影響によるレンズ面1bにおける亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができる。
ステップS7は、被加工体13Aの平面10bを切削加工する切削工程である。この切削工程S7は、平面10bに対して、レンズ面1bに近似した面形状の切削面11bを形成する点を除いて上記切削工程S2と同様の切削加工を行う。これにより被加工体13Aから被加工体11Bが形成される(図5(b)参照)。
次に行うステップS8は、被加工体11Bを処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S8の加熱処理の条件は、加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。
次に行うステップS9は、被加工体11Bの切削面11bを研削加工する研削工程である。この研削工程S9は、切削面11bに対して、レンズ面1bに近似した面形状の研削面12bを形成する点を除いて上記研削工程S4と同様の研削加工を行う。これにより被加工体11Bから被加工体12Bが形成される(図5(c)参照)。
次に行うステップS10は、被加工体12Bの研削面12bに研磨加工を施すことによりレンズ面1bの面形状を形成する研磨工程である。この研磨工程S10により被加工体12Bから被加工体13Bが形成される(図5(d)参照)。
以上で、第2面形成工程P2が終了する。
第2面形成工程P2では、加熱工程S8を行うことによって、第1面形成工程P1と同様に、切削工程S7の影響によるレンズ面1bにおける亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができる。
次にステップS11では、被加工体13Bを洗浄する洗浄工程を行う。この洗浄工程S11は、被加工体13Bを洗浄する点を除いて洗浄工程S6と同様にして行われる。
次に、ステップS12では、被加工体13Bの円筒外周面10dを研削して、レンズ面1a、1bの光軸と同軸となるレンズ側面1dを形成する心取り工程を行う。この心取り工程S12により被加工体13Bからレンズ本体1cが形成される。
次に、ステップS13では、レンズ本体1cを洗浄する洗浄工程を行う。この洗浄工程S13は、レンズ本体1cを洗浄する点を除いて洗浄工程S6と略同様にして行われる。
ただし、洗浄工程S13では、心取り工程S12によって発生したスラッジや汚れ等をレンズ本体1cから除去し、レンズ面1aに成膜欠陥となる残留物や汚れなどを残存しないようにできればよいので、洗浄液6の種類や洗浄時間などの洗浄条件は必要に応じて適宜変更することができる。
ただし、洗浄工程S13では、心取り工程S12によって発生したスラッジや汚れ等をレンズ本体1cから除去し、レンズ面1aに成膜欠陥となる残留物や汚れなどを残存しないようにできればよいので、洗浄液6の種類や洗浄時間などの洗浄条件は必要に応じて適宜変更することができる。
次に、ステップS14では、レンズ本体1cのレンズ面1aに光学薄膜2aを成膜するコーティング工程を行う。このコーティング工程S14で、成膜を行う装置としては、光学薄膜2a、2bの膜構成などに応じて、適宜の成膜装置、例えば、真空蒸着装置などを採用することができる。
次に、ステップS15では、レンズ本体1cを洗浄する洗浄工程を行う。この洗浄工程S15は、洗浄工程S6と略同様にして行われる。
ただし、洗浄工程S15では、コーティング工程S14後のレンズ1のレンズ面1bに成膜欠陥となる残留物や汚れなどを残存しないようにできればよいので、洗浄液6の種類や洗浄時間などの洗浄条件は必要に応じて適宜変更することができる。
このようにして、本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、図1に示すようなレンズ1を製造することができる。
ただし、洗浄工程S15では、コーティング工程S14後のレンズ1のレンズ面1bに成膜欠陥となる残留物や汚れなどを残存しないようにできればよいので、洗浄液6の種類や洗浄時間などの洗浄条件は必要に応じて適宜変更することができる。
このようにして、本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、図1に示すようなレンズ1を製造することができる。
本実施形態のガラスレンズ製造方法は、研磨工程S5(S10)を行う前に、研磨工程S5(S10)よりも相対的に粗い加工を施して被加工体10を段階的に加工し、研磨工程S5(S10)での被研磨面である研削面12a(12b)を形成する複数の先行加工工程として、それぞれ、切削工程S2(S7)、研削工程S4(S9)を備えている。また、切削工程S2および研削工程S4と、切削工程S7および研削工程S9とは、それぞれ1群の先行加工工程群を構成している。
また本実施形態のガラスレンズ製造方法は、被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程S3(S8)を備えており、加熱工程S3(S8)は、各先行加工工程群の群内で最後に行われる先行加工工程である研削工程S4(S9)よりも前に行うようにした場合の例になっている。このため、本実施形態では、加熱工程S3、S8は、2群の先行加工工程群で最後に行われる先行加工工程である研削工程S19よりも前に行うようにした場合の例になっている。本実施形態のガラスレンズ製造方法では、2群の先行加工工程群が、研磨工程を行う前に、この研磨工程よりも相対的に粗い加工を施して被加工体を段階的に加工し、且つ研磨工程のための被研磨面を形成する複数の先行加工工程からなる先行加工工程群を1群以上行う加工工程を構成している。このことは、後述する実施形態についても同様である。
また本実施形態のガラスレンズ製造方法は、被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程S3(S8)を備えており、加熱工程S3(S8)は、各先行加工工程群の群内で最後に行われる先行加工工程である研削工程S4(S9)よりも前に行うようにした場合の例になっている。このため、本実施形態では、加熱工程S3、S8は、2群の先行加工工程群で最後に行われる先行加工工程である研削工程S19よりも前に行うようにした場合の例になっている。本実施形態のガラスレンズ製造方法では、2群の先行加工工程群が、研磨工程を行う前に、この研磨工程よりも相対的に粗い加工を施して被加工体を段階的に加工し、且つ研磨工程のための被研磨面を形成する複数の先行加工工程からなる先行加工工程群を1群以上行う加工工程を構成している。このことは、後述する実施形態についても同様である。
[実験例1]
ここで、本実施形態の加熱工程S3、S8における好適な処理温度Tを検討した実験例1について説明する。
実験例1の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表1に示す。
ここで、本実施形態の加熱工程S3、S8における好適な処理温度Tを検討した実験例1について説明する。
実験例1の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表1に示す。
被加工体10は、ガラス転移点Tg=958(K)(=685(℃))の硝材をプレス成形したφ12mmの棒状ガラスブロック9を切断することによって作製した(被加工体形成工程S1)。加熱工程S3、S8における昇温速度V1、降温速度V2は、V1=V2=10(℃/min)、保持時間tは、t=3(h)とした。そして、処理温度Tを、623K、673K、723K、773K、823K、873K、923K、993Kの8通りに変えて加熱処理を行い、それぞれ処理温度Tが異なるレンズ1を製造した。ここで、T/Tgは、それぞれ、0.65、0.70、0.75、0.81、0.86、0.91、0.96、1.04である。
このようにして製造されたレンズ1の評価は、外観不良率と、その他の不良の評価を総合して行った。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ面1a、1bのレンズ面傷が観察された。表1における外観不良率の×、○、◎は、それぞれ、外観不良率が、4%以上、0.5%以上4%未満、0.5%以下であることを示す(以下、他の表の外観不良率の評価も同じ)。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、面形状が崩れ、修正加工が必要となる不良が発生した。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ面1a、1bのレンズ面傷が観察された。表1における外観不良率の×、○、◎は、それぞれ、外観不良率が、4%以上、0.5%以上4%未満、0.5%以下であることを示す(以下、他の表の外観不良率の評価も同じ)。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、面形状が崩れ、修正加工が必要となる不良が発生した。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
これらの実験結果より、T/Tgが0.7未満の場合は、レンズ面傷の発生によって総合評価が不合格(×)となり、T/Tgが1より大きい場合、面形状が崩れて不合格(×)となった。したがって、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下が好適であることが分かる。
また、外観不良率は、T/Tg=0.7に比べて、T/Tg=1に近いほど低下し、T/Tgの範囲は、0.75以上1以下がより好ましいことが分かる。
また、外観不良率は、T/Tg=0.7に比べて、T/Tg=1に近いほど低下し、T/Tgの範囲は、0.75以上1以下がより好ましいことが分かる。
このように、本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、切削工程S2(S7)において、切削加工の衝撃により生じたガラス構造の歪みに起因する応力を、加熱工程S3(S7)での加熱処理により緩和もしくは除去することができる。このため、研削工程S4(S7)などの後工程の加工による外力が加わっても、予め応力を緩和もしくは除去してあるため、後工程でのランダムなクラック伸長を防ぎ、亀裂(カン)、ワレ、および欠けなどの欠陥を低減することができる。
このため、予め切削工程におけるクラックがばらついたり、後工程で伸長したりすることによるクラックを除去するため、研削工程や研磨工程における加工取り代の余裕をもたせた設定としなくても、レンズ表面1a、1bなどの欠陥を抑制することができる。そのため、外観不良などの低減されるため、安定的かつ効率的にガラスレンズを製造することが可能となる。
このため、予め切削工程におけるクラックがばらついたり、後工程で伸長したりすることによるクラックを除去するため、研削工程や研磨工程における加工取り代の余裕をもたせた設定としなくても、レンズ表面1a、1bなどの欠陥を抑制することができる。そのため、外観不良などの低減されるため、安定的かつ効率的にガラスレンズを製造することが可能となる。
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
図7は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
上記第1の実施形態では、第1面形成工程P1を行ってレンズ1の第1面であるレンズ面1aを形成してから、第2面形成工程P2を行ってレンズ1の第2面であるレンズ面1bを形成したが、本変形例は、被加工体10に対する2面の切削工程を完了させてから、加熱工程を行うようにしたものである。このため、図7に示す工程フローのステップS20〜S34を順次行うことにより、レンズ1を製造する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS20は、上記第1の実施形態のステップS1と同様な被加工体形成工程であり、この被加工体形成工程S21により被加工体10が形成される。
次にステップS21は、上記第1の実施形態のステップS2と同様な切削工程であり、この切削工程S21により、被加工体10から被加工体11Aが形成される。
次にステップS21は、上記第1の実施形態のステップS2と同様な切削工程であり、この切削工程S21により、被加工体10から被加工体11Aが形成される。
次にステップS22は、被加工体11Aの平面10bを切削加工してレンズ面1bに近似する切削面11bを形成する切削工程である。この切削工程S22により、切削面11a、11bが形成された被加工体11C(図6(a)参照)が形成される。
次にステップS23は、被加工体11Cを処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S23の加熱処理の条件は、加熱工程S3と同様の条件を採用することができる(図6(a)参照)。
以下、ステップS24〜S34は、上記第1の実施形態のステップS4〜S16において、ステップS7、S8(切削工程S7、加熱工程S8)を削除した工程にそれぞれ対応する。
すなわち、ステップS24〜S26は、それぞれ研削工程S4、研磨工程S5、洗浄工程S6に対応する研削工程S24、研磨工程S25、洗浄工程S26である。また、ステップS27〜S29は、それぞれ研削工程S9、研磨工程S10、洗浄工程S11に対応する研削工程S27、研磨工程S28、洗浄工程S29である。
ここで、上記第1の実施形態との違いは、ステップS24、S25における被加工体にすでに切削面11bが形成されている点だけである。
またステップS30〜S34は、上記第1の実施形態のステップS12〜S16とまったく同様な工程である。
すなわち、ステップS24〜S26は、それぞれ研削工程S4、研磨工程S5、洗浄工程S6に対応する研削工程S24、研磨工程S25、洗浄工程S26である。また、ステップS27〜S29は、それぞれ研削工程S9、研磨工程S10、洗浄工程S11に対応する研削工程S27、研磨工程S28、洗浄工程S29である。
ここで、上記第1の実施形態との違いは、ステップS24、S25における被加工体にすでに切削面11bが形成されている点だけである。
またステップS30〜S34は、上記第1の実施形態のステップS12〜S16とまったく同様な工程である。
本変形例によれば、上記第1の実施形態と同様にレンズ1を製造することができる。
その際、2面の切削工程を終了した後に、加熱工程S23を行うので、上記第1の実施形態に比べて、加熱工程の工程数を低減することができる。
その際、2面の切削工程を終了した後に、加熱工程S23を行うので、上記第1の実施形態に比べて、加熱工程の工程数を低減することができる。
本変形例のガラスレンズ製造方法は、研磨工程S25(S28)を行う前に、研磨工程S25(S28)よりも相対的に粗い加工を施して被加工体10を段階的に加工し、研磨工程S25(S28)での被研磨面である研削面12a(12b)を形成する複数の先行加工工程からなる2群の先行加工工程群と、被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程S23とを備え、加熱工程S23は、各先行加工工程群で最後に行われる先行加工工程である研削工程S25、S28のいずれよりも前に行うようにした場合の例になっている。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
本発明の第2の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
本実施形態のガラスレンズ製造方法は、図8に示す工程フローのステップS40〜S54を順次行う方法である。ステップS40〜S54は、上記第1の実施形態のガラスレンズ製造方法のステップS1〜S16において、加熱工程S3、S8を削除し、加熱工程S41を被加工体形成工程S1と切削工程S2の間に配置した方法である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS40は、上記第1の実施形態の被加工体形成工程S1と同様の被加工体形成工程S40である。
また、ステップS41は、被加工体10を処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S41の加熱処理の条件は、上記第1の実施形態の加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。
また、ステップS42〜S54は、上記第1の実施形態のステップS2、S4〜S7、S9〜S16と同様の工程である。
また、ステップS41は、被加工体10を処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S41の加熱処理の条件は、上記第1の実施形態の加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。
また、ステップS42〜S54は、上記第1の実施形態のステップS2、S4〜S7、S9〜S16と同様の工程である。
ここで、切削工程S42、研削工程S43、研磨工程S44は、第1面形成工程P11を構成しており、切削工程S46、研削工程S47、研磨工程S48は、第2面形成工程P12を構成している。
また、切削工程S42および研削工程S43は1群の先行加工工程群を構成しており、切削工程S46および研削工程S47は、もう1群の先行加工工程群を構成している。
したがって、被加工体加工工程S40は、1群以上の先行加工工程群によって加工する被加工体10を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程になっている。そして、加熱工程S41は、この被加工体形成工程S40と、1群以上の先行加工工程群のうちの最初に行われる先行加工工程である切削工程S42との間に行われるようになっている。
また、切削工程S42および研削工程S43は1群の先行加工工程群を構成しており、切削工程S46および研削工程S47は、もう1群の先行加工工程群を構成している。
したがって、被加工体加工工程S40は、1群以上の先行加工工程群によって加工する被加工体10を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程になっている。そして、加熱工程S41は、この被加工体形成工程S40と、1群以上の先行加工工程群のうちの最初に行われる先行加工工程である切削工程S42との間に行われるようになっている。
[実験例2]
ここで、本実施形態の加熱工程S41における好適な処理温度Tを検討した実験例2について説明する。
実験例2の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表2に示す。
ここで、本実施形態の加熱工程S41における好適な処理温度Tを検討した実験例2について説明する。
実験例2の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表2に示す。
被加工体10は、ガラス転移点Tg=958(K)(=685(℃))の硝材で板状に成形されたガラスブロック8から、φ4.2mm、厚さ1.4mmの円板を切り出すことによって作製した(被加工体形成工程S40)。加熱工程S41における昇温速度V1、降温速度V2は、V1=V2=10(℃/min)、保持時間tは、t=3(h)とした。そして、処理温度Tを、623K、673K、723K、773K、823K、873K、923K、993Kの8通りに変えて加熱処理を行い、それぞれ処理温度Tが異なるレンズ1を製造した。ここで、T/Tgは、それぞれ、0.65、0.70、0.75、0.81、0.86、0.91、0.96、1.04である。
このようにして製造されたレンズ1の評価は、上記第1の実施形態の実験例1と同様に外観不良率と、その他の不良の評価を総合して行った。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ側面1dにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、屈折率が変化し光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ側面1dにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、屈折率が変化し光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
これらの実験結果より、T/Tgが0.7未満の場合は、ワレの発生によって総合評価が不合格(×)となり、T/Tgが1より大きい場合、屈折率が変化して不合格(×)となった。したがって、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下が好適であることが分かる。
また、外観不良率は、T/Tg=0.7に比べて、T/Tg=1に近いほど低下し、T/Tgの範囲は、0.75以上1以下がより好ましいことが分かる。
また、外観不良率は、T/Tg=0.7に比べて、T/Tg=1に近いほど低下し、T/Tgの範囲は、0.75以上1以下がより好ましいことが分かる。
本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、加熱工程S41により、被加工体形成工程S40の切り出し等の加工により被加工体10に発生した内部歪みを、すべての先行加工工程群の先行加工工程に先立って、緩和もしくは除去することができる。
したがって、被加工体10の表面の微細なクラックが先行加工工程群の加工により伸長されるのを抑制することができる。
例えば、被加工体形成工程S40によって、被加工体10の円筒外周面10dに生じたクラックは、心取り工程S50を除いては、径方向に加工取り代が設けられていないため、先行加工工程を行う間、残存している。このためクラックが最終的にレンズ側面1dに残って、いわゆるカンやワレなどの欠陥となる原因ともなるが、本実施形態では、先行加工工程によって伸長する可能性は格段に低減されるので、これらの欠陥の発生を抑制することができる。
したがって、被加工体10の表面の微細なクラックが先行加工工程群の加工により伸長されるのを抑制することができる。
例えば、被加工体形成工程S40によって、被加工体10の円筒外周面10dに生じたクラックは、心取り工程S50を除いては、径方向に加工取り代が設けられていないため、先行加工工程を行う間、残存している。このためクラックが最終的にレンズ側面1dに残って、いわゆるカンやワレなどの欠陥となる原因ともなるが、本実施形態では、先行加工工程によって伸長する可能性は格段に低減されるので、これらの欠陥の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の変形例(第2変形例)について説明する。
図9は、本発明の第2の実施形態の変形例(第2変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
図9は、本発明の第2の実施形態の変形例(第2変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
上記第2の実施形態では、第1面形成工程P11を行ってレンズ1の第1面であるレンズ面1aを形成してから、第2面形成工程P12を行ってレンズ1の第2面であるレンズ面1bを形成したが、本変形例は、第1面の研削工程、研磨工程を行う前に、被加工体10に対する2面の切削工程を完了させるようにしたものである。このため、図9に示す工程フローのステップS60〜S74を順次行うことにより、レンズ1を製造する。
以下、上記第1および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1および第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS60、S61は、それぞれ上記第2の実施形態のステップS40、S41と同様な被加工体形成工程、加熱工程である。
次にステップS62〜S74は、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)のステップS21〜S34において、ステップS23の加熱工程S23を削除した点のみが異なる。
本変形例によれば、上記第2の実施形態と同様にレンズ1を製造することができる。
次にステップS62〜S74は、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)のステップS21〜S34において、ステップS23の加熱工程S23を削除した点のみが異なる。
本変形例によれば、上記第2の実施形態と同様にレンズ1を製造することができる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
本発明の第3の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図10は、本発明の第3の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
本実施形態のガラスレンズ製造方法は、図10に示す工程フローのステップS80〜S95を順次行う方法である。ステップS80〜S95は、上記第1の実施形態のガラスレンズ製造方法のステップS1〜S16において、加熱工程S3、S8を削除し、中間被加工体形成工程S80、および加熱工程S81を、被加工体形成工程S1を行う前に、順次行うようにした方法である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS80は、ブロック状のガラス母材から棒状の中間被加工体を切り出して形成する中間被加工体形成工程S80である。この中間被加工体形成工程S80では、硝材を冷間加工することによって中間被加工体である棒状ガラスブロック9を切り出す。
ステップS81は、棒状ガラスブロック9を処理温度Tで加熱処理する加熱工程S81である。この加熱工程S81の加熱処理の条件は、上記第1の実施形態の加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。ただし、レンズホルダー4に代えて棒状ガラスブロック9を保持する耐熱性の保持治具を用いる。
ステップS82は、棒状ガラスブロック9を所定厚さに切断して、被加工体10を形成する被加工体形成工程S82である。
また、ステップS83〜S95は、上記第1の実施形態のステップS2、S4〜S7、S9〜S16と同様の工程である。
ステップS81は、棒状ガラスブロック9を処理温度Tで加熱処理する加熱工程S81である。この加熱工程S81の加熱処理の条件は、上記第1の実施形態の加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。ただし、レンズホルダー4に代えて棒状ガラスブロック9を保持する耐熱性の保持治具を用いる。
ステップS82は、棒状ガラスブロック9を所定厚さに切断して、被加工体10を形成する被加工体形成工程S82である。
また、ステップS83〜S95は、上記第1の実施形態のステップS2、S4〜S7、S9〜S16と同様の工程である。
ここで、切削工程S83、研削工程S84、研磨工程S85は、第1面形成工程P21を構成しており、切削工程S87、研削工程S88、研磨工程S89は、第2面形成工程P22を構成している。
また、切削工程S83および研削工程S84は1群の先行加工工程群を構成しており、切削工程S87および研削工程S88は、もう1群の先行加工工程群を構成している。
したがって、被加工体加工工程S82は、1群以上の先行加工工程群によって加工する被加工体10をブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程になっている。そして、加熱工程S81は、この被加工体形成工程S40と、1群以上の先行加工工程群のうちの最初に行われる先行加工工程である切削工程S83との間に行われるようになっている。
また、切削工程S83および研削工程S84は1群の先行加工工程群を構成しており、切削工程S87および研削工程S88は、もう1群の先行加工工程群を構成している。
したがって、被加工体加工工程S82は、1群以上の先行加工工程群によって加工する被加工体10をブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程になっている。そして、加熱工程S81は、この被加工体形成工程S40と、1群以上の先行加工工程群のうちの最初に行われる先行加工工程である切削工程S83との間に行われるようになっている。
[実験例3]
ここで、本実施形態の加熱工程S81における好適な処理温度Tを検討した実験例3について説明する。
実験例3の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表3に示す。
ここで、本実施形態の加熱工程S81における好適な処理温度Tを検討した実験例3について説明する。
実験例3の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表3に示す。
棒状ガラスブロック9は、ガラス転移点Tg=958(K)(=685(℃))の硝材からなるガラス母材を切り出して、直径φ3mmの棒状に切削加工して作製した(中間被加工体形成工程S80)。加熱工程S81における昇温速度V1、降温速度V2は、V1=V2=5(℃/min)、保持時間tは、t=5(h)とした。そして、処理温度Tを、623K、673K、723K、773K、823K、873K、923K、993Kの8通りに変えて加熱処理を行い、それぞれの棒状ガラスブロック9を、厚さ1.2mmに切断し、円板状の被加工体10を作製した(被加工体形成工程S82)。そして、これらの被加工体10からレンズ1を製造した。ここで、T/Tgは、それぞれ、0.65、0.70、0.75、0.81、0.86、0.91、0.96、1.04である。
このようにして製造されたレンズ1の評価は、上記第1の実施形態の実験例1と同様に外観不良率と、その他の不良の評価を総合して行った。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ側面1dにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、屈折率が変化し光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ側面1dにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、屈折率が変化し光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
これらの実験結果より、T/Tgが0.7未満の場合は、ワレの発生によって総合評価が不合格(×)となり、T/Tgが1より大きい場合、屈折率が変化して不合格(×)となった。したがって、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下が好適であることが分かる。
また、外観不良率は、T/Tg=0.7に比べて、T/Tg=1に近いほど低下し、T/Tgの範囲は、0.75以上1以下がより好ましいことが分かる。
また、外観不良率は、T/Tg=0.7に比べて、T/Tg=1に近いほど低下し、T/Tgの範囲は、0.75以上1以下がより好ましいことが分かる。
本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、加熱工程S81により、中間被加工体形成工程S80の切り出し等の加工により棒状ガラスブロック9に発生した内部歪みを、すべての先行加工工程群の先行加工工程に先立って、緩和もしくは除去することができる。
したがって、棒状ガラスブロック9を切断して形成された被加工体10の側面の微細なクラックが先行加工工程群の加工により伸長されるのを抑制することができる。
例えば、中間被加工体形成工程S80によって、被加工体10の円筒外周面10dに生じたクラックは、心取り工程S91を除いては、径方向に加工取り代が設けられていないため、先行加工工程を行う間、残存している。このためクラックが最終的にレンズ側面1dに残って、いわゆるカンやワレなどの欠陥となる原因ともなるが、本実施形態では、先行加工工程によって伸長する可能性は格段に低減されるので、これらの欠陥の発生を抑制することができる。
したがって、棒状ガラスブロック9を切断して形成された被加工体10の側面の微細なクラックが先行加工工程群の加工により伸長されるのを抑制することができる。
例えば、中間被加工体形成工程S80によって、被加工体10の円筒外周面10dに生じたクラックは、心取り工程S91を除いては、径方向に加工取り代が設けられていないため、先行加工工程を行う間、残存している。このためクラックが最終的にレンズ側面1dに残って、いわゆるカンやワレなどの欠陥となる原因ともなるが、本実施形態では、先行加工工程によって伸長する可能性は格段に低減されるので、これらの欠陥の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の変形例(第3変形例)について説明する。
図11は、本発明の第3の実施形態の変形例(第3変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
図11は、本発明の第3の実施形態の変形例(第3変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
上記第3の実施形態では、第1面形成工程P21を行ってレンズ1の第1面であるレンズ面1aを形成してから、第2面形成工程P22を行ってレンズ1の第2面であるレンズ面1bを形成したが、本変形例は、第1面の研削工程、研磨工程を行う前に、被加工体10に対する2面の切削工程を完了させるようにしたものである。このため、図11に示す工程フローのステップS100〜S115を順次行うことにより、レンズ1を製造する。
以下、上記第1および第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1および第3の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS100〜102、は、それぞれ上記第3の実施形態のステップS80〜S83と同様な中間被加工体形成工程、加熱工程、被加工体形成工程である。
次にステップS103〜115は、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)のステップS21〜S34において、ステップS23の加熱工程S23を削除した点のみが異なる。
本変形例によれば、上記第3の実施形態と同様にレンズ1を製造することができる。
次にステップS103〜115は、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)のステップS21〜S34において、ステップS23の加熱工程S23を削除した点のみが異なる。
本変形例によれば、上記第3の実施形態と同様にレンズ1を製造することができる。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図12は、本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。図13は、本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法によって製造されたガラスレンズの例を示す光軸方向に沿う模式的な断面図である。図14(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の被加工体形成工程、加熱工程、バレル加工工程、および研削工程をそれぞれ示す工程説明図である。
本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図12は、本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。図13は、本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法によって製造されたガラスレンズの例を示す光軸方向に沿う模式的な断面図である。図14(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の第4の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の被加工体形成工程、加熱工程、バレル加工工程、および研削工程をそれぞれ示す工程説明図である。
本実施形態のガラスレンズ製造方法は、図12に示す工程フローのステップS120〜S126を順次行う方法である。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態によって製造されるガラスレンズは、図13に示すようなレンズ1Bである。レンズ1Bは、レンズ本体1gの表面に球面状の面形状を有するレンズ面1hが形成された球レンズである。レンズ面1h上のレンズ有効面には、設計波長の光を良好に透過させ表面反射を抑制するための光学薄膜2aが成膜されている。
本実施形態によって製造されるガラスレンズは、図13に示すようなレンズ1Bである。レンズ1Bは、レンズ本体1gの表面に球面状の面形状を有するレンズ面1hが形成された球レンズである。レンズ面1h上のレンズ有効面には、設計波長の光を良好に透過させ表面反射を抑制するための光学薄膜2aが成膜されている。
まず、ステップS120では、ステップS121以降の工程群で加工する被加工体を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程を行う。この被加工体形成工程S120では、図14(a)に示すように、立方体状の被加工体15をブロック状のガラス母材から切断したり、切り出してから立方体状に切削したりして形成する。
この被加工体形成工程S120の加工は、レンズ面1gを形成する研磨加工に比べて粗い加工である。このため、被加工体15の表面15aの少なくともいずれかでは、これらの冷間加工の加工負荷がかかるため、表面15aがダメージを受けて微細なクラックが入り、表面15aの近傍の内部歪みが大きくなっている。
被加工体15の大きさは、3辺がレンズ1Bの外径より大きく、レンズ1Bの外形に対して適宜の加工取り代を確保することができる大きさとされる。
この被加工体形成工程S120の加工は、レンズ面1gを形成する研磨加工に比べて粗い加工である。このため、被加工体15の表面15aの少なくともいずれかでは、これらの冷間加工の加工負荷がかかるため、表面15aがダメージを受けて微細なクラックが入り、表面15aの近傍の内部歪みが大きくなっている。
被加工体15の大きさは、3辺がレンズ1Bの外径より大きく、レンズ1Bの外形に対して適宜の加工取り代を確保することができる大きさとされる。
次にステップS121では、被加工体15を処理温度Tで加熱処理する加熱工程を行う。
この加熱工程S121では、まず、図14(b)に示すように、被加工体15を耐熱性のレンズホルダー16に保持させる。次に、上記第1の実施形態と同様な加熱装置3によって、被加工体15を、常温から昇温速度V1で処理温度Tまで加熱し、保持時間tの間、処理温度Tを保持してから、降温速度V2で降温させる。
以上で、加熱工程S121が終了する。
ここで、加熱工程S121の加熱処理条件は、上記第1の実施形態に加熱工程S3と同様な加熱処理条件を採用することができる。
これにより、被加工体形成工程S120によって発生した被加工体15の内部歪みは、緩和もしくは除去される。
この加熱工程S121では、まず、図14(b)に示すように、被加工体15を耐熱性のレンズホルダー16に保持させる。次に、上記第1の実施形態と同様な加熱装置3によって、被加工体15を、常温から昇温速度V1で処理温度Tまで加熱し、保持時間tの間、処理温度Tを保持してから、降温速度V2で降温させる。
以上で、加熱工程S121が終了する。
ここで、加熱工程S121の加熱処理条件は、上記第1の実施形態に加熱工程S3と同様な加熱処理条件を採用することができる。
これにより、被加工体形成工程S120によって発生した被加工体15の内部歪みは、緩和もしくは除去される。
次にステップS122では、被加工体形成工程S120で形成された被加工体15を、バレル加工で丸めるバレル加工工程を行う。
このバレル加工工程S122では、被加工体15を不図示のバレル加工装置に投入する。これにより、被加工体15から、図14(c)に示すように、被加工体15の角が丸められてなる近似的な球状のバレル加工面15bを有する被加工体15Aを形成する。
以上で、バレル加工工程S122が終了する。
このとき、バレル加工の加工負荷によって、被加工体15の表面15aに形成された微細なクラックの先端には、応力が発生するが、加熱工程S121によって、クラックの先端の内部歪みが緩和もしくは除去されているので、クラックの伸長が抑制される。
このバレル加工工程S122では、被加工体15を不図示のバレル加工装置に投入する。これにより、被加工体15から、図14(c)に示すように、被加工体15の角が丸められてなる近似的な球状のバレル加工面15bを有する被加工体15Aを形成する。
以上で、バレル加工工程S122が終了する。
このとき、バレル加工の加工負荷によって、被加工体15の表面15aに形成された微細なクラックの先端には、応力が発生するが、加熱工程S121によって、クラックの先端の内部歪みが緩和もしくは除去されているので、クラックの伸長が抑制される。
次にステップS123では、被加工体15Aのバレル加工面15bを研削加工する研削工程を行う。この研削工程S123により、図14(d)に示すように、被加工体15Aからレンズ面1hよりもわずかに大きい球面からなる研削面15cを有する被加工体15Bが形成される。
以上で研削工程S123が終了する。
ここで、バレル加工工程S122および研削工程S123は、それぞれ先行加工工程であり、これらにより1群の先行加工工程群が構成されている。この先行加工工程群では、加工の粗さは、バレル加工工程の方が、研削工程よりも粗くなっている。
また、本実施形態では、バレル加工工程は、先行加工工程群において最初に行う先行加工工程となっている。
以上で研削工程S123が終了する。
ここで、バレル加工工程S122および研削工程S123は、それぞれ先行加工工程であり、これらにより1群の先行加工工程群が構成されている。この先行加工工程群では、加工の粗さは、バレル加工工程の方が、研削工程よりも粗くなっている。
また、本実施形態では、バレル加工工程は、先行加工工程群において最初に行う先行加工工程となっている。
次に、ステップS124では、被加工体15Bの研削面15cに研磨加工を施すことによりレンズ面1gの面形状を形成する研磨工程を行う。
この研磨工程S124では、研削加工が終了した被加工体15Bを不図示の研磨装置に保持させ、図14(d)に示すように研削面15aを研磨加工してレンズ面1hを形成する。これにより被加工体15Bからレンズ本体1gが形成される。
以上で、研磨工程S124が終了する。
この研磨工程S124では、研削加工が終了した被加工体15Bを不図示の研磨装置に保持させ、図14(d)に示すように研削面15aを研磨加工してレンズ面1hを形成する。これにより被加工体15Bからレンズ本体1gが形成される。
以上で、研磨工程S124が終了する。
次に、ステップS125では、レンズ本体1gを洗浄する洗浄工程を行う。
この洗浄工程S125では、上記第1の実施形態の洗浄工程S6、S13等と同様にして、洗浄装置3内の洗浄液6にレンズ本体1gを浸漬して、一定時間をかけて、超音波洗浄することにより行う。
次に行うステップS126は、上記第1の実施形態のステップS14と同様なコーティング工程である。
以上で、被加工体15から、図13に示すレンズ1Bが製造される。
この洗浄工程S125では、上記第1の実施形態の洗浄工程S6、S13等と同様にして、洗浄装置3内の洗浄液6にレンズ本体1gを浸漬して、一定時間をかけて、超音波洗浄することにより行う。
次に行うステップS126は、上記第1の実施形態のステップS14と同様なコーティング工程である。
以上で、被加工体15から、図13に示すレンズ1Bが製造される。
[実験例4]
ここで、本実施形態の加熱工程S121おける好適な処理温度Tを検討した実験例4について説明する。
実験例4の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表4に示す。
ここで、本実施形態の加熱工程S121おける好適な処理温度Tを検討した実験例4について説明する。
実験例4の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表4に示す。
被加工体15は、ガラス転移点Tg=885(K)(=612(℃))の硝材からなるガラス母材を、各辺が8mmの立方体状に切断して作製した(被加工体形成工程S120)。加熱工程S121における昇温速度V1、降温速度V2は、V1=V2=5(℃/min)、保持時間tは、t=5(h)とした。そして、処理温度Tを、573K、623K、673K、723K、773K、823K、873K、923Kの8通りに変えて加熱処理を行った。そして、これらの被加工体15からレンズ1Bを製造した。ここで、T/Tgは、それぞれ、0.65、0.70、0.76、0.82、0.87、0.93、0.99、1.04である。
このようにして製造されたレンズ1Bの評価は、上記第1の実施形態の実験例1と同様に外観不良率と、その他の不良の評価を総合して行った。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ面1gにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=923(K)の場合のみ、屈折率が変化し光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ面1gにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=923(K)の場合のみ、屈折率が変化し光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
これらの実験結果より、T/Tgが1より大きい場合、屈折率が変化して不合格(×)となった。したがって、T/Tgの範囲は、1以下が好適であることが分かる。
また、外観不良率は、T/Tgが0.7以上で、非常に良好であるが、T/Tg=0.65では外観不良率がやや悪化している。そのため、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下がより好ましいことが分かる。
また、外観不良率は、T/Tgが0.7以上で、非常に良好であるが、T/Tg=0.65では外観不良率がやや悪化している。そのため、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下がより好ましいことが分かる。
本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、加熱工程S121により、被加工体形成工程S120の切り出し等の加工により被加工体15に発生した内部歪みを、すべてのバレル加工工程を行う前に緩和もしくは除去することができる。
したがって、被加工体15の表面15aの微細なクラックがバレル加工工程S122により伸長されるのを抑制することができる。また、表面15aに残存したクラックは、バレル加工工程S122、研削工程S132、および研磨工程S124の各加工取り代の範囲で除去される。これらにより、レンズ面1gに微細なクラックが残存する可能性が格段に低減されるので、カンやワレなどの欠陥の発生を抑制することができる。
したがって、被加工体15の表面15aの微細なクラックがバレル加工工程S122により伸長されるのを抑制することができる。また、表面15aに残存したクラックは、バレル加工工程S122、研削工程S132、および研磨工程S124の各加工取り代の範囲で除去される。これらにより、レンズ面1gに微細なクラックが残存する可能性が格段に低減されるので、カンやワレなどの欠陥の発生を抑制することができる。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図15は、本発明の第5の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
本発明の第5の実施形態に係るガラスレンズ製造方法について説明する。
図15は、本発明の第5の実施形態に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
本実施形態のガラスレンズ製造方法は、図15に示す工程フローのステップS130〜S144を順次行う方法である。ステップS130〜S144は、上記第1の実施形態のガラスレンズ製造方法のステップS1〜S16において、加熱工程S3、S8を削除し、加熱工程S140を、心取り工程S12と洗浄工程S13との間に行うようにした方法である。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS130は、上記第1の実施形態の被加工体形成工程S1と同様の被加工体形成工程S130である。
また、ステップS131〜S139、S141〜S144は、上記第1の実施形態のステップS2、S4〜S7、S9〜S16と同様の工程である。
このため、心取り工程139は、研磨工程S134、S137が行われた後に行われる。また、加熱工程S140は、心取り工程S139の後に行われる。
ここで、心取り工程S139は、研磨工程S133、S137に比べて粗い加工であり、かつ心取り加工S139によって形成されたレンズ側面1dは、後工程でさらに除去加工されることがない。そのため、心取り加工S139によってレンズ側面1dに形成された微細なクラックは、レンズ1のハンドリング、洗浄工程の振動などで伸長される可能性がある。
また、ステップS140は、被加工体10を処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S140の加熱処理の条件は、上記第1の実施形態の加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。
加熱工程S140では、先行する種々の加工工程によってレンズ本体1cの内部に発生した内部歪みを緩和もしくは除去することができる。
また、ステップS131〜S139、S141〜S144は、上記第1の実施形態のステップS2、S4〜S7、S9〜S16と同様の工程である。
このため、心取り工程139は、研磨工程S134、S137が行われた後に行われる。また、加熱工程S140は、心取り工程S139の後に行われる。
ここで、心取り工程S139は、研磨工程S133、S137に比べて粗い加工であり、かつ心取り加工S139によって形成されたレンズ側面1dは、後工程でさらに除去加工されることがない。そのため、心取り加工S139によってレンズ側面1dに形成された微細なクラックは、レンズ1のハンドリング、洗浄工程の振動などで伸長される可能性がある。
また、ステップS140は、被加工体10を処理温度Tで加熱処理する加熱工程である。この加熱工程S140の加熱処理の条件は、上記第1の実施形態の加熱工程S3と同様の条件を採用することができる。
加熱工程S140では、先行する種々の加工工程によってレンズ本体1cの内部に発生した内部歪みを緩和もしくは除去することができる。
ここで、切削工程S131、研削工程S132、研磨工程S133は、第1面形成工程P31を構成しており、切削工程S135、研削工程S136、研磨工程S137は、第2面形成工程P32を構成している。
また、切削工程S131および研削工程S132は1群の先行加工工程群を構成しており、切削工程S135および研削工程S136は、もう1群の先行加工工程群を構成している。
また、切削工程S131および研削工程S132は1群の先行加工工程群を構成しており、切削工程S135および研削工程S136は、もう1群の先行加工工程群を構成している。
[実験例5]
ここで、本実施形態の加熱工程S140における好適な処理温度Tを検討した実験例5について説明する。
実験例5の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表5に示す。
ここで、本実施形態の加熱工程S140における好適な処理温度Tを検討した実験例5について説明する。
実験例5の処理温度Tの条件および評価結果について以下の表5に示す。
被加工体10は、ガラス転移点Tg=958(K)(=685(℃))の硝材からなるガラス母材を切り出して、直径φ6mmの棒状ガラスブロック9を切断することによって作製した(被加工体形成工程S130)。なお、本実験例では、ガラスレンズの形状は、図1(b)に示すような両凹レンズからなるレンズ1Bとした。
加熱工程S140における昇温速度V1、降温速度V2は、V1=V2=5(℃/min)、保持時間tは、t=5(h)とした。そして、処理温度Tを、623K、673K、723K、773K、823K、873K、923K、993Kの8通りに変えて加熱処理を行い、これらの被加工体10からレンズ1Bを製造した。ここで、T/Tgは、それぞれ、0.65、0.70、0.75、0.81、0.86、0.91、0.96、1.04である。
加熱工程S140における昇温速度V1、降温速度V2は、V1=V2=5(℃/min)、保持時間tは、t=5(h)とした。そして、処理温度Tを、623K、673K、723K、773K、823K、873K、923K、993Kの8通りに変えて加熱処理を行い、これらの被加工体10からレンズ1Bを製造した。ここで、T/Tgは、それぞれ、0.65、0.70、0.75、0.81、0.86、0.91、0.96、1.04である。
このようにして製造されたレンズ1Bの評価は、上記第1の実施形態の実験例1と同様に外観不良率と、その他の不良の評価を総合して行った。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ側面1dにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、屈折率の変化とレンズ面の変形とが見られ、光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
本実験例の場合、外観不良としては、主にレンズ側面1dにカンやワレが観察された。
また、その他の不良としては、処理温度Tがガラス転移点Tgを超えたT=993(K)の場合のみ、屈折率の変化とレンズ面の変形とが見られ、光学性能上問題があった。他の処理温度Tでは、このような不良は発生しなかった。
これらの実験結果より、T/Tgが1より大きい場合、屈折率が変化して不合格(×)となった。したがって、T/Tgの範囲は、1以下が好適であることが分かる。
また、外観不良率は、T/Tgが0.7以上で、非常に良好であるが、T/Tg=0.65では外観不良率がやや悪化している。そのため、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下がより好ましいことが分かる。
また、外観不良率は、T/Tgが0.7以上で、非常に良好であるが、T/Tg=0.65では外観不良率がやや悪化している。そのため、T/Tgの範囲は、0.7以上1以下がより好ましいことが分かる。
本実施形態のガラスレンズ製造方法によれば、加熱工程S140により、心取り工程S139の加工によりレンズ側面1dの近傍に発生した内部歪みを緩和もしくは除去することができる。
したがって、心取り工程S139以前の加工によって形成されたレンズ側面1dの微細なクラックがハンドリングや洗浄工程の振動などの外力によって伸長されるのを抑制することができる。このため、カンやワレなどの欠陥の発生を抑制することができる。
したがって、心取り工程S139以前の加工によって形成されたレンズ側面1dの微細なクラックがハンドリングや洗浄工程の振動などの外力によって伸長されるのを抑制することができる。このため、カンやワレなどの欠陥の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の変形例(第4変形例)について説明する。
図16は、本発明の第5の実施形態の変形例(第4変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
図16は、本発明の第5の実施形態の変形例(第4変形例)に係るガラスレンズ製造方法の工程フローを示すフローチャートである。
上記第5の実施形態では、第1面形成工程P31を行ってレンズ1Aの第1面であるレンズ面1eを形成してから、第2面形成工程P32を行ってレンズ1Aの第2面であるレンズ面1fを形成したが、本変形例は、第1面の研削工程、研磨工程を行う前に、被加工体10に対する2面の切削工程を完了させるようにしたものである。このため、図16に示す工程フローのステップS150〜S164を順次行うことにより、レンズ1Aを製造する。
以下、上記第1および第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
以下、上記第1および第5の実施形態と異なる点を中心に説明する。
ステップS150は、上記第5の実施形態のステップS130と同様な被加工体形成工程である。
ステップS151〜S159は、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)のステップS21〜S30において、ステップS23の加熱工程S23を削除した点のみが異なる。
ステップS160〜S164は、上記第5の実施形態のステップS140〜S144と同様の工程である。
本変形例によれば、上記第5の実施形態と同様にレンズ1Aを製造することができる。
ステップS151〜S159は、上記第1の実施形態の変形例(第1変形例)のステップS21〜S30において、ステップS23の加熱工程S23を削除した点のみが異なる。
ステップS160〜S164は、上記第5の実施形態のステップS140〜S144と同様の工程である。
本変形例によれば、上記第5の実施形態と同様にレンズ1Aを製造することができる。
なお、上記の説明では、心取り工程をガラスレンズの第1面および第2面を形成した後に行う場合の例で説明したが、必要に応じて適宜のタイミングで行うことができる。また、ガラスレンズの保持形態によってレンズ側面1dが保持面になっていない場合等には、心取り工程を行わなくてもよい。
また、上記の第1、および第5の実施形態の説明では、被加工体作成工程は、被加工体をガラス母材から切り出して形成する場合の例で説明したが、これらの実施形態では、被加工体形成工程は、例えば、モールド成形によって、被加工体10に相当するプリフォーム形状を形成するようにしてもよい。
また、上記の各実施形態、各変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせて実施することができる。
すなわち、加熱工程は、上記のタイミング以外のタイミングで行ってもよい。
すなわち、加熱工程は、上記のタイミング以外のタイミングで行ってもよい。
1、1A、1B レンズ
1a、1b、1e、1f、1h レンズ面
1c、1g レンズ本体
1d レンズ側面
2a、2b 光学薄膜
3 加熱装置
4、16 レンズホルダー
5 洗浄槽
6 洗浄液
7 超音波振動子
8 ガラスブロック
9 棒状ガラスブロック
10 被加工体
10d 円筒外周面
11A、11B、12A、12B、13A、13B、15、15A、15B 被加工体
11a、11b 切削面
12a、12b、15c 研削面
15a 表面
15b バレル加工面
S1、S20、S40、S60、S82、S102、S120、130、S150 被加工体形成工程
S2、S7、S21、S22、S42、S46、S62、S63、S83、S87、S103、S104、S131、S135、S151、S152 切削工程
S3、S8、S23、S41、S61、S81、S101、S121、S140 加熱工程
S4、S9、S24、S27、S43、S47、S64、S67、S84、S88、S105、S108、S123、S132、S136、S153、S156 研削工程
S5、S10、S25、S28、S44、S48、S65、S68、S85、S89、S106、S109、S124、S133、S137、S154、S157 研磨工程
S6、S11、S13、S15、S29、S31、S33、S45、S49、S53、S66、S69、S71、S73、S86、S90、S92、S107、S110、S112、S114、S125、S134、S138、S141、S143、S155、S158、S161、S163 洗浄工程
S12、S30、S50、S70、S91、S111、S139、S159 心取り工程
S14、S16、S32、S34、S52、S54、S72、S74、S93、S95、S113、S115、S126、S142、S144、S162、S164 コーティング工程
S80、S100 中間被加工体形成工程
S122 バレル加工工程
T 処理温度
t 保持時間
Tg ガラス転移点
V1 昇温速度
V2 降温速度
1a、1b、1e、1f、1h レンズ面
1c、1g レンズ本体
1d レンズ側面
2a、2b 光学薄膜
3 加熱装置
4、16 レンズホルダー
5 洗浄槽
6 洗浄液
7 超音波振動子
8 ガラスブロック
9 棒状ガラスブロック
10 被加工体
10d 円筒外周面
11A、11B、12A、12B、13A、13B、15、15A、15B 被加工体
11a、11b 切削面
12a、12b、15c 研削面
15a 表面
15b バレル加工面
S1、S20、S40、S60、S82、S102、S120、130、S150 被加工体形成工程
S2、S7、S21、S22、S42、S46、S62、S63、S83、S87、S103、S104、S131、S135、S151、S152 切削工程
S3、S8、S23、S41、S61、S81、S101、S121、S140 加熱工程
S4、S9、S24、S27、S43、S47、S64、S67、S84、S88、S105、S108、S123、S132、S136、S153、S156 研削工程
S5、S10、S25、S28、S44、S48、S65、S68、S85、S89、S106、S109、S124、S133、S137、S154、S157 研磨工程
S6、S11、S13、S15、S29、S31、S33、S45、S49、S53、S66、S69、S71、S73、S86、S90、S92、S107、S110、S112、S114、S125、S134、S138、S141、S143、S155、S158、S161、S163 洗浄工程
S12、S30、S50、S70、S91、S111、S139、S159 心取り工程
S14、S16、S32、S34、S52、S54、S72、S74、S93、S95、S113、S115、S126、S142、S144、S162、S164 コーティング工程
S80、S100 中間被加工体形成工程
S122 バレル加工工程
T 処理温度
t 保持時間
Tg ガラス転移点
V1 昇温速度
V2 降温速度
Claims (6)
- ガラス製の被加工体に研磨加工を施すことによりレンズ面の面形状を形成する研磨工程を有するガラスレンズ製造方法であって、
前記研磨工程を行う前に、該研磨工程よりも相対的に粗い加工を施して前記被加工体を段階的に加工し、且つ前記研磨工程のための被研磨面を形成する複数の先行加工工程からなる先行加工工程群を1群以上行う加工工程と、
前記被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程と、を備え、
前記加熱工程は、
前記加工工程で最後に行われる先行加工工程よりも前に行われることを特徴とする、ガラスレンズ製造方法。 - 請求項1に記載のガラスレンズ製造方法において、
前記先行加工工程群は、
前記被加工体の表面を切削加工する切削工程と、
該切削工程で切削された被加工体の表面を研削加工する研削工程と、を含み、
前記加熱工程は、
前記切削工程と前記研削工程との間に行われることを特徴とする、ガラスレンズ製造方法。 - 請求項1に記載のガラスレンズ製造方法において、
前記加工工程によって加工するための被加工体を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程を備え、
前記加熱工程は、
前記被加工体形成工程と、前記加工工程のうちの最初に行われる先行加工工程との間に行われること特徴とする、ガラスレンズ製造方法。 - 請求項1に記載のガラスレンズ製造方法において、
ブロック状のガラス母材から棒状の中間被加工体を切り出して形成する中間被加工体形成工程と、
前記中間被加工体を切断して、前記加工工程によって加工するための被加工体を形成する被加工体形成工程と、備え、
前記加熱工程は、
前記中間被加工体形成工程と、前記被加工体形成工程との間に行われること特徴とする、ガラスレンズ製造方法。 - 請求項1に記載のガラスレンズ製造方法において、
前記加工工程によって加工するための被加工体を、ブロック状のガラス母材から切り出して形成する被加工体形成工程を備え、
前記加工工程は、
前記被加工体形成工程で形成された被加工体を、バレル加工で丸めるバレル加工工程と、
バレル加工された被加工体を研削する研削工程と、を含む1群の先行加工工程群からなり、
前記加熱工程は、
前記被加工体形成工程と前記バレル加工工程との間に行われることを特徴とする、ガラスレンズ製造方法。 - ガラス製の被加工体に研磨加工を施すことによりレンズ面の面形状を形成する1又は複数の研磨工程を有するガラスレンズ製造方法であって、
前記研磨工程をすべて行った後に、レンズの心取りを行う心取り工程と、
前記被加工体をそのガラス転移点Tg(K)の0.7倍以上、1倍以下の温度で加熱処理する加熱工程と、を備え、
前記加熱工程は、
前記心取り工程の後に行われることを特徴とする、ガラスレンズ製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009185112A JP2011037657A (ja) | 2009-08-07 | 2009-08-07 | ガラスレンズ製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016145148A (ja) * | 2013-02-25 | 2016-08-12 | Hoya株式会社 | 研磨用ガラスレンズブランク、その製造方法および光学レンズの製造方法 |
KR20160123327A (ko) * | 2014-02-14 | 2016-10-25 | 제온 코포레이션 | 중합성 화합물, 중합성 조성물, 고분자, 및 광학 이방체 |
-
2009
- 2009-08-07 JP JP2009185112A patent/JP2011037657A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
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KR102393259B1 (ko) | 2014-02-14 | 2022-04-29 | 제온 코포레이션 | 중합성 화합물, 중합성 조성물, 고분자, 및 광학 이방체 |
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