JP2011036757A - 粉塵用フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】
少ない圧力損失と高い粉塵捕集効率を維持しながら、十分に高い粉塵捕集量を有する粉塵用フィルタを提供する。
【解決手段】
布帛の片面に補強ネットを熱接着させたシートと前記シートの補強ネット面に積層された布帛とからなる構造を有するフィルタ材をプリーツ加工して得られる粉塵用フィルタであって、前記補強ネットと前記補強ネット面に積層された布帛との間、及び前記補強ネットを熱接着させた布帛と前記補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着していないこと、及び前記補強ネットの空気流入部の開口面積率が50〜99%であることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、コピー機、プリンター、コンピュータ、プロジェクター等の電子機器用フィルタ、車載用フィルタ、空気清浄機等の家庭電化製品用フィルタ等に好適に使用される粉塵用フィルタに関する。
コピー機、プリンター、コンピュータ、プロジェクター等の電子機器は、近年集積化、小型化が進み、機器内部に熱がこもりやすくなってきている。それを避けるために、ファン等により、機器外部より冷却空気を吸気し、機器内部の高温の空気を排出している。冷却空気を吸気する際に、粉塵が電子機器内部に侵入すると、故障の原因になるため、吸気箇所に粉塵除去目的でフィルタが搭載されている。このフィルタは、冷却空気を吸気する箇所に搭載されるため、低い圧力損失、高い粉塵捕集効率、および高い粉塵捕集量が求められる。
従来、有機繊維または無機繊維で構成される布帛を2層以上有する積層フィルタ材が用いられており、前記積層フィルタ材は層間を接着した後に、プリーツ化されている。接着方法としては、接着剤等を塗布した後に熱処理により積層接着する方法、または熱エンボスや超音波ウエルダー等によりフィルタ材を溶融することにより積層接着する方法等が挙げられる。しかし、接着剤等の塗布部分、熱エンボス等で溶融した部分は通気性がなく、有効な濾過面積を低下させるという問題があった。
かかる問題を解決するために、有機繊維不織布とガラス繊維不織布を少なくとも2層以上積層してなる積層フィルタ材であって、有機繊維不織布とガラス繊維不織布の層間が実質的に接着されていない積層フィルタ材が提案されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、このフィルタ材は、有機繊維不織布とガラス繊維不織布が補強材を挟持していないため、布帛層間の間隙が十分でなく、結果として、十分に高い粉塵捕集量が得られないという問題があった。
特開2000−225308公報
本発明は、かかる従来技術の問題を解決するために創案されたものであり、少ない圧力損失と高い粉塵捕集効率を維持しながら、十分に高い粉塵捕集量を有する粉塵用フィルタを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、粉塵用フィルタを構成する2つの布帛間に特定の補強ネットを挟み込み、布帛間に十分な距離を持たせながら布帛間を接着させないことにより、有効濾過面積を低下させずに粉塵捕集量を高くできることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の(1)〜(4)の通りである。
(1)布帛の片面に補強ネットを熱接着させたシートと前記シートの補強ネット面に積層された布帛とからなる構造を有するフィルタ材をプリーツ加工して得られる粉塵用フィルタであって、前記補強ネットと前記補強ネット面に積層された布帛との間、及び前記補強ネットを熱接着させた布帛と前記補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着していないこと、及び前記補強ネットの空気流入部の開口面積率が50〜99%であることを特徴とする粉塵用フィルタ。
(2)前記補強ネットの厚みが0.1〜2mmであることを特徴とする(1)に記載の粉塵用フィルタ。
(3)前記布帛がポリプロピレン製不織布を含むことを特徴とする(1)または(2)に記載の粉塵用フィルタ。
(4)前記布帛がエレクトレット不織布を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の粉塵用フィルタ。
本発明の粉塵用フィルタは、特定の開口面積率の補強ネットを熱接着させた布帛の補強ネット面に別の布帛を積層しているので、フィルタに剛性を与えながら、有効濾過面積を低下させずに低い圧力損失と高い粉塵捕集効率を維持することができる。また、本発明の粉塵用フィルタは、布帛間を接着させずに十分な距離を持たせるように補強ネットを介在させているので、粉塵捕集量が極めて高い。
以下、本発明の粉塵用フィルタを詳細に説明する。
本発明の粉塵用フィルタは、布帛の片面に特定の開口面積率の補強ネットを熱接着させたシートと前記シートの補強ネット面に積層された布帛とからなる構造を有するフィルタ材をプリーツ加工して得られるものであり、前記補強ネットと前記補強ネット面に積層された布帛との間、及び前記補強ネットを熱接着させた布帛と前記補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着されていないことを特徴とする。
本発明の粉塵用フィルタに使用される布帛は、フィルタの役割をするものであり、例えば不織布、織布、編布等を使用することができる。コスト面からは、不織布を使用することが好ましい。布帛の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の一般的な高分子材料を使用することができるが、コスト、強度、エレクトレット化の面からは、ポリプロピレン不織布を使用することが好ましい。
布帛の目付けは5〜100g/mであることが好ましい。特に好ましくは10〜50g/mである。目付けが上記範囲未満では、布帛の強度が弱くなりプリーツ加工時に破れ等の問題が生じうる。また、上記範囲を越えると、プリーツ加工時の加工性が悪くなるという問題が生じうる。
布帛の厚みは0.01〜2mmであることが好ましい。特に好ましくは0.03〜1mmである。厚さが上記範囲未満では、同様に、布帛の強度が弱くなりプリーツ加工時に破れ等の問題が生じうる。また、上記範囲を越えると、プリーツ加工時の加工性が悪くなるという問題が生じうる。ここで厚みとは、布帛に7g/cmの荷重をかけた時の厚みのことである。
布帛を構成する繊維の平均繊維直径は1〜300μmであることが好ましい。より好ましくは10〜100μmである。平均繊維直径が上記範囲未満では、同様に、繊維の強度が弱くなりプリーツ加工時に破れ等の問題が生じうる。また、上記範囲を越えると、プリーツ加工時の加工性が悪くなるという問題が生じうる。
布帛は、気体中の粉塵を効率良く捕集できるエレクトレット加工を施されたエレクトレット布帛であることが好ましい。コスト面からは、エレクトレット不織布を使用することが好ましい。
本発明の粉塵用フィルタでは、補強ネットを熱接着させる布帛と、補強ネット面に積層される布帛は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明の粉塵用フィルタに使用される補強ネットは、布帛に剛性を付与し、形状保持性、プリーツ加工性を向上させるとともに、布帛間に間隙を作って粉塵捕集量を増大させるためのものであり、例えば合成繊維、無機繊維、金属繊維を使用することができる。熱接着性、プリーツ加工性の面からは、合成繊維を使用することが好ましい。
補強ネットは、熱接着される布帛からの空気流入部の開口面積率が50〜99%であることが必要である。好ましくは70〜97%である。開口面積率が上記範囲未満では、有効濾過面積が減少し、圧力損失が高くなる問題が生じうる。また、上記範囲を越えると、フィルタに十分な剛性を付与できず、形状保持性に問題が生じうる。
補強ネットの厚みは0.1〜2mmであることが好ましい。より好ましくは0.2〜1mmである。厚みが上記範囲未満では、布帛間の間隔が小さくなり、十分に高い粉塵捕集量が得られない問題が生じうる。また、上記範囲を越えると、プリーツ加工時の加工性が悪くなる問題が生じうる。ここで厚みとは、補強ネットに7g/cmの荷重をかけた時の厚みのことである。
補強ネットの目付けは、10〜100g/mであることが好ましい。特に好ましくは20〜50g/mである。目付けが上記範囲未満では、布帛間の間隙が小さくなり、十分に高い粉塵捕集量が得られない問題が生じうる。また、上記範囲を越えると、プリーツ加工時の加工性が悪くなるという問題が生じうる。
補強ネットは、布帛に熱接着されるが、それ自身で熱接着するように、熱接着性合成樹脂からなることが好ましい。この場合、加工性の面から、できるだけ低融点の材質が好ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、またはそれらの共重合体が好ましく使用される。補強ネットがそれ自身熱接着性を有しない場合は、熱接着性接着剤で布帛に接着される。
本発明の粉塵用フィルタの最大の特徴は、補強ネットと補強ネット面に積層された布帛との間、及び補強ネットを熱接着させた布帛と補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着されていないことにある。ここで、実質的に接着されていないとは、フィルタの周囲部分を除く部分、即ち空気流入部において接着していないことを意味する。
本発明の粉塵用フィルタにおいて、補強ネットと補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着されていないようにしたのは、フィルタ材をプリーツ加工したときにプリーツの頂部または谷部付近の布帛間に間隙を生じさせるためであり、補強ネットを熱接着させた布帛と補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着されていないようにしたのは、空気流入部の布帛間で十分な間隙を生じさせるためである。これらの間隙により粉塵捕集量を従来より格段に増大させることができる。
本発明の粉塵用フィルタに使用するフィルタ材は、上述の布帛の片面に補強ネットを熱接着させたシートと前記シートの補強ネット面に積層された布帛とからなる構造を有するが、この構造に加えてさらに目的に応じて布帛や補強ネット等の他の構造を積層してもよい。
本発明の粉塵用フィルタは、上述の構成のフィルタ材をプリーツ加工することによって得られ、これを枠体に保持することによりフィルタユニットとして使用されることができる。プリーツ加工は、例えばレシプロ方式やロータリ方式等の一般的なひだ折り機で行なうことができ、これにより同じ通風開口部でも濾過面積を大幅に増大することができる。
以下、実施例によって本発明の効果の顕著性をより具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定するものではない。なお、実施例中の特性値は以下の方法で測定した。
[開口面積率]
100×100mmサイズの補強ネットに対して、垂直な方向から光を当て投影面積[m]を測定した。元の面積(100×100mm、0.01m)から投影面積を差し引いたものを元の面積(100×100mm、0.01m)で割り、開口面積率[%]を算出した。
[圧力損失、粉塵捕集効率、粉塵捕集量]
150×150mmサイズのフィルタサンプルに、風速0.5m/sで、粉塵濃度0.5g/mのJIS15種粉塵を負荷し、粉塵負荷前の圧力損失[mmAq]を測定し、そこから圧力損失が50mmAq増加した時点で、粉塵の負荷を停止する。粉塵負荷停止時の粉塵捕集量[g]および粉塵供給量[g]を測定し、粉塵捕集量を粉塵供給量で割ることにより、粉塵捕集効率[%]を算出した。
[平均繊維直径]
走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−3500)を使用して、布帛を構成する繊維の直径を100点測定し、それを相加平均して、布帛の平均繊維直径を求めた。
(実施例1)
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け15g/m、厚み0.30mm、平均繊維直径30μm)と、ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け25g/m、厚み0.35mm、平均繊維直径20μm)にポリプロピレン製熱接着ネット(目付け30g/m、厚み0.5mm、空気流入部の開口面積率83%)を熱接着させたものとを用意し、これらを熱接着性ネットが2つのスパンボンド不織布に挟持されるように積層し、レシプロ方式のひだ折り機を使用して、山高さ20mm、ピッチ4mmで共プリーツ加工を行い、150×150mmサイズのフィルタサンプルを作成した。
(実施例2)
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け15g/m、厚み0.30mm、平均繊維直径30μm)と、ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け15g/m、厚み0.30mm、平均繊維直径20μm)にポリプロピレン製熱接着ネット(目付け30g/m、厚み0.5mm、空気流入部の開口面積率83%)を熱接着させたものとを用意し、これらを熱接着性ネットが2つのスパンボンド不織布に挟持されるように積層し、レシプロ方式のひだ折り機を使用して、山高さ20mm、ピッチ4mmで共プリーツ加工を行い、150×150mmサイズのフィルタサンプルを作成した。
(実施例3)
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け5g/m、厚み、0.15mm、平均繊維直径30μm)とポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け10g/m、厚み0.20mm、平均繊維直径30μm)を積層した積層体と、ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け25g/m、厚み0.35mm、平均繊維直径20μm)にポリプロピレン製熱接着ネット(目付け30g/m、厚み0.5mm、空気流入部の開口面積率83%)を熱接着させたものとを用意し、これらを熱接着性ネットが前記積層体の厚い方の不織布と単一層のスパンボンド不織布に挟持されるように積層し、レシプロ方式のひだ折り機を使用して、山高さ20mm、ピッチ4mmで共プリーツ加工を行い、150×150mmサイズのフィルタサンプルを作成した。
(実施例4)
実施例1で使用したポリプロピレン製熱接着ネットの開口面積率を96%に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルタサンプルを作成した。
(実施例5)
実施例1で使用したポリプロピレン製熱接着ネットの開口面積率を71%に変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルタサンプルを作成した。
(実施例6)
実施例1で使用したポリプロピレン製熱接着ネットの目付け、厚みをそれぞれ20g/m,0.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルタサンプルを作成した。
(実施例7)
実施例1で使用したポリプロピレン製熱接着ネットの目付け、厚みをそれぞれ50g/m,1mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてフィルタサンプルを作成した。
(比較例1)
ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け15g/m、厚み0.30mm、平均繊維直径30μm)、ポリプロピレン製熱接着ネット(目付け30g/m、厚み0.5mm、空気流入部の開口面積率83%)、ポリプロピレン製スパンボンド不織布(目付け25g/m、厚み0.35mm、平均繊維直径20μm)を用意し、これらを熱接着ネットが2つのスパンボンド不織布に挟持されるように熱接着し、レシプロ方式のひだ折り機を使用して、山高さ20mm、ピッチ4mmで共プリーツ加工を行い、150×150mmサイズのフィルタサンプルを作成した。
実施例1〜7、比較例1で得られたフィルタサンプルについて、平均繊維直径が30μmのスパンボンド不織布側を上流とし、粉塵負荷前の圧力損失、粉塵捕集効率、粉塵捕集量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2011036757
表1の結果から明らかなように、実施例1〜7及び比較例1はいずれも低圧力損失で粉塵捕集効率が高い。しかし、粉塵捕集量に関しては、実施例1〜7は比較例1と比べてかなり多い。
本発明の粉塵用フィルタは、低圧力損失で高い粉塵捕集効率を維持しながら、十分に高い粉塵捕集量を有するので、コピー機、プリンター、コンピュータ、プロジェクター等の電子機器用フィルタ、車載用フィルタ、空気清浄機等の家庭電化製品用フィルタ等に好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 布帛の片面に補強ネットを熱接着させたシートと前記シートの補強ネット面に積層された布帛とからなる構造を有するフィルタ材をプリーツ加工して得られる粉塵用フィルタであって、前記補強ネットと前記補強ネット面に積層された布帛との間、及び前記補強ネットを熱接着させた布帛と前記補強ネット面に積層された布帛との間が実質的に接着していないこと、及び前記補強ネットの空気流入部の開口面積率が50〜99%であることを特徴とする粉塵用フィルタ。
  2. 前記補強ネットの厚みが0.1〜2mmであることを特徴とする請求項1に記載の粉塵用フィルタ。
  3. 前記布帛がポリプロピレン製不織布を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の粉塵用フィルタ。
  4. 前記布帛がエレクトレット不織布を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の粉塵用フィルタ。
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