JP2011036242A - miRNA発現プロファイリングに基づく尿路上皮癌の検出方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】特異度及び感度に優れた、非侵襲的な尿路上皮癌の検出方法等を提供する。
【解決手段】尿検体中の細胞中のmiR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動を測定することから成る、尿路上皮癌の検出方法、該検出方法と尿細胞検査とを組み合わせることを特徴とする、尿路上皮癌の検出方法、細胞中のmiR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動に基づく、尿路上皮癌の治療又は予防に有効な物質のスクリーニング方法、及び、これら方法に用いるキット。
【選択図】図1

Description

本発明は、尿検体中のmiRNAの発現量の変動を測定することから成る、尿路上皮癌の検出方法等に関する。
成熟型マイクロRNA(miRNA)とは19〜21塩基のnon-coding RNA分子であり、70〜100塩基ほどのヘアピン構造をとる前駆体マイクロRNA(pre-miRNA)から成る。2007年3月時点で、500種類のヒトmiRNAがゲノム中に存在することが報告されている(miRBase::Sequences, Sanger Institute)。
miRNAの機能は、遺伝子の非翻訳領域の配列依存的に作用し、遺伝子発現を翻訳後あるいは転写レベルで制御していることから、発生、分化およびアポトーシスに関与していることが示唆されるが、その機能は依然不明である。近年、miRNAの間違った遺伝子制御機構がヒト疾患に関与していることが報告されている。特に最近、ヒト癌細胞において発現が変動しているmiRNAの報告が相次いでなされている (非特許分献1)。
本発明者は、既にこのようなmiRNAの発現量の変動を測定することから成る膀胱癌の検出方法等を確立した(特許文献1)。
特開2009−100687号公報
Calin GA and Croce CM (2006) MicroRNA signatures in human cancers, Nature Reviews, 6, 857-866
これまで尿路上皮癌は侵襲的な内視鏡検査および生検にて診断されてきた。また、上部尿路(腎盂・尿管)の癌は内視鏡的アプローチが困難なため特に診断が難渋する場合が多い。非侵襲的検査として尿細胞検査が有用とされているが、特異度(90-95%)が高いが感度は低い(20-30%)ため、検査が陰性であっても癌の存在を否定できないという弱点がある。尿中NMP-22やBTAなどの新しいマーカーは感度・特異度共に50%ぐらいであり、補助的診断に過ぎず殆ど普及はしていない。このような理由から、尿路上皮癌の新規の診断・検出用マーカー・キットを開発することは急務である。
今回、本発明者は、2種類のmiRNAが尿路上皮癌患者の尿中で健常人と比較して有意に発現変動していることを初めて見出した。これらmiRNAは尿路上皮癌の癌化プロセスに重要な役割を担っていると考えられる。本発明者はこのような知見に基づき本発明を完成した。
即ち、本発明は、主に以下の各態様を含むものである。
[1]尿検体中の細胞中のmiR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動を測定する方法、及び、該測定方法から成る尿路上皮癌の検出方法。
[2]細胞中のmiR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動に基づく、尿路上皮癌の治療又は予防に有効な物質のスクリーニング方法。
[3]本発明方法に用いるキット。
[4]上記検出方法と尿細胞検査とを組み合わせることを特徴とする、尿路上皮癌の検出方法。
本発明において、尿検体中の特定のmiRNA の発現量の変動を測定することによって、尿路上皮癌の非侵襲的検出が可能となり、更に、これらmiRNA の発現量の変動に基づき、尿路上皮癌の治療又は予防に有効な物質をスクリーニングすることが可能となった。
本発明で使用するmiRNAは小さい(22塩基対)ために、酵素や酸による変性が少なく検体採取から24時間後でも安定した検出が可能である。又、これらmiRNAは尿検体中の細胞成分のみでなく可溶性分画にも存在するので、本発明方法は従来の尿細胞検査と較べて高い特異度に加えて高い感度を有しており、尿細胞検査で陰性の検体でも検出し得る。
更に、リアルタイムPCRを応用した場合には、検出にかかる時間は約3時間以下と迅速かつ信頼性に優れた検出系が可能となる。
又、上記検出方法と尿細胞検査とを組み合わせることによって、高い検出率で非侵襲的な尿路上皮癌の判定が可能である。
尿検体におけるmiRNAの検出の結果を示す。 ROC曲線分析の結果を示す。 尿検体におけるmiRNAの検出の結果を示す。 尿路上皮癌の悪性度(G1, G2, G3)とmiR-96とmiR-183の発現量との関連を示す。 ROC曲線分析の結果を示す。 尿細胞検査と本発明によるmiRNA検出との検出感度の比較を示す。
本発明の方法において測定されるmiR-96及びmiR-183に関する情報(例えば、塩基配列等)は、既に記載したデータベース(miRBase::Sequences, Sanger Institute)から容易に入手可能である。
本願明細書の実施例で示されるように、尿検体中の上記miRNAの発現量が正常細胞と比較して尿路上皮癌細胞において有意に亢進していることが判明した。従って、より具体的には、上記miRNAの少なくとも一つのmiRNAの尿検体中の発現量の亢進(増加)を測定する方法を用いることによって、尿路上皮癌を検出することが可能である。ここで、miRNAの発現量が有意に亢進しているとは、例えば、本願明細書の実施例2におけるROC曲線分析におけるカットオフ値に基づき判定した場合に、尿路上皮癌の細胞におけるmiRNAの発現量が正常組織由来の細胞に比べて、約10倍以上、好ましくは約20倍以上、更に好ましくは約30倍以上であり、これを(判定)基準として尿路上皮癌であるか否かを検出することができる。
従って、上記miRNAの少なくとも一つの発現量の亢進に基づき、尿路上皮癌の治療又は予防に有効な物質をスクリーニングすることができる。より具体的には、以下の工程:
(a) 被検物質の存在下に細胞を培養する工程、
(b)該細胞における各miRNAの発現量を測定する工程、及び
(c)発現量の亢進を抑制するか又は発現量を減少させる物質を選択する工程、を含む方法でスクリーニングすることができる。
このようなスクリーニング方法において、例えば、尿路上皮癌由来の細胞中を使用した場合には、尿路上皮癌の治療に有効な物質をスクリーニングすることが可能である。一方、癌化が促進されるような状況下(例えば、公知の発癌物質の共存下、放射線の照射等)におかれた正常組織由来の細胞を使用した場合には、被検物質は尿路上皮癌の予防に有効な物質をスクリーニングすることが可能である。
本発明の検出方法及びスクリーニング方法において、miRNAの発現量は当業者に公知の任煮の方法で測定することが出来る。例えば、上記の各miRNAに特異的にハイブリダイズするプライマー又はプローブを用いてmiRNAの発現量を測定することが出来る。このようなプライマー又はプローブは、当業者であれば、上記のデータベースの情報等を参考にして、これらのmiRNAの塩基配列に基づき適宜設計することが可能である。尚、尿検体からのmiRNAの抽出及び調製も当業者に公知の任意の方法で行うことが出来る。
このようなプライマー又はプローブを用いる測定方法としては、Northern blot法が古典的方法である。最近では、miRNAを搭載したマイクロアレイ(Liu CG et al, (2004)An oligonucleotide microchip for genome-wide microRNA profiling in human and mouse tissues, PNAS, U S A, 101, 9740-9744; Lim LP et al, (2005) Microarray analysis shows that some microRNAs downregulate large numbers of target mRNAs, Nature, 433, 769-773)、改良型インベーダー法(Allawi HT et al, (2004) Quantitation of microRNAs using a modified Invader assay, Rna., 10, 153-1161)、ビーズを基にしたフローサイトメータ法(Lu J et al, (2005) MicroRNA expression profiles classify human cancers, Nature, 435, 834-838)などが報告されている。また、最も定量性のある方法としてreal-time PCRがある(Chen C et al, (2005) Real-time quantification of microRNAs by stem-loop RT-PCR, Nucleic Acids Res, 33, e179)。
上記のプライマー又はプローブの塩基配列は、鋳型との特異的な結合が可能となるような適当な塩基数、例えば、数十bp、10〜30bp程度を有することが好ましく、更には、プライマー内でヘアピン構造をとったり、センス鎖とアンチセンス鎖とが互いにアニーリングしないような塩基配列とすることも重要である。例えば、OligoTM(National Bioscience Inc.製)のような市販のプライマー設計用のソフトウェアを使用することも可能である。
本発明の検出方法又はスクリーニング方法に使用されるキットは、測定対象又は測定原理等に応じて、適当な構成をとることが出来る。該キットは、その構成要素として、例えば、上記のmRNA(cDNA)の増幅用プライマー及びDNAチップ等で使用するハイブリダイゼーション用のプローブを含むことが出来る。更に、上記キットには、その構成・使用目的などに応じて、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、反応プレート(容器)等が含まれる。尚、PCR反応後の検出を容易にするために、これらプライマーの少なくともいずれかの末端に、当業者に公知の任意の蛍光物質等の標識物質が結合していることが好ましい。例えば、適当な蛍光物質として、6−カルボキシフルオレッセイン(FAM)、4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロー6−カルボキシフルオレッセイン(HEX)、NED(アプライドシステムズジャパン社)及び6−カルボキシ−X−ローダミン(Rox)等を挙げることが出来る。
更に、以下の実施例に示すように、上記検出方法と尿細胞検査とを組み合わせる(併用する)ことによって、高い検出率で非侵襲的な尿路上皮癌の判定が可能となる。尿細胞検査は、例えば、「細胞診標本作成マニュアル(泌尿器)」(細胞検査士会(編)2004年発行等に記載されている、当業者に公知の方法・手段で行うことが出来る。例えば、約50cc以上の採尿をして、遠心分離にて尿沈渣をとりパパニコロウ染色をして顕微鏡で観察し、核の異型度から癌の判定をする。通常5段階法でclass I, IIを陰性、class IIIを擬陽性、class IV, Vを陽性と判定する。従って、本発明は、尿検体中のmiR-96の発現量の変動を測定することから成る尿路上皮癌の検出方法と尿細胞検査とを組み合わせることを特徴とする、尿路上皮癌の検出方法にも係るものである。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。当業者であれば、本明細書の記載に基づき、本発明の技術的範囲を逸脱せずに、多くの変形及び修飾を実施することが可能である。又、特に記載のない場合には、以下の実施例は、例えば、Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている、当業者に公知の標準的な遺伝子工学及び分子生物学的技術に従い実施することが出来る。尚、本明細書中に引用された文献の記載内容は本明細書の開示、及び、内容の一部を構成するものである。
(方法)
miRNA特異的逆転写反応および定量PCR
膀胱癌患者臨床検体19検体(癌部14検体、非癌部5検体)及び膀胱癌由来細胞株3種(BOY、KK47、T24)よりtotal RNAをtrizol(Gibco BRL, Life Technologies, Gaitherburg, MD, USA)用いて抽出した。cDNAは得られたtotal RNAからmiRNA特異的なプライマー(TaqMan microRNA Assay Protocol, PE, Applied Biosystems, Foster City, CA, UAS)を用いて合成した。逆転写反応は以下のとおり行った。10nM RNA samples, 50nM stem-loop RT primer, 1 x RT buffer, 0.25mM each of dNTPs, 3.33 U/μl MultiScribe reverse transcriptase 及び 0.25 U/μl RNase Inhubitor。また、これら7.5μlの反応液を以下のプロトコールでインキュベートした。16℃・30分、42℃・30分、85℃・5分、反応後4℃で保存した。定量PCRは、ABI 7300 Seqence Detection Systemを用いて以下の反応系で行った。95℃・10分インキュベートした後、95℃・15秒、60度・10分の反応を40回行った。
miRNA1156種類の定量化と膀胱癌で発現変動するmiRNAの選び出し
膀胱癌患者臨床検体19例(癌部14検体および非癌部5検体)及び膀胱癌由来細胞株3種について、既に記載したデータベース(miRBase::Sequences, Sanger Institute)から選んだ156種類のmiRNA及びコントロール遺伝子の解析を行った。解析結果について、マイクロアレイで用いられているglobal median normalization法を用いてデータの標準化を行った。この解析データから、癌部および非癌部で優位に(P<0.01)発現差のある遺伝子を選択した。その結果、27種類のmiRNAが癌部で有意に発現変動していることが判明した(8種類のmiRNAは癌部で発現亢進、19種類のmiRNAは癌部で発現低下)。以下の表1及び表2にそのリストを示す。
更に、膀胱癌で有意(P<0.01)に発現変動している27種類のmiRNAを用いてクラスター解析した結果、正常移行上皮5検体および癌細胞株3種類は同一のクラスターに帰属した。また、癌部14検体は、11検体と3検体の2つのクラスターに分かれたが、正常部のクラスターとは異なっていることが判明した。
癌部で発現は亢進しているmiRNAは、癌遺伝子としての機能を有していると考えられる。すなわち、miRNAが過剰に発現することにより、ターゲットとなる遺伝子をより制御してloss of functionを引き起こしている可能性が高い。上記の解析では8種類のmiRNAが癌部で発現上昇が認められた。この中で、miR-96およびmiR-183は大腸癌においても発現が亢進することが報告されている(Bandres E et al, (2006) Identification by Real-time PCR of 13 mature microRNAs differentially expressed in colorectal cancer and non-tumoral tissues, Molecular Cancer, 5, 29.)。この2つのmiRNAは染色体7q32.2にクラスターを形成していることが知られている。
尿検体におけるmiRNAの検出(1)
上記リストの中で膀胱癌で発現が上昇している上位3つのmiRNA(miR-96, miR-190, miR-183)について 尿中での検出が可能かどうかを検討した。尿路上皮癌(UC)患者30名、尿路感染症(UTI)患者15名および健常人(HC)16名から得られた尿検体からmiRNA分画をmirVana(商標)PARISTM(商標)キット(Ambion, Tokyo, Japan)を用いて抽出して、リアルタイムPCR法により、各miRNAの検出を行った。
その結果、miR-96とmiR-183の発現量はUC検体においてはHC検体と比べて有意に高かった(P=0.0027とP=0.0002)(図1、上)。またmiR-96とmiR-183の発現量は筋層浸潤癌(≧pT2)においては筋層非浸潤癌(≦pT1)と比べて有意に高かった(P=0.0045とP=0.0177)(図1、下)。ここで、「pT1」及び「pT2」は、夫々、腫瘍の浸潤が膀胱筋層に到達していない(筋層非浸潤)と膀胱筋層に到達している(筋層浸潤)を意味する。
ROC曲線分析においてmiR-96(感度63.3%;特異度93.6%)、miR-183(感度63.3%;特異度83.9%)の検出は良好に尿路上皮腫瘍を非癌病変と区別可能であり、有用な検出(診断)マーカーとなる可能性が示唆された(図2)。さらに尿細胞検査で陰性と判定された10症例中で5症例でmiRNA検出にて癌陽性と判定された。尿細胞検査の感度は30%程度とされており、miRNAによる尿路上皮癌の検出は尿細胞検査を凌駕するものと考えられた。
尿検体におけるmiRNAの検出(2)
更に別の集団を用いて、miRNA(miR-96, miR-183)について尿中での検出が可能かどうかを検肘した。尿路上皮癌(UC)患者85名、尿路感染症(UTI)患者15名および健常人(HC)49名から得られた尿検体からmiRNA分画をmirVana(商標)PARISTM(商標)キット(AInbion,Tokyo,Japan)を用いて抽出して、リアルタイムPCR法により、各miRNAの検出を行った。
その結果、miR-96とmiR-183の発現量はUC検体においてはHC検体と比べて有意に高かった(P<0.0001)(図3)。又、尿路上皮癌の悪性度(G1, G2, G3)が上昇するにつれてmiR-96とmiR-183の発現量は上昇していた(図4,上)。またmiR-96とmiR-183の発現量は浸潤癌(≧pT1)においては非浸潤癌(≦pTa)と比べて有意に高かった(P=0.0110とP=0.0072)(図4,左下)。ここで、「pTa」及び「pT1」は、夫々、腫瘍の浸潤が尿路上皮粘膜下層に到達していない(非浸潤)と尿路上皮粘膜下層に到達している(浸潤)を意味する。さらに根治的手術がなされた15例においてはこれらのmiRNAの発現は有意に減少していた(P=0.0310とP=0.0037)(図4,右下)。
ROC曲線分析においてmiR-96(感度64.7%;特異度92.2%)、miR-183(感度77.7%;特異度75.0%)の検出は良好に尿路上皮腫瘍を非癌病変と区別可能であり、有用な検出マーカーとなる可能性が示唆された(図5)。
更に、尿細胞検査が施行されていた患者は65例の中で陰性と判定された36症例中の20症例でmiRNA検査にて癌陽性と判定された。尿細胞検査による癌の検出率(感度)は45%と低く、miR-96の検出率はやや高く65%であったが、この両者を併用することにより、以下に示すように、癌の検出率は75%にまで増加した(図6)。
(1)尿細胞検査(陽性)、miR-96(陽性)(全65例中22例:33.8%)
(2)尿細胞検査(陰性)、miR-96(陽性)(尿細胞検査陰性36例中20例:55.6%)
(3)尿細胞検査(陽性)、miR-96(陰性)(尿細胞検査陽性29例中7例:24.1%)
即ち、尿細胞検査(陽性)のみだと29例しか見つけられないが、miR-96と尿細胞検査の併用により、全65例のうち49例までが少なくともいずれかの検査で陽性として検出可能になり(精度が上がった)、高い検出率で非侵襲的な尿路上皮癌の判定が可能となった。
本発明で使用するmiRNAは尿路上皮癌の検出のみならず治療の標的として大変有用である。更に、本発明を利用した血清および尿中のマイクロRNA検出が分析機器・キットの開発によって、1億5千万円といわれる本邦の尿路上皮癌診断薬の市場にブレイクスルーをもたらすことが可能となる。

Claims (12)

  1. 尿検体中のmiR-96及び miR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動を測定することから成る、尿路上皮癌の検出方法。
  2. miRNAの発現量の亢進を測定することから成る、請求項1記載の検出方法。
  3. miRNAの発現量が正常組織由来の細胞に比べて10倍以上亢進していることを尿路上皮癌の判定基準とする、請求項2記載の検出方法。
  4. miR-96及び miR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーを用いてmiRNAの発現量を測定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の検出方法。
  5. リアルタイムPCRによりmiRNAの発現量を測定する、請求4記載の検出方法。
  6. 細胞中のmiR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動に基づく、尿路上皮癌の治療又は予防に有効な物質のスクリーニング方法。
  7. 請求6記載のスクリーニング方法であって、
    (a)被検物質の存在下に細胞を培養する工程、
    (b)該細胞における各miRNAの発現量を測定する工程、及び
    (c)発現量の亢進を抑制するか又は発現量を減少させる物質を選択する工程、を含む方法。
  8. miR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーを用いて細胞中のmiRNAの発現量を測定する、請求項6又は7項に記載のスクリーニング方法。
  9. リアルタイムPCRによりmiRNAの発現量を測定する、請求8記載のスクリーニング方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法に用いるキット。
  11. miR-96及びmiR-183から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAに特異的にハイブリダイズするプライマーの少なくとも一つを有する、請求項10記載のキット。
  12. 尿検体中のmiR-96の発現量の変動を測定することから成る尿路上皮癌の検出方法と尿細胞検査とを組み合わせることを特徴とする、尿路上皮癌の検出方法。
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