JP2011036185A - バリカン式刈刃装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フェンスの近傍に位置する草木等を効率的かつ確実に切断する。
【解決手段】刈刃体13(14)が往復運動のストローク後端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃24a(27a)が、先端側部材の凸部42よりも後方に位置し、かつ、両者の前後方向の隙間Cは、刃の根元側ほど狭くなっている。また、上記刈刃体13(14)が往復運動のストローク前端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃24a(27a)と上記先端側部材40の凸部42が部分的に重複する。さらに、上記先端刈刃24a(27a)の頂部を通って長手方向に延びるラインP上における、上記先端側部材40の凸部42の幅L1、ストローク後端での先端刈刃24a(27a)の後端Xと上記凸部42の前端Yとの間の距離L2、金網51の最大網目幅M、の3者の関係が、L1<M<L2を満足する。
【選択図】図8
【解決手段】刈刃体13(14)が往復運動のストローク後端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃24a(27a)が、先端側部材の凸部42よりも後方に位置し、かつ、両者の前後方向の隙間Cは、刃の根元側ほど狭くなっている。また、上記刈刃体13(14)が往復運動のストローク前端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃24a(27a)と上記先端側部材40の凸部42が部分的に重複する。さらに、上記先端刈刃24a(27a)の頂部を通って長手方向に延びるラインP上における、上記先端側部材40の凸部42の幅L1、ストローク後端での先端刈刃24a(27a)の後端Xと上記凸部42の前端Yとの間の距離L2、金網51の最大網目幅M、の3者の関係が、L1<M<L2を満足する。
【選択図】図8
Description
本発明は、厚み方向に重ね合わせられて長手方向に往復駆動されるとともに、所定形状の複数の刈刃が側辺部に突設された一対の刈刃体と、各刈刃体を厚み方向両側から摺動自在に挟持する一対のカバー板とを備え、所定の網目パターンの金網を有するフェンスの近傍で使用されるバリカン式刈刃装置に関する。
従来から、草刈や剪枝を行うための装置として、回転式の刈払機が知られている。この回転式の刈払機は、一般に、高速で回転する1枚の円板状の回転刃により草木等を切断するものである。
しかしながら、上記のような回転式の刈払機では、障害物の近傍に生える草木等を切断できないという問題がある。例えば、公園その他の施設において、フェンスの近傍に生えた草木等を切断したい場合があるが、円板状の回転刃を用いる上記の刈払機では、高速回転する回転刃がフェンスに接触したときに、大きな反力が作用して刈払機がフェンスから遠ざけられたり、回転刃がフェンスの金網に食い込んで回転が停止したりという問題がある。
一方、上記のような回転式の刈払機とは異なる種類の刈払機として、例えば下記特許文献1に示されるようなバリカン式刈刃装置が知られている。同文献に示されるバリカン式刈刃装置は、ミッションケースに基端部が連結された上部ガイド板およびその下面側に着脱自在に連結された下部ガイド板と、両ガイド板の間に長手方向に往復摺動可能な状態で挟持された上部刈刃体および下部刈刃体と、各刈刃体を相互に逆方向に往復駆動する駆動機構とを備えている。各刈刃体の側辺部には、例えば台形形状をなす複数の刈刃が設けられており、刈刃体の往復駆動時には、互いに離接する上記刈刃の作用により、草木等の被切断体が切断されるようになっている。
上記のようなバリカン式刈刃装置によりフェンスの近傍の草木等を切断した場合、回転式の刈払機を用いた場合と比較して、フェンスに接触したときの反力が少なく済むという利点はあるものの、やはり、金網の噛み込み等による問題が避けられず、効率のよい切断作業を行うことは困難である。すなわち、フェンスのすぐ近くに生えている草木等を上記バリカン式刈刃装置で切断するには、装置の先端部をできるだけフェンスに近づける必要があるが、あまりに近づけ過ぎると、フェンスの金網が刈刃体に噛み込まれたり、刈刃体の往復運動が金網によりロックされたりするおそれがある。このような事態が起きると、草木の切断作業を中断せざるを得なくなり、作業効率が悪化するという問題がある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、フェンスの近傍に位置する草木等であっても効率的かつ確実に切断することが可能なバリカン式刈刃装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、厚み方向に重ね合わせられて長手方向に往復駆動されるとともに、所定形状の複数の刈刃が側辺部に突設された一対の刈刃体と、各刈刃体を厚み方向両側から摺動自在に挟持する一対のカバー板とを備え、所定の網目パターンの金網を有するフェンスの近傍で使用されるバリカン式刈刃装置であって、上記一対の刈刃体の先端部に、上記刈刃の一つとして、前辺部にエッジをもたない先端刈刃が設けられ、上記一対のカバー板の少なくとも一方の先端部に、上記先端刈刃と同じかもしくはそれ以上の突出代で側方に突出する凸部を有した先端側部材が設けられ、上記一対の刈刃体のいずれかが往復運動のストローク後端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃が上記先端側部材の凸部よりも後方に位置し、かつ、両者の前後方向の隙間が、上記先端刈刃の根元側に至るほど狭くなるように、上記先端刈刃および先端側部材の形状が設定され、上記一対の刈刃体のいずれかが往復運動のストローク前端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃と上記先端側部材の凸部とが部分的に重複し、上記先端刈刃の頂部を通って長手方向に延びるライン上において、上記先端側部材の凸部の幅をL1、上記刈刃体がストローク後端にあるときの先端刈刃の後端と上記凸部の前端との間の距離をL2、上記金網の最大網目幅をMとしたときに、条件式:L1<M<L2の関係を満足することを特徴とするものである(請求項1)。
本発明のバリカン式刈刃装置では、金網の最大網目幅よりも小さい幅をもった先端側部材の凸部が、金網の網目の中に侵入したとしても、刈刃体の先端刈刃と上記凸部との前後隙間が奥窄まり状であるために、この隙間に挟まった金網の線材が、上記先端刈刃の前方移動に伴って側方に押し出され、上記線材の噛み込みが防止される。しかも、上記先端刈刃の前辺部にエッジが形成されていないことから、金網が損傷することもない。
また、上記先端刈刃がストローク前端まで移動した状態でも、この先端刈刃の後端と上記凸部の前端との距離が上記最大網目幅よりも大きいため、上記先端刈刃と凸部とが一緒に網目の中に侵入することがなく、刈刃体の往復運動が金網に挟まれてロックされるのを確実に防止することができる。
このように、上記実施形態の構成によれば、バリカン式刈刃装置をフェンスに接近させたとしても、刈刃体の往復運動が金網により阻害されることがなく、また、金網を損傷させることもない。このため、フェンスの近傍に位置する草木等を上記バリカン式刈刃装置を用いて効率的かつ確実に切断することができる。
本発明において、好ましくは、上記先端側部材が、上記カバー板に着脱自在に取り付けられる(請求項2)。
この構成によれば、異なる種類のフェンス(最大網目幅が異なるフェンス)の近傍でバリカン式刈刃装置を使用する場合でも、先端側部材のみを交換することで対応することができ、様々な種類のフェンスの近傍で草木等の切断作業を効率よく行えるという利点がある。
本発明において、好ましくは、上記先端刈刃の前辺部と、上記先端側部材の凸部の後辺部とが、外向きに凸の円弧形状に形成される(請求項3)。
この構成によれば、上記先端刈刃と凸部との間に挟まれた金網をスムーズに側方に押し出すことができる。
以上説明したように、本発明のバリカン式刈刃装置によれば、フェンスの近傍に位置する草木等を効率的かつ確実に切断することができる。
図1〜図3は、本発明の一実施形態にかかるバリカン式刈刃装置1の全体構成を示している。これらの図に示されるバリカン式刈刃装置1は、所定の駆動源から入力される回転運動を往復運動に変換するクランク機構等からなる駆動機構6と、この駆動機構6を内蔵したミッションケース5と、このミッションケース5に一端部が連結された上下一対のカバー板11,12と、両カバー板11,12の間に往復摺動可能に支持された上下一対の刈刃体13,14と、上記ミッションケース5内の駆動機構6に一端部が連結された上下一対の駆動体15,16とを備えている。なお、以下の説明では、上記カバー板11,12、刈刃体13,14、および駆動体15,16の各部材に関し、ミッションケース5側を基端側、その反対側を先端側とする。
上記一対のカバー板11,12は、それぞれ、一方向に長尺な板状体からなり、その長手方向の複数個所に配置されたボルト・ナットからなる締結部材17を介して互いに厚み方向に締結固定されている。上記各カバー板11,12のうち、図中上側に位置するカバー板11の基端部には前後一対の雄ネジ部材19が立設されており、雄ネジ部材19およびこれに螺着されるナットを介して上記カバー板11があらかじめミッションケース5に固定されている。そして、上記カバー板11に対し、もう一方のカバー板12が、上記締結部材17を介して所定の締付トルクで締結されることにより、上記両カバー板11,12の間に位置する上記刈刃体13,14が、長手方向に往復摺動可能な状態で挟持される。なお、図3において符号21,22は、上記締結部材17の軸部を挿通するために各カバー板11,12に設けられた挿通孔である。
上記一対のカバー板11,12のうち、上側のカバー板11の先端部には、先端側部材40が取り付けられている。先端側部材40は、上記カバー板11の長手方向に沿って延びる本体部41と、この本体部41から左右両側に突出する一対の凸部42とを有している。
上記本体部41は、下向きに開口した浅底の断面コ字状部材からなり、その幅は上記カバー板11と略同じ幅とされている。上記先端側部材40の取付時には、その本体部41の一部により上記カバー板11の先端部が上から覆われた状態で、カバー板11と本体部41とが互いに締結固定される。具体的には、上記本体部41の基端部寄りの箇所に挿通孔41a(図3)が設けられ、上記カバー板11の最も先端側に位置する締結部材17の軸部が上記挿通孔41aに挿通されるとともに、上記カバー板11と本体部41とが上記締結部材17を介して共締めされることにより、上記先端側部材40がカバー板11の先端部に着脱自在に取り付けられる。
上記先端側部材40の各凸部42は、平面視で略半円形に形成されており、上記本体部41からの突出代は、上記刈刃体13,14の側辺部に設けられる刈刃24,27(詳細は後述する)の刃高よりも大きく設定されている。また、上記各凸部42は、本体部41の先端側(カバー板11との取付部とは反対側)に設けられており、先端側部材40の取付時には、上記凸部42がカバー板11の先端よりもさらに先端側に配置される。
上記一対の刈刃体13,14は、それぞれ、上記一対の駆動体15,16と係脱自在に連結されている。具体的には、図3に示すように、駆動体15,16の先端部に凸型の係合部31,32が設けられるとともに、係合部31,32に対応した係合用凹部が刈刃体13,14の基端部に設けられ、これら係合用凹部と係合部31,32とが嵌合することにより、上記駆動体15,16と刈刃体13,14とが係脱自在に連結されている。そして、上記駆動機構6から各駆動体15,16に伝達される長手方向の駆動力に応じて、上記刈刃体13,14および駆動体15,16がそれぞれ一体に往復駆動されるようになっている。
上記各刈刃体13,14は、それぞれ、一方向に長尺な平板状の基材23,26(図3および図4参照)と、この基材23,26の左右両側辺部に突設された複数の刈刃24,27とを有しており、上記一対のカバー板11,12の間に表裏逆向きに重ね合わせられた状態で往復摺動可能に挟持されている。また、刈刃体13,14は、その基材23,26に、長手方向に沿って延びる複数の長孔状のガイド孔25,28を有しており、これら各ガイド孔25,28に上記締結部材17の軸部が挿通された状態でカバー板11,12の間に挟持されている。そして、各刈刃体13,14が往復駆動される際には、上記締結部材17の軸部にガイド孔25,28の周縁部が摺接することにより、上記各刈刃体13,14の長手方向の往復移動が案内されるようになっている。
上記各駆動体15,16は、上記駆動機構6により相互に逆方向に往復駆動される一対の板状体からなり、上記係合部31,32を含んだ先端側の一部が上記各カバー板11,12の間に配置されるとともに、基端側の一部が上記ミッションケース5内に挿入されて上記駆動機構6に連結されている。図3に示すように、上記各駆動体15,16には、その長手方向に沿って延びる長孔状のガイド孔33,34が設けられており、複数の上記締結部材17のうち最も基端側の締結部材17の軸部が上記ガイド孔33,34に挿通されることにより、上記駆動体15,16の長手方向の往復移動が案内されるようになっている。
図4(a)(b)は、上記各刈刃体13,14の刈刃24,27の断面図である。ただし、図4(a)(b)では、上記各刈刃体13,14の最も先端側の刈刃24a,27aを除いた、先端側から2番目以降の刈刃24,27の断面図を示している。本図および先の図1、図3に示すように、先端側から2番目以降の刈刃24,27は、その周縁部の全体に亘って、断面視で鋭角状に研磨されたエッジSを有している。
一方、図5(a)(b)に示すように、上記各刈刃体13,14の最先端側の刈刃24a,27aは形状が異なる。具体的に、最先端側の刈刃24a,27aは、刈刃体13,14の基端側の辺部である後辺部(図5では右側の端部)にのみエッジSを有し、反対側の前辺部にはエッジSが形成されていない。また、図1および図3に示すように、エッジSの無い上記最先端側の刈刃24a,27aの前辺部(刈刃体の先端側の辺部)は、他の刈刃と異なり、外向きに凸の円弧状に形成されている。なお、以下では、上記最先端側の刈刃24a,27aのことを、他の刈刃と区別して、「先端刈刃」と称する。
以上のように構成されたバリカン式刈刃装置1は、例えば草刈機や剪枝機等の主要部を構成する装置として用いられる。すなわち、上記バリカン式刈刃装置1においては、レシプロエンジン等からなる図外の駆動源がクラッチ装置等を介して上記駆動機構6に連結されるとともに、作業者により把持される手動操作用の操作ハンドル2(図6)が上記ミッションケース5に取り付けられる。そして、作業者が上記駆動源を始動させると、上記刈刃体13,14が高速で往復運動され、その刈刃24,27によって草木等の被切断体が切断されるように構成されている。
特に、当実施形態のバリカン式刈刃装置1は、その先端部に先端側部材40を備えていることにより、図6に示すように、フェンス50の近傍に生えた草木等を切断するのに有用である。以下、この点について詳しく説明する。
まず、フェンス50の簡単な構造について説明する。図例のフェンス50は、所定の網目パターンをもった金網51と、これを支持する支持枠52とを有している。図例では、フェンス50が屋外の地面に立設されており、フェンス50の足元部分に多くの草木が生えている。
図7は、上記フェンス50の金網51を拡大して示す図である。本図に示すように、図例の金網51は、金属製の線材51aを編み合わせたものであり、その編み合わせにより多数のひし形の網目が金網51に形成されている。各網目は略均一に形成され、図7では、その最大開口幅をMとして示している。
次に、上記フェンス50の近傍でバリカン式刈刃装置1を使用する際の使い勝手を向上させるために採用された当実施形態の特徴的な構造(上記先端側部材40に関する構造)について説明する。図8〜図10は、バリカン式刈刃装置1の先端部を拡大して示す平面図である。なお、図8は、上記一対の刈刃体13,14のうち、上側の刈刃体13が往復運動のストローク前端に位置するとともに、下側の刈刃体14がストローク後端に位置する状態を、図9は、上下の刈刃体13,14がともにストロークの中間位置に位置する状態を、図10は、上側の刈刃体13がストローク後端に位置するとともに下側の刈刃体14がストローク前端に位置する状態をそれぞれ示している。このうち、図8および図10では、下側の刈刃体14の刈刃27が、先端刈刃27aを除いて、上側の刈刃体13の刈刃24と完全に重なり合っている。このため、図面上では、上側の刈刃体13の刈刃24(エッジSが表側に見える刈刃)のみが見えており、下側の刈刃27はその下に隠れた状態となっている。
上側の刈刃体13がストローク前端まで移動した図8の状態、または、下側の刈刃体14がストローク前端まで移動した図10の状態から理解できるように、刈刃体13(または14)がストローク前端にあるとき、その先端刈刃24a(または27a)は、一部分が上記先端側部材40の凸部42の下側に隠れるまで移動する(図8の右半分、図10の左半分を参照)。すなわち、刈刃体13(または14)がストローク前端まで移動すると、上記先端刈刃24a(または27a)と先端側部材40の凸部42とが、平面視で部分的に重複する状態となる。
一方、上側の刈刃体13がストローク後端まで移動した図10の状態、または、下側の刈刃体14がストローク後端まで移動した図8の状態から理解できるように、刈刃体13(または14)がストローク後端にあるとき、その先端刈刃24a(または27a)は、上記先端側部材40の凸部42よりも後方(刈刃体13,14の基端側)まで移動し、両者が平面視で重複することはない(図8の左半分、図10の右半分を参照)。
このとき、上記先端刈刃24a,27aと、上記先端側部材40の凸部42との前後方向の隙間をCとすると、この隙間Cは、先端刈刃24a,27aの根元側(先端側部材40の本体部41に近い側)ほど小さい値となる。すなわち、上記先端刈刃24a,27aの前辺部が外向きに凸の円弧状に形成され、かつ、先端側部材40の凸部42が略半円状に形成されることにより、両者の隙間Cが根元側ほど狭まるようになっている。
次に、上記各刈刃体13,14がストローク前端にあるときの寸法関係について説明する。図8および図10において、ラインPは、先端刈刃24a,27aの頂部(刃高方向の端部)を通って長手方向に延びる直線であり、図示の寸法L1は、上記ラインP上における先端側部材40の凸部42の幅寸法であり、寸法L2は、上記ラインP上における、先端刈刃24a,27aの後端Xと、上記凸部42の前端Yとの間の距離である。
上記先端側部材40の凸部42の幅L1は、図10に示した金網51の最大網目幅Mよりも小さい寸法に設定されている。一方、ストローク前端での上記先端刈刃24a,27aと凸部42との組合せ寸法L2は、上記最大開口幅Mよりも大きい寸法に設定されている。すなわち、上記凸部42の幅L1、先端刈刃24a,27aと凸部42との組合せ寸法L2、および金網51の最大網目幅M、の3者の寸法関係は、次の条件式(1)を満足するものとなっている。
L1<M<L2・・・・(1)
上記先端側部材40の凸部42の幅L1が、最大網目幅Mよりも小さい(L1<Mである)ことから、バリカン式刈刃装置1をフェンス50に接近させた際には、図11に示すように、上記先端側部材40の凸部42が、金網51の網目の中に侵入することもあり得る。しかしながら、当実施形態のバリカン式刈刃装置1の構造によれば、上記のように凸部42が網目の中に侵入したとしても、凸部42と先端刈刃(図11の例では上側の刈刃体13の先端刈刃24a)との間に金網51の線材51aが噛み込まれることがなく、この線材51aの噛み込みに起因して刈刃体13の往復運動が阻害されるといった事態が回避される。
上記先端側部材40の凸部42の幅L1が、最大網目幅Mよりも小さい(L1<Mである)ことから、バリカン式刈刃装置1をフェンス50に接近させた際には、図11に示すように、上記先端側部材40の凸部42が、金網51の網目の中に侵入することもあり得る。しかしながら、当実施形態のバリカン式刈刃装置1の構造によれば、上記のように凸部42が網目の中に侵入したとしても、凸部42と先端刈刃(図11の例では上側の刈刃体13の先端刈刃24a)との間に金網51の線材51aが噛み込まれることがなく、この線材51aの噛み込みに起因して刈刃体13の往復運動が阻害されるといった事態が回避される。
すなわち、上記凸部42が網目の中に侵入すると、図12に示すように、上記凸部42と先端刈刃24aとの間に、金網51の線材51aが挟み込まれるが、当実施形態のバリカン式刈刃装置1では、上述したように、上記先端刈刃24aと凸部42との前後隙間Cが奥窄まり状であるため、上記先端刈刃24aが前方に移動するにつれて、上記線材51aは、図中の矢印Fに示す力を受けて側方(先端刈刃24aの頂部側)に押し出され、隙間Cの外側へと排除される。このため、上記先端刈刃24aと凸部42との間に線材51aが噛み込まれることがなく、刈刃体13の往復運動は問題なく維持される。また、先端刈刃24aの前辺部にエッジSが形成されていないことから、上記線材51aを隙間Cの外側に押し出す際に、線材51aが損傷することもない。
もちろん、上記先端側部材40の凸部42の幅L1が、仮に金網51の最大網目幅Mよりも大きければ、そもそも上記凸部42が網目の中に入らないので、上述したような金網51の噛み込みを防止するための構造(先端刈刃24aと凸部42との隙間Cを奥窄まり状にすること)を採用する必要はなくなる。しかしながら、上記凸部42の幅L1を拡大させると、この凸部42を含む先端側部材40の占有スペースが増大するため、バリカン式刈刃装置1をフェンス50に近づける際に、先端側部材40の存在に起因して装置を十分に近づけることができず、フェンス50の近傍に生える草木等を十分に切断することが困難になる。そこで、当実施形態では、できるだけ先端側部材40を小型化しつつ、金網51の噛み込みを防止するために、上記先端刈刃24aと凸部42との隙間Cを奥窄まり状にしている。
なお、以上のことは、図11とは反対側の凸部42(図中左側の凸部42)が網目の中に挿入された場合も同様である。この場合には、上記凸部42と、下側の刈刃体14の先端刈刃27aとの作用により、両者の隙間から金網51の線材51aが排除されることになる。
さらに、当実施形態のバリカン式刈刃装置1では、上記各刈刃体13,14の先端刈刃24a,27aと、上記先端側部材40の凸部42との組合せ寸法L2が、金網51の最大網目幅Mよりも大きい(L2>Mである)ため、上記先端刈刃24a,27aが、凸部42とともに網目の中に侵入してしまうことがなく、刈刃体13,14の往復運動が金網51によりロックされる事態を効果的に防止できるという利点がある。
例えば、図8に示すように、上側の刈刃体13の先端刈刃24aがストローク前端まで移動した状態において、この先端刈刃24aの後端Xから上記凸部42の前端Yまでの寸法L2が、仮に最大網目幅Mよりも小さいとすれば、上記先端刈刃24aと凸部42とが一緒に網目の中に侵入してしまう可能性がある。すると、その後に上記刈刃体13が後方に移動しようとしても、上記先端刈刃24aの動きが金網51の線材51aによって阻害され、刈刃体13の往復運動がロックされてしまう。
これに対し、寸法L2>最大網目幅Mの関係が成り立つ当実施形態の構成では、先端刈刃24aと凸部42とがともに網目の中に侵入し得ないため、刈刃体13の動きがロックされる上記のような事態は確実に防止される。なお、このことは、下側の刈刃体14についても同様である。
以上説明したように、当実施形態のバリカン式刈刃装置1は、その特徴的な構成要素として、以下に列記する構成を具備している。
・刈刃体13,14の側辺部に備わる複数の刈刃24,27のうち、最先端側に位置する先端刈刃24a,27aは、前辺部にエッジSをもたない。
・カバー板11の先端部に、側方に突出する凸部42を有した先端側部材40が取り付けられている。凸部42の突出代は、刈刃24,27の刃高よりも大きい。
・上記刈刃体13(または14)が往復運動のストローク後端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃24a(または27a)が、上記先端側部材の凸部42よりも後方に位置し、かつ、両者の前後方向の隙間Cは、刃の根元側ほど狭くなっている。
・上記刈刃体13(または14)が往復運動のストローク前端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃24a(または27a)と上記先端側部材40の凸部42が部分的に重複する。
・上記先端刈刃24a(または27a)の頂部を通って長手方向に延びるラインP上における、上記先端側部材40の凸部42の幅L1、ストローク後端での先端刈刃24a(または27a)の後端Xと上記凸部42の前端Yとの間の距離L2、金網51の最大網目幅M、の3者の関係が、L1<M<L2(条件式(1))を満足する。
以上の構成要素を具備する上記実施形態のバリカン式刈刃装置1では、金網51の最大網目幅Mよりも小さい幅L1をもった先端側部材40の凸部42が、金網51の網目の中に侵入したとしても、刈刃体13,14の先端刈刃24a,27aと上記凸部42との前後隙間Cが奥窄まり状であるために、この隙間Cに挟まった金網51の線材51aが、上記先端刈刃24a,27aの前方移動に伴って側方に押し出され、上記線材51aの噛み込みが防止される。しかも、上記先端刈刃24a,27aの前辺部にエッジが形成されていないことから、金網51が損傷することもない。
また、上記先端刈刃24a,27aがストローク前端まで移動した状態でも、この先端刈刃24a,27aの後端Xと上記凸部42の前端Yとの距離L2が上記最大網目幅Mよりも大きいため、上記先端刈刃24a,27aと凸部42とが一緒に網目の中に侵入することがなく、刈刃体13,14の往復運動が金網51に挟まれてロックされるのを確実に防止することができる。
このように、上記実施形態の構成によれば、バリカン式刈刃装置1をフェンス50に接近させたとしても、刈刃体13,14の往復運動が金網51により阻害されることがなく、また、金網51を損傷させることもない。このため、フェンス50の近傍に位置する草木等をバリカン式刈刃装置1を用いて効率的かつ確実に切断することができる。
なお、上記実施形態では、ひし形の網目状に線材51aを編み合わせた金網51を有するフェンス50(図6、図7)を想定し、このフェンス50の近傍でバリカン式刈刃装置1を使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明のバリカン式刈刃装置を使用するのに好適なフェンスは、上記のようなフェンスに限られない。例えば、金属製の線材を縦横に配置して溶接により接合した網部を有するフェンスであってもよいし、矩形や三角形等の網目を有したフェンスであってもよい。
また、上記実施形態では、カバー板11の先端部に上記先端側部材40を着脱自在に取り付けるようにしたが、カバー板11と先端側部材40とを一体に構成してもよい。しかしながら、このようにすると、異なる種類のフェンス50の近傍でバリカン式刈刃装置1を使用する際に、先端側部材40をカバー板11と一緒に交換する必要が生じる。
すなわち、最大網目幅Mが異なる別種類のフェンス50の近傍でバリカン式刈刃装置1を使用する場合には、このフェンス50の最大網目幅Mに対し、上述した条件式(1)を満たすような先端側部材40に交換する必要があるが、カバー板11と先端側部材40とが一体に形成されていれば、この先端側部材40と一緒にカバー板11をも交換しなければならず、不経済である。
これに対し、上記実施形態のように先端側部材40を着脱自在とした場合には、異なる種類のフェンス50の近傍でバリカン式刈刃装置1を使用する場合でも、先端側部材40のみを交換することで対応することができ、様々な種類のフェンス50の近傍で草木等の切断作業を効率よく行えるという利点がある。
また、上記実施形態では、上下一対のカバー板11,12のうち、上側のカバー板11に上記先端側部材40を取り付けたが、下側のカバー板12に先端側部材40を取り付けてもよく、両方のカバー板11,12に取り付けてもよい。
また、上記実施形態では、先端側部材40の凸部42を略半円形に形成したが、先端刈刃24a,27aとの間で奥窄まり状の隙間Cが形成されるものであれば、その形状は適宜変更可能である。ただし、少なくとも上記凸部42の後辺部(先端刈刃24a,27aと対向する部分)については、上記先端刈刃24a,27aの前辺部と同様に、外向きに凸の円弧状に形成することが好ましい。これにより、フェンス50の近傍での切断作業時に、上記先端刈刃24a,27aと凸部42との間に挟まれた金網51をスムーズに側方に押し出すことができる。
また、上記実施形態では、先端側部材40の凸部42の側方への突出代を、刈刃体13,14の側辺部に設けられた複数の刈刃24,27の刃高よりも大きく設定したが、上記凸部42の突出代は、少なくとも先端刈刃24a,27aの刃高以上であればよい。
また、上記実施形態では、駆動機構6により往復駆動される駆動体15,16を刈刃体13,14とは別体に設け、これら駆動体15,16および刈刃体13,14をそれぞれ係脱自在に連結するようにしたが、刈刃体13,14を基端側に延長して上記駆動機構6に直接連結することにより、駆動体15,16を省略することも当然に可能である。ただし、上記実施形態の構成を採用した方が、刈刃体13,14の交換が容易である(つまりミッションケース5を分解しなくても刈刃体13,14を着脱できる)ため、メンテナンス性の面では有利である。
また、上記実施形態では、刈刃体13,14として、その左右両側の側辺部に刈刃24,27が設けられた両刃タイプの刈刃体を用いたが、本発明の構成は、上記刈刃体13,14が、その左右一方側にのみ刈刃24,27が設けられた片刃タイプの刈刃体である場合にも同様に適用可能である。このような片刃タイプの刈刃体を用いた場合、上記先端側部材40の凸部42は、刈刃が存在する側にのみ設ければよい。
11,12 カバー板
13,14 刈刃体
24,27 刈刃
24a,27a 先端刈刃
40 先端側部材
42 凸部
50 フェンス
51 金網
C (先端刈刃と凸部との)隙間
P ライン
S エッジ
X (先端刈刃の)後端
Y (凸部の)前端
13,14 刈刃体
24,27 刈刃
24a,27a 先端刈刃
40 先端側部材
42 凸部
50 フェンス
51 金網
C (先端刈刃と凸部との)隙間
P ライン
S エッジ
X (先端刈刃の)後端
Y (凸部の)前端
Claims (3)
- 厚み方向に重ね合わせられて長手方向に往復駆動されるとともに、所定形状の複数の刈刃が側辺部に突設された一対の刈刃体と、各刈刃体を厚み方向両側から摺動自在に挟持する一対のカバー板とを備え、所定の網目パターンの金網を有するフェンスの近傍で使用されるバリカン式刈刃装置であって、
上記一対の刈刃体の先端部に、上記刈刃の一つとして、前辺部にエッジをもたない先端刈刃が設けられ、
上記一対のカバー板の少なくとも一方の先端部に、上記先端刈刃と同じかもしくはそれ以上の突出代で側方に突出する凸部を有した先端側部材が設けられ、
上記一対の刈刃体のいずれかが往復運動のストローク後端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃が上記先端側部材の凸部よりも後方に位置し、かつ、両者の前後方向の隙間が、上記先端刈刃の根元側に至るほど狭くなるように、上記先端刈刃および先端側部材の形状が設定され、
上記一対の刈刃体のいずれかが往復運動のストローク前端にあるときに、その刈刃体の先端刈刃と上記先端側部材の凸部とが部分的に重複し、
上記先端刈刃の頂部を通って長手方向に延びるライン上において、上記先端側部材の凸部の幅をL1、上記刈刃体がストローク後端にあるときの先端刈刃の後端と上記凸部の前端との間の距離をL2、上記金網の最大網目幅をMとしたときに、
条件式:L1<M<L2
の関係を満足することを特徴とするバリカン式刈刃装置。 - 請求項1記載のバリカン式刈刃装置において、
上記先端側部材が、上記カバー板に着脱自在に取り付けられたことを特徴とするバリカン式刈刃装置。 - 請求項1または2記載のバリカン式刈刃装置において、
上記先端刈刃の前辺部と、上記先端側部材の凸部の後辺部とが、外向きに凸の円弧形状に形成されたことを特徴とするバリカン式刈刃装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009186935A JP2011036185A (ja) | 2009-08-12 | 2009-08-12 | バリカン式刈刃装置 |
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-
2009
- 2009-08-12 JP JP2009186935A patent/JP2011036185A/ja active Pending
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