JP2011036063A - コロナ放電処理装置用の共振型pamインバータ電力供給装置 - Google Patents

コロナ放電処理装置用の共振型pamインバータ電力供給装置 Download PDF

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Yoshihiro Hidaka
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Kuniaki Mitsuhira
国昭 光平
Akinobu Fujii
章伸 藤井
Tomoki Nakazaki
友喜 中崎
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Abstract

【課題】商用電源の変動による影響を受けず、波高値が可変であり、品質が高い単相交流電圧を供給することができるコロナ放電処理装置用の共振型PAMインバータ電力供給装置を提供する。
【解決手段】商用三相交流電源(2)に三相ブリッジ整流器(3)を接続し、第1の直流電圧を得る。三相ブリッジ整流器(3)の下流にチョッパ回路(4)を設け、第1の直流電圧を所望の第2の直流電圧に変圧する。インバータ回路(5)によって第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して、コロナ放電処理機構部(40)に供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、フィルム製造工程においてコロナ放電によりフィルムの表面を改質するコロナ放電処理装置に適用されるインバータ電力供給装置に関するものであって、さらに詳しく説明すると、放電電極と放電ロールと高周波トランスとからなる回路によって放電電極と放電ロール間にコロナ放電を発生させて、放電ロールで送られるフィルムの表面を改質するコロナ放電処理機構部に、所定の周波数の単相交流電圧を供給して前記回路を共振させる共振型PAMインバータ電力供給装置に関するものである。
フィルムは、押出機に供給された原料の樹脂材料を押出機内で溶融し、所定のダイス、例えばT型ダイから押し出して、冷却ロールに掛け回して空冷または水冷し、必要に応じて1軸延伸、2軸延伸等の延伸処理が施され、製造されている。このようなフィルム表面は、印刷し易くしたり、粘着材料や機能材料を塗布し易くするために、いわゆるコロナ放電処理装置によって処理され、ぬれ性が改善されている。
コロナ放電処理装置50は、図5に示されているように、処理されるフィルム51が巻き付けられる回転放電ロール52と、該回転放電ロール52と所定の隙間をおいて設けられている放電電極53と、所定の漏れインダクタンスLを備えている高周波トランス55と、高周波トランス55に高周波交流電流を供給するインバータ電力供給装置56とから構成されている。互いに直列に接続されている放電電極53と回転放電ロール52と高周波トランス55は、コロナ放電を発生させるコロナ放電機構部58を構成している。回転放電ロール52には、厚さt2のシリコン絶縁層57がコーティングされており、放電電極53とシリコン絶縁層57には隙間t1が空けられているので、放電電極53と回転放電ロール52の間には、1式で与えられる静電容量Cのコンデンサが形成されることになる。
Figure 2011036063
放電電極53と回転放電ロール52の間にコロナ放電を生じて電流が流れるとき、所定の抵抗Rを流れる電流と見ることができる。抵抗Rは、放電電極53と回転放電ロール52間の電位差をコロナ放電電流で除して得られる値である。そうすると、コロナ放電機構部58には、高周波トランス55の漏れインダクタンスLと静電容量Cと抵抗Rとからなる、いわゆるLCR直列共振回路が形成されることになる。LCR直列共振回路の共振周波数fは2式で与えられる。
Figure 2011036063
コロナ放電は、共振周波数fと等しい周波数、もしくは共振周波数fの近傍の周波数の交流電圧であって、放電電極53と放電ロール52間に10〜15kVの電圧を印加して発生させる。このようにして発生させるコロナ放電は、共振周波数fが10〜30kHzの範囲にあるときに安定し、運転効率も高い。
必要になるコロナ放電の放電容量は、製造されるフィルムによって異なる。そこで、コロナ放電機構部58において、必要に応じて放電容量を変更することになる。放電容量は放電電極53と回転放電ロール52の間を通過する電荷量に応じて増減するので、単純に電圧を調整することにより放電電極53と回転放電ロール52間の電界強度を変更して、放電容量を調整する方法が考えられる。しかしながら、放電電極53と回転放電ロール52間の空間電位Eが適切な範囲2〜3KV/mmになっていないと、コロナ放電が得られないだけでなく、火花放電が発生することもある。従って、必要となる放電容量に応じて、放電電極53の面積Sを増減することになる。ところで、放電電極53と回転放電ロール52間の静電容量Cは、放電電極53の面積Sの大きさに比例するので、放電容量の異なる放電電極53を採用して静電容量Cが増減してしまうと、共振周波数fも変化してしまい不都合である。放電電極53の面積Sを増減した場合であっても、放電電極53と回転放電ロール52間の隙間t1を調整して、静電容量Cが変化しないようにすることもできる。そうすると、共振周波数fを一定に維持することができる。しかしながら、放電電極53と回転放電ロール52間の隙間t1を狭くすると、回転放電ロール52の偏心の影響や温度の変化によるロール径の変化によって静電容量Cの変動の度合いが大きくなってしまうし、回転放電ロール52に送り出されるフィルム51が放電電極53に接触して破損してしまう可能性もある。一方、この隙間t1を広げると回転放電ロール52の偏心等による影響は小さくなるが、安定したコロナ放電が得られなくなってしまう。つまり、静電容量Cを一定に維持するために、放電電極53と回転放電ロール52間の隙間t1を調整することは適切でない。そうすると、放電容量の調節に伴って静電容量Cが変化してしまうことは避けられない。静電容量Cが変化しても、最適な共振周波数fの範囲10〜30kHzが維持されるようにしなければならない。
コロナ放電においては、コロナ放電機構部58の共振の鋭さについても考慮する必要がある。共振の鋭さは、3式によって与えられるQ値によって評価することができる。
Figure 2011036063
安定的にコロナ放電を発生させるために、Q値が2.5以上の値になるように調整する必要がある。このようなQ値は、電流と電圧の位相角に対しても重要である。例えば、安定的な運転状態においては、放電電流の位相角は、放電電極53と回転放電ロール52間の位相角よりも65度以上進んだ位相角φになるように運転されている。このような位相角φ(≧65)における正接tanφを仮にQ値と等価であると考えると、適切な運転はtanφ≧Qになるように運転することである、ということもできる。いずれにしても、Q値が2.5以上になるように、抵抗R、漏れインダクタンスL、静電容量Cを調整する必要がある。
さて、放電容量を変更することによって、静電容量Cが変化してしまう問題に戻ると、静電容量Cが変化してしまっても、所定の対応方法を採るようにすれば、最適な共振周波数fの範囲10〜30kHzを維持することができ、Q値を適切な値に維持できることが周知である。ただし、このような対応方法を採る場合には、コロナ放電機構部58に供給する高周波交流電圧、すなわちインバータ電力供給装置56の出力電圧を低電圧にしたり高電圧にする必要がある。このような所定の対応方法、すなわち放電容量が小さい場合の対応方法と、放電容量が大きい場合の対応方法のそれぞれについては、本発明についての作用の説明のところで詳しく説明するので、ここでは簡単に説明する。そして、このような対処方法を採るときに、インバータ電力供給装置56の出力電圧を低電圧にしたり高電圧にしなければならない点について説明する。
放電容量が小さい場合:
放電容量が小さい装置においては、放電電極53と回転放電ロール52間の静電容量Cは小さい。この場合には3式よりQ値は大きくなるのでQ値については問題ない。共振周波数fについて検討すると、高周波トランス55の漏れインダクタンスLの値が同一であれば、2式から共振周波数fは高くなってしまう。そこで、高周波トランス55の1次巻線N1と2次巻線N2の巻数比n=N2/N1を大きくして、高周波トランス55の1次側から見た静電容量を増加させて、共振周波数fが高くならないようにする。具体的には、高周波トランス55の2次巻線N2を増加させて巻数比nを大きくする方法を採る。このようにすると、1次側から見た静電容量C’を増加させることができるので、共振周波数fが高くならないようにすることができる。ところで、高周波トランス55の1次側と2次側の電圧の比、すなわち変圧比は巻数比nに等しいので、このようにして巻数比nを大きくしてしまうと、2次側の電圧が高くなってしまう。高周波トランス55の2次側の電圧を適切な範囲10〜15kVに維持するには、1次側の電圧を低電圧にする必要がある。つまり、放電容量が小さい装置において、高周波トランス55の2次巻線の巻数を大きくして対応する場合には、インバータ電力供給装置56の出力電圧を低電圧にする必要がある。
放電容量が大きい場合:
放電容量の大きい装置においては、放電電極53と回転放電ロール52間の静電容量Cは大きい。高周波トランス55の漏れインダクタンスLの値が同一であれば、2式から共振周波数fは低くなってしまう。そこで、共振周波数fが変化しないように、例えば漏れインダクタンスLの値を小さくするような対応方法が考えられる。しかしながら、このようにすると、静電容量Cが大きく、漏れインダクタンスLが小さいのでQ値が低くなってしまって、コロナ放電が出来なくなってしまう。そこで、Q値が所定の範囲に収まるようにしながら、共振周波数fを適切な範囲にする必要がある。具体的には、出力容量の小さい高周波トランスを複数台用意して、これらの高周波トランスのそれぞれの1次側の巻線を直列に接続して、インバータ電力供給装置56に接続する。そして、複数台の高周波トランスのそれぞれの2次側の巻線は、並列に接続して、放電電極53と回転放電ロール52に接続する。このようにすると、Q値が低下することなく共振周波数fを適切な範囲にすることができる。ところで、このように複数台の高周波トランスを接続して対応する場合には、1次側巻線が直列に接続されているので、1次側の総電圧は高電圧が必要になる。つまり、放電容量が大きい装置において、複数台の高周波トランスを接続して対応する場合には、インバータ電力供給装置56の出力電圧を高電圧にする必要がある。
このように、放電容量を増減すると、インバータ電力供給装置56の出力電圧を高電圧にしたり低電圧にする必要が生じる。出力電圧の異なる複数台のインバータ電力供給装置56、56、…を予め用意しておき、放電容量に応じて必要なインバータ電力供給装置56を選択することも考えられるが、装置が無駄になってしまい、コスト高になってしまう。そこで、出力電圧の調整が可能なインバータ電力供給装置が求められている。従来周知の、出力電圧の調整が可能なインバータ電力供給装置について説明する。
図6の(ア)には、従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60の回路が示されている。従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60は、商用交流電源61側に設けられ、商用交流電圧を昇圧、あるいは降圧することができる昇降圧トランス62と、昇圧、あるいは降圧された三相交流電圧を直流電圧に変換する三相ブリッジ整流器63と、直流電圧を平滑化するDCインダクタンス64と平滑コンデンサ65と、直流電圧を単相交流電圧に変換するインバータ回路66と、インバータ回路66のスイッチング動作を制御するインバータ制御部67とから構成されている。実際には、三相ブリッジ整流器63は、直列に接続された2個のダイオードが、それぞれ3列に並列接続された回路から構成され、インバータ回路66は、上下アームからなるアーム回路が2列並列接続された回路から構成されているが、図6の(ア)には簡略的に示されている。このようなインバータ回路66によって生成される単相交流電圧はコロナ放電機構部58に供給され、その電圧と、電流計68によって測定されている電流がインバータ制御部67に入力されている。従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60によると、200Vまたは400Vで供給される商用交流電圧は昇降圧トランス62によって昇圧、あるいは降圧された後に三相ブリッジ整流器63によって直流電圧に変換されるので、直流電圧をある程度調整することができる。そして、インバータ回路66の出力電流と出力電圧の位相角が検出されてインバータ回路66が制御されるので、コロナ放電機構部58の共振周波数fと一致した周波数の、あるいは若干ずらした周波数の単相交流電圧をコロナ放電機構部58に供給することができる。すなわち、従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60は、コロナ放電機構部58を共振させると共に、出力電圧の波高値をある程度調整できる単相交流電圧を供給することができる。
図6の(イ)には、従来例2に係るPAMインバータ電力供給装置70の回路が示されている。従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60と同様な素子、または電気部品については、同じ参照番号を付して説明を省略する。従来例2に係るPAMインバータ電力供給装置70においては、商用交流電源61には、サイリスタから構成されている三相SCRブリッジ整流器71が接続されて、後段のインバータ回路66に直流電圧が供給されるようになっている。そして、三相SCRブリッジ整流器71は、SCR制御部72によって制御されるようになっている。三相SCRブリッジ整流器71は、商用交流電圧を直流電圧に変換するときに、サイリスタの点弧角を位相制御して直流電圧を変化させることができる。従って、インバータ回路66から出力される単相交流電圧の波高値を可変にすることができる。
図6の(ウ)には、従来例3に係るPAMインバータ電力供給装置75の回路が示されている。従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60と同様な素子、または電気部品については、同じ参照番号を付して説明を省略する。従来例3に係るPAMインバータ電力供給装置75においては、インバータ回路66はPDM制御部76によって制御され、インバータ回路66の出力電圧をパルス状にon/offして出力する、いわゆるPDM制御によって運転される。三相ブリッジ整流器63によって商用交流電圧から変換される直流電圧は変圧されないが、PDM制御によってインバータ回路66が制御されるので、インバータ回路66から電力が調整された出力電圧を供給することができる。PDM制御部76には、電流計68によって測定される出力電流と、コロナ放電機構部58内において測定される電流、すなわち放電電流が入力されている。従って、共振周波数fと等しい周波数になるように、かつ出力電流の平均電流が所定の電流値になるように、インバータ回路66を制御することができる。
特開2005−94913号公報
特許文献1には、従来例3に係るPAMインバータ電力供給装置75と、類似した構成を有するインバータ電力供給装置が示されている。特許文献1に記載のインバータ電力供給装置によると、インバータ回路を構成している2列のアーム回路において、通常は同時にON/OFFするアーム、すなわち一方のアーム回路の上アームと他方のアーム回路の下アームを、所定の位相差だけずらしてON/OFFするように構成されている。従って、位相差を調整するとインバータ回路の出力電力を調整することができる。
従来例1、2に係るPAMインバータ電力供給装置60、70によっても、出力電圧の調整が可能であるし、従来例3に係るPAMインバータ電力供給装置75や特許文献1に記載のインバータ電力供給装置によっても出力電力を調整することができるので、結果的に出力電圧を調整するのと同様な効果が得られる。従って、コロナ放電機構部58に必要な単相交流電圧を供給することはできる。しかしながら、問題点も見受けられる。例えば、従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60においては、三相ブリッジ整流器63によって直流電圧を得ているので、商用交流電圧のノイズの影響を受けてしまい、品質の高い直流電圧が得られない。コロナ放電機構部58の共振周波数fの近傍の周波数においては、電圧や電流は大きく変動しやすく変化率は非常に大きい。つまり、電圧や電流の変化率が大きく、コロナ放電機構部58の制御は難しいので、コロナ放電機構部58には、コロナ放電が安定するように品質の高い電圧と電流を供給する必要がある。しかしながら、従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60においては、直流電圧の品質は商用交流電圧の品質に影響されてしまうので、インバータ回路66から出力される電圧の品質にも影響が出やすいという欠点がある。さらには、昇降圧トランス62による昇圧、および降圧はある程度変更できる範囲が限定されてしまうので、直流電圧を調整できる範囲は大きくない。従って、コロナ放電機構部58の放電容量の変更量が大きい場合には、対応することができない。
従来例2に係るPAMインバータ電力供給装置70においては、三相SCRブリッジ整流器71によって商用交流電圧を直流電圧に変換しているので、ある程度直流電圧の品質を維持することはできる。しかしながら、三相SCRブリッジ整流器71においては商用交流電圧の零電圧を基準にして位相角を調整してサイリスタをスイッチングしているだけなので、商用交流電圧の瞬時変動に対応することはできない。つまり、直流電圧の品質は保証されないので、従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60と同様に、品質の高い出力電圧をコロナ放電機構部58に供給できないことがある。また、三相SCRブリッジ整流器71は、ある程度直流電圧を調整することはできるが、商用交流電圧の周波数よりも高い周波数での制御ができないので、特に低電圧の直流電圧を得ようとすると電圧が安定しなくなる欠点もある。
従来例3に係るPAMインバータ電力装置75においては、商用交流電源から三相ブリッジ整流器63によって直流電圧を得ているので、従来例1に係るPAMインバータ電力供給装置60と同様に直流電圧は、商用交流電圧の変動の影響を受ける欠点がある。さらには、インバータ回路66から供給される電圧はパルス状にON/OFFされるので、電力波形が乱れてしまい電圧の品質が高くないという問題もある。そして、直流電圧が固定の電圧になっているので、コロナ放電機構部58の放電容量の変更量が大きい場合には、対応することができない。
特許文献1に記載のインバータ電力供給装置においても、インバータ回路66のON/OFFのタイミングを調整して出力電力を調整しているので、電力の調整範囲は大きくはないし、このような調整方法によって電力波形が乱れてしまうので、従来例3に係るPAMインバータ電力装置75と同様に出力電圧の品質は高くないという問題がある。さらには、特許文献1に記載のインバータ電力供給装置においては、出力電圧を調整する制御応答は、出力する電圧の周波数に依存してしまうので応答を早くすることができない。そうすると、インバータ回路に供給される直流電圧の瞬時変動に影響を受けてしまい、インバータ回路から出力される電圧の品質にも影響してしまう。
本発明は、上記したような問題点を解決した、コロナ放電処理装置用の共振型PAMインバータ電力供給装置を提供することを目的としており、具体的には、商用交流電圧の変動の影響を受けることがなく、所望の波高値に調整可能であると共に電圧波形が滑らかで品質の高い単相交流電圧を、コロナ放電機構部に供給することができるコロナ放電処理装置用の共振型PAMインバータ電力供給装置を提供することを目的としている。
本発明は、上記目的を達成するために、放電電極と放電ロールと高周波トランスとからなり、フィルムにコロナ放電処理を実施するコロナ放電処理機構部に、所定の周波数の単相交流電圧を供給する共振型PAMインバータ電力供給装置として構成される。そして、共振型PAMインバータ電力供給装置には、商用三相交流電圧を直流電圧に変換する三相ブリッジ整流器、またはPWMコンバータと、単相交流電圧を生成するインバータ回路の間に、チョッパ回路が設けられるようにする。三相ブリッジ整流器、またはPWMコンバータによって変換された第1の直流電圧は、チョッパ回路によって第2の直流電圧に変換され、第2の直流電圧が、インバータ回路によって単相交流電圧に変換されるように構成する。
かくして、請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、放電電極と放電ロールと高周波トランスとからなる回路を共振させて、該放電電極と該放電ロール間にコロナ放電を発生させて該放電ロールで送られるフィルムの表面を改質するコロナ放電処理機構部に、所定の周波数の単相交流電圧を供給する共振型PAMインバータ電力供給装置であって、前記共振型PAMインバータ電力供給装置は、外部から供給される三相交流電圧を第1の直流電圧に整流する三相ブリッジ整流器と、前記第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して前記コロナ放電処理機構部に供給するインバータ回路とから構成されている。
また、請求項2に記載の発明は、放電電極と放電ロールと高周波トランスとからなる回路を共振させて、該放電電極と該放電ロール間にコロナ放電を発生させて該放電ロールで送られるフィルムの表面を改質するコロナ放電処理機構部に、所定の周波数の単相交流電圧を供給する共振型PAMインバータ電力供給装置であって、前記共振型PAMインバータ電力供給装置は、外部から供給される三相交流電圧を昇圧するACインダクタンスと、昇圧された三相交流電圧を第1の直流電圧に整流するPWMコンバータ回路と、前記第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して前記コロナ放電処理機構部に供給するインバータ回路とから構成されている。
そして、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインバータ電力供給装置において、前記チョッパ回路は、前記単相交流電圧の周波数よりも高い周波数でスイッチングされることを特徴とする共振型PAMインバータ電力供給装置。
以上のように、本発明によると、共振型PAMインバータ電力供給装置は、外部から供給される三相交流電圧を第1の直流電圧に整流する三相ブリッジ整流器と、前記第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して前記コロナ放電処理機構部に供給するインバータ回路とから構成されているので、すなわち、三相ブリッジ整流器によって得られた第1の直流電圧は、直接インバータ回路に供給されずに、チョッパ回路によって第2の直流電圧に変圧された後にインバータ回路に供給されるので、インバータ回路には、変動の少ない高品質な第2の直流電圧が供給されることになる。さらには、直流電圧は任意の電圧に調整できるので、インバータ回路から出力される単相交流電圧の波高値を容易に調整でき、コロナ放電処理機構部が必要としている単相交流電圧に適合する単相交流電圧を供給することができる。また、供給される単相交流電圧は、波形が滑らかで品質が高いという本発明に特有の効果が得られる。
また、他の発明によると、共振型PAMインバータ電力供給装置は、外部から供給される三相交流電圧を昇圧するACインダクタンスと、昇圧された三相交流電圧を第1の直流電圧に整流するPWMコンバータ回路と、前記第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して前記コロナ放電処理機構部に供給するインバータ回路とから構成されているので、PWMコンバータ回路によって、三相交流電圧の力率を適正な範囲に維持しながら、第1の直流電圧に変換することができ、チョッパ回路によって第2の直流電圧に変換した後に、インバータ回路によって品質の高い単相交流電圧を出力することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置の回路図である。 コロナ放電処理機構部に接続されている高周波トランスが1台のときと、2台のときのそれぞれにおける、共振周波数を説明するための図であり、その(ア)〜(カ)はコロナ放電処理機構部の回路図である。 高周波トランスにおける漏れインダクタンスを模式的に説明する図であり、その(ア)(イ)は高周波トランスを仮想的に示す回路図、その(ウ)は、高周波トランスに発生している磁束を模式的に示す正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置の回路図である。 コロナ放電処理装置を模式的に説明する回路図である。 従来例に係るインバータ電力供給装置を示す図であり、その(ア)〜(ウ)は、それぞれ従来例1〜3に係るインバータ電力供給装置を示す回路図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置は、放電電極と放電ロールと高周波トランスとから構成されている周知のコロナ放電処理機構部40に、単相交流電圧を供給する電力供給装置として構成されている。本実施の第1の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aは、図1に示されているように、商用交流電源2から供給される三相交流電圧を直流電圧に変換する三相ブリッジ整流器3、変換された直流電圧を任意の電圧に降圧するチョッパ回路4、この直流電圧を単相交流電圧に変換するPAMインバータ回路5、等から構成されている。三流ブリッジ整流器3は、従来周知のように、一方向に極性が揃えられて直列に接続されている2個のダイオードからなる列が、並列に3列接続された、6個のダイオードD11〜D16から構成されている。そして、それぞれの列を構成している2個のダイオードの中間に、三相交流電圧の各相の電源線が結線されている。従って、ダイオードD11〜D16の整流作用によって三相交流電圧は第1の直流電圧に変換されることになる。三相ブリッジ整流器3の直後の正の電圧線P1にはDCリアクトル7が設けられ、正の電圧線P1と負の電圧線Nは第1の平滑コンデンサ8によって接続されている。従って、第1の直流電圧は平滑化される。
本実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aは、チョッパ回路4を備えている点に特徴を有しているが、チョッパ回路4自体は、昇圧チョッパと降圧チョッパとを備えた周知のチョッパ回路から構成されている。すなわち、チョッパ回路4は、IGBTからなる第1、2のトランジスタT21、T22と、第1、2の還流ダイオードD21、D22と、チョッパ用DCリアクトル10とから構成されている。第1、2のトランジスタT21、T22は、第1の直流電圧の正の電圧線P1から負の電圧線Nに電流を流す向きに極性が揃えられて直列に接続され、第1、2の還流ダイオードD21、D22は、第1、2のトランジスタT21、T22のそれぞれに並列に接続され、第1、2のトランジスタT21、T22と逆方向に電流を流すように設けられている。そして、第1、2のトランジスタT21、T22の中間から引き出された電圧線P3は、チョッパ用DCリアクトル10を介して第2の直流電圧の正の電圧線P2に接続されている。第2の直流電圧の負の電圧線Nは第1の直流電圧の負の電圧線Nと共通である。そして、第1の電流計11によって計測される電圧線P3の電流と、第2の直流電圧の正の電圧はチョッパコンバータ制御部12に入力され、チョッパコンバータ制御部12はこれらの電流、電圧の入力に従って、第1、2のトランジスタT21、T22のON/OFFを制御できるようになっている。このように構成されているチョッパ回路4の下流、すなわち第2の直流電圧の正負の電圧線P2、Nの間には、第2の平滑コンデンサ14が設けられ、第2の直流電圧が平滑化されるようになっている。このようなチョッパ回路4において、第1のトランジスタT21と第2の還流ダイオードD22は降圧チョッパを、第2のトランジスタT22と第1の還流ダイオードD21は昇圧チョッパを、それぞれ構成している。従って、第1の直流電圧を任意の電圧に降圧して第2の直流電圧を得ることができ、第2の直流電圧から昇圧して第1の直流電圧に返送することもできる。なお、チョッパ用DCリアクトル10は、供給する直流電流が非常に小さいときにも連続的に電流が流れるように、十分に大きなインダクタンスを備えたリアクトルが採用されており、チョッパ回路4は、チョッパコンバータ制御部12によって高い周波数でPWM制御されるようになっている。
PAMインバータ回路5は、従来周知の、いわゆる単相フルブリッジ構成からなるインバータ回路になっている。すなわち、上下アームからなるアーム回路が2列設けられており、上アーム、下アームのそれぞれは、IGBTからなりスイッチング動作を行う1個のトランジスタT31〜T34と、ターンオン時におけるスイッチング損失を防止する1個の還流ダイオードD31〜D34と、ターンオフ時におけるコレクタ・エミッタ間の電圧の上昇を抑制すると同時にコレクタ電流をバイパスさせてスイッチング損失を低減させるための1個の転流コンデンサC31〜C34が並列に接続されている。そして、それぞれのアーム回路の上アームと下アームの接続線からは単相交流電圧の電圧線16、17が引き出され、コロナ放電処理機構部40に単相交流電圧が供給されている。電圧線16には第2の電流計19が設けられ、測定される電流は、上下アームのトランジスタT31〜T34を制御するPAMインバータ制御部20に入力されている。
次に作用を説明するが、説明にあたり、まず第1の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aの作用を説明して、単相交流電圧を高電圧や低電圧に調整して出力することができる点を明らかにする。次いで、このような実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aが必要とされる背景について説明する。すなわち、コロナ放電処理機構部40には、単相交流電圧が必要に応じて高電圧や低電圧に調整されて供給される必要があるが、コロナ放電処理機構部40が高電圧の単相交流電圧を必要とする場合と、低電圧の単相交流電圧を必要とする場合のそれぞれについて詳しく説明する。
[1]第1の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aの作用についての説明:
商用交流電源2から供給される三相交流電圧は、三相ブリッジ整流器3によって第1の直流電圧に変換される。変換された第1の直流電圧は、DCリアクトル7と第1の平滑コンデンサ8によって平滑化されるので、商用交流電源2の三相交流電圧に瞬時電圧変動が生じても、後段のチョッパ回路4には変動の少ない品質の高い直流電圧が供給されることになる。チョッパ回路4において、第1の直流電圧を第2の直流電圧に降圧する。具体的には、チョッパコンバータ制御部12は、第2の直流電圧が所定の目標値になるように、第2の直流電圧と電圧線P3の電流のそれぞれの瞬時値の入力をもとに、第1のトランジスタT21を高周期でパルス状にON/OFFする、いわゆるPWM制御を実施する。ONのときは、第1のトランジスタT21を経由して第1の直流電圧の正の電源線P1からチョッパ用DCリアクトル10に直流電流が供給され、チョッパ用DCリアクトル10には電磁エネルギが蓄積されると共に、第2の直流電圧の電圧線P2に電圧が供給される。OFFのときは、第2の還流ダイオードD22を経由して電圧線Nから電流が還流して、引き続き電圧線P2に電圧が供給される。ON/OFFの比率を変えると第2の直流電圧を制御することができる。チョッパ用DCリアクトル10は十分に大きなインダクタンスを備えていると共に、チョッパ回路4の後段には第2の平滑コンデンサ14が設けられているので、第2の直流電圧は平滑化され、変動のない品質の高い電圧が得られる。ところで、チョッパコンバータ制御部12の制御周波数、すなわち、チョッパ回路4の制御におけるキャリア周波数は、例えば、後段のPAMインバータ回路5から出力される単相交流電圧の周波数よりも高い。従って、コロナ放電処理機構部40における負荷変動が生じても、高周期で第2の直流電圧を制御することができるので、第2の直流電圧を一定に維持することができる。もちろん、キャリア周波数は商用交流電源2から供給される三相交流電圧の周波数よりも高いので、三相交流電圧に変動が生じて第1の直流電圧が変動してしまっても、第2の直流電圧を安定させることができる。ところで、第2の直流電圧の電圧線P2、N側に供給されている電流が、負荷が必要とする電流よりも過剰のときには、第2の平滑コンデンサ14に電荷が過剰に蓄電されてしまう。この場合には、第2のトランジスタT22をON/OFFして第1の平滑コンデンサ8側に昇圧して戻すこともできる。PAMインバータ回路5において、従来周知のように第2の直流電圧を単相交流電圧に変換してコロナ放電処理機構部40に供給する。このとき、単相交流電圧の周波数が、コロナ放電処理機構部40の共振周波数と同じ周波数、またはそれよりも若干高い周波数になるように制御する。本実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aにおいては、電圧の波高値はチョッパ回路4によって精度良く調整することができるので、PAMインバータ回路5において、電力を調整するPWM制御、またはPDM制御を実施する必要がなく、PAMインバータ回路5から出力される単相交流電圧の品質は高い。
[2]コロナ放電処理機構部40が高電圧の単相交流電圧を必要とする場合についての説明:
コロナ放電処理機構部40の放電容量が大きい場合、すなわち放電電極の面積が大きい場合には、2式によって共振周波数が低くなってしまう。この場合には、Q値が小さくならないようにしながら、共振周波数を高くする必要がある。具体的には、複数台の高周波トランスを接続する。そうすると、Q値が小さくなることがなく、共振周波数を高くすることができる。まず、高周波トランスが1台のときの、コロナ放電処理機構部40の共振周波数について導き、次いで高周波トランスが2台のときの共振周波数を導く。そして、m台の高周波トランスを接続したときの共振周波数を表す一般式を示し、高電圧の単相交流電圧が必要となる理由を明らかにする。
高周波トランスの2次巻線を短絡した状態で1次側から測定されるインダクタンスを漏れインダクタンスと定義する。図2の(ア)には、放電電極と回転放電ロールを表している抵抗Rと静電容量Cに、1台の高周波トランス25が接続され、高周波トランス25に単相交流電圧電源26が接続された回路が示されている。図において、漏れインダクタンスLは高周波トランス25の1次側に示されている。トランスにはインピーダンス変換の作用があるので、2次側のインピーダンスZを1次側から見たインピーダンスZ’は、一次巻線数N1と2次巻線数N2の比、すなわち巻線数n=N2/N1によって、Z’=Z/nと表すことができる。そうすると、1次側から見た抵抗はR/n、1次側から見た静電容量はnCと、それぞれ表すことができる。図2の(イ)には、このように1次側から見た抵抗と静電容量が示されており、図2の(イ)に示されている回路は、図2の(ア)に示されている回路の等価回路になっている。この回路において、共振周波数fは4式で与えられる。
Figure 2011036063
次に2台の高周波トランス25、25が抵抗Rと静電容量Cに接続される場合について考える。この場合、2台の高周波トランス25、25の1次巻線は、図2の(ウ)に示されているように、直列に単相交流電圧電源26に接続され、2次巻線は並列に抵抗Rと静電容量Cに接続されている。2次巻線側の回路を、電気的に等価な回路に変形すると、図2の(エ)に示されているように、2台の高周波トランス25、25のそれぞれに、抵抗2Rと静電容量C/2が1個宛接続されている回路に変形することができる。次いで、高周波トランス25、25の1次側から見た抵抗と静電容量を考えると、すなわち、インピーダンス変換された等価な回路を考えると、図2の(オ)に示されているように、それぞれの抵抗は2R/n、それぞれの静電容量はnC/2になる。さらに、変形すると、図2の(カ)に示されているように、漏れインダクタンス2Lの1個のリアクタと抵抗値4R/nの1個の抵抗と静電容量nC/4の1個のコンデンサからなる等価な回路に変形することできる。この回路において、共振周波数fは5式で与えられる。
Figure 2011036063
すなわち、2台の高周波トランス25、25が接続されるときの共振周波数は、高周波トランス25が1台のときの共振周波数の√2倍になる。同様に考えると、m台の高周波トランス25、25、…が接続されるとき、共振周波数fは6式で与えられる。
Figure 2011036063
コロナ放電処理機構部40の放電容量が大きくて、静電容量が大きい場合であっても、このように複数台の高周波トランス25、25を所定の接続で接続することによって、共振周波数が低下しないようにすることができる。また、詳しくは説明しないが、3式によって与えられるQ値も高い値に維持される。ところで、このように接続されると、単相交流電圧電源26には、複数台の高周波トランス25、25、…の1次巻線が直列に接続されることになるので、必要な電圧は高電圧になる。すなわち、コロナ放電処理機構部40に高電圧の単相交流電圧を供給する必要がある。本実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aは、高電圧を供給することができるので、適切に対応することができる。
[3]コロナ放電処理機構部40が低電圧の単相交流電圧を必要とする場合についての説明:
コロナ放電処理機構部40の放電容量が小さい場合、すなわち放電電極の面積が小さい場合には、2式によって共振周波数が高くなってしまう。この場合には、高周波トランスの2次巻線の巻数を増やして巻数比を高くして、1次側から見た静電容量を増加させて共振周波数が高くならないようにする。このとき、コロナ放電処理機構部40に供給される単相交流電圧は、比較的低電圧にする必要がある。ところで、巻数比を高くする方法として、1次巻線の巻数を減らす場合と2次巻線の巻数を増やす場合が考えられる。ところが、1次巻線の巻数を減らしても共振周波数を変化させることはできない。一方、2次巻線の巻数を増やすと共振周波数を低下させることができる。まず、漏れインダクタンスについて説明した後に、1次巻線と2次巻線のそれぞれを変化させたときの、共振周波数の変化について説明する。
図3の(イ)には、漏れインダクタンスを備えた一般的な高周波トランスについて、変圧作用だけを奏する理想トランス28と、各インダクタンス成分とに分離した、いわゆるトランス等価回路が示されている。1次側には単相交流電源27が接続されている。図3の(イ)において、Le1は1次側漏れインダクタンス、Le2は2次側漏れインダクタンス、Mは、相互インダクタンス、N1、N2はそれぞれ1次巻線の巻数と2次巻線の巻数を表している。ここで、図3の(イ)に示されているように、2次側を短絡して1次側から測定したインダクタンスを漏れインダクタンスLと定義する。そうすると、漏れインダクタンスLは、7’式で与えられるので、微少量を無視して変形すると7式が得られる。
Figure 2011036063
ところで、巻線に発生する磁束φは、巻線Nと電流Iと磁気抵抗Rによって、φ=NI/Rで与えられるので、一般的にインダクタンスLは8式で与えられる。
Figure 2011036063
図3の(ウ)には、高周波トランスにおいて、1次巻線と2次巻線に鎖交している鎖交磁束φと、1次巻線のみに鎖交している1次側の漏れ磁束φと、2次巻線のみに鎖交している2次側の漏れ磁束φとが示されている。1次側の漏れ磁束φによるインダクタンス成分と、2次側の漏れ磁束φによるインダクタンス成分、すなわち1次側漏れインダクタンスLe1と2次側漏れインダクタンスLe2は、1次側と2次側の磁気抵抗をそれぞれRm1、Rm2として、Le1=N1/Rm1、Le2=N2/Rm2で与えられる。従って、7式にこれらを代入すると、9式が得られる。
Figure 2011036063
1次巻線、2次巻線のそれぞれの巻数を変えた場合であっても、磁気抵抗に変化は生じないと仮定する。そうすると、9式により、漏れインダクタンスLは、1次巻線の巻数N1の二乗に比例し、2次巻線の巻数には影響しないことが分かる。
次に、この結果を利用して、高周波トランスの1次巻線の巻数を増減しても、コロナ放電処理機構部40の共振周波数は変化しないことを示す。まず、1次巻線巻の数がN1、2次巻線の巻数がN2、漏れインダクタンスがLの高周波トランスにおいて、2次側に静電容量Cのコンデンサが接続されている場合について考える。このとき、1次側から見た静電容量は(N2/N1)*Cになるので、共振周波数forgは、10式で与えられる。
Figure 2011036063
ここで1次巻線の巻数N1を、巻数N1’に変更すると、9式より漏れインダクタンスは(N1’/N1)*Lになり、1次側から見た静電容量は、(N2/N1’)*Cになる。そうすると、11式で計算される共振周波数f1mは、1次巻線の巻数が変更される前の共振周波数forgと等しいことが分かる。すなわち、高周波トランスにおいて1次巻線の巻数を増減しても、コロナ放電処理機構部40の共振周波数は変化しない。
Figure 2011036063
次に高周波トランスにおいて、2次巻線の巻数N2を、巻数N2’に変更すると共振周波数を変更できることを示す。2次巻線の巻数を変更しても、9式より漏れインダクタンスは変化しないが、1次側から見た静電容量は、(N2’/N1)*Cになる。そうすると、コロナ放電処理機構部40の共振周波数f2mは、12式で与えられる。
Figure 2011036063
すなわち、2次巻線の巻数N2を増加して巻数N2’にすると、共振周波数を低くすることができる。以上より、コロナ放電処理機構部40の放電容量が小さい場合であっても、2次巻線の巻数N2を変更して共振周波数を調整することができることが明らかになった。すなわち、共振周波数が適切な範囲になるように調整してコロナ放電処理を実施することができる。高周波トランスには、複数のタップが設けられているものがあり、接続するタップを変更すると、2次巻線の巻数を容易に変更することができるようになっている。従って、容易に共振周波数の調整をすることができる。ところで、2次巻線の巻数を増加させると、巻数比が大きくなってしまう。そうすると、高周波トランスの変圧作用が大きくなってしまい、放電電極と回転放電ロールの間に過剰な電圧が印加されてしまう。そこで、このように2次巻線の巻数を増加する場合には、コロナ放電処理機構部40に低電圧の単相交流電圧を供給する必要がある。本実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置は、低電圧に調整された単相交流電圧を供給することができるので、適切に対応することができる。
図4には、第2の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Bの回路図が示されている。第1の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Aと同様の電気素子や部品には、同じ参照番号を付して詳しくは説明しない。第2の実施の形態に係る共振型PAMインバータ電力供給装置1Bにおいては、三相ブリッジ整流器の代わりに、ACリアクトル31とPWMコンバータ30が設けられている。PWMコンバータ30は、従来周知であるので詳しく説明しないが、6個のダイオードD41〜D46と、6個のトランジスタT41〜T46とから構成されている。そして、三相交流電圧の各相の電圧と、電流計32、33から計測される電流は、PWMコンバータ制御部35に入力され、PWMコンバータ30は、PWMコンバータ制御部35によって制御されるようになっている。従って、商用交流電源2の各相から供給される三相交流電圧は、ACリアクトル31とPWMコンバータ30によって、力率が良好に維持されながら、第1の直流電圧に変換されることになる。
本発明の実施の形態は色々な変形が可能である。例えば、チョッパ回路については、第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するときに、降圧するように説明されているが、昇圧できるチョッパ回路も周知であり、さらには、昇圧と降圧の双方を実施できるチョッパ回路も周知である。このようなチョッパ回路が設けられていると、直流電圧の電圧を自由に昇降圧することができる。また、回路を構成している素子についても変形が可能であり、例えばトランジスタはIGBTから構成されているように説明されているが、FETから構成されていても同様に実施することができる。
本発明に係る共振型PAMインバータ電力供給装置は、コロナ放電処理装置だけでなく、他の用途に使用される装置にも適用が可能である。
1A、1B 共振型PAMインバータ電力供給装置
2 商用交流電源 3 三相ブリッジ整流器
4 チョッパ回路 5 PAMインバータ回路
7 DCリアクトル 8 第1の平滑コンデンサ
10 チョッパ用DCリアクトル 11 第1の電流計
12 チョッパコンバータ制御部 14 第2の平滑コンデンサ
19 第2の電流計 20 PAMインバータ制御
25 高周波トランス 26 単相交流電圧電源
30 PWMコンバータ
40 コロナ放電処理機構部

Claims (3)

  1. 放電電極と放電ロールと高周波トランスとからなる回路を共振させて、該放電電極と該放電ロール間にコロナ放電を発生させて該放電ロールで送られるフィルムの表面を改質するコロナ放電処理機構部に、所定の周波数の単相交流電圧を供給する共振型PAMインバータ電力供給装置であって、
    前記共振型PAMインバータ電力供給装置は、外部から供給される三相交流電圧を第1の直流電圧に整流する三相ブリッジ整流器と、前記第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して前記コロナ放電処理機構部に供給するインバータ回路とから構成されていることを特徴とする共振型PAMインバータ電力供給装置。
  2. 放電電極と放電ロールと高周波トランスとからなる回路を共振させて、該放電電極と該放電ロール間にコロナ放電を発生させて該放電ロールで送られるフィルムの表面を改質するコロナ放電処理機構部に、所定の周波数の単相交流電圧を供給する共振型PAMインバータ電力供給装置であって、
    前記共振型PAMインバータ電力供給装置は、外部から供給される三相交流電圧を昇圧するACインダクタンスと、昇圧された三相交流電圧を第1の直流電圧に整流するPWMコンバータ回路と、前記第1の直流電圧を第2の直流電圧に変換するチョッパ回路と、前記第2の直流電圧を単相交流電圧に変換して前記コロナ放電処理機構部に供給するインバータ回路とから構成されていることを特徴とする共振型PAMインバータ電力供給装置。
  3. 請求項1または2に記載のインバータ電力供給装置において、前記チョッパ回路は、前記単相交流電圧の周波数よりも高い周波数でスイッチングされることを特徴とする共振型PAMインバータ電力供給装置。
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